JPWO2015079920A1 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄いポリビニルアルコールフィルムを用いた場合であっても延伸時や乾燥時などにフィルムの破断が発生しにくく、偏光性能に優れた偏光フィルムを容易に製造することのできる偏光フィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】ポリビニルアルコールフィルムを延伸する延伸工程を有する偏光フィルムの製造方法であって、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ける工程および/または薄状体を接触させる工程を有する、製造方法。ポリビニルアルコールフィルムを水に浸漬する水浸漬工程を有し、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムが、水浸漬工程によって水に浸漬されたポリビニルアルコールフィルムを水から取り出した後のものであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、薄いポリビニルアルコールフィルムを用いた場合であってもポリビニルアルコールフィルムの端部の折れ込みを抑制することができて延伸時や乾燥時などにおけるフィルムの破断が発生しにくく、偏光性能に優れた偏光フィルムを容易に製造することのできる偏光フィルムの製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。多くの偏光板は、偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜が貼り合わされた構造を有しており、偏光板を構成する偏光フィルムとしてはポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸して配向させた延伸フィルムにヨウ素系色素(I やI 等)や二色性有機染料といった二色性色素が吸着しているものが主流となっている。このような偏光フィルムは、通常、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを一軸延伸したり、PVAフィルムの一軸延伸と同時に二色性色素を吸着させたり、PVAフィルムを一軸延伸した後に二色性色素を吸着させたりするなどして連続的に製造される。
LCDは、電卓および腕時計などの小型機器、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広範囲において用いられるようになっているが、近年、特に小型のノートパソコンや携帯電話などのモバイル用途へ用いられることが多くなっており、偏光板への薄型化の要求が強くなっている。
偏光板を薄型化する手法の1つとして偏光フィルムを薄型化することが挙げられ、このためには偏光フィルムの原料となるPVAフィルムを薄型化することが考えられる。しかしながら、薄いPVAフィルムは延伸時や乾燥時などにフィルムの破断が発生しやすく、偏光フィルムの生産性や収率が低下し、コスト高につながりやすい。
フィルムの破断を発生させずに薄い偏光フィルムを製造する技術として、プラスチックフィルム上にコート法によって薄いPVA層を形成し、その積層体を延伸する方法が知られている(例えば、特許文献1および2などを参照)。
特許第4804588号明細書 特許第4815544号明細書
しかしながら、プラスチックフィルム上にコート法によってPVA層を形成してなる積層体を用いる方法には、以下のような問題がある。
(i)コート作業やその後の乾燥作業が煩雑である。
(ii)PVA層の不溶化処理のための熱処理を積層体の状態で行う必要があるため、使用されるプラスチックフィルムが熱処理後も延伸可能なものに限定され、コスト高になる。
(iii)プラスチックフィルム上にコート法によってPVA層を形成してなる積層体では、プラスチックフィルムとPVA層との間の接着強度が比較的高く、このような接着強度の高い積層体を延伸すると、PVA層の適度なネックインが妨げられて、偏光性能に優れる偏光フィルムが得られにくい。
本発明は、薄いPVAフィルムを用いた場合であっても延伸時や乾燥時などにフィルムの破断が発生しにくく、偏光性能に優れた偏光フィルムを容易に製造することのできる偏光フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、薄いPVAフィルムを用いて偏光フィルムを製造する場合には、延伸する前に行われる膨潤工程や染色工程といったPVAフィルムを水と接触させる水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムにおいて、その幅方向の端部に折れ込みが発生しやすく、それが原因となってその後の延伸工程において延伸切れが発生しやすくなること、延伸した後においても表面に水が付着したPVAフィルムは依然として幅方向の端部に折れ込みが発生しやすく、それが原因となってその後の乾燥工程において収縮によるフィルムの破断が発生しやすくなること、および、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に空気等の気体を吹き付けたり、プラスチックフィルム等の薄状体を接触させたりすることにより、当該PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生が抑制されて、延伸時や乾燥時などにおけるフィルムの破断(延伸切れ等)の発生を低減できることを見出し、これらの知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]PVAフィルムを延伸する延伸工程を有する偏光フィルムの製造方法であって、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/または薄状体を接触させる工程を有する、製造方法;
[2]PVAフィルムを水に浸漬する水浸漬工程を有し、表面に水が付着したPVAフィルムが、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後のものである、上記[1]の製造方法;
[3]水浸漬工程が、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程からなる群より選ばれる少なくとも1つである、上記[2]の製造方法;
[4]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後にPVAフィルムが接触する1個以上のロールを有し、PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間において、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる、上記[2]または[3]の製造方法;
[5]PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間における、PVAフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部に薄状体が接触している部分のPVAフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、上記[4]の製造方法;
[6]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、PVAフィルムが水面から離れる部分において、PVAフィルムの幅方向両端部が薄状体と接触している、上記[2]〜[5]のいずれか1つの製造方法;
[7]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、表面に水が付着したPVAフィルムが順次接触する2個以上のロールを有し、これらのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間において、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる、上記[1]〜[6]のいずれか1つの製造方法;
[8]上記連続する2個のロール間における、PVAフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部に薄状体が接触している部分のPVAフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、上記[7]の製造方法;
[9]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、薄状体の幅が1cm以上である、上記[1]〜[8]のいずれか1つの製造方法;
[10]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、PVAフィルムと接触する部分における薄状体の水接触角が90°以下である、上記[1]〜[9]のいずれか1つの製造方法;
[11]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に風速が0.1m/秒以上の気体を吹き付ける、上記[1]〜[10]のいずれか1つの製造方法;
[12]表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する、上記[1]〜[11]のいずれか1つの製造方法;
[13]延伸工程の前に、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/または薄状体を接触させる工程を有する、上記[1]〜[12]のいずれか1つの製造方法;
[14]PVAフィルムの厚みが50μm以下である、上記[1]〜[13]のいずれか1つの製造方法;
に関する。
本発明によれば、薄いPVAフィルムを用いた場合であっても延伸時や乾燥時などにフィルムの破断が発生しにくく、偏光性能に優れた偏光フィルムを容易に製造することのできる偏光フィルムの製造方法が提供される。
表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体たるプラスチックフィルムを接触させる方法の一例(方法A)を示す概略図である。 表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体たるプラスチックフィルムを接触させる方法の一例(方法B)を示す概略図である。 特定の実施態様におけるL1およびL2の位置を示す概略図である。 特定の実施態様におけるL3およびL4の位置を示す概略図である。 実施例7における偏光フィルムの製造方法を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
偏光フィルムを製造するための本発明の製造方法は、PVAフィルムを延伸する延伸工程を有する。そして本発明の製造方法では、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程等のPVAフィルムを水と接触させる水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に対して、気体を吹き付ける工程および/または薄状体を接触させる工程を有する。通常、PVAフィルムを用いて偏光フィルムを製造する場合には、水接触工程を通過した後にPVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みが発生しやすく、それが原因となって、延伸工程における延伸切れや乾燥工程における収縮によるフィルムの破断などが発生しやすくなるが、上記のように、表面に水が付着した状態のPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けたり、薄状体を接触させたりすることにより、当該PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生が抑制されて延伸時や乾燥時などにおけるフィルムの破断の発生が低減され、また、より高い延伸倍率で延伸することができて偏光性能に優れた偏光フィルムが容易に製造されるものと考えられる。
本発明の製造方法において、気体を吹き付ける工程と薄状体を接触させる工程とは、これらを共に採用してもよいし、どちらか一方のみを採用してもよい。また両工程を共に採用する場合には、表面に水が付着したPVAフィルムの同じ部分(例えばPVAフィルムの該当部分の一方の面と他方の面のそれぞれ)で両工程を実施してもよいし、PVAフィルムの別の部分でそれぞれ両工程を実施してもよい。
[PVAフィルム]
PVAフィルムを構成するPVAとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものを使用することができる。上記のビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手の容易性、コスト等の点から、分子中にビニルオキシカルボニル基(HC=CH−O−CO−)を有する化合物が好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。
上記のポリビニルエステルは、単量体として1種または2種以上のビニルエステルのみを用いて得られたものが好ましく、単量体として1種のビニルエステルのみを用いて得られたものがより好ましいが、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のビニルエステルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記のビニルエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸またはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;不飽和スルホン酸またはその塩などを挙げることができる。上記のポリビニルエステルは、前記した他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
上記のポリビニルエステルに占める上記他の単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることが更に好ましい。
上記のPVAとしてはグラフト共重合がされていないものを好ましく使用することができるが、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、PVAは1種または2種以上のグラフト共重合可能な単量体によって変性されたものであってもよい。当該グラフト共重合は、ポリビニルエステルおよびそれをけん化することにより得られるPVAのうちの少なくとも一方に対して行うことができる。上記グラフト共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体;不飽和スルホン酸またはその誘導体;炭素数2〜30のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリビニルエステルまたはPVAにおけるグラフト共重合可能な単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルまたはPVAを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましい。
上記のPVAはその水酸基の一部が架橋されていてもよいし、架橋されていなくてもよい。また上記のPVAはその水酸基の一部がアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド化合物などと反応してアセタール構造を形成していてもよいし、これらの化合物と反応せずアセタール構造を形成していなくてもよい。
上記のPVAの重合度は特に制限されないが、1,000以上であることが好ましい。PVAの重合度が1,000以上であることにより、得られる偏光フィルムの偏光性能をより一層向上させることができる。PVAの重合度はあまりに高すぎるとPVAの製造コストの上昇や製膜時における工程通過性の不良につながる傾向があるので、PVAの重合度は1,000〜10,000の範囲内であることがより好ましく、1,500〜8,000の範囲内であることが更に好ましく、2,000〜5,000の範囲内であることが特に好ましい。なお本明細書でいうPVAの重合度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
PVAのけん化度は得られる偏光フィルムの耐湿熱性が良好になることから、99.0モル%以上であることが好ましく、99.8モル%以上であることがより好ましく、99.9モル%以上であることが更に好ましい。なお本明細書におけるPVAのけん化度とはPVAが有するけん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
PVAフィルムは上記したPVAと共に可塑剤を含んでいてもよい。PVAフィルムが可塑剤を含むことにより、PVAフィルムの取り扱い性や延伸性の向上等を図ることができる。可塑剤としては多価アルコールが好ましく用いられ、具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、PVAフィルムはこれらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらのうちでもPVAフィルムの延伸性がより良好になることからグリセリンが好ましい。
PVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、PVA100質量部に対して3〜20質量部であることが好ましく、5〜17質量部であることがより好ましく、7〜14質量部であることが更に好ましい。PVAフィルムにおける可塑剤の含有量がPVA100質量部に対して3質量部以上であることによりPVAフィルムの延伸性が向上する。一方、PVAフィルムにおける可塑剤の含有量がPVA100質量部に対して20質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に可塑剤がブリードアウトしてPVAフィルムの取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
また、PVAフィルムを後述するPVAフィルムを製造するための製膜原液を用いて製造する場合には、製膜性が向上してフィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜に金属ロールやベルトを使用した際、これらの金属ロールやベルトからのPVAフィルムの剥離が容易になることから、当該製膜原液中に界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤が配合された製膜原液からPVAフィルムを製造した場合には、当該PVAフィルム中には界面活性剤が含有され得る。PVAフィルムを製造するための製膜原液に配合される界面活性剤、ひいてはPVAフィルム中に含有される界面活性剤の種類は特に限定されないが、金属ロールやベルトからの剥離性の観点から、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが好適である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが好適である。
これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
PVAフィルムを製造するための製膜原液中に界面活性剤を配合する場合、製膜原液中における界面活性剤の含有量、ひいてはPVAフィルム中における界面活性剤の含有量は製膜原液またはPVAフィルムに含まれるPVA100質量部に対して0.01〜0.5質量部の範囲内であることが好ましく、0.02〜0.3質量部の範囲内であることがより好ましい。界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.01質量部以上であることにより製膜性および剥離性を向上させることができる。一方、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.5質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に界面活性剤がブリードアウトしてブロッキングが生じて取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
PVAフィルムはPVAのみからなっていても、あるいはPVAと上記した可塑剤および/または界面活性剤のみからなっていてもよいが、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤など、上記したPVA、可塑剤および界面活性剤以外の他の成分を含有していてもよい。
PVAフィルムにおけるPVAの含有率は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましく、80〜100質量%の範囲内であることがより好ましく、85〜100質量%の範囲内であることが更に好ましい。
PVAフィルムの厚みに特に制限はないが、特に薄いPVAフィルムを用いた場合においてその幅方向の端部に上記の折れ込みが発生しやすく、薄いPVAフィルムを用いた場合において本発明の効果がより顕著に奏されることから、当該厚みは50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが更に好ましく、25μm以下であることが特に好ましく、20μm以下であることが最も好ましい。PVAフィルムの厚みの下限に特に制限はないが、偏光フィルムをより円滑に製造することができることから、当該厚みは3μm以上であることが好ましい。また、PVAフィルムは単層であっても、PVAの層と他の層とが積層された積層体であってもよいが、本発明の効果がより顕著に奏されることから単層であることが好ましい。積層体の場合にはPVAの層の厚みが上記範囲にあることが好ましい。
PVAフィルムの形状に特に制限はないが、偏光フィルムを生産性良く連続的に製造することができることから、長尺のフィルムであることが好ましい。当該長尺のフィルムの長さは特に制限されず、製造される偏光フィルムの用途などに応じて適宜設定することができ、例えば、5〜20,000mの範囲内にすることができる。当該長尺のフィルムの幅に特に制限はなく、例えば50cm以上とすることができるが、近年幅広の偏光フィルムが求められていることから1m以上であることが好ましく、2m以上であることがより好ましく、4m以上であることが更に好ましい。当該長尺のフィルムの幅の上限に特に制限はないが、当該幅があまりに広すぎると、実用化されている装置で偏光フィルムを製造する場合に、均一に延伸することが困難になる傾向があることから、PVAフィルムの幅は7m以下であることが好ましい。
PVAフィルムの製造方法は特に限定されず、製膜後のフィルムの厚みおよび幅がより均一になる製造方法を好ましく採用することができ、例えば、PVAフィルムを構成する上記したPVA、および必要に応じて更に可塑剤、界面活性剤、他の成分が液体媒体中に溶解した製膜原液や、PVA、および必要に応じて更に可塑剤、界面活性剤、他の成分、液体媒体を含み、PVAが溶融している製膜原液を用いて製造することができる。当該製膜原液が可塑剤、界面活性剤および他の成分の少なくとも1種を含有する場合には、それらの成分が均一に混合されていることが好ましい。
製膜原液の調製に使用される上記液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。そのうちでも、環境に与える負荷が小さいことや回収性の点から水が好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の製膜原液中における含有割合)は製膜方法、製膜条件等によって異なるが、50〜95質量%の範囲内であることが好ましく、55〜90質量%の範囲内であることがより好ましく、60〜85質量%の範囲内であることが更に好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時の濾過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ないPVAフィルムの製造が容易になる。一方、製膜原液の揮発分率が95質量%以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、工業的なPVAフィルムの製造が容易になる。
上記した製膜原液を用いてPVAフィルムを製膜する際の製膜方法としては、例えば、キャスト製膜法、押出製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法などが挙げられ、キャスト製膜法、押出製膜法が好ましい。これらの製膜方法は1種のみを採用しても2種以上を組み合わせて採用してもよい。これらの製膜方法の中でも押出製膜法が、厚みおよび幅が均一で物性の良好なPVAフィルムが得られることからより好ましい。PVAフィルムには必要に応じて乾燥や熱処理を行うことができる。
[表面に水が付着したPVAフィルム]
本発明の製造方法では、PVAフィルムを水と接触させる水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/または薄状体を接触させる工程を有する。偏光フィルムは、通常、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程、固定処理工程などの各工程を経て製造することができ、本発明の製造方法は、これらの工程のうちの1つまたは2つ以上を水接触工程として有することができる。
水接触工程は、PVAフィルムに対して水を吹き付ける水吹き付け工程であっても、PVAフィルムを水に浸漬する水浸漬工程であってもどちらでもよいが、偏光フィルムの製造の容易さおよび生産性などの観点から、水浸漬工程であることが好ましい。特に、偏光性能により優れた偏光フィルムを容易に製造することができることなどから、本発明の製造方法は、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を水浸漬工程として有することが好ましく、膨潤工程、染色工程および架橋工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を水浸漬工程として有することがより好ましい。水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後のPVAフィルムが、通常、上記した、表面に水が付着したPVAフィルムとなる。
水接触工程において使用される水は純水に限定されず、各工程の目的に応じて、後述するような水溶液や更には水性分散液などを用いることもできる。
以下に、水接触工程として採用することのできる工程も含め、本発明の製造方法において採用することのできる各工程をより詳細に説明する。
・膨潤工程
膨潤工程における膨潤処理は、PVAフィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、22〜38℃の範囲内であることがより好ましく、25〜35℃の範囲内であることが更に好ましい。また、水に浸漬する時間としては、例えば、0.5〜5分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であることがより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
・染色工程
染色工程における染色処理は、PVAフィルムを二色性色素を含む水溶液中に浸漬することにより行うことができる。二色性色素を含む水溶液中における二色性色素の濃度は使用される二色性色素の種類などに応じて適宜設定することができ、例えば0.001〜1質量%の範囲内とすることができるが、二色性色素を含む水溶液としてヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合には、ヨウ素系色素を効率良くPVAフィルムに吸着させることができることから、使用されるヨウ素(I)の濃度として0.01〜1.0質量%の範囲内であることが好ましく、使用されるヨウ化カリウム(KI)の濃度として0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。二色性色素を含む水溶液の温度は、二色性色素を効率良くPVAフィルムに吸着させることができることから、20〜50℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。なお、二色性色素を予め含有させたPVAフィルムを用いる場合には、染色工程を省略することができる。
上記の二色性色素としては、ヨウ素系色素(I やI 等)、二色性有機染料などが挙げられる。ヨウ素系色素は、例えば、ヨウ素(I)とヨウ化カリウムとを接触させることにより得ることができる。また、二色性有機染料としては、ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107などが挙げられる。これらの二色性色素の中でも、取り扱い性、入手性、偏光性能などの観点からヨウ素系色素が好ましい。なお、二色性色素は1種単独であっても2種以上であってもどちらでもよく、例えば、I およびI のように平衡混合物であってもよい。
・架橋工程
架橋工程を行うと、PVAフィルムに架橋が導入され、比較的高い温度かつ湿式で延伸工程を行う際にPVAが水へ溶出するのを効果的に防止することができる。このような観点などから、架橋工程は染色工程の後に行うのが好ましい。架橋処理は、PVAフィルムを架橋剤を含む水溶液中に浸漬することにより行うことができる。当該架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を使用することができる。架橋剤を含む水溶液における架橋剤の濃度は1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、2〜7質量%の範囲内であることがより好ましい。架橋剤を含む水溶液はヨウ化カリウム等の助剤を含有してもよい。架橋剤を含む水溶液の温度は、20〜50℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
後述する延伸工程とは別に、水接触工程中、および/または、水接触工程が複数の工程にわたる場合において各水接触工程の間に、PVAフィルムを延伸することができる。このような延伸(前延伸)をすることにより、PVAフィルムにしわが入るのを防止することができる。前延伸の延伸倍率は、得られる偏光フィルムの偏光性能などの観点から、延伸前のPVAフィルムの元長に基づいて、4倍以下であることが好ましく、1.5〜3.5倍の範囲内であることがより好ましい。また、各水接触工程中における延伸倍率に関して、例えば、膨潤工程における延伸倍率としては、1.1〜3倍の範囲内であることが好ましく、1.2〜2.5倍の範囲内であることがより好ましく、1.4〜2.3倍の範囲内であることが更に好ましく;染色工程における延伸倍率としては、2倍以下であることが好ましく、1.8倍以下であることがより好ましく、1.1〜1.5倍の範囲内であることが更に好ましく;架橋工程における延伸倍率としては、2倍以下であることが好ましく、1.5倍以下であることがより好ましく、1.05〜1.3倍の範囲内であることが更に好ましい。
・延伸工程
PVAフィルムを延伸する延伸工程において、その延伸方法に特に制限はなく、湿式延伸法および乾式延伸法のうちのいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合は、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した二色性色素を含む水溶液中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は、室温のまま延伸を行ってもよいし、熱をかけながら延伸してもよいし、吸水後に延伸してもよい。これらの中でも、得られる偏光フィルムにおける幅方向の厚みの均一性の点から湿式延伸法が好ましく、ホウ酸水溶液中で延伸することがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5〜6.0質量%の範囲内であることが好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.5〜4.0質量%の範囲内であることが更に好ましい。上記したホウ素化合物を含む水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
延伸工程においてPVAフィルムを延伸する際の温度は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜80℃の範囲内であることがより好ましく、50〜70℃の範囲内であることが更に好ましい。
延伸工程における延伸倍率は、偏光性能により優れた偏光フィルムが得られることなどから、1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、2倍以上であることが更に好ましい。また、上記した前延伸の延伸倍率をも含めた全延伸倍率(各延伸の延伸倍率を掛け合わせた倍率)は、使用されるPVAフィルムの元長に基づいて、5.5倍以上であることが好ましく、5.7倍以上であることがより好ましく、5.8倍以上であることが更に好ましく、5.9倍以上であることが特に好ましい。各延伸倍率を上記の範囲内にすることで、偏光性能により優れる偏光フィルムが得られる。上記全延伸倍率の上限は特に制限されないが、8倍以下であることが好ましい。
延伸工程におけるPVAフィルムの延伸は、得られる偏光フィルムの性能の観点から一軸延伸が好ましい。一軸延伸の方向に特に制限はなく、長尺のフィルムにおける長さ方向への一軸延伸や横一軸延伸を採用することができるが、偏光性能により優れる偏光フィルムが得られやすいことから長さ方向への一軸延伸が好ましい。長さ方向への一軸延伸は、互いに平行な複数のロールを備える延伸装置を使用して、各ロール間の周速を変えることにより行うことができる。一方、横一軸延伸はテンター型延伸機を用いて行うことができる。
・固定処理工程
固定処理工程における固定処理は、主として、延伸されたPVAフィルムへの二色性色素の吸着を強固にするために施される。固定処理は延伸されたPVAフィルムを固定処理浴中に浸漬することにより行うことができる。固定処理浴としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ酸塩などのホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴として使用されるホウ素化合物を含む水溶液中におけるホウ素化合物の濃度は、一般に2〜15質量%の範囲内であることが好ましく、3〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。固定処理浴の温度は、15〜60℃の範囲内であることが好ましく、25〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
[気体を吹き付ける工程]
上記の水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ける工程における気体の吹き付けは、延伸工程の後に行っても乾燥工程における収縮によるフィルムの破断の発生を低減することが可能となるが、偏光フィルムを製造する際のフィルムの破断は延伸時に特に発生しやすいことから、延伸工程の前に、当該気体を吹き付ける工程を有することが好ましい。この場合において、膨潤工程、染色工程および架橋工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を水接触工程とし、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ければよい。なお、当該気体を吹き付ける工程を複数有する場合は、そのうちの少なくとも1つの工程が延伸工程の前にあるのが好ましい。
本発明の製造方法が複数の水接触工程を有する場合、それらの水接触工程の全てについて、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けても、あるいは、それらの水接触工程のうちの一部について、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けてもどちらでもよい。本発明の好ましい態様としては、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程を、いずれも水接触工程としてこの順に有し、このうち少なくとも膨潤工程、染色工程および架橋工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ける態様が挙げられ、本発明のより好ましい態様としては、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程を、いずれも水接触工程としてこの順に有し、このうち少なくとも膨潤工程、染色工程、架橋工程および固定処理工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付ける態様が挙げられる。
吹き付ける気体の種類に特に制限はなく、窒素ガス、アルゴンガス、空気等が挙げられるが、安価であることなどから空気が好ましい。
吹き付ける気体の風速に特に制限はないが、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、0.1m/秒以上であることが好ましく、0.5m/秒以上であることがより好ましく、1.0m/秒以上であることが更に好ましく、1.5m/秒以上であることが特に好ましい。当該風速の上限に特に制限はないが、あまりに風速が高すぎるとPVAフィルムにしわが生じやすくなる傾向があることから、当該風速は20m/秒以下であることが好ましい。
吹き付ける気体の向きに特に制限はないが、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、PVAフィルムの幅方向中央部側より幅方向外側に向かって、略PVAフィルム面に沿うように吹き付けることが好ましい。
[薄状体を接触させる工程]
上記の水接触工程を通過させるなどして生じた、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程における薄状体の接触は、延伸工程の後に行っても乾燥工程における収縮によるフィルムの破断の発生を低減することが可能となるが、偏光フィルムを製造する際のフィルムの破断は延伸時に特に発生しやすいことから、延伸工程の前に、当該薄状体を接触させる工程を有することが好ましい。この場合において、膨潤工程、染色工程および架橋工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を水接触工程とし、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させればよい。なお、当該薄状体を接触させる工程を複数有する場合は、そのうちの少なくとも1つの工程が延伸工程の前にあるのが好ましい。
本発明の製造方法が複数の水接触工程を有する場合、それらの水接触工程の全てについて、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させても、あるいは、それらの水接触工程のうちの一部について、当該水接触工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させてもどちらでもよい。本発明の好ましい態様としては、膨潤工程、染色工程、架橋工程および延伸工程を、いずれも水接触工程としてこの順に有し、このうち少なくとも膨潤工程、染色工程および架橋工程を通過した後の表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる態様が挙げられる。
上記の薄状体を構成する素材に特に制限はなく、例えば、プラスチック;織物、編物、不織布等の布帛;これらの布帛にプラスチック等を含浸させるなどして得られる複合体;金属;ガラスなどが挙げられるが、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、当該薄状体はプラスチックフィルムであることが好ましい。
上記のプラスチックフィルムを構成するプラスチックとしては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、メタクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)の各種熱可塑性樹脂、およびこれらの熱可塑性樹脂を構成する単量体単位を複数種有する共重合体などが挙げられる。プラスチックフィルムにおいて、プラスチックは1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもどちらでもよい。これらの中でも、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、ポリエステル、ポリオレフィンが好ましく、ポリエステルがより好ましい。なお、プラスチックフィルムを製造する方法に特に制限はなく、溶融成形やカレンダー成形など、公知の方法で製造することができる。
PVAフィルムと接触する部分における薄状体の水接触角は、90°以下であることが好ましい。当該水接触角が90°以下であることにより、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができる。この観点から、上記水接触角は、80°以下であることがより好ましく、60°以下であることが更に好ましい。なお、上記水接触角はJIS R3257:1999に記載されているような接触角試験によって測定することができ、具体的には実施例において後述する方法により測定することができる。水接触角の調整は、例えば、コロナ表面処理装置(春日電機株式会社製)を用い、薄状体の表面をコロナ処理するなどして行うことができる。
薄状体の厚みに特に制限はないが、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、当該厚みは10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましい。また、薄状体の厚みの上限に特に制限はなく、当該厚みは例えば1cm以下とすることができるが、偏光フィルムをより円滑に製造することができることから、当該厚みは5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。
薄状体の形状に特に制限はないが、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、薄状体の幅(PVAフィルムに接触させる際におけるPVAフィルムの幅方向と同じ方向の長さ)は1cm以上であることが好ましく、2cm以上であることがより好ましく、3cm以上であることが更に好ましく、5cm以上であることが特に好ましい。また当該幅は、PVAフィルムひいては偏光フィルムにおける傷等の外乱を低減する観点から、20cm以下であることが好ましい。このような幅を有する薄状体を接触させることにより、PVAフィルムにおける幅方向の各端部において、PVAフィルムと薄状体とが接触している部分の幅を、好ましくは0.5cm以上、より好ましくは1cm以上、更に好ましくは1.5cm以上、特に好ましくは2cm以上、また、好ましくは20cm以下、より好ましくは10cm以下確保することができる。
本発明の製造方法が水接触工程として水浸漬工程を有する場合、当該水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後の、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させていればよく、例えば、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させ始める位置を、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出す前の時点、もしくは、水から取り出す時点に設定してもよいし、あるいは、当該位置を、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後の時点に設定してもよい。また、PVAフィルムの幅方向両端部への薄状体の接触は、1回のみ行ってもよいが、2回以上行ってもよい。本発明の製造方法が水接触工程として水浸漬工程を有する場合、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、少なくとも1回の接触において、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させ始める位置を、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出す前の時点、もしくは、水から取り出す時点に設定するのが好ましい。この場合、PVAフィルムが水面から離れる部分において、PVAフィルムの幅方向両端部が薄状体と接触していることになる。
表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる方法としては、例えば、
方法A:PVAフィルムの移動方向について、その上流側の端部を固定端としその下流側の端部を自由端とした一対の薄状体を、PVAフィルムの両端部の近傍に設置することにより、水による張力や水圧などによって、当該薄状体の上流側の端部および下流側の端部の間のいずれかの位置より下流側の端部にかけて、PVAフィルムと接触させる方法、
方法B:一対のエンドレスベルト状の薄状体を、PVAフィルムの両端部の近傍に設置し、必要に応じてPVAフィルムの幅方向両端部に接触させる部分がPVAフィルムの移動方向に沿うように移動させながら、PVAフィルムと接触させる方法、
などが挙げられ、操作が簡便であることなどから方法Aが好ましい。なお、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる際における方向に特に制限はなく、PVAフィルムの鉛直方向上側から接触させても、PVAフィルムの鉛直方向下側から接触させてもどちらでもよい。
図1は、方法Aによる接触の方法を示す概略図であり、(a)は、鉛直方向上側から見た図であり、(b)は側面から見た図である。図1は、PVAフィルム1がその長さ方向に移動している際に、PVAフィルムの両端部の近傍に設置された一対の薄状体たるプラスチックフィルム2がPVAフィルム1の鉛直方向下側からPVAフィルム1に接触する様子を示している。プラスチックフィルム2は、PVAフィルムの移動方向について、その上流側の端部3が固定端とされ、一方、その下流側の端部4が自由端とされている。そして、プラスチックフィルム2上における固定端3および自由端4の間の位置5より、自由端4にかけて、PVAフィルムの幅方向の端部6とプラスチックフィルムとが接触している。
図2は、方法Bによる接触の方法を示す概略図であり、(a)は、鉛直方向上側から見た図であり、(b)は側面から見た図である。図2は、PVAフィルム1がその長さ方向に移動している際に、PVAフィルムの両端部の近傍に設置された一対のエンドレスベルト状の薄状体たるプラスチックフィルム2がPVAフィルム1の鉛直方向下側からPVAフィルム1に接触する様子を示している。エンドレスベルト状のプラスチックフィルム2は、PVAフィルムの幅方向両端部に接触させる部分がPVAフィルムの移動方向に沿うように、PVAフィルムの移動速度と略同速度で移動している。
通常、PVAフィルムから偏光フィルムを製造するに際して、水接触工程を通過した後、好ましくは水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後(一例では、次の水接触工程に供される前)には、1個または2個以上のロール(ガイドロール、ニップロール等)を用いて、PVAフィルムを保持したり搬送したりすることが多い。本発明の製造方法においてもこのようなロールを用いることが好ましく、例えば、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後にPVAフィルムが接触する1個以上のロールを有する場合、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間において、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させることが好ましい。
また、上記のように、PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間においてPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる場合、PVAフィルム(の両面)が水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間における、PVAフィルムの長さ方向の長さL1に対する、幅方向両端部に薄状体が接触している部分のPVAフィルムの長さ方向の長さL2の割合(100×L2/L1(%))は、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。当該割合の上限に特に制限はなく、例えば、当該割合は、95%以下とすることができる。
図3は、PVAフィルム1が水面から離れた後より最初に接触するロール10までの間においてPVAフィルム1の幅方向両端部に薄状体たるプラスチックフィルム2を接触させる場合であって、方法Aによりプラスチックフィルム2を接触させる場合におけるL1およびL2の位置を概略的に示している。図3では、PVAフィルム1の幅方向両端部にプラスチックフィルム2を接触させ始める位置5が、水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルム1を水から取り出す前の時点に設定されている。すなわち、PVAフィルム1が水面8から離れる部分において、既にPVAフィルム1の幅方向両端部がプラスチックフィルム2と接触している。そのため、図3では、L1の起点とL2の起点とが一致している。
また、水接触工程を通過させるなどして生じた表面に水が付着したPVAフィルム、好ましくは水浸漬工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後の表面に水が付着したPVAフィルムが順次接触する2個以上のロールを有する場合、これらのロールのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間(PVAフィルムが上流側のロールを離れてから下流側のロールに接触するまでの間)において、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させることも、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから好ましい。本発明の製造方法における好ましい一態様としては、PVAフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間において、表面に水が付着したPVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させ、次いで、当該薄状体との接触を解除した後、表面に水が付着したPVAフィルムが順次接触する2個以上のロールのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間において、再度PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる方法が挙げられる。
また、上記のように、表面に水が付着したPVAフィルムが順次接触する2個以上のロールを有し、これらのロールのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間において、PVAフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる場合、上記連続する2個のロール間における、PVAフィルムの長さ方向の長さL3に対する、幅方向両端部に薄状体が接触している部分のPVAフィルムの長さ方向の長さL4の割合(100×L4/L3(%))は、PVAフィルムの幅方向の端部における折れ込みの発生をより効果的に抑制することができることから、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。当該割合の上限に特に制限はなく、例えば、当該割合は、95%以下とすることができる。
図4は、1組の連続する2個のロール11間においてPVAフィルム1の幅方向両端部に薄状体たるプラスチックフィルム2を接触させる場合であって、方法Aによりプラスチックフィルム2を接触させる場合におけるL3およびL4の位置を概略的に示している。
[乾燥工程]
延伸を行い、必要に応じて更に固定処理を行った後、乾燥することにより偏光フィルムを製造することができる。乾燥条件は特に制限されないが、乾燥温度は30〜150℃の範囲内であることが好ましく、50〜130℃の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内の温度で乾燥することで寸法安定性に優れる偏光フィルムが得られやすい。
[偏光板]
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板として使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを使用することができる。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができるが、中でもPVA系接着剤が好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において採用された気体の風速、プラスチックフィルムの水接触角、連続運転可能な延伸倍率、および、偏光フィルムの偏光性能の各測定または評価方法を以下に示す。
[気体の風速]
風速計を用いてJIS A1431:1994(空気調和・換気設備の風量測定方法)の記載に準拠して求めた。具体的には、以下の実施例または比較例において使用された気体(空気)吹き付け用ノズルより吹き付けられる気体の風速を求めた。当該測定は、温度:25℃、湿度:50%RHの条件下で行った。
[プラスチックフィルムの水接触角]
以下の実施例または比較例において使用されたプラスチックフィルムと同じプラスチックフィルムから200mm×15mmの短冊状のフィルム片を切り出し、このフィルム片のPVAフィルムと接触する面における水接触角を、JIS R3257:1999(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)の記載に準拠して測定した。すなわち、水平に置かれたフィルム片上に4μl以下の水滴を静置し、水滴の形状から、水滴のフィルム片に接している面の半径r(mm)、およびフィルム片表面から水滴の頂点までの高さh(mm)を測定し、下記式(1)により水接触角θ(°)を求めた。
θ = 2tan−1(h/r) (1)
なお、測定は5回実施し、その平均値をそのプラスチックフィルムの水接触角とした。また、測定は、温度:25℃、湿度:50%RHの条件下で行った。
[連続運転可能な延伸倍率]
以下の実施例または比較例において、延伸工程における延伸倍率を調整することにより全延伸倍率を0.1倍ずつ段階的に上げていき、フィルムの破断が発生したときの全延伸倍率の直前に設定した全延伸倍率を、連続運転可能な延伸倍率とした。
[偏光フィルムの偏光性能]
(a)透過率Tsの測定
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、偏光フィルムの長さ方向に2cm×幅方向に2cmの正方形のサンプルを2枚採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z8722:2009(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、1枚のサンプルについて、長さ方向に対して45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts1(%)を求めた。もう1枚のサンプルについても同様にして、45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts2(%)を求めた。下記式(2)によりTs1とTs2を平均し、偏光フィルムの透過率Ts(%)とした。
Ts = (Ts1+Ts2)/2 (2)
(b)偏光度Vの測定
上記透過率Tsの測定で採取した2枚のサンプルを、その長さ方向が平行になるように重ねた場合の光の透過率T‖(%)、および、長さ方向が直交するように重ねた場合の光の透過率T⊥(%)を、上記「(a)透過率Tsの測定」の場合と同様にして測定し、下記式(3)により偏光度V(%)を求めた。
V = {(T‖−T⊥)/(T‖+T⊥)}1/2×100 (3)
(c)変動幅(Ts)および変動幅(V)の測定
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの幅方向中央部を通る線上で、長さ方向に間隔をあけて5箇所を設定し、各箇所のそれぞれについて、偏光フィルムの長さ方向に2cm×幅方向に2cmの正方形のサンプルを2枚採取し、上記と同様にして、透過率Ts(%)および偏光度V(%)を求めた。そして各実施例または比較例毎に、得られた5つの透過率Tsの最大値と最小値の差を変動幅(Ts)とし、また、得られた5つの偏光度Vの最大値と最小値の差を変動幅(V)とした。
[実施例1]
厚みが20μmで幅が1mの長尺のPVAフィルム(PVAとグリセリンと界面活性剤を含み、グリセリンの含有量がPVA100質量部に対して12質量部で、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.03質量部であるPVAフィルム。PVAは酢酸ビニルの単独重合体のけん化物であり、PVAの重合度は2,400で、PVAのけん化度は99.9モル%。)を、そのフィルムロールから連続的に巻き出し、膨潤工程、染色工程および架橋工程に、この順で連続的に供した。
ここで、膨潤工程として、PVAフィルムを蒸留水(温度:30℃)中に1分間浸漬し、その間に長さ方向に延伸倍率2.0倍で一軸延伸した。また染色工程として、PVAフィルムをヨウ素系色素を含有する水溶液(使用されるヨウ素の濃度:0.05質量%、使用されるヨウ化カリウムの濃度:1.2質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に長さ方向に延伸倍率1.2倍で一軸延伸した。更に架橋工程として、PVAフィルムをホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に長さ方向に延伸倍率1.1倍で一軸延伸した。
また、膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、これらの各工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後の、表面に水が付着した状態のPVAフィルムの幅方向両端部に、PVAフィルムの幅方向中央部側より幅方向外側に向かって、略PVAフィルム面に沿うように、2.0m/秒の風速で空気を吹き付けた。空気の吹き付けは空気吹き付け用ノズルを用いて行った。
上記の架橋工程に続いて延伸工程を連続的に行い、更に固定処理工程および乾燥工程をこの順に経て偏光フィルムを製造した。延伸工程は、PVAフィルムをホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.8質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:57℃)中で長さ方向に延伸倍率1.9倍で一軸延伸することにより行った(前延伸の延伸倍率をも含めた全延伸倍率は5.0倍)。また固定処理工程は、延伸されたPVAフィルムをホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:22℃)中に2分間浸漬することにより行った。更に乾燥工程は、延伸されたPVAフィルムを60℃で1分間乾燥することにより行った。なお、固定処理工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後の、表面に水が付着した状態のPVAフィルムの幅方向両端部に、PVAフィルムの幅方向中央部側より幅方向外側に向かって、略PVAフィルム面に沿うように、2.0m/秒の風速で空気を吹き付けた。空気の吹き付けは空気吹き付け用ノズルを用いて行った。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表1に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、いずれの水接触工程を通過した後にも、PVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みの発生はみられなかった。
[実施例2および3]
PVAフィルムの厚みを、15μm(実施例2)または60μm(実施例3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表1に示した。なお実施例2および3のいずれにおいても、上記の偏光フィルムの製造において、いずれの水接触工程を通過した後にも、PVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みの発生はみられなかった。
[実施例4]
膨潤工程、染色工程、架橋工程および固定処理工程のいずれについても、PVAフィルムの幅方向両端部に吹き付ける空気の風速を1.0m/秒としたこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表1に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、それぞれの水接触工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に幅0.5mmのわずかな折れ込みが発生した。
[実施例5]
固定処理工程については空気の吹き付けを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表1に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、固定処理工程を通過した後にのみ、PVAフィルムの幅方向の両端部に幅0.2mmのわずかな折れ込みが発生した。
[実施例6]
膨潤工程、架橋工程および固定処理工程については空気の吹き付けを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表1に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、架橋工程および固定処理工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に幅0.7mmのわずかな折れ込みが発生した。
[比較例1]
膨潤工程、染色工程、架橋工程および固定処理工程のいずれについても空気の吹き付けを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表1に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、それぞれの水接触工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に顕著な折れ込みが発生した。
Figure 2015079920
[実施例7]
厚みが30μmで幅が1mの長尺のPVAフィルム(PVAとグリセリンと界面活性剤を含み、グリセリンの含有量がPVA100質量部に対して12質量部で、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.03質量部であるPVAフィルム。PVAは酢酸ビニルの単独重合体のけん化物であり、PVAの重合度は2,400で、PVAのけん化度は99.9モル%。)を、そのフィルムロールから連続的に巻き出し、膨潤工程、染色工程および架橋工程に、この順で連続的に供した。
ここで、膨潤工程として、PVAフィルムを蒸留水(温度:30℃)中に1分間浸漬し、その間に長さ方向に延伸倍率2.0倍で一軸延伸した。また染色工程として、PVAフィルムをヨウ素系色素を含有する水溶液(使用されるヨウ素の濃度:0.05質量%、使用されるヨウ化カリウムの濃度:1.2質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に長さ方向に延伸倍率1.2倍で一軸延伸した。更に架橋工程として、PVAフィルムをホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、温度:30℃)中に2分間浸漬し、その間に長さ方向に延伸倍率1.1倍で一軸延伸した。
また、膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、図5に示すように、これらの各工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出した後の表面に水が付着した状態のPVAフィルムがガイドロールに接触するようにし、その後、更に、一対のニップロールに接触するようにした。そして、PVAフィルムが各工程における水の水面から離れた後よりガイドロールに接触するまでの間において、PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させ、また、ガイドロールとニップロールの間においても、表面に水が付着した状態のPVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させた。使用したプラスチックフィルムは、いずれも、厚みが75μmで幅が3cmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(「ルミラー」S10 東レ株式会社製)であり、コロナ処理によってPVAフィルムと接触する側の面の水接触角が57°に調節されていて、PVAフィルムの移動方向について、このプラスチックフィルムの上流側の端部を固定端とし下流側の端部を自由端として、これをPVAフィルムの鉛直方向下側に設置することにより、PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させた(各端部における接触部分の幅は2cmとした)。
なお、膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させ始める位置を各工程によって水に浸漬されたPVAフィルムを水から取り出す前の時点に設定することによって、PVAフィルムが各工程における水の水面から離れる部分においてPVAフィルムの幅方向両端部がプラスチックフィルムと接触しているようにした。膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、100×L2/L1を80%とし、100×L4/L3を80%とした。
上記の架橋工程に続いて延伸工程を連続的に行い、更に固定処理工程および乾燥工程をこの順に経て偏光フィルムを製造した。延伸工程は、PVAフィルムをホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.8質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:57℃)中で長さ方向に延伸倍率1.9倍で一軸延伸することにより行った(前延伸の延伸倍率をも含めた全延伸倍率は5.0倍)。また固定処理工程は、延伸されたPVAフィルムをホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:2.6質量%、ヨウ化カリウム濃度:5質量%、温度:22℃)中に2分間浸漬することにより行った。更に乾燥工程は、延伸されたPVAフィルムを60℃で1分間乾燥することにより行った。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、いずれの水接触工程を通過した後にも、PVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みの発生はみられなかった。
[実施例8および9]
PVAフィルムの厚みを、15μm(実施例8)または60μm(実施例9)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお実施例8および9のいずれにおいても、上記の偏光フィルムの製造において、いずれの水接触工程を通過した後にも、PVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みの発生はみられなかった。
[実施例10]
膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについても、100×L2/L1を5%とし、100×L4/L3を5%としたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、水接触工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の一方の端部に幅0.5mmのわずかな折れ込みが発生した。
[実施例11]
架橋工程についてはプラスチックフィルムを接触させなかったこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、架橋工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に幅0.5mmのわずかな折れ込みが発生した。
[実施例12]
プラスチックフィルムの接触について、各端部における接触部分の幅をいずれも1cmとしたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、水接触工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に幅0.7mmのわずかな折れ込みが発生した。
[実施例13]
使用したプラスチックフィルムについて、いずれも、厚みが75μmで幅が3cmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであり、コロナ処理によってPVAフィルムと接触する側の面の水接触角が100°に調節されているものを用いたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、いずれの水接触工程を通過した後にも、PVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みの発生はみられなかった。
[実施例14]
使用したプラスチックフィルムについて、いずれも、厚みが50μmで幅が3cmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(SE620N タマポリ株式会社製)であり、コロナ処理によってPVAフィルムと接触する側の面の水接触角が85°に調節されているものを用いたこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、いずれの水接触工程を通過した後にも、PVAフィルムの幅方向の端部に折れ込みの発生はみられなかった。
[比較例2]
膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについてもプラスチックフィルムを接触させなかったこと以外は実施例7と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、水接触工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に顕著な折れ込みが発生した。
[比較例3]
膨潤工程、染色工程および架橋工程のいずれについてもプラスチックフィルムを接触させなかったこと以外は実施例8と同様にして、連続的に偏光フィルムを製造した。
そして、上記した方法により連続運転可能な延伸倍率を求め、当該連続運転可能な延伸倍率を採用した際に得られた偏光フィルムを用いて上記した方法により偏光フィルムの偏光性能を評価した。これらの結果を表2に示した。なお上記の偏光フィルムの製造において、それぞれの水接触工程を通過した後に、PVAフィルムの幅方向の両端部に顕著な折れ込みが発生した。
Figure 2015079920
1 PVAフィルム、2 プラスチックフィルム、3 プラスチックフィルムの上流側の端部(固定端)、4 プラスチックフィルムの下流側の端部(自由端)、5 PVAフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させ始める位置、6 PVAフィルムの幅方向の端部、7 PVAフィルムとプラスチックフィルムとが接触している部分、8 水面、9 PVAフィルムが水面から離れる位置、10 PVAフィルムが水面から離れた後、最初に接触するロール、11 連続する2個のロールのうちの一方、13 ガイドロール、14 ニップロール、15 PVAフィルムのフィルムロール。

Claims (14)

  1. ポリビニルアルコールフィルムを延伸する延伸工程を有する偏光フィルムの製造方法であって、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/または薄状体を接触させる工程を有する、製造方法。
  2. ポリビニルアルコールフィルムを水に浸漬する水浸漬工程を有し、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムが、水浸漬工程によって水に浸漬されたポリビニルアルコールフィルムを水から取り出した後のものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 水浸漬工程が、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および固定処理工程からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項2に記載の製造方法。
  4. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、水浸漬工程によって水に浸漬されたポリビニルアルコールフィルムを水から取り出した後にポリビニルアルコールフィルムが接触する1個以上のロールを有し、ポリビニルアルコールフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間において、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる、請求項2または3に記載の製造方法。
  5. ポリビニルアルコールフィルムが水面から離れた後より最初に接触するロールまでの間における、ポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部に薄状体が接触している部分のポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、ポリビニルアルコールフィルムが水面から離れる部分において、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部が薄状体と接触している、請求項2〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムが順次接触する2個以上のロールを有し、これらのうちの少なくとも1組の連続する2個のロール間において、ポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 上記連続する2個のロール間における、ポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さに対する、幅方向両端部に薄状体が接触している部分のポリビニルアルコールフィルムの長さ方向の長さの割合が10%以上である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、薄状体の幅が1cm以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に薄状体を接触させる工程を有する製造方法であって、ポリビニルアルコールフィルムと接触する部分における薄状体の水接触角が90°以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に風速が0.1m/秒以上の気体を吹き付ける工程を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部にプラスチックフィルムを接触させる工程を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 延伸工程の前に、表面に水が付着したポリビニルアルコールフィルムの幅方向両端部に気体を吹き付けるおよび/または薄状体を接触させる工程を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. ポリビニルアルコールフィルムの厚みが50μm以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
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