JP2008094688A - ジルコニア質導電性焼結体 - Google Patents
ジルコニア質導電性焼結体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008094688A JP2008094688A JP2006281545A JP2006281545A JP2008094688A JP 2008094688 A JP2008094688 A JP 2008094688A JP 2006281545 A JP2006281545 A JP 2006281545A JP 2006281545 A JP2006281545 A JP 2006281545A JP 2008094688 A JP2008094688 A JP 2008094688A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- zirconia
- sintered body
- zro
- less
- thermal stability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Abstract
【解決手段】ZrO2の結晶相が正方晶系からなり、Y2O3/ZrO2モル比が2/98〜5/95の範囲で含有し、Tiを酸化物換算で4〜10重量%含有し、Al2O3を5〜30重量%含有し、かつAl2O3/TiO2モル比が3/5〜25/5の範囲で含有し、焼結体の平均結晶粒径が1μm以下、焼結体中のAl2O3の結晶粒径が1μm以下、焼結体中の気孔率が2%以下、室温における焼結体の体積固有抵抗が106〜1010Ω・cm、大気中100〜250℃の温度範囲内で500時間熱エージングした後の室温における焼結体の体積固有抵抗が1010Ω・cm以下、である耐摩耗性、熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体。
【選択図】なし
Description
なお、静電気除去・帯電防止レベルの電気導電性とは、一般に体積固有抵抗が106〜109Ω・cmの領域である。体積固体抵抗が106Ω・cmを下回る場合は材料に帯電した電荷は導電体と接触することによって、瞬時に除電されてしまい、放電が発生してしまう恐れがあり、また体積固体抵抗が109Ω・cmを越える場合は絶縁体に近くなり、材料に帯電した電荷は導電体と接触しても除電されず、材料に電荷が残留してしまう。したがって、体積固有抵抗が106〜109Ω・cmのとき、丁度静電気除去・帯電防止のレベルとして好適である。
しかしながら、これらのジルコニア質焼結体は従来のジルコニア質焼結体と同じく、常温での強度には優れているものの、100〜300℃の低温領域での長期熱エージングに対し、熱安定性が悪く、強度劣化が起こりやすいだけでなく、電気導電性が低下し、静電気除去・帯電防止ができなくなるという欠点がある。この原因は、ジルコニア質焼結体の結晶相のうち、常温では準安定相である正方晶が安定相である単斜晶に相転移し、この相転移に伴う体積膨張が焼結体内に微小亀裂を発生させることに起因しており、特にこれらのジルコニア質焼結体はTiがジルコニア結晶粒内へ均一に固溶しているのではなく、ジルコニア結晶粒子内の粒界近傍のTi濃度が高い固溶形態であり、不活性ガス雰囲気中での還元焼成において、ジルコニア及び酸化チタンが還元されて酸素欠損を有し、マトリックスの導電性を発現させているため、ジルコニアの結晶相は不安定であり、従来のジルコニア質焼結体よりも熱安定性が悪く、この欠点が一層顕著になる。また、特許文献2にはAl2O3を0.05〜3重量%(焼結体全体に対する%)添加することによって、微構造の均一化及びZrO2の粒界強化効果があり、耐摩耗性、耐衝撃性等の機械的特性を向上させることができると開示されているが、Al2O3添加量が3重量%を越えると導電性及び機械的特性が低下する問題があると指摘している。
その理由は、不活性ガス雰囲気中での還元焼成において、TiO2は酸素欠損により、電気導電性を担うものの、ZrO2の正方晶を不安定化させる要因となり、一方Al2O3はZrO2の焼結性を低下させ、ZrO2の正方晶を安定化させる効果が低下してしまうだけでなく、ZrO2結晶粒界にAl2O3結晶粒子が存在することにより、電気導電性を低下させる要因となるためである。また、TiO2とAl2O3は反応化合物であるAl2TiO5を容易に生成しやすく、機械的特性及び電気導電性を低下させる要因となってしまうからである。
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねてきた結果、Y2O3/ZrO2モル比を制御し、TiO2含有量及びAl2O3含有量を所定のAl2O3/TiO2モル比に制御し、Al2O3の結晶粒径、焼結体全体の結晶粒径、結晶相並びに気孔率を制御することによって、Ar等の不活性ガス雰囲気中での還元焼成において、焼結性及び電気導電性を制御することができ、ジルコニア特有の優れた機械的特性及び耐摩耗性を保持することができ、ZrO2の正方晶を安定化させることができることを見出し、ここに静電気除去・帯電防止が可能でありながら、優れた機械的特性及び耐摩耗性を有し、かつ低温領域における熱安定性に優れた本発明のジルコニア質導電性焼結体を得ることに成功したものである。
ジルコニア質焼結体に単斜晶系ジルコニアが大量に含有しているとその結晶周辺に微細なクラックが生じ、応力が負荷されるとこの微細なクラックを起点として微小破壊が起こり、摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性が低下するので好ましくない。一方、立方晶系ジルコニアを大量に含有していると結晶粒径が大きくなり、機械的特性の低下が起こり、耐摩耗性等の低下が起こるため好ましくない。
なお、本発明においては上記X線回折から求められる正方晶系ジルコニア含有量(T)は85容積%以上であることが好ましく、また立方晶系ジルコニア含有量(C)は10容積%まで、好ましくは5容積%まで、単斜晶ジルコニアの含有量(M)は5容積%まで、好ましくは3容積%まで、それぞれ許容することができる。
本発明においては、Y2O3/ZrO2モル比は2/98〜5/95、好ましくは2.5/97.5〜4/96である。通常ZrO2原料中に少量含有することのあるHfO2が混入していてもよく、このHfO2量を含めたZrO2とHfO2の合計量をZrO2量とする。なお、HfO2の含有量の上限の目安は3重量%である。
Y2O3/ZrO2モル比が2/98未満の場合には焼結体中の単斜晶系ZrO2量が増加し、焼結体内部にクラックが発生して、粉砕機用部材として負荷のかかる状態ではクラックが伸展し、割れや欠けが発生し、その結果耐摩耗性の低下をきたすので好ましくない。一方、Y2O3/ZrO2モル比が5/95を越えると正方晶系ZrO2量が低下し、立方晶系ZrO2量が増加し、機械的特性が低下するので好ましくない。
本発明においては、Tiを酸化物換算で4〜10重量%、好ましくは4〜8重量%含有していることが必須であり、Tiはジルコニア結晶粒子に固溶及び結晶粒子内の粒界近傍に偏析し、さらにAr等の不活性ガス雰囲気中で還元焼成することで酸素欠損が起こり、電気導電性が発現する。Tiが酸化物換算で4重量%未満の場合は、体積固有抵抗が大きくなり、静電気除去・帯電防止ができなくなるので好ましくない。一方、不活性ガス雰囲気中での還元焼成において、Tiが酸化物換算で10重量%を越える場合は、結晶粒径が大きくなるために正方晶の安定化が低下し、熱安定性が悪くなるだけでなく、機械的特性及び耐摩耗性が低下し、また体積固有抵抗が小さくなるため、静電気が一気に逃げやすくなり、大気摩擦による超高電圧の放電が発生する恐れがあるので好ましくない。静電気除去スピードは、通常帯電圧が半減するまでの時間(半減期)で示されるが、本発明においては、この半減期を0.05〜2秒間程度、特に0.1〜2秒間程度とすることが好ましい。この測定方法は、基準電位となるアルミホイールの上にセラミックスなどの絶縁体を置き、その上にジルコニア質導電性焼結体(φ90×5mm)をのせ、ジルコニア質導電性焼結体に1000Vの電圧をかけ、電圧をかけた後、ジルコニア質導電性焼結体とアース間の電圧を測定し、その電圧(帯電電圧)が印加電圧の50%、500Vになるまでの時間を求めるものである。
本発明においては、Al2O3量は5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%であるが、本発明の目的とする焼結体を得るためには、後述するようにAl2O3量を所定のAl2O3/TiO2モル比の範囲に収め、かつ焼結体中のAl2O3の結晶粒径を1μm以下とすることでAl2O3添加の効果が得られる。Al2O3はZrO2結晶粒界にAl2O3結晶粒子として存在するだけでなく、ZrO2結晶粒界及び粒界近傍に偏析し、微構造の均一化に効果があるだけでなく、ZrO2結晶粒界の強化効果があり、耐摩耗性、耐衝撃性等の機械的特性を優れたものとし、かつZrO2結晶粒子の粒成長を抑制すると同時に、正方晶から単斜晶への転移を抑制するので、ZrO2の熱安定性を増大させる作用を奏する。Al2O3が5重量%未満の場合は、Al2O3の効果が不十分であり、30重量%を越える場合にはZrO2結晶粒界に偏析するAl濃度が高くなり、かつAl2O3結晶粒子が多く存在するため、電気導電性の低下だけでなく、著しく焼結性及び機械的特性が低下するため、ジルコニア本来の機械的強度や摺動特性が失われるので好ましくない。
本発明においては、TiO2:4〜10重量%、Al2O3:5〜30重量%の範囲にあって、Al2O3/TiO2モル比が3/5〜25/5、好ましくは4/5〜20/5であるが、本発明の目的とする焼結体を得るためには、後述するように焼結体中のAl2O3の結晶粒径を1μm以下にすることが必須条件である。本発明においては不活性ガス雰囲気中での還元焼成において、単にTiO2とAl2O3を所定量含有していても、「静電気除去・帯電防止レベルの電気導電性を有し、かつ優れた機械的特性及び耐食性を有し、かつ低温領域の熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体」は得られない。しかしながら、TiO2:4〜10重量%、Al2O3:5〜30重量%の範囲にあって、かつ、Al2O3/TiO2モル比が所定の範囲内であれば、TiO2はZrO2に対して焼結助剤として十分寄与し、かつAl2O3含有による機械的特性及び耐摩耗性の低下を抑制することができると同時に、Al2O3が微構造の均一性を高め、かつ相乗効果としてZrO2の正方晶を安定化させることができる。すなわち、不活性ガス雰囲気中での還元焼成において、焼結性及び電気導電性を制御し、かつZrO2の正方晶を安定化させるためには、ZrO2に対するTiO2とAl2O3の添加量が所定量である必要があり、かつAl2O3/TiO2モル比を制御することによって本発明の「静電気除去・帯電防止レベルの電気導電性を有し、かつ機械的特性、耐摩耗性及び低温領域の熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体」を得ることができる。
Al2O3/TiO2モル比が3/5未満の場合は、Al2O3による微構造の均一化効果が不十分であり、ZrO2の正方晶を安定化させる効果は得られず、熱安定性に優れた焼結体が得られないので好ましくない。一方、Al2O3/TiO2モル比が25/5を越えると、TiO2による焼結助剤の効果が不十分となり、焼結性が低下することによって、Al2O3によるZrO2の正方晶安定化効果が低下し、熱安定性に優れた焼結体が得られないだけでなく、機械的特性が低下し、ジルコニア本来の機械的強度や摺動特性が失われてしまうため、好ましくない。
本発明において、焼結体の平均結晶粒径は1μm以下であることを必須とし、好ましくは0.5μm以下である。焼結体の平均結晶粒径が1μmを越える場合には、耐摩耗性、耐衝撃性等の機械的特性が低下するだけでなく、正方晶ジルコニアの熱安定性が低下するため、好ましくない。なお、平均結晶粒径の下限は0.2μm程度までである。焼結体の平均結晶粒径は、焼結体表面を鏡面まで研磨し、次いで熱エッチングもしくは化学エッチングを施した後、走査電子顕微鏡で観察してインターセプト法により10点測定した平均値とする。算出式は下記の通りである。なお、インターセプト法は、走査型電子顕微鏡の観察によって得られた写真について、任意にひいた直線の単位長さあたりの粒子の数を求め、これから粒子一個あたりの平均の粒子長さを求め、その1.5倍を平均粒径とする方法であって、セラミックスの結晶粒径を測定する一般的な方法である。
n:長さL当たりの結晶粒子数
L:測定長さ(μm)
本発明において、焼結体中のAl2O3の結晶粒径は1μm以下であることを必須とし、好ましくは0.5μm以下である。TiO2はZrO2結晶粒内及び粒界近傍に偏析し、不活性雰囲気中での還元焼成によって酸素欠損し、導電パスを形成しているが、通常Al2O3結晶粒子がZrO2の結晶粒界に存在すると、導電パスが分断されるため、Al2O3量が3重量%を越えると、Al2O3量が増加すると共に電気導電性は低下する傾向にある。しかしながら、TiO2はAl2O3の結晶粒界に偏析しやすいため、Al2O3の結晶粒径を小さくすることによって、Al2O3結晶粒子がZrO2の結晶粒界に存在しても導電パスが分断されず、電気導電性の低下を抑制することができ、むしろAl2O3が存在することによって、TiのZrO2への固溶が抑制され、結晶粒界に偏析するTiO2濃度が高くなり、電気導電性を若干向上させることが可能である。Al2O3の結晶粒径が1μmを越える場合には、粗大なAl2O3結晶粒子がZrO2結晶粒界に存在することにより、Al2O3量が多くなるほど導電パスが分断され、電気導電性は低下し、さらにAl2O3量が多くなるとTiO2との反応化合物であるAl2TiO5を生成し、電気導電性の低下だけでなく機械的特性の低下を招くため、前述したような特定のAl2O3含有量でかつAl2O3/TiO2モル比を特定の範囲内に制御しても、「静電気除去・帯電防止レベルの電気導電性を有し、かつ優れた機械的特性及び耐食性を有し、かつ低温領域の熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体」は得られないので、好ましくない。さらに、本発明焼結体の主成分であるZrO2に対し、Al2O3を均一に分散させることによって、電気導電性の低下を抑制し、かつ高強度、高硬度で、かつ熱安定性に優れた焼結体が得られる。なお、Al2O3の結晶粒径の下限は0.2μm程度までである。
焼結体中のAl2O3の結晶粒径は、焼結体表面を鏡面まで研磨し、次いで熱エッチングもしくは化学エッチングを施した後、走査電子顕微鏡で観察し、Al2O3結晶粒子100個の長径と短径の平均値を算出し、その平均値とする。
本発明において、焼結体中の気孔率は2%以下、好ましくは1%以下である。言い換えれば、気孔はない方がよい。気孔率が2%を越える場合には焼結体の気孔が増加し、電気導電性の低下及び機械的特性が低下するだけでなく、粒子が脱粒しやすくなるため、耐摩耗性の低下を招き、さらに焼結体中に湿気が入り込むため、ジルコニアの正方晶の安定化が低下し、熱安定性が悪くなるため好ましくない。
本発明において、室温での焼結体の体積固有抵抗は106〜1010Ω・cm、好ましくは107〜109Ω・cmである。体積固有抵抗が1010Ω・cmを越える場合には静電気除去・帯電防止に効果がないので好ましくない。一方、体積固有抵抗が106Ω・cm未満の場合は導電性が高すぎてしまい、静電気を一気に除去してしまうため、大気摩擦によって超高電圧の放電が発生する恐れがあるので好ましくない。なお、体積固有抵抗はφ20×2mmに加工したサンプルの両面に電極を施し、高抵抗計を用いて極性反転法にてバイアス電圧50V、バイアス電圧印加時間15秒/サイクル(プラス方向に電圧を15秒間、マイナス方向に15秒間かける操作を1サイクルとするものである)、極性反転サイクル数4回/測定(本操作を4回繰り返す)の条件で測定し、抵抗値の読み取りは、電圧をかけて15秒後の抵抗の絶対値を読み取り、1サイクルあたりプラス方向とマイナス方向に2回抵抗の絶対値が読み取れるので、2回×4サイクル=8回で、8回の抵抗の絶対値を平均して、その平均値から体積固有抵抗を算出した。
本発明において、大気中100〜250℃の温度範囲内で焼結体を500時間熱エージングした後の室温における体積固有抵抗が1010Ω・cm以下、好ましくは109Ω・cm以下である。下限は、ほぼ106Ω・cmである。焼結体を体積固有抵抗が1010Ω・cmを越える場合には静電気除去・帯電防止に効果がないので好ましくない。なお、本発明のジルコニア質導電性焼結体は大気中熱エージングすることにより、エージング前よりも室温での体積固有抵抗が低下する(電気導電性が高くなる)ことはない。体積固有抵抗の測定はφ20×2mmに加工したサンプルを乾燥機の中で大気中100〜250℃の温度範囲内で500時間熱エージングした後、室温まで炉冷し、前述と同様の方法により算出した。
本発明では、液相法により精製したジルコニア粉末を使用することが好ましい。即ち、ZrO2とY2O3の含有量が所定のモル比となるようにジルコニウム化合物(例えばオキシ塩化ジルコニウム)の水溶液とイットリウム化合物(例えば塩化イットリウム)の水溶液を均一に混合し、加水分解し、水和物を得、脱水、乾燥させた後、500〜1000℃で仮焼し、Y2O3、Al2O3、SiO2以外の不純物の少ない仮焼ジルコニア粉体を得る方法が採用される。
実施例1〜12及び比較例1〜11は純度99.5%のオキシ塩化ジルコニウムと純度99.9%の硝酸イットリウムをを用いてZrO2とY2O3の含有量が表1の組成となるように水溶液の形で混合した。次にこの水溶液を加熱環流下で加水分解し、Y2O3が固溶した水和ジルコニウムの沈殿物を生成させ、脱水、乾燥し、500〜1000℃で1時間仮焼し、得られたジルコニア粉体を湿式にて粉砕、分散した。Tiは、一次粒子径20nmの酸化チタン粉体の形で、得られた仮焼粉体の粉砕、分散時に所定量添加した。Al2O3は、粒子径0.3μmのAl2O3粉体の形で、得られた仮焼粉体の粉砕、分散時に所定量を添加混合した。
また、比較例12はAl2O3を添加せず、比較例13は粒子径1μmのAl2O3を用いて、前述の手法により作製した。
なお、半減期が0.05秒を下回る場合には、時間に対する電圧の減衰が速く、瞬時に除電されてしまうため、放電が発生する恐れがあり、半減期が2秒を越える場合には、時間に対する電圧の減衰が遅く、除電に時間がかかり過ぎるため、静電気除去・帯電防止の用途に適さないため、好ましくない。
体積固有抵抗は、φ20×2mmに加工したサンプルの両面に電極を施し、高抵抗計を用いて極性反転法にてバイアス電圧50V、バイアス電圧印加時間15秒/サイクル(プラス方向に電圧を15秒間、マイナス方向に15秒間かける操作を1サイクルとするものである)、極性反転サイクル数4回/測定(本操作を4回繰り返す)の条件で測定した。抵抗値の読み取りは、電圧をかけて15秒後の抵抗の絶対値を読み取り、1サイクルあたりプラス方向とマイナス方向に2回抵抗の絶対値が読み取れるので、2回×4サイクル=8回で、8回の抵抗の絶対値を平均して、その平均値から体積固有抵抗を算出した。
曲げ強さは3×4×50mmに切断・加工したサンプルを用いてJIS R1601に従って各10本測定し、その平均値を求めた。
大気中熱エージング処理はφ20×2mmに加工したサンプルを100〜250℃で乾燥機中にて500時間保持し、炉冷により室温まで温度を下げた。その後、前述と同様の方法により、体積固有抵抗を求めた。
摩耗体積はサンドブラストによる耐摩耗試験に従って測定した。なお、サンドブラストによる耐摩耗試験の条件は大気中、室温においてブラスト材:アランダム(ホワイトアブラックスWAF36)、距離35mm、噴射角度:80°、噴射圧:0.15MPa、ブラスト材噴射量:600g/分、噴射時間30分とし、サンドブラスト後の摩耗重量/焼結体の密度から摩耗体積を算出した。
半減期は、基準電位となるアルミホイールの上にセラミックスなどの絶縁体を置き、その上にφ90×5mmに加工したサンプルをのせ、サンプルに1000Vの電圧をかけ、電圧をかけた後、サンプルとアース間の電圧を測定し、その電圧(帯電電圧)が印加電圧の50%、500Vになるまでの時間を測定した。
(1)(a)ZrO2の結晶相が主として正方晶系からなり、(b)Y2O3をY2O3/ZrO2モル比が2/98〜5/95の範囲で含有し、(c)Tiを酸化物換算で4〜10重量%含有し、(d)Al2O3を5〜30重量%含有し、(e)かつAl2O3/TiO2モル比が3/5〜25/5の範囲で含有するジルコニア質焼結体であって、(f)焼結体の平均結晶粒径が1μm以下、(g)焼結体中のAl2O3の結晶粒径が1μm以下、(h)焼結体中の気孔率が2%以下、(i)室温における焼結体の体積固有抵抗が106〜1010Ω・cm、(j)大気中100〜250℃の温度範囲内で500時間熱エージングした後の室温における焼結体の体積固有抵抗が1010Ω・cm以下、であることを特徴とする耐摩耗性及び熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体。
(2)(k)曲げ強さが700MPa以上である前項(1)記載の耐摩耗性及び熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体。
(3)(l)大気中、室温においてアランダムをブラスト材とし、30分間サンドブラストを行ったときの摩耗体積が1cm3以下である前項(1)または(2)記載の耐摩耗性及び熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体。
(4)ZrO2とY2O3の含有量が、Y2O3/ZrO2モル比で2/98〜5/95の範囲になるように、ジルコニウム化合物とイットリウム化合物とを均一に混合し、加水分解して水和物を得、これを仮焼して仮焼ジルコニアとし、これを粉砕、分散する時点で、粒子径0.5μm以下のAl2O3粒子と、粒子径100nm以下のチタン酸化物粒子とを、Al2O3が5〜30重量%、Tiが酸化物換算で4〜10重量%となるように配合して成形粉体を形成し、これを成形、焼成することを特徴とする前項(1)〜(3)いずれか記載の耐摩耗性及び熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体の製法。
Claims (1)
- (a)ZrO2の結晶相が主として正方晶系からなり、(b)Y2O3をY2O3/ZrO2モル比が2/98〜5/95の範囲で含有し、(c)Tiを酸化物換算で4〜10重量%含有し、(d)Al2O3を5〜30重量%含有し、(e)かつAl2O3/TiO2モル比が3/5〜25/5の範囲で含有するジルコニア質焼結体であって、(f)焼結体の平均結晶粒径が1μm以下、(g)焼結体中のAl2O3の結晶粒径が1μm以下、(h)焼結体中の気孔率が2%以下、(i)室温における焼結体の体積固有抵抗が106〜1010Ω・cm、(j)大気中100〜250℃の温度範囲内で500時間熱エージングした後の室温における焼結体の体積固有抵抗が1010Ω・cm以下、であることを特徴とする耐摩耗性及び熱安定性に優れたジルコニア質導電性焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006281545A JP5036271B2 (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | ジルコニア質導電性焼結体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006281545A JP5036271B2 (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | ジルコニア質導電性焼結体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008094688A true JP2008094688A (ja) | 2008-04-24 |
JP5036271B2 JP5036271B2 (ja) | 2012-09-26 |
Family
ID=39377919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006281545A Active JP5036271B2 (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | ジルコニア質導電性焼結体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5036271B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010254493A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Nikkato:Kk | 導電性ジルコニア焼結体 |
CN106116569A (zh) * | 2016-06-28 | 2016-11-16 | 郭舒洋 | 一种绿色防静电氧化锆陶瓷的制备方法 |
WO2019078364A1 (ja) | 2017-10-20 | 2019-04-25 | 株式会社フェローテックセラミックス | セラミックス、プローブ案内部品、プローブカードおよびパッケージ検査用ソケット |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6172682A (ja) * | 1984-09-13 | 1986-04-14 | 日立金属株式会社 | 磁気ヘツド用ジルコニア基板 |
JPS63162570A (ja) * | 1986-12-25 | 1988-07-06 | 第一稀元素化学工業株式会社 | 耐熱劣化性高強度ジルコニア・アルミナセラミツクス及びその製造方法 |
JPH03218967A (ja) * | 1989-11-06 | 1991-09-26 | Osaka Cement Co Ltd | 高強度アルミナ―ジルコニア系セラミックス焼結体 |
JP2003040673A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-13 | Kyocera Corp | 高強度ジルコニア質焼結体 |
JP2003261376A (ja) * | 2002-03-06 | 2003-09-16 | Toto Ltd | ジルコニア焼結体及びその製造方法 |
JP2005206421A (ja) * | 2004-01-22 | 2005-08-04 | Nitsukatoo:Kk | 高強度導電性ジルコニア焼結体およびその製造方法 |
JP2006137652A (ja) * | 2004-11-15 | 2006-06-01 | Nitsukatoo:Kk | 粉砕機用部材 |
-
2006
- 2006-10-16 JP JP2006281545A patent/JP5036271B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6172682A (ja) * | 1984-09-13 | 1986-04-14 | 日立金属株式会社 | 磁気ヘツド用ジルコニア基板 |
JPS63162570A (ja) * | 1986-12-25 | 1988-07-06 | 第一稀元素化学工業株式会社 | 耐熱劣化性高強度ジルコニア・アルミナセラミツクス及びその製造方法 |
JPH03218967A (ja) * | 1989-11-06 | 1991-09-26 | Osaka Cement Co Ltd | 高強度アルミナ―ジルコニア系セラミックス焼結体 |
JP2003040673A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-13 | Kyocera Corp | 高強度ジルコニア質焼結体 |
JP2003261376A (ja) * | 2002-03-06 | 2003-09-16 | Toto Ltd | ジルコニア焼結体及びその製造方法 |
JP2005206421A (ja) * | 2004-01-22 | 2005-08-04 | Nitsukatoo:Kk | 高強度導電性ジルコニア焼結体およびその製造方法 |
JP2006137652A (ja) * | 2004-11-15 | 2006-06-01 | Nitsukatoo:Kk | 粉砕機用部材 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010254493A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Nikkato:Kk | 導電性ジルコニア焼結体 |
CN106116569A (zh) * | 2016-06-28 | 2016-11-16 | 郭舒洋 | 一种绿色防静电氧化锆陶瓷的制备方法 |
WO2019078364A1 (ja) | 2017-10-20 | 2019-04-25 | 株式会社フェローテックセラミックス | セラミックス、プローブ案内部品、プローブカードおよびパッケージ検査用ソケット |
KR20200072524A (ko) | 2017-10-20 | 2020-06-22 | 가부시키가이샤 페로텍 머티리얼 테크놀로지즈 | 세라믹스, 프로브 안내 부품, 프로브 카드 및 패키지 검사용 소켓 |
US11940466B2 (en) | 2017-10-20 | 2024-03-26 | Ferrotec Material Technologies Corporation | Ceramic, probe guiding member, probe card, and socket for package inspection |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5036271B2 (ja) | 2012-09-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2014069268A1 (ja) | 窒化珪素焼結体およびそれを用いた耐磨耗性部材 | |
JPWO2011081103A1 (ja) | ジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法、ジルコニア−アルミナ複合造粒粉、ジルコニアビーズ | |
JPH08268755A (ja) | ジルコニア系複合セラミック焼結体及びその製法 | |
JP5189786B2 (ja) | 導電性アルミナ質焼結体 | |
JP4871567B2 (ja) | 多孔質導電性ジルコニア質焼結体およびそれよりなる真空チャック部材 | |
JP5303345B2 (ja) | 導電性ジルコニア焼結体 | |
JP5036271B2 (ja) | ジルコニア質導電性焼結体 | |
JP5062942B2 (ja) | 高強度導電性ジルコニア焼結体およびその製造方法 | |
JP7325275B2 (ja) | 耐摩耗性アルミナ質焼結体 | |
JPH0553751B2 (ja) | ||
Xu et al. | Mechanical properties of Nd2O3/Y2O3-coated zirconia ceramics | |
JP2000239063A (ja) | 耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディア及びその製造方法 | |
JP2004115343A (ja) | 部分安定化ジルコニア焼結体の製造法 | |
JP2002154873A (ja) | 耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体 | |
JP2004075425A (ja) | 部分安定化ジルコニア焼結体 | |
JP2001302345A (ja) | 耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体およびその製造方法 | |
JP6134561B2 (ja) | ジルコニア質焼結体、ジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディア | |
JP4773709B2 (ja) | 粉砕機用部材 | |
JP4443806B2 (ja) | 耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散機用部材 | |
JP4048017B2 (ja) | 耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディア | |
Xu et al. | Fabrication and characterization of (Nd, Y)-TZP ceramics from stabilizer-coated nanopowder | |
JP5172076B2 (ja) | 高導電性ジルコニア質焼結体 | |
JP2011136878A (ja) | ジルコニア−アルミナ複合セラミック材料の製造方法 | |
JP2004137128A (ja) | 部分安定化ジルコニア焼結体 | |
JP2000095564A (ja) | ジルコニア質焼結体及びその製造方法ならびに粉砕部材用材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090910 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100512 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110826 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110830 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120619 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120703 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5036271 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |