JP6444858B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
(i)コート作業やその後の乾燥作業が煩雑である。
(ii)PVA層の不溶化処理のための熱処理を積層体の状態で行う必要があるため、使用されるプラスチックフィルムが熱処理後も延伸可能なものに限定され、コスト高になる。
(iii)プラスチックフィルム上にコート法によってPVA層を形成してなる積層体では、プラスチックフィルムとPVA層との間の接着強度が比較的高く、このような接着強度の高い積層体を延伸すると、PVA層の適度なネックインが妨げられて、偏光性能に優れる偏光フィルムが得られにくい。
[2]PVAフィルムを水に浸漬する水浸漬工程を有し、表面に水が付着したPVAフィルムが、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後のものである、上記[1]の製造方法;
[3]水浸漬工程が、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程からなる群より選ばれる少なくとも1 つである、上記[2]の製造方法;
[4]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後にPVAフィルムが接触する1 個以上のロールを有し、PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間において、PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる、上記[2]または[3]の製造方法;
[5]PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間における、PVAフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部にプラスチックフィルムが接触している部分のPVAフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、上記[4]の製造方法;
[6]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、PVAフィルムが水面から離れる部分において、PVAフィルムの幅方向両端部がプラスチックフィルムと接触している、上記[2]〜[5]のいずれか1つの製造方法
[7]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、表面に水が付着したPVAフィルムが順次接触する2個以上のロールを有し、これらのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間において、PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる、上記[1]〜[6]のいずれか1つの製造方法;
[8]上記連続する2個のロール間における、PVAフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部にプラスチックフィルムが接触している部分のPVAフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、上記[7]の製造方法;
[9]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、プラスチックフィルムの幅が1cm以上である、上記[1] 〜[8]のいずれか1つの製造方法;
[10]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に風速が0.1m/秒以上の気体を吹き付ける、上記[1]〜[9]のいずれか1つの製造方法;[11]延伸工程の前に、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/またはプラスチックフィルムを接触させる工程を有する、上記[1]〜[10]のいずれか1つの製造方法;
[12]PVAフィルムの厚みが35μm以下である、上記[1]〜[11]のいずれか1つの製造方法;
に関する。
偏光フィルムを製造するための本発明の製造方法は、PVAフィルムを延伸する延伸工程を有する。そして本発明の製造方法では、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程等のPVAフィルムを水と接触させる水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に対して、気体を吹き付ける工程および/または薄状体を接触させる工程を有する。通常、PVAフィルムを用いて偏光フィルムを製造する場合には、水接触工程を通過した後にPVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みが発生しやすく、それが原因となって、延伸工程における延伸切れや乾燥工程における収縮によるフィルムの破断などが発生しやすくなるが、上記のように、表面に水が付着した状態のPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けたり、薄状体を接触させたりすることにより、当該PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生が抑制されて延伸時や乾燥時などにおけるフィルムの破断の発生が低減され、また、より高い延伸倍率で延伸することができて偏光性能に優れた偏光フィルムが容易に製造されるものと考えられる。
PVAフィルムを構成するPVAとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものを使用することができる。上記のビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手の容易性、コスト等の点から、分子中にビニルオキシカルボニル基(H2C=CH−O−CO−)を有する化合物が好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。
これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法では、PVAフィルムを水と接触させる水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/または薄状体を接触させる工程を有する。偏光フィルムは、通常、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程などの各工程を経て製造することができ、本発明の製造方法は、これらの工程のうちの1つまたは2つ以上を水接触工程として有することができる。
水接触工程において使用される水は純水に限定されず、各工程の目的に応じて、後述するような水溶液や更には水性分散液などを用いることもできる。
以下に、水接触工程として採用することのできる工程も含め、本発明の製造方法において採用することのできる各工程をより詳細に説明する。
膨潤工程における膨潤処理は、PVAフィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、22〜38℃の範囲内であることがより好ましく、25〜35℃の範囲内であることが更に好ましい。また、水に浸漬する時間としては、例えば、0.5〜5分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であることがより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
染色工程における染色処理は、PVAフィルムを二色性色素を含む水溶液中に浸漬することにより行うことができる。二色性色素を含む水溶液中における二色性色素の濃度は使用される二色性色素の種類などに応じて適宜設定することができ、例えば0.001〜1質量%の範囲内とすることができるが、二色性色素を含む水溶液としてヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合には、ヨウ素系色素を効率良くPVAフィルムに吸着させることができることから、使用されるヨウ素(I2)の濃度として0.01〜1.0質量%の範囲内であることが好ましく、使用されるヨウ化カリウム(KI)の濃度として0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。二色性色素を含む水溶液の温度は、二色性色素を効率良くPVAフィルムに吸着させることができることから、20〜50℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。なお、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを用いる場合には、染色工程を省略することができる。
架橋工程を行うと、PVAフィルムに架橋が導入され、比較的高い温度かつ湿式で延伸工程を行う際にPVAが水へ溶出するのを効果的に防止することができる。このような観点などから、架橋工程は染色工程の後に行うのが好ましい。架橋処理は、PVAフィルムを架橋剤を含む水溶液中に浸漬することにより行うことができる。当該架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を使用することができる。架橋剤を含む水溶液における架橋剤の濃度は1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、2〜7質量%の範囲内であることがより好ましい。架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋剤を含む水溶液の温度は、20〜50℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
PVAフィルムを延伸する延伸工程において、その延伸方法に特に制限はなく、湿式延伸法および乾式延伸法のうちのいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した二色性色素を含む水溶液中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は、室温のまま延伸を行ってもよいし、熱をかけながら延伸してもよいし、吸水後に延伸してもよい。これらの中でも、得られる偏光フィルムにおける幅方向の厚みの均一性の点から湿式延伸法が好ましく、ホウ酸水溶液中で延伸することがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜6.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5〜4.0質量%の範囲内であることが更に好ましい。上記したホウ素化合物を含む水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
固定処理工程における固定処理は、主として、延伸されたPVAフィルムへの二色性色素の吸着を強固にするために施される。固定処理は延伸されたPVAフィルムを固定処理浴中に浸漬することにより行うことができる。固定処理浴としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴として使用されるホウ素化合物を含む水溶液中におけるホウ素化合物の濃度は、一般に2〜15質量%の範囲内であることが好ましく、3〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。固定処理浴の温度は、15〜60℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
上記の水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ける工程における気体の吹き付けは、延伸工程の後に行っても乾燥工程における収縮によるフィルムの破断の発生を低減することが可能となるが、偏光フィルムを製造する際のフィルムの破断は延伸時に特に発生しやすいことから、延伸工程の前に、当該気体を吹き付ける工程を有することが好ましい。この場合において、膨潤工程、染色工程および架橋工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を水接触工程とし、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ければよい。なお、当該気体を吹き付ける工程を複数有する場合は、そのうちの少なくとも1つの工程が延伸工程の前にあるのが好ましい。
上記の水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程における薄状体の接触は、延伸工程の後に行っても乾燥工程における収縮によるフィルムの破断の発生を低減することが可能となるが、偏光フィルムを製造する際のフィルムの破断は延伸時に特に発生しやすいことから、延伸工程の前に、当該薄状体を接触させる工程を有することが好ましい。この場合において、膨潤工程、染色工程および架橋工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を水接触工程とし、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させればよい。なお、当該薄状体を接触させる工程を複数有する場合は、そのうちの少なくとも1つの工程が延伸工程の前にあるのが好ましい。
方法A:PVAフィルムの移動方向について、その上流側の端部を固定端としその下流側の端部を自由端とした一対の薄状体を、PVAフィルムの両端部の近傍に設置することにより、水による張力や水圧などによって、当該薄状体の上流側の端部および下流側の端部の間のいずれかの位置より下流側の端部にかけて、PVAフィルムと接触させる方法、
方法B:一対のエンドレスベルト状の薄状体を、PVAフィルムの両端部の近傍に設置し、必要に応じてPVAフィルムの幅方向両端部に接触させる部分がPVAフィルムの移動方向に沿うように移動させながら、PVAフィルムと接触させる方法、
などが挙げられ、操作が簡便であることなどから方法Aが好ましい。なお、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる際における方向に特に制限はなく、PVAフィルムの鉛直方向上側から接触させても、PVAフィルムの鉛直方向下側から接触させてもどちらでもよい。
延伸を行い、必要に応じて更に固定処理を行った後、乾燥することにより偏光フィルムを製造することができる。乾燥条件は特に制限されないが、乾燥温度は30〜150℃の範囲内であることが好ましく、50〜130℃の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板として使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを使用することができる。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができるが、中でもPVA系接着剤が好適である。
風速計を用いてJIS A1431:1994(空気調和・換気設備の風量測定方法)の記載に準拠して求めた。具体的には、以下の実施例または比較例において使用された気体(空気)吹き付け用ノズルより吹き付けられる気体の風速を求めた。当該測定は、温度:25℃、湿度:50%RHの条件下で行った。
以下の実施例または比較例において使用されたプラスチックフィルムと同じプラスチックフィルムから200mm×15mmの短冊状のフィルム片を切り出し、このフィルム片のPVAフィルムと接触する面における水接触角を、JIS R3257:1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)の記載に準拠して測定した。すなわち、水平に置かれたフィルム片上に4μl以下の水滴を静置し、水滴の形状から、水滴のフィルム片に接している面の半径r(mm)、およびフィルム片表面から水滴の頂点までの高さh(mm)を測定し、下記式(1)により水接触角θ(°)を求めた。
θ = 2tan−1(h/r) (1)
なお、測定は5回実施し、その平均値をそのプラスチックフィルムの水接触角とした。また、測定は、温度:25℃、湿度:50%RHの条件下で行った。
以下の実施例または比較例において、延伸工程における延伸倍率を調整することにより全延伸倍率を0.1倍ずつ段階的に上げていき、フィルムの破断が発生したときの全延伸倍率の直前に設定した全延伸倍率を、連続運転可能な延伸倍率とした。
(a)透過率Tsの測定
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、偏光フィルムの長さ方向に2cm×幅方向に2cmの正方形のサンプルを2枚採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z8722:2009(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、1枚のサンプルについて、長さ方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts1(%)を求めた。もう1枚のサンプルについても同様にして、45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts2(%)を求めた。下記式(2)によりTs1とTs2を平均し、偏光フィルムの透過率Ts(%)とした。
Ts = (Ts1+Ts2)/2 (2)
上記透過率Tsの測定で採取した2枚のサンプルを、その長さ方向が平行になるように重ねた場合の光の透過率T‖(%)、および、長さ方向が直交するように重ねた場合の光の透過率T⊥(%)を、上記「(a)透過率Tsの測定」の場合と同様にして測定し、下記式(3)により偏光度V(%)を求めた。
V = {(T‖−T⊥)/(T‖+T⊥)}1/2×100 (3)
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの幅方向中央部を通る線上で、長さ方向に間隔をあけて5箇所を設定し、各箇所のそれぞれについて、偏光フィルムの長さ方向に2cm×幅方向に2cmの正方形のサンプルを2枚採取し、上記と同様にして、透過率Ts(%)および偏光度V(%)を求めた。そして各実施例または比較例毎に、得られた5つの透過率Tsの最大値と最小値の差を変動幅(Ts)とし、また、得られた5つの偏光度Vの最大値と最小値の差を変動幅(V)とした。
厚みが20μmで幅が1mの長尺のPVAフィルム(PVAとグリセリンと界面活性剤を含み、グリセリンの含有量がPVA100質量部に対して12質量部で、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.03質量部であるPVAフィルム。PVAは酢酸ビニルの単独重合体のけん化物であり、PVAの重合度は2,400で、PVAのけん化度は99.9モル%。)を、そのフィルムロールから連続的に巻き出し、膨潤工程、染色工程および架橋工程に、この順で連続的に供した。
PVAフィルムの厚みを、15μm(実施例2)または60μm(実施例3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
膨潤工程、染色工程、架橋工程および固定処理工程のいずれについても、PVAフィルムの幅方向両端部に吹き付ける空気の風速を1.0m/秒としたこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
固定処理工程については空気の吹き付けを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
膨潤工程、架橋工程および固定処理工程については空気の吹き付けを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
膨潤工程、染色工程、架橋工程および固定処理工程のいずれについても空気の吹き付けを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
厚みが30μmで幅が1mの長尺のPVAフィルム(PVAとグリセリンと界面活性剤を含み、グリセリンの含有量がPVA100質量部に対して12質量部で、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.03質量部であるPVAフィルム。PVAは酢酸ビニルの単独重合体のけん化物であり、PVAの重合度は2,400で、PVAのけん化度は99.9モル%。)を、そのフィルムロールから連続的に巻き出し、膨潤工程、染色工程および架橋工程に、この順で連続的に供した。
なお、膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させ始める位置を各工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出す前の時点に設定することによって、PVAフィルムが各工程における水の水面から離れる部分においてPVAフィルムの幅方向両端部がプラスチックフィルムと接触しているようにした。膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、100×L2/L1を80%とし、100×L4/L3を80%とした。
PVAフィルムの厚みを、15μm(実施例8)または60μm(実施例9)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、100×L2/L1を5%とし、100×L4/L3を5%としたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
架橋工程についてはプラスチックフィルムを接触させなかったこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
プラスチックフィルムの接触について、各端部における接触部分の幅をいずれも1cmとしたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
使用したプラスチックフィルムについて、いずれも、厚みが75μmで幅が3cmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであり、コロナ処理によってPVAフィルムと接触する側の面の水接触角が100°に調節されているものを用いたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
使用したプラスチックフィルムについて、いずれも、厚みが50μmで幅が3cmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(SE620N タマポリ株式会社製)であり、コロナ処理によってPVAフィルムと接触する側の面の水接触角が85°に調節されているものを用いたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについてもプラスチックフィルムを接触させなかったこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについてもプラスチックフィルムを接触させなかったこと以外は実施例8と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
Claims (12)
- 厚みが45μm以下であるポリビニルアルコールフィルムを、互いに平行な複数のロールを備える延伸装置を使用して長さ方向に一軸延伸する延伸工程を有する偏光フィルムの製造方法であって、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向中央部側より幅方向外側に向かって、略ポリビニルアルコールフィルム面に沿うように気体を吹き付けるおよび/またはプラスチックフィルムを接触させる工程を有する、製造方法であって、ポリビニルアルコールフィルムと接触する部分における当該プラスチックフィルムの水接触角が60°以下である、製造方法。
- ポリビニルアルコールフィルムを水に浸漬する水浸漬工程を有し、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムが、水浸漬工程によって水に浸漬されたポリビニルアルコールフィルムを水から取り出した後のものである、請求項1に記載の製造方法。
- 水浸漬工程が、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項2に記載の製造方法。
- 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、水浸漬工程によって水に浸漬されたポリビニルアルコールフィルムを水から取り出した後にポリビニルアルコールフィルムが接触する1個以上のロールを有し、ポリビニルアルコールフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間において、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる、請求項2または3に記載の製造方法。
- ポリビニルアルコールフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間における、ポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部にプラスチックフィルムが接触している部分のポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、請求項4に記載の製造方法。
- 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、ポリビニルアルコールフィルムが水面から離れる部分において、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部がプラスチックフィルムと接触している、請求項2〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムが順次接触する2個以上のロールを有し、これらのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間において、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記連続する2個のロール間における、ポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部にプラスチックフィルムが接触している部分のポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、請求項7に記載の製造方法。
- 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する製造方法であって、プラスチックフィルムの幅が1cm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に風速が0.1m/秒以上の気体を吹き付ける工程を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 延伸工程の前に、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/またはプラスチックフィルムを接触させる工程を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- ポリビニルアルコールフィルムの厚みが35μm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
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