JP2006071482A - 多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法及びその素子 - Google Patents

多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法及びその素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 伝搬面の伝搬状態を測定する際に、温度測定を不要としつつ、伝搬状態を変化させる要因を分析する。
【解決手段】多重周回弾性表面波素子10の伝搬面11に励起される弾性表面波の駆動周波数を変化させ、弾性表面波の伝搬状態の変化率を求める。例えば、弾性表面波が球状部材12を多重周回する際の1周回に要する周回時間の変化率を求めることで、伝搬面11の物理状態を示す物理量のうち、周波数に依存する質量変化量Δmと、周波数に依存しない温度変化量Δtとを個別に求めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、弾性表面波の伝搬状態の測定時に用いられる多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法及びその素子に係り、特に、温度測定を不要としつつ、伝搬状態を変化させる要因を分析し得る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法及びその素子に関する。
従来、弾性波を使った伝搬面の材料分析方法として、水晶のATカットを使ったQCMと呼ばれる方法がある(例えば、[非特許文献1]参照。)。この方法は、薄く切った水晶板の表裏に電極を形成し電極に高周波を印加して弾性波を励起し、弾性波の共振周波数の変化を、表面に付着した物質の量に応じて測定するものである。ATカットでは、伝搬面の温度が20℃付近のとき、弾性波の伝搬速度の温度依存性が小さいという利点が知られており、この利点を用いている。しかしながら、高感度化のために非常に薄く水晶を研磨する技術が必要であり、製造が困難である。
一方、弾性表面波を使った伝搬面の材料分析方法としては、弾性表面波が伝搬する伝搬面にガス感応膜を形成し、感応膜のガス分子吸着や感応膜自体の弾性物性の変化を弾性表面波の伝搬速度の変化や共振周波数変化から測定するものがある。
しかしながら、従来の弾性表面波素子を用いた方法では、伝播速度の変化が小さく、十分な感度を得ることが難しい。
また一方、多重周回弾性表面波素子を用いた材料分析方法が考えられている。この方法は、弾性表面波を周回させ、測定感度の向上を図るものである。
ここで、多重周回弾性表面波素子は、3次元基体の表面に圧電性膜及びすだれ状電極を順次形成して作成される。作成された多重周回弾性表面波素子は、すだれ状電極から圧電性膜に電界を印加することにより、弾性表面波を励起する。励起された弾性表面波は3次元基体上の伝搬面を周回して、再びすだれ状電極に到達し高周波信号としての検出信号に変換される。この検出信号の測定により、得られた所定回数の周回に要した周回時間の変化に基づいて、3次元基体表面の物質量が測定される。なお、圧電性膜の形成が難しいことから、圧電性膜の形成に代えて、圧電結晶の3次元基体を球形に加工し、球形表面にすだれ状電極を形成して多重周回弾性表面波素子を製造しても良い。このような製造方法は、非常に安定して製造が可能であり、周回に伴う弾性表面波の減衰も小さい。ただし、周回する経路が圧電結晶の結晶軸に従って限られているので、水晶のATカットのように温度依存性の小さいカットを選ぶことによって、周囲の温度変化に対して安定な測定値を得ることができない。
しかしながら、以上のような多重周回弾性表面波素子を用いた材料分析方法では、測定される周回時間の変化が数ppm以下の大きさである。これに対し、例えば水晶のZ軸シリンダ経路を使った球状弾性表面波素子の場合、温度依存性が約25ppm/℃の大きさを持つ。そのため、周回時間の変化分から温度依存性による変化分を除去するためには、非常に高精度に伝搬面の温度を測定する必要がある。
例えば本発明者は、熱電対を多重周回弾性表面波素子の水晶球に接触させ、0.01℃精度の温度計測を保温ケース内で行った。この実験では、高周波バースト信号(45MHz中心)の入力時刻から100周目の信号の立ち上がり時刻までの時間Taを測定した。続いて、多重周回弾性表面波素子をアルブミン溶液3%に30分間浸漬し、純水リンスを10回行って乾燥した後に、同じく、高周波バースト信号の入力時刻から立ち上がり時刻までの時間Tbを測定した。この実験では、測定時刻の変化率(Tb−Ta)/Taを温度校正した結果から、アルブミンタンパクが付着したときの弾性表面波(この場合はレーリー波)の周回時間は20ppm長くなることが分かった。
D.S.Ballantine,R.M.White, S.J.Martin, A. J.Ricco, E.T.Zellers, G.C.Frye, H.Wohltjen著、「ACOUSTIC WAVE SENSORS」、ACADEMIC PRESS。 特開2003−115744号公報
以上説明したように多重周回弾性表面波素子を用いた材料分析方法では、0.01℃精度のように非常に高精度に伝搬面の温度を測定し、周回時間を温度校正する必要がある。しかしながら、このような高精度な温度測定は現実的でない。
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、伝搬面の伝搬状態を測定する際に、温度測定を不要としつつ、伝搬状態を変化させる要因を分析し得る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法及びその素子を提供することを目的とする。
請求項1に対応する発明は、弾性表面波を多重周回させて伝搬可能な伝搬面を有する3次元基体と、入力される駆動信号に応じて、前記伝搬面に弾性表面波を励起するための弾性表面波励起手段と、前記励起された弾性表面波を検出して検出信号を出力する弾性表面波検出手段とを備えた多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法であって、第1周波数をもつ高周波信号を前記弾性表面波励起手段に入力する駆動信号入力ステップと、前記弾性表面波励起手段により、駆動信号に応じて弾性表面波を前記伝搬面に励起する弾性表面波励起ステップと、前記励起されて伝搬面を多重周回する弾性表面波を弾性表面波検出手段で検出し、検出信号を出力する弾性表面波検出ステップと、前記出力された検出信号から前記伝搬面の伝搬状態を示す伝搬状態値における第1の変化を測定する第1変化測定ステップと、前記第1周波数とは異なる第2周波数の駆動信号を用い、前記駆動信号入力ステップ、前記弾性表面波励起ステップ、前記弾性表面波検出ステップ及び前記第1変化測定ステップを実行し、前記伝搬面の伝搬状態値における第2変化を測定する第2変化測定ステップと、前記第1周波数、前記第1変化、前記第2周波数及び前記第2変化に基づいて、前記伝搬状態値を変化させる要因の変化量を分析する要因分析ステップとを備えた多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記伝搬状態値は、前記弾性表面波が前記3次元基体を多重周回する際の周回速度の変化を示す値である多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項3に対応する発明は、請求項2に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記要因の変化量は、伝搬面の質量変化量及び温度変化量であり、前記要因分析ステップは、前記周回速度の温度依存係数と前記周回速度の周波数依存係数とを保持し、前記第1周波数、前記周波数依存係数、前記質量変化量、前記温度変化量及び前記温度依存係数に基づいて前記第1変化を表す式と、前記第2周波数、前記周波数依存係数、前記質量変化量、前記温度変化量及び前記温度依存係数に基づいて前記第2変化を表す式とから得られる前記質量変化量の式と前記温度変化量の式とに基づいて、当該質量変化量及び温度変化量を個別に算出する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記弾性表面波検出ステップは、前記駆動信号の入力を停止した後に、前記多重周回された弾性表面波を検出して検出信号を出力し、前記第1及び第2変化測定ステップは、それぞれ検出信号の位相変化を測定することにより前記第1変化及び前記第2変化を測定する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項5に対応する発明は、請求項4に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記駆動信号入力ステップにおいて、前記弾性表面波励起手段に入力する駆動信号は、第1周波数と第2周波数の両方を有する高周波バースト信号であり、前記第1及び第2変化測定ステップは、それぞれ検出信号の波形の変化から前記第1周波数成分と前記第2周波数成分のそれぞれの位相変化を測定する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項6に対応する発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記駆動信号入力ステップにおいて、前記弾性表面波励起手段には共通の高周波信号源から生成される第1周波数の駆動信号と第2周波数の駆動信号を入力し、前記高周波信号源の周波数が変化しても、前記第1周波数と前記第2周波数の周波数比が一定になる多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項7に対応する発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記弾性表面波励起ステップは、前記各駆動信号に応じて弾性表面波を同一3次元基体上の同一経路に励起する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項8に対応する発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記第1変化は、変化前の値に占める変化分の割合を示す第1変化率であり、前記第2変化は、変化前の値に占める変化分の割合を示す第2変化率である多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項9に対応する発明は、請求項2乃至請求項8のいずれか1項に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、前記伝搬状態値は、前記周回速度の変化を示す値に代えて、所定の周回に要する周回時間である多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法である。
請求項10に対応する発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に対応する多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法に用いられる多重周回弾性表面波素子において、前記伝搬面は、球面によりなる連続した円環状の表面を有する周回経路を備えた多重周回弾性表面波素子である。
請求項11に対応する発明は、請求項10に対応する多重周回弾性表面波素子において、前記弾性表面波励起手段は、前記3次元基体の表面に接するかあるいは近接して設けられ、前記駆動信号の電界を印加するためのすだれ状電極と、前記すだれ状電極から印加される電界を圧電効果により弾性表面波に変換するための圧電材料とからなる伝搬面を有する多重周回弾性表面波素子である。
請求項12に対応する発明は、請求項10または請求項12に対応する多重周回弾性表面波素子において、前記3次元基体は圧電結晶で構成されている多重周回弾性表面波素子である。
<用語>
ここで、本発明において、「弾性表面波」と表記している波は、境界波、回廊波、内郭を周回する表面波、弾性表面波、漏洩弾性表面波、擬似弾性表面波、擬似漏洩弾性表面波等、球形表面にエネルギーを集中させて伝搬する弾性波全般を包含する。
同様に、本発明においては、伝搬路が異なる材料との境界によって成る弾性表面波素子(球状弾性境界波素子)も境界を弾性波が多重周回伝搬する現象に基いた素子であれば、多重周回弾性表面波素子と呼ぶこととする。例えば多重周回弾性表面波素子は、3次元基体が球形状の素子に限らず、伝搬路が円環状表面を有していれば、球形状の一部が平面形状など他の形状に加工されている素子も包含する。
また、本発明において、周回速度とは、厳密な意味での伝搬速度ではない場合がある。一般に周囲の温度が変化すると、弾性表面波の伝搬速度は変化するが、伝搬路の周回長も熱膨張によって変化するため、これらの影響が重畳されて弾性表面波の周回に必要な時間が変わってしまう。また、異方性材料を用いて伝搬路を作る場合、場所によって物理的な意味における弾性表面波の伝搬速度は変化する。すなわち、本発明において、周回速度とは、周回経路を所定の周回数あるいは所定の位置の間を伝搬するのに必要な時間によって定義される速度をいう。
なお、周回経路を弾性表面波が伝搬する際に、上記周回速度の変化を、弾性表面波の周波数を変える際に変わる周期(弾性表面波の周波数の逆数)と、弾性表面波が周回に要する時間との関係からの特徴的な周波数応答から得ることができる。この際に実際に測定で得られる伝搬状態値は前記特徴的な周波数の値であるが、この値も、周回速度あるいは弾性表面波の伝搬速度の変化によって変化して定まるのであるから、請求項2においては、“周回速度の変化を示す値”と記述しており、直接観測する物理定数によって制限するものではない。
<作用>
従って、請求項1に対応する発明は以上のような手段を講じたことにより、第1周波数をもつ駆動信号で励起したときの伝搬状態値における第1変化と、第2周波数をもつ駆動信号で励起したときの伝搬状態値における第2変化とを測定し、これら第1周波数、第1の変化、第2周波数及び第2の変化に基づいて、伝搬状態値を変化させる要因の変化量を分析する。すなわち、伝搬状態値を変化させる要因と駆動信号の周波数との関係に基づいて、要因の変化量を分析する構成により、伝搬面の伝搬状態を測定する際に、温度測定を不要としつつ、伝搬状態を変化させる要因を分析することができる。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する作用に加え、伝搬状態値として周回速度の変化を示す値を用いるので、容易に測定することができる。
請求項3に対応する発明は、請求項2に対応する作用に加え、周回速度の変化を示す値の変化が、伝搬面の温度と駆動信号の周波数とに依存して変化する場合に、伝搬面の質量変化量と温度変化量を容易に求めることができる。
請求項4に対応する発明は、請求項1〜3に対応する作用に加え、駆動信号の入力を停止してから、多重周回された弾性表面波を検出することにより、検出感度を向上させることができる。
請求項5に対応する発明は、請求項4に対応する作用に加え、検出信号の波形から弾性表面波の伝搬状態を測定することにより、簡易に測定を実施することができる。
請求項6に対応する発明は、請求項1〜5に対応する作用に加え、複数の異なる駆動信号の周波数の比を一定にすることにより、駆動信号の元となる高周波信号の変動の影響を除去することができ、測定精度を向上させることができる。
請求項7に対する発明は、請求項1〜6に対応する作用に加え、複数の異なる駆動信号で複数の弾性表面波を同一経路に励起することで、測定対象を一致させることができる。
請求項8に対する発明は、請求項1〜7に対応する作用に加え、第1の変化から第1の変化率求め、第2の変化から第2の変化率求めているので、容易に伝搬状態を変化させる要因の分析をすることができる。
請求項9に対する発明は、請求項2〜8に対応する作用に加え、伝搬状態値として、周回速度の変化を示す値の代わりに、周回時間を用いるので、容易に測定することができる。
請求項10に対する発明は、伝搬面が、連続した曲面からなる円環状の表面を有する周回経路を備えた構成により、弾性表面波を多重周回させて伝搬面の測定をすることができる。
請求項11に対応する発明は、請求項10に対応する作用に加え、弾性表面波励起手段を、すだれ状電極及び圧電性材料から構成したので、効率的に弾性表面波を励起することができる。これにより、効率良く伝搬面の測定をすることができる。
請求項12に対応する発明は、請求項10〜11に対応する作用に加え、3次元基体に圧電結晶を用いているので、圧電膜形成の必要が無く製造が容易で、効率的に弾性表面波を励起することができる。これにより、効率良く伝搬面の測定をすることができる。
以上説明したように本発明によれば、伝搬面の伝搬状態を測定する際に、温度測定を不要としつつ、伝搬状態を変化させる要因を分析できる。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明するが、その前に本発明の概要を述べる。
弾性表面波素子の表面状態の変化は、周回する弾性表面波を検出した検出信号の変化に基づいて分析できる。ここで、本発明者の考察によれば、弾性表面波の伝搬速度(周回時間)は、弾性表面波の周波数に依存しない作用(あるいは比較的周波数に依存しない作用)と依存する作用により変化する。周波数に依存しない作用は、例えば伝搬面の温度がある。周波数に依存する作用は、例えば伝搬面に付着する物質の量がある。従って、互いに異なる周波数の駆動信号を用い、各駆動信号毎に伝搬速度の変化率を測定すれば、周波数に依存する作用と依存しない作用とを分離可能となり、ひいては伝搬面の表面状態を分析できると考えられる。
以下、このような考えに基づいて本発明の各実施形態を述べる。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置の構成を示す模式図である。この伝搬面の分析装置は、多重周回弾性表面波素子10、周波数変更部20、高周波信号源30、スイッチ40、増幅部45、信号測定部50、計算部60及び制御部70を備えている。
ここで、多重周回弾性表面波素子10は、伝搬面11を有する球状部材12、及びすだれ状電極13を備えている。
伝搬面11は、連続した曲面からなる円環状の表面を有し、この円環状の表面の少なくとも一部にはすだれ状電極13により励起される互いに逆方向に伝搬する弾性表面波SAW1,SAW2を周回させるための周回経路を備えている。
球状部材12は、一旦励起された弾性表面波が多重周回可能な伝搬面11を有する3次元基体であり、ここでは単結晶の水晶材料を直径10mmの球形状に加工したものを用いている。
すだれ状電極13は、例えば金属の蒸着とフォトリソグラフィプロセスによるエッチングを用いる等により、球状部材12の表面に接して形成され、高周波信号源30からスイッチ40を介して入力される駆動信号に応じて、伝搬面11に弾性表面波SAW1,SAW2を励起する機能と、励起された弾性表面波SAW1,SAW2を検出してスイッチ40に出力する機能を有している。但し、すだれ状電極13は、必ずしも球状部材12の表面に接して形成される必要はなく、例えば球状部材12の表面に近接して設けられ、駆動信号の電界を球状部材12に印加可能で且つ弾性表面波SAW1,SAW2を検出可能なものとしてもよい。ここで、弾性表面波をSAW1とSAW2に分けて説明したが、実際には区別しなくても良い。特に、弾性表面波の励起と検出を同一のすだれ状電極で行う場合はそれらの検出信号は重なるために同一信号として得られる。
周波数変更部20は、制御部70により制御され、高周波信号源30が出力する駆動信号の周波数を設定及び変更する機能をもっている。
高周波信号源30は、周波数変更部20により設定された周波数を持つ高周波信号を断続的に出力し、得られた駆動信号をスイッチ40を介してすだれ状電極13に出力するものである。
スイッチ40は、すだれ状電極13を高周波信号源30又は増幅部45に接続するか、両者30,45から絶縁するものである。
増幅部45は、すだれ状電極13から出力された多重周回中の弾性表面波SAW1,SAW2の検出信号を増幅して信号測定部50に出力するものである。
信号測定部50は、増幅部45で増幅された検出信号の強度を測定し、得られた測定結果を計算部60に出力するものである。
計算部60は、出力された検出信号から弾性表面波が球状部材12を多重周回する際の所定回数(例、50回)の周回に要する周回時間を測定する機能と、測定された周回時間と駆動信号の周波数から伝搬面11を分析する機能をもっている。詳しくは計算部60は、周回時間の温度依存係数Aと周回時間の周波数依存係数Bとを保持し、駆動信号の第1周波数F1、周波数依存係数B、質量変化量Δm、温度変化量Δt及び温度依存係数Aに基づいて第1変化率dT1を表す式(後述する(4)式)と、駆動信号の第2周波数F2、周波数依存係数B、質量変化量Δm、温度変化量Δt及び温度依存係数Aに基づいて第2変化率dT2を表す式(同(5)式)とから得られる質量変化量Δmの式(同(6)式)と温度変化量Δtの式(同(7)式)とに基づいて、当該質量変化量Δm及び温度変化量Δtを個別に算出する機能をもっている。
制御部70は、周波数変更部20及び信号測定部50を制御し、各部の動作のタイミングを設定する機能を有している。
次に、以上のように構成された多重周回弾性表面波素子の伝搬路の分析方法について説明する。
始めに、スイッチ40は、多重周回弾性表面波素子10のすだれ状電極13と高周波信号源30とを接続している。
高周波信号源30は、すだれ状電極13を駆動するための高周波信号を発生し、この高周波信号を弾性表面波SAW1,SAW2が1周する周回周期Tcよりも長い時間幅Tを持つように断続的に出力して駆動信号とする。この駆動信号はスイッチ40を介してすだれ状電極13に印加される。
すだれ状電極13は、駆動信号の印加により、球状部材12の表面に互いに逆方向に伝搬する弾性表面波SAW1,SAW2を励起し、表面に沿い伝搬させる。また、周回中の弾性表面波SAW1,SAW2の合成波SAWを検出して検出信号を出力可能とする。この弾性表面波SAW1,SAW2は、すだれ状電極13を通過しながら球状部材12の表面を多重周回する。
所定時間の経過後、スイッチ40は、多重周回弾性表面波素子10と増幅部45を接続する。
すだれ状電極13は、弾性表面波の検出信号を増幅部45を介して、信号測定部50に入力する。
信号測定部50は、検出信号をデジタル化し、その測定結果を計算部60に出力する。なお、信号測定部50は、デジタルオシロスコープ等を用いることもできて、信号の波形を表示して波形の変化から伝搬速度の変化を求めてもよい。図2は駆動信号(a)と、駆動信号によって励起され検出された弾性表面波の検出信号(b)を示している。縦軸は電圧であり、横軸は時間である。一般に球表面を伝搬する弾性表面波は、その周波数が低いほど周回に要する時間(周回時間)は短くなることが知られている。このような周波数の違いによる伝搬速度(周回速度)の変化、いわゆる「周波数分散」を持っている。低周波数信号に比べ高周波数信号は遅れて周回する。図2においては、ある周回数に相当する信号を拡大した時間波形を模式的に示しているが、第1周波数F1の低周波信号の伝搬速度がΔT遅れると、第2周波数F2の高周波信号の伝搬速度はΔT(F2/F1)遅れてしまう。しかし、弾性表面波の周波数に影響を与えない要因、例えば温度変化や周囲の空気圧変化などにより、高い周波数を持つ信号の変化はΔT(F2/F1)ではなく、低周波信号と同じようにΔTの変化となる。周波数に比例して弾性表面波の伝搬速度が変化する場合、このように位相の変化として観測でき、周波数分散に影響を与える要因を識別できる。ところで、各周波数の位相の違いから、周回速度の違いを測定することができる。この際、波形の変化と速度の変化を対応させた対応表を予め設定すれば、伝搬速度の変化を波形の変化から容易に観測可能となる。また、伝搬面上の周回経路の長さは一定なので、伝搬速度の変化率と周回時間の変化率の絶対値は近似的に等しくなる。これにより、伝搬速度の変化率から周回時間の変化率を求めることが可能である。但し、ここでは、前述した通り、信号測定部50は、検出信号の強度値を計算部60へ出力する。
計算部60は、検出信号のデータに基づいて周回時間を算出する。算出された周回時間から、周回経路の温度変化量Δtと、周回経路11上の付着物による質量変化量Δmとを計算する。
ここで、計算部60における計算の前提条件として、弾性表面波の周回時間を変化させる作用について述べる。
弾性表面波の周回時間は、弾性表面波の周波数に依存する要因(周波数依存要因)と、周波数に依存しない要因(周波数非依存要因)とにより変化する。
周波数依存要因は、伝搬面11の質量変化量Δmである。周回時間の変化率ΔTは、(1)式に示すように、質量変化量Δmおよび弾性表面波の周波数Fに比例して変化すると仮定する。
ΔT = B×Δm×F …(1)
但し、B:質量依存定数[ppm/((ng/cm)・MHz)]
例えば、水晶のATカット基板に1μg/cmの質量付着があった場合、100MHzの弾性表面波の周回時間は30ppm(ppmは10−6の無次元数。)の変化を起こす。この場合、50MHzの弾性表面波を同じ伝搬面に周回させると、15ppmの変化となる。
このような関係は、伝搬面の質量変化量Δmが弾性表面波の波長に比べて有意な大きさ(膜厚)を持たない場合に成り立つ。例えば、波長の500分の1より大きな膜厚の物質が付着すると、弾性表面波は特定の周波数を除いて伝搬中に弾性エネルギを失うか(減衰定数が大きい)、伝搬が困難な状況になり、(1)式の関係から外れる。
なお、弾性表面波を多重周回させる素子でなければ、相応の質量変化量がなければ十分な分解能の測定は困難である。球状弾性表面波素子であれば、球表面上を弾性表面波が多重周回するので僅かな質量変化量Δmの影響が重畳されて周回時間の大きな変化率ΔTとして測定が可能となる。
一方、周波数非依存要因は、前述したように例えば伝搬面の温度変化量Δtである。周回時間の変化率ΔTは、温度変化量Δt及び温度依存係数Aに比例して変化する。温度依存係数Aは、例えば水晶のZ軸シリンダ経路を周回する弾性表面波の周回時間の温度依存性を表し、約25ppm/℃の値をもつ。
次に、計算部60は、周回時間の変化率に基づき、変化させた要因を分析する。具体的には、周波数依存要因の変化量と周波数非依存要因の変化量とを個別に算出する。ここでは最も簡単な場合を例に次の(i)〜(iii)の手順で説明する。
(i)周波数依存要因と周波数非依存要因のそれぞれの依存係数A,Bを測定する。伝搬面11の温度変化量Δtに伴い、弾性表面波の周回時間は、1℃あたりA倍に変化するとする。この伝搬面11の温度依存係数Aは、温度制御可能な環境において、伝搬面11の温度を変えて周回時間を測定したときの測定結果から求めることが可能である。
また、伝搬面11の質量変化量Δmに伴う弾性表面波の周回時間は、1ng/cmあたり、B倍に変化するとする。この伝搬面11の質量依存係数Bは、模擬的に金などを周回経路上に形成して周回時間の変化を測定し、付着した金の量を蛍光X線分析法に基いて測定した結果から求めることが可能である。
依存係数A,Bは、予め測定可能であり、弾性学から理論的にも計算可能である。
また、上記の例では、A,Bは定数であるが、AとBが互いに影響し合う関係にある場合、例えばAが温度の絶対値の関数であったりする場合でも、Aが測定可能であればよい。つまり、実験から得られる周回時間の変化率の値を最も良く説明する温度変化量Δtと質量変化量Δmを求めれば良く、最適化問題として対応可能である。
(ii)計算部60は、弾性表面波の周回時間の変化率dT1,dT2を測定する。第1の変化率dT1は、第1周波数F1の駆動信号において、物質の付着前の伝搬面11における所定周回数に要する周回時間T1と、物質の付着後の伝搬面11における所定周回数に要する周回時間T1’の差を付着前の周回時間T1で除した値(dT1=(T1’−T1)/T1)として測定される。同様に、第2の変化率dT2は、第2周波数F2の駆動信号において、物質の付着前の伝搬面11における所定周回数に要する周回時間T2と、物質の付着後の伝搬面11における所定周回数に要する周回時間T2’の差を付着前の周回時間T2でを除した値(dT2=(T2’−T2)/T2)として測定される。
(iii)計算部60は、伝搬面の温度変化量Δtと質量変化量Δmを求める。弾性表面波の周回時間の変化率dT1,dT2から、下記の(2)式および(3)式が成立する。
1+dT1=周波数非依存効果×周波数依存効果
=(1+A・Δt)×(1+B・Δm・F1) …(2)
1+dT2=(1+A・Δt)×(1+B・Δm・F2) …(3)
(2)式、(3)式において、AB×Δt×Δm×F1、及びAB×Δt×Δm×F2、は非常に小さな値になるために省略できる。これにより、下記の(4)式および(5)式が成立する。
dT1=A・Δt+B・Δm・F1 …(4)
dT2=A・Δt+B・Δm・F2 …(5)
ここで、(4)式と(5)式の連立方程式を解くことにより、下記の(6)式および(7)式が成立し、伝搬面の温度変化量Δtと質量変化量Δmを独立に求めることが可能となる。
Figure 2006071482
以上のように、計算部60は、依存係数AとBを予め求めておき、各周波数F1,F2毎の周回時間の変化率dT1,dT2に基づいて、(6)式及び(7)式から温度変化量Δtおよび質量変化量Δmを算出する。
なお、上記の例では2つの周波数F1,F2によって、伝搬面の温度変化量Δtと質量変化量Δmを求めたが、より多くもしくは連続的に異なる周波数の値に対して温度変化量Δtと質量変化量Δmを計算しても良い。その場合、周回時間の変化率の測定値を最も良く説明する値を採用することとなる。
次に、本実施形態に関連する実施例1について述べる。
<実施例1>
球状弾性表面波素子10Sにアルブミンを付着して、付着前後の弾性表面波の周回時間の変化率dT1,dT2から、アルブミンの付着量Δmを算出した。
図3は本実施例で使用する球状弾性表面波素子を示した図である。
球状弾性表面波素子10Sに用いるすだれ状電極は、2つのすだれ状電極13A,13Bを、球状部材12に接して形成する。すだれ状電極13A,13Bは、それぞれ20MHzおよび45MHzの駆動周波数をもつ駆動信号が個別に入力され、同一の伝搬面11に弾性表面波を励起する。なお、すだれ状電極13A,13Bに15MHzと45MHzのように、一方の周波数が他方の周波数の整数倍となる駆動信号で、同一の伝搬面に弾性表面波を励起すると、一方のすだれ状電極が他方のすだれ状電極が励起した弾性表面波の周回を阻害することがある。そのため、15MHzと45MHzの組合せより、20MHzと45MHzのような組合せの方が望ましい。
ところで、水晶のZ軸シリンダ経路においてレーリー波の速度は約3200m/sである。そこで、すだれ状電極13Aのパターン周期は3200m/sを20MHzで除することで求められ、160.0μmとなる。パターン線素の幅及びスペースはその4分の1に設計している。また、すだれ状電極13Aの電極の重なり幅は、約0.84mmに設計している。
一方、すだれ状電極13Bについては、すだれ状電極13Aと同様に計算して、パターン周期は71.1111μmとし、電極の重なり幅は約1.27mmに設計している。
ここで、各すだれ状電極13A,13Bの重なり幅は、それぞれ弾性表面波を球状部材12の赤道上に帯状に周回させるために設計される。すだれ状電極の重なり幅が最適値からずれても、周回経路上で弾性表面波のビーム幅が広がるものの、実用上大きな問題は生じない。しかし、励起される弾性表面波の波長が球状部材12の直径の10分の1以上であったり、すだれ状電極の重なり幅が球状部材の半径の1.5分の1以上であると、弾性表面波が球全体に広がり実質的に多重周回が困難になる。特に結晶基材の場合、すだれ状電極が大きくなると、異なる特性の結晶面にも電極が位置するようになるので、効率を維持することが困難になってくる。
信号発生源30は、駆動信号としての20MHzのRFバースト信号と45MHzのRFバースト信号を、夫々すだれ状電極13A,13Bに印加する。すだれ状電極13A,13Bは、弾性表面波を励起して周回経路を50周回させた後、検出信号を信号測定部50に出力した。その結果、信号測定部50は、下表に示す周回時刻を測定した。
Figure 2006071482
この測定結果から、図示しない計算部60は、アルブミン処理による周回時間の変化率dT1,dT2を求めた。20MHzの信号で弾性表面波を励起した場合は、dT1=3.896ppmとなり、45MHzの信号で弾性表面波を励起した場合は、dT2=11.008ppmとなった。
以上の数値を(6)式および(7)式に入力し、温度依存係数Aを25.6ppm、質量依存係数Bを1.777ppm/((ng/cm2)・MHz)として、アルブミン付着量Δmを計算した。その結果、質量変化は約160ng増加し、温度変化は約0.07℃増加したことを求めることができた。
この実施例では2つの周波数(20MHz,45MHz)について行ったが、例えばインパルス信号を弾性表面波励起用に使用し、出力信号をデジタルオシロスコープで受信した後に計算装置によって周波数分析を行い、周波数別の位相差(遅延時間の変化)を求めることも可能である。
上述したように本実施形態によれば、第1周波数F1をもつ駆動信号で励起したときの周回時間の第1変化率dT1と、第2周波数F2をもつ駆動信号で励起したときの周回時間の第2変化率dT2とを測定し、これら第1周波数F1、第1変化率dT1、第2周波数F2及び第2変化率dT2に基づいて、周回時間(伝搬状態値)を変化させる要因の変化量を分析する。すなわち、周回時間を変化させる要因と駆動信号の周波数F1,F2との関係に基づいて、要因の変化量Δt,Δmを分析する構成により、伝搬面の伝搬状態を測定する際に、温度測定を不要としつつ、伝搬状態を変化させる要因を分析することができる。これは例えば、プロテインチップやガスセンサに利用することが可能である。
<第2の実施形態>
図4は本発明の第2の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置の構成を示す模式図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。なお、以下の各実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、周回時間の変化率dT1,dT2を求めた第1の実施形態とは異なり、共振周波数の変化から周回時間の変化率を求めている。
この伝搬面の分析装置は、多重周回弾性表面波素子10、高周波信号源30、周波数微調整変換部31、ゲート回路32、スイッチ40A、40B,40C、タイマ41、干渉部42、増幅部45、信号強度測定部50a、計算部60a及び制御部70を備えている。
ここで、多重周回弾性表面波素子10は、図1に示したものであり、伝搬面11を有する球状部材12とすだれ状電極13を備えている。
高周波信号源30は、20MHz帯、45MHz帯の高周波信号を周波数微調整変換部31に入力するものである。
周波数微調整変換部31は、高周波信号源30から入力された高周波信号の周波数を僅かに変更する機能と、基準信号をゲート回路及びスイッチ40Cに入力する機能とを有している。なお、高周波信号源30と周波数微調整変換部31とは、単一の装置として設けても良い。
ゲート回路32は、周波数微調整変換部31から入力された基準信号を短い時間幅のRFバースト信号の駆動信号に変換し、この駆動信号をスイッチ40Aを介してすだれ状電極13へ入力する。ここでは、0.5μ秒のパルス幅を持つバースト信号に変換している。
スイッチ40Aはタイマ41により制御され、ゲート回路32とすだれ状電極13を接続又はしゃ断する。
スイッチ40Bはタイマ41により制御され、すだれ状電極13と干渉部42を接続又はしゃ断する。
スイッチ40Cはタイマ41により制御され、周波数微調整変換部31と干渉部42を接続又はしゃ断する。
タイマ41は、弾性表面波が所定の周回したときの検出信号と基準信号とを干渉部42へ入力するようにスイッチの開閉タイミングを制御するためのものであって、特定の周回数または特定の時刻を指定して、スイッチ40A,40B,40Cの接続としゃ断のタイミングを制御する。
干渉部42は、すだれ状電極13から出力された弾性表面波の検出信号と、周波数微調整変換部31から入力された基準信号とを干渉させ、得られた干渉信号を増幅部45に出力する。
増幅部45は、干渉部42から入力された干渉信号を増幅して信号強度測定部50aに出力する。
信号強度測定部50aは、増幅部45から受けた干渉信号の強度を測定する機能と、得られた干渉信号の強度を計算部60aに出力する機能をもっている。
計算部60aは、信号強度測定部50aから得られた周波数変化に対する信号強度の変化を解析して、例えば信号強度が最も大きくなる周波数(共振周波数)を求めて、その周波数を伝搬状態値として得る。このように計算部60aは、共振周波数を求める機能に加えて、共振周波数の変化率から周回時間の変化率を算出する機能と、得られた周回時間の変化率に基づいて、前述した(6)式および(7)式から温度変化量Δtと質量変化量Δmを算出する機能とをもっている。但し、共振周波数を求める工程は常に計算機などによって行う必要はなく、ハード的に自動で共振周波数を追跡する手法が一般に存在し、それを用いても良い。例えば、ATカット水晶を用いてQCM測定を行う際には、デバイスの共振周波数を用いる方法が一般に用いられている。
制御部70aは、周波数微調整変換部31を制御して高周波信号源30からの信号を、例えば数Hzステップで変化させるとともに、信号強度測定部50aの信号強度値をデータとして計算部60aに取り込ませている。制御部70aは、この作業を幾つか異なる周回(遅延時間)において行うように制御している。
次に、以上のように構成された分析装置による伝搬面の分析方法を説明する。
高周波信号源30は高周波信号を出力する。高周波信号は、ゲート回路32でRFバースト信号に変換され、多重周回弾性表面波素子10のすだれ状電極13に入力される。すだれ状電極13は、受信したRFバースト信号により、球状部材12の伝搬面11に弾性表面波を励起して周回させる。弾性表面波の多重周回中、タイマ41は、スイッチ40A及びスイッチ40Bを制御する。スイッチ40Aはゲート回路32とすだれ状電極13をしゃ断し、スイッチ40Bはすだれ状電極13と干渉部42をしゃ断する。これにより、多重周回弾性表面波素子10を周回する弾性表面波SAW1,SAW2が、周回毎に電気信号を出力しエネルギが弱くなることを防いでいる。
しかる後、タイマ41は、所定の周回数に達したタイミングでスイッチ40Bを制御し、すだれ状電極13と干渉部42を接続する。これにより、すだれ状電極13は、周回した弾性表面波の検出信号を干渉部42に出力する。
この際、タイマ41はスイッチ40Cを制御し、周波数微調整変換部31と干渉部42を接続する。これにより、周回した弾性表面波の検出信号と周波数微調整変換部31からの基準信号とが干渉部42で干渉する。この干渉信号の強度を信号強度測定部50aが測定し、計算部60aに出力する。計算部60aは、基準信号の周波数変化に対する干渉信号の強度変化を解析して共振周波数を求め、伝搬面における共振周波数(極大周波数)の変化率を求める。計算部60aは、この共振周波数の変化率に基づいて、球状部材12の表面を伝搬する弾性表面波の伝搬時間の変化率を求めることができる。
詳しくは、干渉部42では、図5(a)に示すように、パルス状に周回する弾性表面波に応じた検出信号が周期的に入力される。弾性表面波が多重周回すればするほど、図5(b)に示すように、基準信号と位相の差が生じてくる。この位相の差を干渉による信号強度の変化を観測する方法によって求めることによって、計算部60aは、共振周波数の変化率を求める。具体的には例えば、連続的に駆動信号をすだれ状電極13に印加して、励起される弾性表面波の出力強度を信号強度測定部50aで測定すると、ある特定の周波数で強度が極大となる。この強度が極大になる状態を「共振状態」といい、弾性表面波の1周回分の周回時間が、弾性表面波の振動周期の整数倍にある状態で実現される。また、共振状態における弾性表面波の振動周波数を「共振周波数」という。
共振状態では、図6(a)に示すように、駆動信号がすだれ状電極13に入力された場合に、弾性表面波の1周回分の周回時間が弾性表面波の振動周期の整数倍となる。このため、すだれ状電極13は、既に周回している弾性表面波と同じ位相で、弾性表面波の振動を増幅する電界を球状部材12に印加するので、弾性表面波の出力強度が極大となる。
共振状態では無い状態では、図6(b)に示すように、駆動信号がすだれ状電極13に入力された場合に、弾性表面波の1周回分の周回時間が弾性表面波の振動周期の整数倍にならない。このため、すだれ状電極13は、周回中の弾性表面波に対して異なる位相の弾性表面波を印加し、既に周回中の弾性表面波を打ち消してしまう。よって、弾性表面波の強度は不十分になり、出力される検出信号の位相は、時間的に不安定になる。
このような共振状態では、弾性表面波の振動周期の変化と弾性表面波の周回時間の変化には比例関係が成立する。また、弾性表面波の振動周期の変化は、共振周波数の変化の逆数である。このため、弾性表面波の周回時間の変化率ΔTと共振周波数の変化率ΔFcは等しくなり、近似的に下記の(8)式が成立する。
ΔFc≒−ΔT …(8)
このように、計算部60aは、弾性表面波の周回時間の変化率ΔTを共振周波数の変化率ΔFcから求める。
ここで、共振周波数の変化率ΔFcを求める方法を説明する。
弾性表面波の周回中、スイッチ40Aは多重周回弾性表面波素子10とゲート回路32をしゃ断している。そのため、周波数微調整変換部31が基準信号の周波数Fを変化させても、多重周回弾性表面波素子10を周回する弾性表面波の位相は変化しない。一方、基準信号の位相は、当然に、基準信号の周波数Fに応じて変化する。よって、干渉部42では、弾性表面波の検出信号と基準信号とを干渉させて得た干渉信号が位相変化に伴って振動を生じる。
干渉信号の強度は、基準信号の周波数の微小な変化に対しても振動を起こす。この振動の周期は、図7(a)〜(d)に示すように、周回数がN,2N,3N,…,6N周と大きくなるに従い、短くなる。理由は周回時間が長いため、出力されるまでの僅かな周波数の変化でも基準信号との位相差が大きく変化することによる。
このような干渉信号の強度変化は、基準信号を周波数微調整変換部31で掃引することにより、得ることができる。図7において、横軸は周波数であり、縦軸は信号強度を示している。縦軸については相対的な波形変化を示すため、周回数N〜6Nの各波形の強度を任意単位で表している。
周回数が6N周目の場合、図7(a)に示すように、干渉信号の変化が激しいので分解能は高いが、ある特定の周波数に対する強度変化の時間推移あるいは測定ごとの追跡が困難である。逆に、周回数がN周目の場合、図7(d)に示すように、干渉信号の変化が緩やかなので、ある特定の周波数に対する強度変化の時間推移の測定は容易だが、分解能が低いため共振周波数の特定が困難である。
そこで、周回数の小さい場合(周回数がNの場合)から順次周回数の大きな信号を測定し、干渉強度の最大点を絞込み特定していく。この測定を行うためにタイマ41を用いて、弾性表面波が特定回数周回したときの検出信号と基準信号を干渉部41で干渉させている。
このように周回数に応じて干渉強度の最大点を探すことにより、周回数が大きい場合の共振周波数を求めることが可能となる。
これにより、信号強度測定部50aは、2つのあるいは複数の周波数帯域について、共振周波数を求め、共振周波数の変化率ΔFc1,ΔFc2を解析し、得られた共振周波数の変化量ΔFc1,ΔFc2を計算部60aに出力する。
計算部60aは、これら共振周波数の変化率ΔFc1,ΔFc2から(8)式に基づいて、周回時間の変化率dT1,dT2を算出する。以下、前述同様に、計算部60aは、(6)式及び(7)式に基づいて、所定の周波数依存性を持つ周波数変動要因(例えば温度変化量Δt,質量変化量Δm)を算出する。
上述したように本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、周回時間の変化率を求めるに際して、共振周波数の変化率を用いて求めることができるので精度の高い測定が可能となる。
なお、本実施形態では、干渉強度が最大の点を共振周波数として求めたが、必ずしも強度が極大になるときの周波数である必要は無い。すなわち、周回する弾性表面波の周回速度に対応する周波数の値が求められれば良く、例えば共振周波数から離れた強度が極小になるときの周波数であってもよい。
また、本実施形態では、20MHz帯、及び45MHz帯の2つの周波数領域でそれぞれの共振周波数を求めている。そのため、厳密な意味で固定された複数の周波数における伝搬状態値を求めてはおらず、周波数自体が測定値として変動している。この場合、20MHzと45MHzのそれぞれの周波数の近傍に置ける共振周波数の測定で近似的に同じ数値となることから、本発明はこれを除外しない。また、本発明は、伝搬状態値の周波数依存性の違いから、周波数依存性の異なる被計測要因を識別して測定することに主旨があるものであって、本実施形態に示すように計測する周波数自体が変動しても、この主旨に反しない限りにおいて本発明はこれを除外しない。
さらに、上述したように、弾性表面波の伝搬速度の変化を伝搬状態値として選ぶのではなく、より簡単に周回する弾性表面波の強度あるいは強度の周回に伴う減衰率によって得ることも可能である。
つまり、図4において、干渉する基準信号を用いず(基準信号の強度を0とする)、周波数を変更したときの信号強度を観測するだけであっても、弾性表面波の周回時間(又は周回速度)と弾性表面波の周期との数学的関係に従って、特定の周波数で周回する弾性表面波の強度が極大あるいは極小になる周波数が存在し、その周波数を伝搬状態値として採用しても良い。また、周回する弾性表面波の強度を測定するに際して、異なる周回数に相当する時刻(遅延時間)で測定し、周回に伴う弾性表面波の減衰の量(減衰率)を観測してその値を伝搬状態値として採用してもよい。
本発明では同一の3次元基体上の同一伝搬面(例えば水晶球のZ軸シリンダー経路など)に複数の周波数、あるいは複数の周波数帯の弾性表面波を周回させて、その伝搬状態値を得ることが好ましい。全く同一の経路を計測することからより厳密な計測が可能である。また、他の望ましい実施形態として、LiNb(ニオブ酸リチウム)やLiTaO(タンタル酸リチウム)、BSO(ビスマスシリコンオキサイド)、ランガサイトなどの複数の弾性表面波の多重周回経路を持つ圧電結晶球を用い、同一の3次元基体上の異なる周回経路上に複数のすだれ状電極を形成してもよい。この場合、素子の製造自体は難しくなるが、単一の周回経路に異なる中心周波数を持つ複数のすだれ状電極を形成する場合に、互いのすだれ状電極が周回現象を妨害し合う現象を避けてより多数の周回を実現することができ、精度の高い測定を実現できる。
また、本発明は、別個の3次元基体上にわたって、異なる周波数や周波数帯の周回経路を形成して実施してもよい。弾性表面波が多数周回させることは簡単であるが、別個の基体上の測定を組み合わせることから基体間の温度の差や形状の差等の誤差を考慮する必要が生じてくる。特に異なる3次元基体間の温度の差を極力抑えるために、複数の3次元基体の一部分を例えば平面にカットして互いに大きな面積で接合させることで3次元基体間の温度差を小さくして対処することができる。
なお、上記するように弾性表面波が伝搬する伝搬路の領域以外の3次元基体の領域が加工されていたり、構造物が存在しても本発明に係る多重周回弾性表面波素子の性能に大きな影響は与えない。また、3次元基体全体にわたって球面である必要はなく、多重周回弾性表面波素子の出力に大きな影響を与えない伝搬路以外の領域が球面に加工されていない場合についても、本発明はこれを除外しない。
<第3の実施形態>
図8は本発明の第3の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置の構成を示す模式図である。
本実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、高周波信号源30の高周波信号の周波数が変動した場合に、変動の影響を除去するものである。
この伝搬面の分析装置は、多重周回弾性表面波素子10、高周波信号源30、周波数微調整変換部31、ゲート回路32、高調波変換部33、分離部34、干渉部42A、42B、信号強度測定部50A,50B、計算部60b及び制御部70を備えている。
高周波信号源30は、例えば15MHz帯の高周波信号を周波数微調整変換部31に入力するものである。ここでは、高周波信号の周波数は、温度等の影響により変動し易いものとする。
周波数微調整変換部31は、制御部70からの制御に従い、高周波信号源30から入力された高周波信号の周波数を僅かに変更することで、位相を設定するとともに変更可能な第1基準信号SigA1を生成する機能と、第1基準信号SigA1をゲート回路32、高調波変換部33及び干渉部42Aに出力する機能とを有している。ここでは、周波数は1Hzずつ変更可能となっている。周波数微調整変換部31としては、通常、DDS(Direct Digital Synthesizer)と呼ばれる素子が使用可能となっている。
ゲート回路32は、制御部70により制御され、周波数微調整変換部31から受けた第1基準信号SigA1を断続的に出力し、得られた駆動信号SigA2をすだれ状電極13に印加する機能と、高調波変換部33から受けた第2基準信号SigB1を断続的に出力し、得られた駆動信号SigB2をすだれ状電極13に印加する機能とをもっている。
高調波変換部33は、高周波信号源30から受けた第1の基準信号SigA1に基づいて、基準信号SigA1の周波数を整数倍して第2の基準信号SigB1を生成する機能と、得られた第2の基準信号SigB1をゲート回路32及び干渉部42Bに出力する機能とをもっている。ここでは、15MHz帯の基準周波数SigA1の信号を3逓倍させて45MHz帯の基準信号SigB1を発生させる。この場合、温度等の影響により高周波信号の周波数が変動しても、基準信号SigA1と基準信号SigB1は、互いに一定の周波数比を維持したまま、周波数が変動する。
分離部34は、すだれ状電極13から検出される検出信号を周波数成分毎に分離する機能を有し、駆動信号SigA2で励起された弾性表面波の検出信号SigA3を干渉部42Aに入力する機能と、駆動信号SigB2で励起された弾性表面波の検出信号SigB3を干渉部42Bへ入力する機能とをもっている。
干渉部42Aは、分離部34から入力された検出信号SigA3と、周波数微調整変換部31から入力された基準信号SigA1とを干渉させる機能と、得られた干渉信号SigA4を信号強度測定部50Aに出力する機能とをもっている。
干渉部42Bは、分離部34から入力された検出信号SigB3と、高調波変換部33から入力された基準信号SigB1とを干渉させる機能と、得られた干渉信号SigB4を信号強度測定部50Bに出力する機能とをもっている。
信号強度測定部50A,50Bは、それぞれ干渉部42A,42Bから受けた干渉信号SigA4、SigB4の強度を測定する機能を持つ。
計算部60bは、得られた干渉信号の強度(干渉強度)から検出信号の位相変化を求める機能と、得られた位相変化から共振周波数の変化率を求める機能と、得られた共振周波数の変化率からそれぞれ(8)式に基づいて、周回時間の変化率dT1,dT2を算出する機能と、得られた周回時間の変化率dT1,dT2に基づいて、後述する(10)式及び(12)式から温度変化量Δt及び質量変化量Δmを算出する機能とをもっている。なお、(10)式及び(12)式は、それぞれ前述した(6)式及び(7)式と同じ式である。
制御部70は、周波数微調整部31、ゲート回路32、信号強度測定部50A,50Bを制御し、各部31,32,50A,50Bの動作のタイミングを設定する機能を有している。
次に、以上のように構成された分析装置による伝搬面の分析方法を説明する。
高周波信号源30は、例えば15MHz帯の高周波信号を周波数微調整変換部31に入力する。
周波数微調整変換部31は、入力された高周波信号の周波数を僅かに変更することで、第1基準信号SigA1を生成し、得られた第1基準信号SigA1をゲート回路32、高調波変換部33及び干渉部42Aに出力する。
高調波変換部33は、高周波信号源30から受けた15MHz帯の基準信号SigA1に基づいて、基準信号SigA1の周波数を3倍して45MHz帯の基準信号SigB1を生成し、得られた基準信号SigB1をゲート回路32及び干渉部42Bに出力する。
ゲート回路32は、制御部70により制御され、第1基準信号SigA1を断続的に出力し、得られた駆動信号SigA2をすだれ状電極13に印加する。また、ゲート回路32は、制御部70により制御され、第2基準信号SigB1を断続的に出力し、得られた駆動信号SigB2をすだれ状電極13に印加する。
分離部34は、すだれ状電極13から出力される検出信号を周波数成分毎に分離し、駆動信号SigA2で励起された弾性表面波の検出信号SigA3を干渉部42Aに入力する。また、分離部34は、駆動信号SigB2で励起された弾性表面波の検出信号SigB3を干渉部42Bへ入力する。
干渉部42Aは、入力された検出信号SigA3と、周波数微調整変換部31から入力された基準信号SigA1とを干渉させ、得られた干渉信号SigA4を信号強度測定部50Aに出力する。
干渉部42Bは、入力された検出信号SigB3と、高調波変換部33から入力された基準信号SigB1とを干渉させ、得られた干渉信号SigB4を信号強度測定部50Bに出力する。
信号強度測定部50A,50Bは、それぞれ干渉信号SigA4、SigB4の強度を測定する。
計算部60bは、得られた干渉信号の強度から検出信号の位相変化を求め、得られた位相変化から共振周波数の変化率を求める。ここで、共振周波数の変化率dF1およびdF2は、その絶対値が非常に小さいときは、次のように近似的に定義できる。
dFcA≒(FcA2−FcA1)/F1 ・・・(9)
dFcB≒(FcB2−FcB1)/F2 ・・・(10)
ところで、共振周波数の変化率dFcAとdFcBは、弾性表面波の周回時間の変化率と共振周波数の変化率との関係式である(8)式から、次のように表すことができる。
Figure 2006071482
すなわち、周波数依存性をその変化率が持たない場合と持つ場合で識別できることを示している。
この式の中でF1,F2について共振周波数FcA1,FcA2やFcB1,FcB2を用いてより正確な値を算出してもよいが、ここでは簡単の為にF1,F2を用いている。
ところで、基準信号SigA1の変動Δfが、FcA1,FcB1の測定時と、FcA2,FcB2の測定時の間で起きる場合の測定結果への影響を考える。Δfの変動は測定で得られる共振周波数の値に対して周波数に依存することなく同じ変化率を与えることは明かである。これは前述したように温度の測定値に対して与える影響と同じであって、Δtの値に影響を与える。一方、Δmの測定値に対しては影響がなく、正しい測定ができることとなる。このことは伝搬路上の質量負荷効果によって付着量を計測する場合や、伝搬路が感応膜を持ち、感応膜の応答によって測定を行うに際して、そのシステムの周波数安定性や周波数の絶対値の正確さが劣っても正確な測定ができることを意味している。
次に、本実施形態に関連する実施例2について述べる。
(実施例2)
球弾性表面波素子10Sにアルブミンを付着して、付着前後の弾性表面波の周回時間の変化率dT1,dT2から、アルブミンの付着量Δmを算出した。
球状弾性表面波素子10Sに用いるすだれ状電極は、図3に示したように、2つのすだれ状電極13A,13Bを、球状部材12に接して形成する。すだれ状電極13A,13Bは、それぞれ15MHz帯および45MHz帯の駆動周波数が入力され、同一の伝搬面11に弾性表面波を励起する。45MHz帯の駆動信号で励起される弾性表面波の場合、駆動信号が約100kHz毎に出力強度が大きくなることが観測された。
本実施例は、図9に示す手順に従って実施した。
始めに、アルブミンを球状弾性表面波素子10Sの伝搬面11に付着する前に、複数の異なる周波数帯(15MHz、45MHz)で励起する弾性表面波の共振周波数を高い分解能で求める。
始めに、周波数微調整変換部31は、15MHz帯の基準信号SigA1を発生させる(s1)。次に、高調波変換部33は、基準信号SigA1と一定の比を有する基準信号SigB1を発生させる。ここでは、基準信号SigA1と基準信号SigB1の比を1対3として、45MHz帯の基準信号SigB1を発生させる(s2)。
これらの基準信号SigA1,SigB1をゲート回路32を介して、駆動信号SigA2,SigB2をそれぞれすだれ状電極13A,13Bに印加し、弾性表面波SAWa,SAWbを励起する。励起した弾性表面波SAWa,SAWbはそれぞれすだれ状電極13A,13Bにより検出信号SigA3,SigB3として検出される(s3)。基準信号SigA1と検出信号SigA3を干渉部42Aで干渉させ、干渉信号SigA4を信号強度測定部50Aで測定することにより、共振周波数FcA1を測定する(s4)。同様にして干渉信号SigB4から共振周波数FcB1を測定する(s5)。
次に、アルブミンを伝搬面11に付着した後の、複数の異なる周波数で励起する弾性表面波の共振周波数を求める。そこで、球状弾性表面波素子10Sの伝搬面にアルブミンを付着する(s6)。アルブミンを付着する前に求めた方法と同様の方法で、弾性表面波SAWa,SAWbの共振周波数FcA2,FcB2を測定する(s7)。
最後に、アルブミン付着前後の共振周波数の変化率から周回時間の変化率dT1,dT2を算出し、周回時間の変化率dT1,dT2に基づいて、複数の要因(温度変化量Δt、質量変化量Δm)の環境変化を算出する(s8)。
測定の結果、下表2の共振周波数を観測することができた。
Figure 2006071482
この結果から、アルブミン処理による周回時間の変化量dT1,dT2を求めると、15MHz帯の信号で弾性表面波を励起した場合の変化量dT1は15.1ppmとなり、45MHz帯の信号で弾性表面波を励起した場合の変化量dT2は15.36ppmとなった。
以上の数値を(10)式及び(12)式に入力し、温度依存係数Aの値を25.6ppm、周波数依存係数Bの値を1.777ppm/((ng/cm2)・MHz)として、アルブミン付着量Δmを計算した。その結果、質量変化は約240ng増加したことが求められ、実施例1と略同様の測定値を得ることができた。
上述したように本実施形態によれば、複数の異なる駆動信号SigA2,SigB2の周波数の比を一定にすることにより、駆動信号の元となる高周波信号の変動の影響を除去することができ、測定精度を向上させることができる。これにより、安価で小型の高周波信号源を用いてシステムを構成することが可能となる。
<第4の実施形態>
図10は第4の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置に適用されるすだれ状電極の構成を示す模式図である。
本実施形態は、同一伝搬面に弾性表面波を励起可能なものである。なお、伝搬面の分析方法については、第1〜第3の実施形態までと同様であるので省略し、ここでは、最も単純なすだれ状電極の構成と励起される弾性表面波について主に説明する。
本実施形態にかかるすだれ状電極13は、20MHz帯の周波数の駆動信号SigA2で弾性表面波を励起するすだれ状電極13Aと、45MHz帯の周波数の駆動信号SigB2で弾性表面波を励起するすだれ状電極13Bとからなり、それぞれ同一の伝搬面に弾性表面波を励起する。
ここで、すだれ状電極13Aは、設計により、横幅W1,電極重なり幅S1,パターン周期r1,電極幅p1の値が決められる。
同様に、すだれ状電極13Bは、設計により、横幅W2,電極重なり幅S2,パターン周期r2,電極幅p2の値が決められる。
設計を容易にするために、各電極13A,13Bの横幅W1,W2の値は同一の値Wとし、電極幅p1、p2の値は同一の値pとしてある。
また、すだれ状電極13Aのパターン周期r1と、すだれ状電極13Bのパターン周期r2との比は、駆動信号の周波数の逆数であり3対1となる。なお、球状部材12が水晶の場合には周回経路上で結晶性に従って連続的に波長が変わる。そのため、互いに影響を与えないための電極の間隔と位置は必ずしも等間隔である必要はなく、厳密にはすだれ状電極の各電極線の間隔は、3次元基体の結晶方位に従って変化する弾性表面波の波長にあわせて連続的に変えて作成してもよい。
さらに、電極間隔r1、r2は一定にしているが、3次元基体が球である場合に、その周回経路を赤道として経線に沿って電極を形成する場合には、それらは緯度方向にしたがって一定ではなくなる。このように電極の間隔を形成することは、製造が多少難しくなるが、弾性表面波の多重周回にとって周回する過程で繰り返されるすだれ状電極における反射波が周回経路からずれた方向に拡散する影響を小さくできるので望ましい。さらに、すだれ状電極は3次元基体の伝搬路に直接形成せずに、近接して形成しても良い。この場合、すだれ状電極は、3次元基体から励起される弾性表面波の波長の4分の1以下の距離になる位置に、3次元基体に対向するように形成する。このような構造であっても、すだれ状電極に電界を印加すれば、3次元基体に弾性表面波を間接的に励起するとともに検出することが可能となる(例えば、[特許文献1]参照)。
また、このように複数の周波数帯域用のすだれ状電極が近接して作成される必要はなく、単一の3次元基体の同一周回経路状に形成しても、周回経路上の離れた位置に形成しても良い。
以上のような構成によれば、第1〜第3の実施形態の効果に加え、同一の伝搬面に複数の異なる周波数の弾性表面波を励起することができる。そのため、精度の高い温度校正を行うことができる。
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置の構成を示す模式図である。 同実施形態における駆動信号と検出信号を示す波形図である。 同実施形態における実施例で使用する球状弾性表面波素子を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置の構成を示す模式図である。 同実施形態における信号強度測定部で観測する信号を示す模式図である。 同実施形態における共振状態を説明するための模式図である。 同実施形態における干渉信号の信号変化を説明するための模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置の構成を示す模式図である。 同実施形態における実施例の手順を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態に係る多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析装置に適用されるすだれ状電極の構成を示す模式図である。
符号の説明
10・・・多重周回弾性表面波素子、10S・・・球状弾性表面波素子、11・・・伝搬面、12・・・球状部材、40,40A,40,40C・・・スイッチ、42,42A,42B・・・干渉部、45・・・増幅部。

Claims (12)

  1. 弾性表面波を多重周回させて伝搬可能な伝搬面を有する3次元基体と、
    入力される駆動信号に応じて、前記伝搬面に弾性表面波を励起するための弾性表面波励起手段と、
    前記励起された弾性表面波を検出して検出信号を出力する弾性表面波検出手段と
    を備えた多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法であって、
    第1周波数をもつ高周波信号を前記弾性表面波励起手段に入力する駆動信号入力ステップと、
    前記弾性表面波励起手段により、駆動信号に応じて弾性表面波を前記伝搬面に励起する弾性表面波励起ステップと、
    前記励起されて伝搬面を多重周回する弾性表面波を弾性表面波検出手段で検出し、検出信号を出力する弾性表面波検出ステップと、
    前記出力された検出信号から前記伝搬面の伝搬状態を示す伝搬状態値における第1の変化を測定する第1変化測定ステップと、
    前記第1周波数とは異なる第2周波数の駆動信号を用い、前記駆動信号入力ステップ、前記弾性表面波励起ステップ、前記弾性表面波検出ステップ及び前記第1変化測定ステップを実行し、前記伝搬面の伝搬状態値における第2変化を測定する第2変化測定ステップと、
    前記第1周波数、前記第1変化、前記第2周波数及び前記第2変化に基づいて、前記伝搬状態値を変化させる要因の変化量を分析する要因分析ステップと
    を備えたことを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  2. 請求項1に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記伝搬状態値は、前記弾性表面波が前記3次元基体を多重周回する際の周回速度の変化を示す値であることを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  3. 請求項2に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記要因の変化量は、伝搬面の質量変化量及び温度変化量であり、
    前記要因分析ステップは、
    前記周回時間の温度依存係数と前記周回速度の周波数依存係数とを保持し、
    前記第1周波数、前記周波数依存係数、前記質量変化量、前記温度変化量及び前記温度依存係数に基づいて前記第1変化を表す式と、前記第2周波数、前記周波数依存係数、前記質量変化量、前記温度変化量及び前記温度依存係数に基づいて前記第2変化を表す式とから得られる前記質量変化量の式と前記温度変化量の式とに基づいて、当該質量変化量及び温度変化量を個別に算出する
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記弾性表面波検出ステップは、前記駆動信号の入力を停止した後に、前記多重周回された弾性表面波を検出して検出信号を出力し、
    前記第1及び第2変化測定ステップは、それぞれ検出信号の位相変化を測定することにより前記第1変化及び前記第2変化を測定する
    ことを特徴とした多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  5. 請求項4に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記駆動信号入力ステップにおいて、前記弾性表面波励起手段に入力する駆動信号は、第1周波数と第2周波数の両方を有する高周波バースト信号であり、
    前記第1及び第2変化測定ステップは、それぞれ検出信号の波形の変化から前記第1周波数成分と前記第2周波数成分のそれぞれの位相変化を測定する
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記駆動信号入力ステップにおいて、前記弾性表面波励起手段には共通の高周波信号源から生成される第1周波数の駆動信号と第2周波数の駆動信号を入力し、前記高周波信号源の周波数が変化しても、前記第1周波数と前記第2周波数の周波数比が一定になる
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記弾性表面波励起ステップは、前記各駆動信号に応じて弾性表面波を同一3次元基体上の同一経路に励起する
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記第1変化は、変化前の値に占める変化分の割合を示す第1変化率であり、
    前記第2変化は、変化前の値に占める変化分の割合を示す第2変化率であることを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  9. 請求項2乃至請求項8のいずれか1項に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法において、
    前記伝搬状態値は、前記周回速度の変化を示す値に代えて、所定の周回に要する周回時間であることを特徴とする多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の多重周回弾性表面波素子の伝搬面の分析方法に用いられる多重周回弾性表面波素子において、
    前記伝搬面は、球面によりなる連続した円環状の表面を有する周回経路を備えた
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子。
  11. 請求項10に記載の多重周回弾性表面波素子において、
    前記弾性表面波励起手段は、
    前記3次元基体の表面に接するかあるいは近接して設けられ、前記駆動信号の電界を印加するためのすだれ状電極と、
    前記すだれ状電極から印加される電界を圧電効果により弾性表面波に変換するための圧電材料とからなる伝搬面を有する
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子。
  12. 請求項10または請求項12に記載の多重周回弾性表面波素子において、
    前記3次元基体は圧電結晶で構成されている
    ことを特徴とする多重周回弾性表面波素子。
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