以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本発明による景品払出機の一の実施の形態を示す図である。
このうち、図1は、本実施の形態における景品払出機を客側から見た斜視図であり、図2は、図1に示す景品払出機を店側(従業員が操作する側)から見た斜視図であり、図3は、図2に示す景品払出機の店側の側面に設けられた操作部の詳細を示す説明図である。また、図4は、図1に示す景品払出機について、本体扉を開けたときの内部の構成を示す斜視図であり、図5は、図1に示す景品払出機について、シャッタ機構を開けたときの状態を示す斜視図であり、図6は、図1に示す景品払出機について、非常時にメンテナンス用扉を開けたときの状態を示す斜視図である。また、図7は、図1に示す景品払出機とその筐体内に収容されたカセットおよび景品搬送部の状態を示す説明図であり、図8は、図1に示す景品払出機の各構成要素の電気的な接続を示すブロック図である。
まず、本実施の形態における景品払出機1の概要について図1乃至図8を参照して説明する。図1、図2および図7に示すように、景品払出機1は、筐体10と、この筐体10の上部に設けられ、開閉自在となっている本体扉12とを備えている。図1、図2は、本体扉12が閉じているときの景品払出機1の状態を示し、図4は、本体扉12が開いているときの景品払出機1の状態を示している。この本体扉12は、筐体10に対する景品収納ユニット30の各カセット30a、30bの着脱動作を行う際に開閉されるようになっており、当該本体扉12には本体扉開閉検知センサ(図示せず)が設けられている。
図2に示すように、筐体10の店側の側面(図7の右側の側面)には、従業員が入庫、集計、設定等の操作を行うための各種ボタンを有する操作部14(図3参照)と、例えばモノクロLCDからなり従業員にとって必要な情報、具体的には景品Pの払い出し枚数、エラーガイダンス、設定内容等が表示される店側表示部16とが設けられている。これに対して、図1に示すように、筐体10の客側の側面(図7の左側の側面)には、例えばカラーLCDからなり遊技客にとって必要な情報、具体的には景品Pの払い出し枚数、金額等が表示される客側表示部18が設けられている。なお、本明細書において、景品払出機1の「前方側」とは客側表示部18側(図7の左側)のことをいい、「後方側」とは店側表示部16側(図7の右側)のことをいう。
ここで、図3に示すように、筐体10の店側の側面に設けられた操作部14は、エラー解除ボタン14a、切離ボタン14bを含む各種ボタンを有している。図8に示すようにこの操作部14は後述する制御部20に通信接続されており、従業員はこの操作部14によって様々な運転情報を入力することにより景品払出機1の様々な動作を行うことができるようになっている。
また、景品払出機1における筐体10の客側(図7の左側)の側面には開閉自在のメンテナンス用扉26が設けられている。このメンテナンス用扉26は、筐体10内で景品Pのジャム(詰まり)等が生じた場合に、従業員が筐体10内部のチェックや詰まり状態にある景品Pの取り出し等を行うために用いられる。図1における景品払出機1はメンテナンス用扉26が閉じているときの状態を示し、一方、図6における景品払出機1はメンテナンス用扉26が開くとともにシャッタ機構24の上シャッタ部24aが下方に移動したときの状態を示している。さらに、筐体10には、メンテナンス用扉26の開閉状態を検知するメンテナンス用扉開閉検知センサ(図示せず)が設けられている。
図7等に示すように、景品払出機1における筐体10の内部には景品収納ユニット30が設けられている。この景品収納ユニット30は、複数の景品Pを積層状態で収納し最も下層にある景品Pが取り出し可能である複数、例えば2つのカセット30a、30bから構成されている。この景品収納ユニット30において、各カセット30a、30bは前後方向(図7の左右方向)に直列となるよう配設されており、各カセット30a、30bは筐体10に対して着脱自在となっている。ここで、各カセット30a、30bにおける最も下層にある景品Pの高さレベルが互いに異なるようになっている。具体的には、前方側(図7の左側)のカセット30aにおける最も下層にある景品Pが、後方側(図7の右側)のカセット30bにおける最も下層にある景品Pよりも高い位置となるよう、各カセット30a、30bが筐体10内に配設されている。
図4に示すように、このような景品収納ユニット30は、景品払出機1の幅方向(図7の紙面に対して垂直な方向)に沿って複数、具体的には例えば7レーン(7列)設けられている。この景品収納ユニット30の構成の詳細については後述する。
図7に示すように、景品払出機1の筐体10の内部において、景品収納ユニット30の下方には、この景品収納ユニット30の各カセット30a、30bに収納された景品Pを、景品一時保留部28に1つずつ直接搬送する景品搬送部40が設けられている。この景品搬送部40の構成の詳細については後述する。なお、一の景品収納ユニット30およびこれに対応する一の景品搬送部40により一つのレーンが構成されているが、この一の景品収納ユニット30および一の景品搬送部40の組合せ体を「収納繰出ユニット」という。
図7に示すように、景品一時保留部28は、景品収納ユニット30から送られた景品Pが一時的に保留される部分である。この景品一時保留部28に一時的に保留される景品Pは、外部から遊技客がアクセス可能となっている。この景品一時保留部28の上方には、当該景品一時保留部28を覆うようなシャッタ機構24が設けられている。図1および図7に示すように、シャッタ機構24は、上シャッタ部24aと下シャッタ部24bとから構成されている。このシャッタ機構24は、景品一時保留部28を覆い当該景品一時保留部28からの景品Pの取り出しを阻止する受渡阻止位置(図1参照)と、景品一時保留部28から上後方(図7の右上方向)に退避し当該景品一時保留部28からの景品Pの取り出しを許容する受渡許容位置(図5参照)との間で往復移動自在となっている。また、このシャッタ機構24には、当該シャッタ機構24の開閉状態を検知するための開閉検知センサ(図示せず)が取り付けられている。
図5に示すように、景品一時保留部28には、当該景品一時保留部28上に景品Pが存在するか否かを検知する景品有無検知センサ72が取り付けられている。また、図1等に示すように、景品一時保留部28の近傍における筐体10の前方側(客側)には、各レーン毎に払出口ランプ74が取り付けられている。各払出口ランプ74は、対応するレーンにおける景品Pの繰り出しの最中から遊技客がシャッタ機構24を開けて景品Pを取るまでの間は青色で点滅し、景品Pの繰り出し中にエラーが発生したときは赤色で点滅するようになっている。
さらに、図7に示すように、景品払出機1の筐体10の内部には、景品払出機1の各構成要素に指令信号を与えてこれらの各構成要素の制御、具体的には景品Pの払い出し、表示、通信等の制御を行う制御部20と、景品払出機1の各構成要素に電力を供給する電源部22とが内蔵されている。
次に、図9乃至図15を用いて、景品払出機1の景品収納ユニット30および景品搬送部40の構成の詳細について説明する。ここで、図9は、景品搬送部40の全体構成を示す斜視図であり、図10は、図9に示す景品搬送部40における下半部分の構成を示す斜視図である。また、図11は、景品収納ユニット30の各カセット30a、30bの構成を示す斜視図であり、図12は、景品払出機1に収納される景品Pの構成の詳細を示す説明図である。また、図13は、景品搬送部40の構成の概略を示す説明図であり、図14は、図13に示す景品搬送部40を装置前方(図13中は左方)から見た説明用前面図であり、図15は、図13に示す景品搬送部40を上方から見た説明用上面図である。
図11に示すように、景品収納ユニット30の各カセット30a、30bは略直方体形状の筐体からなり、この筐体内に景品Pが積層状態で収納されるようになっている。景品Pは、図12に示すように板状のものからなり、その内部に非接触ICタグIが設けられている。各カセット30a、30bの筐体内に積層状態で収納された景品Pは、例えば錘(ウエイト、図示せず)により上方から力が加えられ、下方に押圧されるようになっている。
各カセット30a、30bの筐体の上面には把手32が取り付けられており、従業員はこの把手32を把持することにより各カセット30a、30bの運搬を行うことができるようになっている。また、各カセット30a、30bの下部では側壁30pが前壁30qよりも下方まで延びるよう設けられ、側壁30pと前壁30qとの段差部分で景品繰出口38が構成されている。さらに、図11に示すように側壁30pの内面下縁には、景品Pが下方に脱落せずに景品繰出口38から1枚ずつ前方に送り出し可能となるよう、左右一対の底面部材36が形成されている。前壁30qは、筐体から取り出し可能な蓋部になっており、景品Pの装填時や回収時には取り外されるようになっている。
また、各カセット30a、30bの前壁30qには誤挿入防止部材34が設けられている。この誤挿入防止部材34には複数の貫通孔が形成されており、各カセット30a、30bに収納されるべき景品Pの種類に応じて、この複数の貫通孔のうちいくつかの貫通孔を閉塞部材(例えば、スライド板)により塞ぐようになっている。一方、景品払出機1の筐体10内において、各カセット30a、30bが収納されるべき箇所には、これらの各カセット30a、30bの誤挿入防止部材34の各貫通孔に対応して当該貫通孔を貫通するような突起部(図示せず)が設けられている。この筐体10内に設けられた突起部は、各カセット30a、30bに収納されるべき景品Pの種類に応じてその個数や配置が設定されており、もし誤って景品Pの種類が異なるカセット30a、30bを筐体10内に収容した場合は、貫通孔を塞ぐ閉塞部材に突起部が当たってしまい、カセット30a、30bを筐体10内に正常に収容することができないようになっている。このことにより、従業員は誤って景品Pの種類が異なるカセット30a、30bを筐体10内に収容したことに気づくこととなる。
図10、図13等に示すように、景品搬送部40は、景品収納ユニット30の下方において各カセット30a、30bに対応して各々設けられる2つの搬送機構40a、40bから構成されている。各々の搬送機構40a、40bは、対応するカセット30a、30bのみにおける最も下層にある景品Pを景品一時保留部28まで搬送するようになっている。具体的には、搬送機構40aは前方側のカセット30aのみに収納された景品Pのうち最も下層にある景品Pを景品一時保留部28まで搬送し、搬送機構40bは後方側のカセット30bのみに収納された景品Pのうち最も下層にある景品Pを景品一時保留部28まで搬送するようになっている。
図10および図13乃至図15に示すように、搬送機構40aは、前方側のカセット30aの真下にある景品取出位置から景品一時保留部28まで延びるように設置された案内板48aと、案内板48aの下方において、カセット30aの真下にある景品取出位置の近傍および景品一時保留部28の近傍をそれぞれ通過するよう循環移動を行う無端状の循環ベルト42aと、循環ベルト42aを張架するための一対のプーリ44aと、一対のプーリ44aのうち後方側(図13の右側)のプーリ44aを回転させることにより循環ベルト42aを循環移動させる駆動モータ46aとを有している。なお、図15に示す搬送機構40aにおいては案内板48aが省略されている。
案内板48aには、長手方向(図13の左右方向)に延びる貫通溝が形成されている。また、循環ベルト42aの外面上には1つの押出部材50aが取り付けられている。この押出部材50aは、案内板48aの貫通溝を通過してこの案内板48aの上方に突出可能となっている。そして、この押出部材50aは、循環ベルト42aが循環移動を行う際にカセット30aのみに収納された最も下層にある景品Pをこのカセット30a内から景品繰出口38(図11参照)を介して外(前方)に押し出し、案内板48a上を摺動させながらこの押し出された景品Pを景品一時保留部28まで搬送するようになっている。
一方、搬送機構40bは、搬送機構40aと同様に、後方側のカセット30bの真下にある景品取出位置から景品一時保留部28まで延びるように設置された案内板48bと、案内板48bの下方において、カセット30bの真下にある景品取出位置の近傍および景品一時保留部28の近傍をそれぞれ通過するよう循環移動を行う無端状の循環ベルト42bと、循環ベルト42bを張架するための一対のプーリ44bと、一対のプーリ44bのうち前方側(図13の左側)のプーリ44bを回転させることにより循環ベルト42bを循環移動させる駆動モータ46bとを有している。なお、図15に示す搬送機構40bにおいては案内板48bが省略されている。
ここで、図10および図13乃至図15に示すように、搬送機構40bの案内板48bは、搬送機構40aの案内板48aの下方に離間して設けられている。また、案内板48bの幅の大きさは案内板48aの幅の大きさと略同一となっている。また、とりわけ図13乃至図15に示すように、搬送機構40bの循環ベルト42bは搬送機構40aの循環ベルト42aと略同一の高さレベルとなっており、並列に隣り合わせとなるよう配設されている。この際に、循環ベルト42bの長さは循環ベルト42aの長さの約2倍となっている。搬送機構40bの一対のプーリ44bのうち前方側(図13の左側)のプーリ44bは搬送機構40aの前方側のプーリ44aと同軸となるよう並列に配設され、一方、搬送機構40bの後方側(図13の右側)のプーリ44bは搬送機構40aの後方側のプーリ44aよりも後方に離間して配設されるようになっている。
また、案内板48bには、案内板48aと同様に、長手方向(図13の左右方向)に延びる貫通溝が形成されている。循環ベルト42bの外面上には2つの押出部材50bが取り付けられている。ここで、図13に示すように2つの押出部材50bは循環ベルト42b上において正反対の位相となる位置にそれぞれ取り付けられており、その高さは同一となっている。また、これらの押出部材50bは、各々、案内板48bの貫通溝を通過してこの案内板48bの上方に突出可能となっている。そして、各押出部材50bは、循環ベルト42bが循環移動を行う際にカセット30bのみに収納された最も下層にある景品Pをこのカセット30b内から景品繰出口38(図11参照)を介して外に押し出し、案内板48b上を摺動させながらこの押し出された景品Pを景品一時保留部28まで搬送するようになっている。
ここで、図13に示すように、搬送機構40bの各押出部材50bにおける循環ベルト42bからの高さは、搬送機構40aの押出部材50aにおける循環ベルト42aからの高さよりも低くなっている。しかしながら、各循環ベルト42a、42bの高さレベルが略同一であり、また、前述のように前方側(図13の左側)のカセット30aにおける最も下層にある景品Pは、後方側(図13の右側)のカセット30bにおける最も下層にある景品Pよりも高い位置にあり、さらに、案内板48aは案内板48bの真上に離間して設けられている。このため、押出部材50aはカセット30aのみに収納される景品Pをこのカセット30aから外部に取り出し、案内板48a上を摺動させながらこの景品Pを景品一時保留部28まで搬送するようになり、一方、押出部材50bはカセット30bのみに収納される景品Pをこのカセット30bから外部に取り出し、案内板48b上を摺動させながらこの景品Pを景品一時保留部28まで搬送するようになる。ここで、搬送機構40bの押出部材50bの個数は2つであることに限定されることはなく、搬送機構40aの押出部材50aの個数の2倍であれば、その個数が限定されることはない。例えば、前方側の搬送機構における押出部材の個数が2つである場合は、後方側の搬送機構における押出部材の個数は4つとなる。
一のカセット30a(30b)およびこれに対応する一の搬送機構40a(40b)の組合せ体を、「収納繰出ユニット部分」という。すなわち、一の収納繰出ユニット(景品収納ユニット30と景品搬送部40との組合せ体)には、2つの収納繰出ユニット部分が設けられることとなる。
景品搬送部40の各搬送機構40a、40bには、当該各搬送機構40a、40bにより景品収納ユニット30のカセット30a、30bから景品一時保留部28までそれぞれ搬送される景品Pにジャム(詰まり)等のトラブルが発生したときにこのことを検知する景品詰まり検知センサ(図示せず)がそれぞれ設けられている。
次に、図16を用いて景品収納ユニット30の各カセット30a、30bおよび景品一時保留部28の配置について説明する。図16に示すように、景品収納ユニット30および景品搬送部40(図16では図示せず)からなる収納繰出ユニットは、景品払出機1の幅方向(図16の左右方向)に沿って例えば7レーン(7列)設けられており、各レーンにおいて景品払出機1の前後方向(図16の上下方向)に沿ってカセット30a、30bが直列にそれぞれ2つずつ設けられている。このため、カセットは合計14個設けられることとなる。本明細書においては、図16に示すように、景品払出機1の左端のレーンから右方向に順にレーン1、レーン2、・・・、レーン7とよぶこととする。
次に、景品払出機1の制御部20の詳細について以下に説明する。
図8に示すように、制御部20には異常発生検知機構80が通信接続されている。ここで、異常発生検知機構80は、前述のような景品搬送部40に設けられた景品詰まり検知センサ等から構成されており、この異常発生検知機構80は、景品Pの搬送時に詰まりが生じたりした場合は、景品払出機1におけるいずれかのレーンで異常が発生したことを検知するようになっている。
また、図8に示すように、従業員が景品払出機1の操作を行う際に用いられる操作部14、店側表示部16および客側表示部18はそれぞれ制御部20に通信接続されている。この制御部20は、異常発生検知機構80において景品払出機1の各レーンに異常が発生したことが検知されないような通常運転時には、客側表示部18および店側表示部16に景品Pの取引情報を表示させるようになっている。すなわち、制御部20は、客側表示部18には遊技客にとって必要な情報、具体的には景品Pの払い出し枚数、金額等をカラーで表示させ、一方、店側表示部16には従業員にとって必要な情報、具体的には景品Pの払い出し枚数、設定内容をモノクロで表示させるようになっている。
これに対して、異常発生検知機構80において景品払出機1の一または複数のレーンに景品Pの詰まり等の異常が発生したことが検知されたときには、制御部20は店側表示部16にエラーガイダンスを表示させるようになっている。具体的には、店側表示部16には、レーン1〜レーン7のうちどのレーンで異常が発生したのかが表示され、更に、このレーンにおける前後どちらのカセットで異常が発生したのかが表示されるようになっている。すなわち、店側表示部16において例えば「レーン3の繰出部B側のカセットで景品詰まり」と表示されることとなる(ここで、図16に示すように、繰出部A側とは景品払出機1の各収納繰出ユニットの手前側のことをいい、繰出部B側とは景品払出機1の各収納繰出ユニットの奥側のことをいう)。また、店側表示部16には、この異常状態の解除方法、すなわちエラーの対処方法も表示される。さらに、店側表示部16には、「エラー解除復帰の場合には操作部14のエラー解除ボタン14aを押し、エラー箇所切り離しの場合は切離ボタン14bを押すこと」という内容のメッセージが表示される。すなわち、従業員は、店側表示部16による表示内容に沿って、異常が発生しているレーンの前後いずれかのカセットを景品Pの払出動作の対象から切り離すという指令(切離ボタン14b)と、このカセットの異常状態が解除されたという指令(エラー解除ボタン14a)とを択一的に入力するようになっている。
制御部20は、操作部14において従業員により「異常が発生しているレーンのカセットを景品の払出動作の対象から切り離す」という指令が入力されたときに、すなわち従業員により切離ボタン14bが押されたときに、この異常が発生しているレーンのカセット(例えばレーン3の繰出部B側のカセット)を景品Pの払出動作の対象から切り離すよう各景品搬送部40の搬送機構40a、40bの駆動を制御するようになっている。具体的には、制御部20は、異常が発生しているレーンのカセット以外の、具体的には例えばレーン3の繰出部B側のカセット以外の他のカセット30a、30bおよびこれらのカセット30a、30bに各々対応する搬送機構40a、40bを動作させるようになっている。更に詳細に説明すると、例えばレーン3の繰出部B側で景品Pの詰まり等の異常が発生したときには、制御部20は、このレーン3の繰出部B側のカセット30bを景品Pの払出動作の対象から切り離し、当該制御部20はレーン3の繰出部A側および他のレーンの繰出部A側および繰出部B側の搬送機構40a、40bを動作させるようになっている。
ここで、レーン3の繰出部B以外の繰出部(例えば、レーン4の繰出部A)が既に景品Pの払出動作の対象から切り離されていた場合には、制御部20によりレーン3の繰出部Bの切り離し処理を行った際に、レーン4の繰出部Aも切り離されたままとなる。
なお、景品搬送機1の複数のレーンに異常が発生したことが検知されたときにおいて、各レーンを景品Pの払出動作の対象から個別に切り離すようになっていてもよく、あるいは切離ボタン14bを一回押すことにより異常が発生している全てのレーンを一括して景品Pの払出動作の対象から切り離すようになっていてもよい。
次に、このような構成からなる景品払出機1の動作について以下に説明する。
まず、例えばパチンコ店等の遊技施設の営業前において、従業員は景品収納ユニット30の各カセット30a、30bを筐体10から取り出し、これらの各カセット30a、30bに景品Pを積層状態で収納する。具体的には、従業員が景品払出機1の操作部14で入力した情報に基づいて、あるいは景品管理装置やターミナルコントローラ等の上位機(図示せず)から送信された設定情報に基づいて、各レーンの景品収納ユニット30のカセット30a、30bにおける景品Pの種類の割り当てが設定される。そして、従業員は、この設定された情報を参照して、例えば、第1〜第3レーンの各カセット30a、30bに対して赤色の目印が付された5000円相当の景品P(大景品)を、第4、第5レーンの各カセット30a、30bに対して青色の目印が付された1000円相当の景品P(中景品)を、第6、第7レーンの各カセット30a、30bに対して黄色の目印が付された200円相当の景品P(小景品)をそれぞれ収納する。なお、ここでは同一レーンの前方側のカセット30aと後方側のカセット30bとで同一種類の景品Pを収納させているが、前方側のカセット30aと後方側のカセット30bとで異なる種類の景品Pを収納させてもよい。
次に、パチンコ店等の遊技施設の営業中において、遊技客は獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を計数機(図示せず)で計数し、遊技客は計数機から計数レシートを取得する。そして、遊技客は、景品払出機1やこの景品払出機1に通信接続された景品管理装置(図示せず)が設置された景品交換カウンターにこの計数レシートを持ち込む。景品交換カウンターで待機している従業員は、計数レシートを遊技客から受け取り、景品管理装置のバーコードリーダ等でこの計数レシートに記録されたデータ(玉数等)を読みとる。なお、ここでは計数レシートが用いられているが、計数レシートの代わりに計数カードや貯玉データカードを用いるようになっていてもよい。遊技客が遊技媒体を景品Pに交換することを希望する場合、従業員が景品管理装置の所定のキーを押すと、計数レシートに記録された玉数等のデータが各種景品Pの個数に換算され、換算結果および景品Pの払出命令が景品管理装置から景品払出機1に伝達される。具体的には、例えば大景品8枚、中景品3枚、小景品4枚の払い出しを行うという払出命令が景品払出機1に送られる。
景品払出機1は、景品管理装置から払出命令を受けると、この払出命令における景品Pの種類および個数に基づいて、制御部20が各景品搬送部40に制御命令を送り景品収納ユニット30の各カセット30a、30bからの景品Pの払い出しを行う。具体的には、大景品が収納された第1〜第3レーンのいずれか一つにおける景品搬送部40が各カセット30a、30bから景品一時保留部28への景品Pの搬送を行い、これと並行して、中景品、小景品がそれぞれ収納された第4、5レーンのいずれか一方ならびに第6、7レーンのいずれか一方における各景品搬送部40がそれぞれ各カセット30a、30bから景品一時保留部28への景品Pの搬送を行う。なお、待機状態において、シャッタ機構24は閉じられた状態にある。
そして、景品管理装置から伝達された払出命令における全ての種類および個数の景品Pが景品収納ユニット30から景品一時保留部28に送られると、制御部20はシャッタ機構24を制御してこのシャッタ機構24を開くようにする。
遊技客が景品一時保留部28上に置かれた景品Pを全て取り出すと、このことが景品有無検知センサ72(図3参照)により検知され、制御部20はシャッタ機構24を制御してこのシャッタ機構24を閉じるようにする。ここで、シャッタ機構24が開いた状態となってから所定時間が経過しても景品Pが遊技客により取り出されなかった場合は、取り忘れが発生した可能性があるとして、景品払出機1または景品管理装置において警報音が発せられることにより遊技客または従業員にこのことが報知され、また景品管理装置等の上位機にもこのことが報知される。このことにより、遊技客や従業員は景品一時保留部28からの景品Pの取り忘れに気づくことができるようになる。また、各払出口ランプ74は、対応するレーンにおける景品Pの繰り出しの最中から遊技客がシャッタ機構24を開けて景品Pを取るまでの間は青色で点滅し、景品Pの繰り出し中にエラーが発生したときは赤色で点滅する。
次に、このような景品払出機1の一連の動作における、制御部20による制御、店側表示部16における表示および操作部14における従業員等による操作等について、図17を用いて詳細に説明する。図17は、景品の一連の払出動作が行われる際における店側表示部16の表示内容の推移を示す図である。
遊技施設の営業中において、景品払出機1の通常運転時には、店側表示部16における表示は図17(a)(b)に示す通りとなる。すなわち、景品払出機1の待機状態において、図17(a)に示すように、〔待機中〕という状態表示、前回の取引内容ならびに各レーンにおける前後の各カセット30a、30bの状態が店側表示部16に表示される。ここで、各レーンにおける前後の各カセット30a、30bについて、これらのカセット30a、30bに景品がある場合は白抜きの四角で、景品がない場合は黒塗りの四角で表示が行われる。また、前述のように、図17(a)における(A)(B)は、それぞれ景品払出機1の手前側、奥側を示している。払出命令を受けると、景品払出機1が実際の景品Pの払い出しを行っている間は、図17(b)に示すように、状態表示が〔払出中〕となり、「景品がでます」というメッセージ、払い出されるべき景品Pの種類毎の枚数、ならびに各レーンにおける前後の各カセット30a、30bの状態が店側表示部16に表示される。
ここで、景品Pが景品収納ユニット30の各カセット30a、30bから景品一時保留部28まで搬送される際に、例えば第3レーンの奥側(B側)のカセット30bに対応する搬送機構40b等において景品Pの詰まりが発生した場合は、異常発生検知機構80の景品詰まり検知センサによりこのことが検知される。この場合、景品払出機1の動作が停止される。このときに、店側表示部16には、図17(c)に示すように、〔エラー〕という状態表示、「E−321」というエラーコード、「景品詰まり」というメッセージ、「レーン3 繰出部B側」という異常が発生した具体的な箇所、ならびに異常状態の解除方法(すなわち、エラーの対処方法)が表示される。更に、店側表示部16の下部には「エラー解除復帰:〔エラー解除〕、エラー箇所切離し:〔切離し〕」というメッセージが表示される。この表示は、「エラー解除復帰を行う場合には操作部14のエラー解除ボタン14aを押し、エラー箇所の切り離しを行う場合は切離ボタン14bを押すこと」という、従業員に対する指示を意味している。
このような図17(c)に示す表示の後、当該表示における異常状態の解除方法に従って、搬送機構40b等で詰まり状態にある景品Pを従業員が取り除いた場合は、この従業員は操作部14のエラー解除ボタン14aを押すこととなる。このようにして、景品払出機1は通常の運転状態に復帰することとなる。
一方、上述のような景品Pの詰まりが同じ搬送機構40bで何回も頻繁に生じ、この搬送機構40bおよびこれに対応するカセット30bからなる収納繰出ユニット部分を景品Pの払出動作の対象から切り離したほうがよいと従業員が判断した場合は、実際にこのような異常が発生している収納繰出ユニット部分を景品Pの払出動作の対象から切り離すような操作が行われる。具体的には、図17(c)に示すような内容が店側表示部16に表示されているような状態で、従業員が操作部14の切離ボタン14bを押すと、図17(d)に示すように、「レーン3 繰出部Bを切離して休止状態にします。/レーン3 繰出部Bからの払出しはできなくなりますが、よろしいですか?」というメッセージが店側表示部16に表示され、さらに、「はい:〔確定〕、いいえ:〔取消〕」という選択肢が従業員に示されることとなる。ここで従業員が操作部14における「確定」のボタンを押すと、制御部20は自動的に異常が発生している収納繰出ユニット部分(前述のように、カセット30bおよび搬送機構40bを組み合わせたもの)を景品Pの払出動作の対象から切り離す。具体的には、制御部20は、異常が発生しているレーンのカセット(例えばレーン3の繰出部B側のカセット)以外の他のカセット30a、30bおよびこれらのカセット30a、30bに各々対応する搬送機構40a、40bを動作させるような制御を行う。更に詳細に説明すると、例えばレーン3の繰出部B側で景品Pの詰まり等の異常が発生したときには、制御部20は、このレーン3の繰出部B側のカセット30bを景品Pの払出動作の対象から切り離し、当該制御部20はレーン3の繰出部A側および他のレーンの繰出部A側および繰出部B側の搬送機構40a、40bを動作させるような制御を行う。
ここで、レーン3の繰出部B以外の繰出部(例えば、レーン4の繰出部A)が既に景品Pの払出動作の対象から切り離されていた場合には、制御部20によりレーン3の繰出部Bの切り離し処理を行った際に、レーン4の繰出部Aも切り離されたままとなる。
また、図17(e)に示すように、制御部20により景品Pの払出動作の対象から切り離されたカセットは、「休止」と表示されることとなる。このようにして、景品払出機1はいわゆる縮退運用を行うことにより、景品Pの払出動作を続行することができる。
以上のように本実施の形態の景品払出機1によれば、店側表示部16は、各々が一の景品収納ユニット30およびこれに対応する一の景品搬送部40からなる複数のレーン(収納繰出ユニット)のうちいずれか1以上のレーンにおいて異常が発生したときにこのことを表示し、この際に、このレーンにおける、カセット30a、30bおよびこれに対応する搬送機構40a、40bからなる収納繰出ユニット部分を特定してこの収納繰出ユニット部分において異常が発生したことを表示するようになっている。そして、制御部20は、操作部14によって異常が発生している収納繰出ユニット部分を景品Pの払出作業の対象から切り離すという指令が従業員によって入力されたときにこの収納繰出ユニット部分および既に景品Pの払出作業の対象から切り離されている収納繰出ユニット部分以外の全ての収納繰出ユニット部分の搬送機構40a、40bを駆動させるようになっている。このことにより、各々が一のカセットおよびこれに対応する一の搬送機構からなる収納繰出ユニット部分について、いずれか1以上の収納繰出ユニット部分において頻繁に異常が発生した場合に、制御部20の制御によって、異常が発生している収納繰出ユニット部分を自動的に景品Pの払出動作の対象から切り離すことができるようになる。このため、異常が発生していない正常な搬送機構を従業員が誤って運転の対象から切り離してしまうこともなく、景品Pの払出効率が低下することはないので、景品払出機1の所望の縮退運用を行うことができるようになる。
また、操作部14には、異常が発生している収納繰出ユニット部分を景品Pの払出動作の対象から切り離すという指令(切離ボタン14bによる指令)と、収納繰出ユニット部分の異常状態が解除されたという指令(エラー解除ボタン14aによる指令)とが択一的に入力されるようになっている。このことにより、従業員は、例えば1回目の異常発生の際には例えば店側表示部16に表示された異常状態の解除方法に従って景品払出機1の異常状態を解除させて通常運転に復帰させ、このような異常が特定の収納繰出ユニット部分において頻繁に発生するときにはこの収納繰出ユニット部分を景品Pの払出動作の対象から切り離すような運転を行うことができるようになる。このように、従業員は景品払出機1の状況に応じて適切な対処手段を選択的に講じることができるようになる。
ここで、制御部20は、一のカセット30a(30b)およびこれに対応する一の搬送機構40a(40b)からなる収納繰出ユニット部分を景品Pの払出動作からの切り離しの対象とする代わりに、一の景品収納ユニット30およびこれに対応する一の景品搬送部40からなる収納繰出ユニット自体(すなわち、レーン自体)を景品Pの払出動作からの切り離しの対象としてもよい。この場合は、一の搬送機構40a(40b)において景品Pの詰まり等が発生した場合に、この搬送機構40a(40b)を含むレーン自体が景品Pの払出動作の対象から切り離されることとなる。
なお、本発明による景品払出機は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
次に本発明による景品払出機の他の実施の形態につき、図18により説明する。図18は、他の実施の形態における景品払出機において景品の一連の払出動作が行われる際における店側表示部の表示内容の推移を示す図である。
この実施の形態における景品払出機においては、制御部において異常が発生した収納繰出ユニット(または収納繰出ユニット部分)を景品の払出動作の対象から切り離す際の条件を設定するための条件設定部が追加的に設けられている。この条件設定部における条件の設定は、従業員が予め遊技施設の営業前において操作部で当該条件の入力を行うことにより行われる。ここで、条件設定部においては、異常の発生回数および所定の時間が設定されるようになっている。
また、制御部は、条件設定部で設定された設定時間内において各々の収納繰出ユニット(または収納繰出ユニット部分)においてそれぞれ発生する異常の回数が条件設定部で設定された設定回数に達したときにこの収納繰出ユニット(または収納繰出ユニット部分)を景品の払出動作の対象から自動的に切り離すよう、制御を行うようになっている。例えば、設定時間を5分、設定回数を3回という条件を従業員が営業前に景品払出機の操作部で入力すると、この条件が条件設定部で設定され、実際の景品払出機の動作中において5分以内にある収納繰出ユニット(または収納繰出ユニット部分)で異常が3回発生したときには、この収納繰出ユニット(または収納繰出ユニット部分)が制御部によって景品の払出動作の対象から自動的に切り離されることとなる。
次に、上述のような景品払出機の動作について、とりわけ、このような景品払出機の一連の動作における、制御部による制御、店側表示部における表示および操作部における従業員等による操作等について図18を参照して説明する。
まず、遊技施設の営業前において、客側表示部には図18(a)に示すような条件の設定場面が表示される。具体的には、状態表示が〔設定〕となる。ここで、従業員が例えば操作部により「エラー時間間隔:5分/エラー回数:3回」と入力すると、このことが客側表示部に表示されるとともに条件設定部で当該条件の設定が行われる。
次に、遊技施設の営業中において、景品払出機1の通常運転時には、店側表示部における表示は図18(b)(c)に示す通りとなる。この表示は、図17(a)(b)による表示と略同一であるため、その説明については省略する。
ここで、景品が景品収納ユニットの各カセットから景品一時保留部まで搬送される際に、例えば第3レーンの奥側のカセットに対応する搬送機構等において景品の詰まりが発生した場合は、異常発生検知機構の景品詰まり検知センサによりこのことが検知される。また、このような異常の発生時刻、具体的には例えば異常が発生した時刻が20:00であるという情報が制御部に送られる。この場合、景品払出機の動作が停止される。このときに、店側表示部には、図18(d)に示すような各種情報、具体的には〔エラー〕という状態表示がなされる。
このような図18(d)に示される表示の後、当該表示における異常状態の解除方法に従って、搬送機構等で詰まり状態にある景品を従業員が取り除いた場合は、この従業員は操作部のエラー解除ボタンを押すこととなる。そうすると、景品払出機の特定の搬送機構で生じた異常状態がリセットされたことが制御部により認識され、図18(e)に示すように、店側表示部には〔リセット〕という状態表示がなされ、「リセット中です。」と表示される。このようにして、景品払出機は通常の運転状態に復帰することとなる。
景品払出機を通常の運転状態に復帰させた後、異常発生検知機構により同じ搬送機構で異常が発生したことが検知された場合は、景品払出機の動作が再度停止される。また、再度異常が発生した時刻が例えば20:04であるという情報が制御部に送られる。このときに、店側表示部には、図18(f)に示すように、〔エラー〕という状態表示、「E−325」というエラーコード、「繰出不良」というメッセージ、「レーン3 繰出部B側」という異常が発生した具体的な箇所、ならびに異常状態の解除方法(すなわち、エラーの対処方法)が表示される。更に、店側表示部の下部には「エラー解除復帰:〔エラー解除〕、エラー箇所切離し:〔切離し〕」というメッセージが表示される。
このような図18(f)に示される表示の後、当該表示における異常状態の解除方法に従って、従業員が搬送路等の確認を行って問題がないと判断した場合は、この従業員は操作部のエラー解除ボタンを再び押すこととなる。そうすると、景品払出機の特定の搬送機構で生じた異常状態がリセットされたことが制御部により認識され、図18(g)に示すように客側表示部には〔リセット〕という状態表示がなされ、「リセット中です。/しばらくお待ちください。」と表示される。このようにして、景品払出機は再び通常の運転状態に復帰することとなる。
景品払出機を再び通常の運転状態に復帰させた後、異常発生検知機構により同じ搬送機構で異常が発生したことが再度検知された場合は、この再度異常が発生した時刻が例えば20:05であるという情報が制御部に送られる。この場合、条件設定部で設定された時間、具体的には5分内において第3レーンの奥側のカセットに対応する搬送機構で発生した異常の回数が予め条件設定部で設定された回数である3回に達したこととなるので、当該カセットおよびこれに対応する搬送機構からなる収納繰出ユニット部分を景品の払出動作の対象から切り離すような操作が行われる。具体的には図18(h)に示すように、〔エラー〕という状態表示、「レーン3 繰出部Bを切離して休止状態にします。/レーン3 繰出部Bからの払出しはできなくなりますが、よろしいですか?」というメッセージが店側表示部に表示され、さらに、「はい:〔確定〕、いいえ:〔取消〕」という選択肢が従業員に示されることとなる。ここで、従業員が操作部における「確定」のボタンを押すと、制御部は自動的に異常が発生している収納繰出ユニット部分を景品の払出動作の対象から切り離す。具体的には、制御部は、異常が発生しているレーンのカセット(例えばレーン3の繰出部B側のカセット)以外の他のカセットおよびこれらのカセットに各々対応する搬送機構を動作させるような制御を行う。この際に、図18(i)に示すように、制御部により景品の払出動作の対象から切り離されたカセットは、「休止」と表示されることとなる。このようにして、景品払出機はいわゆる縮退運用を行うことにより、景品の払出動作を続行することができる。
以上のようにこのような実施の形態の景品払出機によれば、制御部において異常が発生した収納繰出ユニット部分を景品の払出動作の対象から切り離す際の条件を設定するための条件設定部が追加的に設けられており、この条件設定部ではこの条件として異常の発生回数が設定されるようになっている。そして、制御部は、各々の収納繰出ユニット部分においてそれぞれ発生する異常の回数が条件設定部で設定された条件に達したときに当該収納繰出ユニット部分および既に景品の払出動作の対象から切り離されている収納繰出ユニット部分以外の他の収納繰出ユニット部分の搬送機構を駆動させるよう自動的に運転の切り換えを行うようになっている。このように、条件設定部で設定された条件に基づいて、景品払出機の同じ箇所に異常が規定回数発生した場合は自動的にこの異常発生部分を景品の払出動作の対象から切り離して縮退運用を行うので、特定の収納繰出ユニット部分で頻繁に異常が発生する場合に景品払出機の所望の縮退運用を確実に行うことができるようになる。
また、条件設定部において異常の発生回数のみならず時間の設定も行われるようになっており、制御部は、条件設定部で設定された時間内において各々の収納繰出ユニット部分においてそれぞれ発生する異常の回数が条件設定部で設定された条件に達したときにこの収納繰出ユニット部分以外の他の収納繰出ユニット部分の搬送機構のみを駆動させるよう運転の切り換えを行うようになっている。このことにより、条件設定部で設定された時間および異常発生回数の両方の条件に基づいて、一定時間内において景品払出機の同じ箇所に異常が規定回数発生した場合は自動的にこの異常発生部分を景品の払出動作の対象から切り離して縮退運用を行うので、特定の収納繰出ユニット部分で短期間に頻繁に異常が発生する場合に景品払出機の所望の縮退運用を確実に行うことができるようになる。
なお、この実施の形態においても、制御部は、一のカセットおよびこれに対応する一の搬送機構からなる収納繰出ユニット部分を景品の払出動作からの切り離しの対象とする代わりに、一の景品収納ユニットおよびこれに対応する一の景品搬送部からなる収納繰出ユニット自体(すなわち、レーン自体)を景品の払出動作からの切り離しの対象としてもよい。この場合は、一の搬送機構において景品の詰まり等が発生した場合に、この搬送機構を含むレーン自体が景品の払出動作の対象から切り離されることとなる。
また、本発明による景品払出機の更に他の実施の形態につき、図19により説明する。図19は、更に他の実施の形態における景品払出機において景品の一連の払出動作が行われる際における店側表示部の表示内容の推移および景品払出機の保守員へのメール内容を示す図である。
この実施の形態における景品払出機においては、制御部によって異常が発生している収納繰出ユニット部分以外の他の収納繰出ユニット部分の搬送機構のみを駆動させるよう運転の切り換えが行われたときに、電気通信回線により景品払出機の外部にこのことを報知する報知部を更に備えている。具体的には、異常が発生している収納繰出ユニット部分が景品の払出動作の対象から切り離されたときには、報知部が自動的に保守会社や保守員のパソコン、携帯電話等にメールにより通報を行うようになっている。この際に、メールには詳細なエラー情報が記載されることとなる。なお、この報知は、景品払出機の報知部から直接報知するのみならず、景品管理装置やターミナルコントローラ等の上位機を介して間接的に報知を行うようになっていてもよい。
次に、上述のような景品払出機の動作について、とりわけ、このような景品払出機の一連の動作における、制御部による制御、店側表示部における表示および操作部における従業員等による操作等について図19を参照して説明する。
まず、遊技施設の営業前において、店側表示部には図19(a)に示すような切離操作時の連絡先の設定場面が表示される。具体的には状態表示が〔設定〕となる。ここで、従業員が例えば操作部により連絡先、具体的にはメンテナンス用メールアドレスと入力すると、このことが店側表示部に表示されるとともに制御部においてこのことが認識されることとなる。
次に、遊技施設の営業中において、景品払出機の通常運転時には、店側表示部における表示は図19(b)(c)に示す通りとなる。この表示は、図17(a)(b)による表示と略同一であるため、その説明については省略する。
ここで、例えば第3レーンの奥側のカセットに対応する搬送機構等において景品の詰まりが発生した場合は、異常発生検知機構によりこのことが検知されることとなる。この場合、景品払出機の動作が停止される。このときに、店側表示部には、図19(d)に示すように、様々な異常状態に関する情報が表示される。更に、店側表示部の下部には「エラー解除復帰:〔エラー解除〕、エラー箇所切離し:〔切離し〕」というメッセージが表示される。
このような図19(d)に示す表示の後、当該搬送機構およびこれに対応するカセットからなる収納繰出ユニット部分を景品の払出動作の対象から切り離したほうがよいと従業員が判断した場合は、このような異常が発生している収納繰出ユニット部分を実際に景品の払出動作の対象から切り離すような操作が行われる。具体的には、図19(d)に示すような内容が店側表示部に表示されているような状態で、従業員が操作部の切離ボタンを押すと、図19(e)に示すように、〔エラー〕という状態表示、および「レーン3 繰出部Bを切離して休止状態にします。/レーン3 繰出部Bからの払出しはできなくなりますが、よろしいですか?」というメッセージが店側表示部に表示され、さらに、「はい:〔確定〕、いいえ:〔取消〕」という選択肢が従業員に示されることとなる。ここで従業員が操作部における「確定」のボタンを押すと、制御部は自動的に異常が発生している収納繰出ユニット部分を景品の払出動作の対象から切り離す。この際に、図19(f)に示すように、制御部により景品の払出動作の対象から切り離されたカセットは、「休止」と表示されることとなる。同時に、図19(g)に示すように、保守員の携帯電話に、件名が「景品払出機トラブル」となっているメールが報知部から送信される。このメールの内容は、景品払出機の故障等のトラブルに関する詳細な情報、具体的には例えば店名、機種、号機、時系列別の各種エラー内容となる。
その後、保守員はメールの内容を確認するために遊技施設に連絡を行う。そして、景品払出機に故障等のトラブルが発生したことを確認した後、保守員は交換部品を用意して遊技施設に移動し、景品の払出動作から切り離された箇所の修理を行う。
以上のようにこのような実施の形態の景品払出機によれば、制御部によって異常が発生している収納繰出ユニット部分以外の他の収納繰出ユニット部分の搬送機構のみを駆動させるよう運転の切り換えが行われたときに、報知部によってメール等の電気通信回線により景品払出機の外部、具体的には例えば保守会社や保守員にこのことを報知するようになっている。このことにより、保守員は遊技施設の従業員から景品払出機の故障等のトラブルに関する情報を直接聞かなくとも、このトラブルに対処することができるようになる。とりわけ、遊技施設においては夜間に保守員により景品払出機のメンテナンスが行われるが、従業員が遊技施設で勤務を行う時間は昼間であるため、両者の勤務時間が異なることとなり従来の景品払出機では従業員から保守員への連絡がスムーズに行われない場合があったが、上述の景品払出機においては縮退運転が行われた後に保守員は切り離された収納繰出ユニット部分の補修を報知部から報知された情報に基づいて確実かつ容易に行うことができるようになる。
なお、この実施の形態においても、制御部は、一のカセットおよびこれに対応する一の搬送機構からなる収納繰出ユニット部分を景品の払出動作からの切り離しの対象とする代わりに、一の景品収納ユニットおよびこれに対応する一の景品搬送部からなる収納繰出ユニット自体(すなわち、レーン自体)を景品の払出動作からの切り離しの対象としてもよい。この場合は、一の搬送機構において景品の詰まり等が発生した場合に、この搬送機構を含むレーン自体が景品の払出動作の対象から切り離されることとなる。
本発明による景品払出機の更に他の実施の形態について以下に説明する。図1乃至図16に示す景品払出機1は景品Pを遊技客側に払い出すものであるが、本発明による景品払出機はこのような例に限定されることはなく、景品Pを従業員側に払い出すような構成となっていてもよい。具体的には、例えば図7に示すような景品払出機1に対して、操作部14および店側表示部16の位置と、客側表示部18の位置とを交換し、本体扉12の取り付け方向を変えることにより、景品Pを従業員側に払い出すような景品払出機が構成される。
また、景品搬送部の搬送機構としては循環ベルトを有するものに限定されることはなく、搬送機構がトラバースカム方式によりそれぞれ対応する各カセットから景品を景品一時保留部に搬送するようになっていてもよい。
また、景品払出機において一つのレーンに設置されるカセットおよび搬送機構の数がそれぞれ2つであることに限定されることはなく、一つのレーンに3つ以上のカセットおよび搬送機構が設置されていてもよい。この場合、各々のカセットに対応して搬送機構が同数配設されることとなる。
また、本発明による景品払出機は、図1乃至図16に示すような卓上型の景品払出機に限定されることはなく、据置型の景品払出機であってもよい。具体的には、このような据置型の景品払出機は複数の投出ユニットを備えており、各投出ユニットは、景品を積層状態で収納する一または複数のカセットを有しており、各カセットに収納された景品は上から順に繰り出されるようになっている。この際に、景品はカセットから直接繰り出されるのではなく、リフト機構等により一旦上方に持ち上げられてから繰り出されるようになっている。さらに、一時的に保留された景品はエレベータ機構等により更に上方に持ち上げられてから遊技者が取ることができるようになっている。