JP2008092892A - ロールキャベツの製造方法およびロールキャベツ - Google Patents

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Abstract

【課題】干瓢等のひも状のキャベツの巻き戻り防止留め具を用いることなく、形態が安定したロールキャベツおよびその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明によるロールキャベツの製造方法は、芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ葉を用意し、該キャベツ葉を折り重ねて帯状として、これにより、食肉を主原料とする肉具を巻いて縛ることによって、ロールキャベツとすることを含んでなる。
【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、干瓢等のキャベツの巻き戻りを防止する留め具を用いることなく、形態が安定しているロールキャベツおよびその製造方法に関する。
背景技術
ロールキャベツは、従来より、西洋料理を中心として、幅広い料理に合う食品として人気があり、老若男女、年齢を問わず、食されている。ロールキャベツの歴史は古く、もともとは、ロシアの家庭料理として、羊肉などの挽肉をブドウの葉でくるんだものであった。その後、ロシア、ルーマニア、クロアチア、ハンガリー、イタリア、フランス等で、普及していき、日本には、明治時代末から大正時代初期に入ってきたと言われている。
周りを覆う、材料の葉状物は、はじめはケールが使用されていたが、その後、イタリアで結球性キャベツが使用され、現在のロールキャベツの原型ができあがった。日本には、当初よりこの形で導入され、大正時代には一般的になり、第二次世界大戦後には、急速に消費量が伸びて、現在では、一般的な料理として、ますます消費量が伸びている。
ロールキャベツは、形状等の観点からみると、各種のものが市場にでまわっている。日本では、例えば、俵型、丸型、巾着型などの形状を中心に、形状を固定するために干瓢等のひも状の留め具を用いたものが一般的である。このひも状の留め具には、昆布、パパイヤを干瓢状にしたもの等、様々なものが知られている。
ロールキャベツに関しては、例えば、特開昭58−183055号公報(特許文献1)には、干瓢を用いて、ベーコンをロールキャベツに巻きつけることを特徴とするベーコン巻きロールキャベツが開示されている。また、特開昭57−138355号公報(特許文献2)には、小片状キャベツを隙間なく並べ、そこに澱粉薄膜を圧着して、キャベツを相互につないでなるシート状キャベツを用いてシートを作成し、その他面に粉末状結着剤をふりかけ、具を載せることを特徴とするロールキャベツの製造方法が開示されている。更に、特開2006−20593号公報(特許文献3)には、キャベツの葉を広げ、葉の上に、肉具材を載せて広げて、キャベツ葉と具材の層状物を形成した、断面渦巻き状ロールキャベツの製造方法が開示されている。
しかしながら、これら文献には、ひも状の留め具を使用しないロールキャベツの製造方法も開示されているが、キャベツ葉をつなぐために、結着剤を用いたり、層状にする必要があったりするものであった。このためロールキャベツの成形において、追加の工程が必要であり、より効率的なロールキャベツの製造方法が依然として望まれていた。特に、一旦巻いたキャベツが巻き戻ることを防止するための干瓢状ひも状留め具を使用する必要のない、ロールキャベツの製造方法が依然として望まれていた。
特開昭58−183055号公報 特開昭57−138355号公報 特開2006−20593号公報
発明の概要
本発明者らは今般、ロールキャベツの葉に注目し、使用するキャベツ葉に、芯に近い部分の側から葉脈方向に沿って3分の2程度の切れ目を入れ、これを折り重ねて帯状の状態にし、これで肉具を巻くことによって、干瓢等のひも状のキャベツの巻き戻り防止留め具を使用することなく、煮込んでもくずれない、形態が安定したロールキャベツを効率的に製造することができることを見出した。このロールキャベツは食感的にも優れたものであった。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は、干瓢等のひも状のキャベツの巻き戻り防止留め具を用いることなく、形態が安定したロールキャベツおよびその製造方法を提供することをその目的とする。
本発明によるロールキャベツの製造方法は、芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ葉を用意し、該キャベツ葉を折り重ねて帯状として、これにより、食肉を主原料とする肉具を巻いて縛ることによって、ロールキャベツとすることを含んでなる。
また本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明によるロールキャベツの製造方法は、
食肉を主原料とする成形した肉具を、キャベツ白葉により巻き、白葉で巻いた肉具を形成する一方で、
芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ緑葉を用意し、該キャベツ緑葉を折り重ねて、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体を形成させ、
この部分積層体におけるキャベツが重なっている部分上に、白葉で巻いた肉具を載せ、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体で巻いて縛ることによって、ロールキャベツとする
ことを含んでなる。
また本発明の一つのより好ましい態様によれば、本発明によるロールキャベツの製造方法は、
食肉を主原料とする成形した肉具を、キャベツ白葉により巻き、白葉で巻いた肉具を形成する一方で、
芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ緑葉を用意し、該キャベツ緑葉において切れ目によって分かれた一方の芯に近い部分を、葉先方向に向かって、折り目が葉脈とほぼ直交するように折って、キャベツ緑葉の第1の重なり部分を形成させ、次いで、切れ目および葉先方向に向かってのその延長線が折れ目となるように、この第1の重なり部分を折って、第2の重なり部分を有する、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体を形成させ、
この第2の重なり部分上に、白葉で巻いた肉具を載せて、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体で巻いて縛ることによって、ロールキャベツとする
ことを含んでなる。
また本発明によるロールキャベツは、本発明による製造方法により得られるものであって、肉具とキャベツとから実質的になるものである。
本発明によれば、干瓢等のひも状のキャベツの巻き戻り防止留め具を用いることなく、効率的に、形態の安定したロールキャベツを製造することができる。すなわち、本発明によるロールキャベツは、干瓢等の巻き戻り防止留め具を使用しなくとも、煮崩れし難い。また通常のロールキャベツの製造工程では、干瓢を用いてキャベツを縛る最終工程が必要になるが、本発明においてはその必要はない。すなわち、通常のロールキャベツの製造工程においては、干瓢を巻く工程が全体の作業量の30〜40%を占めているが、本発明においてはそれが不要になるため、従来の製造方法に比べて作業効率が30〜40%アップし大幅な効率化が期待できる。
また本発明によるロールキャベツは、干瓢等の巻き戻り防止留め具を使用しないため、食感も良好である。また、干瓢等を使用しないため、煮込み時間、すなわち、調理時間を短くすることができる。さらに本発明によるロールキャベツの製造方法は、キャベツ白葉や小さな葉も使用可能なため、キャベツの使用効率に優れ、より無駄を少なくすることができる。こ
発明の具体的説明
ロールキャベツの製造方法
本発明においては、まず食肉を主原料とする肉具と、キャベツ葉、詳しくはキャベツの白葉および緑葉とを準備する。
ここで、本発明における肉具は、食肉を主原料とした練り状物であれば特に制限されず、主原料とする食肉としては、ニワトリ肉等の家禽肉、ブタ肉やウシ肉等の畜肉、魚肉等の水産物を挙げることができる。これら食肉は、典型的には挽肉としたものが使用される。挽肉は合い挽き肉としても良い。肉具には、食肉に加えて他の材料を配合することができる。このような他の材料としては、例えば、刻みタマネギ、キャベツ、シイタケ、マッシュルーム、タケノコ、アスパラ、くわい、人参、いんげん、米、つなぎとしてのパン粉、牛乳、卵、調味料、香辛料等を挙げることができる。肉具に他の材料が含まれる場合、肉具における主原料の食肉の割合は、例えば、20〜70重量%、好ましくは40〜60重量%程度である。
なお本明細書において、「約」もしくは「〜程度」を用いた値もしくは領域の表現は、その値もしくは領域を設定することによる目的を達成する上で、当業者であれば許容することができる値もしくは領域の変動を含む意味である。
本発明において、肉具を覆う葉状物としては、典型的には、キャベツの葉(白葉および緑葉を含む)を使用するが、所謂、食用となりうる「葉もの」であれば、特に限定されず、キャベツの代替えとして使用することができる。本発明におけるキャベツは、そのような葉ものを含むものとして観念することができる。そのようなキャベツ以外の葉状物の例としては、例えば、白菜等のアブラナ科の野菜の葉が挙げられる。
本発明のロールキャベツにおいては、キャベツの葉として、典型的には、キャベツ白葉とキャベツ緑葉を使用する。ここでキャベツ緑葉とは、入手したキャベツを外側から葉を剥がして行った場合に、緑色の色合いの濃い外側に近い部分の葉を言い、また、キャベツ白葉は、キャベツから緑葉を順次剥がして行った後に現れてくる白色の色合いの強い葉を言う。ある特定のキャベツから白葉と緑葉を採取する場合、白葉であるか緑葉であるかの境界は必ずしも明確ではないが、所望する最終製品であるロールキャベツの外側の色合いとして許容できるものであれば、緑葉と分類することができる。所望する最終製品の状態(製品の仕様)を想定することによって、当業者であればこれらの分類は容易に行うことができる。
本発明において、ロールキャベツの製造の際に使用されるキャベツの葉としては、通常は、ブランチング処理が施されているものを使用する。ここでいうブランチング(blanching)処理とは、入手したキャベツの生の葉を、加熱処理等により、肉具を巻くことができる程度に柔らかくした状態にすることをいい、その処理条件は、前記目的を達成できる限りにおいて特に制限されない。当業者であれば、使用する葉の大きさ、葉の厚さ、状態等に応じて、ブランチング時間や温度等の処理条件を適宜設定することができる。典型的なブランチング処理の条件を挙げれば、80℃〜100℃の湯水で30秒〜5分間加熱処理することが挙げられる。湯水には必要に応じて食塩等を加えても良い。
材料とするキャベツの前処理法を具体例を挙げて説明すれば下記の通りである。まず、入手したキャベツの芯部を取り除き、所定のブランチング処理を施す。この場合の処理条件としては、例えば、90℃の熱水で180秒間ブランチングするものが挙げられる。ブランチした後、必要に応じて流水や冷水等によりさらに冷却し、キャベツの葉を剥がし、計量や選別等を行う。このとき、キャベツの白葉か緑葉かの選別も行うことができる。
用意した食肉を主原料とする肉具は、予め丸く(丸形状に)成形しておくのが好ましい。食肉を主原料とする成形した肉具を、キャベツ白葉により巻き、白葉で巻いた肉具を形成しておく。ここでの巻き方は、通常のロールキャベツの丸型または俵型の形状を形成できる巻き方であれば特に限定されない。例えば、キャベツ白葉の芯部に近い側(葉脈の根本に近い部分)から葉先方向に向かって1〜2巻きし両側を具材が見えなくなるようにして、併せて所定の幅になるように折り畳んだ後、葉先方向に再度巻き上げるとしても良い。或いは、先に両側(キャベツ葉の芯部に近い側と葉先側)を折り畳んだ後に巻き上げるようにしても良い。
本発明においては、この白葉で巻いた肉具をキャベツ緑葉でさらに巻くが、この際、緑葉を予め所定の形状に加工し(切れ目を入れ)、折りたたんでおくことが重要である。
まず、用意したキャベツ緑葉(図1および図2の10)を広げ、ここに切れ目(図1の21)を入れる。切れ目は、芯に近い部分から、葉脈に沿って葉先方向に少なくとも一つ(好ましくは一つ)入れる。このとき、緑葉に入れられた切れ目の長さが、芯に近い部分から葉脈に沿って葉先までの長さを全長とした場合に、その3分の2程度の長さであることが好ましい。このような長さの切れ目を入れることにより、後述するような所望の形状となるように効率良く折りたたむことができる。
本発明においては、このような切れ目を入れたキャベツ緑葉を折り重ねて、一部にキャベツの折り重なり部分を有する、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体を形成させ、これを白葉で巻いた肉具をさらに巻くのに使用する。
具体的には、切れ目を入れたキャベツ緑葉(図1および図2の20)において、切れ目(図1の21)よって分かれた一方の芯に近い部分を、葉先方向に向かって、折り目(図1の22)が葉脈とほぼ直交するように折り、切れ目によって分かれた一方の側のみ葉を折って重ねる。なお切れ目によって分かれた他方の側は折りたたむことなくそのままにする。このとき、好ましくは、葉先側に近い側から少なくとも3分の1程度の長さのところは残すように、折り目を入れて折る。このようにして葉を折って重ね合わせることによって、葉が重なり合っている部分(キャベツ緑葉の第1の重なり部分)(図1の31)が形成される。
次いで、切れ目(図1の21)および葉先方向に向かってのその延長線が折れ目(図1の32)となるように(換言すると、葉脈に沿った方向の長側面を揃えるように)、この第1の重なり部分を折り曲げて、切れ目によって分かれた他方の側の葉先に近い側に重なるようにする。このようにして葉をさらに折って重ね合わせることによって、葉が重なり合っている部分(キャベツ緑葉の第2の重なり部分)(図1の41および51)が形成され、キャベツ緑葉自体は、帯状(もしくは矩形に近い形状)になる(図1および図2の40および50)。本発明においては、この状態(形状)となったキャベツ緑葉を、一部に葉が重なり合っている部分を有することから、キャベツ緑葉の「部分積層体」と呼ぶこととする。
本発明においては、このようにして形成されたキャベツ緑葉の部分積層体における、キャベツが重なっている部分上(特に、第2の重なり部分(図1の51))に、前記で得られた白葉で巻いた肉具(図1の52)を載せ、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体で巻いて縛ることによって、ロールキャベツを調製することができる。
このとき、縛り方は、キャベツ緑葉の部分積層体に載せた白葉で巻いた肉具を巻いて、該部分積層体の帯状の両端を使って肉具を縛るようにして行うことができる。
また、キャベツ緑葉の部分積層体上に、白葉で巻いた肉具を載せる際、肉具を巻いた白葉の端部が下側になるように置いて、縛るようにすることが好ましい。
縛った後は、そのまま製品としてのロールキャベツとして利用しても良いが、必要により、縛った後にはみ出しているキャベツ差部分をロールキャベツ本体に折り込む(図1および図2の70)か、または切断処理等により削除してもよい。得られたロールキャベツはさらに必要に応じて、丸形状となるように成形する処理を施しても良い。このような処理としては、例えば、ロールされたキャベツをひっくり返し、親指と人差し指の間を使い、手動で丸く成形することができる。かくして、本発明によるロールキャベツ(完成品)(図1および図2の80)を得ることができる。
本発明による製造方法は、上述の通り、一見すると手作業によるところが多いが、これは、包装工程を含む各種の食品加工機を用いることによって同様な製品を得ることができきよう。
本発明の別の態様によれば、前記したように、本発明による製造方法により得られるロールキャベツであって、肉具とキャベツとから実質的になるロールキャベツが提供される。ここで、「実質的に」とは、本発明によるロールキャベツが、肉具とキャベツとからなり、干瓢等の巻き戻りを防止する留め具を使用していない構成を有することを意味する。したがって、「実質的に」とは、干瓢等の巻き戻りを防止する留め具を使用していない構成を有する限り、ロールキャベツに不可避的に含まれうる成分、例えば煮汁やそれに含まれうる煮物片等は排除しない主旨である。本発明によるロールキャベツは、好ましくは、肉具が、キャベツ白葉と、キャベツ緑葉とに覆われてなる。
本発明によるロールキャベツは、上記した製造方法により得られる状態にてそのまま製品として提供しても良いが、必要に応じて、加熱調理して提供してもよい。さらに、必要に応じて加熱調理したロールキャベツを冷凍にして、冷凍状態として提供してもよい。
ここで加熱調理とは、通常の調理処理を施す場合の他、需要者に提供する直前の状態で保存を可能とするために、スチーム加熱等により加熱処理しておく場合も含まれる。前記通常の調理処理としては、例えば、鍋にロールキャベツをすきまなく並べ、ひたる程度のスープ(コンソメ等)で中火で約15分煮込む等のような一般需要者による調理が挙げられる。また、冷凍状態にするために冷凍処理としては、当該技術分野で当業者に慣用の冷凍方法であれば特に制限されないが、ロールキャベツ中に生じる氷結をできる限り抑制しうる点から急速冷凍(例えば−25℃以下での急速冷凍)することが好ましい。
本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験1: ロールキャベツの加熱調理による耐久性および食感
使用する肉具を、食肉(豚肉)2.5gと、他の材料(玉ネギ、刻みキャベツ、パン粉、調味料等)として5.5gとを混ぜ合わせることにより調製した。
使用するキャベツ葉は、用意した生のキャベツ葉(白葉および緑葉を含む)にブランチング処理(90℃の湯水にて180秒通す)を予め施したものを用意した。
これらを用いて、下記のようなロールキャベツを作成した。作成したロールキャベツの重量はいずれも20gに統一させた。
・ロールキャベツ1(本発明):
本発明の方法に従いロールキャベツ1を作成した。作成の際、芯部から3分の2程度のところまで切れ目入れたキャベツ緑葉を使用した。本発明に従い、干瓢等の巻き戻し防止のためのものは使用せず、外側を覆うキャベツは、キャベツ自体を結ぶことによって固定した。作成したロールキャベツは、直径30mm、および、高さ15mmであった。
・ロールキャベツ2(比較例):
肉具を従来の方法にしたがってキャベツで巻き、その巻き戻しを防止するために、これをさらに干瓢で縛って固定した。作成したロールキャベツは、直径30mm、および、高さ40mmであった。
・ロールキャベツ3(比較例):
干瓢の代わりに、つま楊枝にてキャベツを固定した以外は、ロールキャベツ2と同様にして作成した。
・ロールキャベツ4(比較例):
干瓢の代わりに、パパイヤかんぴょうを使用した以外は、ロールキャベツ2と同様にして作成した。
・ロールキャベツ5(比較例):
干瓢を使わず、ロールキャベツの巻き戻りの防止手段を講じないこととした以外は、ロールキャベツ2と同様にして作成した。
得られたロールキャベツ1〜5を、鍋にすきまなく並べ、ひたる程度のコンソメスープで中火で約15分煮込んで、加熱処理を施した。加熱処理後の各ロールキャベツについて、下記表1に従って、その耐久性および食感を評価し、さらに総合的な評価も行った。
結果は下記表2に示される通りであった。
ロールキャベツ2(比較例)は、食感の面において、干瓢の固さが残っていた。ロールキャベツ3(比較例)は、調理後につま楊枝を外す必要があるため、製造効率の観点から総合評価が低くなった。ロールキャベツ4(比較例)は、干瓢に比べると柔らかい食感はあるが、ロールキャベツ1および3に比べると食感は劣るものであった。さらに、ロールキャベツ5(比較例)は、調理時の耐久性が無く(形が崩れてしまうため)、食感の採点ができなかった。
試験2: ロールキャベツにおけるキャベツの利用率
原料のキャベツを100%とし、ロールキャベツを調製した場合のキャベツの利用率を計算した。
具体的には、下記のようなキャベツを調製した。肉具は前記試験1と同様にした。
キャベツはまずホールの状態のものを用意し、この重量を測定した。次いで、下記の各キャベツを各ホールキャベツから所定の工程に従って調製した。そして、調製工程における、芯抜き、洗浄、ブランチング、冷却、検品、選別、巻き工程の各工程のキャベツのロス率(損失率)を合計し、ここからキャベツの利用率を求めた。
・ロールキャベツ1(本発明): キャベツ12g、肉具8g
・ロールキャベツ2(比較例): キャベツ10g、肉具8g、干瓢2g
調製工程中、選別、巻き工程においてロス率に大きな差が見られた。
結果は下記表の通りであった。
利用率
ロールキャベツ1: 10.63 %
ロールキャベツ2: 5.25 %
本発明の製造方法におけるキャベツ葉の折りたたみ方を示す概念図である。 本発明の製造方法におけるキャベツ緑葉上に、キャベツ白葉で巻いた肉具を置く段階を示す概念図である。
符号の説明
10 前処理前のキャベツ緑葉
11 芯部に近い部分
12 葉先
20 前処理後のキャベツ緑葉
21 キャベツ葉に入れられた切れ目
22 折り目
30 一度折られたキャベツ緑葉
31 第1の重なり部分
32 折り目
40 キャベツ緑葉からなる帯状の部分積層体
41 第2の重なり部分
50 キャベツ緑葉からなる帯状の部分積層体
51 第2の重なり部分
52 白葉で巻いた肉具
60 キャベツ緑葉からなる帯状の部分積層体
70 部分積層体の両端を縛ることによって得られたロールキャベツ
71 はみ出している部分のキャベツを中に折り込む
80 完成したロールキャベツ

Claims (7)

  1. 芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ葉を用意し、該キャベツ葉を折り重ねて帯状として、これにより、食肉を主原料とする肉具を巻いて縛ることによって、ロールキャベツとすることを含んでなる、ロールキャベツの製造方法。
  2. 食肉を主原料とする成形した肉具を、キャベツ白葉により巻き、白葉で巻いた肉具を形成する一方で、
    芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ緑葉を用意し、該キャベツ緑葉を折り重ねて、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体を形成させ、
    この部分積層体におけるキャベツが重なっている部分上に、白葉で巻いた肉具を載せ、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体で巻いて縛ることによって、ロールキャベツとする
    ことを含んでなる、請求項1に記載のロールキャベツの製造方法。
  3. 食肉を主原料とする成形した肉具を、キャベツ白葉により巻き、白葉で巻いた肉具を形成する一方で、
    芯に近い部分から葉脈に沿って葉先方向に切れ目を少なくとも一つ入れたキャベツ緑葉を用意し、該キャベツ緑葉において切れ目によって分かれた一方の芯に近い部分を、葉先方向に向かって、折り目が葉脈とほぼ直交するように折って、キャベツ緑葉の第1の重なり部分を形成させ、次いで、切れ目および葉先方向に向かってのその延長線が折れ目となるように、この第1の重なり部分を折って、第2の重なり部分を有する、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体を形成させ、
    この第2の重なり部分上に、白葉で巻いた肉具を載せて、帯状のキャベツ緑葉の部分積層体で巻いて縛ることによって、ロールキャベツとする
    ことを含んでなる、請求項2に記載のロールキャベツの製造方法。
  4. 前記キャベツ緑葉に入れられた切れ目の長さが、芯に近い部分から葉脈に沿って葉先までの長さを全長とした場合に、その3分の2程度の長さである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記肉具が丸形状であり、かつ、前記ロールキャベツを丸形状に成形する工程をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、ロールキャベツであって、肉具とキャベツとから実質的になる、ロールキャベツ。
  7. 肉具が、キャベツ白葉と、キャベツ緑葉とに覆われてなる、請求項6に記載のロールキャベツ。
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Cited By (5)

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