JP5169448B2 - フィルム洗浄方法及びフィルム洗浄装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルムを洗浄するフィルム洗浄方法及びフィルム洗浄装置に関する。洗浄を必要とするフィルムの用途としては、輸液バッグや血液バッグなどの医療用途や、液晶用フィルムやプラズマディスプレイ用フィルム、有機ELディスプレイ用フィルムなどのディスプレイ用途や、光導波路パターンなどの光学素子用途が挙げられる。
電子ディスプレイ分野、エレクロトニクス分野に使用されるフィルムは、製膜、塗工、貼合などの工程を経て部材、プロセス材として使用される。その製造工程は、終始クリーン環境下での取り扱いが必須であり、埃、繊維、フィルム粕などの異物の製品への混入や付着などの欠陥、及びそれらに起因するキズ、押し跡などの物理的欠陥の発生は厳重に管理されている。これらの欠陥の発生頻度に対する市場の要求基準は急速に厳しくなってきている。また、欠陥の程度についても、従来問題とされなかった非常に微細な欠陥が許容されなくきており、改善を求められている。
従来、フィルム洗浄方法としては様々な方法が提案されている。例えば、下記特許文献1ではロール状のフィルムを巻き出して液体洗浄する方法、下記特許文献2では超音波の周波数を1000[kHz]以下、かつ洗浄時間を60秒以下として、フィルムに対して超音波で液体洗浄する洗浄方法、下記特許文献3では溶解度パラメータが16〜30MPa1/2の範囲、且つ沸点が55〜160℃の範囲にある有機溶媒をフィルムに対して超音波で液体洗浄する洗浄方法、下記特許文献4には液晶素子製造工程中においてフィルムをアルカリ洗浄する方法、下記特許文献5には異物の再付着防止のために装置全体をHEPAフィルタを使用したクリーンブースで覆う方法、が開示されている。
特開2008−12387号公報 特開2007−246849号公報 特開2007−39494号公報 特開平6−168564号公報 特開2002−316116号公報
しかしながら、特許文献1ではロール状フィルムの洗浄装置構成に関する記載はあるものの具体的な洗浄条件に関する記載がなく、特許文献2では、強固に付着した異物は処理時間60秒でも落ちない場合があり、その際の洗浄方法としては不十分である。特許文献3では有機溶媒を使用するためフィルム中の各種添加剤の溶出や表面変質が起きる可能性がある。特許文献4では枚葉状フィルムに関する記載はあるもののロール状フィルムに関する記載はなく、作業効率が劣る問題がある。特許文献5では装置全体をクリーンブースで覆うことは異物再付着に効果はあるものの装置が極めて肥大化することに繋がり、費用や設置スペースが大きくなる問題がある。
フィルムに多く付着する異物としては、埃、繊維、フィルム粕、機械からのオイルミスト、人からの皮膚や髪の毛など、が挙げられるが、フィルムに強固に付着した異物は、短時間の洗浄では除去しきれない場合があり、長時間の洗浄ではフィルムへの傷の発生などの負担が大きい。
そこで、本発明はフィルムへのこれらの負担を軽減しつつ、異物の十分な除去が可能なフィルム洗浄方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明のフィルム洗浄方法は、ロール状に巻かれたフィルム(W)を巻き出す巻出し工程と、前記巻出し工程により巻き出されたフィルムを超音波で液体洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程後のフィルムを前記第1洗浄工程で設定された周波数よりも高い周波数の超音波で液体洗浄する第2洗浄工程と、洗浄したフィルムを乾燥する乾燥工程と、乾燥したフィルムをロール状に巻き取る巻取り工程と、を備え、前記第1洗浄工程の超音波の周波数が100[kHz]未満に設定され、前記第2洗浄工程の超音波の周波数が100[kHz]以上に設定され、前記第1及び第2洗浄工程にそれぞれ設けられて超音波を発振する超音波発振器(36)と洗浄されるフィルムとの距離をW、洗浄液中での超音波速度をU、かつ1000[m/s]<U<2000[m/s]とし、前記第1及び第2洗浄工程における超音波周波数をH、正の整数n、としたときに、以下の式W=U÷H×nを満たし、前記第1及び前記第2洗浄工程の各工程では、洗浄液が貯留された洗浄槽(35)に前記フィルムを進入させ、前記超音波発振器は、洗浄されるフィルムの両面にそれぞれ設けられて前記洗浄液中に超音波を伝播させ、その両面に設けられた前記超音波発振器はそれぞれ、同出力、同周波数を有し、かつ同期していることにより上記課題を解決する。
本発明のフィルム洗浄方法によれば、第1洗浄工程では、低周波の超音波で洗浄されるため、異物除去効果が高く、比較的大きな異物が除去される。第2洗浄工程では、高周波の超音波で洗浄されるため、小さな異物が除去される。第1洗浄工程で既に大きな異物が除去されているので、第2洗浄工程でも十分な洗浄効果を得ることができる。よって、低周波及び高周波の超音波洗浄を組み合わせて最適化することにより、フィルムへの負担を軽減しつつ、異物の十分な除去が可能となる。また、第1洗浄工程では、100[kHz]未満の低周波の超音波による洗浄、第2洗浄工程では、100[kHz]以上の高周波の超音波による洗浄をすることで、フィルムに傷等のダメージを付加することなく、フィルムに付着した異物を効果的に除去することができる。また、Uは超音波周波数や洗浄液の種類、温度により範囲をもつ。上記式の意味するところは、超音波発振器とフィルムとの距離は超音波一波長の整数倍であることであり、上記式を満たすとき、フィルムに付着した異物を更に効果的に除去することができる。
なお、ここで言う超音波とは、岩波書店の広辞苑記載の20kHz以上の周波数を有する音波を指す。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記乾燥工程は、前記第1及び第2洗浄工程の後にそれぞれ設けられた独立したエアナイフ室(32a、34a)にて、除塵された気体を前記フィルムに対して噴射してもよい。この形態によれば、エアナイフ室が独立しているので大気中からの異物の再付着を防ぐことができる。
エアナイフ室が設けられた形態において、前記エアナイフ室に設けられたエアナイフ(32b、34b)から噴射される前記気体がフィルムと接触する噴射領域が前記フィルムの幅方向(d)に対して傾いて形成され、前記エアナイフの噴射方向が前記フィルムの進行方向と同一にならないようにして前記エアナイフが設置されていてもよい。この形態によれば、ロール状フィルムであってもエアナイフで切った水を短時間でフィルム端部から落とすことが可能となり、水跡が残り難くすることができる。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記乾燥工程は、前記第1及び第2洗浄工程の後に、フィルムに対して気体とともにパウダー状のドライアイスを吹き付けてもよい。この形態によれば、フィルム表面の水分をドライアイスによって氷にし、吹き飛ばすことができる。更に、常温による水分除去が可能であるため、熱乾燥によるフィルムの変形、変質を防ぐことができる。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記第1洗浄工程および第2洗浄工程の超音波のエネルギー出力が0.5〜10[W/cm]の範囲に設定されていてもよい。この形態によれば、フィルムに傷等のダメージを付加することなく、フィルムに付着した異物を除去することができる。従って、フィルムへの負担低減と異物除去とが両立できるようになる。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記第1洗浄工程及び前記第2洗浄工程での洗浄時間の合計が、60秒から20分の範囲にあってもよい。この形態によれば、第1洗浄工程の洗浄時間を短く設定しても、第2洗浄工程による洗浄で異物を十分に除去することができる。超音波洗浄によるフィルムに与えるエネルギーの合計は、洗浄時間や、フィルムの搬送速度や、実際に超音波をあてる時間を制御することにより、調整できる。従って、合計した洗浄時間が60秒以上であっても、フィルムに対して洗浄による傷等のダメージはない。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記第1洗浄工程及び前記第2洗浄工程で使用される洗浄液の温度が、20度から50度の範囲にあってもよい。洗浄液の温度が20度よりも低いと異物が十分に除去でき難く、50度を超えるとフィルムの延伸が発生する恐れがある。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記フィルムの厚さが20〜200[μm]の範囲にあってもよい。この形態によれば、フィルムに傷等のダメージを付加することなく、また、ロールフィルムの搬送にも支障なく、フィルムに付着した異物を除去することができる。従って、フィルムへの負担低減と異物除去とが両立できるようになる。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記フィルムが、単一材料、または2種類以上の複合材料からなっていてもよい。この形態によれば、各構成のフィルムを洗浄することができる。
本発明のフィルム洗浄方法の一形態において、前記フィルムの密度が、1.00〜2.10[g/cm]の範囲にあってもよい。この形態によれば、フィルムに傷等のダメージを付加することなく洗浄することができる。ウェブフィルムWの密度が1.00[g/cm]未満であると洗浄工程において溶媒に対してフィルムが浮くために浸漬洗浄には適さない。2.10[g/cm]を超えると、この場合はガラスなどの無機材料の複合割合が高い高分子複合材料に相当し、洗浄工程において高分子複合材料から無機材料の剥離が起こり易くなる。
本発明のフィルム洗浄装置は、ロール状に巻かれたフィルム(W)を巻き出す巻出し部(2)と、前記巻出し部により巻き出されたフィルムを超音波で液体洗浄する第1洗浄部(31)と、前記第1洗浄部に対してフィルム搬送方向下流側に位置し、前記フィルムを前記第1洗浄部で設定された周波数よりも高い周波数の超音波で液体洗浄する第2洗浄部(33)と、洗浄したフィルムを乾燥する乾燥部(32、34)と、乾燥したフィルムをロール状に巻き取る巻取り部(6)と、を備え、前記第1洗浄部の超音波の周波数が100[kHz]未満に設定され、前記第2洗浄部の超音波の周波数が100[kHz]以上に設定され、前記第1及び第2洗浄部の各洗浄部には、洗浄液が貯留された洗浄槽(35)と、前記洗浄槽内に設置され、超音波を発振する超音波発振器(36)と、が設けられ、前記超音波発振器と洗浄されるフィルムとの距離をW、洗浄液中での超音波速度をU、かつ1000[m/s]<U<2000[m/s]とし、前記第1及び第2洗浄工程における超音波周波数をH、正の整数n、としたときに、以下の式W=U÷H×nを満たし、前記超音波発振器は、洗浄されるフィルムの両面にそれぞれ設けられて前記洗浄液中に超音波を伝播させ、その両面に設けられた前記超音波発振器はそれぞれ、同出力、同周波数を有し、かつ同期していることにより上記課題を解決する。
本発明のフィルム洗浄装置によれば、第1洗浄部では、低周波の超音波で洗浄されるため、異物除去効果が高く、比較的大きな異物が除去される。第2洗浄部では、高周波の超音波で洗浄されるため、小さな異物が除去される。第1洗浄部で既に大きな異物が除去されているので、第2洗浄部でも十分な洗浄効果を得ることができる。よって、低周波及び高周波の超音波洗浄を組み合わせて最適化することにより、フィルムへの負担を軽減しつつ、異物の十分な除去が可能となる。
なお、本発明のフィルム洗浄装置においては、上述したフィルム洗浄方法の各形態と同様の形態にて実施することができる。例えば、前記第1及び第2洗浄部にそれぞれ設けられて超音波を発振する超音波発振器(36)が、洗浄されるフィルムの両面にそれぞれ設けられ、その両面に設けられた前記超音波発振器はそれぞれ、同出力、同周波数を有し、かつ同期していてもよい。前記乾燥部は、前記第1及び第2洗浄部の後にそれぞれ設けられた独立したエアナイフ室(32a、34a)であり、除塵された気体を前記フィルムに対して噴射してもよい。前記エアナイフ室に設けられたエアナイフ(32b、34b)から噴射される前記気体がフィルムと接触する噴射領域が前記フィルムの幅方向に対して傾いて形成され、前記エアナイフの噴射方向が前記フィルムの進行方向と同一にならないようにして前記エアナイフが設置されていてもよい。
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
以上、説明したように、本発明のフィルム洗浄方法及び装置においては、第1洗浄工程では、低周波の超音波で洗浄されるため、異物除去効果が高く、比較的大きな異物が除去される。第2洗浄工程では、高周波の超音波で洗浄されるため、小さな異物が除去される。第1洗浄工程で既に大きな異物が除去されているので、第2洗浄工程でも十分な洗浄効果を得ることができる。よって、低周波及び高周波の超音波洗浄を組み合わせて最適化することにより、フィルムへの負担を軽減しつつ、異物の十分な除去が可能となる。
図1に本発明の一形態に係るフィルム洗浄装置の概略図を示す。フィルム洗浄装置1は、ロール状のウェブフィルムWを巻き出す巻出し部としての巻出し装置2と、巻き出したウェブフィルムWを超音波で液体洗浄する超音波洗浄部3と、ウェブフィルムWに対して気体とともにパウダー状のドライアイスを吹き付けて洗浄するドライアイス洗浄部4と、ウェブフィルムWの異物、傷等の欠陥の有無を検査する検査部5と、ウェブフィルムをロール状に巻き取る巻取り部としての巻取り装置6とを備えている。巻出し装置2は、ロール状に巻かれたウェブフィルムWを巻き出す。ウェブフィルムWは、ロール状に巻かれた状態で巻出し装置2に供給され、巻出し装置2と巻取り装置6との間を複数のガイドローラに掛け回されて図示しない駆動源により動力を得て搬送される。
超音波洗浄部3は、ウェブフィルムWに対して1回目の洗浄をする第1洗浄部31と、第1洗浄部31で洗浄したウェブフィルムWを乾燥する第1乾燥部32と、ウェブフィルムWに対して2回目の洗浄をする第2洗浄部33と、第2洗浄部33で洗浄したウェブフィルムWを乾燥する第2乾燥部34とを備えている。第1洗浄部31には、ウェブフィルムWを洗浄液に浸すための洗浄槽35と、洗浄液に超音波振動を付与する超音波発振器36a、36b(区別しない場合は参照符号36で代表することがある。)とが設けられている。洗浄槽35には、洗浄液が貯留される。第1洗浄部31は、ウェブフィルムWの搬送経路が洗浄槽35内に進入するように構成される。ウェブフィルムWは、洗浄槽35で洗浄液に浸けられる。超音波発振器36aはウェブフィルムWの表面側に、超音波発振器36bはウェブフィルムWの裏面側にそれぞれ設けられる。超音波発振器36として、周知の各種発振器を利用することができる。超音波発振器36は、洗浄液中に超音波を伝播させる。なお、超音波発振器36は、ウェブフィルムWの表面側、あるいは裏面側のいずれか一方に設けられていてもよい。第2洗浄部33は第1洗浄部31と同様の構成であるため、同様の符号を付して説明を省略する。
第1洗浄部31及び第2洗浄部33では、ウェブフィルムWに対して超音波洗浄が行われる。超音波洗浄は、キャビテーション効果及び加速度効果の二種類の効果により洗浄作用が得られる。キャビテーション効果とは、超音波により液体に生じた真空の気泡が破裂することによる衝撃波を利用した洗浄効果のことである。洗浄液に超音波を照射すると、洗浄液が激しく揺さぶられ、局所的に無数の高圧力領域と低圧力領域とが生じ、低圧力領域では小さな真空の空洞が発生する。この空洞がキャビテーションで、再び圧力が高くなってキャビテーションが押しつぶされるとき、洗浄液中に衝撃波を発生させる。この衝撃波が、ウェブフィルムWに付着した異物を剥離させる。また、超音波の振動加速度が速いため、加速度による効果としてウェブフィルムWから異物を振り切り離す効果がある。例えば、28[kHz]の超音波で1000[G]の加速度が発生する。
第1洗浄部31では、100[kHz]未満の周波数の超音波が設定される。第2洗浄部33では、100[kHz]以上の周波数の超音波が設定される。第1洗浄部31では、一例として、周波数が28〜50[kHz]の範囲となる低周波の超音波を洗浄液に照射する。キャビテーション効果を利用して、比較的大きな異物が除去されて、ウェブフィルムWが洗浄される。一方、第2洗浄部33では、一例として、周波数が120〜2000[kHz]の範囲となる高周波を洗浄液に照射する。これにより、キャビテーションの発生がほとんどなく、振動加速度によるウェブフィルムWへの傷等のダメージが加えられることがない。よって、微細な異物までも除去することが可能となる。また、第1洗浄部31及び第2洗浄部33の洗浄液の温度は、10〜80度の範囲で設定され、特に、20〜50度の範囲で設定されることが好ましい。これにより、フィルムに負担を付加することなく洗浄することができる。第1洗浄部31及び第2洗浄部33の超音波のエネルギー出力は、0.5〜10[W/cm]の範囲に設定されていることが好ましい。これによれば、ウェブフィルムWに傷等のダメージを付加することなく、ウェブフィルムWに付着した異物を除去することができる。0.5[W/cm]未満であると十分に異物除去することができず、10[W/cm]を超えるとウェブフィルムWに傷が入り易くなる。
第1洗浄部31及び第2洗浄部33の洗浄時間の合計は、60秒〜30分の範囲に設定され、特に、60秒〜20分の範囲に設定されることが好ましい。一例として、第1洗浄部31の洗浄時間は30秒〜15分の範囲に設定し、第2洗浄部33の洗浄時間は30秒〜30分の範囲に設定する。ウェブフィルムWの厚さが20〜200[μm]の範囲に設定されていることが好ましい。これにより、ウェブフィルムWに傷等のダメージを付加することなく、また、ロールフィルムの搬送にも支障なく、ウェブフィルムWに付着した異物を除去することができる。20[μm]未満の厚さであるとウェブフィルムWに傷が入り易く、特にピンホール及びフィルム中の気泡などの欠陥がある場合は、そこをきっかけとしてウェブフィルムWが破断する恐れが高くなる。一方、200[μm]を超える厚さとなると経験的にウェブフィルムWの表裏面で洗浄度の違いが確認されている。なお、洗浄液として、水、有機溶剤、洗浄剤、界面活性剤等を利用することができ、特に、純水、イソプロピルアルコール、酢酸ブチル、エタノール等のアルコール系や、アルカリ性洗浄剤を利用することが好ましい。例えば、第1洗浄部31では洗浄液としてアルカリ性洗浄剤等の薬剤が使用された洗浄工程が、第2洗浄部33では洗浄液として純水が使用されたリンス工程が実施される。溶解度パラメータについては、特許文献3にも記載されているが、理論上は異物と洗浄液との値を近づけるのが好ましい。しかしながらウェブフィルムW上の異物としては埃、繊維、フィルム粕、オイルミストなど様々が確認されており、各異物に溶解度パラメータが合った洗浄液を適用するのは実用的ではない。本発明者らは鋭意検討した結果、超音波発振器36a、36bがウェブフィルムWの両面に設けられ、超音波発振器36a、36bがそれぞれ同出力、同周波数を有し、且つ同期させることで、洗浄液の溶解度パラメータの適正範囲を広げられることを確認した。すなわち、本発明の形態によれば、溶解度パラメータが50(MPa)1/2以下の洗浄液であれば洗浄剤として十分適用できる。
ウェブフィルムWの密度が1.00〜2.10[g/cm]の範囲に設定されていることが好ましい。これにより、ウェブフィルムWに傷等のダメージを付加することなく、ウェブフィルムWに付着した異物を除去することができる。密度が1.00〜2.10[g/cm]の範囲にあるウェブフィルムWには、例えばポリエステルフィルム(密度1.40)、ポリエチレンナフレタートフィルム(密度1.38)、延伸皇室塩ビフィルム(密度1.40)、ポリカーボネートフィルム(密度1.20)、トリアセテートフィルム(密度1.30)、ポリイミドフィルム(密度1.43)、ポリスチレンフィルム(密度1.03)、アクリルフィルム(密度1.19)、ナイロンフィルム(密度1.1)、フェノールフィルム(密度1.3)、エポキシフィルム(密度1.17)、ガラスとアクリルフィルムの1対1複合フィルム(密度1.8)、などが挙げられる。ウェブフィルムWの密度が1.00[g/cm]未満であると洗浄工程において溶媒に対してフィルムが浮くために浸漬洗浄には適さない。2.10[g/cm]を超えると、この場合はガラスなどの無機材料の複合割合が高い高分子複合材料に相当し、洗浄工程において高分子複合材料から無機材料の剥離が起こり易くなる。
第1乾燥部32は、エアナイフ室32aと、エアナイフ室32a内に設けられ、ウェブフィルムWの表面及び裏面に設けられたエアナイフ32bとを有する。エアナイフ室32aは、独立して設置されている。エアナイフ32bは、エアの噴射口が互いに対向するようにして設置され、同程度の圧力で同時にエアを噴射する。このエアは除塵されている。これにより、大気中からの異物の再付着を防ぐことができる。エアナイフ室32aに設けられたエアナイフ34bから噴射されるエアがウェブフィルムWと接触する噴射領域がウェブフィルムWの幅方向に対して傾いて形成されている。図2に、ウェブフィルムWとエアナイフ32bとの位置関係を示す。図2は、ウェブフィルムWの上面から第1乾燥部32を見た図である。ウェブフィルムWの幅方向dに対してエアナイフ32bの長軸方向が傾いているため、エアナイフ32bがエアを噴射する噴射領域がウェブフィルムWの幅方向dに対して傾いている。これにより、ウェブフィルムWのようにロール状フィルムであってもエアナイフ32bで切った水を短時間でフィルム端部から落とすことが可能となり、水跡が残り難くすることができる。第2乾燥部34も第1乾燥部32と同様にして構成される。ウェブフィルムWの両面から均一に水分が除去されるには、液面から垂直にウェブフィルムWが引き上げられていることが好ましい。
第1洗浄部31及び第2洗浄部33には、洗浄液循環手段があってもよい。洗浄液循環手段は、第1及び第2洗浄部31、33における洗浄液を回収し、再利用するもので、例えば洗浄部下方に設置したドレインパイプから洗浄液を洗浄タンクに集め、フィルターで濾過して送液ポンプにより再度洗浄部へ供給する方法が考えられる。フィルターは、洗浄液中の固形分や油分、汚れ分を分離するもので、例えば、繊維状あるいは中空繊維状タイプのフィルターを例示することができる。送液ポンプは、耐薬品性があることが好ましく、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等を例示することができる。
ドライアイス洗浄部4には、気体とともにパウダー状のドライアイスを吹き付ける吹付け部材としての吹付けノズル41a、41b(参照符号41で代表することがある。)が設けられている。吹付けノズル41a、41bは、同様の構成を有する部材で、各ノズル41a、41bの吹付け方向が互いに向かい合うようにウェブフィルムWの両面側にそれぞれ対向して設けられている。吹付けノズル41は、気体とともにパウダー状のドライアイスをウェブフィルムWに対して吹き付ける。なお、吹付け圧力は、0.1〜1.0[MPa]の範囲で使用され、特に、0.05〜0.5[MPa]の範囲で使用されることが好ましい。図3に吹付けノズル41とウェブフィルムWとの位置関係を示す。吹付けノズル41によるドライアイスの吹付け角度は、ウェブフィルムWの洗浄面の接線方向と吹付けノズル41の吹付け方向とのなす角度が15〜75度の範囲に設定され、特に、35〜65度の範囲が好ましい。吹付け角度が15度未満となると、吹付けによる衝撃力が不足し、十分な洗浄効果が得られない。一方、吹付け角度が75度を越えると、噴射されたドライアイスがウェブフィルムWの洗浄面に衝突することで生じる乱気流の程度が大きく、一旦除去された異物が再付着するおそれがある。なお、吹付けノズル41a、41bは、ウェブフィルムWの搬送方向下流側及び上流側のいずれの側に傾けてもよく、各ノズル41a、41bの吹付け角度は、15〜75度の範囲であれば、個別に設定してもよい。各ノズル41a、41bの吹付け方向が互いに向かい合うようにして設けた場合には、ドライアイスの吹付けにより発生する気流が乱れることなく、乱気流が抑制される。吹付けノズル41から吹き付けられるドライアイスがウェブフィルムWと接触する吹き付け領域がウェブフィルムWの幅方向に対して傾いて形成されている。図4に、ウェブフィルムWと吹き付けノズルとの位置関係を示す。図4は、ウェブフィルムWの側面からドライアイス洗浄部4を見た図である。ウェブフィルムWの幅方向dに対して吹き付けノズル41の長軸方向が傾いているため、吹付けノズル41がドライアイスを吹き付ける領域がウェブフィルムWの幅方向dに対して傾いている。これにより、ウェブフィルムWのようにロール状フィルムであってもドライアイス吹き付けにより除去した異物を時間でフィルム端部から落とすことが可能となり、異物の再付着を起こり難くすることができる。
ドライアイス洗浄部4では、高圧の液化炭酸ガスを自由膨張させることにより生成したパウダー状のドライアイスを、圧縮空気又は窒素ガスを利用したアシストガスにより加速させてウェブフィルムWに吹き付ける。なお、ドライアイスは、0.02〜1.0[mm]の範囲の粒径のものが使用され、特に、50〜500[μm]の範囲の粒径が好ましい。液化炭酸ガスの流量は、20〜500[g/min]の範囲で使用され、特に、50〜300[g/min]の範囲で使用されることが好ましい。アシストガスの流量は、10〜900[L/min]の範囲で使用され、特に、50〜400[L/min]の範囲で使用されることが好ましい。
ドライアイス洗浄部4は、アシストガスを加熱するヒーターを有していてもよい。ヒーターによりアシストガスの温度をコントロールすることができる。加熱したアシストガスをドライアイスとともにウェブフィルムWに吹き付けることで、吹付けノズル41a、41bの吐出口の結露を防止し、かつウェブフィルムWの温度低下によるダメージを低減することが可能となる。なお、アシストガスの温度は、20〜80度の範囲で使用され、特に、25〜65度の範囲で使用されることが好ましい。
ドライアイスは、ウェブフィルムWに接触すると、固体から気体に昇華する。その際の体積膨張により約5.27[kgf/cm]の圧力が発生することにより強力な洗浄効果が得られる。このため、ドライアイスによる傷が生じることなくウェブフィルムWは洗浄される。一方、ウェブフィルムWの異物に対しては急激な冷却作用が生じるため、ウェブフィルムWから剥がれやすくなり、洗浄の効果が高まる。ドライアイス洗浄部4は、吹付けノズル41の周辺に空気を吸引する吸引機構を設けてもよい。ドライアイスの吹付けや昇華による風圧が乱気流の原因となるため、吸引機構により吹付けノズル41の周囲の空気を吸引することで、乱気流を抑制することができる。従って、一旦除去された異物が乱気流によって再付着することを防止することができる。吸引機構は、吹付けノズル41の下方位置に設けてもよい。また、ドライアイス洗浄部4は、ウェブフィルムWを除電する除電装置を設けてもよい。除電することにより、一旦除去された異物がウェブフィルムWの帯電により誘引されることを防止することができる。なお、除電装置としては、電圧印加式の除電装置が好ましく、一例として、Richmond Static Control Services Inc.製のPulser Flow Controller PFC−20(商標)を利用することができる。
ドライアイス洗浄部4はフィルム乾燥部としても使用してもよい。フィルムに対して気体とともにパウダー状のドライアイスを吹き付けることにより、フィルム表面の水分をドライアイスによって氷にし、吹き飛ばすことができる。更に、常温による水分除去が可能であるため、熱乾燥によるフィルムの変形、変質を防ぐことができる。
検査部5には、CCDセンサが設けられている。CCDセンサにより、ウェブフィルムWの異物や傷等の欠陥の有無が検査される。巻取り装置6は、ウェブフィルムWをロール状に巻き取る。
フィルム洗浄装置1の動作を説明する。ウェブフィルムWは、巻出し装置2から巻き出されて第1洗浄部31に搬送される。ウェブフィルムWは、洗浄層35に浸けられて超音波洗浄される。ウェブフィルムWは超音波発振器36a、36bにより、表裏面側からそれぞれ超音波が発振されて洗浄される。第1洗浄部31では、100[kHz]未満の周波数の超音波が使用される。最初の洗浄工程が異物除去効果の高い低周波の超音波洗浄工程であるため、第1洗浄部31では大きな異物が取り除かれる。洗浄後は第1乾燥部32で、エアナイフ32bにより高圧のエアを帯状に噴射し、ウェブフィルムWの水切りをする。エアナイフ32bのエアの噴射領域が、ウェブフィルムWの幅方向dに対して傾いて形成されているので、ウェブフィルムWのようにロール状フィルムであってもエアナイフ32bで切った水を短時間でフィルム端部から落とすことが可能となり、水跡が残り難くすることができる。
次に、第2洗浄部33にて、100[kHz]以上の周波数の超音波による洗浄工程が実施される。第1洗浄部31で大きな異物が除去されているので、第2洗浄部33では、小さな異物が除去されることにより、十分な洗浄効果を得ることができる。第1洗浄部31及び第2洗浄部33での洗浄工程の合計時間が60秒から30分の範囲に設定することで、第1洗浄部31の洗浄時間を短く設定しても第2洗浄部33による洗浄で異物を十分に除去することができる。従って、合計した洗浄時間が60秒以上であっても、ウェブフィルムWに対して洗浄による傷等のダメージはない。また、第1洗浄部31及び第2洗浄部33の超音波発振器36とウェブフィルムWとの距離をW、洗浄液中での超音波速度をU、かつ1000[m/s]<U<2000[m/s]とし、第1洗浄部31及び第2洗浄部33における超音波周波数をH、正の整数n、としたときに、式W=U÷H×nを満たすようにしてもよい。Uは超音波周波数や洗浄液の種類、温度により範囲をもつ。上記式の意味するところは、超音波発振器36とウェブフィルムWとの距離は超音波一波長の整数倍であることであり、実験によると、まだ理論的には説明できないが、結果として波長の整数倍にある試料はよく汚れが落ちることが確認できている。
第2乾燥部34で第1乾燥部32と同様に水切りした後、ウェブフィルムWは、ドライアイス洗浄部4に搬送される。ドライアイス洗浄部4では、第1洗浄部31及び第2洗浄部33で除去されずに残留した異物に対して、パウダー状のドライアイスが衝突することにより、それら異物が除去される。吹付けノズル41a、41bが、それぞれウェブフィルムWの表裏面側から同程度の強さでドライアイスを吹き付ける。吹付けノズル41a、41bの吹付け角度は、ウェブフィルムWの洗浄面の法線方向に対して15〜75度の範囲に設定されているので、ドライアイスの吹付けや昇華による風圧により生じる乱気流の発生を抑えることができる。従って、一旦除去された異物の乱気流による再付着を低減することができる。更に、ドライアイスの吹き付け領域が、ウェブフィルムWの幅方向dに対して傾いて形成されているので、ウェブフィルムWのようにロール状フィルムであってもドライアイス吹き付けにより除去した異物を時間でフィルム端部から落とすことが可能となり、異物の再付着を起こり難くすることができる。ドライアイス洗浄部4はフィルム乾燥効果も得られる。フィルムに対して気体とともにパウダー状のドライアイスを吹き付けることにより、フィルム表面の水分をドライアイスによって氷にし、吹き飛ばすことができる。更に、常温による水分除去が可能であるため、熱乾燥によるフィルムの変形、変質を防ぐことができる。
検査部5では、CCDセンサによるウェブフィルムWの欠陥の有無が検査される。フィルム洗浄装置1には、ラベラが設けられていてもよく、欠陥が検出された場合には、ラベラにより欠陥のある箇所を示すようにウェブフィルムWにラベルが貼られる。これにより、次工程で欠陥のある箇所を避けてウェブフィルムWを処理することができる。その後、ウェブフィルムWは巻取り装置6によりロール状に巻き取られる。
本形態では、巻出し装置2が巻出し工程として、第1洗浄部31が第1洗浄工程として、第2洗浄部33が第2洗浄工程として、第1乾燥部32及び第2乾燥部34が乾燥工程として、巻取り装置6が巻取り工程として、それぞれ機能する。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、第1洗浄部31及び第2洗浄部33を設けた例で説明し、本形態の第1洗浄部31と第2洗浄部33とを最低限具備することでウェブフィルムWの洗浄が十分に達成される。しかしながら、これに限定されず、3つ以上の洗浄部を設けてもよい。洗浄工程の下流側へ行くに従い超音波の周波数を高く設定することにより、ウェブフィルムWの負担を軽減しつつ、異物の十分な除去ができる。
2種類以上の複合材料からなるウェブフィルムWとしては、例えば、多官能アクリレート樹脂をガラス繊維に含浸した後に紫外線硬化装置により連続的に硬化して得られる複合フィルムや、単一材料からなるフィルムの少なくとも片面に膜厚30〜100[nm]のSiOxやITOなどの成膜を行った積層フィルムが挙げられる。これら複合材料からなるウェブフィルムWの場合は、ガラスや無機膜が含まれているため、単一材料からなるフィルムと比較し、脆い欠点があり、特にフィルム厚さ方向の力により傷が入り易い。超音波洗浄やドライアイス洗浄はまさにフィルム厚さ方向の力がかかる洗浄である。本発明によれば、超音波周波数、超音波エネルギー、洗浄時間、フィルム膜厚、を適切な範囲に設定するため、フィルムへの負担低減と異物除去が可能となり、これら複合材料からなるフィルムの場合でも、問題なく傷なく洗浄することができる。
図5に示す表を参照して、本形態のフィルム洗浄装置1の実施例について説明する。図5は、実施例の評価結果を示す表Taである。ウェブフィルムWには単一材料からなる100[μm]厚さのポリエステルフィルム(品名:コスモシャインA4300,メーカー:東洋紡績(株))を用い、洗浄液にはアルカリ洗浄液3wt%(品名:セミコクリーン23、メーカー:フルウチ化学(株))を用いた。実施例1〜5では、第1洗浄部31での洗浄における超音波の周波数を40[kHz]に設定し、第2洗浄部33での洗浄における超音波の周波数を140[kHz]に設定してウェブフィルムWの洗浄処理を行った。第1洗浄部31及び第2洗浄部33での合計洗浄時間は、実施例1〜5でそれぞれ90秒、18分、10分、10分、10分とし、ドライアイス洗浄部4での吹付けノズル41の吹付け角度は、実施例1〜3ではドライアイスの吹付けなし、実施例4では30度、実施例5では70度にそれぞれ設定してドライアイスによる洗浄を行った。比較例1は、第1洗浄部31での洗浄における超音波の周波数を40[kHz]に設定し、第1洗浄部31のみで洗浄を10分間行い、比較例2は、第2洗浄部33での洗浄における超音波の周波数を140[kHz]に設定し、第2洗浄部33のみで洗浄を10分間行い、それぞれ、ドライアイスによる洗浄は行わなかった。比較例3は、第1洗浄部31での洗浄における超音波の周波数を40[kHz]に設定し、第2洗浄部33での洗浄における超音波の周波数を140[kHz]に設定して、第1洗浄部31及び第2洗浄部33での合計洗浄時間を10分、ドライアイスの吹付け角度を90度に設定してドライアイスによる洗浄を行った。
[評価方法]
異物個数:各実施例及び比較例における洗浄工程終了後のウェブフィルムWを異物検出器(品名:SCANTEC7000C2sys2、メーカー:長瀬産業(株))に通して検査を行い、300×300[mm]面積あたりの15[μm]以上の埃、繊維、フィルム片等の異物を計数した。
ウェブフィルムWの傷:投光器を用いた目視による傷を確認した。
比較例1によると、低周波による洗浄のみの場合には、残った異物の数は少ないが傷が発生した。比較例2は高周波による洗浄のみのため、残った異物の数が多く、洗浄が十分になされていない可能性がある。比較例1、2と比べると、実施例1〜3は、良好に洗浄が行われていることがわかる。低周波と高周波の超音波洗浄を組み合わせることで、60秒以上の洗浄時間であっても傷の発生がなく、しかも良好に異物を除去することができる。
比較例3は、ドライアイス洗浄部4の吹付けノズル41の吹付け角度が90度、つまり、ウェブフィルムWに対して直角にドライアイスを吹き付けた場合で、残った異物の数が多く、傷も発生している。吹付けによる乱気流の影響が大きく、一旦除去された異物が再付着して、その際に傷も発生しているものと考えられる。実施例4、5では、乱気流の発生が抑えられ、良好に異物が除去されている。ドライアイスを吹き付けない実施例3と比べても、残った異物の個数が少なく、ドライアイス洗浄により、良好に異物が除去されていることがわかる。
本発明の一形態に係るフィルム洗浄装置の概略図。 ウェブフィルムとエアナイフとの位置関係を説明する図。 吹付けノズルとウェブフィルムとの位置関係を説明する図。 ウェブフィルムと吹き付けノズルとの位置関係を説明する図。 実施例の評価結果を示す表。
符号の説明
1 フィルム洗浄装置
2 巻出し装置(巻出し部)
3 超音波洗浄部
31 第1洗浄部
33 第2洗浄部
4 ドライアイス洗浄部
6 巻取り装置(巻取り部)
W ウェブフィルム(フィルム)

Claims (11)

  1. ロール状に巻かれたフィルムを巻き出す巻出し工程と、前記巻出し工程により巻き出されたフィルムを超音波で液体洗浄する第1洗浄工程と、前記第1洗浄工程後のフィルムを前記第1洗浄工程で設定された周波数よりも高い周波数の超音波で液体洗浄する第2洗浄工程と、洗浄したフィルムを乾燥する乾燥工程と、乾燥したフィルムをロール状に巻き取る巻取り工程と、を備え
    前記第1洗浄工程の超音波の周波数が100[kHz]未満に設定され、前記第2洗浄工程の超音波の周波数が100[kHz]以上に設定され、
    前記第1及び第2洗浄工程にそれぞれ設けられて超音波を発振する超音波発振器と洗浄されるフィルムとの距離をW、洗浄液中での超音波速度をU、かつ1000[m/s]<U<2000[m/s]とし、前記第1及び第2洗浄工程における超音波周波数をH、正の整数n、としたときに、以下の式
    W=U÷H×n
    を満たし、
    前記第1及び前記第2洗浄工程の各工程では、洗浄液が貯留された洗浄槽に前記フィルムを進入させ、
    前記超音波発振器は、洗浄されるフィルムの両面にそれぞれ設けられて前記洗浄液中に超音波を伝播させ、その両面に設けられた前記超音波発振器はそれぞれ、同出力、同周波数を有し、かつ同期していることを特徴とするフィルム洗浄方法。
  2. 前記乾燥工程は、前記第1及び第2洗浄工程の後にそれぞれ設けられた独立したエアナイフ室にて、除塵された気体を前記フィルムに対して噴射することを特徴とする請求項に記載のフィルム洗浄方法。
  3. 前記エアナイフ室に設けられたエアナイフから噴射される前記気体がフィルムと接触する噴射領域が前記フィルムの幅方向に対して傾いて形成され、前記エアナイフの噴射方向が前記フィルムの進行方向と同一にならないようにして前記エアナイフが設置されていることを特徴とする請求項に記載のフィルム洗浄方法。
  4. 前記乾燥工程は、前記第1及び第2洗浄工程の後に、フィルムに対して気体とともにパウダー状のドライアイスを吹き付けることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  5. 前記第1洗浄工程および第2洗浄工程の超音波のエネルギー出力が0.5〜10[W/cm2]の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  6. 前記第1洗浄工程及び前記第2洗浄工程での洗浄時間の合計が、60秒から20分の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  7. 前記第1洗浄工程及び前記第2洗浄工程で使用される洗浄液の温度が、20度から50度の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  8. 前記フィルムの厚さが20〜200[μm]の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  9. 前記フィルムが、単一材料、または2種類以上の複合材料からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  10. 前記フィルムの密度が、1.00〜2.10[g/cm3]の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム洗浄方法。
  11. ロール状に巻かれたフィルムを巻き出す巻出し部と、前記巻出し部により巻き出されたフィルムを超音波で液体洗浄する第1洗浄部と、前記第1洗浄部に対してフィルム搬送方向下流側に位置し、前記フィルムを前記第1洗浄部で設定された周波数よりも高い周波数の超音波で液体洗浄する第2洗浄部と、洗浄したフィルムを乾燥する乾燥部と、乾燥したフィルムをロール状に巻き取る巻取り部と、を備え
    前記第1洗浄部の超音波の周波数が100[kHz]未満に設定され、前記第2洗浄部の超音波の周波数が100[kHz]以上に設定され、
    前記第1及び第2洗浄部の各洗浄部には、洗浄液が貯留された洗浄槽と、前記洗浄槽内に設置され、超音波を発振する超音波発振器と、が設けられ、前記超音波発振器と洗浄されるフィルムとの距離をW、洗浄液中での超音波速度をU、かつ1000[m/s]<U<2000[m/s]とし、前記第1及び第2洗浄工程における超音波周波数をH、正の整数n、としたときに、以下の式
    W=U÷H×n
    を満たし、
    前記超音波発振器は、洗浄されるフィルムの両面にそれぞれ設けられて前記洗浄液中に超音波を伝播させ、その両面に設けられた前記超音波発振器はそれぞれ、同出力、同周波数を有し、かつ同期していることを特徴とするフィルム洗浄装置。
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