JP2008088292A - セルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有してなるセルロースエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、セルロースエステル樹脂からなるフィルムに優れた耐透湿性及び高Rthを付与でき、高温多湿下での耐ブリード性に優れ、かつ製造工程で揮発しにくいセルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有してなるセルロースエステルフィルムを提供することである。
【解決手段】本発明は、構造の異なる2種のエステル化合物を含有してなるセルロースエステル樹脂用改質剤、及び該改質剤とセルロースエステル樹脂とを含有するセルロースエステルフィルムに関するものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、構造の異なる2種のエステル化合物を含有してなるセルロースエステル樹脂用改質剤、及び該改質剤とセルロースエステル樹脂とを含有するセルロースエステルフィルムに関するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光板用保護フィルム等のフィルムを製造する際に使用可能なセルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有したセルロースエステルフィルムに関する。
近年、映像や文字を鮮明に表示できる液晶表示装置を備えたノートパソコンやテレビ等の情報機器が、次々と市場に供給されている。これら情報機器に対する消費者の要望としては、高機能付与の他に、薄型化・軽量化などがある。なかでも薄型化は、省スペース化等を図るうえで重要であり、消費者からも強く要望されている。
情報機器の薄型化を実現するうえで解決すべき1つの課題は、前記情報機器に備えられている液晶表示装置の薄型化を実現することである。前記液晶表示装置は、概略として、2枚のガラス基板の間に電極からなる層と液晶物質からなる層とを有する積層構造体である。該2枚のガラス基板の液晶層と反対側の面には偏光板が貼付されており、該偏光板としては、通常、ポリビニルアルコール(PVA)からなる偏光子の両面に保護フィルムが貼付されたものが使用されている。また、前記偏光板保護フィルムとしては、一般的に透明度が高く、適度な強度であり、かつPVAとの接着性に優れたセルロースエステルフィルムが、使用されている。
しかし、前記セルロースエステルフィルムでは、湿気(水)の浸入を十分に防止することができないため、偏光子の劣化や偏光子と前記フィルムとの剥離を引き起こす場合があった。
したがって、良好な耐透湿性を有する保護フィルムとしては、従来、セルロースエステル樹脂に、トリフェニルホスフェート等の可塑剤を添加したフィルムが使用されている。
したがって、良好な耐透湿性を有する保護フィルムとしては、従来、セルロースエステル樹脂に、トリフェニルホスフェート等の可塑剤を添加したフィルムが使用されている。
また、前記偏光板保護フィルムとしては、液晶表示装置の構造等により異なるものの、通常、膜厚約80μm程度のものが使用されることが多い。近年は、液晶表示装置の薄型化が進行するのに伴って、保護フィルムの更なる薄膜化、目安として約30〜50μmの膜厚のフィルムの検討が進められている。
このような検討が進められる中で、前記可塑剤と前記セルロースエステル樹脂とを含有する従来の偏光板保護フィルムは、その膜厚を要求レベルにまで薄くした場合に、耐透湿性の著しい低下を引き起こすという問題を有していた。
また、前記可塑剤は、セルロースエステル樹脂との相溶性が十分でないため、熱の影響により前記可塑剤がフィルム表面からにじみ出る(ブリードする)場合があった。より具体的には、前記フィルムを液晶表示装置の偏光板保護フィルムに使用した場合、液晶表示装置が有するバックライトの熱等の影響によって前記可塑剤が前記フィルムの表面からブリードし、映像等を鮮明に表示することができなくなるという問題を有していた。
また、前記偏光板保護フィルムには、鮮明な映像等の表示を阻害しないレベルの、優れた表面平滑性が求められていることから、前記可塑剤を含むセルロースエステル樹脂の有機溶剤溶液をフィルム状に流延し、次いで加熱乾燥させる、いわゆる溶液流延法で製造される場合が多い。しかし、前記可塑剤は比較的低分子量であるため、前記加熱乾燥工程で揮発しやすく、揮発した前記可塑剤がフィルム製造装置を構成するウェブやロールなどに付着し装置を汚染するという問題があった。
前記可塑剤のブリード及び揮発のしやすさは、セルロースエステル樹脂が前記偏光板保護フィルム以外の用途、例えば玩具や食器具などに使用される場面において、従来から問題視されていた。かかる問題を解決しうる可塑剤としては、糖アルコールのアセチル化物を主成分とする可塑剤やフタル酸系ポリエステルが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
しかし、前記糖アルコールのアセチル化物とセルロースエステル樹脂とを含有する樹脂組成物からなるフィルムや、フタル酸系ポリエステルとして具体的に記載されている無水フタル酸及び1,3−ブタンジオールを反応させて得られるフタル酸系ポリエステルと、セルロース誘導体樹脂とを含有してなる樹脂組成物を成形して得られたフィルムは、偏光板保護フィルムとして使用可能なレベルの耐透湿性を有しておらず、また、前記可塑剤は、高温多湿下では依然としてブリードしやすいという問題を有していた。
一方で、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールと安息香酸を反応させて得られるエステル化合物及びセルロース系樹脂を含有するフィルムが、耐透湿性に優れることが報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、前記エステル化合物及びセルロース系樹脂を含有するフィルムは、その膜厚を薄く、目安として約40〜50μm程度とした場合に、十分な耐透湿性を維持することができないため、実用には今一歩及ばない。また、前記エステル化合物は、比較的低分子量の化合物であることから、保護フィルムの製造工程における加熱乾燥工程で揮発しやすく、フィルム製造装置を構成するロール等を汚すという問題を有していた。
ところで、液晶表示装置を備えた前記情報機器には、前記した薄型化等の他にも、用途等に応じて様々な特性が消費者等から求められている。とりわけ、液晶テレビ等には、大画面化に伴う広視野角化等が強く求められている。
液晶表示装置の広視野角化は、以前より検討が進められており、例えば偏光板保護フィルムに、広視野角化に寄与しうる光学補償フィルムを貼り合わせる方法等が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
ここで、前記光学補償フィルムとは、前記液晶表示装置を構成する液晶物質によって生じた位相差を補償するものであって、「広視野角化」を実現する上で重要な役割を果たすものである。前記位相差が補償されないと、例えば液晶画面を斜め方向から見た場合に、表示される画像等の色が、本来の色とは異なって見える場合がある。
前記光学補償フィルムとしては、一般に、前記したような機能を発現することを目的として、ある程度の光学異方性を有するものが使用される。かかる光学異方性の程度は、一般にレターデーション値によって把握することが可能である。光学補償フィルムのレターデーション値のうち、フィルムの厚み方向のレターデーション値(Rth)は、一般にレターデーション上昇剤といわれるものを使用することによって調整することが可能である。しかし、前記文献4に記載されているような一般の上昇剤は、セルロースエステル樹脂との相溶性が十分であるとは言いがたいため、光学補償フィルムが高温高湿度下に放置等された場合に、該上昇剤のブリードが引き起こされる場合があった。
前記光学補償フィルムとしては、一般に、前記したような機能を発現することを目的として、ある程度の光学異方性を有するものが使用される。かかる光学異方性の程度は、一般にレターデーション値によって把握することが可能である。光学補償フィルムのレターデーション値のうち、フィルムの厚み方向のレターデーション値(Rth)は、一般にレターデーション上昇剤といわれるものを使用することによって調整することが可能である。しかし、前記文献4に記載されているような一般の上昇剤は、セルロースエステル樹脂との相溶性が十分であるとは言いがたいため、光学補償フィルムが高温高湿度下に放置等された場合に、該上昇剤のブリードが引き起こされる場合があった。
なお、前記厚み方向のレターデーション(Rth)値とは、下記式(A)で定義される値である。
式(A) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
式(A) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
本発明は、セルロースエステル樹脂からなるフィルムに優れた耐透湿性及び高Rthを付与でき、高温多湿下での耐ブリード性に優れ、かつ製造工程で揮発しにくいセルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有してなるセルロースエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために各種検討を進めた結果、特に両末端に芳香族基を有する特定のジエステル化合物の混合物からなるセルロースエステル樹脂用改質剤が、セルロースエステル樹脂を主成分とするフィルムに、格段に優れた耐透湿性及び高Rthを付与できることを見出した。また、前記セルロースエステル樹脂用改質剤は、セルロースエステル樹脂との相溶性に優れることから、高温多湿下であってもフィルム表面からブリードせず、かつ製造工程で揮発しにくいことを見出した。
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される構造を有するエステル化合物(A)、及び下記一般式(II)で示される構造を有するエステル化合物(B)を含有してなることを特徴とするセルロースエステル樹脂用改質剤に関するものである。
また、本発明は、前記セルロースエステル樹脂用改質剤及びセルロースエステル樹脂を含有してなるフィルム、及び偏光板用保護フィルムに関するものである。
本発明によれば、優れた耐透湿性及び高Rthを付与でき、高温多湿下での耐ブリード性に優れ、フィルム製造工程で揮発しにくいセルロースエステル樹脂用改質剤を提供することができる。また、該改質剤とセルロースエステル樹脂とを用いて得られるフィルムは、各種光学フィルムに使用することが可能であり、なかでも光学補償機能を有する偏光板用保護フィルムとして使用することができる。
はじめに、本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤について説明する。
本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤は、下記一般式(I)で示される構造を有するエステル化合物(A)と、下記一般式(II)で示される構造を有するエステル化合物(B)とを含有してなる。セルロースエステル樹脂用改質剤は、前記エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)の組成等によって異なるが、通常、液体状又は固体状である。
前記エステル化合物(A)は、前記一般式(I)で示されるように分子両末端に芳香族モノカルボン酸残基を有するジエステルである。エステル化合物(A)は、後述する本発明のフィルムの耐透湿性を向上させるとともに、セルロースエステル樹脂と例えばエステル化合物(B)との相溶性を向上させることができる。
前記エステル化合物(A)としては、0.5mgKOH/g以下の酸価を有するものを使用することが好ましい。また、前記エステル化合物(A)としては、20mgKOH/g以下の水酸基価を有するものを使用することが好ましく、10mgKOH/g以下の水酸基を有するものを使用することがより好ましい。
前記エステル化合物(A)の酸価は、エステル化合物(A)を製造する際に使用した芳香族モノカルボン酸の未反応物に由来するものであって、フィルムに優れた耐透湿性を付与し、かつ該改質剤自身の安定性を維持するうえで、セルロースエステル樹脂用改質剤中に含まれる未反応の芳香族モノカルボン酸等の含有量は、できる限り少ないことが好ましく、目安として酸価が前記範囲内であることが好ましい。
また、水酸基価は、エステル化合物(A)を製造する際に使用したグリコールの未反応の水酸基に由来するものである。水酸基は水との親和性が高いため、得られるフィルムの耐透湿性を維持するうえで、水酸基価は前記範囲内であることが好ましい。
前記エステル化合物(A)は、例えばグリコールと、芳香族モノカルボン酸とをエステル化反応することによって製造することができる。
前記グリコールは、前記一般式(I)中のG1の構造を構成するものであって、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール等を、単独で使用又は2種以上併用することができる。なかでも1,2−プロピレングリコールまたは2−メチル−1,3−プロパンジオールを使用することが好ましく、更に1,2−プロピレングリコールを使用することが、高温多湿下における耐ブリード性に優れ、かつ十分な耐透湿性を付与可能なセルロースエステル樹脂用改質剤を得るうえで好ましい。
また、前記エステル化合物(A)の製造に使用可能な芳香族モノカルボン酸等としては、例えば安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、テトラメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、クミン酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ナフトエ酸、ニコチン酸、フロ酸、アニス酸等や、これらのメチルエステル及び酸塩化物等を単独で使用又は2種以上併用することができる。前記エステル化合物(A)としては、前記一般式(I)中のR1及びR2が水素原子であるものを使用することが好ましいため、前記芳香族モノカルボン酸としては安息香酸を使用することが、セルロースエステル樹脂に優れた耐透湿性及び高Rthを付与でき、かつ高温多湿下での耐ブリード性に優れたセルロースエステル樹脂用改質剤を得るうえで好ましい。
前記エステル化合物(A)は、前記グリコール及び前記芳香族モノカルボン酸を、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば180〜250℃の温度範囲内で、10〜25時間、周知慣用の方法でエステル化反応させることによって製造することができる。
前記エステル化触媒としては、例えばテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、p−トルエンスルホン酸、ジブチル錫オキサイド等を使用することができる。前記エステル化触媒は、前記グリコール及び前記芳香族モノカルボン酸の全量100質量部に対して0.001〜0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
前記エステル化合物(B)は、前記一般式(II)で示したように、エステル結合を構成する炭素原子が芳香族環またはその誘導体に直接結合した構造を有するものである。エステル化合物(B)は、後述する本発明のフィルムの耐透湿性とRthの向上に寄与する。
また、前記エステル化合物(B)としては、0.5mgKOH/g以下の酸価を有するものを使用することが好ましい。また、前記エステル化合物(A)としては、20mgKOH/g以下の水酸基価を有するものを使用することが好ましく、10mgKOH/g以下の水酸基を有するものを使用することがより好ましい。
前記エステル化合物(B)の酸価は、エステル化合物(B)を製造する際に使用した芳香族ジカルボン酸の未反応カルボキシル基に由来するものであって、フィルムに優れた耐透湿性を付与し、かつ該改質剤自身の安定性を維持するうえで、セルロースエステル樹脂用改質剤中に含まれる未反応の芳香族モノカルボン酸等の含有量は、できる限り少ないことが好ましく、目安として酸価が前記範囲内であることが好ましい。
また、前記水酸基価は、エステル化合物(B)を製造する際に使用したフェノール誘導体の未反応の水酸基に由来するものである。水酸基は水との親和性が高いため、得られるフィルムの耐透湿性を維持するうえで、水酸基価は前記範囲内であることが好ましい。
前記エステル化合物(B)は、例えば芳香族ジカルボン酸と、フェノール誘導体とを縮合反応することによって製造することができる。
前記芳香族ジカルボン酸は、前記一般式(II)中のXの構造を構成するものであって、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができ、これらを単独で使用又は2種以上併用することができる。なかでも、イソフタル酸またはテレフタル酸を使用することが、セルロースエステル樹脂に優れた高Rthを付与でき、かつ高温多湿下での耐ブリード性に優れたセルロースエステル樹脂用改質剤を得るうえで好ましい。
これらの芳香族ジカルボン酸は、このままの形で反応を行う他、ジカルボン酸のメチルエステル化物や酸クロリド物としても用いることができる。例えば、界面縮合法や溶液縮合法では、ジカルボン酸の酸クロリド物を用い、溶融縮合法ではジカルボン酸やそのカルボン酸エステル化物を用いる。
また、前記エステル化合物(B)の製造に使用可能なフェノール誘導体等としては、例えばフェノール、パラクレゾール、メタクレゾール、ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、テトラメチルフェノール、パラエチルフェノール、パラプロピルフェノール、パラターシャリブチルフェノール等が挙げられ、これらを単独で使用又は2種以上併用することができる。前記エステル化合物(B)としては、前記一般式(II)中のR3及びR4が水素原子であるものを使用することが好ましいため、前記フェノール誘導体としてはフェノールを使用することが、セルロースエステル樹脂に優れた高Rthを付与でき、かつ高温多湿下での耐ブリード性に優れたセルロースエステル樹脂用改質剤を得るうえで好ましい。
前記エステル化合物(B)は、脱酢酸縮合法または界面縮合法により製造することができる。
前記脱酢酸縮合法は、フェノール誘導体のフェノール性水酸基を過剰の無水酢酸によりアセチル化した後、芳香族ジカルボン酸と共に脱酢酸反応する方法である。また、界面縮合法は、芳香族ジカルボン酸の酸塩化物を含む有機相と、フェノール誘導体を含む水相を接触させることによってそれらを反応する方法である。
本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤は、前記した方法でそれぞれ製造したエステル化合物(A)とエステル化合物(B)とを混合することによって製造することができる。前記エステル化合物(A)またはエステル化合物(B)が常温で固体状である場合には、それらを加熱条件下で混合し、前記改質剤を製造してもよい。
また、セルロースエステル樹脂に対して、前記エステル化合物(A)と、エステル化合物(B)とを、それぞれ別々に混合することによって後述するセルロースエステル樹脂組成物を製造してもよい。
また、セルロースエステル樹脂に対して、前記エステル化合物(A)と、エステル化合物(B)とを、それぞれ別々に混合することによって後述するセルロースエステル樹脂組成物を製造してもよい。
本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤は、前記エステル化合物(A)を、前記エステル化合物(A)及び前記エステル化合物(B)の合計に対して5〜50質量%含むことが、得られるフィルムの耐透湿性とRthの向上、及びセルロースエステル樹脂とエステル化合物(B)との良好な相溶性を維持する観点から好ましく、8〜45質量%含むことがより好ましく、10〜40質量%含むことが最も好ましい。
次に、セルロースエステル樹脂、及び前記セルロースエステル樹脂用改質剤を含有するフィルムについて説明する。
本発明のフィルムは、セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を含有してなるフィルムである。
本発明のフィルム中に含まれるセルロースエステル樹脂は、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等から得られるセルロースの有する水酸基の一部又は全部がエステル化されたものである。なかでも、綿花リンターから得られるセルロースをエステル化して得られるセルロースエステル樹脂を使用して得られるフィルムは、フィルムの製造装置を構成する金属支持体から剥離しやすく、フィルムの生産効率を向上させることが可能となるため好ましい。
前記セルロースエステル樹脂としては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート及び硝酸セルロース等を使用することができ、これらを単独で使用又は2種以上を併用することが可能である。本発明のフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、セルロースアセテートを使用することが、機械的物性及び透明性に優れたフィルムを得ることができるため好ましい。
前記セルロースアセテートとしては、平均酢化度(結合酢酸量)が54.0質量%〜62.5質量%を有するものを使用することが好ましく、平均酢化度が58.0質量%〜62.5質量%の範囲である、いわゆるセルローストリアセテートを使用することがより好ましい。前記範囲内の平均酢化度を有するセルロースアセテートを使用することによって、得られるフィルムの耐透湿性を向上させることができる。なお、平均酢化度は、セルロースアセテートの全量に対する、該セルロースアセテートをケン化することによって生成する酢酸の質量割合である。
前記セルロースアセテートの数平均分子量は、70,000〜300,000のものが好ましく、80,000〜200,000のものがより好ましい。前記範囲内の数平均分子量を有するセルロースアセテートを使用することによって、得られるフィルムの機械的物性を向上させることができる。
本発明のフィルムは、前記セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を含有してなるセルロースエステル樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得ることができる。
本発明のフィルムは、例えば前記セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を押出機等で溶融混練し、Tダイ等を用いることでフィルム状に成形することによって得られる。
前記セルロースエステル樹脂とセルロースエステル樹脂用改質剤とを混合する際には、前記セルロースエステル樹脂と前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)とをそれぞれ混合、攪拌してもよい。
前記セルロースエステル樹脂とセルロースエステル樹脂用改質剤とを混合する際には、前記セルロースエステル樹脂と前記エステル化合物(A)と前記エステル化合物(B)とをそれぞれ混合、攪拌してもよい。
また、本発明のフィルムは、前記成形方法の他に、例えば前記セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を有機溶剤中に均一に溶解、混合して得られた樹脂溶液を、金属支持体上に流延し乾燥させる、いわゆる溶液流延法で成形することによって得ることができる。溶液流延法によれば、成形途中でのフィルム中における前記セルロースエステル樹脂の配向を抑制することができるため、得られるフィルムは、実質的に光学等方性を示す。前記光学等方性を示すフィルムは、例えば液晶ディスプレイなどの光学材料に使用することができ、なかでも偏光板の保護フィルムに使用することができる。
また、前記方法によって得られたフィルムは、その表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性に優れる。
また、前記方法によって得られたフィルムは、その表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性に優れる。
また、本発明のフィルムを、光学補償機能を必要とする偏光板保護フィルムに使用する場合、該フィルムには、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、OCB(Optically Compensatory Bend)等の液晶表示方式に応じてある程度の異方性が求められる。所望の異方性を有するフィルムは、例えば前記溶液流延法で製造した光学等方性のフィルムを延伸等する方法や、所望の異方性を付与可能な添加剤等をフィルム中に含ませることによって製造することができる。
前記溶液流延法は、主に前記セルロースエステル樹脂と前記セルロースエステル樹脂用改質剤とを有機溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を金属支持体上に流延させる第1の工程、流延させた前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を乾燥させフィルムを形成する第2の工程、及び金属支持体上に形成されたフィルムを金属支持体から剥離し加熱乾燥させる第3の工程からなる。
第1の工程で使用する金属支持体としては、無端ベルト状又はドラム状の金属、例えばステンレス製で、その表面が鏡面仕上げの施されたものを使用することができる。
前記金属支持体上に、前記樹脂溶液を流延させる際には、得られるフィルムに異物が混入することを防止するために、フィルターで濾過した樹脂溶液を使用することが好ましい。
第2の工程における乾燥方法としては、例えば30〜50℃の温度範囲の風を前記金属支持体の上面及び下面に当てることで、流延した前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤のおよそ50質量%〜80質量%程度を蒸発させ、前記金属支持体上にフィルムを形成させる方法がある。
第3の工程は、前記第2の工程で形成されたフィルムを金属支持体上から剥離し、前記第2の工程よりも高温で加熱乾燥させる工程である。前記加熱乾燥方法としては、例えば100〜160℃の温度範囲で段階的に温度を上昇させる方法が寸法安定性を良くするために好ましい。前記温度範囲で加熱乾燥することによって、前記第2の工程で得られたフィルム中に残存する有機溶剤をほぼ完全に除去することができる。
前記樹脂溶液中のセルロースエステル樹脂の濃度としては、10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。
前記セルロースエステル樹脂と前記セルロースエステル樹脂用改質剤とを有機溶剤に混合、溶解する際に使用できる有機溶剤としては、それらを溶解できるものであれば限定されないが、例えば、セルロースエステルとしてセルロースアセテートを使用する場合は、セルロースアセテートの良溶媒として、例えばメチレンクロリド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類を使用することができる。また、前記良溶媒に対して、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の貧溶媒を併用することが、フィルムの生産効率を向上させるうえで好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して使用する場合の質量割合は、良溶媒/貧溶媒=75/25〜95/5の範囲であることがより好ましい。
前記フィルム中に含まれる前記セルロースエステル樹脂用改質剤は、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、3〜30質量部の範囲内であることが好ましく、5〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。前記範囲の前記セルロースエステル樹脂用改質剤を使用することによって、耐透湿性、高Rth、及び高温多湿下における耐ブリード性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明のフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤以外のその他の改質剤、紫外線吸収剤、レターデーション上昇剤、熱可塑性樹脂、マット剤等や、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤等)、染料などを使用することができる。これらは、前記有機溶剤中に前記セルロースエステル樹脂及び前記セルロースエステル樹脂用改質剤を溶解、混合する際に、併せて使用することができる。
前記セルロースエステル樹脂用改質剤以外のその他の改質剤としては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、末端を一価アルコールまたはモノカルボン酸で封鎖したポリエステル等を使用することができる。
前記紫外線吸収剤としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を使用することができる。前記紫外線吸収剤は、前記セルロースエステル100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲内であることが好ましい。
前記レターデーション上昇剤としては、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物や1,3,5−トリアジン環を有する化合物等を使用することができる。前記レターデーション上昇剤は、前記セルロースエステル100質量部に対して0.01〜20質量部、特に1〜10質量部の範囲内であることが好ましい
前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリエステルエーテル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等を使用することができる。
前記マット剤としては、例えば酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク等を使用することができる。前記マット剤は、前記セルロースエステル100質量部に対して、0.1〜0.3質量部の範囲内で使用することが好ましい。
前記染料としては、通常使用されている公知慣用のものを用いることができ、その配合量は本発明の目的を阻害しない範囲であれば、特に限定しない。
本発明のフィルムは、20〜100μmの膜厚を有することが好ましく、25〜80μmの膜厚を有することがより好ましく、30〜50μmの膜厚であることがより好ましい。かかるフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、30〜50μm程度の膜厚を有するフィルムであれば、液晶表示装置の薄型化を図ることが可能で、かつ優れたフィルム強度、湿熱変化による寸法安定性、及び耐透湿性を維持することができる。
また、本発明の偏光板用保護フィルムは、採用する液晶表示方式に応じて異なるものの、概ね70〜400nmの範囲のRthを有していることが、液晶物質由来の位相差を効果的に補償するうえで好ましい。本発明の偏光板用保護フィルムは、ブリード等を引き起こすことなく所望のRthに調整することが可能であることから、比較的高いRthの求められるVA、OCB、及びTN等の液晶表示方式を採用した液晶表示装置にも使用することができる。
本発明のフィルムは、耐透湿性、透明性、非揮発性、高温多湿下における耐ブリード性などに優れることから、例えば液晶表示装置の光学フィルムやハロゲン化銀写真感光材料の支持体等に使用できる。前記光学フィルムとは、例えば、偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルム、カラーフィルター等である。前記光学フィルムのうち、前記したような優れた特性に加えて、高Rthを有するフィルムは、視野角補償機能を有する偏光板用保護フィルムとして使用することが可能である。
以下に本発明の実施例を示す。
[実施例1]
(エステル化合物A1の調製)
1,2−プロピレングリコールを334g、安息香酸を976g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.079gを、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃まで段階的に昇温し、合計10時間脱水縮合反応させた。反応後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコール等を減圧留去することによって、下記表1に示す組成からなるエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を得た。
(エステル化合物A1の調製)
1,2−プロピレングリコールを334g、安息香酸を976g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.079gを、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃まで段階的に昇温し、合計10時間脱水縮合反応させた。反応後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコール等を減圧留去することによって、下記表1に示す組成からなるエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を得た。
(エステル化合物B1の調製)
温度計、攪拌器、窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに蒸留水1000mlを仕込み、窒素を導入しながら水酸化ナトリウム72gを入れ、窒素を十分にバブリングさせ、蒸留水中および反応系内の酸素を除去した。そこへ、フェノール51gを1時間かけて溶解させた。その後、60℃まで昇温した。別のフラスコにトルエン600mlを入れ、イソフタル酸クロリド55gを溶解させた。水溶液を窒素気流下で攪拌しながら、イソフタル酸クロリド溶液を滴下し、60℃で4時間攪拌を続けた。次いで水溶液相を取り除いた後、生成物を含むトルエン相をイオン交換水で数回洗浄した。その後、トルエンを減圧留去し、残った溶液をヘプタン中に滴下して結晶を析出させた。これを濾過して乾燥させることにより、エステル化合物B1(酸価0.30、水酸基価10.0)を得た。
温度計、攪拌器、窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに蒸留水1000mlを仕込み、窒素を導入しながら水酸化ナトリウム72gを入れ、窒素を十分にバブリングさせ、蒸留水中および反応系内の酸素を除去した。そこへ、フェノール51gを1時間かけて溶解させた。その後、60℃まで昇温した。別のフラスコにトルエン600mlを入れ、イソフタル酸クロリド55gを溶解させた。水溶液を窒素気流下で攪拌しながら、イソフタル酸クロリド溶液を滴下し、60℃で4時間攪拌を続けた。次いで水溶液相を取り除いた後、生成物を含むトルエン相をイオン交換水で数回洗浄した。その後、トルエンを減圧留去し、残った溶液をヘプタン中に滴下して結晶を析出させた。これを濾過して乾燥させることにより、エステル化合物B1(酸価0.30、水酸基価10.0)を得た。
エステル化合物A1及びB1を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Aを得た。
[実施例2]
(エステル化合物A2の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを396gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A2(酸価0.15、水酸基価8.2)を得た。
(エステル化合物A2の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを396gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A2(酸価0.15、水酸基価8.2)を得た。
エステル化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物B1(酸価0.30、水酸基価10.0)を使用した。
エステル化合物A2及びB1を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Bを得た。
エステル化合物A2及びB1を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Bを得た。
[実施例3]
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。
(エステル化合物B2の調製)
エステル化合物B1を調製する際に使用したイソフタル酸クロリドの代わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリド69gを使用した以外はエステル化合物B1の調製法と同様の方法で、エステル化合物B2(酸価0.33、水酸基価11.5)を得た。
エステル化合物A1及びB2を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Cを得た。
エステル化合物B1を調製する際に使用したイソフタル酸クロリドの代わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリド69gを使用した以外はエステル化合物B1の調製法と同様の方法で、エステル化合物B2(酸価0.33、水酸基価11.5)を得た。
エステル化合物A1及びB2を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Cを得た。
[実施例4]
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。
(エステル化合物B3の調製)
エステル化合物B1を調製する際に使用したイソフタル酸クロリドの代わりに4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロリド76gを使用した以外はエステル化合物B1の調製法と同様の方法で、エステル化合物B3(酸価0.23、水酸基価7.8)を得た。
エステル化合物A1及びB3を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Dを得た。
エステル化合物B1を調製する際に使用したイソフタル酸クロリドの代わりに4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロリド76gを使用した以外はエステル化合物B1の調製法と同様の方法で、エステル化合物B3(酸価0.23、水酸基価7.8)を得た。
エステル化合物A1及びB3を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Dを得た。
[実施例5]
(エステル化合物A3の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した安息香酸の代わりにp−トルイル酸1088gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A3(酸価0.25、水酸基価6.2)を得た。
(エステル化合物A3の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した安息香酸の代わりにp−トルイル酸1088gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A3(酸価0.25、水酸基価6.2)を得た。
エステル化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物B1(酸価0.30、水酸基価10.0)を使用した。
エステル化合物A3及びB1を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Eを得た。
エステル化合物A3及びB1を下記表1に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Eを得た。
[比較例1]
(エステル化合物A4の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに1,6−ヘキサンジオール519gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A4(酸価0.10、水酸基価8.5)を得た。
(エステル化合物A4の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに1,6−ヘキサンジオール519gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A4(酸価0.10、水酸基価8.5)を得た。
エステル化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物B1(酸価0.30、水酸基価10.0)を使用した。
エステル化合物A4及びB1を下記表2に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Fを得た。
エステル化合物A4及びB1を下記表2に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Fを得た。
[比較例2]
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。
(エステル化合物B4の調製)
エステル化合物B1を調製する際に使用したイソフタル酸クロリドの代わりにアジピン酸クロリド50gを使用した以外はエステル化合物B1の調製法と同様の方法で、エステル化合物B4(酸価0.29、水酸基価12.8)を得た。
エステル化合物A1及びB4を下記表2に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Gを得た。
エステル化合物B1を調製する際に使用したイソフタル酸クロリドの代わりにアジピン酸クロリド50gを使用した以外はエステル化合物B1の調製法と同様の方法で、エステル化合物B4(酸価0.29、水酸基価12.8)を得た。
エステル化合物A1及びB4を下記表2に示す割合で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Gを得た。
[比較例3]
(エステル化合物A5の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール703gを使用したこと以外はエステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A5(酸価0.18、水酸基価11.5)(セルロースエステル樹脂用改質剤H)を得た。
(エステル化合物A5の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール703gを使用したこと以外はエステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A5(酸価0.18、水酸基価11.5)(セルロースエステル樹脂用改質剤H)を得た。
[比較例4]
セルロースエステル樹脂用改質剤Iとしてソルビトールアセテートを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Iとしてソルビトールアセテートを使用した。
[比較例5]
セルロースエステル樹脂用改質剤Jとしてジメチルフタレートを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Jとしてジメチルフタレートを使用した。
[比較例6]
セルロースエステル樹脂用改質剤Kとしてトリフェニルホスフェートを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Kとしてトリフェニルホスフェートを使用した。
[比較例7]
セルロースエステル樹脂用改質剤Lとして1,3−ブタンジオールと無水フタル酸を反応させて得られたポリエステルを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Lとして1,3−ブタンジオールと無水フタル酸を反応させて得られたポリエステルを使用した。
[揮発性]
実施例1〜5及び比較例1〜7の各改質剤を、窒素雰囲気下に130℃で60分間放置した場合の、放置前後の質量減少率をTG−DTA(示差熱熱重量同時測定装置)(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)を用いて測定した。前記改質剤の揮発性は、その用途によって異なるものの、偏光板用保護フィルムに使用する場合には、概ね0.50質量%未満であれば、実用上使用可能である。
実施例1〜5及び比較例1〜7の各改質剤を、窒素雰囲気下に130℃で60分間放置した場合の、放置前後の質量減少率をTG−DTA(示差熱熱重量同時測定装置)(セイコーインスツルメンツ社製DMS6100)を用いて測定した。前記改質剤の揮発性は、その用途によって異なるものの、偏光板用保護フィルムに使用する場合には、概ね0.50質量%未満であれば、実用上使用可能である。
[フィルムの作製]
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各改質剤A〜Lの1gに対して、セルローストリアセテート(酢化度61質量%、重合度265)の10gと、塩化メチレン81g及びメタノール9gからなる混合溶剤とをそれぞれ混合攪拌し、ドープ液を調製した。これらの各ドープ液をガラス板上に約0.5mmの厚さになるようにそれぞれ流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で30分間乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させることで、膜厚約40μmのフィルムA’〜L’を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各改質剤A〜Lの1gに対して、セルローストリアセテート(酢化度61質量%、重合度265)の10gと、塩化メチレン81g及びメタノール9gからなる混合溶剤とをそれぞれ混合攪拌し、ドープ液を調製した。これらの各ドープ液をガラス板上に約0.5mmの厚さになるようにそれぞれ流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で30分間乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させることで、膜厚約40μmのフィルムA’〜L’を得た。
[耐ブリード性]
前記フィルムを30mm×40mmの大きさに切り取り、温度85℃、相対湿度90%の恒温恒湿中に120時間放置した。その後、前記フィルム表面を目視で観察し、改質剤のブリードの程度を以下の基準に従い評価した。
前記フィルムを30mm×40mmの大きさに切り取り、温度85℃、相対湿度90%の恒温恒湿中に120時間放置した。その後、前記フィルム表面を目視で観察し、改質剤のブリードの程度を以下の基準に従い評価した。
○:ブリードしていなかった。
×:ブリードしていた。
×:ブリードしていた。
[耐透湿性]
JIS Z 0208に記載の方法に従い、前記フィルムの透湿度を測定した。測定条件は、温度50℃、相対湿度90%である。前記フィルムの透湿度は、その用途によって異なるものの、概ね1000g/m2・24h未満であれば、偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
JIS Z 0208に記載の方法に従い、前記フィルムの透湿度を測定した。測定条件は、温度50℃、相対湿度90%である。前記フィルムの透湿度は、その用途によって異なるものの、概ね1000g/m2・24h未満であれば、偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
[レターデーション(Rth)]
自動複屈折率計KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、前記フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)を測定した。測定条件は、温度23℃、相対湿度20%の環境下で12時間以上調湿した後、同環境下で測定を行った。前記フィルムのRthは、その用途によって異なるものの、概ね60nm以上であれば、光学補償機能を有する偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
自動複屈折率計KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、前記フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)を測定した。測定条件は、温度23℃、相対湿度20%の環境下で12時間以上調湿した後、同環境下で測定を行った。前記フィルムのRthは、その用途によって異なるものの、概ね60nm以上であれば、光学補償機能を有する偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
実施例及び比較例について評価した結果を、それぞれ表1〜3に示す。
Claims (11)
- 前記エステル化合物(A)が、前記エステル化合物(A)及び前記エステル化合物(B)の合計に対して5〜50質量%含まれる、請求項1に記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記一般式(I)中のR1及びR2が水素原子またはメチル基である、請求項1または2に記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記一般式(I)中のG1が1,2−プロピレングリコール残基または2−メチル−1,3−プロパンジオール残基である、請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記一般式(II)中のR3及びR4が水素原子またはメチル基である、請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記一般式(II)中のXがメタ置換のベンゼン環構造またはパラ置換のベンゼン環構造である、請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記エステル化合物(A)が、0.5mgKOH/g以下の酸価を有し、かつ20mgKOH/g以下の水酸基価を有するものである、請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- セルロースエステル樹脂、及び請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤を含有してなるセルロースエステルフィルム。
- 前記セルロースエステル樹脂用改質剤が、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して3〜30質量部含まれる、請求項10に記載のセルロースエステルフィルム。
- セルロースエステル樹脂、及び請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤を含有してなる偏光板用保護フィルム。
- 前記セルロースエステル樹脂用改質剤が、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して3〜30質量部含まれる、請求項10に記載の偏光板用保護フィルム。
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