JP2008073985A - 両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルム - Google Patents

両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族液晶ポリエステルフィルム―基材間に高度の密着性を有する両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】〔1〕下記(i)〜(iii)の工程を有する両面基材付液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
(i)芳香族液晶ポリエステルおよび溶媒を含有する芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を第1の基材に流延して積層体1を製造する工程
(ii)(i)で得られた積層体1を加熱処理して、融点340℃以上であるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルからなる芳香族液晶ポリエステルフィルムを有する積層体2を製造する工程
(iii)(ii)で得られた積層体2の第1の基材と接していない面に、第2の基材を300〜360℃の温度で熱圧着させる工程
〔2〕上記製造方法で得られる両面基材付液晶ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線基板やモジュール基板等の電子部品基板に用いられる両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
近年、芳香族液晶ポリエステルをTダイ成形やインフレーション成形等の押出成形によりフィルム化し、多層プリント基板やフレキシブルプリント基板用等回路基板の絶縁膜へ応用する技術が注目されている。中でも、ICチップや受動部品等の電子部品を搭載する回路基板の高密度配線化の要求に伴い、該芳香族液晶ポリエステルフィルムにおいても両側に導体層を有する回路基板が求められており、このような回路基板を作成するためには、予め両面(導体)基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを製造し、当該フィルムの両面にある(導体)基材に回路を形成させる方法が広範に適用されている。例えば、特許文献1には、液晶高分子からなるフィルムを押出成形にて製造し、このフィルムの両面に基材を配してから、特定の熱条件で熱圧着させる両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1で用いられている押出成形により得られる芳香族液晶ポリエステルフィルムは異方性が大きく、成形時の流動方向に垂直な方向の引裂強度が弱いという問題があった。
かかる問題を解決する芳香族液晶ポリエステルフィルムとして、本発明者らは塩素置換フェノール化合物からなる溶媒と、芳香族液晶ポリエステルとを含有する芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を用いてなる芳香族液晶ポリエステルフィルムを提案している(特許文献2参照)。
特開平5−42603号公報 特開2002−114894号公報
特許文献2に開示した芳香族液晶ポリエステルフィルムは、通常の芳香族液晶ポリエステルフィルムと比較して異方性が小さいことから電気・電子部品用途に好適に用いることができる。しかしながら、かかる芳香族液晶ポリエステルフィルムは、回路基板として用いる場合、導体(金属箔)に対する密着性には改善の余地があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、芳香族液晶ポリエステルフィルム―基材間に高度の密着性を有する両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
即ち、本発明は、次に示すものである。
〔1〕下記(i)、(ii)および(iii)で表される工程を有する両面基材付液晶ポリエステルフィルムの製造方法
(i)芳香族液晶ポリエステルおよび下記溶媒を含有する芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を第1の基材に流延して、該芳香族液晶ポリエステルを含む芳香族液晶ポリエステルフィルム前駆体と第1の基材とからなる積層体1を製造する工程
(ii)(i)で得られた積層体1を加熱処理して、融点340℃以上であるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルからなる芳香族液晶ポリエステルフィルムと基材とからなる積層体2を製造する工程
(iii)(ii)で得られた積層体2の該第1の基材と接していない面に、第2の基材を300℃以上360℃以下の温度で熱圧着させる工程
溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒
Figure 2008073985
(式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチルを表わし、iは1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
なお、前記の「実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステル」とは、当該液晶ポリエステルを徐々に加熱した際に、融解を生ずることなく、該液晶ポリエステル自体が熱分解するものである。通常、芳香族液晶ポリエステルの熱分解は約500℃程度で生じるものであるから、「実質的に融点を有さない」とは、室温から500℃までの範囲で融点を有さないことを意味する。
さらに本発明は、前記〔1〕に係る好適な実施様態として下記〔2〕〜〔6〕を提供する。
〔2〕前記芳香族液晶ポリエステル溶液組成物が、前記溶媒100重量部に対して、芳香族液晶ポリエステルを0.5〜100重量部含む溶液組成物である〔1〕の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法
〔3〕前記(iii)における熱圧着温度が320℃以上340℃以下である〔1〕または〔2〕の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法
〔4〕第1の基材および第2の基材がともに、その十点平均粗さRzが4.0μm以下である〔1〕〜〔3〕のいずれかの両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法
〔5〕第1の基材および第2の基材がともに金属箔である〔1〕〜〔4〕のいずれかの両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法
〔6〕前記金属箔が銅箔またはステンレス箔である〔5〕の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法
前記両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムは、ICチップや受動部品等の電子部品に好適に適用することができるものであり、下記〔7〕〜〔9〕を提供する。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかの製造方法によって得られる両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルム
〔8〕〔7〕の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを用いてなるプリント配線基板
〔9〕〔7〕の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを用いてなるモジュール基板
本発明によれば、芳香族液晶ポリエステルフィルム―基材間に高度の密着性を有し、回路基板に好適に使用することができる両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供し得る。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される芳香族液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。
前記芳香族液晶ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)同種または異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの
が挙げられる。
ここで芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、その芳香環に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基等を有していてもよい。
ここでアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基またはブチル基がより好ましい。アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、フェニル基がより好ましい。
ハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
カルボキシル基を有する化合物のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステル生成反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物等の反応性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコール等とエステルを形成しているものが挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有する化合物のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基が低級カルボン酸類とエステルを形成しているものが挙げられる。
これらのエステル形成性誘導体は、芳香族液晶ポリエステルを製造する際に好適に使用することが可能であり、その詳細は後述する。
前記芳香族液晶ポリエステルを形成する繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 2008073985
前記の繰り返し構造単位は、芳香環に結合している水素原子が、前記のようなハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 2008073985
前記の繰り返し構造単位は、芳香環に結合している水素原子が、前記のようなハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
Figure 2008073985
前記の繰り返し構造単位は、芳香環に結合している水素原子が、前記のようなハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
芳香族液晶ポリエステルの繰り返し構造単位において、好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(f)が挙げられる。
(a):
前記繰り返し構造単位(A1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A2)、(B2)および(C3)の組み合わせ、
前記繰り返し構造単位(A1)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ、または、前記繰り返し構造単位(A2)、(B1)、(B2)および(C3)の組み合わせ。
(b):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C1)に置換した組み合わせ。
(c):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C2)に置換した組み合わせ。
(d):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)に置換した組み合わせ。
(e):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置換した組み合わせ。
(f):前記(a)の組み合わせのそれぞれにおいて、(A1)の一部を(A2)に置換した組み合わせ。
耐熱性の観点から芳香族液晶ポリエステルは、該芳香族液晶ポリエステルを構成する繰り返し構造単位の合計を100モル%としたとき、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸類からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位、即ち(A1)および(A2)からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位を30〜80モル%、ヒドロキノンおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル類からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位、即ち(C1)および(C3)からなる群から選ばれた少なくとも一種の繰り返し構造単位を10〜35モル%、テレフタル酸類およびイソフタル酸類からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位、即ち(B1)および(B2)からなる群から選ばれた繰り返し構造単位を10〜35モル%からなることが好ましい。
また、耐熱性、機械物性のバランスの観点から芳香族液晶ポリエステルは、該芳香族液晶ポリエステルを構成する繰り返し構造単位の合計を100モル%としたとき、前記(A1)で表される繰り返し単位を30モル%以上含むことが好ましい。
本発明に用いられる芳香族液晶ポリエステルの製造方法は、特に限定されないが、前記のように、エステル形成性誘導体を用いると好ましい。例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種とをエステル交換重合することにより溶融重合する方法が挙げられる。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が少ないと、エステル交換重合時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、多すぎると得られる芳香族液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130℃〜180℃で5分間〜10時間反応させることが好ましく、140℃〜160℃で10分間〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸等が挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、または無水イソ酪酸が好ましく用いられ、より好ましくは、無水酢酸が用いられる。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、400℃まで0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行うことが好ましく、350℃まで0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行うことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させる等して系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行ってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の有機化合物触媒を挙げることができる。該触媒は、通常、モノマーの投入時に併せて投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行うことができる。
エステル交換による重合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固相重合とを併用すると好ましい。該固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことができる。具体的には、窒素等の不活性雰囲気下、250℃〜350℃で、1〜30時間、固相状態で熱処理する方法等が挙げられ、固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた芳香族液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化してもよく、かかるペレット化によって操作性に優れた芳香族液晶ポリエステルを得ることができる。
また、このような芳香族液晶ポリエステルの製造は、回分装置、連続装置いずれを用いてもよい。
前記に例示した製造方法により得られる芳香族液晶ポリエステルは、後述する芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を得る際の、前記溶媒に対する溶解性も十分に確保され、第1の基材上に融点が340℃以上であるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルフィルムを形成する上で好適であり、本発明の効果を発現しやすいため好ましい。
また、前記芳香族液晶ポリエステルとしては、後に融点を340℃以上にあるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルにできるものであれば限定されるものではないが、流動開始温度が260℃以上であると、得られる芳香族液晶ポリエステルフィルムと基材との間により高度の密着性が得られるため好ましい。
ここで、「流動開始温度」とは、フローテスターによる溶融粘度の評価において、かかる芳香族ポリエステルの溶融粘度が9.8MPaの圧力下で4800Pa・s以下になる温度をいう。
なお、1987年発行の書籍「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」(小出直之編、95〜105頁、シーエムシー、1987年6月5日発行)によれば、1970年代に液晶ポリエステル樹脂が開発されて以降、液晶ポリエステル樹脂の分子量の目安として、フロー温度(前記流動開始温度と同義)が用いられている。
本発明に適用する芳香族液晶ポリエステルは、その流動開始温度が260℃以上であると好ましいが、280℃以上340℃以下であることが更に好ましい。このように流動開始温度が高いほど、第1の基材または第2の基材が金属箔である場合、該金属箔と芳香族液晶ポリエステルフィルムとの密着性がより向上する傾向があり、逆に、流動開始温度が340℃以下であれば、後述する芳香族液晶ポリエステル溶液組成物において溶媒への溶解性がより向上する傾向がある。より好ましくは流動開始温度が300℃以上330℃以下であり、特に好ましい範囲は流動開始温度が315℃以上325℃以下である。
ここで、芳香族液晶ポリエステルの流動開始温度を制御する方法としては、前記固相重合方法に係る重合条件により流動開始温度を調整することができる。
より具体的には、前記の好ましい繰り返し構造単位の組合わせからなるポリエステルにおいては、固相重合の重合条件として、窒素雰囲気下255℃〜350℃の温度で、1〜10時間静置した状態で固相重合を行うことで、該流動開始温度を好適な範囲にすることができる。
本発明で用いられる芳香族液晶ポリエステル溶液組成物の調製に用いられる溶媒は、下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒である。さらには、該溶媒としては、ハロゲン置換フェノール化合物を60重量%以上含有する溶媒であることが好ましく、ハロゲン置換フェノール化合物そのままを溶媒として用いることが好ましい。このように、溶媒としては、ハロゲン置換フェノールの含有重量比が高いほど、前記に例示した好適な芳香族液晶ポリエステルに対する溶解性が十分に確保されるばかりか、溶解した芳香族液晶ポリエステルが経時で析出するのを防止することもできるため、保存安定性に優れる溶液組成物となり好ましい。
一般式(I)
Figure 2008073985
(式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iはAの個数であって1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい)
なお、前記溶媒には、芳香族液晶ポリエステル溶液組成物の保存時または後述の流延時に芳香族液晶ポリエステル析出を防止できる範囲で、前記ハロゲン置換フェノール化合物以外に他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等の塩素系化合物が挙げられる。
一般式(I)において、iは好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2である。iが1のときAの置換位置は4位であることが好ましく、iが2以上のとき少なくとも一つのAの置換位置は4位であることが好ましい(水酸基の置換位置を1位とする)。
また、Aが複数存在する場合には、Aは互いに同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノールが挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としてはp−クロロフェノールが挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲン原子がフッ素原子である一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物の例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物としては、価格と入手性の観点から、p−クロロフェノール等の塩素置換フェノール化合物が好ましい。
本発明で用いられる芳香族液晶ポリエステル溶液組成物は、芳香族液晶ポリエステルを前記溶媒に溶解させることにより得られる。
該芳香族液晶ポリエステル溶液組成物には、前記溶媒100重量部に対して、芳香族液晶ポリエステルを通常0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは3〜20重量部含有される。
芳香族液晶ポリエステルの総量が0.5重量部以上であれば、芳香族液晶ポリエステルフィルムの生産効率がより向上する傾向があり、100重量部以下であれば、溶媒に対する溶解性がより向上する傾向がある。
該溶液組成物は、その後、必要に応じて、更にフィルター等によってろ過して該溶液組成物中に含まれる微細な異物を除去してもよい。
本発明で用いられる芳香族液晶ポリエステル溶液組成物には無機フィラーが含有されていてもよい。該無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミナ、雲母、マイカ、ホウ酸アルミ二ウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、チタン酸塩のチタンの一部を他の金属に置き換えたもの、または、酸化バリウム(BaO)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化ランタン(La23)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化サマリウム(Sm23)、酸化アルミニウム(Al23)から選ばれる少なくとも2種類と酸化チタン(TiO2)を組み合わせてなるもの等が利用できる。なお、無機フィラーの形状は球状、破砕状、板状、針状等、どのような形状であってもよい。
無機フィラ−を用いる場合、その含有量は芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して通常10〜100重量部の割合である。
無機フィラ−の含有量がこの範囲であれば、基材との密着性を低下させることなく、該無機フィラーによる機能を発現できる傾向がある。ただし、得られる両面基材付芳香族ポリエステルフィルムが高屈曲性を必要とする用途、例えばフレキシブル基板等に用いる場合は、芳香族液晶ポリエステル100重量部に対して、無機フィラーが10〜50重量部の範囲が好ましい。
更に該芳香族液晶ポリエステル溶液組成物には、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が一種または二種以上含有されていてもよい。
次に、両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。該製造方法としては、下記の(i)〜(iii)の工程を有する方法である。
(i)前記芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を第1の基材に流延して、該芳香族液晶ポリエステルを含む芳香族液晶ポリエステルフィルム前駆体と第1の基材とからなる積層体1を製造する工程
(ii)(i)で得られた積層体1を加熱処理して、融点340℃以上であるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルからなる芳香族液晶ポリエステルフィルムと基材とからなる積層体2を製造する工程
(iii)(ii)で得られた積層体2の第1の基材と密着していない面に、第2の基材を300℃以上360℃以下の温度で熱圧着させる工程
前記(i)の工程は前記芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を第1の基材にフィルム状に流延する工程である。なお、(i)において、流延された芳香族液晶ポリエステルフィルム前駆体から前記芳香族液晶ポリエステル溶液組成物で用いた溶媒を除去することが好ましい。
前記芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を流延する方法としては、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法、ダイコーティング法、ナイフコーティング法等の各種手段を用いることができる。
また、溶媒を除去する方法は溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風等の方法が挙げられるが、中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱処理することが好ましく、すなわち、(ii)の芳香族液晶ポリエステルの融点を340℃以上にするか、または実質的に融点を有さなくなるまで変性する加熱処理を行う前に、溶媒を除去するための予備加熱処理を行うことが好ましい。予備加熱処理の温度条件としては60〜200℃の範囲であり、処理時間10分ないし2時間の範囲で十分である。また、予備加熱処理は通風しつつ行うと、より好ましい。
続いて、(ii)にて加熱処理を行うことで芳香族液晶ポリエステルフィルム前駆体にある芳香族液晶ポリエステルの融点を340℃以上とするか、実質的に融点を有さないものへと変性させる。
当該加熱処理の温度条件としては、温度310℃以上で行うことが好ましく、310℃以上360℃以下がより好ましく、320℃以上350℃以下が特に好ましい。なお、処理時間としては、10分〜10時間の範囲が好ましく、10分間以上60分以下が好ましい。かかる加熱処理において、温度条件が前記の範囲であると、芳香族液晶ポリエステル自体の分解が抑制され、効率的に芳香族液晶ポリエステルの変性を生じさせることができる。また、処理時間は短時間であると生産性が向上するために好ましいが、かかる処理時間は適用する温度条件によって適宜最適化することができる。なお、該加熱処理は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下や減圧下で行うことが好ましい。
前記加熱処理により融点は340℃以上であるか、または実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルを含む芳香族液晶ポリエステルフィルムと第1の基材からなる積層体1を得ることができる。ここで、積層体1にある芳香族液晶ポリエステルフィルムの融点を求めるには、かかる積層体1を示差走査熱量測定法(DSC)にて、10℃/分の昇温速度で分析したとき、340℃以上の範囲に融解ピーク温度を示すか、実質的に融点ピークを有さないことを確認することで実施できる。なお、積層体1にある第1の基材が金属箔である場合、DSCを測定する際に、かかる金属箔をエッチング処理等で除去して、芳香族液晶ポリエステルフィルムを得、このように金属箔を除去した芳香族液晶ポリエステルフィルムを測定に供してもよい。
なお、該芳香族液晶ポリエステルの融点は360℃以上であることが更に好ましく、芳香族液晶ポリエステルフィルムが実質的に融点を有さないものであると特に好ましい。
次に(iii)について説明する。
(iii)は、前記(ii)を経て得られた積層体1にある芳香族液晶ポリエステルフィルムの第1の基材が接していない面に第2の基材を300℃以上360℃以下の温度で熱圧着させて、両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを得る工程である。
ここで、熱圧着としては積層体1と第2の基材を加熱しながら圧着させるものであり、プレス成形法やロールラミネート法等が利用できる。なお、熱圧着の温度とは、工業的に広範に用いられているプレス成形機やロールラミネート機での制御温度であり、加熱圧着板あるいは加熱ロールのほぼ中心部で計測される温度を意味するものである。
該熱圧着に係る温度条件としては300℃以上360℃以下であり、この温度範囲であれば、第2の基材−芳香族液晶ポリエステルフィルム間に高度の密着性が発現し、芳香族液晶ポリエステルの分解等の問題も生じないことから機械強度としても十分な両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを得ることができる。より好ましい熱圧着の温度条件は320℃以上340℃以下である。
また、熱圧着に係る圧力条件としては0.1〜10MPaの範囲が実用的であり、第1の基材および第2の基材が金属箔である場合、2MPa以上が金属箔と芳香族液晶ポリエステルフィルムとの間に高度の密着性が得られるため好ましく、4MPa以上8MPa以下の範囲が特に好ましい。
また、熱圧着を行う際の雰囲気条件としては、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下であるか、減圧下または真空下で行うことが好ましい。
本発明に適用する基材(第1の基材、第2の基材)は、前記電子部品に係る導体層として機能させる上で金属箔が好ましく、かかる金属箔としては、銅箔、銀箔、金箔、アルミニウム箔またはステンレス箔が好ましい。より好ましい金属箔としては銅箔やステンレス箔を挙げることができ、特に銅箔が好適である。該銅箔としては電解銅箔や圧延銅箔または特殊電解銅箔のいずれも利用できるが、得られる両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムをフレキシブル基板に使用する場合、その屈曲性が必要となる観点からは、屈曲性の高い圧延銅箔がより好適である。
このように基材は金属箔であることが好ましいが、第1の基材と第2の基材は互いに同一でも異なっていてもよい。
また、前記(iii)における「第2の基材」を「第2の基材と芳香族液晶ポリエステルフィルムからなる積層体1’」に置き換えることもできる。すなわち、積層体1と積層体1’を芳香族液晶ポリエステルフィルム同士が互いに重なるように接触させて、前記の処理条件で熱圧着させても、芳香族液晶ポリエステルフィルムと基材との間に高水準の密着性を有する両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを製造することができる。
この場合、基材1と基材2は互いに同一でも異なっていてもよく、積層体1と積層体1’にある芳香族液晶ポリエステルフィルム同士も同一でも異なっていてもよいが、どちらかのフィルムを構成する芳香族液晶ポリエステルは融点が340以上であるか、実質的に融点を有さないものであることが必要であり、積層体1と積層体1’にある芳香族液晶ポリエステルフィルムの両方が、融点が340以上であるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルからなるものであると好ましい。
また、第1の基材と第2の基材の表面粗さ(十点平均粗さRz)は4.0μm以下の低粗化であることが伝送特性の面からは好ましい。第1の基材、第2の基材が好適な金属箔である場合には、かかる金属箔の表面粗さは2.5μm以下であることがより好ましく、2.2μm以下であることが特に好ましい。なお、かかる表面粗さは公知の表面粗さ計を用いることで求めることができる。
このようにして得られる本発明の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムは、基材と芳香族液晶ポリエステルフィルムの間に高度の密着性を維持し、該芳香族液晶ポリエステルフィルムは機械物性等の諸特性に優れることから、リジットプリント基板、フレキシブルプリント基板(携帯電話ヒンジ用途フレキシブルプリント基板、ノートパソコンヒンジ部用途フレキシブルプリント基板、光ピックアップやハードディスク磁気ヘッド駆動部フレキシブルプリント基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイまたは有機ELディスプレイ等の駆動IC実装用フレキシブルプリント基板等)等のプリント配線板またはモジュール基板の用途に好適に用いられる。また、回路基板としての高周波の伝送特性にも優れることから高周波回路基板としても好適に利用される。
前記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、前記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでない。
[芳香族液晶ポリエステルの合成例]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2‐ヒドロキシ−6−ナフトエ酸128g(0.68モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル63.3g(0.34モル)、イソフタル酸56.5g(0.34モル)および無水酢酸152.7g(1.50モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で内温140℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら内温で300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した。
更に得られた芳香族液晶ポリエステル粉末を用いて、窒素雰囲気において固相重合反応を進め、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。
なお、かかる固相重合において、該芳香族液晶ポリエステル粉末を264℃で3時間反応させたものをポリエステルA、該芳香族液晶ポリエステル粉末を276℃で3時間重合させたものをポリエステルBとする。固相重合後の芳香族液晶ポリエステル粉末の流動開始温度を島津製作所製フローテスターCFT−500により評価したところ、ポリエステルAの流動開始温度は300℃であり、ポリエステルBの流動開始温度は321℃であった。
[芳香族液晶ポリエステル溶液組成物の調製]
前記合成例により得られたポリエステルAまたはポリエステルB10gをp―クロロフェノール(以下、PCPと略すことがある)90gに加え、その後、120℃に加熱して8時間保持した結果、芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を得た。ポリエステルAのときの溶液組成物を組成物A、ポリエステルBのときの溶液組成物を組成物Bとする。
実施例1〜8
[積層体1の製造]
前記の組成物Aまたは組成物Bを、第1の基材として電解銅箔である古河電工製電解銅箔F2WS(厚み=18μm、十点平均粗さRz=2.1μm:基材1とする)上に流延し、熱風式乾燥機により設定温度100℃で20分間乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、熱風式乾燥機により窒素雰囲気において加熱処理を行い、片面に銅箔が積層した積層体1(片面銅箔付芳香族液晶ポリエステルフィルム)を得た。なお、加熱処理後の片面銅箔付芳香族液晶ポリエステルフィルムの厚みは43μmであった。かかる加熱処理の条件を表1、2にまとめる。
[融点の評価]
前記のようにして得られた積層体1から銅箔を除去して単層の芳香族液晶ポリエステルフィルムを得、かかる芳香族液晶ポリエステルフィルムを島津製作所製示差熱天秤DSC−50により10℃/分の昇温速度で加熱することで融解ピーク温度を評価し、その融解ピーク温度を融点と定めた。なお、融解ピーク温度が認められず、樹脂分解温度に到達したときを「融点無し」とした。結果を表1、2にまとめる。
[積層体2の製造]
片面銅箔付芳香族液晶ポリエステルフィルムを150×150mmサイズにカットし、芳香族液晶ポリエステル樹脂面上に先程の基材と同一の古河電工製電解銅箔F2WS(厚み=18μm、十点平均粗さRz=2.1μm:基材2とする)を積層させ、真空プレス機VH1-1765(北川精機製)により熱圧着させて両面銅箔付芳香族液晶ポリエステルフィルムを得た。今回、金属箔としては銅箔を利用したがその他にもステンレス箔等他の金属箔も好適に利用することができる。かかる熱圧着の処理条件を表1、2にまとめる。
[密着性の評価]
得られた両面銅箔付芳香族液晶ポリエステルフィルムの密着性を島津製作所製オートグラフAG−ISによりを評価した(90度方向引張、引張速度50mm/分)。この測定を基材1(流延側)と基材2(圧着側)のそれぞれ行い、密着性を求めた。その結果を、表1、表2にまとめる。
比較例1
組成物Bを用い、加熱処理を300℃、20分の条件で行い、得られる芳香族液晶ポリエステルフィルムの融点を327℃にした以外は実施例3と同様な実験を行って両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを得、密着性を測定した。結果を表3に示す。
比較例2
組成物Aを用い、熱圧着条件を280℃、20分に変更した以外は実施例5と同様な実験を行って両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを得、密着性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2008073985
Figure 2008073985
Figure 2008073985
実施例1〜8の結果から、本発明が提供する両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムは、当該フィルムと基材1の密着性、当該フィルムと基材2の密着性がともに5N/cm以上であり、高度の密着性を発現することが判明した。一方、芳香族液晶ポリエステルの融点が340℃を下回る比較例1や、熱圧着条件が280℃と、300℃以下である比較例2では、当該フィルムと基材2の密着性あるいは当該フィルムと基材1の密着性のいずれか、または両方が実施例1〜8と比較して低下している。

Claims (9)

  1. 下記(i)、(ii)および(iii)で表される工程を有する両面基材付液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
    (i)芳香族液晶ポリエステルおよび下記溶媒を含有する芳香族液晶ポリエステル溶液組成物を第1の基材に流延して、該芳香族液晶ポリエステルを含む芳香族液晶ポリエステルフィルム前駆体と第1の基材とからなる積層体1を製造する工程
    (ii)(i)で得られた積層体1を加熱処理して、融点340℃以上であるか、実質的に融点を有さない芳香族液晶ポリエステルからなる芳香族液晶ポリエステルフィルムと第1の基材とからなる積層体2を製造する工程
    (iii)(ii)で得られた積層体2の第1の基材と接していない面に、第2の基材を300℃以上360℃以下の温度で熱圧着させる工程
    溶媒:下記一般式(I)で示されるハロゲン置換フェノール化合物を30重量%以上含有する溶媒。
    Figure 2008073985
    (式中、Aはハロゲン原子またはトリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わし、iが2以上の場合に複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記芳香族液晶ポリエステル溶液組成物が、前記溶媒100重量部に対して、芳香族液晶ポリエステルを0.5〜100重量部含む溶液組成物である請求項1記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 前記(iii)における熱圧着温度が320℃以上340℃以下である請求項1または2に記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 第1の基材および第2の基材がともに、その十点平均粗さRzが4.0μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 第1の基材および第2の基材がともに金属箔である請求項1〜4のいずれかに記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 前記金属箔が銅箔またはステンレス箔である請求項5記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの製造方法で得られる両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルム。
  8. 請求項7に記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを用いてなるプリント配線基板。
  9. 請求項7に記載の両面基材付芳香族液晶ポリエステルフィルムを用いてなるモジュール基板。
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