以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
[1]景品払出システムの構成
図1は、遊技施設内に設けられた景品払出システムの構成を示している。
景品払出システムは、1または複数の景品管理機(POS端末)100と、各景品管理機100に接続された1または複数の景品払出機1から構成されている。この例では、景品管理機100は複数設けられている。各景品管理機100には、景品管理機100毎に異なる識別番号(管理機番号)が付けられている。各景品払出機1には、景品払出機1毎に異なる識別番号(払出機番号)が付けられている。
複数の景品管理機100は、1台の親機(1号機)100_Mと、他の子機(2号機等)100_Sとから構成されている。各子機100_Sは、親機100_Mに接続されている。親機100_Mの上位に、遊技施設内の機器全体を管理する管理コンピュータ150が配置されている。景品管理機100および景品払出機1は景品カウンタに設置される。管理コンピュータ150は事務所に設置される。
各景品管理機100には、この例では、最大2台まで、景品払出機1を接続できるようになっている。景品払出機1は、景品を払出す景品払出機能、カセット単位で景品数を計数する計数機能、景品払出機1内の景品在庫を管理する在庫管理機能および景品管理機100と通信する通信機能を備えている。
景品管理機100は、景品払出機1を制御する。各景品管理機100は、自己の配下にある景品払出機1と通信を行う機能を備えている。また、子機100_Sは、親機100_Mと通信する機能を備えている。また、親機100_Mは、各子機100_Sや管理コンピュータ150と通信する機能を備えている。
景品払出機1で取り扱われる景品は、遊技施設において遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数に応じて交換される有価カード体で特殊景品とも呼ばれる。図5(b)に示すように、この景品2は、一般的に、1〜数mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。景品2には、所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、たとえば、100円(小景品)、500円(中景品)、1000円(大景品)、5000円(特大景品)といった金銭価値に応じた4つの種類が存在する。
遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を、遊技施設内に設置された図示しない計数機に投入すると、投入された遊技媒体の計数が行われ、計数結果を表すバーコードが印字されたレシート(記録媒体)が計数機から発行される。なお、このようなレシートの代わりに、計数結果が磁気記録された磁気カード、計数結果が記録されたICチップを備えたICカード等の記録媒体を発行するようにしてもよい。また、遊技客所有の携帯型電話機に計数結果を保存したり、遊技客所有の携帯型電話機から当該電話機を特定するためのIDを読み取り、読み取ったIDに関連して計数結果を景品管理機等に保存するようにしてもよい。
計数機によって発行されたレシートを遊技客が景品カウンタに持参すると、係員はそのレシートにバーコード記録されている計数結果(遊技媒体数)を景品管理機100に読み取らせる。景品管理機100は、読み取った計数結果に基づいて、払い出すべき景品の種類および枚数を決定する。そして、決定した景品種類毎の払出枚数を含む景品払出コマンドを、その配下にある1つの景品払出機1に送信する。景品払出機1は、景品管理機100から送られてきた景品払出コマンドにしたがって、景品を払い出す。係員は、景品払出機1から払い出された景品を遊技客に手渡す。遊技客は、受け取った景品を景品交換所に持参し、景品交換所にて景品に相当する価値で買い取ってもらう。
[2]景品払出機1の機構
[2−1]全体構成
図2は、景品払出機1を前側(係員が操作する側)から見た斜視図である。
図2を参照して、景品払出機1から景品の払い出しを受ける客は、景品払出機1の後側(図2における奥側)に位置し、係員は、景品払出機1の前側に位置して接客を行う。
景品払出機1は、その外郭をなす略直方体形状のキャビネット3と、キャビネット3に収容される複数(この例では、4つ)の景品払出ユニット5(後述する図3参照)とを備えている。これらの4つの景品払出ユニット5を区別する場合には、景品払出機1の前側(図2における手前側)から見て、最も左側のユニットから順に、第1ユニット、第2ユニット、第3ユニット、第4ユニットということにする。各景品払出ユニット5には、複数のカセット4(後述する図5参照)が収納される。各カセット4には、複数の景品2が上下方向に積み重ねられた状態で収納される。
複数の景品払出ユニット5は、幅方向に並んだ状態でキャビネット3内に収容される。各景品払出ユニット5内には、横方向2列に4個ずつ、合計で8個のカセット4が配置されている。従って、キャビネット3内には、横方向8列に4個ずつカセット4が配置される。このような景品払出機1では、全体で、多種類の景品2を多量に収納することができるとともに、多種類の景品2を一度に払い出すことができる。
キャビネット3の前面側には、扉6が設けられている。扉6を開くことで、景品払出ユニット5をキャビネット3から引き出すことができる。キャビネット3には、扉6が閉鎖状態にあるか開放状態にあるかを検知するための扉開閉検知器205(図13参照)が設けられている。
キャビネット3の上面には、表示部7が設けられている。表示部7は、客用表示部7Aと、係員用表示部7Bとを含んでおり、それぞれの表示部には、必要な情報が表示される。また、係員用表示部7Bには、景品払出機1の動作を制御するために操作される操作部207(図13参照)が設けられている。操作部207は、例えば、タッチパネルから構成される。
キャビネット3の上面における表示部7より後側において、各景品払出ユニット5の上方位置には、前述したカセットの各列に対応して、8個の払出口8が形成されている。8つの払出口8は、幅方向に並んでいる。各払出口8は、キャビネット3の内部に上から連通している。また、各払出口8には、シャッタ9が設けられている。シャッタ9は、前後にスライドすることによって、払出口8を開閉する。図2では、シャッタ9が払出口8を閉じた状態が示されている。
また、図2には一部しか示されていないが、景品払出機1には、カセット4(図5参照)に収納された景品2を払い出すために、第1搬送部10と、第2搬送部11と、保留部12と、リフト部13と、送出部14とが備えられている。
景品払出機1における景品2の大まかな払い出し手順として、まず、第1搬送部10が、カセット4(図5参照)に収納された景品2から、所定の払出枚数に相当する景品群を分離して、上方へ搬送する。次いで、第2搬送部11が、上方に搬送された景品2(景品群)を払出口8側へ向けて略水平に搬送する。そして、保留部12が、搬送された景品2を払出口8の下方で保留する。その後、リフト部13が、保留された景品2を払出口8へ向けて持ち上げる。最後に、送出部14が、払出口8まで持ち上げられた景品2をキャビネット3の上面に押し出す。ここで、シャッタ9と、シャッタ9をスライドさせる構成とが、上述した送出部14に含まれる。このようにして、景品払出機1内に収納された景品2が払出口8から払い出される。
これらの構成(第1搬送部10、第2搬送部11、保留部12、リフト部13および送出部14)は、以下で景品払出ユニット5を説明する際に、個別に説明される。
[2−2]景品払出ユニット
図3は、右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の斜視図である。
図3に示すように、各景品払出ユニット5は、左右方向においてやや薄い中空のボックス形状である。景品払出ユニット5は、その上下方向における略6分の5の部分をなす下ユニット20と、下ユニット20の上側に配置される上ユニット21とを含んでいる。
また、景品払出ユニット5(詳しくは、下ユニット20)の前面(図3における手前側の面)には、ハンドル26が設けられている。ハンドル26は、上述したように景品払出ユニット5をキャビネット3(図2参照)から引き出す際に、把持される。
図4は、右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の分解斜視図である。
図4に示すように、下ユニット20と上ユニット21とは、分離可能である。具体的には、上ユニット21は、キャビネット3(図2参照)側に固定されており、景品払出ユニット5では、ハンドル26を把持することで、下ユニット20だけをキャビネット3から引き出すことができる。
以下では、下ユニット20と上ユニット21とを個別に説明する。
[2−2−1]下ユニット
下ユニット20は、その外郭をなす下ケーシング22と、8つのカセットホルダ23(図4では右側4つのカセットホルダ23が現れている。)と、8つのカセット4(図4では8つのカセット4のうちの1つが下ユニット20の上方に配置された状態で示されている。)と、4つの搬送機構24(図4では図示されず、図3を参照)とを含んでいる。カセットホルダ23、カセット4および搬送機構24は、常態では、下ケーシング22内に配置されている。ここで、搬送機構24が、上述した第1搬送部10を構成している。
上述したように下ユニット20がキャビネット3(図2参照)から引き出されることで下ユニット20と上ユニット21とが分離された状態(図4に示す状態)では、下ケーシング22の上面が開放されている。
(1)カセットホルダ
8つのカセットホルダ23は、前後(図4における手前側と奥側とを結ぶ方向)に4つ、左右に2つ並ぶように配置されている。各カセットホルダ23は、垂直方向に延びる4本の保持レール25を含んでいる。4本の保持レール25は、上方から見て四角形の4つの角をなすように、配置されている(右側手前のカセットホルダ23を参照)。
(2)カセット
図5は、カセット4を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、景品2が1枚も収納されていない状態を示し、(b)は、複数枚の景品2が収納された状態を示している。図5に示すように、各カセット4は、上下方向に長手であり、その平断面は、図5では、右側が切り欠かれた略コ字形状をなしている。カセット4において、上面は、景品2をカセット4内に収容するために開放されている一方で、底面は、カセット4に収容された景品2がカセット4から落下しないように、塞がれている。
図5におけるカセット4の右面は、上述した略コ字形状の平断面をなすべく、上下方向における全ての範囲に亘って連続して開放されており、このように開放された部分を開放部28という。開放部28は、カセット4において開放された上面に対して連続している。
カセット4の前面および後面には、カセット4の内側へ凹みつつ、上下に延びる溝29が1つずつ形成されている。また、図5におけるカセット4の左面には、溝29が、前後に間隔を隔てて2つ形成されている(図5では図示されておらず、図4において単独で示されたカセット4の右面を参照)。これらの溝29は、後述するようにカセット4が下ケーシング22に装填される際に、カセット4の装填をガイドするためのものである。
カセット4の上端には、ハンドル30が取付けられている。ハンドル30は、前後に間隔を隔てる2つの遊端部を有する略U字形状である。ハンドル30において、前側の遊端部30Aは、カセット4の前面において溝29より上側の部分によって支持されており、後側の遊端部(図示されていない)は、カセット4の後面において溝29より上側の部分によって支持されている。これにより、ハンドル30全体は、カセット4の上端によって回動自在に支持されている。そのため、ハンドル30を適宜回動させることでハンドル30を良好に掴み、カセット4をぶら下げた状態で移動させることができる。
カセット4は、図5(b)に示すように、所定の種類の複数枚の景品2を、上下方向に沿って積み重ねた積層状態で、(厚さ3mmの景品の場合は)最大でたとえば100枚程度収納することができる。この状態で、積層状態にある景品2は、カセット4の底壁4Aに載置されている。
景品2が収納されたカセット4は、図4に示すように、開放された下ケーシング22の
上面を介して、下ケーシング22に対して上から装填され、対応するカセットホルダ23によって保持される。詳しくは、カセット4の装填に伴い、各カセット4の4つの溝29(図5も参照)に、対応するカセットホルダ23の4本の保持レール25が外側から嵌り込み、カセット4は、4本の保持レール25によって外側から囲まれることで位置決めされる。このように、カセット4は、対応するカセットホルダ23によって保持される。
ここで、下ケーシング22において、カセットホルダ23は、左右に2つ並ぶように配置されているので、左右に並ぶカセットホルダ23のそれぞれに保持されたカセット4は、左右に並んで配置される。このとき、左右に並んで配置された2つのカセット4のうち、左側のカセット4の開放部28と、右側のカセット4の開放部28とが水平方向において対向している。つまり、各カセット4は、その開放部28が下ケーシング22の幅方向中央を向くように、下ケーシング22に装填されている。
(3)搬送機構
図3を参照して、上述した4つの搬送機構24は、下ケーシング22内において、前後に並んで配置されている(図3では1つの搬送機構24が図示されている。)。各搬送機構24は、下ケーシング22内において左右に並ぶカセットホルダ23(換言すれば左右に並ぶカセット4)の間に配置されている(後述する図8参照)。
図6は、搬送機構24を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、搬送ユニット32が下限位置にある状態を示し、(b)は、搬送ユニット32が上昇途中にある状態を示している。
図6(a)に示すように、各搬送機構24は、垂直方向に延びる支持レール31と、搬送ユニット32と、モータ(搬送ユニット移動用モータ)33とを含んでいる。
搬送ユニット32は、支持レール31によって上下方向へスライド自在に支持されている。この状態で、搬送ユニット32は、搬送機構24の左右両側にあるカセットホルダ23のいずれか一方に装填されたカセット4の開放部28(図5参照)に対して水平方向から対向している(図8参照)。
モータ33は、支持レール31の下端に固定されている。モータ33が駆動されると、モータ33の駆動力が、ベルトやチェーンなどの伝達部材を介して搬送ユニット32に伝達され、搬送ユニット32が、支持レール31に支持された状態で、上下方向へスライドする。これにより、図6(b)に示すように、搬送ユニット32は、カセット4に収納された景品2を、カセット4の開放部28(図5参照)から取り出し、上方へ搬送することができる。ここで、上限近傍にあるときの搬送ユニット32の位置を待機位置という。
また、搬送機構24は、垂直方向に延びる支持レール31を中心として、回動することができる。これにより、図6の姿勢を基準として、右前に向いていた搬送ユニット32が、搬送機構24が180°回動することによって、左後へ向く(図示されていない)。搬送機構24の回動については、以降で再度説明する。
図7A〜図7Fは、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
ここで、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する手順を説明する前に、図7A〜図7Fを参照して、搬送ユニット32の計数機能および搬送機能について説明する。
なお、図7A〜図7Fを参照するにあたって、搬送ユニット32は、搬送機構24に対して左側に位置するカセット4の開放部28に対して、右から対向しているものとし(後
述する図8(d)参照)、このときの搬送ユニット32の姿勢を基準として、搬送ユニット32における左右の向きを特定する。そのため、図7A〜図7Fに示す状態とは異なり、搬送ユニット32が、搬送機構24に対して右側に位置するカセット4の開放部28に対して左から対向している場合には(後述する図8(a)〜(c)参照)、搬送ユニット32における左右の向きは、図7A〜図7Fを参照したときとは逆になる。
搬送ユニット32の機能には、上述した景品2を搬送する機能(搬送機能)だけでなく、各カセット4内の景品2の枚数を計数する機能(計数機能)も含まれている。さらに、この搬送機能によれば、単にカセット4内の景品2を1枚ずつ搬送するのではなく、景品2を必要枚数分まとめて搬送することができる。
(3−1)計数機能
搬送ユニット32は、図7Aに示すように、略ボックス形状のフレーム35(図6(a)も参照)を備え、さらに、計数機能に関連して、揃え部36とセンサ37とを備えている。揃え部36およびセンサ37は、カセット4に積層状態で収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60を構成する。
また、上述したように搬送ユニット32が上下方向(カセット4における景品2の積層方向)へスライド自在であることから、搬送ユニット32に備えられた揃え部36およびセンサ37(計数部60)は、上下方向に相対変位可能である。
揃え部36は、フレーム35に一体的に設けられた略台形状のリブであり、フレーム35の幅方向外側(図7Aでは左側)へ向けて上下に狭くなるように突出している。揃え部36の左端部は、図7Aにおけるフレーム35の左面(搬送機構24に対して左側に位置するカセット4の開放部28(図5参照)に対向する面であり、対向面35Aという。)よりも左側(カセット4側)へはみ出ている。
センサ37は、揃え部36と上下方向において一致する位置において、フレーム35の対向面35Aに取り付けられている。センサ37は、いわゆる反射型の光学センサであり、赤外線LED等から構成される発光素子(図示せず)と、発光素子(図示せず)から発光された光のうち、検知物に当たって反射した光を受ける受光素子(図示せず)とを備えている。
搬送ユニット32は、揃え部36およびセンサ37(計数部60)を備えることで、カセット4内に収納された景品2の枚数を数えることができる。景品2の計数は、景品払出機1または景品払出ユニットに備えられた制御部200(図13参照)によって、搬送機構24の駆動装置201(図13参照)および光学センサ37が制御されることにより、実行される。
計数が実行されるのにあたって、まず、搬送ユニット32の対向面35Aが、カセット4に積層状態で収納された景品2の側面(図7Aでは右面)2Aに対してカセット4の開放部28を介して右側から対向した状態で、搬送ユニット32が、上述した待機位置から下方へスライドする。ここで、カセット4に積層状態で収納された全ての景品2の(右)側面2Aをまとめて積層側面2Bという。搬送ユニット32が下方へスライドする際、揃え部36が、カセット4に積み重ねられた景品2に対して、上側の景品2から順に、カセット4の開放部28を介して右側から接触する。これにより、景品2は、上側の景品2から順に、カセット4の左壁の内面へ押し付けられていく。このとき、センサ37は、積層側面2Bに対して、所定の間隔を隔てて右側から対向している。
そして、揃え部36が全ての景品2に接触し終え、さらに、センサ37が最下位にある景品2より低い位置に到達するまで搬送ユニット32が下方へスライドすると、カセット
4において上下に隣り合う景品2の右縁は、揃え部36によって、上下方向に沿って直線状に並ぶように揃えられる。
なお、揃え部36と似た形状を有する揃え部38が、図7Aにおけるフレーム35の右面(搬送機構24に対して右側に位置するカセット4の開放部28に対向する面)に設けられている。そのため、搬送ユニット32が上下にスライドする際には、搬送機構24に対して左右の両側に位置する2つのカセット4のそれぞれにおける景品2の幅方向における縁が、対応する揃え部36または38によって一度に揃えられる。ここで、揃え部36および38が景品の縁を揃える動作は、対応するカセット4が下ケーシング22に装填されたときに行なわれてもよい。
景品2の縁が揃えられた後、搬送ユニット32は、待機位置へ向けて上方ヘスライドする。搬送ユニット32の上方へのスライドに伴い、計数部60のセンサ37が、上述した景品2の積層側面2Bに対して所定の間隔を隔てて右側から対向した状態で上昇する。
センサ37が上昇している最中において、センサ37では、発光素子(図示せず)が、下側の景品2から順に、景品2の(右)側面2Aに向けて投光し、この景品2の側面2Aで反射される反射光が受光素子(図示せず)に受光される。ここで、上下に隣り合う景品2の側面2Aの境界Xに発光素子(図示せず)からの光が当てられた場合、景品2の側面2Aに光が当てられる場合と比べて、受光素子(図示せず)が受光する反射光の量(受光量)が変化する。
そのため、センサ37において、受光素子(図示せず)での受光量が変化する毎に、搬送ユニット32は、景品2が1枚あるとカウントする。そして、同様の手順により、搬送ユニット32は、下側の景品2から順に1枚ずつ景品2をカウントして景品2の枚数を数え、待機位置に戻ったときには、全ての景品2の計数を完了する。
このように、この景品払出ユニット5には、カセット4に収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60が含まれている。そのため、この景品払出ユニット5を収容する景品払出機1(図2参照)では、カセット4に何枚の景品2が収納されているのかを把握することができる。
なお、各カセット4において上下に積層された景品2の計数結果は、各カセット4に収納された各景品2の上下方向における位置情報(つまり、上からN番目の景品2は上下方向においてどの位置にあるかという情報)を含んでいると言える。
(3−2)搬送機能
搬送ユニット32は、搬送機能に関連して、フレーム35に、爪40(図6(a)も参照)と、支持レバー41と、めくりローラ42と、押えレバー43と、カム44と、リンクレバー45と、モータ(景品分離用モータ)46とをさらに備えている。爪40、支持レバー41、めくりローラ42、押えレバー43、カム44、リンクレバー45およびモータ46は、分離搬送部70(分離搬送手段)を構成している。
爪40は、前後方向(図7Aの紙面に垂直な方向)において間隔を隔てて一対設けられている(図6(a)も参照)。各爪40は、カセット4の景品2側(左側)へ略水平に突出する突出部40Aと、突出部40Aの突出方向上流側(右側)の端部から下向きに延びて下端部が右側に折り曲げられた延設部40Bとを一体的に備えている。
支持レバー41は、2本で1組をなしており、一対の爪40と同様に、前後方向において間隔を隔てて一対(2組)設けられている。各組における2本の支持レバー41は、左右に並ぶように配置されており、図7Aの状態では、ともに、右上側へ向けて傾斜して延
びている。各支持レバー41の下端部は、フレーム35によって支持されている。これにより、各支持レバー41は、それぞれの下端部を中心として回動自在である。支持レバー41の回動軸は、前後方向に沿って延びている。そして、各支持レバー41の上端部は、前後方向で同じ側にある爪40の延設部40Bの下端部に接続されている。この状態で、各支持レバー41の上端部は、対応する爪40の延設部40Bに対して回動可能である。
支持レバー41が下端部を中心に回動することで、一対の爪40は、カセット4の景品2の積層側面2Bから右側へ離れてフレーム35の対向面35Aより右側にある退避位置(図7Aおよび図7B参照)と、突出部40Aのほとんどが対向面35Aより左側にあり、景品2の積層側面2Bよりも左側へ進出した進出位置(図7F参照)との間で、略水平方向に沿って進退することができる。
詳しくは、支持レバー41が、下端部を中心として図7Aにおける時計回りの方向における限界まで回動したときに、爪40は、退避位置にあり、支持レバー41が、下端部を中心として反時計回りの方向における限界まで回動したときに、爪40は、進出位置にある。爪40は、図示しない付勢部材によって、進出位置へ向かう方向へ付勢されており、これに応じて、支持レバー41は、下端部を中心とする反時計回りの方向へ付勢されている。
めくりローラ42は、フレーム35の対向面35Aの上端に配置されており、フレーム35によって支持されている。めくりローラ42は、前後方向に延びる軸を中心として回転自在である。めくりローラ42の外周面の一部(左端部)は、フレーム35の対向面35Aよりも左側(カセット4側)へはみ出ている。めくりローラ42の回転軸は、爪40の突出部40Aに対して僅かに高い位置にある。
押えレバー43は、上向きに延びており、上側へ向かうのに従って細くなっている。押えレバー43は、上側へ向かうのに従って、フレーム35の対向面35Aから左側へ露出され、カセット4の景品2の積層側面2B側(左側)へ若干傾いている。押えレバー43の上下方向途中には、前後方向に延びる支持軸43Aが挿通されている。支持軸43Aは、フレーム35によって支持されている。これにより、押えレバー43は、支持軸43Aを中心として、支持軸43Aに対して揺動自在である。押えレバー43は、その上端部が景品2の積層側面2Bへ接近するように(左側へ向かうように)、図示しない付勢部材によって付勢されている。
押えレバー43で景品2の積層側面2Bに対向しない右縁において、支持軸43Aより下側の部分には、左側へ略V字状に窪む切欠き43Bが形成されている。
カム44は、押えレバー43の切欠き43Bの近傍(詳しくは切欠き43Bの右側)に配置されている。カム44は、前後方向に延びてフレーム35によって回転自在に支持された筒部44Aと、筒部44Aの外周面の周上1箇所において、筒部44Aの径方向外側へ突出する凸部44Bとを一体的に備えている。
図7Aでは、カム44の凸部44Bが、左側を向いており、押えレバー43の右縁における切欠き43Bより下側の部分に対して右側から接触している。これにより、押えレバー43の上端部が景品2の積層側面2Bへ接近する方向へ押えレバー43が揺動しようとすることが規制されている。そして、この状態では、押えレバー43は、景品2の積層側面2Bに対して所定距離だけ右側に位置している。
リンクレバー45は、前後方向において間隔を隔てて一対設けられている。リンクレバー45は、カム44の下方かつ、前後方向で同じ側にある支持レバー41よりも景品2に
近い側(左側)に配置されている。リンクレバー45の長手方向一端部には、前後方向に延びる支持軸45Aが挿通されている。支持軸45Aは、フレーム35によって回転自在に支持されている。これにより、リンクレバー45は、支持軸45Aを中心として、支持軸45Aとともに回転自在である。そして、リンクレバー45の長手方向他端には、前後方向に突出するボス45Bが一体的に設けられている。
図7Aでは、ボス45Bが、支持軸45Aより右側にあり、前後方向で同じ側にある1組の支持レバー41(詳しくは左側の支持レバー41)に対して、左側(カセット4の景品2側)から当接して支持レバー41を位置決めしており、これにより、爪40が退避位置に位置決めされている。
モータ46は、たとえば、リンクレバー45より高い位置に配置されている。モータ46の出力軸46Aは、前後方向に延びている。
そして、モータ46の出力軸46Aと、リンクレバー45の回転軸(支持軸45A)との間には、無端状の第1ベルト47が巻回されている。リンクレバー45の回転軸と、カム44の回転軸(筒部44A)との間には、無端状の第2ベルト48が巻回されている。カム44の回転軸と、押えレバー43の揺動軸(支持軸43A)との間には、無端状の第3ベルト49が巻回されている。押えレバー43の揺動軸と、めくりローラ42の回転軸との間には、無端状の第4ベルト50が巻回されている。
モータ46が駆動されると、モータ46が発生した駆動力が、第1ベルト47、第2ベルト48、第3ベルト49、第4ベルト50を介して、リンクレバー45、カム44、めくりローラ42に対して、この順で伝達される。これにより、リンクレバー45、カム44、めくりローラ42は、図7Aにおける時計回りの方向へ回転する。一方、押えレバー43には、モータ46が発生した駆動力は伝達されない。
なお、フレーム35には、第1センサ51と第2センサ52とが設けられている。第1センサ51は、支持レバー41の位置を検知する。第2センサ52は、リンクレバー45の位置を検知する。
次に、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する手順を説明する。
まず、搬送ユニット32が待機位置(上限近傍)にあり、爪40が退避位置にある状態において、景品2を所定の払出枚数分(ここでは1枚とする。)だけ払い出すとの命令が、上述した制御部200から搬送ユニット32に下る。これにより、搬送ユニット32は、フレーム35の対向面35Aがカセット4に収納された景品2に対して右から対向した状態で、下降する(太線矢印参照)。下降に伴い、搬送ユニット32は、計数部60のセンサ37によって上述したように、積層された景品2を、上の景品2から順に計数する。
そして、搬送ユニット32は、払出枚数分(ここでは1枚)まで景品2を計数すると、図7Bに示すように、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに爪40の突出部40Aが上下方向で一致するまで、さらに下降する(太線矢印参照)。
図7Cに示すように、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに爪40の突出部40Aが上下方向で一致すると、搬送ユニット32は下降をやめて停止する。この際、モータ46が駆動され、これにより、分離搬送部70におけるめくりローラ42、カム44およびリンクレバー45が時計回りに回転(回動)し始める。
ここで、めくりローラ42では、その外周面の一部(左端部)が、払い出す景品2のう
ち最も下側にある景品2の側面(右面)2Aに接触している。そのため、めくりローラ42が時計回りに回転することによって、この景品2がめくりローラ42によってめくり上げられる。これにより、払い出す景品2と払い出さない景品2との間に、隙間Yが形成される。なお、ここでは、払い出す景品2の枚数が1枚なので、1枚の景品2がめくり上げられているが、複数枚の景品2を払い出すときには、払い出す景品2のうち最も下側にある景品2がめくりローラ42によってめくり上げられることで、複数枚の景品2全てが一塊(景品群)となってめくり上げられる。
また、このときには、カム44の回転に伴って、カム44の凸部44Bが、押えレバー43の切欠き43Bに一致する。その結果、上述したカム44の凸部44Bによる押えレバー43の揺動の規制(図7Aおよび図7B参照)が解除され、押えレバー43は、切欠き43Bがカム44の凸部44Bに近付く方向(換言すれば押えレバー43の上端部が景品2の積層側面2Bへ接近する方向)へ、揺動する。これに伴い、押えレバー43の上端部が、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側(右上側)から押える。これにより、めくりローラ42が、払い出す景品2をめくり上げても、その景品2の真下にある払い出さない景品2までもがめくり上げられることはない。
そして、図7Dに示すように、引き続きモータ46が駆動されることで、めくりローラ42がさらに時計回りに回動すると、払い出す景品2がさらにめくり上げられ、払い出す景品2と払い出さない景品2との隙間Yが上下に大きくなる。なお、このときも、押えレバー43は、その上端部において、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側から押えている。
また、上述したようにリンクレバー45が時計回りの方向へ回転(回動)することによって、支持レバー41に対して左側(カセット4の景品2側)から当接していたボス45Bは、支持レバー41に当接した状態を保ちつつ、時計回りの方向へ回動しながら、カセット4の景品2側(左側)へ移動する。なお、支持レバー41においてボス45Bに当接される部分(左縁)は、ボス45Bが円滑に回動できるように、ボス45Bの回動軌跡に沿って湾曲している。
そして、支持レバー41は、上述したように下端部を中心とする反時計回りの方向へ付勢されているので、リンクレバー45のボス45Bが左側へ移動するのに伴い、反時計回りの方向(左側)へ移動する。これに伴い、リンクレバー45に連結された爪40も左側へ移動する。ここで、爪40の突出部40Aは、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに上下方向で一致しているので(図7Cも参照)、爪40が左側へ移動するのに伴い、境界Xから、上述した隙間Yに進入し、払い出す景品2と払い出さない景品2とを分離し始める。
その後、引き続きモータ46が駆動されることで、リンクレバー45がさらに時計回りに回動すると、リンクレバー45のボス45Bが、一瞬、支持レバー41に対して左側へ外れる。これにより、支持レバー41は、反時計回りの方向(左側)へ一気に回動し、これに伴い、爪40の突出部40Aが、上述した隙間Y内を左側へ一気に移動する。
その後、一瞬支持レバー41から外れたリンクレバー45のボス45Bが、図7Eに示すように、支持レバー41に対して、再び左側から当接し、これにより、支持レバー41の回動および爪40の移動が停止する。このとき、爪40は、上述した進出位置にある。
つまり、リンクレバー45のボス45Bが、一瞬、支持レバー41に対して左側へ外れたときに、爪40は、一瞬で進出位置に到達する。なお、爪40が進出位置にないときには支持レバー41が第1センサ51に一致している一方で(図7A〜図7D参照)、爪4
0が進出位置にあるときには支持レバー41が第1センサ51から離れるので(図7Eおよび図7F参照)、第1センサ51は、支持レバー41が離れるのに応じて、爪40が進出位置に到達したことを検知する。
進出位置に到達した爪40は、払い出す景品2をすくい上げることで、払い出す景品2と払い出さない景品2とを完全に分離し、払い出す全て(ここでは1 枚だけ)の景品2は、爪40の突出部40Aに載置される。なお、このときも、押えレバー43は、その上端部において、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側から押えている。また、払い出す全ての景品2が爪40の突出部40Aに載置されるときには、モータ46の駆動が停止している。
このように払い出す景品2と払い出さない景品2とが完全に分離された後、図7Fに示すように、搬送ユニット32は、待機位置に向かって上昇する(太い実線矢印参照)。これにより、搬送ユニット32の爪40の突出部40Aに載置された全ての景品2は、搬送ユニット32とともに上昇する(図6(b)も参照)。つまり、搬送ユニット32(詳しくは分離搬送部70)は、払い出す枚数の景品2を上方へ搬送する。
なお、爪40の突出部40Aに載置された景品2が、客に払出されると(詳しくは、後述する図9に示すように上ユニット21側に受け渡されると)、モータ46が再び駆動される。
これにより、カム44が時計回りに回動し(このとき、カム44は1回転を終えたことになる。)、カム44の凸部44Bが、図7Aに示すように、再び左側を向き、押えレバー43の右縁における切欠き43Bより下側の部分に対して右側から接触する。これにより、押えレバー43は、景品2の積層側面2Bに対して所定距離だけ右側に位置した状態(景品2に接触しない状態)で位置決めされる。
また、リンクレバー45が、図7Fに示す状態から時計回りの方向へ回動することにより、ボス45Bが、支持レバー41に左側から当接した状態で、景品2の積層側面2Bから離れる方向(右側)へ移動する。この際、支持レバー41は、ボス45Bに押されることで時計回りの方向(右側)へ回動し、これに伴い、爪40は、右側へ移動して、リンクレバー45の回動が停止したとき(このとき、リンクレバー45は1回転を終えたことになる。)には、図7Aに示す退避位置に戻る。
以上で説明した場合(第1の場合という。)では、搬送ユニット32は、計数部60によって、払い出す分(払出枚数分)だけ景品2を計数してから、払い出す景品2を、分離搬送部70によって、カセット4における残りの景品2から分離して搬送している。
しかし、搬送ユニット32が、上述したようにカセット4の全ての景品2の枚数を予め計数することで計数結果から各景品2の位置を予め把握し、その後、搬送ユニット32が、計数動作を伴わずに、単に景品2を搬送してもよい。この場合(第2の場合という。)、搬送ユニット32は、景品2を搬送するのに先立って、上述したように把握した景品2の位置情報に基づいて、払い出す景品2のところまで移動し(図7C参照)、分離搬送部70によって、景品2を分離搬送する。
ここで、いずれの場合(上述した第1の場合および第2の場合)にも、搬送ユニット32の分離搬送部70は、カセット4に収納された景品2において、計数部60(詳しくは、計数部60の計数により得られる各景品2の位置情報)を利用して、所定の払出枚数に相当する景品群を特定し(図7C参照)、特定した景品群を他の景品2から分離して上方(所定方向)に搬送している(図6(b)および図7F参照)。これにより、所定の払出
枚数の景品2を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品2を、1枚ずつ分離搬送することなく、まとめて迅速に搬送できるので(図6(b)参照)、景品2の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる。
また、上述した計数部60が搬送ユニット32に備えられているのに対し、分離搬送部70も搬送ユニット32に備えられているので、計数部60と分離搬送部70とは一体化されている。これにより、計数部60と分離搬送部70とそれぞれが単独で存在する場合に比べて、景品払出ユニット5において、景品2を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制し、景品払出ユニット5の構成を簡略化することができる。
図8は、景品払出ユニット5の模式的な正断面図である。
各搬送機構24は、下ケーシング22内において、左右に並ぶカセットホルダ23(左右に並ぶカセット4)の間に配置されている。
そして、搬送機構24の搬送ユニット32のフレーム35の対向面35Aは、たとえば、図8(a)に示すように、まず、右側のカセットホルダ23に装填された右側のカセット4に左から対向する。そして、上述した手順によって、右側のカセット4に収納された景品2を、払出枚数分だけ、上側の景品2から順に、上方の上ユニット21に搬送する(図8(b)参照)。
この結果、図8(c)に示すように、右側のカセット4の全ての景品2が搬送されて右側のカセット4が空になると、図8(d)に示すように、搬送機構24は、上述したように、垂直方向に延びる支持レール31を中心として180°回動する(図8(d)の太線矢印参照)。
これにより、搬送ユニット32のフレーム35の対向面35Aは、左側のカセットホルダ23に装填された左側のカセット4に右から対向し、今度は、左側のカセット4に収納された景品2を、上側の景品2から順に、上述した手順によって、分離し、上方へ搬送することができる。
このように、1つの搬送機構24は、左右のカセット4の間に配置されて、これら2つのカセット4におけるそれぞれの景品2を計数および分離搬送している。つまり、搬送機構24(一体化された1組の計数部60および分離搬送部70)とカセット4とが、1対2の関係になっており、1つの搬送機構24は、左右に並んで配置された2つのカセット4のそれぞれに収納された景品2に対して対応可能である。
[2−2−2]上ユニット
図9は、内部が露出された状態にある上ユニット21を斜め上側から見た斜視図であって、搬送機構24も一緒に示している。
次に、上ユニット21について説明する。
図9に示すように、上ユニット21は、その外郭をなす上ケーシング80と、上ケーシング80内に配置される保留ボックス81およびエレベータ82(図9には図示されず、後述する図10を参照)とを含んでいる。保留ボックス81は、受入部および搬送手段として機能する。
上ケーシング80は、前後方向に長手で上下に扁平なボックス形状である。なお、図9において、上ケーシング80の前壁および右壁は省略されている。上ケーシング80では、上面が開放されている。
また、上ケーシング80の底面には、上ケーシング80内に連通する6つの開口83が形成されている。6つの開口83は、前後に3つ、左右に2つ並ぶように形成されている。各開口83は、前後に長手の矩形状であり、特に、前後に3つ並ぶ開口83において、真ん中にある開口83は、残りの開口83よりも前後方向に2倍程度大きい。
下ユニット20がキャビネット3(図2参照)内にある状態(下ユニット20と上ユニット21とが一体化された状態であり、図3参照)では、各開口83は、対応するカセット4(図4参照)の開放された上面に対して真上から臨んでいる。
つまり、左側で前後に並ぶ3つの開口83において、最も前側の開口83は、下ユニット20において左側で前後に並ぶ4つのカセット4のうち、最も前側のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。また、左側で前後に並ぶ3つの開口83において、最も後側の開口83は、下ユニット20において左側で前後に並ぶ4つのカセット4のうち、最も後側のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。一方、前後方向で真ん中にある開口83は、前後に並ぶ4つのカセット4のうち、前から2番目および3番目のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。右側で前後に並ぶ3つの開口83についても同様である。
保留ボックス81は、左右に2つ設けられている(図9では、保留ボックス81が1つだけ図示されている。)。保留ボックス81は、左右にやや薄いボックス形状であり、その上面および底面は、開放されている。
保留ボックス81の平断面は、カセット4と同様に、略コ字形状をなしている(図5参照)。図9に示す左側の保留ボックス81では、右面が上下方向における全域において開放されており、図示されていない右側の保留ボックス81では、左面が上下方向における全域において開放されている。各保留ボックス81において、このように開放された部分を、開放部84という。開放部84は、保留ボックス81の開放された上面および底面の両方に対して連続している。
左側の保留ボックス81は、上ケーシング80の左壁によって前後方向へスライド自在に支持されており、右側の保留ボックス81(図示せず)は、上ケーシング80の右壁によって前後方向へスライド自在に支持されている。左右の保留ボックス81は、図示しないモータにより、互いに連動することなく、単独でスライドすることができる。
そして、各保留ボックス81は、前後にスライドする際に、左右方向において同じ側で前後に並ぶ3つの開口83の上方を通過する。
ここで、左側における最も前側の開口83を参照して、上述したように搬送ユニット32(分離搬送部70)が、この開口83の下方にあるカセット4(図4参照)の景品2を上方へ搬送する際、左右方向で同じ側にある保留ボックス81(ここでは左側の保留ボックス81)は、搬送される景品2の真上に位置するように移動してから、この位置で待機する。
そして、搬送ユニット32の分離搬送部70によって上方へ搬送されてきた景品2は、この景品2を収納していたカセット4の上方にある開口83(ここでは、左側における最も前側の開口83)と、待機している保留ボックス81の開放された底面とを順に通過し、保留ボックス81内に収容される。つまり、保留ボックス81は、カセット4に対して上方(上下方向における隣)に配置され、分離搬送部70が搬送してきた景品2を受け入れる。この後、搬送ユニット32は、元の位置(上述した待機位置)へ戻る。
なお、保留ボックス81内に景品2が収容されると、保留ボックス81に設けられた爪(図示せず)が、保留ボックス81内に突出し、保留ボックス81内で最も下側にある景品2に対して下から係合する。これにより、保留ボックス81内に収容された景品2が保留ボックス81の底面から落下することはない。
図10は、内部が露出された状態にある上ユニット21の斜視図であって、エレベータ82を示している。図11は、図10において、エレベータ82の伸縮機構87が伸長状態に姿勢を変えた様子を示している。
図10に示すように、エレベータ82は、上ケーシング80の底壁の前後方向略中央位置にあり、上ケーシング80の底壁において左右に隣り合う開口83の間で前後に延びる部分(リブ85という。)に上から取り付けられている。この状態で、エレベータ82は、リブ85上で前後に移動することができる。エレベータ82は、左右に間隔を隔てて配置される2枚の水平な板状のステージ86と、伸縮機構87とを含んでいる。
2枚のステージ86のうち、左側のステージ86は、左側で前後に3つ並ぶ開口83における真ん中の開口83に対して上から臨んでおり、右側のステージ86は、右側で前後に3つ並ぶ開口83における真ん中の開口83に対して上から臨んでいる。この状態で、2枚のステージ86は、連結部材88によって連結され、一体化されている。
伸縮機構87は、いわゆるパンタグラフ構造であり、図10に示すように上下に扁平な収縮状態と、上側へ伸び出た伸長状態(図11参照)とに姿勢を変えることができる。伸縮機構87では、その前後方向略中央部分(上昇部分89という。)が、伸縮機構87が収縮状態から伸長状態へ姿勢を変えるときに最も上昇する。伸縮機構87が収縮状態と伸長状態との間で姿勢を変える際、上昇部分89は、垂直方向に沿って直線的に上下する。2枚のステージ86を連結する連結部材88は、伸縮機構87の上昇部分89に上から取り付けられている。
図10に示すように伸縮機構87が収縮状態にあるときには、各ステージ86は、左右方向で同じ側にある保留ボックス81の底面よりも低い位置にある。図11に示すように伸縮機構87が伸長状態にあるときには、各ステージ86は、左右で同じ側にある保留ボックス81(図10では、左側の保留ボックス81だけが図示されている。)よりも高い位置にあり、キャビネット3の上面において左右方向で同じ位置にある払出口8(図2参照)に一致する。
ここで、上述したように保留ボックス81内に景品2が収容されると、保留ボックス81は、前後方向にスライドし、図10に示すように、左右方向で同じ側にあるステージ86の真上(換言すれば払出口8の真下)で停止する。つまり、保留ボックス81は、受け入れた景品2を所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送する。このとき、伸縮機構87は、収縮状態にある。
このように、保留ボックス81は、搬送ユニット32(図9参照)によって搬送された景品2を払出口8側へ搬送した後、搬送された景品2を払出口8の下方で保留することから、上述した第2搬送部11および保留部12として機能している。保留ボックス81により、カセット4から搬送された景品2を、払出口8へ向けて確実に搬送することができる。
なお、ステージ86の真下に位置するカセット4の景品2を払い出す場合には、ステージ86を含むエレベータ82全体が、このカセット4に対して前後のどちらかへずれる。
そして、このカセット4から搬送された景品2が保留ボックス81内に収容されると、払出口8の真下にステージ86が配置されるように、エレベータ82が元の位置に戻る。
そして、このように保留ボックス81が景品2を所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送すると、収縮状態にあった伸縮機構87が、図11に示すように、伸長状態へと姿勢を変える。これにより、保留ボックス81の真下にあったステージ86が、垂直方向に沿って上昇する。この際、このステージ86は、保留ボックス81の開放された底面を通過し、その後、保留ボックス81に収容された景品2のうち最も下側に位置する景品2の底面を下から押し上げる。これにより、保留ボックス81に収容された全ての景品2は、ステージ86に載置された状態で上昇する。
そして、伸縮機構87が伸長状態になったときには、保留ボックス81に収容されていた全ての景品2は、ステージ86によって持ち上げられ、保留ボックス81の開放された上面よりも上方へ移動する。このとき、キャビネット3の上面において左右方向で同じ位置にある払出口8(図2参照)が開放されており、保留ボックス81の開放された上面よりも上方へ移動した景品2は、開放された払出口8からキャビネット3の上面に露出される。つまり、エレベータ82は、保留ボックス81によって所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送された景品2を払出口8へ持ち上げていることから、上述したリフト部13として機能している。エレベータ82により、搬送ユニット32の分離搬送部70(図9参照)がカセット4から搬送した景品2を、景品払出機1の払出口8へ向けて確実に搬送することができる。
ここで、図2を参照して、払出口8を開閉するシャッタ9は、払出口8を開放したときには、払出口8に対して前側(係員側)にずれている(この状態は図示せず)。上述したように景品2が払出口8から露出されると、シャッタ9は、後側(客側)へスライドし、景品2を後側の客へ向けて押し出しつつ、払出口8を閉じる。この後、伸縮機構87は、収縮状態に戻る(図10参照)。
図12は、景品払出機1の模式的な側断面図である。
図12を参照して、以上で説明した本発明の景品払出機1の各景品払出ユニット5における景品2の払い出し動作をまとめる。なお、図12の太線矢印は、払い出される景品2(図5(b)参照)の流れを示している。
各景品払出ユニット5において、下ユニット20の各カセット4に収納された景品2は、必要な枚数(払出枚数)だけ分離された後、上向きへ搬送されて上ユニット21内に受け渡される。その後、上ユニット21内に受け渡された景品2は、中央位置(払出口8の真下)へ搬送される。次に、払出口8のシャッタ9が開放されるとともに、景品2が、エレベータ82によって払出口8まで持ち上げられ、最後に、払出口8を閉じようとするシャッタ9によって後側(図12における右側)に押し出され、客に払い出される。
[3]景品払出機1の電気的構成
図13は、景品払出機1の電気的構成を示している。
景品払出機1は、制御部200を備えている。制御部200は、CPU、ROM、RAMなどを備えている。制御部200は、景品払出制御、景品計数制御、景品在庫管理、景品管理機100との通信等を行う。つまり、制御部200は、景品の払出処理を実行させる払出制御部200a、景品計数処理を実行させる計数制御部200b、景品管理機100との間の通信を行なう通信制御部200c等を含んでいる。なお、この実施形態では、後述するように、景品払出機1は、在庫繰越無し運用に適したデータ処理を行なう。このために、制御部200は、後述するように、景品管理機100から集計クリアコマンド(
集計クリア指令)を受信すると、“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”を行なう。
制御部200には、搬送機構24の駆動装置201、光学センサ37、保留ボックス81の駆動装置202、エレベータ82の駆動装置203、シャッタ9の駆動装置204、扉開閉検知器205、通信部206、操作部207、客用表示部7A、係員用表示部7B、記憶部208、図示しない印字部等が接続されている。
搬送機構24の駆動装置201には、搬送ユニット32を移動させるためのモータ33や、搬送ユニット32に搭載されかつ景品を分離させるためのモータ46が含まれる。保留ボックス81の駆動装置202には、保留ボックス81を移動させるためのモータが含まれる。エレベータ82の駆動装置203には、エレベータ82を移動させるためのモータや伸縮機構87を伸縮させるためのソレノイド(またはモータ)が含まれる。シャッタ9の駆動装置204には、シャッタ9を開閉(スライド)させるためのモータが含まれる。
記憶部208として、不揮発性メモリが用いられている。記憶部208には、景品払出機1内の景品の在庫管理を行うためのテーブルが設けられている。在庫管理を行なうためのテーブルには、図14に示すように、”カセット別景品種類テーブルTA1”(図14(a))と、”カセット別在庫管理テーブルTA2” (図14(b))と、”景品種類別在庫管理テーブルTA3” (図14(c))とがある。
”カセット別景品種類テーブルTA1”(図14(a)参照)は、カセット毎にそれに収納される景品の種類が記憶されたテーブルである。具体的には、 ”カセット別景品種類テーブルTA1”には、カセット番号(カセットNo.)毎に、対応するカセットに収納される景品の種類が記憶される。
”カセット別在庫管理テーブルTA2”(図14(b)参照)は、カセット毎の”景品在庫数”等を記憶するテーブルである。具体的には、”カセット別在庫管理テーブルTA2”には、カセット番号(カセットNo.)毎に、現在庫数、前回在庫数、入庫総数、回収総数および払出総数が記憶される。入庫総数とは、1営業日において、機内に入庫(補充)された景品の総数をいう。回収総数とは、1営業日において、機内から回収(返品)された景品の総数をいう。機内から回収された景品は、業者に返品される。払出総数とは、1営業日において、機内から払い出された景品の総数をいう。
”景品種類別在庫管理テーブルTA3”(図14(c)参照)は、景品種類毎の”景品在庫数”等を記憶するテーブルである。具体的には、”景品種類別在庫管理テーブルTA3”には、景品種類毎に、在庫数、入庫総数、回収総数および払出総数が記憶される。なお、記憶部208には、在庫管理データの履歴を表すログデータが記憶される。
図15は、各カセットに割り当てられたカセット番号(カセットNo.)と、各カセットに収納される景品の種類の具体例とを示している。8列あるカセットの各列を、景品払出機1の前側(図2の手前側)から見て最も左側の列から順に、第1列、第2列、第3列、…、第8列ということにする。カセット番号は、景品払出機1の前側(図2の手前側)から見て、左側にある列ほど数字が小さくなり、かつ同じ列にあるカセット間においては前側のものほど数字が小さくなるように、各カセットに割り当てられている。この実施形態では、各カセットに、1〜32のカセット番号がそれぞれ割り当てられている。
また、この実施形態では、第1列および第2列のカセット(第1のユニット)に特大景品(5000円相当)が収納され、第3列および第4列のカセット(第2のユニット)に大景品(1000円相当)が収納され、第5列および第6列のカセット(第3のユニット
)に中景品(500円相当)が収納され、第7列および第8列のカセット(第4のユニット)に小景品(100円相当)が収納される。
[4]景品管理機100の電気的構成
図16は、景品管理機100の電気的構成を示している。
景品管理機100は、制御部300を備えている。制御部400は、CPU、ROM、RAMなどを備えている。制御部300は、配下の景品払出機1に対する景品払出制御、配下の景品払出機1に対する計数制御、配下の景品払出機1との通信を行なう。つまり、制御部300は、景品払出機1に景品の払出処理を実行させる払出制御部300a、景品払出機1に景品計数処理を実行させる計数制御部300b、配下の景品払出機1や他の景品管理機100と通信等を行なうための通信制御部300c等を含んでいる。景品管理機100が親機100_Mである場合には、制御部300は、子機100_Sとの通信や、管理コンピュータ150との通信を行う。景品管理機100が子機100_Sである場合には、制御部300は、親機100_Mとの通信を行なう。
制御部300には、通信部301、バーコード・リーダ302、印字部303、操作部304、客用表示部305、係員用表示部306、記憶部307等が接続されている。記憶部307としては、不揮発性メモリが用いられている。操作部304には、図示しないが、在庫計数ボタン、集計クリアボタン、テンキー等が設けられている。
[5]景品払出機1および景品管理機100による処理
各景品払出機1の係員用表示部7B(この例ではタッチパネル付き表示部)には、待機中においては、例えば、図17(a)、図17(b)に示すような画面が表示される。
図17(a)の画面501aは、カセット毎の景品在庫数を表示する画面である。この画面501aには、「カセット別在庫数」というタイトルと、「払出しできます。」というメッセージと、カセット毎の景品在庫数を模式的に示す図と、各種ボタンとが表示されている。カセット毎の景品在庫数を模式的に示す図は、各カセットを表すボックスと、ボックス内に表示される、景品種類(特大,大,中,小)を表す文字と、ボックス内に表示される、そのボックスに対応するカセット内の景品在庫数を表す数字と、ボックス内に表示される、景品種類を表す色とを含む。なお、景品種類を表す色は、各景品の外面の色と同一もしくは類似する色が予め設定されている。
各種ボタンには、表示切替ボタン、メニューボタン、前回取引ボタン、在庫計数ボタンが含まれる。表示切替ボタンは、現在の画面501aを、図17(b)に示す画面501bに切替えるためのボタンである。メニューボタンは、メニュー画面を表示させるためのボタンである。前回取引ボタンは、前回(直前に)行なわれた景品払出処理において払い出された景品の種類および景品数を表示するためのボタンである。在庫計数ボタンは、在庫確認指令(図19のステップS16参照)を入力するためのボタンである。
図17(b)の画面501bは、景品種類毎の景品在庫数を表示する画面である。この画面501bには、「景品在庫数」というタイトルと、「払出しできます。」というメッセージと、景品種類毎の景品在庫数と、各カセットに収納される景品の種類を模式的に示す図と、各種ボタンとが表示されている。各カセットに収納される景品の種類を模式的に示す図は、各カセットを表すボックスと、ボックス内に表示される、景品種類(特大,大,中,小)を表す文字と、ボックス内に表示される、景品種類を表す色とを含む。各種ボタンには、表示切替ボタン、メニューボタン、前回取引ボタン、在庫計数ボタンが含まれる。表示切替ボタンは、現在の画面501bを、図17(a)に示す画面501aに切替えるためのボタンである。
[6]景品管理機100による処理
図18は、景品管理機100によって実行される処理の手順を示している。なお、この
システムでは、在庫繰越モードとして、”在庫繰越有り運用”に対応した”在庫繰越有りモード”と、“在庫繰越無し運用”に対応した“在庫繰越無しモード”とを選択できるようになっている。この実施形態では、在庫繰越モードとして、“在庫繰越無し運用”に対応した“在庫繰越無しモード”が選択されているものとする。つまり、この実施形態では、景品管理機100および景品払出機1には、在庫繰越モードとして、“在庫繰越無し運用”に対応した“在庫繰越無しモード”が設定されているものとする。
景品管理機100は、レシートの読取りが行なわれたか否か(ステップS1)、操作部304上の在庫計数ボタンが押下されたか否か(ステップS2)、計数クリアボタンが押下されたか否か(ステップS3)、景品払出機1からの在庫有り通知を受信したか否か(ステップS4)等を監視している。
レシートの読取りが行なわれたときには(ステップS1でYES)、配下の景品払出機1に景品を払い出させるための景品払出制御処理を行なう(ステップS5)。つまり、景品管理機100の制御部300は、バーコード・リーダ302の読み取りデータに基づいて、遊技客が獲得した遊技媒体数を取得する。次に、制御部300は、取得した遊技媒体数に基づいて、景品種類毎の払出し枚数を決定する。そして、制御部300は、決定した景品種類毎の払出し枚数を含む景品払出コマンドを配下のうちの1つの景品払出機1に送信する。この後、制御部400は、ステップS2に移行する。
在庫計数ボタンが押下げられた場合には(ステップS2でYES)、制御部300は、在庫確認コマンドを、配下の景品払出機1に送信する(ステップS6)。集計クリアボタンが押下げられた場合には(ステップS3でYES)、制御部300は、集計クリアコマンド(集計クリア指令)を、配下の景品払出機1に送信する(ステップS7)。
後述するように、景品払出機1の制御部200は、集計クリアコマンドを受信すると、“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”を実行する(図19のステップS22参照)。景品払出機1の制御部200は、“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”において、機内に景品在庫が有るか否かを判別し、景品在庫があると判別した場合には、景品管理機100に在庫有りを通知する。景品管理機100の制御部300は、景品払出機1からの在庫有の通知を受信した場合には(ステップS4でYES)、「景品を抜き取って下さい」のメッセージを含む画面をアラーム表示する(ステップS8)。
なお、集計クリアボタンの押下に基づいて景品払出機1によって実行される“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”の詳細や、景品管理機100において前記アラーム表示が行なわれた後の動作については、後述する。
[7]景品払出機1による処理
[7−1]全体的な処理
図19は、景品払出機1によって実行される処理の手順を示している。
電源がオンされると(ステップS11でYES)、景品払出機1の制御部200は、在庫確認処理を行う(ステップS12)。この在庫確認処理は、搬送機構24の計数機能を利用して、景品払出機1内の実際の景品在庫数を計数し、在庫管理データを更新させる処理である。この在庫確認処理の詳細については、後述する。
ステップS12の在庫確認処理が終了すると、制御部200は、景品管理機100からの景品払出コマンドを受信したか否か(ステップS13)、景品払出機1の扉6が開放状態から閉鎖されたことを検出したか否か(ステップS14)、タイマ予約設定によって設定された時刻(タイマ予約時刻)となったか否か(ステップS15)、在庫確認指令が入力されたか否か(ステップS16)、景品管理機100からの在庫確認コマンドを受信し
たか否か(ステップS17)、景品管理機100からの集計クリアコマンドをしたか否か(ステップS17)を監視する。このような監視は、電源が遮断されるまで(ステップS19でYESとなるまで)、繰り返し行なわれる。
前記ステップS13の景品払出コマンドは、景品管理機100によって、レシートにバーコード記録されている遊技媒体数が読み取られたことに起因して、景品管理機100から送信されるコマンドである(図18のステップS5参照)。この景品払出コマンドには、払い出すべき景品の種類と払出枚数に関する情報が含まれる。前記ステップS14の扉6が開放状態から閉鎖されたことを検出したか否かは、扉開閉検知器205の出力に基づいて判別される。前記ステップS15のタイマ予約設定は、在庫確認処理を行なう時刻を予約設定できる機能であり、景品払出機1の操作部207を係員が操作することによって行なわれる。
前記ステップS16における在庫確認指令は、景品払出機1の待機中に、係員用表示部7Bに表示される画面(例えば図17に示す画面501a,501b)内の在庫計数ボタンが操作されることにより入力される。前記ステップS17における在庫確認コマンドは、景品管理機100の操作部304上の在庫計数ボタンが操作されることに起因して、景品管理機100から送信されるコマンドである(図18のステップS6参照)。前記ステップS18における集計クリアコマンドは、景品管理機100の操作部304上の集計クリアボタンが操作されることに起因して、景品管理機100から送信されるコマンドである(図18のステップS7参照)。
景品管理機100からの景品払出コマンドを受信したときには(ステップS13でYES)、制御部200は、景品払出処理を行う(ステップS20)。この景品払出処理は、景品管理機100からの景品払出コマンドに基づいて景品を払い出すとともに、在庫管理データを更新する処理である。景品払出処理の詳細については、後述する。景品払出処理が終了すると、ステップS14に移行する。
景品払出機1の扉6が開放状態から閉鎖されたことを検出したとき(ステップS14でYES)、現在時刻がタイマ予約時刻になったとき(ステップS15でYES)、在庫確認指令が入力されたとき(ステップS16でYES)、または景品管理機100からの在庫確認コマンドを受信したとき(ステップS17でYES)には、制御部200は、在庫確認処理を行う(ステップS21)。この在庫確認処理は、ステップS12の在庫確認処理と同じ処理である。ステップS21の在庫確認処理が終了すると、制御部200は、ステップS18に移行する。
景品管理機100からの集計クリアコマンドを受信したときには(ステップS18でYES)には、“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”を行う(ステップS22)。“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”の詳細については、後述する。“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”が終了すると、制御部200は、ステップS19に移行する。ステップS19において、景品払出機1の電源がオフでなければ、ステップS13に戻る。
ところで、開店準備時において入庫作業が行われた場合には、入庫作業が終了して扉6が閉鎖されたときに、前記ステップS21の在庫確認処理が行われるので、在庫数(入庫数)が確認される。つまり、開店準備時において空の状態から各カセットに補充された景品数は、開店時までには自動的に計数されて取得される。
営業時間中に、追加入庫(追加補充)が行われた場合には、この追加補充作業が終了して扉6が閉鎖されたときに、前記ステップS21の在庫確認処理が行われるので、追加補充作業が終了した際には、追加補充後の在庫数(入庫数)が確認される。
また、係員の交代時等においては、係員が景品払出機1または景品管理機100の操作部207,304に設けられた在庫計数ボタンを操作することにより、搬送機構24の計数機能によって自動的に計数を行うことができる(前記ステップS21の在庫確認処理参照)。このため、労力削減化および時間短縮化が図れる。
なお、係員の交代時以外の任意のタイミングにおいて、景品払出機1または景品管理機100に設けられた在庫確認ボタンを係員が操作することにより、在庫確認指令を入力したときや、電源がオンされたや、係員が予め設定したタイマ予約時刻になったときも、前記ステップS21の在庫確認処理が行われる。さらに、前回の在庫確認処理から、景品払出処理を行なった件数が所定数(たとえば、20)に達したタイミングで、在庫確認処理を行なうようにしてもよい。なお、在庫確認処理を行なうタイミングについては、本実施形態に限らず、自由に設定することが可能である。
[7−2]景品払出処理
図19のステップS20の景品払出処理について説明する。
まず、制御部200は、景品管理機100から送られてきた景品種類毎の払出枚数に基づいて、景品を払出すべき1または複数のカセットと、それらの各カセットからの払出枚数を決定し、決定内容にしたがって景品を払い出す。そして、制御部200は、在庫管理データを更新するとともに、更新後の在庫管理データを在庫管理データの履歴を表すログデータ(景品払出イベントに関するログデータ)として記憶部208に記録する。
具体的には、”カセット別在庫管理テーブルTA2”(図14(b)参照)内のカセット毎のデータのうち、景品の払出しがあったカセットに対応する現在庫数の値を、そのカセットから払出された枚数を減算することにより更新する。また、景品の払出しがあったカセットに対応する払出総数の値を、その現在値に今回の払出枚数を加算した値に更新する。そして、景品の払出しがあったカセットに対応する前回在庫数の値を現在庫数の値に置き換える。
さらに、制御部200は、景品種類別在庫管理テーブルTA3(図14(c))の景品種類毎の在庫数の値を、その現在値から、今回の対応する景品種類の払出し枚数を減算した値に更新する。また、景品種類別在庫管理テーブルTA3(図14(c))の景品種類毎の払出総数の値を、その現在値に、今回の対応する景品種類の払出し枚数を加算した値に更新する。そして、更新後の在庫確認データを景品払出イベントに関するログデータとして記憶部208に別途記録する。
[7−3]在庫確認処理
図19のステップS12またはステップS21の在庫確認処理について説明する。
在庫確認処理においては、景品払出機1の制御部200は、まず、景品の計数処理を行う。具体的には、搬送機構24の計数機能を利用して、カセット毎の景品在庫数を計数する。制御部200は、1つのカセットに対する計数処理が終了する毎に、カセット別在庫管理テーブルTA2(図14(b)参照)内の該当するカセット番号に対応する現在庫数を、計数値に更新する。全てのカセット4に対する計数処理が終了すると、制御部200は、在庫管理テーブル更新処理を行なうとともに、更新後の在庫管理データを在庫管理データの履歴を表すログデータ(在庫確認イベントに関するログデータ)として記憶部208に記録する。
つまり、制御部200は、まず、カセット別在庫管理テーブルTA2のカセット番号毎に次のような処理を行なう。現在庫数(今回の計数値)から前回在庫数を減算する。この減算結果が零である場合には、前回在庫数を現在庫数に置き換える。前記減算結果が零よ
り大きい場合(景品数が増加している場合)には、制御部200は、入庫総数の現在値に前記減算結果を加算した値に、入庫総数の値を更新する。そして、前回在庫数を現在庫数に置き換える。前記減算結果が零より小さい場合(景品数が減少している場合)には、制御部200は、回収総数の現在値に前記減算結果を加算した値に、回収総数の値を更新する。そして、前回在庫数を現在庫数に置き換える。
また、制御部200は、カセット別在庫管理テーブルTA2(図14(b)参照)の内容と、カセット別景品種類テーブルTA1(図14(a)参照)の内容とに基づいて、景品種類別在庫管理テーブルTA3(図14(c)参照)の内容を更新する。具体的には、景品種類別在庫管理テーブルTA3の景品種類別の在庫数は、景品種類が同じカセットの現在庫数を合算することにより、求められる。また、景品種類別在庫管理テーブルTA3の景品種類別の入庫総数は、景品種類が同じカセットの入庫総数を合算することにより、求められる。また、景品種類別在庫管理テーブルTA3の景品種類別の回収総数は、景品種類が同じカセットの回収総数を合算することにより、求められる。そして、更新後の在庫確認データを在庫確認イベントに関するログデータとして記憶部208に別途記録する。
なお、現在庫数(今回の計数値)と前回在庫数との差が0以外のカセットが存在する場合には、制御部200は、その旨を示す警告メッセージを表示するようにしてもよい。このようにすると、係員は、再度、在庫確認処理を実行させるための操作(在庫計数ボタンの押下操作)を行なったり、今回計数した景品在庫数がそれまでの景品在庫数と一致しない原因を調べたりすることができる。
[7−4]在庫繰越無し運用のためのデータ処理
図20は、図19のステップS22の“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”の詳細な手順を示している。
前述したように、この“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”は、係員によって景品管理機100の操作部304上の集計クリアボタンが押下されて、集計クリアコマンドが景品払出機1に送信されることにより、開始される(図18のステップS3,S7,図19のステップS18,S22参照)。
“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”が開始されると、制御部200は、まず、景品払出機1内に景品在庫があるか否かを判別する(ステップS31)。景品払出機1内に景品在庫がないと判別した場合には、制御部200は、集計クリア処理(締上処理)を行なう(ステップS32)。集計クリア処理においては、まず印字処理が行なわれた後、データクリア処理が行なわれる。
印字処理においては、その日に記録されたログデータ(在庫管理データの履歴を示すデータ)が印刷されるとともに、カセット別在庫管理テーブルTA2(図14(b)参照)の内容および景品種類別在庫管理テーブルTA3(図14(c)参照)の内容が印刷される。データクリア処理においては、在庫管理データの全てがクリアされる。在庫繰越無し運用が採用されているため、在庫管理データ内の在庫数データも零とされる。具体的には、カセット別在庫管理テーブルTA2の内容と、景品種類別在庫管理テーブルTA3の内容がクリアされる。印字処理は、景品払出機1自体で実行してもよいが、景品払出機1から景品管理機100へデータを送信して、景品管理機100側の印字部303で実行するようにしてもよい。
集計クリア処理により、その日の在庫管理処理が締められる。つまり、集計クリア処理によるクリア後の在庫管理データから、翌日分の在庫管理データとなる。集計クリア処理が終了すると、今回の“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”は終了し、図19のステ
ップS19に戻る。
前記ステップS31において、景品払出機1内に景品在庫があると判別された場合には、制御部200は、在庫有りを景品管理機(POS)100に通知する。前述したように、景品管理機100の制御部300は、景品払出機1からの在庫有の通知を受信すると、「景品を抜き取って下さい」のメッセージを含む画面をアラーム表示する(図18のステップS8参照)。
このアラーム表示の直前に集計クリアボタンの押下を行なった係員(今回の“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”を開始させるための操作を行なった係員)は、このアラーム表示により、景品払出機1内に景品在庫があることを知る。この場合、当該係員が取りうる行動には、2つの選択枝がある。その第1は、景品払出機1内の景品を全て取り除くための作業(景品回収作業)を行なうことである。その第2は、景品払出機1内に在庫が有る状態で強制的に集計クリア(強制集計クリア)を行なうために、集計クリアボタンを押下することである。
景品業者の訪問予定時刻までさほど時間がかからない場合には、通常は、係員は前者(景品回収作業)を選択する。一方、景品業者の訪問予定時刻までしばらく時間がかかる場合には、通常は、係員は後者(強制集計クリア)を選択する。この理由について説明する。景品業者の訪問予定時刻までしばらく時間がかかる場合に、景品払出機1から景品を取り出すと、取り出した景品を比較的長い間、保管しておく必要がある。景品は金銭価値が有るため、この保管は、係員にとっては大きな負担となる。そこで、このような場合には、係員は、景品払出機1内に景品在庫が有る状態で集計クリア(強制集計クリア)を行なうことを選択する。
しかし、在庫繰越無し運用での集計クリア処理においては在庫数データが零にされるため、機内に景品在庫が有る状態で集計クリア処理を行なうと、在庫管理データの内容と機内の実際の在庫数とが一致しなくなる。そこで、この実施形態では、一旦、集計クリア処理(締上処理)を行なった後に、前述したような在庫確認処理を行なうことにより、集計クリア処理により発生した、在庫管理データと機内の実際の在庫数との間の矛盾を、自動的に解消するようにしている。前述したように、集計クリア処理によるクリア後の在庫管理データから、翌日分の在庫管理データとなるので、集計クリア処理後の在庫確認処理により更新された在庫管理データは、翌日分の在庫管理データとして取り扱われる。
景品払出機1の制御部200は、前記ステップS33で在庫有りを景品管理機100に通知した後、景品払出機1の扉6が開放状態から閉鎖されたことを検出したか否か(ステップS34)、景品管理機100からの集計クリアコマンドを受信したか否か(ステップS35)を監視する。
前記アラーム表示が景品管理機100で行なわれた後、係員が景品回収作業を行なった場合には、景品回収作業後に景品払出機1の扉6が閉鎖されるので、ステップS34でYESとなる。ステップS34でYESとなると、制御部200は、ステップS36に進み、在庫確認処理を行なう。この在庫確認処理においては、前述した図19のステップS12,S21の在庫確認処理と同様の処理が行なわれる。つまり、計数処理、在庫管理データの更新処理等が行なわれる。
在庫確認処理が終了すると、制御部200は、景品払出機1内に景品在庫があるか否かを判別する(ステップS37)。景品払出機1内に景品在庫がないと判別した場合には、制御部200は、ステップS32に進み、前述した集計クリア処理を行なう。前記ステップS37において、景品払出機1内に景品在庫があると判別した場合には制御部200は
ステップS33に戻り、前述したように、在庫有りを景品管理機1に再度通知する。
前記アラーム表示が景品管理機100で行なわれた後、係員が強制集計クリアを行なうために、集計クリアボタンを押下した場合には、景品管理機100から景品払出機1に集計クリアコマンド(強制集計クリアコマンド)が送信されるので、ステップS35でYESとなる。ステップS35でYESとなると、制御部200は、ステップS38に進み、強制クリア処理を行なう。なお、景品払出機1の制御部200が“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”を実行しているときに、景品管理機100から景品払出機1に送られてくる集計クリアコマンドを、それ以外のときに景品管理機100から景品払出機1に送られてくる集計クリアコマンドと区別するときには、強制集計クリアコマンドということにする。
前記ステップS38の強制クリア処理は、集計クリア処理(ステップS38a)と、集計クリア処理後に行なわれる在庫確認処理(ステップS38b)とを備えている。つまり、まず、制御部200は、集計クリア処理を行う(ステップS38a)。この集計クリア処理においては、前述したステップS32の集計クリア処理と同様に、まず印字処理が行なわれた後、データクリア処理が行なわれる。
印字処理においては、その日に記録されたログデータ(在庫管理データの履歴を示すデータ)が印刷されるとともに、カセット別在庫管理テーブルTA2(図14(b)参照)の内容および景品種類別在庫管理テーブルTA3(図14(c)参照)の内容が印刷される。データクリア処理においては、在庫管理データの全てがクリアされる。具体的には、カセット別在庫管理テーブルTA2の内容と、景品種類別在庫管理テーブルTA3の内容がクリアされる。集計クリア処理により、その日の在庫管理処理が締められる。つまり、集計クリア処理によるクリア後の在庫管理データから、翌日分の在庫管理データとなる。
ステップS38aの集計クリア処理が終了すると、制御部200は、在庫確認処理を行なう(ステップS38b)。この在庫確認処理においては、前述した図19のステップS12,S21の在庫確認処理と同様の処理が行なわれる。つまり、計数処理、在庫管理データの更新処理等が行なわれる。この在庫確認処理によって更新された在庫管理データは、翌日分の在庫管理データとして取り扱われる。ステップS38bの在庫確認処理が終了すると、今回の“在庫繰越無し運用のためのデータ処理”は終了し、図19のステップS19に戻る。
ステップS38の強制集計クリア処理が行なわれた場合には、景品払出機1内に景品が残っている。このため、通常は、この後、景品業者の訪問予定時刻付近になると、係員による景品回収作業が行なわれる。ステップS38の強制集計クリア処理が行なわれている場合に、その後において景品回収作業が行なわれた場合には、景品回収作業後に景品払出機1の扉6が閉鎖されるので、図19のステップS14でYESとなり、ステップS21の在庫確認処理が行なわれる。この在庫確認処理により、在庫管理データ中の景品在庫数が零にされる。
図21の(a),(b),(c)は、集計クリア処理後のカセット別在庫管理テーブルTA2(図14(b)参照)の1つのカセットに対する内容の変化例を示している。
図21(a)は、機内在庫がない状態で集計クリア処理(ステップS32)が行なわれた日の翌日において、入庫作業により当該カセットにY個の景品が入庫された場合の例を示している。
集計クリア処理において、当該カセットに対応する各項目のデータは零にされる。集計
クリア処理によるクリア後の在庫管理データから、翌日分の在庫管理データとなる。そして、翌日において、入庫作業が行なわれると、図19のステップS14でYESとなり、図19のステップS21の在庫確認処理(計数処理,在庫管理データの更新処理を含む)が行なわれる。
入庫作業によって、当該カセットにY個の景品が入庫されたとすると、計数処理が終了したときに、現在庫数の値が“Y”に更新される。また、現在庫数”Y“から前回在庫数”0“が減算される。この場合、減算結果は“Y“となり、零より大きくなる。このため、入庫総数の値が、その現在値”0“に減算結果の“Y“を加算した値“Y”に更新される。この後、前回在庫数の値が減在庫数の値”Y”に置き換えられる。
図21(b)は、機内在庫がある状態で集計クリア処理(ステップS38a)が行なわれた日において、景品回収作業が行なわれた場合の例を示している。
強制集計クリア処理における集計クリア処理(ステップS38a)において、当該カセットに対応する各項目のデータは零にされる。集計クリア処理によるクリア後の在庫管理データから、翌日分の在庫管理データとなる。そして、強制集計クリア処理における在庫確認処理(ステップS38b)、つまり、前記ステップS38aの集計クリア処理の直後に行なわれる在庫確認処理において、機内の景品在庫が計数される。
前記ステップS38aの集計クリア処理時に当該カセットにX個の景品が存在していたとすると、計数処理が終了したときに、現在庫数の値が”X”に更新される。また、現在庫数”X“から前回在庫数”0“が減算される。この場合、減算結果は”X”となり、零より大きくなる。このため、入庫総数の値が、その現在値”0“に減算結果の”X”を加算した値“X”に更新される。この後、前回在庫数の値が減在庫数の値”X”に置き換えられる。この結果、現在庫数は”X”となり、実際の在庫数と一致する。また、入庫総数は、”X”となる。ステップS38bの在庫確認処理によって得られた在庫管理データは、翌日の在庫管理データとして扱われるので、当該翌日において、当該カセットにX個の景品が入庫されて、現在庫数がX個となっているものとして取り扱われる。
この後に、係員による景品回収作業が行なわれると、図19のステップS21の在庫確認処理(計数処理,在庫管理データの更新処理を含む)が行なわれる。景品回収作業によって、当該該カセットからX個の景品が取り出されるので、計数処理が終了したときに、現在庫数の値が”0”に更新される。また、現在庫数”0“から前回在庫数”X“が減算される。この場合、減算結果は”−X“となり、零より小さくなる。このため、回収総数の値が、その現在値に減算結果の絶対値|−X|を加算した値“X”に更新される。この後、前回在庫数の値が現在庫数の値”0”に置き換えられる。当該更新後の在庫管理データも、翌日の在庫管理データとして取り扱われる。つまり、当該翌日において、当該カセットにX個の景品が入庫されるとともに、X個の景品が回収(返品)され、現在庫数が0個となっているものとして取り扱われる。
実際の翌日において、景品払出機1の電源がオンされた場合は、在庫確認処理(図19のステップS12)が行なわれる。この在庫確認処理において、当該カセットに対する計数値が零であれば、当該カセットに対応する在庫管理データは変化しない。また、実際の翌日において、入庫作業により当該カセットにさらにY個の景品が入庫され、在庫確認処理が行われると、現在庫数の値が”Y”に更新される。また、現在庫数”Y“から前回在庫数”0“が減算される。この場合、減算結果は”Y”となり、零より大きくなる。このため、入庫総数の値が、その現在値”X“に減算結果の”Y”を加算した値“X+Y”に更新される。この後、前回在庫数の値が減在庫数の値”Y”に置き換えられる。
図21(c)は、機内在庫がある状態で集計クリア処理(ステップS38a)が行なわれた日において、景品回収作業が行なわれなかった場合の例を示している。
強制集計クリア処理における集計クリア処理(ステップS38a)において、当該カセットに対応する各項目のデータは零にされる。集計クリア処理によるクリア後の在庫管理データから、翌日分の在庫管理データとなる。そして、強制集計クリア処理における在庫確認処理(ステップS38b)において、機内の景品在庫が計数される。
前記ステップS38aの集計クリア処理時に当該カセットにX個の景品が存在していたとすると、計数処理が終了したときに、現在庫数の値が“X”に更新される。また、現在庫数”X“から前回在庫数”0“が減算され、入庫総数の値が、その現在値”0“に減算結果の”X“を加算した値“X”に更新される。この後、前回在庫数の値が現在庫数の値”X”に置き換えられる。この結果、現在庫数は”X”となり、実際の在庫数と一致する。また、入庫総数は、”X”となる。ステップS38bの在庫確認処理によって得られた在庫管理データは、翌日の在庫管理データとして扱われるので、当該翌日において、当該カセットにX個の景品が入庫されて、現在庫数がX個となっているものとして取り扱われる。
この後に係員による景品回収作業が行なわれることなく、実際の翌日において、景品払出機1の電源がオンされた場合は、在庫確認処理(図19のステップS12)が行なわれる。この在庫確認処理において、当該カセットに対する計数値が“X”であれば、当該カセットに対応する在庫管理データは変化しない。また、その実際の翌日において、入庫作業により当該カセットに、さらにY個の景品が入庫されたとする。この入庫作業後に在庫確認処理が行われると、現在庫数の値“X”が“X+Y”に更新される。また、現在庫数”X+Y“から前回在庫数”X“が減算される。この場合、減算結果は”Y“となり、零より大きくなる。このため、入庫総数の値が、その現在値”X“に減算結果の”Y“を加算した値“X+Y”に更新される。この後、前回在庫数の値が減在庫数の値” X+Y”に置き換えられる。
[8]変形例
上記実施形態では、集計クリアボタンは景品管理機100に設けられているが集計クリアボタンを景品払出機1の操作部207に設けてもよい。この場合、集計クリアコマンド(強制集計クリアコマンド)は、景品払出機1の操作部207上の集計クリアボタンが押下されることにより景品払出機1の制御部200に与えられる。また、景品の抜き取りを促すアラーム表示(図18のステップS8)を、景品払出機1の表示部7Bに行なうようにしてもよい。
また、上記実施形態では、集計クリアコマンドと強制集計クリアコマンドとは、同じ集計クリアボタンが押下されることにより発生されているが、それぞれのコマンドを異なるボタンの押下によって発生させるようにしてもよい。
景品の形状はカード状に限定されない。また、景品払出機内に収納されている景品を計数するための機構、計数方法についても限定されない。景品に内蔵されるICを読み取る方式でもよい。
本願発明は、さらに、特開2008−73169号公報(特許文献3)に開示されているような卓上タイプの景品払出機を備えた景品払出システムにも適用することができる。