JP2008082984A - 球状弾性表面波素子及びその駆動方法、温度計測装置 - Google Patents

球状弾性表面波素子及びその駆動方法、温度計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】伝搬経路の温度を正確に計測する。
【解決手段】球状弾性表面波素子10は、すだれ状電極12の形成位置とは異なる伝搬経路11S上の位置に、V/S=N・(V/2L)の関係式を満たすような細線間隔Lで、すだれ状電極12と平行に細線パターン13を形成している。但し、Vs:すだれ状電極の形成位置における弾性表面波の伝搬速度、VL:細線パターンの形成位置における弾性表面波の伝搬速度、S:すだれ状電極の電極周期、L:細線パターンの細線間隔、N:自然数である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、伝搬経路の温度を正確に計測し得る球状弾性表面波素子及びその駆動方法、温度計測装置に関する。
近年、球形状の圧電性結晶基材の表面にすだれ状電極が形成された「球状弾性表面波素子」が各種センサに応用されている。
例えば、球状弾性表面波素子のすだれ状電極に高周波信号が印加されると、基材表面上の伝搬経路に弾性表面波(Surface Acoustic Wave)が励起される。励起された弾性表面波は、球状弾性表面波素子が球形状であるため、円環状の伝搬経路を多重周回する。この際、伝搬経路に分子等が付着している場合には、弾性表面波の伝搬速度が変化する。そこで、多重周回後の弾性表面波の伝搬速度の変化等を計測することにより、伝搬経路に付着した分子等を検出することができる。
しかしながら、圧電性結晶は、温度依存性を有するものである。例えば、水晶のZ軸シリンダーにおいては、25ppm/℃程度の温度依存性がある。そのため、周囲の温度が変化すると、弾性表面波の伝搬速度の計測値も変化する。
すなわち、球状弾性表面波素子を各種センサとして用いるためには、周囲の温度を常に計測して、伝搬速度の変化から温度依存性による変化分を差し引いて計測する必要が生じる。
このような温度依存性を解決する観点から、温度だけに反応する較正用の球状弾性表面波素子を測定環境に配置し、その測定結果に基づいて温度較正する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−101974号公報
しかしながら、特許文献1に係る技術では、測定対象の伝搬経路の温度が直接測定されているわけではないので、伝搬経路の温度が必ずしも正確には計測されていない。
一方、伝搬経路の温度を直接測定しようとすると、温度を測定するための抵抗線が、弾性表面波のエネルギーを消耗させるため、弾性表面波の周回信号を正確に検出することが難しくなる。また、抵抗線が弾性的に弾性表面波を反射してしまい周回現象をかく乱する。また、抵抗線を電流が流れることで弾性表面波のエネルギーが消耗する。
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、伝搬経路の温度を正確に計測し得る球状弾性表面波素子及びその駆動方法、温度計測装置を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を講じる。
請求項1に対応する発明は、弾性表面波が周回可能に伝搬し得る伝搬経路を有する基材と、前記基材の圧電性表面を有する伝搬経路上に形成され、前記伝搬経路を互いに逆方向に伝搬する同じ周波数の弾性表面波を励起するすだれ状電極と、前記伝搬経路上の位置に、下記の式(1)を満たす細線間隔Lで、該すだれ状電極と平行に形成された細線パターンとを備えた球状弾性表面波素子である。
/S=N・(V/2L) ・・・・・・(1)
但し、V:すだれ状電極の形成位置における弾性表面波の伝搬速度、V:細線パターンの形成位置における弾性表面波の伝搬速度、S:すだれ状電極の電極周期、L:細線パターンの細線間隔、N:自然数である。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する球状弾性表面波素子において、前記細線パターンが、温度に従って抵抗値が変化する温度計測用導電性配線である球状弾性表面波素子である。
請求項3に対応する発明は、請求項1または請求項2に対応する球状弾性表面波素子において、前記細線パターンが、温度に従って起電力が変化する温度計測用導電性配線である球状弾性表面波素子である。
請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3に対応する球状弾性表面波素子において、前記自然数Nが、偶数である球状弾性表面波素子である。
請求項5に対応する発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に対応する球状弾性表面波素子において、前記細線間隔Lが、前記すだれ状電極の電極周期Sの4分の1以下である球状弾性表面波素子である。
請求項6に対応する発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に対応する球状弾性表面波素子の温度を計測する温度計測装置であって、前記温度計測用導電性配線の抵抗値から温度を計測する手段を備えた温度計測装置である。
請求項7に対応する発明は、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に対応する球状弾性表面波素子の駆動方法であって、前記すだれ状電極に高周波信号を印加して、前記伝搬経路に弾性表面波を励起する励起ステップと、前記高周波信号の周波数を変更し、前記伝搬経路に励起される弾性表面波を共振状態にして、定在波を形成する周波数変更ステップとを備えた球状弾性表面波素子の駆動方法である。
請求項8に対応する発明は、請求項7に対応する球状弾性表面波素子の駆動方法であって、前記周波数変更ステップは、前記伝搬経路に励起される弾性表面波を共振状態にするとともに、該共振状態における定在波の電位振幅、あるいは変位振幅の節位置が前記細線パターンの細線と重なるように、前記高周波信号の周波数を変更する球状弾性表面波素子の駆動方法である。
<用語>
なお、本発明において、「共振状態」とは、伝搬経路上を弾性表面波が1周回するのに要する周回時間が弾性表面波の周期の整数倍となっているときの状態をいう。
また、本発明の請求項1に記載の「伝搬速度」は、物質固有の数値であり、例えば水晶のZ軸シリンダーにおけるレーリー波のものは下記文献(1)の122ページに公表されている。また、それ以外の一般的な材料の「伝搬速度」についても下記文献(2)に従って、理論計算により求めた値を用いることができる。
(1)A.J.SLOBODNIK,JR , E.D.CONWAY , R.T.DELMONICO著,「MICROWAVE ACOUSTICS HANDBOOK Volume1A, Surface Wave Velocities」,AIR FOECE CAMBRIDGE RESEARCH LABORATORIES,1973年10月1日,P122
(2)B.A.Auld 著,「Acoustic field and waves in solid」,John Wiley & Sons : New York,1972年
<作用>
従って、本発明は以上のような手段を講じたことにより、以下の作用を有する。
請求項1に対応する発明は、伝搬経路上の位置に、V/S=N・(V/2L)の関係式を満たすような細線間隔Lで、すだれ状電極と平行に細線パターンを形成しているので、励起される弾性表面波の定在波の電位振幅や変位振幅の節位置と細線パターンの形成位置とを一致させることができる。それゆえ、多重周回する弾性表面波は細線パターンにより阻害されず、伝搬経路上の温度を直接計測することができる。すなわち、温度較正用の弾性表面波素子を用いることなく、伝搬経路の温度を正確に計測することができる。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する作用に加え、球状弾性表面波素子において、細線パターンが、温度に従って抵抗値が変化する温度計測用導電性配線であるので、伝搬経路の温度を正確に計測できる。
請求項3に対応する発明は、請求項1に対応する作用に加え、細線パターンが、熱起電力を用いて温度計測を行う熱電対等の温度計測用導電性配線であるので、伝搬経路の温度を正確に計測できる。
請求項4に対応する発明は、請求項1〜3に対応する作用に加え、自然数Nが偶数であるので、隣り合う細線同士に電位差が生じず、ノイズを抑えることができる。
請求項5に対応する発明は、請求項1〜4に対応する作用に加え、細線の幅は、すだれ状電極の電極周期Sの4分の1以下であるので、弾性表面波への影響を小さくできる。
請求項6に対応する発明は、球状弾性表面波素子に形成され温度計測用導電性配線の抵抗値から温度を計測する手段を備えているので、伝搬経路の温度を正確に計測することができる。
請求項7に対応する発明は、すだれ状電極に印加する高周波信号の周波数を変更し、多重周回に伴う弾性表面波の減衰を抑制できる。
請求項8に対応する発明は、請求項7に対応する作用に加え、周回経路上の静止した位置に、共振状態の弾性表面波の定在波を安定して形成出来るとともに、定在波の位相を細線パターンの位置に合うように制御出来る。すなわち、節位置が細線パターンの細線と重なるように、高周波信号の周波数を変換するので、伝搬経路上の温度を正確に測定しながら、弾性表面波の伝搬に対して細線パターンが影響(減衰や伝搬速度の変化)する度合を低減出来る。これにより、例えば周回する弾性表面波の伝搬速度や、減衰定数の測定などを正確に行うことが出来る。
本発明によれば、伝搬経路を伝搬する弾性表面波の影響を抑制しながら、伝搬経路の温度を正確に計測できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
(1−1.構成)
図1は本発明の第1の実施形態に係る球状弾性表面波素子10および駆動測定装置20の構成を示す模式図であり、図2は同実施形態に係る球状弾性表面波素子10および温度計測装置30の構成を示す模式図である。なお、図1には球状弾性表面波素子10の表面側が示されており、図2には球状弾性表面波素子10の裏面側が示されている。
球状弾性表面波素子10は、基材11とすだれ状電極12・細線パターン13とを備えている。
基材11は、弾性表面波が周回可能に伝搬し得る伝搬経路11Sを有する圧電性結晶球である。本実施形態では、基材11として、直径1cmの水晶が用いられる。なお、伝搬経路11Sに特定の物質と反応する感応膜を形成することにより、球状弾性表面波素子10をガスセンサ等として利用できる。
すだれ状電極12は、基材11の伝搬経路11S上に形成され、高周波信号発振部21から高周波信号が印加されると、伝搬経路11Sを互いに逆方向に伝搬する同じ周波数の弾性表面波W1・W2を励起するものである。また、すだれ状電極12により励起された弾性表面波が伝搬経路11Sを周回して再度すだれ状電極12に到達すると、すだれ状電極12は電気信号を出力する。すなわち、一個のすだれ状電極12で、弾性表面波の励起と検出とを実行することができる。また、本実施形態においては、励起される弾性表面波が共振状態になるように調整される。このような共振状態では、互いに逆方向に進行する弾性表面波W1・W2は同じ強度であるので、定在波を形成する。
なお、本実施形態においては、すだれ状電極12として、電極周期71ミクロンのものが用いられる。また、すだれ状電極12は、クロムと金の蒸着及びそのフォトリソグラフィによりパターニングされて形成される。
細線パターン13は、すだれ状電極12の形成位置とは異なる伝搬経路11S上の位置に、すだれ状電極12と平行に形成された複数の金属細線である。この細線パターン13は、温度に従って抵抗値が変化する温度計測用導電性配線であり、白金等により形成される。
また、細線パターン13は、下記の式(1)を満たすような細線間隔Lで形成される。
/S=N・(V/2L) ・・・・・・(1)
但し、Vs:すだれ状電極の形成位置における弾性表面波の伝搬速度、VL:細線パターンの形成位置における弾性表面波の伝搬速度、S:すだれ状電極の電極周期、L:細線パターンの細線間隔、N:自然数である。
なお、一般に、変位が節の位置では応力は腹となり、応力が節の位置では変位は腹となる。圧電材料では、一般に大きな電位振幅となる。そのため、異なる電位の間を、細線パターンが接続していると、電流が流れてエネルギーを消耗することとなる。また、弾性状態の領域に質量の大きいものが密着して形成された場合、変位が大きい場所にあるものの方が弾性表面波への影響は大きくなる。そこで、細線パターン13は、弾性表面波への影響を抑えるため、変位が節となる位置に配置される。
また、すだれ状電極の電極周期はその基板位置における弾性表面波の波長に等しい。
また、球状弾性表面波素子10においては、温度計測用の細線パターン13が被温度測定領域に存在していないと、その領域の温度を計測したことにはならない。そこで、可能な限り測定対象とする領域(この場合は弾性表面波の伝搬経路11Sや感応膜の形成領域)に、出来るだけ長い細線パターン13が形成される。また、細線パターン13は、伝搬経路11S上を繰り返し横切るような形状に作成される。
駆動測定装置20は、高周波信号発振部21と周波数変更部22・切換スイッチ部23・出力信号計測部24とを備えている。
高周波信号発振部21は、球状弾性表面波素子10に弾性表面波W1・W2を励起するための高周波信号を発振するものであり、すだれ状電極12に高周波信号を印加する。ここでは、高周波信号発振部21は、周波数45MHzの高周波信号を発振する。
周波数変更部22は、高周波信号発振部21が発振する高周波信号の周波数を変更するものである。具体的には、伝搬経路11S上を弾性表面波が1周回するのに要する周回時間が弾性表面波の周期の整数倍となるように高周波信号の周波数を調整する。これにより、励起される弾性表面波を共振状態にできる。共振状態では、互いに逆方向に進行する弾性表面波W1・W2は、定在波を形成する。次に、周波数変更部22では、共振状態の定在波を形成した後、その定在波の節と細線パターン13とが一致するように周波数を調整する。
補足すると、印加される高周波信号の周波数が僅かに変わると、定在波の節あるいは腹の位置は大きく変わる。例えば、伝搬経路11Sの周回長が弾性表面波の波長のそれぞれ152倍・151倍・150倍のとき、定在波の位相は図3(A)〜(C)のように表わされる。波数を152個とするために必要な弾性表面波の周波数は、水晶のZ軸シリンダー経路における平均音速が3150m/秒程度であることから、約152MHzと計算される。また、波数を151個・150個にするために必要な周波数は、それぞれ151MHz及び150MHzである。
ここで、すだれ状電極12が位置Oに形成されているとすると、波数150・152の場合(図3(A),図3(C))、伝搬経路11S上の反対側の位置Bでは、定在波の位相は変わらない。一方、波数151の場合(図3(B))、位置Bでは、180度の位相のずれが生じる。しかし定在波の腹あるいは節の位置には変化が生じない。
また、波数152の場合、位置Aでは、定在波の位相は変わらない。波数150の場合、位置Aでは位相が180度変化する。しかし定在波の腹あるいは節位置には変化がない。一方、波数151の場合には、90度の位相変化が位置Aで発生し、定在波の腹と節の位置が逆転する。
このように、共振状態であっても、波数が僅かに変化すると、定在波の節あるいは腹の位置は劇的に変化する。それゆえ、周波数変更部22により、細線パターン13の細線間隔Lと高周波信号の周波数間隔及びそれらの相対的位置とが一致するように調整しないと、細線パターン13によりエネルギーが消耗させられ、弾性表面波の出力信号が弱まることになる。逆に、弾性表面波の出力信号が強くなるように高周波信号の周波数を変更すれば、最適な周波数を選択することができる。
なお、図3には示していないが、位置Oと位置Aとの中間位置(すだれ状電極から45度ずれた位置)では、1波数変化する度に定在波の位相が45度変化する。定在波の位相を細かく制御する場合には、すだれ状電極12に近い位置に細線パターン13を形成する事が有効である。
切換スイッチ部23は、球状弾性表面波素子10と高周波信号発振部21とを接続するか、球状弾性表面波素子10と出力信号計測部24とを接続するかを切り換えるためのスイッチである。切換スイッチ部23が、球状弾性表面波素子10と高周波信号発振部21とを接続する場合、高周波信号発振部21からの高周波信号がすだれ状電極12に印加される。これにより、伝搬経路11S上に弾性表面波が励起される。一方、切換スイッチ部23が、球状弾性表面波素子10と出力信号計測部24とを接続する場合、すだれ状電極12を介して、伝搬経路11S上に励起された弾性表面波の出力信号が出力信号計測部24に送出される。
出力信号計測部24は、すだれ状電極12により検出される弾性表面波の出力信号を計測するものである。また、この出力信号から伝搬速度の変化等が解析されて、伝搬経路11S上に分子等が付着したか否かが検出される。なお、出力信号計測部24は、必要に応じて温度換算部32から送出される温度データに基づいて温度較正を行なった上で、伝搬速度の解析を行なう。
なお、弾性表面波は共振状態であるので、球状弾性表面波素子10の表面には周回する弾性表面波が重ね合わさり、大きなエネルギーが蓄えられる。これにより、出力信号計測部24は、弾性表面波が多数回周回しても計測に十分な強度の出力信号を検出できる。
温度計測装置30は、抵抗測定部31と温度換算部32とを備えている。
抵抗測定部31は、細線パターン13と接続しており、その細線パターン13の抵抗値を測定するものである。また、抵抗測定部31は、測定した抵抗値を温度換算部32に送出する。
温度換算部32は、抵抗測定部31から送出された細線パターン13の抵抗値から、細線パターン13が形成された伝搬経路11S上の温度を計測するものである。また、温度換算部32は、計測した温度のデータを出力信号計測部24に送出する。
なお、フォトリソグラフィー技術と蒸着技術を用いて、経路上に熱電対構造を持った細線パターンを、金属膜と異種金属の2層構造に形成することが出来る。この場合には、電位測定によって温度を計測が出来る。
(1−2.動作)
次に本実施形態に係る球状弾性表面波素子10の駆動方法を図4のフローチャートを用いて説明する。
始めに、高周波信号発振部21により高周波信号が発振される。これにより、球状弾性表面波素子10のすだれ状電極12に高周波信号が印加されて、伝搬経路11S上に弾性表面波W1・W2が励起される(ステップS1)。なお、2種類の弾性表面波W1・W2は、同じ強度で互いに逆方向に進行するものである。
続いて、切換スイッチ部23により、すだれ状電極12と出力信号計測部24とが接続され、伝搬経路11S上に励起された弾性表面波に対応する多重周回信号が出力信号計測部24により計測される(ステップS2)。
そして、伝搬経路11S上に励起される弾性表面波W1・W2が共振状態になるまで、周波数変更部22により高周波信号の周波数が変更される(ステップS3−No,S4)。なお、弾性表面波W1・W2が共振状態のときには、互いに逆方向に進行する弾性表面波W1・W2により定在波が形成される。
一方、伝搬経路11S上に励起される弾性表面波W1・W2が共振状態になったときには、そのときの温度が、温度計測装置30により測定される(ステップS3―Yes,S5)。
最後に、弾性表面波の定在波の条件が整ったものとして、伝搬速度および温度の測定が実行される(ステップS6)。
(1−3.効果)
以上説明したように、本実施形態に係る球状弾性表面波素子10は、すだれ状電極12の形成位置とは異なる伝搬経路11S上の位置に、上述した式(1)を満たすような細線間隔Lで、すだれ状電極12と平行に細線パターン13を形成しているので、励起される弾性表面波の定在波の節位置と細線パターンの形成位置とを一致させることができる。
ここで、電荷を伴う弾性表面波の定在波の音圧振幅が大きくなる位置に、細線パターン13が存在し、さらに異なる位相の音圧振幅位置間での細線パターンが電気的に接続されている場合には、細線パターン13に沿って電流が発生し、弾性表面波のエネルギーが急消耗する。
これに対し、本実施形態に係る球状弾性表面波素子10は、伝搬経路11S上の細線パターン13が多重周回する弾性表面波を阻害しないので、伝搬経路11S上の温度を直接計測することができる。すなわち、温度較正用の弾性表面波素子を用いることなく、伝搬経路11Sの温度を正確に計測することができる。
また、本実施形態に係る温度計測装置30は、伝搬経路11Sに形成された細線パターン13の抵抗値の変化から温度を計測するので、伝搬経路11Sの温度を正確に計測することができる。伝搬経路上に細線状のパターンを多数回横断させて形成することは、長い抵抗線を形成出来ることに等しいからである。
また、本実施形態に係る周波数変更部22は、すだれ状電極12に印加する高周波信号の周波数を変更し、伝搬経路11Sに励起される弾性表面波を共振状態にする。また、周波数変更部22は、共振状態の弾性表面波の節位置が細線パターン13の細線と重なるように、高周波信号の周波数を変換する。それゆえ、弾性表面波の伝搬に大きな影響を与えずに、伝搬経路11Sの温度を出力計測部24により計測することができる。
(変形例)
なお、本実施形態に係る細線パターン13において、上記の式(1)の自然数Nが偶数である場合、さらに弾性表面波に影響を与えることなく、温度を計測することができる。
すなわち、定在波の節と腹との間隔は波長の半分の間隔に等しいが、波長間隔であれば、音圧・変位・電荷は同じ位相を持つことになる。よって、互いに電気的に接続した細線により細線パターンを形成する場合、波長の整数倍の間隔に細線パターン13を形成することにより、弾性表面波のエネルギーが、細線パターンを流れる電流によって失われないようにすることが出来る。
図5は、式(1)においてN=1の場合の細線パターンと定在波の位相との相互位置関係を示す模式図である。実線は図に向かって右側に進行する波W1であり、破線は左側に進行する波W2である。
図5(A)の場合は、表面電位が節の位置を細線パターンが横切っている。例えば細線の位置PAにおける電位と、位置PB・PCにおける電位とは常に0である。それゆえ、細線を介して電流が流れることはない。特に、ある程度の大きさの抵抗がある場合にエネルギーが大きく消耗することがない。
ところが図5(B)に示すように、 細線パターンの位置が定在波の節位置から少しズレると(図5(B)のZU)、PAとPBは互いに逆の電位となり細線パターン上に電位差が生じる。これにより、電流が発生してエネルギーを失う事になる。
一方、N=2の場合(一般的には偶数の場合)には、図6に示すように細線パターン上で逆電位になる事が無い。つまり、図6(A)の場合においては、図5(A)の場合と同様、細線パターン上を電位差が無く電流が流れる事は無い。
また、図6(B)の場合は、定在波の節の位置が細線パターンの位置とZUだけずれているのにもかかわらず、PA・PB・PCのいずれもが同じ電位となる。それゆえ、電流の発生の原因となる電位差は生じない。
このように、Nが偶数の場合(つまり電気的に接続された細線が伝搬経路を横切る位置の間隔が弾性表面波の波長の整数倍の場合)は、定在波に対して細線パターンの位置が多少ずれても、弾性表面波のエネルギーにより細線パターンに電流が生じないようにすることができる。これにより、弾性表面波のエネルギーの消耗を抑制することができる。
また、本実施形態に係る細線パターン13として、細線パターンの細線幅が、すだれ状電極12の電極周期Sの4分の1以下のものを用いることが望ましい。弾性表面波への細線パターンの影響を小さく出来る。
なお、本実施形態に係るすだれ状電極12は、弾性表面波の励起と検出との両方の機能を有しているが、2つのすだれ状電極がそれぞれの機能を個別に有するとしてもよい。すなわち、図7に示すように、2つのすだれ状電極12A・12Bを1つの伝搬経路11S上に形成して、一方のすだれ状電極12Aに高周波信号を入力して弾性表面波を励起し、他方のすだれ状電極12Bから増幅した電気信号を検出するとしてもよい。
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る球状弾性表面波素子10および駆動測定装置20の構成を示す模式図である。 同実施形態に係る球状弾性表面波素子10および温度計測装置30の構成を示す模式図である。 同実施形態に係る駆動周波数の変更の概念を示す模式図である。 同実施形態に係る球状弾性表面波素子10の駆動方法を説明するためのフローチャートである。 同実施形態に係る細線パターンの構成を示す模式図である。 同実施形態に係る細線パターンの構成を示す模式図である。 同実施形態に係る球状弾性表面波素子の変形例を示す模式図である。
符号の説明
10・・・球状弾性表面波素子、11・・・基材、12・・・すだれ状電極、13・・・細線パターン、20・・・駆動測定装置、21・・・高周波信号発振部、22・・・周波数変更部、23・・・切換スイッチ部、24・・・出力信号計測部、30・・・温度計測装置、31・・・抵抗測定部、32・・・温度換算部。

Claims (8)

  1. 弾性表面波が周回可能に伝搬し得る伝搬経路を有する基材と、
    前記基材の圧電性表面を有する伝搬経路上に形成され、前記伝搬経路を互いに逆方向に伝搬する同じ周波数の弾性表面波を励起するすだれ状電極と、
    前記伝搬経路上の位置に、下記の式(1)を満たす細線間隔Lで、該すだれ状電極と平行に形成された細線パターンと
    を備えたことを特徴とする球状弾性表面波素子。
    /S=N・(V/2L) ・・・・・・(1)
    (但し、V:すだれ状電極の形成位置における弾性表面波の伝搬速度、V:細線パターンの形成位置における弾性表面波の伝搬速度、S:すだれ状電極の電極周期、L:細線パターンの細線間隔、N:自然数)
  2. 請求項1に記載の球状弾性表面波素子において、
    前記細線パターンは、温度に従って抵抗値が変化する温度計測用導電性配線である
    ことを特徴とする球状弾性表面波素子。
  3. 請求項1に記載の球状弾性表面波素子において、
    前記細線パターンは、温度に従って起電力が変化する温度計測用導電性配線である
    ことを特徴とする球状弾性表面波素子。
  4. 請求項1乃至請求項3に記載の球状弾性表面波素子において、
    前記自然数Nは、偶数である
    ことを特徴とする球状弾性表面波素子。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の球状弾性表面波素子において、
    前記細線の幅は、前記すだれ状電極の電極周期Sの4分の1以下である
    ことを特徴とする球状弾性表面波素子。
  6. 請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の球状弾性表面波素子の温度を計測する温度計測装置であって、
    前記温度計測用導電性配線の抵抗値から温度を計測する手段
    を備えたことを特徴とする温度計測装置。
  7. 請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の球状弾性表面波素子の駆動方法であって、
    前記すだれ状電極に高周波信号を印加して、前記伝搬経路に弾性表面波を励起する励起ステップと、
    前記高周波信号の周波数を変更し、前記伝搬経路に励起される弾性表面波を共振状態にして、定在波を形成する周波数変更ステップと
    を備えたことを特徴とする球状弾性表面波素子の駆動方法。
  8. 請求項7に記載の球状弾性表面波素子の駆動方法であって、
    前記周波数変更ステップは、前記伝搬経路に励起される弾性表面波を共振状態にするとともに、該共振状態における定在波の電位振幅、あるいは変位振幅の節位置が前記細線パターンの細線と重なるように、前記高周波信号の周波数を変更する
    ことを特徴とする球状弾性表面波素子の駆動方法。
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