JP2008115221A - セルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有してなるセルロースエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、セルロースエステル樹脂からなるフィルムの、厚み方向のレターデーションを実用上十分なレベルにまで低下させることができ、かつ優れた耐透湿性と高温多湿下での耐ブリード性とをフィルムに付与可能なセルロースエステル樹脂用改質剤、ならびにそれを含有してなるセルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明は、分子末端に芳香族環式構造を有する特定のエステル化合物を1〜50質量%と、特定のクエン酸系エステルとを99〜50質量%含有してなることを特徴とするセルロースエステル樹脂用改質剤に関する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、分子末端に芳香族環式構造を有する特定のエステル化合物を1〜50質量%と、特定のクエン酸系エステルとを99〜50質量%含有してなることを特徴とするセルロースエステル樹脂用改質剤に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光板用保護フィルム等のフィルムを製造する際に使用可能なセルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有したセルロースエステルフィルムに関する。
近年、映像や文字を鮮明に表示できる液晶表示装置を備えたノートパソコンやテレビ等の情報機器が、次々と市場に供給されている。これら情報機器に対する消費者の要望としては、先進的な高機能の付与等が挙げられるが、とりわけ、前記液晶表示装置の視認性向上(広視野角化)は、商品価値を左右するうえで重要であり、消費者からも強く要望されている。
前記液晶表示装置は、概略として、2枚のガラス基板の間に電極からなる層と液晶物質からなる層とを有する積層構造体である。前記ガラス基板のうち、液晶層とは反対側の面には偏光板が貼付されており、該偏光板としては、通常、ポリビニルアルコール(PVA)からなる偏光子の両面に保護フィルムを貼付したものが使用されている。前記偏光板保護フィルムとしては、一般的に透明度や光学等方性が高く、適度な強度を有し、かつPVAとの接着性に優れたセルロースエステルフィルムが、従来使用されている。
しかし、従来のセルロースエステルフィルムは、フィルム面内では光学等方性に優れるものの、厚み方向では光学異方性を有している。そのため、前記セルロースエステルフィルムを用いた液晶画面を斜め方向から見た場合に、表示される映像の色が本来の色とは異なって見える場合があった。
したがって、前記液晶表示装置の斜め方向からの視認性を最適化するには、前記フィルムの異方性の程度を把握し、それを考慮して表示装置の光学設計をする必要があった。
したがって、前記液晶表示装置の斜め方向からの視認性を最適化するには、前記フィルムの異方性の程度を把握し、それを考慮して表示装置の光学設計をする必要があった。
なお、光学フィルムの光学異方性の程度は、一般にレターデーション値によって把握することが可能である。光学フィルムのレターデーション値のうち、フィルムの厚み方向のレターデーション値(Rth)は、下記式(1)で定義される値である。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d (1)
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
液晶表示装置の高視認化は、以前より検討が進められており、例えばセルロースエステルと、光学等方性に寄与しうるクエン酸エステルとを含むセルロースエステルフィルムが、比較的異方性が小さく光学的用途に使用できることが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記したような光学的用途では、フィルムが有するRthのより一層の低下が望まれている中で、前記セルロースエステルフィルムのRthは、実用上求められているレベルにあと一歩及ぶものではなかった。
また、前記セルロースエステルフィルムは、偏光子の保護フィルムとしての役割も担うが、前記フィルムでは、外部から偏光子へ湿気(水)の浸入を十分に防止することができず、その結果、偏光子の劣化や、偏光子と前記フィルムとの剥離を引き起こす場合があった。
前記フィルムに耐透湿性を付与する方法としては、セルロースエステル樹脂に、糖アルコールのアセチル化物を主成分とする可塑剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
前記可塑剤であれば、得られるセルロースエステルフィルムのRthをある程度良好なレベルにまで低下することが可能である。しかし、該フィルムは、偏光板保護フィルムとして使用可能なレベルの耐透湿性を有しておらず、また、高温多湿下でブリードしやすいという問題を有していた。
前記可塑剤であれば、得られるセルロースエステルフィルムのRthをある程度良好なレベルにまで低下することが可能である。しかし、該フィルムは、偏光板保護フィルムとして使用可能なレベルの耐透湿性を有しておらず、また、高温多湿下でブリードしやすいという問題を有していた。
本発明は、セルロースエステル樹脂含有フィルムの、厚み方向のレターデーションを実用上十分なレベルにまで低下させることができ、かつ優れた耐透湿性と高温多湿下での耐ブリード性とをフィルムに付与可能なセルロースエステル樹脂用改質剤、ならびにそれを含有してなるセルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために各種検討を進めるなかで、各種添加剤をセルロースエステル樹脂に対して添加することを検討した。
具体的には、分子末端に芳香族環式構造を有する特定のエステル化合物またはクエン酸系エステル化合物と、セルロースエステル樹脂とを含むフィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)や耐透湿性を検討したが、前記エステル化合物やクエン酸系エステル化合物をそれぞれ単独で使用した場合には、実用上十分なレベルにまでフィルムのRthを下げることができなかった。
しかし、さらに検討を進めるなかで、前記特定のエステル化合物を1〜50質量%とクエン酸系エステル化合物を99〜50質量%含む改質剤を、セルロースエステル樹脂に対して混合したところ、前記改質剤成分をそれぞれ単独で使用した場合にはフィルムのRthを実用上十分なレベルにまで下げることができなかったにも関わらず、予想外にも、フィルムのRthを著しく低下させることができ、かつ該フィルムに優れた耐透湿性を付与できることを見出した。
また、前記セルロースエステル樹脂用改質剤は、セルロースエステル樹脂との相溶性に優れることから、高温多湿下であってもフィルム表面からブリードせず、かつ製造工程で安定した光学的に等方性に優れるフィルムを提供できることを見出した。
また、前記セルロースエステル樹脂用改質剤は、セルロースエステル樹脂との相溶性に優れることから、高温多湿下であってもフィルム表面からブリードせず、かつ製造工程で安定した光学的に等方性に優れるフィルムを提供できることを見出した。
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される構造を有するエステル化合物(A)を1〜50質量%、及び下記一般式(II)で示される構造を有する化合物(B)を99〜50質量%含有してなることを特徴とするセルロースエステル樹脂用改質剤に関するものである。
(一般式(II)中のR3は、水素原子、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはアシル基を表し、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表す。但し、R4、R5及びR6の少なくとも2つは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である。)
また、本発明は、前記セルロースエステル樹脂用改質剤及びセルロースエステル樹脂を含有してなるセルロースエステルフィルム、及び偏光板用保護フィルムに関するものである。
本発明によれば、厚み方向のレターデーションが実用上十分なレベルにまで低く、かつ耐透湿性と高温多湿下での耐ブリード性に優れたセルロースエステルフィルムを得ることができる。得られた該フィルムは、例えば液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体及びカラーフィルターなどの各種光学フィルムに使用することが可能であり、なかでも光学的に等方性が必要とされる偏光板用保護フィルムとして使用することができる。
はじめに、本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤について説明する。
本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤は、下記一般式(I)で示される構造を有するエステル化合物(A)と、下記一般式(II)で示される構造を有する化合物(B)とを含有してなる。セルロースエステル樹脂用改質剤は、前記エステル化合物(A)及び化合物(B)の組成等によって異なるが、通常、液体状又は固体状であり、液状のものがより好ましい。
(一般式(II)中のR3は、水素原子、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはアシル基を表し、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表す。但し、R4、R5及びR6の少なくとも2つは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である。)
本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤中に含まれる前記エステル化合物(A)は、前記セルロースエステル樹脂用改質剤全量に対して1〜50質量%含むことが、得られるフィルムのRthを低下させ、かつ耐透湿性を向上させるとともに、セルロースエステル樹脂とエステル化合物(B)との良好な相溶性を維持する観点から好ましく、5〜40質量%含むことがより好ましく、10〜35質量%含むことが最も好ましい。前記エステル化合物(A)の含有量が1質量%未満の場合は、フィルムのRthを十分に低下させることができず、また、エステル化合物(A)の含有量が50質量%を超える場合には、フィルムのRthを上昇させてしまい、所望の光学特性を有するフィルムを得ることが困難である。
前記エステル化合物(A)は、前記一般式(I)で示されるように分子両末端に芳香族モノカルボン酸残基を有するジエステルである。エステル化合物(A)は、後述する本発明のフィルムの耐透湿性を向上させるとともに、セルロースエステル樹脂と例えば化合物(B)との相溶性を向上させることができる。
前記エステル化合物(A)としては、0.5mgKOH/g以下の酸価を有するものを使用することが好ましい。また、前記エステル化合物(A)としては、20mgKOH/g以下の水酸基価を有するものを使用することが好ましく、10mgKOH/g以下の水酸基を有するものを使用することがより好ましい。
前記エステル化合物(A)の酸価は、エステル化合物(A)を製造する際に使用した芳香族モノカルボン酸の未反応物に由来するものであって、フィルムに優れた耐透湿性を付与し、かつ該改質剤自身の安定性を維持するうえで、セルロースエステル樹脂用改質剤中に含まれる未反応の芳香族モノカルボン酸等の含有量は、できる限り少ないことが好ましく、目安として酸価が前記範囲内であることが好ましい。
また、水酸基価は、エステル化合物(A)を製造する際に使用したグリコールの未反応の水酸基に由来するものである。水酸基は水との親和性が高いため、得られるフィルムの耐透湿性を維持するうえで、水酸基価は前記範囲内であることが好ましい。
前記エステル化合物(A)は、例えばグリコールと、芳香族モノカルボン酸とをエステル化反応することによって製造することができる。
前記グリコールは、前記一般式(I)中のG1の構造を構成するものであって、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール等を、単独で使用又は2種以上併用することができるが、なかでも1,2−プロピレングリコールを使用することが、高温多湿下における耐ブリード性に優れ、かつ十分な耐透湿性を付与可能なセルロースエステル樹脂用改質剤を得るうえで好ましい。
また、前記エステル化合物(A)の製造に使用可能な芳香族モノカルボン酸等としては、例えば安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、テトラメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、クミン酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ナフトエ酸、ニコチン酸、フロ酸、アニス酸等や、これらのメチルエステル及び酸塩化物等を単独で使用又は2種以上併用することができる。前記エステル化合物(A)としては、前記一般式(I)中のR1及びR2が水素原子であるものを使用することが好ましいため、前記芳香族モノカルボン酸としては安息香酸を使用することが、セルロースエステル樹脂に優れた耐透湿性及び低Rthを付与でき、かつ高温多湿下での耐ブリード性に優れたセルロースエステル樹脂用改質剤を得るうえで好ましい。
前記エステル化合物(A)は、前記グリコール及び前記芳香族モノカルボン酸を、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば180〜250℃の温度範囲内で、10〜25時間、周知慣用の方法でエステル化反応させることによって製造することができる。
前記エステル化触媒としては、例えばテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、p−トルエンスルホン酸、ジブチル錫オキサイド等を使用することができる。前記エステル化触媒は、前記グリコール及び前記芳香族モノカルボン酸の全量100質量部に対して0.001〜0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
次に、前記一般式(II)で示される構造を有する化合物(B)について説明する。
前記化合物(B)は、前記一般式(II)で示される、クエン酸由来の構造単位を有するものであって、前記エステル化合物(A)と特定の混合割合で使用した場合に、後述する本発明のセルロースエステルフィルムのRthを格段に低下させることが可能である。
前記化合物(B)は、前記一般式(II)で示される、クエン酸由来の構造単位を有するものであって、前記エステル化合物(A)と特定の混合割合で使用した場合に、後述する本発明のセルロースエステルフィルムのRthを格段に低下させることが可能である。
前記化合物(B)としては、クエン酸が有する3個のカルボキシル基の全部、または2個のカルボキシル基が、モノアルコール等によってエステル化された化合物や、クエン酸の有する水酸基がカルボン酸無水物等によってエステル化またはハロゲン化アルキル化合物によってエーテル化された化合物等を使用することができる。
前記一般式(II)中のR3は、水素原子、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはアシル基を表す。
前記1〜8個の炭素原子を有するアルキル基は、例えばクエン酸の有する水酸基とハロゲン化アルキル化合物とを反応させた場合に形成される。
前記1〜8個の炭素原子を有するアルキル基は、例えばクエン酸の有する水酸基とハロゲン化アルキル化合物とを反応させた場合に形成される。
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
また、前記1〜8個の炭素原子を有するアシル基は、例えばクエン酸の有する水酸基とカルボン酸無水物等とを反応させた場合に形成される。
前記アシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、カプロイル基等が挙げられるが、なかでもアセチル基であることが、優れた耐透湿性と高温多湿下での耐ブリード性を付与可能な改質剤を得るうえで好ましい。
また、前記一般式(II)中のR4、R5、及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表す。但し、R4、R5、及びR6の少なくとも2個は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である。
前記1〜12個の炭素原子を有するアルキル基は、クエン酸が有する3個のカルボキシル基の全部、または2個のカルボキシル基と、モノアルコールとをエステル化反応することによって形成されるモノアルコール残基であって、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられるが、なかでもn−ブチル基であることがより好ましい。
以上のように、化合物(B)としては、前記一般式(II)中のR3がアセチル基であり、かつR4、R5、及びR6がいずれもn−ブチル基であるものを使用することが、後述するセルロースエステル樹脂に優れた低Rthと耐透湿性を付与でき、また、エステル化合物(A)とセルロースエステル樹脂との相溶性が向上することにより、高温多湿下での本発明の改質剤のフィルムからのブリードを防止することができる。
また、前記化合物(B)としては、0.1mgKOH/g以下の酸価を有するものを使用することが好ましい。
前記化合物(B)は、クエン酸とモノアルコールとを、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば100〜150℃の温度範囲内で、10〜15時間、周知慣用の方法でエステル化反応することによって製造することができる。
また、前記化合物(B)としては、前記クエン酸とモノアルコールとのエステル化反応物と、カルボン酸無水物又は酸ハロゲン化物、又はハロゲン化アルキル化合物とを反応して得られたものを使用してもよい。
また、前記化合物(B)としては、前記クエン酸とモノアルコールとのエステル化反応物と、カルボン酸無水物又は酸ハロゲン化物、又はハロゲン化アルキル化合物とを反応して得られたものを使用してもよい。
前記モノアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール等を使用できるが、n−ブタノールを使用することが好ましい。
前記カルボン酸無水物としては、例えば無水酢酸や無水プロピオン酸等を使用することができ、前記酸ハロゲン化物としては、例えば塩化アセチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル等を使用でき、前記ハロゲン化アルキル化合物としては、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化2−エチルヘキシル等を使用できるが、なかでも無水酢酸を使用することが好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤は、前記エステル化合物(A)及び前記化合物(B)をそれぞれ別々に製造し、次いでそれらを混合することによって製造する方法が、生産行程上好ましい。
次に、セルロースエステル樹脂、及び前記セルロースエステル樹脂用改質剤を含有するフィルムについて説明する。
本発明のフィルムは、セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を含有してなるフィルムである。
本発明のフィルムは、様々な用途で用いることができる。最も有効なのは液晶表示装置の等方性を必要とする偏光板保護フィルムであるが、光学補償機能を必要とする偏光板保護フィルムの支持体にも使用することができる。本発明のフィルムには、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。例えばTN(ツイスティッド ネマチック:Twisted Nematic)、VA(バーティカリー アラインド:Vertically Aligned)、OCB(オプティカリー コンペンセートリー ベンド:Optically Compensatory Bend)、IPS(イン−プラン スイッチング:In−Plane Switching)等が例示できる。
本発明のフィルム中に含まれるセルロースエステル樹脂としては、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等から得られるセルロースの有する水酸基の一部又は全部がエステル化されたものである。なかでも、綿花リンターから得られるセルロースをエステル化して得られるセルロースエステル樹脂を使用して得られるフィルムは、フィルムの製造装置を構成する金属支持体から剥離しやすく、フィルムの生産効率を向上させることが可能となるため好ましい。
前記セルロースエステル樹脂としては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート及び硝酸セルロース等を使用することができ、これらを単独で使用又は2種以上を併用することが可能である。本発明のフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、セルロースアセテートを使用することが、機械的物性及び透明性に優れたフィルムを得ることができるため好ましい。
前記セルロースアセテートとしては、平均酢化度(結合酢酸量)が54.0質量%〜62.5質量%を有するものを使用することが好ましく、平均酢化度が58.0質量%〜62.5質量%の範囲である、いわゆるセルローストリアセテートを使用することがより好ましい。前記範囲内の平均酢化度を有するセルロースアセテートを使用することによって、得られるフィルムの耐透湿性を向上させることができる。なお、平均酢化度は、セルロースアセテートの全量に対する、該セルロースアセテートをケン化することによって生成する酢酸の質量割合である。
前記セルロースアセテートの数平均分子量は、70,000〜300,000のものが好ましく、80,000〜200,000のものがより好ましい。前記範囲内の数平均分子量を有するセルロースアセテートを使用することによって、得られるフィルムの機械的物性を向上させることができる。
また、前記フィルム中に含まれる前記セルロースエステル樹脂用改質剤は、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、3〜30質量部の範囲内であることが好ましく、5〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。前記範囲の前記セルロースエステル樹脂用改質剤を使用することによって、耐透湿性、低Rth、及び高温多湿下における耐ブリード性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明のフィルムは、前記セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を含有してなるセルロースエステル樹脂組成物をフィルム状に成形することにより得ることができる。
本発明のフィルムは、例えば前記セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を押出機等で溶融混練し、Tダイ等を用いることでフィルム状に成形することによって得られる。
また、本発明のフィルムは、前記成形方法の他に、例えば前記セルロースエステル樹脂、前記セルロースエステル樹脂用改質剤、及び必要に応じてその他の各種添加剤等を有機溶剤中に均一に溶解、混合して得られた樹脂溶液を、金属支持体上に流延し乾燥させる、いわゆる溶液流延法で成形することによって得ることができる。溶液流延法によれば、成形途中でのフィルム中における前記セルロースエステル樹脂の配向を抑制することができるため、得られるフィルムは、実質的に光学等方性を示す。前記光学等方性を示すフィルムは、例えば液晶ディスプレイなどの光学材料に使用することができ、なかでも偏光板の保護フィルムに使用することができる。また、前記方法によって得られたフィルムは、その表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性に優れる。
前記溶液流延法は、主に前記セルロースエステル樹脂と前記セルロースエステル樹脂用改質剤とを有機溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を金属支持体上に流延させる第1の工程、流延させた前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を乾燥させフィルムを形成する第2の工程、及び金属支持体上に形成されたフィルムを金属支持体から剥離し加熱乾燥させる第3の工程からなる。
第1の工程で使用する金属支持体としては、無端ベルト状又はドラム状の金属、例えばステンレス製で、その表面が鏡面仕上げの施されたものを使用することができる。
前記金属支持体上に、前記樹脂溶液を流延させる際には、得られるフィルムに異物が混入することを防止するために、フィルターで濾過した樹脂溶液を使用することが好ましい。
第2の工程における乾燥方法としては、例えば30〜50℃の温度範囲の風を前記金属支持体の上面及び下面に当てることで、流延した前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤のおよそ50質量%〜80質量%程度を蒸発させ、前記金属支持体上にフィルムを形成させる方法がある。
第3の工程は、前記第2の工程で形成されたフィルムを金属支持体上から剥離し、前記第2の工程よりも高温で加熱乾燥させる工程である。前記加熱乾燥方法としては、例えば100〜160℃の温度範囲で段階的に温度を上昇させる方法が寸法安定性を良くするために好ましい。前記温度範囲で加熱乾燥することによって、前記第2の工程で得られたフィルム中に残存する有機溶剤をほぼ完全に除去することができる。
前記セルロースエステル樹脂と前記セルロースエステル樹脂用改質剤とを有機溶剤に混合、溶解する際に使用できる有機溶剤としては、それらを溶解できるものであれば限定されないが、例えば、セルロースエステルとしてセルロースアセテートを使用する場合は、セルロースアセテートの良溶媒として、例えばメチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類を使用することができる。また、前記良溶媒に対して、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の貧溶媒を併用することが、フィルムの生産効率を向上させるうえで好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して使用する場合の質量割合は、良溶媒/貧溶媒=75/25〜95/5の範囲であることがより好ましい。
前記樹脂溶液中のセルロースエステル樹脂の濃度としては、10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。
本発明のフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば本発明のセルロースエステル樹脂用改質剤以外のその他の改質剤、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、マット剤等や、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤等)、染料などを使用することができる。これらは、前記有機溶剤中に前記セルロースエステル樹脂及び前記セルロースエステル樹脂用改質剤を溶解、混合する際に、併せて使用することができる。
前記セルロースエステル樹脂用改質剤以外のその他の改質剤としては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリメチロールプロパントリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラアセテート、アセチルクエン酸トリブチル等を使用することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリエステルエーテル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等を使用することができる。
前記紫外線吸収剤としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を使用することができる。前記紫外線吸収剤は、前記セルロースエステル100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲内であることが好ましい。
前記マット剤としては、例えば酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク等を使用することができる。前記マット剤は、前記セルロースエステル100質量部に対して、0.1〜0.3質量部の範囲内で使用することが好ましい。
前記染料としては、通常使用されている公知慣用のものを用いることができ、その配合量は本発明の目的を阻害しない範囲であれば、特に限定しない。
本発明のフィルムは、20〜120μmの膜厚を有することが好ましく、30〜100μmの膜厚を有することがより好ましく、30〜80μmの膜厚であることがより好ましい。かかるフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、30〜80μm程度の膜厚を有するフィルムであれば、液晶表示装置の薄型化を図ることが可能で、かつ優れたフィルム強度、湿熱変化による寸法安定性、及び耐透湿性を維持することができる。
また、本発明の偏光板用保護フィルムは、低Rthであることを特徴としており、概ね1〜15nmの範囲のRthを有していることが、等方性材料として好ましい。本発明の偏光板用保護フィルムは、高温多湿下でのブリード等を引き起こすことなく所望のRthに調整することが可能であることから、用途に応じて様々な液晶表示方式に使用することができる。
本発明のフィルムは、等方性(低Rth)、耐透湿性、透明性、高温多湿下における耐ブリード性などに優れることから、例えば液晶表示装置の光学フィルムやハロゲン化銀写真感光材料の支持体等に使用できる。前記光学フィルムとは、例えば、偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルム、カラーフィルター等である。前記光学フィルムのうち、前記したような優れた特性に加えて、低Rthを有するフィルムは、等方性が必要とされる偏光板保護フィルム及び視野角補償機能を有する偏光板用保護フィルムの支持体として使用することが可能である。
以下に本発明の実施例を示す。
[実施例1]
(エステル化合物A1の調製)
1,2−プロピレングリコールを334g、安息香酸を976g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.079gを、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃まで段階的に昇温し、その後230℃で反応させ、合計10時間脱水縮合反応させた。反応後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコール等を減圧留去することによって、下記表1に示す組成からなるエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を得た。
(エステル化合物A1の調製)
1,2−プロピレングリコールを334g、安息香酸を976g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.079gを、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を付した内容積2リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら230℃まで段階的に昇温し、その後230℃で反応させ、合計10時間脱水縮合反応させた。反応後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコール等を減圧留去することによって、下記表1に示す組成からなるエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を得た。
(化合物B1)
大日本インキ化学工業(株)製のモノサイザーATBC(アセチルトリブチルシトレート)を化合物B1(酸価0.02)として使用した。
大日本インキ化学工業(株)製のモノサイザーATBC(アセチルトリブチルシトレート)を化合物B1(酸価0.02)として使用した。
前記エステル化合物A1及び前記化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Aを得た。
[実施例2]
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A1及び化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Bを得た。
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A1及び化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Bを得た。
[実施例3]
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A1及び化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Cを得た。
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A1及び化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Cを得た。
[実施例4]
(エステル化合物A2の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを396gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A2(酸価0.15、水酸基価8.2)を得た。
(エステル化合物A2の調製)
エステル化合物A1を調製する際に使用した1,2−プロピレングリコールの代わりに2−メチル−1,3−プロパンジオールを396gを使用した以外は、エステル化合物A1の調製法と同様の方法でエステル化合物A2(酸価0.15、水酸基価8.2)を得た。
(化合物B2)
アセチルトリエチルシトレートを化合物B2(酸価0.03)として使用した。エステル化合物A2及び化合物B2を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Dを得た。
アセチルトリエチルシトレートを化合物B2(酸価0.03)として使用した。エステル化合物A2及び化合物B2を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Dを得た。
[実施例5]
エステル化合物(A)としては、実施例4で使用したものと同様のエステル化合物A2(酸価0.15、水酸基価8.2)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A2及び化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Eを得た。
エステル化合物(A)としては、実施例4で使用したものと同様のエステル化合物A2(酸価0.15、水酸基価8.2)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A2及び化合物B1を下記表1に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Eを得た。
[比較例1]
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A1及び化合物B1を下記表2に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Fを得た。
エステル化合物(A)としては、実施例1で使用したものと同様のエステル化合物A1(酸価0.09、水酸基価6.0)を使用した。また、化合物(B)としては、実施例1で使用したものと同様の化合物B1(酸価0.02)を使用した。
エステル化合物A1及び化合物B1を下記表2に示す割合で常温下で混合し、セルロースエステル樹脂用改質剤Fを得た。
[比較例2]
化合物(B)として前記化合物B1を使用しない以外は、実施例1と同様の方法でセルロースエステル樹脂用改質剤Gを得た。
化合物(B)として前記化合物B1を使用しない以外は、実施例1と同様の方法でセルロースエステル樹脂用改質剤Gを得た。
[比較例3]
セルロースエステル樹脂用改質剤Hとして単独でエステル化合物B1であるアセチルトリブチルシトレートを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Hとして単独でエステル化合物B1であるアセチルトリブチルシトレートを使用した。
[比較例4]
セルロースエステル樹脂用改質剤Iとして単独でソルビトールアセテートを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Iとして単独でソルビトールアセテートを使用した。
[比較例5]
セルロースエステル樹脂用改質剤Jとして単独でトリフェニルホスフェートを使用した。
セルロースエステル樹脂用改質剤Jとして単独でトリフェニルホスフェートを使用した。
[フィルムの作製]
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた各改質剤A〜Jの1gに対して、セルローストリアセテート(酢化度61質量%、重合度265)の10gと、塩化メチレン81g及びメタノール9gからなる混合溶剤とをそれぞれ混合攪拌し、ドープ液を調製した。これらの各ドープ液をガラス板上に約1.0mmの厚さになるようにそれぞれ流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で30分間乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させることで、膜厚約80μmのフィルムA’〜J’を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた各改質剤A〜Jの1gに対して、セルローストリアセテート(酢化度61質量%、重合度265)の10gと、塩化メチレン81g及びメタノール9gからなる混合溶剤とをそれぞれ混合攪拌し、ドープ液を調製した。これらの各ドープ液をガラス板上に約1.0mmの厚さになるようにそれぞれ流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で30分間乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させることで、膜厚約80μmのフィルムA’〜J’を得た。
[耐ブリード性]
前記フィルムを30mm×40mmの大きさに切り取り、温度85℃、相対湿度90%の恒温恒湿中に300時間放置した。その後、前記フィルム表面を目視で観察し、改質剤のブリードの程度を以下の基準に従い評価した。
前記フィルムを30mm×40mmの大きさに切り取り、温度85℃、相対湿度90%の恒温恒湿中に300時間放置した。その後、前記フィルム表面を目視で観察し、改質剤のブリードの程度を以下の基準に従い評価した。
○:ブリードしていなかった。
×:ブリードしていた。
×:ブリードしていた。
[レターデーション(Rth)]
自動複屈折率計KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、前記フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)を測定した。測定条件は、温度23℃、相対湿度20%の環境下で前記フィルムを12時間以上調湿した後、同環境下で測定した。前記フィルムのRthは、その用途によって異なるものの、等方性を特徴とする場合は概ね15nm以下、好ましくは10nm以下であれば、等方性に優れる偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
自動複屈折率計KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、前記フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)を測定した。測定条件は、温度23℃、相対湿度20%の環境下で前記フィルムを12時間以上調湿した後、同環境下で測定した。前記フィルムのRthは、その用途によって異なるものの、等方性を特徴とする場合は概ね15nm以下、好ましくは10nm以下であれば、等方性に優れる偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
[耐透湿性]
JIS Z 0208に記載の方法に従い、前記フィルムの透湿度を測定した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%である。前記フィルムの透湿度は、その用途によって異なるものの、概ね650g/m2・24h未満であれば、偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
JIS Z 0208に記載の方法に従い、前記フィルムの透湿度を測定した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%である。前記フィルムの透湿度は、その用途によって異なるものの、概ね650g/m2・24h未満であれば、偏光板保護フィルムとして使用することが可能である。
実施例及び比較例について評価した結果を、それぞれ表1〜2に示す。
Claims (8)
- 下記一般式(I)で示される構造を有するエステル化合物(A)を1〜50質量%、及び下記一般式(II)で示される構造を有する化合物(B)を99〜50質量%含有してなることを特徴とするセルロースエステル樹脂用改質剤。
(一般式(II)中のR3は、水素原子、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基またはアシル基を表し、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して水素原子または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を表す。但し、R4、R5及びR6の少なくとも2つは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である。) - 前記エステル化合物(A)を5〜40質量%、及び前記化合物(B)を95〜60質量%含有してなる、請求項1に記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記一般式(I)中のR1及びR2が水素原子であり、かつG1がプロピレングリコール残基である、請求項1に記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- 前記一般式(II)中のR3がアセチル基であり、かつR4、R5、及びR6がいずれもn−ブチル基である、請求項1又は2に記載のセルロースエステル樹脂用改質剤。
- セルロースエステル樹脂、及び請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤を含有してなるセルロースエステルフィルム。
- 前記セルロースエステル樹脂用改質剤が、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して3〜30質量部含まれる、請求項5に記載のセルロースエステルフィルム。
- セルロースエステル樹脂、及び請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースエステル樹脂用改質剤を含有してなる偏光板用保護フィルム。
- 前記セルロースエステル樹脂用改質剤が、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して3〜30質量部含まれる、請求項7に記載の偏光板用保護フィルム。
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JP2006297740A JP2008115221A (ja) | 2006-11-01 | 2006-11-01 | セルロースエステル樹脂用改質剤、及びそれを含有してなるセルロースエステルフィルム |
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JP2010241848A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-28 | Fujifilm Corp | セルロース樹脂組成物、成形体及び電気電子機器用筺体 |
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2006
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