JP2015044902A - 逆波長分散フィルム用樹脂組成物及びこれからなる逆波長分散フィルム - Google Patents
逆波長分散フィルム用樹脂組成物及びこれからなる逆波長分散フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015044902A JP2015044902A JP2013175546A JP2013175546A JP2015044902A JP 2015044902 A JP2015044902 A JP 2015044902A JP 2013175546 A JP2013175546 A JP 2013175546A JP 2013175546 A JP2013175546 A JP 2013175546A JP 2015044902 A JP2015044902 A JP 2015044902A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- wavelength dispersion
- reverse wavelength
- resin composition
- dispersion film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Polarising Elements (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
Description
セルロースアセテートの用途の一つである逆波長分散フィルムとしては、正の複屈折性と逆波長分散性を満たす樹脂が求められており、これらを満足する樹脂として、脂肪族アシル基及び/又は芳香族アシル基を有するアセチル基置換度2.5未満のセルロースアセテート(特許文献1及び2)が開発されている。しかしながら、耐水性が不良であるという課題を有している。
また、位相差フィルム用セルロース誘導体として、(メタ)アクリロイル基の重合により架橋構造を導入したセルロース誘導体も検討されているが(特許文献3)、正の複屈折性、逆波長分散性及び耐水性を同時に満たすことができていなかった。
すなわち本発明は、修飾多糖類(A)を含有する逆波長分散フィルム用樹脂組成物であって、(A)が光二量化反応性化合物(B)により多糖類(a)中の少なくとも1つのヒドロキシル基及び/又は少なくとも1つのアミノ基を化学修飾して光二量化反応性基を導入した修飾多糖類である逆波長分散フィルム用樹脂組成物;この逆波長分散フィルム用樹脂組成物から形成される逆波長分散フィルム又はシートである。
逆波長分散フィルムとは、長波長になるほど複屈折率が大きくなる機能を有するフィルムを指す。
カルボン酸としては、炭素数2〜19のものが含まれ、例えば、酢酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、n−オクチル酸、ネオデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及び安息香酸等が挙げられる。カルボン酸は、酸ハロゲン化物{ハロゲンとしては、例えば、F、Cl及びBr等}であってもよい。また、これらは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ラクトンとしては、炭素数2〜19のものが含まれ、β−ラクトン(β−プロピオラクトン等)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)、大環状ラクトン(エナントラクトン、ウンデカノラクトン、ドデカラクトン等)及び芳香族ラクトン(3,4−ジヒドロクマリン)等が挙げられる。これらは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
水酸基で一部置換されていてもよい炭素数が2〜19のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、6−ヒドロキシヘキサノイル基(HO−C5H10−CO−)及び3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオニル基等が挙げられる。
(a1)として、具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びアセチル3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオニルセルロース等が挙げられる。
(a1)のうち、耐水性の観点から、水酸基で一部置換されていてもよい炭素数が2〜19のアシル基で置換されたアシル化セルロースが好ましく、さらに好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基及びバレリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するアシル化セルロースであり、次にさらに好ましくはジアセチルセルロース、アセチルブチリルセルロース及びアセチルプロピオニルセルロースである。
アルキルエーテル基としては、水酸基又はカルボキシル基で一部置換されていてもよいアルキルの炭素数が1〜18のアルキルエーテル基が含まれ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及びカルボキシメトキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するものが含まれる。
芳香族アルキルエーテル基としては、1−フェニルエトキシ基及び2−フェニルエトキシ基等が挙げられる。
アルキルエーテル基としては、耐水性の観点から、水酸基又はカルボキシル基で一部置換されていてもよいアルキルの炭素数が1〜18のアルキルエーテル基が好ましく、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメトキシル基及びヒドロキシエトキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基である。
芳香族アルキルエーテル基としては、耐水性の観点から、1−フェニルエトキシ基及び2−フェニルエトキシ基が好ましい。
(a2)として、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、1−フェニルエチルセルロース、2−フェニルエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
(a2)のうち、耐水性の観点から、水酸基又はカルボキシル基で一部置換されていてもよいアルキルの炭素数が1〜18のアルキルエーテル基で置換されたエーテル化セルロースが好ましく、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメトキシル基及びヒドロキシエトキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエーテル化セルロースであり、次にさらに好ましくはエチルセルロース及びメチルセルロースであり、最も好ましくはエチルセルロースである。
エーテル基及びアシル基として好ましいものは、(a1)及び(a2)と同様である。
(a3)のうち、耐水性の観点から、1−フェニルエチルセルロースアセテート、2−フェニルエチルセルロースアセテート、エチルセルロースベンゾエート、エチルセルロース6−ヒドロキシヘキサノエート及びエチルセルロース3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
ヒドロキシル基と反応し得る官能基としては、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ハロゲン基及びグリシジル基等が挙げられる。
アミノ基と反応し得る官能基としては、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ハロゲン基及びグリシジル基等が挙げられる。
光二量化反応性基としては、光二量化反応をし得る二重結合、光二量化反応をしうる部位を有する芳香族縮合環を有する基等が含まれ、具体的には、シンナモイル基、クマリン基、チミン基、キノン基、マレイミド基、カルコン基及びウラシル基等が挙げられる。
これらの光二量化反応性基は、少なくとも1種類含まれていればよく、2種以上が含まれていてもよい。
光二量化反応性基が1種類である場合には、同種の光二量化反応性基のみが存在するため架橋構造の形成(または二量化)を制御し易い。一方、2種以上が含まれている場合には、異種の光二量化反応性基は架橋構造を形成(二量化)する光の波長が異なる場合があり、異なる光の波長を用いて架橋構造を形成させる必要がある場合がある。
(B)は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(b1)のうち、逆波長分散性の観点から、桂皮酸骨格{Ph−CH=CH−COO−}を有する炭素数9〜20の化合物が好ましく、さらに好ましくは桂皮酸、4−メチル桂皮酸、4−(トリフルオロメチル)桂皮酸、4−メトキシ桂皮酸及び4−ヒドロキシ桂皮酸並びにこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物及びエステル化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、次にさらに好ましくは桂皮酸、二桂皮酸無水物、桂皮酸ハロゲン化物及び桂皮酸のエステル化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(b2)のうち、逆波長分散性の観点から、マレイミド骨格を有する炭素数4〜12の化合物が好ましい。
(b3)のうち、逆波長分散性の観点から、クマリン骨格を有する炭素数9〜15の化合物が好ましい。
(b4)のうち、逆波長分散性の観点から、スチルベン骨格{Ph−CH=CH−Ph}並びにヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応し得る官能基を有する炭素数14〜32の化合物が好ましく、さらに好ましくはカルボキシル基を有するものが好ましく、特に好ましくはスチルベンカルボン酸である。
(b5)のうち、逆波長分散性の観点から、カルボキシル基を有するものが好ましく、さらに好ましくは1−アントラセンカルボン酸及び2−アントラセンカルボン酸である。
(A)は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物と、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応し得る官能基{カルボキシル基等}を有する化合物とを反応させる際に用いられる公知の方法を用いて、多糖類(a)及び光二量化反応性化合物(B)を化学反応させることにより得ることができる。
化学修飾された官能基の導入率は、1H−NMRによって求めることができる。具体的には、下記測定法によって測定される。
<(B)で化学修飾された官能基の割合の測定方法>
修飾前の多糖類(a)及び修飾多糖類(A)の1H−NMRを測定する。それぞれの測定結果で得られた下記積分値を下記数式(1)に当てはめることにより、(B)で修飾された官能基の割合(%)を算出する。
(B)で修飾された官能基の割合(%)=[(TO+TN)/T4−(SO+SN)/S4]/[(TO+TN)/T4]×100 (1)
SO=修飾多糖類(A)のヒドロキシル基の水素原子の積分値
SN={修飾多糖類(A)の1級アミノ基の水素原子の積分値/2}+2級アミノ基の水素原子の積分値
S4=修飾多糖類(A)を構成する単糖ユニットの4位の炭素原子に直結している水素原子のNMR積分値
TO=多糖類(a)のヒドロキシル基の水素原子の積分値
TN={多糖類(a)の1級アミノ基の水素原子の積分値/2}+{多糖類(a)の2級アミノ基の水素原子の積分値}
T4=多糖類(a)を構成する単糖ユニットの4位の炭素原子に直結している水素原子のNMR積分値
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
装置:AVANCE300(日本ブルカー株式会社製)
周波数:300MHz
装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
溶媒 :N,N−ジメチルホルムアミド
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel MIXED−B
カラム温度 :40℃
検出器:RI検出器
多糖類(a)としては、正の複屈折性、逆波長分散性及び耐水性の観点から、アシル化セルロース(a1)、エーテル化セルロース(a2)及びエーテル化アシル化セルロース(a3)が好ましく、さらに好ましくはエーテル化セルロース(a2)である。
逆波長分散フィルム用樹脂組成物中の(a)の含有量(重量%)は、逆波長分散フィルム用樹脂組成物の重量を基準として、耐水性及び逆波長分散性の観点から、0.05〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10である。
本発明の逆波長分散フィルム用樹脂組成物中の修飾多糖類(A)が有する光二量化反応性基は、ラジカル開始剤を含んでいなくても、紫外線によって二量化することができる。また、ラジカル開始剤を含んでいない場合、経時的に黄変することがないので好ましい。
有機溶剤の添加量は、組成物の粘度の観点から、逆波長分散フィルム用樹脂組成物の重量に対して0〜400重量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜350重量%、特に好ましくは5〜300重量%である。
顔料分散剤としては、ビックケミー社製顔料分散剤(Anti−Terra−U、Disperbyk−101、103、106、110、161、162、164、166、167、168、170、174、182、184及び2020等)、味の素ファインテクノ(株)製顔料分散剤(アジスパーPB711、PB821、PB814、PN411及びPA111等)、ルーブリゾール(株)製顔料分散剤(ソルスパーズ5000、12000、32000、33000及び39000等)が挙げられる。これらの顔料分散剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。顔料分散剤の添加量は、逆波長分散フィルム用樹脂組成物の重量に対して、隠蔽性の観点から好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜10重量%である。
基材としては、離型PET等が挙げられる。
基材への塗布方法としては、スピンコート、ロールコート及びスプレーコート等の公知のコーティング法並びに平版印刷、カルトン印刷、金属印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びグラビア印刷といった公知の印刷法を適用できる。また、微細液滴を連続して吐出するインクジェット方式の塗布も適用できる。
塗工膜厚は、乾燥後の膜厚として、乾燥性、耐摩耗性、耐溶剤性及び耐汚染性の観点から、0.5〜300μmが好ましく、さらに好ましくは1〜250μmである。
逆波長分散フィルム及びシートのへーズ値は、透明性の観点から、3%以下であることが好ましい。
逆波長分散フィルム及びシートの全光線透過率は、着色性及び透明性の観点から、85%以上であることが好ましい。
修飾多糖類(A)のガラス転移温度は、示差走査熱量計{例えば、セイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580}を用いて、ASTMD3418−82に規定の方法(DSC法)で測定できる。
延伸の度合いは、ヘイズ、高い正の複屈折性及び耐水性の観点から、150〜300%が好ましく、さらに好ましくは180〜220%である。
紫外線の波長は、(A)中の光二量化反応性基の種類によって適宜選択することができ、光二量化反応性の観点から、100〜400nmが好ましく、さらに好ましくは140〜380nmである。
光二量化率は、下記測定方法によって測定できる。
<光二量化率>
紫外−可視光光度計UV−2400((株)島津製作所製)を用いて光二量化部位である二重結合に起因する吸収ピークを測定し、紫外線照射前後の変化の割合を光二量化率とする。
[修飾多糖類(A)の合成]
下記表1及び2に記載の量の多糖類(a)をシクロヘキサノン150部に加え、120℃で2時間撹拌した。p−トルエンスルホン酸5部を加え、下記表1及び表2に記載の量の光二量化反応性化合物(B)を加え、130℃で8時間撹拌し、反応後溶液を得た。得られた反応後溶液を1000部のメタノールに再沈殿した。生成した白色沈殿をろ過後、減圧下60℃で乾燥し、修飾多糖類(A−1)〜(A−30)の白色粉末を得た。得られた修飾多糖類(A−1)〜(A−30)について、数平均分子量、ガラス転移温度、光二量化反応性化合物(B)で化学修飾された官能基の割合を測定した。結果を表1及び表2に示す。
下記表3に記載の量の多糖類(a)を用いて、光二量化反応性化合物(B)に代えて光非二量化反応性化合物(B’)を用いて、上記同様の製造方法にて、修飾多糖類(A’−1)〜(A’−9)を得た。得られた修飾多糖類(A’−1)〜(A’−9)について、数平均分子量、ガラス転移温度、光非二量化反応性化合物(B’)で化学修飾された官能基の割合を測定した。結果を表3に示す。
デンプン−1:日本コーンスターチ(株)製、「コーンスターチホワイト」
セルロース:日本製紙ケミカル(株)製、「KCフロックW−50GK」
デンプン−2:(株)林原製、「アミロースEX−I」
ヒドロキシプロピルセルロース:日本曹達(株)製、「NISOO HPC」
エチルセルロース:ダウケミカル(株)製、「エトセル」
メチルセルロース:信越化学(株)製、「METOLOSE SM−8000」
セルロースアセテート−1:(株)ダイセル製、「酢酸セルロースL−20」
セルロースアセテート−2:イーストマンケミカル社製、「CA320−S」
セルロースアセテートプロピオネート−1:イーストマンケミカル社製、「CAP482−0.5」
セルロースアセテートプロピオネート−2:イーストマンケミカル社製、「CAP482−2.0」
セルロースアセテートブチレート−1:イーストマンケミカル社製、「CAB551−0.2」
セルロースアセテートブチレート−2:イーストマンケミカル社製、「CAB381−0.5」
桂皮酸:東京化成工業(株)製
4−メチル桂皮酸:東京化成工業(株)製
1−アントラセンカルボン酸:東京化成工業(株)製
2−アントラセンカルボン酸:東京化成工業(株)製
2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1―イル)−プロピオン酸:Sigma−Aldrich社製
4−スチルベンカルボン酸:Sigma−Aldrich社製
安息香酸:東京化成工業(株)製
4−フェニル安息香酸:東京化成工業(株)製
アクリル酸:東京化成工業(株)製
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド:BASF社製「ルシリン TPO」
装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
検出器:RI検出器
溶媒 :N,N−ジメチルホルムアミド
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel MIXED−B
カラム温度 :40℃
<(B)で化学修飾された官能基の割合の測定方法>
修飾前の多糖類(a)及び修飾多糖類(A)の1H−NMRを測定した。それぞれの測定結果で得られた下記積分値を下記数式(1)に当てはめることにより、(B)で修飾された官能基の割合(%)を算出した。
(B)で修飾された官能基の割合(%)=[(TO+TN)/T4−(SO+SN)/S4]/[(TO+TN)/T4]×100 (1)
SO=修飾多糖類(A)のヒドロキシル基の水素原子の積分値
SN={修飾多糖類(A)の1級アミノ基の水素原子の積分値/2}+2級アミノ基の水素原子の積分値
S4=修飾多糖類(A)を構成する単糖ユニットの4位の炭素原子に直結している水素原子のNMR積分値
TO=多糖類(a)のヒドロキシル基の水素原子の積分値
TN={多糖類(a)の1級アミノ基の水素原子の積分値/2}+{多糖類(a)の2級アミノ基の水素原子の積分値}
T4=多糖類(a)を構成する単糖ユニットの4位の炭素原子に直結している水素原子のNMR積分値
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
装置:AVANCE300(日本ブルカー株式会社製)
周波数:300MHz
製造例1〜30で製造した(A−1)〜(A−30)及び比較製造例1〜7で製造した(A’−1)〜(A’−7)それぞれ100部に、溶剤として1,3−ジオキソラン350部をそれぞれ配合し、ディスパーサーで均一に混合し、実施例1〜30及び比較例1〜7の逆波長分散フィルム用樹脂組成物を作製した。
比較製造例8で製造した(A’−8)100部に、溶剤として1,3−ジオキソラン350部、開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド0.5部を配合し、ディスパーサーで均一に混合し、比較例8の逆波長分散フィルム用樹脂組成物を作製した。
比較製造例9で製造した(A’−9)100部に、溶剤として1,3−ジオキソラン350部、開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド2.5部を配合し、ディスパーサーで均一に混合し、比較例9の逆波長分散フィルム用樹脂組成物を作製した。
実施例1〜30で得た各逆波長分散フィルム用樹脂組成物を、表面処理を施した厚さ120μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム[東洋紡(株)製「コスモシャイン」]に、アプリケーターを用いて膜厚120μmとなるように塗布して、80℃で2時間乾燥した。乾燥後、PETフィルムから剥離することで、乾燥後フィルムを得た。
得られたフィルムは、ラボ用二軸延伸装置[(株)紫山科学器械製作所製「SS−70」]にて、表4に記載の温度で200%まで延伸し、延伸後フィルムとした。
この延伸後フィルムに、ベルトコンベア式高圧水銀ランプ[アイグラフィックス(株)製「EYE GRANDAGE ECS−301G」]にて波長320〜400nmの光を500mJ/cm2照射することで、実施例31〜60の逆波長分散フィルムを得た。
実施例1〜30で得た各逆波長分散フィルム用樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に延伸後フィルムを作成した。
この延伸後フィルムに、ベルトコンベア式高圧水銀ランプ[アイグラフィックス(株)製「EYE GRANDAGE ECS−301G」]にて波長320〜400nmの光を3000mJ/cm2照射することで、実施例61〜90の逆波長分散フィルムを得た。
比較例1〜7で得た各逆波長分散フィルム用樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、延伸後フィルムを作成した。この延伸後フィルムを比較例10〜16の逆波長分散フィルムとした。
比較例8〜9で得た各逆波長分散フィルム用樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、延伸後フィルムを作成した。
この延伸後フィルムに、ベルトコンベア式高圧水銀ランプ[アイグラフィックス(株)製「EYE GRANDAGE ECS−301G」]にて波長320〜400nmの光を500mJ/cm2照射することで、比較例17〜18の逆波長分散フィルムを得た。
紫外−可視光光度計UV−2400((株)島津製作所製)を用いて、実施例31〜90において、延伸後フィルム及び逆波長分散フィルムについて、光二量化部位である二重結合に起因する波長270nmにおける吸収ピークを測定し、下記数式(2)により二量化率を算出した。結果を表4に示す。
二量化率(%)={(延伸後フィルムの吸収ピーク)−(逆波長分散フィルムの吸収ピーク)}/(延伸後フィルムの吸収ピーク)×100 (2)
赤外分光光度計FTIR−8400((株)島津製作所製)を用いて、比較例17〜18において、延伸後フィルム及び逆波長分散フィルムについて、アクリロイル基に起因する波長1620〜1640cm-1における吸収ピークを測定し、下記数式(3)により架橋率を算出した。結果を表4に示す。
架橋率(%)={(延伸後フィルムの吸収ピーク値)−(逆波長分散フィルムの吸収ピーク値)}/(延伸後フィルムの吸収ピーク値)×100 (3)
作成した逆波長分散フィルムを用いて、下記(1)〜(3)の評価を行った。結果を表4に示す。
(1)透過率(透明性)
JIS−K7136に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」BYK gardner社製]を用いて透過率を測定した。透過率は、基材であるPETフィルムの透過率をブランクとして測定した値であり、いずれも単位は%である。
大塚電子(株)製「RETS−100」にて波長450nm、590nm及び630nmの光に対する面内リタデーション(Re)を測定した。
正の複屈折性としては、波長590nmでのリタデーション値をフィルム膜厚で割った値を示す。なお、この値が大きいほど、正の複屈折性が高いことを示す。
逆波長分散性としては、Re(450)/Re(590)及びRe(630)/Re(590)の値を示す。なお、Re(450)、Re(590)及びRe(630)はそれぞれ波長450nm、550nm及び630nmでの面内リタデーションを指す。Re(450)/Re(590)=0.90±0.03かつRe(630)/Re(590)=1.06±0.03であるものが、逆波長分散性がさらに良好であるものである。
その中でも、Re(450)/Re(590)が下限(0.87)に近く、Re(630)/Re(590)が上限(1.09)に近いものが逆波長分散性が特に好ましいものである。
逆波長分散フィルムを48時間、40℃に温調した水に浸漬した後、面内リタデーション(波長590nm)を測定し、浸漬前のリタデーション(波長590nm)からの変化率(%)を算出した。変化率が低いほど、耐水性が高いことを示す。
一方、比較例1〜9の従来の逆波長分散フィルム用樹脂組成物を用いて作成した比較例10〜18の逆波長分散フィルムは、逆波長分散性と耐水性が両立できないことが分かる。
Claims (12)
- 修飾多糖類(A)を含有する逆波長分散フィルム用樹脂組成物であって、(A)が光二量化反応性化合物(B)により多糖類(a)中の少なくとも1つのヒドロキシル基及び/又は少なくとも1つのアミノ基を化学修飾して光二量化反応性基を導入した修飾多糖類である逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- 多糖類(a)が、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカン及びキサンタンガム並びにこれらを光二量化反応性化合物(B)以外で化学修飾した多糖からなる群より選ばれる少なくとも1種の多糖である請求項1に記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- 修飾多糖類(A)において、光二量化反応性化合物(B)で化学修飾された官能基の割合が、多糖類(a)中のヒドロキシル基及びアミノ基の合計数を基準として0.001〜100%である請求項1又は2に記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- 光二量化反応性化合物(B)が桂皮酸骨格含有化合物(b1)、マレイミド骨格含有化合物(b2)、クマリン骨格含有化合物(b3)、スチルベン骨格含有化合物(b4)及びアントラセン骨格含有化合物(b5)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- 桂皮酸骨格含有化合物(b1)が桂皮酸、4−メチル桂皮酸、4−(トリフルオロメチル)桂皮酸、4−メトキシ桂皮酸及び4−ヒドロキシ桂皮酸並びにこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物及びエステル化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- 多糖類(a)がアシル化セルロース(a1)及び/又はエーテル化セルロース(a2)である請求項1〜5のいずれかに記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- アシル化セルロース(a1)が、炭素数が2〜19のアシル基で置換されたアシル化セルロースである請求項6に記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- アシル化セルロース(a1)が、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基及びバレリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエステル化セルロースである請求項6又は7に記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- エーテル化セルロース(a2)が、アルキルの炭素数が1〜18のアルキルエーテル基で置換されたエーテル化セルロースである請求項6に記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物。
- エーテル化セルロース(a2)が、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメトキシル基及びヒドロキシエトキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエーテル化セルロースである請求項6又は9に記載の逆長分散フィルム用樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物から形成される逆波長分散フィルム又はシート。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の逆波長分散フィルム用樹脂組成物から形成されるフィルム又はシートを、延伸処理した後、紫外線を照射する工程を含む逆波長分散フィルム又はシートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013175546A JP6205990B2 (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | 逆波長分散フィルム用樹脂組成物及びこれからなる逆波長分散フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013175546A JP6205990B2 (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | 逆波長分散フィルム用樹脂組成物及びこれからなる逆波長分散フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015044902A true JP2015044902A (ja) | 2015-03-12 |
JP6205990B2 JP6205990B2 (ja) | 2017-10-04 |
Family
ID=52670686
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013175546A Active JP6205990B2 (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | 逆波長分散フィルム用樹脂組成物及びこれからなる逆波長分散フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6205990B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017146523A (ja) * | 2016-02-19 | 2017-08-24 | 富士フイルム株式会社 | 光学フィルム、偏光板、液晶表示装置、及び光学フィルムの製造方法 |
JP2018172581A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 株式会社カネカ | メチルセルロース誘導体 |
JP2019086622A (ja) * | 2017-11-06 | 2019-06-06 | 株式会社ポラテクノ | 偏光部材及びそれを備えたヘッドアップディスプレイ装置 |
JPWO2019088291A1 (ja) * | 2017-11-06 | 2020-12-24 | 株式会社ポラテクノ | 偏光部材及びそれを備えたヘッドアップディスプレイ装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008095026A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Fujifilm Corp | セルロース化合物、セルロースフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 |
JP2008528719A (ja) * | 2005-01-25 | 2008-07-31 | スウィーツリー テクノロジーズ アーベー | ポリマー性炭水化物材料を用いた架橋 |
-
2013
- 2013-08-27 JP JP2013175546A patent/JP6205990B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008528719A (ja) * | 2005-01-25 | 2008-07-31 | スウィーツリー テクノロジーズ アーベー | ポリマー性炭水化物材料を用いた架橋 |
JP2008095026A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Fujifilm Corp | セルロース化合物、セルロースフィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017146523A (ja) * | 2016-02-19 | 2017-08-24 | 富士フイルム株式会社 | 光学フィルム、偏光板、液晶表示装置、及び光学フィルムの製造方法 |
JP2018172581A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 株式会社カネカ | メチルセルロース誘導体 |
JP2019086622A (ja) * | 2017-11-06 | 2019-06-06 | 株式会社ポラテクノ | 偏光部材及びそれを備えたヘッドアップディスプレイ装置 |
JPWO2019088291A1 (ja) * | 2017-11-06 | 2020-12-24 | 株式会社ポラテクノ | 偏光部材及びそれを備えたヘッドアップディスプレイ装置 |
JP7220667B2 (ja) | 2017-11-06 | 2023-02-10 | 日本化薬株式会社 | 偏光部材及びそれを備えたヘッドアップディスプレイ装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6205990B2 (ja) | 2017-10-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6205990B2 (ja) | 逆波長分散フィルム用樹脂組成物及びこれからなる逆波長分散フィルム | |
Yang et al. | Role of lignin nanoparticles in UV resistance, thermal and mechanical performance of PMMA nanocomposites prepared by a combined free-radical graft polymerization/masterbatch procedure | |
Lu et al. | Fabrication of UV-absorbent cellulose-rosin based thermoplastic elastomer via “graft from” ATRP | |
Li et al. | Facile and sustainable etherification of ethyl cellulose towards excellent UV blocking and fluorescence properties | |
Sheela et al. | Effect of UV irradiation on optical, mechanical and microstructural properties of PVA/NaAlg blends | |
KR20130090755A (ko) | 편광 필름, 표시 장치, 및 그 제조 방법 | |
EP2742372B1 (en) | Optical retardation film and method of manufacturing | |
WO2014196552A1 (ja) | 樹脂組成物、それを用いた光学補償フィルムおよびその製造方法 | |
JP2006342227A (ja) | セルロースエステルフィルム、偏光板および液晶表示装置 | |
JP2020073987A (ja) | 液晶組成物 | |
Zhang et al. | Implementing plant‐derived isosorbide and isomannide as comonomers for polyester synthesis: Effects of crystallization properties on optical properties | |
Zhu et al. | Multi-scale structural changes of starch-based material during microwave and conventional heating | |
WO2014017257A1 (ja) | 逆波長分散フィルム用樹脂組成物並びにこれからなる逆波長分散フィルム及び逆波長分散シート | |
Zhang et al. | Synthesis, physical properties and photodegradation of functional poly (butylene succinate) covalently linking UV stabilizing moieties in molecular chains | |
WO2017061548A1 (ja) | ポリマー材料、フィルム、円偏光板、画像表示装置及びフィルムの製造方法 | |
JP2008163193A (ja) | セルロース誘導体、セルロース誘導体溶液、およびそれらを用いた光学フィルムとその製造方法 | |
Li et al. | Photocrosslinkable and hydroplasicable UV-shielding nanocellulose films facilitated by hydroxyl-yne click reaction | |
CN107533174B (zh) | 相位差膜及其运用 | |
JP2008174716A (ja) | 重合性液晶組成物 | |
JP2009286885A (ja) | 重合性液晶組成物 | |
JP2015222296A (ja) | ポジティブcプレート用高分子化合物及び組成物並びにポジティブcプレート | |
JP6010233B2 (ja) | 位相差フィルム並びにそれを用いた光学補償層、光学補償偏光板、液晶及び有機el表示装置 | |
JP6848338B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれを用いた光学補償フィルム | |
JP2014092668A (ja) | セルロースアシレート用光学特性調節剤、それを用いたセルロースアシレート樹脂組成物及びセルロースアシレート光学フィルム | |
Lu et al. | Combination of atom transfer radical polymerization and click chemistry toward cellulose-rosin derived UV-absorbent copolymers |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160624 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170307 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170427 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170808 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170821 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6205990 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |