JP2008088732A - 大断面トンネルの施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】施工するべき大断面トンネル3の周方向に沿って多数の小断面トンネル4を配列して施工し、それら小断面トンネルどうしを連結して大断面トンネルの輪郭に沿う覆工体5を先行施工した後、覆工体の内側を掘削して大断面トンネルを完成させる。小断面トンネルおよび覆工体の施工は、(a)ECL工法によるコンクリート覆工6を有する先行トンネル4Aの施工工程、(b)シールド工法によるスチールセグメント覆工7を有する後行トンネル4Bの施工工程、(c)コンクリート覆工とスチールセグメント覆工との連結部の外側地盤に対して止水材注入により地盤改良部9を形成する工程、(d)連結部の内側に開口部を施工する工程、(e)開口部を通して連続する一連の覆工体5を施工する工程、により行う。
【選択図】図4
Description
たとえば特許文献1には、小断面の先行シールドトンネルと後行シールドトンネルとを交互に配列してそれらの覆工体の一部を重合させた状態で一体化させ、かつ双方の覆工体どうしを補強材により連結した構造のトンネル構造体を施工し、その内側を掘削して大断面トンネルを完成させるという工法が提案されている。
また、特許文献2には、小断面の第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとを交互に配列するとともに、第一のシールドトンネルには第二のシールドトンネルに向けて延出する延出部を備えて、その延出部と第二のシールドトンネルとを重合させた構造のトンネル構造体を構築するという工法が提案されている。
また、特許文献2に示される工法では、第一のシールドトンネルを複雑な変断面トンネルとして施工することから、必然的にその施工に際しては極めて特殊なシールド掘削機を必要とするので多大なコストを要するものであり、実用に至っていない。
(a)場所打ちライニング工法によるコンクリート覆工を有する小断面の先行トンネルを間隔を隔てて施工する工程、
(b)シールド工法によるスチールセグメント覆工を有する小断面の後行トンネルを、隣り合う先行トンネル間に該先行トンネルのコンクリート覆工の一部を切除しながら施工することにより、先行トンネルのコンクリート覆工と後行トンネルのスチールセグメント覆工を交互に重合連結する工程、
(c)重合連結したコンクリート覆工とスチールセグメント覆工との連結部の外側の地盤に対して止水材を注入して地盤改良を行う工程、
(d)連結部におけるスチールセグメント覆工およびコンクリート覆工を解体撤去して、連結部の内側に先行トンネルと後行トンネルとを連通せしめる開口部を施工する工程、
(e)先行トンネルと後行トンネルの内部に、開口部を通して連続する一連の覆工体を施工する工程。
特に、先行トンネルと後行トンネルとを重合させた状態で連結して施工するとともに、その連結部の外側の地盤に対してさらに止水材注入による地盤改良を行うので、連結部に対する止水性を確保でき、施工信頼性と安全性を充分に確保することができる。
また、先行トンネルおよび後行トンネルはそれぞれ周知の場所打ちライニング工法(ECL工法)およびシールド工法をそのまま採用可能であるし、連結部の外側地盤に対する止水工法や、先行トンネルと後行トンネルとの連結部に対する開口部の形成工程、先行トンネルおよび後行トンネル内への一連の覆工体の施工工程も在来工法により容易に施工可能であるから、本発明は何等特殊な工法や複雑な施工手段を必要とせず、大断面トンネルを合理的にかつ充分に経済的に施工することが可能である。
また、本実施形態においては小断面トンネル4の径寸法を4m程度とし、それら小断面トンネル4を全32本設けることとしているが、それら小断面トンネル4を、現場打ちライニング工法(ECL工法)によるコンクリート覆工を有する先行トンネル4Aと、シールド工法によるスチールセグメント覆工を有する後行トンネル4Bとにより構成して、それら16本ずつの先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとを交互に配列することとしている。
図1に示すように、施工するべき大断面トンネル3の輪郭に沿ってECL工法により先行トンネル4Aを施工する。その際、各先行トンネル4A間には、次工程で後行トンネル4Bを施工するための間隔を確保するが、その相互間隔は後行トンネル4Bの径寸法よりもやや小さくしておく。各先行トンネル4Aのコンクリート覆工6の厚さはたとえば1m程度と厚くしておくが、そのコンクリート覆工6の一部は後段において切除しかつ解体撤去することが可能な構造としておく。
図2に示すように、先行トンネル4A間にシールド工法によって後行トンネル4Bを施工する。その際、後行トンネル4Bを掘進しながら先行トンネル4Aのコンクリート覆工6の一部を切除して、そこに後行トンネル4Bのスチールセグメント覆工7を重合させ、最終的には全ての先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとを大断面トンネルの周方向に交互に連結する。
また、次工程において後行トンネル4B内から地盤改良工程を実施し、かつスチールセグメント覆工7の一部を解体撤去するので、後段でのそれらの作業を見越して、スチールセグメント覆工7の施工に際しては止水材注入用の特殊なスチールセグメントを使用したり、解体を前提とした継ぎ手を採用することが好ましい。
同じく図2に示すように、先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとを重合させた連結部の外側の地盤に対して、後行トンネル4B内から注入管8を打込み、その注入管8を通して止水材を注入して地盤改良を行って地盤改良部9を形成し、それにより連結部での止水性を確保する。
図3に示すように、後行トンネル4B内からの作業により、連結部における後行トンネル4Bのスチールセグメント覆工7の解体撤去するとともに先行トンネル4Aのコンクリート覆工6を解体撤去してそこに開口部10を形成し、その開口部10を通して先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとを連通させる。
その際、土圧や水圧に抗する必要があれば開口部10を適宜補強すれば良く、そのためには、開口部10を施工するに先立ち、あるいは開口部10を施工しながら、たとえば図示例のようにH形鋼等の鉄骨を補剛材11として所定ピッチで開口部10の位置に設置すれば良い。
図4に示すように、先行トンネル4Aと後行トンネル4Bの内部にコンクリートを打設して開口部10を通して連続する一連の覆工体5を施工する。その覆工体5は鉄筋コンクリート造とすれば良く、その施工に際して配筋や型枠その他の必要な関連作業は相前後して適宜行えば良い。
特に、先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとを重合させた状態で連結して施工するとともに、その連結部の外側にさらに止水材を注入して地盤改良部9を形成するので、連結部に対する止水性を支障なく確保できて施工信頼性と安全性を充分に確保することができる。
また、先行トンネル4Aおよび後行トンネル4Bの施工工程としてはそれぞれ多数の実績のある在来のECL工法およびシールド工法をそのまま採用可能であるし、連結部の外側地盤に対する止水材の注入工程や、先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとの連結部に対する開口部10の形成工程、先行トンネル4Aと後行トンネル4Bの内部への一連の覆工体5の施工工程も在来工法により容易に施工可能であるから、本発明は何等特殊な工法や複雑な施工手段を必要とせず、以上のことから大断面トンネル3を合理的にかつ充分に経済的に施工することが可能である。
また、図示例の実施形態では全ての先行トンネル4Aを施工してから後行トンネル4Bを施工するような説明としたが、一部の先行トンネル4Aを施工した時点でそれに後追いして隣接する後行トンネル4Bを施工することとして、実質的に先行トンネル4Aと後行トンネル4Bとを並行作業により施工することも勿論可能である。
また、シールド工法による施工する後行トンネル4Bをスチールセグメント覆工7ではなくコンクリートセグメント覆工とすることも考えられようが、後行トンネル4B内からの止水材の注入工程や開口部10の施工工程における施工性を考慮するとスチールセグメント覆工7とすべきであり、コンクリートセグメント覆工は好ましくない。
勿論、先行トンネル4AをECL工法ではなくシールド工法により施工してその覆工をコンクリートセグメントやスチールセグメントにより施工することは、後行トンネル4B施工の際に覆工を切除することが困難ないし不可能であるので採用できず、先行トンネル4AはECL工法に限ることは当然である。
4 小断面トンネル
4A 先行トンネル
4B 後行トンネル
5 覆工体
6 コンクリート覆工
7 スチールセグメント覆工
8 注入管
9 地盤改良部
10 開口部
11 補剛材
Claims (3)
- 施工するべき大断面トンネルの周方向に沿って多数の小断面トンネルを配列して施工し、それら小断面トンネルどうしを連結して大断面トンネルの輪郭に沿う覆工体を先行施工した後、覆工体の内側を掘削して大断面トンネルを完成させる大断面トンネルの施工方法であって、
前記小断面トンネルおよび前記覆工体を以下の工程により施工することを特徴とする大断面トンネルの施工方法。
(a)場所打ちライニング工法によるコンクリート覆工を有する小断面の先行トンネルを間隔を隔てて施工する工程、
(b)シールド工法によるスチールセグメント覆工を有する小断面の後行トンネルを、隣り合う先行トンネル間に該先行トンネルのコンクリート覆工の一部を切除しながら施工することにより、先行トンネルのコンクリート覆工と後行トンネルのスチールセグメント覆工を交互に重合連結する工程、
(c)重合連結したコンクリート覆工とスチールセグメント覆工との連結部の外側の地盤に対して止水材を注入して地盤改良を行う工程、
(d)連結部におけるスチールセグメント覆工およびコンクリート覆工を解体撤去して、連結部の内側に先行トンネルと後行トンネルとを連通せしめる開口部を施工する工程、
(e)先行トンネルと後行トンネルの内部に、開口部を通して連続する一連の覆工体を施工する工程。 - 請求項1記載の大断面トンネルの施工方法であって、
(c)工程および(d)工程を後行トンネル内から行うことを特徴とする大断面トンネルの施工方法。 - 請求項1または2記載の大断面トンネルの施工方法であって、
(d)工程において開口部を施工するに際し、開口部を補強するための補剛材を開口部の内側の位置に設けることを特徴とする大断面トンネルの施工方法。
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