JPH05218524A - 圧電トランス、圧電トランス組立体及び圧電振動子 - Google Patents

圧電トランス、圧電トランス組立体及び圧電振動子

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JPH05218524A
JPH05218524A JP4023931A JP2393192A JPH05218524A JP H05218524 A JPH05218524 A JP H05218524A JP 4023931 A JP4023931 A JP 4023931A JP 2393192 A JP2393192 A JP 2393192A JP H05218524 A JPH05218524 A JP H05218524A
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万寿治 佐藤
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政則 上田
Hiroshi Hasegawa
宏 長谷川
Noboru Wakatsuki
昇 若月
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は新規な圧電トランスに関し、入力電
極と出力電極の面積の比率を変えることにより所望の昇
圧比が得られる圧電トランスを提供することを目的とす
る。 【構成】 第一の方向に延在する圧電基板(31)と、
前記圧電基板上に形成され、一次側交流電流を供給され
て前記基板中に第一の方向に伝播する弾性波を励起する
第一の電極部(32)と、前記基板上に第一の電極部に
対してオフセットして形成され弾性波を電圧に変換する
第二の電極部(33)を有する圧電トランスにおいて第
一の電極部を構成する電極の面積と第二の電極部を構成
する電極の面積とを不均等に形成して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に圧電素子に関
し、特に入力交流電流を供給され、その電圧を昇圧ある
いは降圧させる圧電トランスに関する。
【0002】従来より、交流電流の昇圧あるいは降圧は
電磁トランスによりなされている。電磁トランスは一般
に一次側巻線と二次側卷線を有し、これらは磁気コアに
より電磁的に結合されている。かかる構成では、一般に
トランスがかなりのスペースを占めることが避けられな
い。一方、特に情報処理装置の分野では、たとえばCR
Tディスプレイや静電プリンタ、あるいはDCコンバー
タのように、小型のトランスが必要とされる場合が多
い。また、いくつかの用途では、トランスは小型である
と同時に数千ボルトという高電圧を発生できる必要があ
る。また、出力トランスのように、大きな出力電流を要
求される用途もある。
【0003】
【従来の技術】ところで、圧電体結晶あるいはセラミッ
クスをトランスとして使うことが提案されている
(C.A.Rosen,Proc.Electroni
c Components Symp.p.205,1
957)。この提案では、圧電体基板上に一次側及び二
次側電極が形成され、一次側電極に一次側電圧を印加す
ることで圧電基板に振動を誘起する。このようにして誘
起された振動は二次側電極で電圧に変換される。
【0004】図41(A)および(B)は上記提案にな
る従来の圧電トランスを示す。
【0005】図面を参照するに、圧電トランスは誘電体
基板2を有し、一方この誘電体基板は基板厚み方向に作
用する分極Piを有する第一の部分と、基板の長手方向
に作用する分極Poを有する第二の部分とよりなる。基
板2の第一の部分に対応して、一対の一次側電極4a,
4bが相互に対向するように設けられ、一次側電圧Vi
が電極4a、4b間に印加される。これにより、基板2
中にはd,d’で示したように垂直方向に振動が励起さ
れる。ここで、d,d’は振動の結果基板中に生じる変
位の分布を異なった二つの瞬間について示す。基板2の
長手方向他端には、二次側電極6が形成され、圧電体基
板の振動を電圧Voに変換する。その際、基板2の下面
に形成されている電極4bが二次側電極の一つとしても
使われ、出力電圧Voは電極6と電極4bとの間に現れ
る。また、振動の節に対応して、基板を機械的に支持す
る支持機構8が設けられ、これにより基板2は自由に振
動することが可能になる。
【0006】この圧電トランスの昇圧特性は式 Vo/Vi∝K31・K33・Q1 ・L2 /L1 であらわされ、ここでK31は横効果についての電気機械
結合係数を、K33は縦効果についての電気機械結合係数
をあらわす。さらに、L1 は基板2の厚さを、またL2
は基板2の第2の部分の長手方向サイズをあらわす。図
41(B)を参照。さらに、Q1 は基板2のQ値をあら
わす。この式より、幾何学的パラメータL1 ,L2 、お
よび物質パラメータK31,K33、あるいはQ1 を適当に
設定することにより昇圧比あるいは降圧比を制御できる
のがわかる。
【0007】しかし、かかる従来の装置は、基板2を互
いに分極方向が異なった二つの部分よりなるように形成
することが困難である問題点を有する。たとえば、基板
2は分極Piを有する第一の圧電体板を、分極Poを有
する第二の圧電体板に接着することで形成できるが、こ
のような基板は、一次側電極4a,4bに電圧を印加し
た場合、大応力が特に第一の板と第二の板の接続部分に
発生し、このため装置の使用中に圧電体基板が損傷した
り破壊したりしてしまう問題点を有する。また、この従
来の装置は電極4bと電極6との間の距離が大きいこと
に対応して内部抵抗が大きい問題点を有する。このた
め、この従来の圧電トランスはパワートランスや大出力
電流を要求されるDC−DCコンバータのトランスとし
ては不適当である。
【0008】これらの問題点を解決し、実際の使用に耐
えられる圧電トランスを提供すべく、本発明の発明者は
1990年9月18日出願の特願平2−249574及
びこれに対応する米国特許出願S.N.761、049
において、圧電体基板中に圧電縦効果により励起される
縦振動ないし縦波を使った圧電トランスを提案した。図
42(A)および図42(B)はこの従来の圧電トラン
スを示す。図面を参照するに、圧電トランスはz方向に
分極Pを有する140°回転YカットLiNbO3 より
なる圧電基板12を使用する。基板12は結晶の異方性
に対応した軸X,Y,Zを有するLiNbO3 の単結晶
インゴットから、基板の長手方向に対応したZ’軸がX
軸の回りで140°回転された方位に切り出される。図
43の結晶方位を参照。その結果、基板12に対して垂
直に定義されるY’軸も元のY軸に対して140°回転
される。一方、基板12の横手方向に対応して定義され
るX’方向はX方向に一致する。このように方位を選ぶ
ことにより、電気機械結合係数K33を最大にすることが
可能になる。
【0009】基板12の上主面および下主面には、一次
側電極ないし入力側電極14a,14bが基板12の片
半部に、基板12をはさんで対向するように形成され
る。さらに、基板12の他方の片半部には基板12を介
して相互に対向するように二次側電極16a,16bが
形成される。図42(A)の斜視図を参照。ここで、電
極14aと電極16aは基板12の上主面上で長手方向
に整列し、これに対し電極14bと電極16bとは基板
12の下主面上で同じく長手方向に整列して形成され
る。この従来の装置では、電極14aの長手方向寸法、
従って面積が電極16aのものと実質的に同一に設定さ
れている。同じく、電極14bの長手方向寸法と面積も
電極16bのものと同一になっている。
【0010】動作時には、入力交流電圧Viが電極14
a,14bに印加され、これに応じて縦波が基板12中
に励起される。このようにして励起された縦波は横効果
により基板中を長手方向に伝播し、基板の長手方向サイ
ズにより定まる周波数で共振を生じる。たとえば、基板
12の長手方向サイズを、基板中に励起される縦波の波
長の半波長に相当する長さに設定しておく。基板12中
にこのようにして励起された共振は、電極16a,16
bにより出力電圧Voに変換される。この例では、基板
12中において分極の方向は一定であるため、図41
(A)および図41(B)に示した装置のような、基板
を損傷させたり破壊したりするような応力の局所的集中
は生じない。
【0011】昇圧比Vo/Viは次式で与えられる。
【0012】 Vo/Vi∝Ki ・Ko ・Qa ・l01/l02 ただし、Ki 、Ko はそれぞれ入力側電極14a,14
bが設けられている部分における電気機械結合係数およ
び出力側電極側電極16a,16bが設けられている部
分における電気機械結合係数をあらわす。また、Qa は
基板12のQを、l01は電極14aと電極14bの間の
距離を、l02は電極16aと電極16bとの間の距離を
あらわす。この従来の装置では、比率l01/l02は必然
的に1になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図44および図45
(A)〜(C)はこの従来の圧電トランスの動作特性を
周知のメイソンの等価回路モデルで求めたものであり、
図44は入力交流電圧Viの周波数に伴う入力インピー
ダンスの変化を示している。
【0014】図44を参照するに、低周波数側では入力
インピーダンスZは誘導性であるが、共振周波数fr に
おいて、Zの位相角が−90度から+90度に急激に変
化するのがわかる。以下の説明では、共振周波数fr を
位相角がもっとも−90度に接近する周波数と定義する
ものとする。
【0015】この従来の圧電トランスでは、図45
(A)に示すように、共振周波数fは電極16a及び1
6bに接続する負荷Rl に応じて変化する。
【0016】図45(A)を参照するに、共振周波数f
r は負荷抵抗Rl の値が約104 Ωのあたりで階段状に
変化し、この共振周波数fr の階段状の変化に対応して
入力抵抗Rr にピークが現れる。この入力抵抗Rr は図
44で説明した共振が生じている場合の入力抵抗をあら
わす。図45(B)を参照。より具体的には、入力抵抗
Rr は負荷抵抗Rl が約104 Ωよりも小さい場合に抵
抗Rlの増加にともなって増加し、104 Ωにまで達す
る。
【0017】ここで重要なことは、出力電極16a,1
6bに接続した負荷抵抗Rl が約104 Ωよりも小さい
場合に昇圧比がほとんど1に近くなってしまうことであ
る。図45(C)を参照。これは、トランスに接続され
た負荷Rl が約104 Ωよりも小さい場合圧電トランス
は昇圧あるいは降圧を行わないことを意味する。換言す
れば、前記従来技術による圧電トランスは、たとえば大
電流を出力するパワートランスとして使ったような場
合、昇圧あるいは降圧トランスとして動作しないことに
なる。
【0018】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
ので、小さい負荷抵抗が接続された場合においても昇圧
作用を示し、また大電流を出力でき、パワートランスと
しても使用可能な圧電トランスを提供することを目的と
する。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を、
第一の方向に延在する圧電基板(31)と、前記圧電基
板上に形成され、一次側交流電流を供給されて前記基板
中に前記第一の方向に伝播する弾性波を励起する第一の
電極手段(32)と、前記基板上に、前記第一の電極手
段に対して第一の方向にオフセットして形成され、前記
弾性波を電圧に変換して二次側交流電流を形成する第二
の電極手段とを設けられてなり、前記第一の電極手段を
各々第一の面積を有し前記基板を挟んで対向する一対の
対向電極より形成し、前記第二の電極手段を各々第二の
面積を有し前記基板を挟んで対向する別の一対の対向電
極より形成した圧電トランスにおいて、前記第一の面積
と第二の面積を相互に不均等にしたことを特徴とする圧
電トランスにより、または第一の方向に沿って一端と他
端の間を所定の長さにわたり延在する圧電基板(4,8
1)を有し、所定周波数の一次側交流電流を供給されて
これに応じた二次側交流電流を出力する圧電トランスに
おいて、前記基板上に前記第一の方向に沿って延在する
ように、また前記基板を第一の面積にわたって覆うよう
に形成されて、前記一次側交流電流を供給されて基板中
に前記所定周波数に対応した所定波長の弾性波を励起す
る第一の電極手段(44a,44b;82a,82b)
と、前記基板上に前記第一の方向に沿って延在するよう
に、また前記基板を第一の面積とは異なった第二の面積
で覆うように形成され前記弾性波を電圧に変換して前記
二次側交流電流を形成する第二の電極手段(45a,4
5b;83a,83b)とを形成し、前記基板の第一の
方向に沿った長さを前記弾性波の半波長の整数倍に設定
し、前記第一および第二の電極手段を前記基板上に前記
弾性波の位相に同期して形成したことを特徴とする圧電
トランスにより、または第一の方向に延在する一対の側
面により側方を画成され、前記第一の方向に実質的に直
交する第二の方向に延在する一対の端面により前後を画
成された圧電基板(61、91)を有し、第一の電圧を
有する一次側交流電流を供給されて第二の電圧を有する
二次側交流電流を出力する圧電トランスにおいて、前記
基板上に形成され前記第一の方向に延在するチャネル領
域(B)と、前記基板上にチャネル領域と前記各側面と
の間に位置するようにチャネル領域の両側方に形成され
て各々第一の方向に延在する一対の周辺領域と、前記基
板上にチャネル領域に対応して形成され、チャネル領域
中を前記第一の方向に通過する弾性波の速度を低下させ
るエネルギー閉じ込め手段(62a,62b,63a,
63b;E1 ,E2)と、基板上にチャネル領域に対応
して第一の面積で形成され前記一次側交流電流を供給さ
れて弾性波を基板中に励起する第一の電極手段(62
a,62b;E1 )と、基板上にチャネル領域に対応し
て第二の面積で形成され前記弾性波を電圧に変換して二
次側交流電流を形成する第二の電極手段(62a,62
b;E2)とを備え、前記第一および第二の電極手段の
第一および第二の面積を相互に不均等にしたことを特徴
とする圧電トランスにより、または第一の方向に第一の
長さで延在し、幅すべり振動を効率的に生じるような方
位を有する圧電基板を備え、第一の電圧を有する一次側
交流電流を供給されて二次側交流電流を第二の電圧で出
力する圧電トランスにおいて、前記圧電基板の主面上
に、前記第一の方向に略直交する第二の方向に延在する
複数の電極片を第一の方向に配設して形成され、前記電
極片の各対に前記入力交流電流を供給されて、前記基板
中に基板主面方向に平行な弾性変位を有し前記第一の方
向に進行する横波を励起する第一の電極手段(E1 )
と、前記圧電基板の前記同一主面上に、前記第一の方向
に略直交する第二の方向に延在する複数の電極片を第一
の方向に配設して形成され、前記横波を電圧に変換して
出力交流電流を形成する第二の電極手段(E2 )とを備
えたことを特徴とする圧電トランスにより、または 支
持基板(101)と、前記支持基板上に設けられた駆動
回路(102)と、前記支持基板上に設けられた圧電基
板(61)を有する圧電トランスとよりなる圧電トラン
ス組立体において、前記支持基板上には上方に突出する
第一の支持要素(101b)が形成され、前記圧電基板
上には前記第一の支持要素に対応して第二の支持要素
(60a)が形成され、前記第二の支持要素は、前記圧
電トランスが前記支持基板上に装着された場合に、対応
する第一の支持要素(101b)に固定・結合され、前
記第一および第二の支持要素は前記圧電基板を支持基板
から離間して保持し、前記駆動回路は支持基板上におい
て圧電基板の下方において保持されることを特徴とする
圧電トランス組立体により、または 第一の方向に第一
の長さで延在し幅すべり振動を励起する方位を有する圧
電基板(91)と、前記圧電基板の主面上に前記第一の
方向に略直交する第二の方向に延在する複数の電極片を
第一の方向に配設して形成された第一の電極手段(E1
,E2 )と、前記圧電基板の前記同一主面上に、前記
第一の方向に略直交する第二の方向に延在する複数の電
極片を、第一の方向に、前記第一の電極手段を形成する
各電極片に対して交互に配設して形成された第二の電極
手段(E3 )と、前記第一の電極手段中の各電極片に共
通に接続された第一の入力端子と、前記第二の電極手段
中の各電極片に共通に接続された第二の入力端子とを備
えた圧電振動子により達成する。
【0020】
【作用】本発明の第一の特徴によれば、第一の電極手段
と第二の電極手段の面積を不均等にしたことにより、圧
電トランスは二次側電極に小さな負荷抵抗を接続した場
合でも昇圧・降圧作用を示す。その結果、本発明による
圧電トランスは小さな負荷抵抗に大電流を供給するパワ
ートランスとして使用可能である。
【0021】本発明の第二の特徴によれば、圧電基板中
に複数の振動の節およびこれに伴う腹が形成される結
果、振動に伴う機械的応力が基板全体に分散し、圧電基
板の破損が回避される。また、第二の電極手段中の各電
極片を並列接続することにより、大きな出力電流を得る
ことができる。
【0022】本発明の第三の特徴によれば、第一の方向
に伝播する弾性波の速度が、エネルギー閉じ込め手段に
よる圧電反作用の結果チャネル領域において遅くなり、
弾性エネルギーはチャネル領域に集中する。その結果、
基板中に励起される弾性波に伴う基板の弾性変位は基板
周辺部で極小になり、従って、基板を周辺部で保持して
も、弾性エネルギーの損失はほとんど生じない。その結
果、圧電トランスの動作効率は実質的に向上する。第一
および第二の電極手段自体がエネルギー閉じ込め手段と
して作用する。
【0023】本発明の第四の特徴によれば、速度の遅い
横波を使うことにより圧電トランスのサイズを小形化す
ることができる。また、高速の縦波を使った装置の場合
に低速の横波が原因で生じると考えられる出力交流電流
のスプリアスを、横波を使うことで効果的に抑止するこ
とが可能になる。
【0024】本発明の第五の特徴によれは、圧電トラン
スの駆動回路を圧電基板の直下に形成することにより、
小型化された圧電トランス組立体を得ることができる。
【0025】さらに、本発明の第六の特徴によれば、圧
電基板中に励起される幅すべり振動を使うことにより、
スプリアスの少ない発振波形を得ることができる。
【0026】
【実施例】図1は本発明の第一実施例による圧電トラン
スを示す。
【0027】図1を参照するに、トランスはZ方向に一
様に分極されたLiNbO3 の140°回転Yカット単
結晶よりなる基板31を有する。この方位を選択するこ
とで、圧電横効果に関係した電気機械結合係数K33が最
大になる。図1中、分極方向を矢印Pであらわす。この
図よりわかるように、分極Pは基板31の長手方向に対
して斜めに形成されている。典型的には、基板31は幅
Wとして6mm、長さLとして31.9mm、厚さtと
して0.5mmを有する。後で説明するが、基板Lの長
さは圧電トランスに供給される入力交流電流周波数に対
応して設定される。
【0028】基板31上には、その第一端に対応して入
力側電極構造32が形成される。電極構造32は基板3
1の上面に形成された第一の入力電極32aと、基板3
1の下面に電極32aに対向するように形成された第二
の入力電極32bよりなる。図1に示したように、電極
32aと32bとは基板31の長手方向に長さl01で延
在する。さらに、基板31の第二の対向端には、基板3
1の上面に長手方向に長さl02で形成された第一の出力
電極33aと基板31の下面に同じく長手方向に長さl
02で形成された第二の出力電極33bとよりなる出力電
極構造33が形成される。また前記入力電極構造32と
出力電極構造33とは長手方向に大きさがl03のギャッ
プによって離間される。
【0029】電極32a,32b,33a,33bは通
常どおり基板31上にNiCr層を厚さ30nmに堆積
しさらにAu層をNiCr層上に厚さ100nmで堆積
することで形成できる。この堆積工程は、例えば真空蒸
着あるいはスパッタによりなされる。堆積したのち、各
電極は堆積層をフォトリソグラフィーによりパターニン
グすることで形成される。実際の製造行程では、NiC
r層およびAu層はLiNbO3 の単結晶ウエハ上に一
様に堆積され、個々の圧電トランス素子は貫曲のパター
ニング後ウエハをダイシングすることで形成される。
【0030】図1の例では、長さl01は5.7mmに、
長さl02は25.7mmに、さらに長さl03は0.5m
mに設定される。換言すれば、図1の圧電基板は電極3
2a,32bよりも長手方向に大きい電極33a,33
bを有する。しかし、本発明はかかる電極サイズ設定に
限定されることはなく、例えば図5に示すように、電極
32a,32bの長手方向のサイズが電極33a,33
bの長手方向サイズよりも大きくなるように形成しても
よい。図5の例では、長さl01を25.7mmに、また
長さl02を5.7mmに設定している。他の寸法、例え
ば長さL、幅W、厚さtは図1の実施例と同じである。
従って、これ以上の構造の説明は省略する。
【0031】次に動作を説明する。入力交流電流が入力
端子34aおよび34bから電極構造32の各電極32
aおよび32bに供給されると、圧電横効果により基板
中を長手方向に伝播する縦波が励起される。基板31の
方位は、電気機械結合係数K 0 が最大になって最大の横
効果が得られるように選定されているため、図2に示す
ように基板31中長手方向に共振が発生する。図2中、
実線と点線はそれぞれ弾性変位と応力の分布を示す。長
さLは各長さl01,l02,l03の和に等しく、共振を形
成するために基板中に励起される縦波の半波長の整数倍
に等しく設定されている。この装置においても、昇圧、
降圧動作は式(2)によって与えられる。
【0032】図3(A)〜(C)は図45(A)〜
(C)と同様な図であり、圧電トランスの動作特性を負
荷抵抗Rl の関数として示している。先の場合と同様
に、これらの関係はメイソンの等価回路モデルに基づい
て求められる。図中、図1の圧電トランスの特性を曲線
1で示し、また図5の圧電トランスの特性を曲線2であ
らわす。
【0033】図3(A)を参照するに、この図は圧電ト
ランスの共振周波数fr と負荷抵抗Rl との関係をあら
わし、図1の装置では共振周波数fr が約103 Ωの負
荷抵抗値で階段的に変化することを示している。これに
対し、図5の装置では、負荷抵抗の値にかかわらず、共
振周波数fr は一定になることがわかる。
【0034】図3(B)は共振状態の入力抵抗Rr と負
荷抵抗Rl との関係を示し、この図より、入力抵抗Rr
はRl が約104 Ωよりも小さいと負荷抵抗Rl ととも
に増大するのに対し、この値を越えると減少をはじめ
る。すなわち、負荷抵抗が10 4 Ω付近で入力抵抗Rr
にピークが生じる。
【0035】図3(B)において、で示した図1の装
置についての特性曲線はで示した図5の装置の特性曲
線よりも上側に位置している。すなわち、図1の装置の
入力抵抗Rr は負荷抵抗Rl が約104 Ωよりも低い範
囲ではRl よりも大きくなる。Rl が104 Ωを越えて
はじめてRr はRl よりも小さくなる。これに対し、図
5の装置ではRr の全範囲にわたって入力抵抗Rr は負
荷抵抗Rl よりも小さい。前記の約104 Ωにある境界
値は図3(A)に示された共振周波数の階段的変化に対
応していると考えられる。 図3(C)は本実施例によ
る圧電トランスの昇圧/降圧特性を示す。で示すよう
に、図1の圧電トランスはRl の値が前記境界値の10
4 Ωに近い105 Ω位よりも低い負荷抵抗範囲で降圧動
作を示す。すなわち、図1の装置は負荷抵抗が104
いし105 Ωよりも低い範囲では降圧特性を示し、また
負荷抵抗が前記範囲を越えると逆に昇圧特性を示すよう
になる。
【0036】図5の装置の場合には状況が異なり、曲線
で示したように104 〜105 Ωよりも小さい負荷抵
抗がRl として出力電極33a,33bに接続された場
合でも昇圧特性を示し、昇圧比は負荷抵抗Rl の値が前
記104 〜105 Ωを越えると急速に立ち上がる。図5
の装置の例では、Rl が104 〜105 Ωよりも小さい
場合には約10の一定昇圧比を示すのに対し、Rl がこ
れを越えるとさらに大きい昇圧比を示す。
【0037】図4は昇圧比Vo /Vi と出力電極に対す
る入力電極の長さの比l02/l01の関係を示す。この関
係は図1および図5の装置と同一サイズを有する装置に
ついてのものである。
【0038】図4を参照するに、比Vo /Vi の値は比
02/l01に対して略直線的に変化し、比l02/l01
1.0を越えるところで1.0を越える。比l02/l01
の値が1.0よりも小さい範囲では圧電トランスは昇圧
特性を示すのにたいし、比l 02/l01が1.0を越える
と降圧特性を示す。このように、本発明による圧電トラ
ンスでは入力電極および出力電極の長さ、従って面積を
適宜設定することで所望の昇圧比あるいは降圧比を得る
ことができる。
【0039】図1および図5の圧電トランスの構造を再
び参照するに、圧電トランスは図2に示すように圧電基
板31中に半波長共振を生じるような周波数の入力交流
電流を供給される。換言すれば、基板31の全長Lは圧
電基板31中に励起される弾性波の半波長に等しく形成
されている。かかる半波長共振状態では、基板31中に
その長手方向上中央部に振動の節が現れ、従って基板3
1の機械的支持部を基板の長手方向上略中央部に形成す
ることができる。この場合、基板31は実質的に自由に
振動できる。
【0040】かかる半波長共振モードでは、振動の振幅
が有限な値を有する部分にリード線が接続されている場
合、リード線を介して振動エネルギーが散逸してしまう
問題が生じることがある。
【0041】この問題点を解決するため、本発明の圧電
トランス全波長モードで駆動することもできる。この場
合、圧電基板31の全長Lは基板中に励起される弾性波
の一波長に等しく設定される。
【0042】図6(A)および(B)は本実施例による
圧電トランスを前記全波長モードで駆動した場合を示し
ている。この例では、入力電極32a’が基板31上面
の片半分に長さL/2にわたって形成される。さらに、
出力電極33a’が基板上面の反対側の片半分に長さL
/4にわたって形成されている。その結果、基板31の
上面には電極32a’と電極33a’との間に長さがL
/4のギャップが形成される。さらに、基板31の下面
にはその全面にわたり下側電極32b’が入力側及び出
力側で共通の電極として形成されている。
【0043】電極32a’と電極32b’との間に入力
交流電圧を印加すると、図6(B)に示すように弾性振
動が励起され、基板31の長さLに等しい波長の縦波が
基板長手方向に伝播するようになる。その結果、図6
(B)に示したように、振動の節が基板31の長手方向
L/4,3L/4の位置に形成される。図6(B)にお
いて、弾性変位の分布は実線で、応力の分布は破線で示
されている。
【0044】図6(A)の装置では、入力側リード34
a,34bは振動の節に対応する位置で電極32a’お
よび32b’に接続されている。さらに、出力側リード
35aが別の振動の節に対応した位置で電極33a’に
接続される。電極32b’には、入力側リード34bの
他に出力側リード35bも共通に接続される。
【0045】本実施例では、各リードは対応する電極に
振動の節の位置で接続されているため、リードを介した
弾性エネルギーの散逸は最小限に抑えられる。単一の基
板上の複数の節が形成されるため、図2のモードにおけ
るような、基板中に単一の節しかないような場合にくら
べて応力の集中が緩和される。周知のように、基板上
で、応力は節の部分で最大になる。このように、全波長
モードで駆動される圧電トランスは特に大電力で駆動す
るのに有利である。ただし、図示の装置では電極のサイ
ズが決まってしまっているため、任意の昇圧比を得るこ
とは出来ない。
【0046】図7(A)〜(C)は本発明の圧電トラン
スの第二実施例に対応する装置40を示す。本実施例装
置はリード線を介した弾性エネルギーの損失を最小化す
ると同時に任意の昇圧比を得ることを目的とする。
【0047】図7(A)を参照するに、圧電トランス4
0は140°回転YカットLiNbO3 単結晶よりなる
基板41を有する。基板41は前記実施例と同様な長さ
Lと幅W、および厚さtを有する。基板41の上下面に
は一対の相互に対向する電極44a,44bが基板の一
方の端部に対応して形成され、入力交流電流を供給され
る。さらに、一対の別の対向電極45a,45bが基板
41の別の対向端に形成され、出力電流を形成する。
【0048】図7(B)および(C)の平面図および底
面図に示すように、基板41の上面に形成された電極4
4aは基板端部から長手方向に長さL/2にわたって延
在する。これに対応して、基板41の下面に形成された
電極44bも同一の長さL/2だけ延在する。その結
果、破線42で示したように、振動の節が電極44aお
よび44bの長手方向上略中央部を基板の幅方向に延在
し、電極44a,44bにはこの節に対応して入力端子
44a1,44b1が基板幅方向に突出するように形成され
ている。
【0049】本実施例では、電極45aは基板41の上
面に、基板の他の半部に形成される別の節43に対応し
て、基板長手方向へのサイズが2Tになるように形成さ
れている。より具体的には、電極45aは節43から基
板の長手方向上の一端部に向かって長さTだけ、また基
板の長手方向上の他端部に向かっても長さTだけ延在す
るように形成される。さらに、前記節に対応して外部接
続端子45a1が、基板41から側方に突出するように形成
される。電極45bも同様な構成を有し、前記節に対応
して形成され、サイズ2Tを有する。また、端子45a1
に対応して、電極45bは基板41から側方に突出する
端子45b1を有する。 本実施例では、電気接続にとも
なう弾性エネルギーの損失は端子44a1,44b1,45
a1,45b1がそれぞれ振動の節に対応して形成されてい
るため最小限に抑えられている。また、図示はしないが
半田柱のような導体ピラーを圧電トランスが取り付けら
れる回路基板上に形成しておき、端子44 a1〜45b1を
これらの導体ピラーに固定することで圧電トランスを回
路基板に装着するようにしてもよい。その場合、かかる
導体ピラーは圧電素子への電気接続のみならず、機械的
支持部としても作用する。また、本発明の圧電トランス
においては、サイズTを適宜設定することで電極45
a,45bの大きさを必要に応じて設定することができ
る。この特徴のため、本実施例による圧電トランスでは
所望の昇圧比を得ることができる。
【0050】図8(A)、(B)は基板41の長さLを
2.5mmに(L=2.5mm)、電極45a,45b
のサイズ2Tを156μmにした装置において電極45
a,45bに100Ωの負荷を接続した場合の入出力電
流および電圧の周波数特性を示す図である。 図8
(A)は電極44a,44bに1ボルトの入力交流電流
が供給された場合の出力電圧を示す。この図よりわかる
ように、入力交流電流の周波数を基板41中で長手方向
に一波長共振を生じる2.23582MHzに設定した
場合、出力電極45a1,45b1間に約3.9ボルトの出
力電圧が150mAの入力電流で得られることがわか
る。この結果は一次側から二次側への電気エネルギーの
伝達が特定の共振周波数においてのみ生じ、出力電極4
5a,45bのサイズ2Tを電極44a,44bの長さ
L/2の約1/8とすることで3.9の昇圧比を得るこ
とができることを示す。
【0051】図9(A),(B)は昇圧比Vo/Viと
サイズ2Tとの関係を示し、このうち図9(A)はパラ
メータの定義を、また図9(B)は得られた昇圧比を示
す。図9(B)より明らかなように、昇圧比は出力電極
のサイズ2Tにより変化し、2Tの値が約0.14の場
合に最大となる。すなわち、出力電極の2Tの値がこの
値に設定されると4を越える昇圧比を得ることができ
る。
【0052】図10は本発明の第三実施例による圧電ト
ランスを示す。
【0053】図10を参照するに、本実施例に対応する
圧電トランス50はLiNbO3 の140°回転Yカッ
ト単結晶よりなる圧電基板51を有する。基板51では
先の実施例とちがって、幅Wを長さLよりも大きくして
ある。図示の例では、幅Wは31.9mmに、また長さ
Lは6.0mmに設定される。また、基板51の厚さt
は0.5mmとされる。 本実施例では基板51が素子
の長手方向よりも横方向に長く形成されているため、基
板51上に形成される入力電極および出力電極も横方向
に長く延在する形状を有する。典型的な例では、基板の
上下面に電極52a,52bが幅Bおよび長さL01で形
成される。図10を参照。さらに、基板51の上下面に
は出力電極53a,53bが形成されるが、図10では
電極53aしか見えない。電極53aは幅Cと長さL02
を有するが、幅Cは幅Bよりも実質的に小さくなってい
る。また、電極53bも図示してはいないが基板51の
下面に電極53aに対応して形成されており、電極53
a,53bは、ともに電極52a,52bよりも実質的
に小さい面積を有する。さらに、電極52aは電極53
aから距離L03だけ離間されている。同様に、電極52
bも電極53bから距離L03だけ離間されている。
【0054】次に動作を説明する。電極52a,52b
は圧電横効果によりL方向に伝播する縦波を励起し、励
起された縦波は電極53a,53bにより電圧に変換さ
れる。先の実施例と同様に、基板51の長さLは基板5
1中に励起される縦波の半波長または一波長に等しくな
るように設定される。
【0055】図11(A),(B)は圧電トランスの昇
圧特性と入力抵抗を、それぞれ出力電極53a,53b
に負荷抵抗Rl として200Ωの低抵抗を接続した場合
および60kΩの高抵抗を接続した場合について示す。
ただし、図11(A),(B)の結果はL01,L02をい
ずれも1.2mmとした場合(L01=L02)についての
ものである。先の実施例と同様に、図11(A),
(B)の結果もメーソンの等価回路モデルによって求め
た。 図11(A),(B)に示すように、昇圧比Vo
/Viは比C/Bによって変化し、小さな負荷抵抗Rl
を接続した場合でも1を越えて10に達する昇圧比が得
られる。特に、C/B比が0.1より小さいと、昇圧比
は10を越え、また入力抵抗Ri はほとんどゼロにな
る。この結果は、さきに説明した圧電トランスの昇圧動
作が入力側電極52a,52bと出力側電極53a,5
3bの長さL01,L02の不均等の結果というよりも面積
の不均等の結果えられるものであることを示している。
【0056】図12は前記第三実施例の圧電トランスの
変形例に対応する圧電トランス50’を示しており、こ
の変形例では孤立電極56aおよび別の孤立電極56b
(図示せず)がそれぞれ基板51の上下面のうちの、図
10の実施例で電極がまだ形成されていない部分に対応
した位置に形成される。すなわち電極56aと電極56
bとは基板51をはさんで互いに対向する。この電極5
6a,56bはいずれも電気接続がなされず、単に基板
51の幅方向に弾性波が一様に形成されるための音響的
な補助質量として作用する。
【0057】図13は図12の圧電トランスの昇圧特性
および入力抵抗Ri を負荷抵抗Rlの関数として示す。
図13よりわかるように、図12の圧電トランスは10
0Ω以下の低い負荷抵抗Rl が接続された場合でも10
を越える昇圧比を示す。また、負荷抵抗Rl を減少させ
ることにより、100Ω以下の低い入力抵抗を実現する
ことができる。
【0058】図14(A)および(B)は本発明の第四
実施例による圧電トランス60を示す平面図である。
【0059】図14(A)の平面図を参照するに、圧電
トランス60はLiNbO3 の140°回転Yカット単
結晶基板61を有し、基板61はその幅Wがその長さL
よりも大きくなるように形成されている。ここで、Lは
縦波の一波長に等しくなるように設定されている。先に
も説明したように、基板61の方位を先に説明したよう
に選択することで縦波を効率的に励起することができ
る。
【0060】基板61の幅方向Wに対する略中央部には
入力電極62aおよび63aがL方向にそれぞれ長さl
01およびl02で整列して形成され、電極62a,63a
間には長さl03のギャップが形成されている。ここで、
電極62a,63aは幅Wよりも実質的に小さい共通の
幅Bを有する。特に、幅Wは幅Bの3倍以上にすること
が望ましい(3B≦W)。さらに、基板61の上主面上
にはそれぞれ電極62a,63aに接続された接続パッ
ド65a,64aが形成される。
【0061】また、電極62a,63bに対応して、基
板61の下面にも電極62b,63bが図14(B)の
断面図に示すように対応の電極62a,63aと同一の
大きさに形成されている。すなわち、電極62bは幅B
と長さl01を有するのに対し、電極63bは幅Bと長さ
02を有する。また、接続パッド64a,65aに対応
して基板61の下面には接続パッド64b,65bがそ
れぞれ電極62b,63bに接続されて形成されてい
る。 本実施例においてもまた、電極62a,62bは
圧電横効果によりL方向に伝播する縦波を励起し、電極
63a,63bは弾性波を電圧に変換する。先の実施例
と同じく、本実施例の圧電トランスは比l 01/l02を適
当に設定することで所望の昇圧/降圧作用を示す。
【0062】本実施例の圧電トランスでは、基板61中
を伝播する弾性波は圧電反作用の結果電極62a,62
b,63a,63bの直下の部分で速度が低下する。よ
り具体的には、電極62a,62bに入力電流源が接続
されまた電極63a,63bに負荷が接続されている場
合、基板61中に弾性波の通過に伴って形成された空間
電荷は直ちに散逸し、見かけ上基板の弾性定数が減少す
る。この結果、基板中における弾性波の速度は電極が形
成されていない領域に比べて低下する。さらに、電極自
体が基板上に付加された余分の質量として作用し、かか
る質量の増加によっても弾性波速度の低下が生じる。こ
れは質量負荷効果として周知である。LiNbO3 結晶
では電極が形成されていない場合の音速VD は6,83
0m/secであるのに対し、電極が形成され一定電場
が印加されている場合には音速VE は5,560m/s
ecとなる。基板61のサイズLは速度VE を有する弾
性波の一波長に等しくなるように設定される。
【0063】基板61中にL方向に延在する低速度領域
が形成されるとかかる低速度領域に弾性波が閉じ込めら
れるのは周知である。換言すれば、弾性波は基板中に電
極62a,62b,63a,63bが形成するチャネル
領域を導波されることになる。
【0064】図15は基板中において生じるW方向への
弾性波振幅分布プロファイルを示す。この図より、弾性
波の振幅は電極が形成された領域の外側では急速に減少
することがわかる。換言すれば、弾性エネルギーは電極
が形成されている基板の中央部に閉じ込められており、
基板61をその周縁部で機械的に支持しても実質的なエ
ネルギーの損失は生じないことがわかる。換言するなら
ば、本実施例による圧電トランスは大電力を処理するこ
とが可能である。
【0065】図16は本実施例による圧電トランスから
取り出せる出力電力Poを基板61の幅Wの関数として
示す。この図からわかるように、電力Poは基板61の
幅Wとともに増加する。基板の周縁部から弾性エネルギ
ーが逃げるのを確実に防止するためには幅Wを基板61
中に励起される弾性波の波長の少なくとも4倍以上に設
定するのが好ましい。
【0066】図17は比較のためのもので、圧電基板の
中央部に機械的支持部を有する圧電トランスの出力電圧
Voと入力電圧Viとの関係を示す図である。この装置
では、入力電圧Viが約10ボルトを越えると異常な音
が発生し、これにともなって入力電圧Viに対応した出
力電圧Voの増加率が著しく低下する。これは、音響的
雑音の形で損失が生じていることに起因すると考えられ
る。
【0067】図18は基板61の長さLと共振周波数f
r との関係をあらわす。周波数frは長さLとともに減
少し、このことから、サイズLを小さくすることで圧電
トランスはより高い周波数の入力電圧を処理できること
がわかる。
【0068】図19(A)と(B)は本発明の第四実施
例の圧電トランスの一変形例に対応する圧電トランス6
0’を示す。この変形例では、酸化シリコン、酸化アル
ミニウム、あるいは窒化珪素よりなる絶縁膜66a,6
6bがそれぞれ基板61の上面および下面上に形成さ
れ、電極62a,63aが絶縁膜66a上に形成され
る。これに対し、電極62b,63bは絶縁膜66b上
に形成される。その際、絶縁膜66a,66bは基板6
1中における弾性波の速度をさらに減少させる付加質量
として作用する。その結果、より効率的な弾性エネルギ
ーの閉じ込めが得られる。
【0069】図20は本実施例の別の変形例に対応する
圧電トランス60”を示す。この変形例では、基板61
の上面に形成された電極62a,63aおよび基板61
の下面に形成された電極62b,63bがそれぞれ絶縁
膜66a’および66b’中に埋め込まれている。この
場合でも、質量負荷効果により弾性エネルギーの閉じ込
め効率を向上させることができる。また、本発明では入
出力電極間の絶縁耐力が増大する。図21(A)および
(B)は本実施例の別の変形例をあらわす。いずれの図
も基板の平面図をあらわしている。これらの図よりわか
るように、端子パッド64a’,65a’はそれぞれ電
極62a,63aに接続されて基板61の上面に形成さ
れている一方、端子パッド64b’,65b’はそれぞ
れ電極62b,63bに接続されて基板61の下面に形
成されている。これらの図はいずれも同一方向からみた
もので、電極62aを端子64a’に接続する導体片は
電極62bを端子パッド65b’に接続する導体片と反
対方向に延在する。同様に、電極63aを端子パッド6
5a’に接続する導体片は電極63bをパッド64b’
に接続する導体片に対して反対方向に延在する。この結
果、導体片間に印加される電場が弾性波を励起すること
がなくなる。図22は本発明の第五実施例による圧電ト
ランス70を示す。本実施例でも、第四実施例の場合と
同じく、圧電基板上の入力電極および出力電極が形成さ
れる部分に対応して、弾性エネルギーの閉じ込めが生じ
る。 図22を参照するに、圧電トランス70は基板6
1と同様な圧電基板71を有し、電極72a,72bが
基板71の上下面上に第四実施例の電極62a,62b
に対応して形成される。入力電極72aおよび72bは
幅Bを有する。図22の平面図では、基板下面に形成さ
れた電極72bは見えない。さらに、同じ幅Bを有する
出力電極73a,73bが基板71の上下面上に電極6
3a,63bに対応して形成される。この場合も電極7
3bは図22では見えない。
【0070】本実施例では、基板71の電極が形成され
ている部分をのぞいて側縁にテーパー縁Tが形成されて
おり、このため基板71の長さLが幅Wの方向に向かっ
て徐々に減少している。前記テーパ縁Tは基板71の両
対角線に対応して形成されており、従って共振は基板7
1でも電極の両側の部分では生じない。このため、これ
らの部分で大振幅の振動が生じることはない。このよう
に、本実施例による圧電トランスでは電極直下のチャネ
ル領域においてさらに効率的な弾性エネルギーの閉じ込
めが生じる。先の実施例と同じく、電極の長さl01,l
02を適宜設定することにより、本実施例においても所望
の昇圧比を得ることができる。また、本実施例の装置は
実質的な振動が生じない基板71の側縁部を支持するこ
とで、実質的なエネルギーの損失を生じることなく動作
が可能である。
【0071】図23は本実施例の圧電トランスの変形例
に対応する圧電トランス70’を示す。本変形例では、
テーパ縁Tは基板71の片方の対角線に対応してのみ形
成される。かかる構成の効果は先の実施例の説明から明
かであり、説明を省略する。図24は本実施例のさらに
別な変形例に対応する圧電トランス70”を示す。本変
形例では基板71は十字状に形成され、十字の腕に相当
する側方突出部Cが、装置の長手方向に長さLで延在し
電極72a,73aを形成されたチャネル領域の略中央
部に形成される。本実施例においても突出部Cにおける
弾性波の共振を効果的に抑止でき、チャネル領域への弾
性エネルギーの効果的な閉じ込めを達成できる。
【0072】図25(A)および(B)は本発明の第六
実施例による圧電トランス組立体を示す。本実施例にお
いては、前記各実施例のいずれかに説明した圧電トラン
ス、たとえば図14(A)の装置60がシリコン基板1
01上に保持される。
【0073】基板101の略中央部にはドライバ回路や
その他の回路を形成される凹部101aが形成され、ま
た圧電トランスの基板61下面四隅にはランド60aが
形成される。さらに圧電トランス60はシリコン基板1
01上に取り付けられる。その際、シリコン基板101
にはその上面に圧電トランス60に形成されたランド6
0aに対応して別のランド101bが形成されており、
圧電トランス60は基板101上にランド60aおよび
101bの突出量に対応する距離だけ離間して保持され
る。取付の際、ランド60aとランド101bは互いに
はんだ付け等により固定される。あるいは圧電トランス
60の基板61をシリコン基板101上に、可尭性のリ
ード等により基板周辺部を保持することで取り付けても
良い。
【0074】圧電基板はその周辺部が保持されるため、
弾性エネルギーの損失は生じず、一次側から二次側への
電力の伝達の際の損失は最小になる。好ましい実施例で
は、圧電トランス60を基板101上においてカバー1
03等により保護しても良い。
【0075】図26(A)〜(C)は本発明の第七実施
例による圧電トランスを示し、図26(A)はその平面
図を、図26(B)はその長手方向断面図を、また図2
6(C)は本実施例の変形例を示す長手方向断面図であ
る。
【0076】図26(A)を参照するに、圧電トランス
80はLiNbO3 の140゜回転Yカット単結晶より
なる圧電基板81を有する。図示のように、基板81は
長さL、幅W、厚さtを有し、長さLは基板81中に励
起され長手方向Lに伝播する縦波の半波長の整数倍に等
しく設定されている。
【0077】基板81の上主面上には図26(A)に示
すように弾性波により誘起される応力が最大の部分に対
応して多数のストリップ電極82a,83aが交互に形
成される。図26(A)において太い実線は基板81中
における応力分布を示している。
【0078】各々の電極82a,82bは基板81の幅
方向ないしW方向に幅Bを有し、さきに図15に関連し
て説明した弾性エネルギーの閉じ込め作用をえるため、
幅Bの大きさは幅Wよりも実質的に小さく設定される。
さらに、各々の電極82aは基板の長手方向ないしL方
向に長さl01を有し、また各々の電極83aは同じくL
方向に長さl02を有する。ここで、各電極は長さl01
02が異なるように形成されている。
【0079】基板81の上面に形成された各電極82a
に対応して基板下面にも複数のストリップ電極82bが
幅B、長さl01で形成されている。同様に基板81の下
面には電極83aに対応して複数のストリップ電極83
bが幅B、長さl02で形成されている。ここでも電極8
2b,83bは交互に、基板81中に圧電横効果により
誘起された正負応力の最大点に対応して形成される。
【0080】本実施例では、基板81中には各電極に対
応して応力が最大となる振動節が形成される。換言すれ
ば、図2の例におけるような一点への応力の集中が回避
され、その結果本実施例による圧電トランスは先のどの
実施例よりも大きな電力を処理することができる。さら
に、本実施例の圧電トランスで処理可能な電力は基板8
1の長さLに略比例する。あるいは、入力交流電流の周
波数を増大させることにより、または高次高調波を使う
ことにより、処理電力を増大させることもできる。
【0081】図26(B)は本実施例における電極の一
接続例を示す。この例ではすべての電極組82a,82
bおよび83a,83bがそれぞれ並列接続され、所望
の昇圧比φが各電極の長さl01,l02を適宜設定するこ
とで得られる。
【0082】図26(C)は本実施例の一変形例をあら
わし、この場合には電極82a,82bに対応する上下
の電極82a’,82b’が基板81の第一の領域に連
続して形成され、また電極83a,83bに対応する電
極83a’,83b’が、基板81の前記第一の領域に
対して長手方向に整列した第二の領域にやはり連続して
形成される。
【0083】本実施例においてもまた、各電極は応力が
最大になる振動の節に対応して形成され、同一の幅Bを
有している。また、電極82a’〜83b’はすべて同
一の長さを有する、この場合、昇圧比は入力電極の数を
出力電極の数に対して変化させることで所望値に設定で
きる。図27(A)および(B)は本実施例の圧電トラ
ンスの別の変形例を示し、電極82aおよび82bより
なる入力電力対と電極83a,83bよりなる出力電極
対とが、相互に隣接して、圧電基板81中に励起される
弾性波の半波長範囲中に形成される。その際、基板81
の左半分と右半分で弾性変位の方向が逆になっており、
このため基板左半分の電極82a,82bおよび電極8
3a,83bは一方向への弾性変位に対応して形成され
ているのに対し、基板の右半分の電極は逆方向への弾性
変位に対応して形成されている。さらに、右側の電極8
2aと左側の電極82aとは相互に接続され、また右側
の電極82bと左側の電極82bも相互に接続されてい
る。同様に、右側の電極83aと左側の電極83aは相
互に接続され、また右側の電極83bと左側の電極83
bも相互に接続されている。
【0084】図27(C)はさらに別の変形例を示す。
この例では、基板81の長さLは基板81中に励起され
る弾性波の波長の3/2に設定される。
【0085】図28は本発明の第九実施例による圧電ト
ランス90を示す。
【0086】図28を参照するに、圧電トランス90は
長手方向ないしY’方向への長さがL、横方向ないし
Z’方向への幅がWの略矩形の圧電基板91を有する。
【0087】基板90の上主面上には、Y’方向に直交
するZ’方向に平行に延在する複数のストリップ電極が
形成されており、この複数の電極は第一の電極群E1 、
第二の電極群E2 、第三の電極群E3 に分けられる。こ
のうち、電極群E1 は入力電極よりなり、電極群E2 は
出力電極よりなる。また、電極群E3 の各電極は必須で
はないが電極群E1 あるいは電極群E2 の各電極対の間
に形成され、共通に接続されて接地される。本実施例で
は電極は基板の上面にのみ形成され、下面には形成され
ない。
【0088】図28に示したように基板91上において
各々の電極は基板の長手方向ないしY’方向に長さl01
を有し、またZ’方向に長さBを有する。その際、電極
が形成されている領域の両側には周辺領域Mが形成さ
れ、この周辺領域M上に各電極に対応した端子パッドが
形成される。
【0089】図示の例では、基板91は163±10°
Y回転Xカット方位を有するLiNbO3 単結晶より形
成され、後で説明するように幅すべり振動を効果的に形
成する。基板91の長さLは基板中に励起される横波1
9波長分に対応する15.2mmの長さに設定される。
これに対し、幅Wは8mmに設定される。また、基板9
1の厚さは0.2〜0.3mmに設定される。電極のサ
イズl01は0.2mmに設定され、相互に0.1mm離
間して形成される。
【0090】図29は本実施例による圧電トランスの原
理を示す図であり、簡単のため要部のみを示している。
【0091】図29を参照するに、入力交流電圧Viが
電極群E1の隣接する電極対に印加される。これによ
り、分極の方向と一致してY’方向に作用する電場が基
板91の表面に印加される。基板91にかかる特定の方
向に作用する電場が印加されると大きな電気機械結合係
数K15に対応して、幅すべり振動が励起される。前記方
位を有する基板91はK15として61%に達する値を有
する。あるいは48±10°Y回転LiTaO3 単結晶
を基板91として使ってもよい。この場合は47%に達
するK15が得られる。さらに、基板91として圧電セラ
ミックを使ってもよい。この場合は圧電基板はY’方向
ないし基板長手方向に分極される。
【0092】図30は基板91中に図29に示すような
励起の結果生じる幅すべり振動を示す。
【0093】図30を参照するに、図29に示す励起の
結果、基板長手方向Y’に向かって伝播する横波が、横
波にともなう弾性変位が図30に矢印で示した基板横手
方向に向かって生じるように形成される。Y’方向に伝
播する横波は前後に反射されて図31(A)〜(C)に
示すような共振を形成する。ここで、図31(A)は圧
電トランスの概略的平面図を、図31(B)は弾性変位
を、また図31(C)は応力分布を示す。幅すべり振動
に関しては渡辺、清水による論文「圧電ストリップにお
ける高次幅振動のエネルギー閉込めとそのフィルタへの
応用」電子情報通信学会論文誌A,vol.J71−
A,No.8,pp.1489−1498を参照。図3
1(A)〜(C)においては、各電極群E1 ,E2 はそ
れぞれ二つの電極E11,E12, E21, E22を含み、基板
91の長さLは基板中に励起された横波の波長の6/2
に設定されている。図31(C)に示したように、電極
群E1 ,E2 を構成する電極の各々は応力が最大になる
振動の節に対応して形成されている。
【0094】これに対し、図28に示す例では基板91
の長さが19共振波長分になるように形成されているこ
とに対応して19個の電極が形成されている。図28の
装置では、電極群E1 および電極群E2 に含まれる電極
の数が同一で9個ずつとした場合に共振周波数fr とし
て4.835MHzが得られる。図31の構成では基板
長手方向上中央部の電極は接地される。
【0095】図32(A)は図28の装置についての入
力インピーダンスと周波数の関係を示す。先にも説明し
たとおり、この測定は実際には図33に示す装置につい
ておこなわれた。
【0096】図32(A)を参照するに、図33の装置
は約4.8MHzにおいて共振を生じ、この共振周波数
において入力インピーダンスないし入力抵抗Rr が約1
〜1.2Ωに減少することがわかる。また、この図よ
り、特性曲線が比較的滑らかでスプリアスピークが減少
していることがわかる。このスプリアスピークの減少は
圧電基板の励起に低速の横波を使っていることに起因す
るものと考えられる。高速の縦波を使うと図32(B)
に示すように不要な波についても共振が生じてしまう。
図32(A)および(B)の測定では端子T1 ,T2 が
共通に接続されて仮想的な入力端子を形成し、励起電圧
はこの仮想的入力端子及び接地端子T3 のあいだに印加
される。換言すれば、図32(A),(B)の結果は圧
電トランスを振動子として使った場合のものである。本
発明による圧電トランスの圧電振動子としての応用は後
の実施例で説明する。
【0097】図34(A)〜(B)は本実施例による圧
電トランスの入力インピーダンスの周波数特性を示す図
である。ここで、図34(A)は図33に定義した出力
端子T2 ,T3が短絡された場合を、また図34(B)
は端子T2 とT3 の間に負荷を接続しなかった場合につ
いての結果を示す。これにたいし、図35(A)は入力
交流電流が端子T2 と端子T3 との間に供給され、さら
に端子T1 と端子T3とを短絡した場合を、また図35
(B)は図33の構成において端子T1 とT3の間を開
放した場合を示している。
【0098】図34(A)の場合には、共振周波数fr
は約4.82MHzになり、また入力抵抗2.83Ωと
なる。これにたいして図34(B)の場合は共振周波数
frは約4.84MHzになり、また入力抵抗は約1.
38Ωになる。さらに、図35(A)の場合には共振周
波数fr は約4.82MHzになるのに対し、入力抵抗
は約4.96Ωとなる。図35(B)の場合には、共振
周波数fr は4.84MHzに、また入力抵抗は1.6
3Ωとなる。このように、本実施例による圧電トランス
は共振周波数において非常に低い入力抵抗を示し、その
結果一次側から二次側へ大きな電力を伝達することが可
能になる。本実施例の圧電トランスの出力電力Poは式 Po=1/8・Vo2 /Re であらわされる。ここでReは複素入力インピーダンス
の実部をあらわす。この式より、項Poは入力インピー
ダンスの絶対値の減少とともに増大することがわかる。
【0099】図36は図33の装置の昇圧特性を負荷抵
抗Rl の関数として示す図である。また、図37は同じ
装置について入力インピーダンスと負荷抵抗Rl の関係
を示す。この図よりわかるように、圧電トランスは全負
荷抵抗範囲にわたり、最大でも20Ωの低い入力抵抗を
示すにすぎない。101 〜103 Ωの特定の負荷抵抗範
囲を除けば、入力抵抗は5Ω以下に抑えられる。
【0100】さらに、図38は共振周波数fr と負荷抵
抗Rl の関係を示してある。この図より、共振周波数f
r はRl が101 〜102 Ωの範囲を除いて実質的に一
定になることがわかる。
【0101】本実施例による圧電トランスでは、低速の
横波を使うことにより装置を小型化出来る利点が得られ
る。横波の速度は縦波の速度の80%程度であることは
周知である。また、最も遅い横波を使うことによりこれ
よりも低速の弾性波によるスプリアスの発生を回避でき
る利点が得られる。また、本実施例の装置は電極が基板
の片面にのみ形成されるため、製造工程が簡素化され
る。また、大きな電気機械結合係数K15を有する基板を
使うことにより、基板中に幅すべり振動を効率的に形成
することが可能になる。さらに、図15の実施例の場合
と同様な、電極直下の領域への弾性エネルギーの閉じ込
めが得られる。その結果、トランスの動作時におけるエ
ネルギーの損失は最小限になる。図19(A),(B)
および図20と同様に、エネルギーの閉じ込めをより一
層効果的にするために基板上に電極形成部分に対応して
別の質量を追加してもよい。さらに、電極群E1 に含ま
れる電極の数と電極群E2 に含まれる電極の数の比を変
化させることにより、所望の昇圧比を得ることができ
る。
【0102】図33の圧電トランスは、図32(A)の
特性に関連して説明したように、圧電振動子としても使
用可能である。
【0103】図39は図33の装置を使って圧電振動子
を形成する場合の接続を示す。図39に示すように、出
力端子T2 は入力端子T1 に接続され、一方端子T3 は
接地される。
【0104】図40は図39の装置の詳細な特性を示
す。この特性曲線は図32(A)のものと実質的に同一
である。ただし、測定に使った素子が図32(A)のも
のとちがっていることに起因して4.975MHzの共
振周波数と1.08Ωの入力抵抗を有する。図32
(A)の装置との微妙な差は測定に使った試料の作成時
の差に起因するもとと思われる。また。この図のインピ
ーダンス曲線は5.53MHzの反共振周波数fa を示
す。この反共振周波数において、入力抵抗Ra は54.
3KΩを示す。
【0105】図40はまたインピーダンスZの位相成分
を周波数の関数として示す。この図より、位相角は周波
数fr と周波数fa との間でほとんど90°の値を有
し、図39の装置はほぼ理想的な振動子として動作する
ことがわかる。また、この振動子では共振周波数fr と
反共振周波数fa との差が約0.55MHzと大きく、
このため、振動子は広い範囲で周波数を変化させること
ができる。
【0106】さらに、本発明は以上に説明した実施例に
限定されるものではなく、様々な変形・変更が可能であ
る。
【0107】
【発明の効果】本発明の圧電トランスによれば、圧電基
板上に弾性波の経路に沿って形成された入力側電極と出
力側電極の面積を不均等に形成することで、所望の昇圧
比を得ることができる。
【0108】本発明ではまた、圧電トランスの基板のサ
イズを入力交流電圧により励起される弾性波の半波長の
整数倍に等しく設定し、入力電極および出力電極を振動
の節に対応して形成することにより、基板上の一箇所に
応力が集中することが回避でき、大電力を処理するパワ
ートランスを形成することができる。
【0109】本発明ではまた、圧電基板の幅に対して電
極の幅を実質的に小さくすることで、基板中電極直下の
部分に弾性波を閉じ込めることができ、これにより基板
の機械的支持が容易になり、またエネルギーの散逸によ
る損失を最小化することが可能になる。
【0110】本発明では、また圧電基板中に入力交流電
流に応じて幅すべり振動を励起し、この幅すべり振動を
再び電圧に変換することにより、スプリアスの少ない出
力交流電流を得ることができる。また、低速の幅すべり
振動を使うため、装置寸法を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例による圧電トランスを示す
図である。
【図2】図1の圧電トランス中に誘起される変位と応力
の分布を示す図である。
【図3】(A)〜(C)は第一実施例の圧電トランスの
特性を示す図である。
【図4】本発明第一実施例の圧電トランスにより得られ
る昇圧特性を示す図である。
【図5】第一実施例の変形例を示す図である。
【図6】(A),(B)は第一実施例の圧電トランスを
全波長共振モードで動作させた場合を示す図である。
【図7】(A)〜(C)は本発明の第二実施例を示す図
である。
【図8】(A),(B)は本発明第二実施例による圧電
トランスの特性を示す図である。
【図9】(A),(B)は第二実施例の圧電トランスの
昇圧作用を説明する図である。
【図10】本発明の第三実施例による圧電トランスを示
す図である。
【図11】(A),(B)は第三実施例の圧電トランス
の昇圧作用を示す図である。
【図12】第三実施例の圧電トランスの変形例を示す図
である。
【図13】図12の圧電トランスの昇圧作用を示す図で
ある。
【図14】(A),(B)は本発明の圧電トランスの第
四実施例を示す図である。
【図15】第四実施例において得られる弾性エネルギー
の横方向への閉じ込めを示す図である。
【図16】圧電基板の幅の増大に伴う圧電トランスの処
理電力の増大を示す図である。
【図17】従来の圧電トランスで生じる飽和現象を示す
図である。
【図18】圧電トランスの長さの変化に伴う駆動周波数
の変化を示す図である。
【図19】(A),(B)は第四実施例の変形例を示す
図である。
【図20】第四実施例の圧電トランスの別の変形例を示
す図である。
【図21】(A),(B)は第四実施例の圧電トランス
のさらに別の変形例を示す図である。
【図22】本発明の第五実施例による圧電トランスを示
す図である。
【図23】第五実施例の圧電トランスの変形例を示す図
である。
【図24】第五実施例の圧電トランスの別の変形例を示
す図である。
【図25】(A),(B)は本発明の第六実施例による
圧電トランスを示す図である。
【図26】(A)〜(C)は本発明の第七実施例による
圧電トランスを示す図である。
【図27】(A)〜(C)は第七実施例の変形例を示す
図である。
【図28】本発明による圧電トランスの第八実施例を示
す平面図である。
【図29】第八実施例の圧電トランスを示す斜視図であ
る。
【図30】第八実施例の圧電トランス中に励起される幅
すべり振動を説明する図である。
【図31】(A)〜(C)は第八実施例の圧電トランス
の動作を説明する図である。
【図32】(A),(B)は第八実施例の圧電トランス
の周波数特性を縦波を使う実施例と比較して示す図であ
る。
【図33】第八実施例の圧電トランスの接続例を示す図
である。
【図34】(A),(B)は図33の圧電トランスの周
波数特性を様々な負荷をトランスに接続した場合につい
て示す図(その一)である。
【図35】(A),(B)は図33の圧電トランスの周
波数特性を様々な負荷をトランスに接続した場合につい
て示す図(その二)である。
【図36】図33の圧電トランスの昇圧動作を負荷の関
数として示す図である。
【図37】図33の圧電トランスの入力抵抗を負荷の関
数として示す図である。
【図38】図33の圧電トランスの共振周波数を負荷の
関数として示す図である。
【図39】図33の圧電トランスを圧電振動子として使
った場合の接続を示す図である。
【図40】図39の圧電トランスのインピーダンス特性
を示す図である。
【図41】(A),(B)は従来の圧電トランスの一例
を示す図である。
【図42】(A),(B)は本発明者らにより先に提案
された従来の圧電トランスを示す図である。
【図43】第二の従来例による圧電トランスで使われる
圧電基板の方位を説明する図である。
【図44】前記第二の従来例における共振周波数を説明
するための図である。
【図45】(A)〜(C)は前記第二の例による圧電ト
ランスの特性を示す図である。
【符号の説明】
6,12,31,41,51,61,71,81,91
圧電基板 4a,4b,6,14a,14b,16a,16b,3
2,32a,32b,33,33a,33b,32
a’.33a’,32b’,44a,44b,45a,
45b,52a,52b,53a,56a,62a,6
2b,63a,63b,72a,73a,82a,82
b,83a,83b,E1 ,E2 ,E3 電極 44a1,44b1,45a1, 45b1,64a,65a,7
4a,75a 端子パッド 66a,66b,66a’,66b’ 絶縁膜
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−324805 (32)優先日 平3(1991)12月9日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 若月 昇 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の方向に延在する圧電基板(31)
    と、前記圧電基板上に形成され、一次側交流電流を供給
    されて前記基板中に前記第一の方向に伝播する弾性波を
    励起する第一の電極手段(32)と、前記基板上に、前
    記第一の電極手段に対して第一の方向にオフセットして
    形成され、前記弾性波を電圧に変換して二次側交流電流
    を形成する第二の電極手段(33)とを設けられてな
    り、前記第一の電極手段を各々第一の面積を有し前記基
    板を挟んで対向する一対の対向電極より形成し、前記第
    二の電極手段を各々第二の面積を有し前記基板を挟んで
    対向する別の一対の対向電極より形成した圧電トランス
    において、 前記第一の面積と第二の面積を相互に不均等にしたこと
    を特徴とする圧電トランス。
  2. 【請求項2】 前記第一の電極手段(32)は圧電横効
    果により前記弾性波を形成することを特徴とする請求項
    1記載の圧電トランス。
  3. 【請求項3】 前記第一の電極手段(32)は縦波を前
    記弾性波として形成することを特徴とする請求項2記載
    の圧電トランス。
  4. 【請求項4】 前記第一の電極手段(32)は所定波長
    の弾性波を励起し、前記圧電基板は前記第一の方向に前
    記弾性波波長の半波長分の長さにわたって延在すること
    を特徴とする請求項1記載の圧電トランス。
  5. 【請求項5】 前記第一の電極手段(32)は所定の波
    長の弾性波を励起し、前記圧電基板は前記第一の方向に
    前記弾性波波長の整数倍の長さにわたって延在すること
    を特徴とする請求項1記載の圧電トランス。
  6. 【請求項6】 前記圧電基板(31)はその上下面にた
    いして前記第一の方向に傾いた分極(P)を有すること
    を特徴とする請求項1記載の圧電トランス。
  7. 【請求項7】 前記圧電基板(31)はLiNbO3
    140°回転Yカット単結晶よりなることを特徴とする
    請求項1記載の圧電トランス。
  8. 【請求項8】 前記第一の電極手段はおのおの前記第一
    の方向に第一の長さ(l01)にわたり延在する複数の電
    極(82a,82b)よりなり、前記第二の電極手段は
    おのおの前記第一の方向に前記第一の長さとは異なった
    第二の長さ(l02)にわたり延在する複数の電極(83
    a,83b)よりなることを特徴とする請求項1記載の
    圧電トランス。
  9. 【請求項9】 前記第一の電極手段(52a,52b)
    は圧電基板の上下面に平行な平面上で前記第一の方向に
    直交する第二の方向に第一の長さ(B)にわたり延在
    し、前記第二の電極手段(53a,53b)は前記第二
    の方向に、前記第一の長さとは異なった第二の長さ
    (C)にわたり延在することを特徴とする請求項1記載
    の圧電トランス。
  10. 【請求項10】 前記圧電基板上には、それぞれ圧電基
    板の上面および下面上に形成される第一および第二の電
    極(56a,56b)よりなる第三の電極手段が、前記
    第一および第二の電極が前記第二の電極手段を構成する
    電極(53a,53b)に対して前記第二の方向に整列
    するように形成されることを特徴とする請求項9記載の
    圧電トランス。
  11. 【請求項11】 第一の方向に沿って一端と他端の間を
    所定の長さにわたり延在する圧電基板(4,81)を有
    し、所定周波数の一次側交流電流を供給されてこれに応
    じた二次側交流電流を出力する圧電トランスにおいて、 前記基板上に前記第一の方向に沿って延在するように、
    また前記基板を第一の面積にわたって覆うように形成さ
    れて、前記一次側交流電流を供給されて基板中に前記所
    定周波数に対応した所定波長の弾性波を励起する第一の
    電極手段(44a,44b;82a,82b)と、 前記基板上に前記第一の方向に沿って延在するように、
    また前記基板を第一の面積とは異なった第二の面積で覆
    うように形成され前記弾性波を電圧に変換して前記二次
    側交流電流を形成する第二の電極手段(45a,45
    b;83a,83b)とを形成し、 前記基板の第一の
    方向に沿った長さを前記弾性波の半波長の整数倍に設定
    し、前記第一および第二の電極手段を前記基板上に前記
    弾性波の位相に同期して形成したことを特徴とする圧電
    トランス。
  12. 【請求項12】 前記第一および第二の電極手段は、各
    々前記基板(91)の主面上で前記第一の方向に直交す
    る第二の方向に延在する複数の電極(E1 ,E2 )より
    なり、前記第一および第二の電極手段の各電極は基板中
    に形成された節に対応して設けられることを特徴とする
    請求項11記載の圧電トランス。
  13. 【請求項13】 前記第一の電極手段を形成する各電極
    (82a,82b)は前記第一の方向に第一の長さ(l
    01)を有し、前記第二の電極手段を形成する各電極(8
    3a,83b)は前記第一の方向に第二の長さ(l02
    を有し、前記第一の長さと第二の長さとは異なることを
    特徴とする請求項12記載の圧電トランス。
  14. 【請求項14】 前記第一の電極手段を構成する各々の
    電極(82a’,82b’)と前記第二の電極手段を構
    成する各々の電極(83a’,83b’)は前記第一の
    方向に同一の長さを有し、前記第一の電極手段に含まれ
    る電極の数が前記第二の電極手段に含まれる電極の数と
    異なっていることを特徴とする請求項12記載の圧電ト
    ランス。
  15. 【請求項15】 前記第一の電極手段を構成する各電極
    (82a’,82b’)は互いに直列に接続され、前記
    第二の電極を構成する各電極(83a’,83b’)も
    互いに直列に接続されていることを特徴とする請求項1
    4記載の圧電トランス。
  16. 【請求項16】 前記第一の電極手段を構成する各電極
    (82a,82b)は相互に並列に接続され、前記第二
    の電極手段を構成する各電極(83a,83b)も相互
    に並列に接続されていることを特徴とする請求項14記
    載の圧電トランス。
  17. 【請求項17】 前記圧電基板(81)は上下面を有
    し、前記第一の電極手段は第一および第二の電極群(8
    2a’,82b’)よりなり、前記第一の電極群(82
    a’)の各電極は基板上面に形成され、前記第二の電極
    群(82b’)の各電極は基板下面に基板を挟んで第一
    の電極群の各電極と対向するように形成されて前記第一
    の方向に伝播する縦波を励起し、前記第二の電極手段は
    第三および第四の電極群(83a’,83b’)よりな
    り、前記第三の電極群および第四の電極群の各電極は前
    記基板を挟んで対向するように形成され、前記縦波を電
    圧に変換することを特徴とする請求項11記載の圧電ト
    ランス。
  18. 【請求項18】 前記第一の電極手段(E1 )は基板
    (91)の主面上に第一の方向に沿って形成された複数
    の電極よりなり、前記第二の電極手段(E2 )は前記基
    板主面上にやはり前記第一の方向に沿って形成された複
    数の電極よりなり、前記第一の電極手段は入力交流電流
    を第一の電極手段中の隣接する各電極対間に供給されて
    幅すべり振動を励起することを特徴とする請求項11記
    載の圧電トランス。
  19. 【請求項19】 第一の方向に延在する一対の側面によ
    り側方を画成され、前記第一の方向に実質的に直交する
    第二の方向に延在する一対の端面により前後を画成され
    た圧電基板(61、91)を有し、第一の電圧を有する
    一次側交流電流を供給されて第二の電圧を有する二次側
    交流電流を出力する圧電トランスにおいて、 前記基板上に形成され前記第一の方向に延在するチャネ
    ル領域(B)と、前記基板上にチャネル領域と前記各側
    面との間に位置するようにチャネル領域の両側方に形成
    されて各々第一の方向に延在する一対の周辺領域と、前
    記基板上にチャネル領域に対応して形成され、チャネル
    領域中を前記第一の方向に通過する弾性波の速度を低下
    させるエネルギー閉じ込め手段(62a,62b,63
    a,63b;E1 ,E2 )と、 基板上にチャネル領域に対応して第一の面積で形成され
    前記一次側交流電流を供給されて弾性波を基板中に励起
    する第一の電極手段(62a,62b;E1 )と、 基板上にチャネル領域に対応して第二の面積で形成され
    前記弾性波を電圧に変換して二次側交流電流を形成する
    第二の電極手段(62a,62b;E2 )とを備え、 前記第一および第二の電極手段の第一および第二の面積
    を相互に不均等にしたことを特徴とする圧電トランス。
  20. 【請求項20】 前記エネルギー閉じ込め手段は第一お
    よび第二の電極手段(62a,62b,63a,63
    b;E1 ,E2 )自体よりなることを特徴とする請求項
    19記載の圧電トランス。
  21. 【請求項21】 前記エネルギー閉じ込め手段は前記チ
    ャネル領域(B)に対応して形成された物質層(66
    a,66b)よりなることを特徴とする請求項19記載
    の圧電トランス。
  22. 【請求項22】 前記第一および第二の電極手段(62
    a,62b,63a,63b)は前記物質層(66a,
    66b)上に形成されていることを特徴とする請求項2
    1記載の圧電トランス。
  23. 【請求項23】 前記エネルギー閉じ込め手段は前記第
    一および第二の電極手段(62a,62b,63a,6
    3b)を埋め込む物質層(66a’,66b’)よりな
    ることを特徴とする請求項21記載の圧電トランス。
  24. 【請求項24】 前記周辺領域が前記第二の方向に、圧
    電基板中に励起される弾性波の波長の少なくとも4倍の
    大きさに設定されたサイズを有することを特徴とする請
    求項19記載の圧電トランス。
  25. 【請求項25】 前記周辺領域(T)は、各々第一の方
    向に、前記チャネル領域(B)が前記第一の方向に有す
    るサイズとは異なったサイズを有することを特徴とする
    請求項19記載の圧電トランス。
  26. 【請求項26】 第一の方向に第一の長さで延在し、幅
    すべり振動を効率的に生じるような方位を有する圧電基
    板を備え、第一の電圧を有する一次側交流電流を供給さ
    れて二次側交流電流を第二の電圧で出力する圧電トラン
    スにおいて、 前記圧電基板の主面上に、前記第一の方向に略直交する
    第二の方向に延在する複数の電極片を第一の方向に配設
    して形成され、前記電極片の各対に前記入力交流電流を
    供給されて、前記基板中に基板主面方向に平行な弾性変
    位を有し前記第一の方向に進行する横波を励起する第一
    の電極手段(E1 )と、 前記圧電基板の前記同一主面上に、前記第一の方向に略
    直交する第二の方向に延在する複数の電極片を第一の方
    向に配設して形成され、前記横波を電圧に変換して出力
    交流電流を形成する第二の電極手段(E2 )とを備えた
    ことを特徴とする圧電トランス。
  27. 【請求項27】 前記圧電基板(91)は最大の電気機
    械結合係数K15を与えるような方位を有する圧電結晶よ
    りなることを特徴とする請求項26記載の圧電トラン
    ス。
  28. 【請求項28】 前記圧電基板(91)は回転角が16
    3±10°のY回転XカットLiNbO3 単結晶よりな
    ることを特徴とする請求項26記載の圧電トランス。
  29. 【請求項29】 前記圧電基板(91)は回転角が−4
    8±10°のYカットLiTaO3 単結晶よりなること
    を特徴とする請求項26記載の圧電トランス。
  30. 【請求項30】 前記圧電基板(91)は前記第一の方
    向に向いた分極を有する圧電セラミックスよりなること
    を特徴とする請求項26記載の圧電トランス。
  31. 【請求項31】 支持基板上に設けられた駆動回路(1
    02)と、前記支持基板上に設けられた圧電基板(6
    1)を有する圧電トランスとよりなる圧電トランス組立
    体において、 前記支持基板上には上方に突出する第一
    の支持要素(101b)が形成され、 前記圧電基板上
    には前記第一の支持要素に対応して第二の支持要素(6
    0a)が形成され、前記第二の支持要素は、前記圧電ト
    ランスが前記支持基板上に装着された場合に、対応する
    第一の支持要素(101b)に固定・結合され、 前記第一および第二の支持要素は前記圧電基板を支持基
    板から離間して保持し、 前記駆動回路は支持基板上に
    おいて圧電基板の下方において保持されることを特徴と
    する圧電トランス組立体。
  32. 【請求項32】 第一の方向に第一の長さで延在し幅す
    べり振動を励起する方位を有する圧電基板(91)と、 前記圧電基板の主面上に前記第一の方向に略直交する第
    二の方向に延在する複数の電極片を第一の方向に配設し
    て形成された第一の電極手段(E1 ,E2 )と、 前記圧電基板の前記同一主面上に、前記第一の方向に略
    直交する第二の方向に延在する複数の電極片を、第一の
    方向に、前記第一の電極手段を形成する各電極片に対し
    て交互に配設して形成された第二の電極手段(E3 )
    と、 前記第一の電極手段中の各電極片に共通に接続された第
    一の入力端子と、 前記第二の電極手段中の各電極片に共通に接続された第
    二の入力端子とを備えたことを特徴とする圧電振動子。
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JP2008175578A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Nec Tokin Corp 圧電振動ジャイロ用振動子

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