JP2019180553A - 賞品払出機 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる賞品払出機を提供する。【解決手段】賞品払出機3は、賞品が収容される本体を含み、本体内の賞品を払い出す払出処理を払出指示に基いて行う。賞品払出機3は、払出処理に関する異常を検出する異常検出部70と、異常検出部70が検出した異常の内容に応じて、次の払出処理の可否を判定する制御部51とを含む。【選択図】図6

Description

この発明は、賞品払出機に関する。
下記特許文献1では、複数のレーンから景品が払い出される景品払出機が開示されている。この景品払出機においてエラーが発生した場合、係員用表示部にエラー発生画面が表示されてエラー解除が促されるので、係員は、エラー解除に向けた処理をする。
特許第5805946号公報
特許文献1の景品払出機においてエラーが発生した場合には、係員は、忙しい状況にあっても、エラー解除に向けた処理を速やかに行わねばならない。これでは、使い勝手の向上を図ることが困難である。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる賞品払出機を提供することを目的とする。
本発明は、賞品が収容される本体を含み、前記本体内の賞品を払い出す払出処理を払出指示に基いて行う賞品払出機であって、払出処理に関する異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が検出した異常の内容に応じて、次の払出処理の可否を判定する判定手段とを含む、賞品払出機である。
また、本発明は、前記本体内には、賞品が収納される複数の収納部が設けられ、払出処理では各収納部の賞品が払い出され、前記異常検出手段が検出した異常が前記収納部に関する異常であって、かつ、異常が発生しておらず賞品の在庫を有する収納部が存在する場合に、前記判定手段が、次の払出処理が可能と判定することを特徴とする。
また、本発明は、次の払出処理が可能と前記判定手段が判定した場合に、次の払出処理を優先可能とすることを特徴とする。
また、本発明は、前記賞品払出機が、次の払出処理が可能と前記判定手段が判定した場合に、次の払出処理を優先するか否かについての選択を受け付ける受付手段をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記賞品払出機が、次の払出処理が可能と前記判定手段が判定した場合に、所定条件に応じて次の払出処理を強制的に優先する優先手段をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記賞品払出機が、次の払出処理が優先される場合に、今回発生した異常に関する情報を保留する異常保留手段をさらに含むことを特徴とする。
本発明によれば、賞品払出機では、払出処理に関する異常が発生すると、その異常の内容に応じて、次の払出処理の可否が判定される。これにより、次の払出処理が可能と判定された場合には、異常が解除されなくても、遊技施設の係員は、異常を保留(換言すれば放置)した状態で次の払出処理に取りかかれる。そのため、次の払出処理をキャンセルして異常の解除に向けた処理を速やかに行わなくても済むので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
また、本発明によれば、賞品が収納される複数の収納部が、景品払出機の本体内に設けられる。払出処理に関する異常が収納部に関する異常であって、かつ、当該異常が発生しておらず賞品の在庫を有する正常な収納部が別に存在する場合には、異常が発生した収納部が存在した状態でも、次の払出処理のために当該正常な収納部から賞品を払い出せる。これにより、異常が解除されなくても、次の払出処理を確実に実行できる。
また、本発明によれば、例えば係員が多忙により次の払出処理を優先したい状況において異常が発生し、次の払出処理が可能と判定された場合には、係員は、この異常の解除に向けた処理を速やかに行わずに、目的どおりに次の払出処理を優先することができるので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
また、本発明によれば、異常が発生した状態で次の払出処理が可能と判定された場合、係員は、次の払出処理を優先するか否かについて選択できる。そのため、係員は、例えば多忙により次の払出処理を優先したい状況では、この異常の解除に向けた処理を速やかに行わずに、選択によって次の払出処理を優先することができるので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
また、本発明によれば、異常が発生した状態で次の払出処理が可能と判定された場合には、所定条件に応じて次の払出処理が強制的に優先される。そのため、係員が例えば多忙により次の払出処理を優先したい状況では、異常が発生した状態でも、係員の目的どおりに次の払出処理が必ず優先されるので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
また、本発明によれば、次の払出処理が優先される場合に、今回発生した異常に関する情報が保留されるので、係員は、後の都合の良いタイミングにおいて、この情報に基いて当該異常を解除することができる。これにより、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出システムの模式的な斜視図である。 図2は、賞品払出システムに用いられる通い箱の斜視図である。 図3は、賞品払出システムを構成する賞品払出機における収納部の模式的な斜視図である。 図4は、賞品の識別計数処理が可能な状態における賞品払出機の内部の模式的な右側面図である。 図5は、収納部の内部の模式的な平面図である。 図6は、賞品払出機の電気的構成を示すブロック図である。 図7は、賞品の補充処理が可能な状態における賞品払出機の内部の模式的な右側面図である。 図8は、賞品払出機の店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。 図9は、賞品の繰出払出処理が可能な状態における賞品払出機の内部の模式的な右側面図である。 図10Aは、賞品払出機の繰出払出部における要部を右側から見た模式図である。 図10Bは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図10Cは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図10Dは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図10Eは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図10Fは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図10Gは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図10Hは、繰出払出部の要部を右側から見た模式図である。 図11は、賞品払出機の天板の一部を示す模式的な平面図である。 図12は、賞品払出機の天板における表示部の表示内容の一例を示す模式図である。 図13は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。 図14は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。 図15は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。 図16は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出システム1の模式的な斜視図である。賞品払出システム1は、例えばパチンコ店等の遊技施設に設置され、賞品管理機2と賞品払出機3とを含む。賞品管理機2は、特殊賞品と呼ばれる賞品Pや、菓子等の一般賞品の在庫等を管理するPOS端末であって、遊技施設における受付カウンターC上に設置される。
賞品Pの一例は、例えば数ミリ程度の厚さを有するカードである。この実施形態では、大賞品、中賞品および小賞品といった、金銭価値に応じた3種類の賞品Pが登場するが、大賞品よりも金銭価値の高い特大賞品が存在してもよい。賞品Pの表面の色は、賞品Pの種類毎に異なっている。一例として、大賞品の表面は赤色であり、中賞品の表面は青色であり、小賞品の表面は黄色である。賞品Pは、通い箱4に収容された状態にて市場に流通する。
賞品払出機3は、賞品Pを払い出す装置であり、受付カウンターCのフロアにおいて賞品管理機2に隣接して配置されている。なお、賞品払出機3は、受付カウンターC上に設置される卓上タイプであってもよい。賞品払出機3は、賞品Pを保管する機能を有する賞品保管機でもあり、LAN(図示せず)等を介して賞品管理機2に対して通信可能に接続されている。なお、図1では、1台の賞品管理機2と1台の賞品払出機3が接続されることによって賞品払出システム1を構成しているが、賞品払出システム1では、複数台の賞品管理機2が1台の賞品払出機3に接続されてもよいし、逆に、複数台の賞品払出機3が1台の賞品管理機2に接続されてもよい。
賞品払出機3から賞品Pを払い出す際には、遊技施設において受付カウンターCを担当する係員が、賞品管理機2に設けられたキーボードやタッチパネル等の操作部2Aを操作する。すると、賞品管理機2が賞品払出機3に対して賞品Pを払い出すよう指示(以下では「払出指示」という。)を送るので、賞品払出機3は、払出指示に応じた種類および個数の賞品Pを払い出す。これに応じて、賞品管理機2は、賞品Pの在庫を更新する。一方、遊技客によってパチンコ玉等の遊技媒体と一般賞品との交換を依頼された係員は、指定された一般賞品を操作部2Aの操作によって選択してから、この一般賞品を遊技客に手渡す。賞品管理機2は、操作部2Aの操作に応じて、この一般賞品の在庫を更新する。
賞品払出機3は、その外殻をなすボックス状に形成された本体11と、本体11内に設けられた複数(ここでは3つ)の収納部12とを含む。なお、図1の紙面の左右方向は、賞品払出機3の左右方向Xと一致し、図1の紙面に略直交する方向は、賞品払出機3の前後方向Yと一致し、図1の紙面の上下方向は、賞品払出機3の上下方向Zと一致している。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向に含まれる。左右方向Xは、左側X1と右側X2とを含み、前後方向Yは、図1の紙面の手前側に一致した前側Y1と、図1の紙面の奥側に一致した後側Y2とを含み、上下方向Zは、上側Z1と下側Z2とを含む。
本体11は、天板13と、この天板13を支持する左右一対の側板14とを有している。天板13の下面には、前後方向Yにスライド可能な複数(例えば収納部12と同数)の補助テーブル15が、左右方向Xに並んで設けられている。前側Y1へ引き出された補助テーブル15は、天板13を拡張するために機能するので、係員は、天板13を広く使用することができる。これらの補助テーブル15の下面には、前後方向Yにスライド可能な1つの引出し16が設けられている。引出し16には、事務用品等の備品や、遊技施設内の機器についての取扱説明書等の書類が収納される。本体11には、その前面11Aのほぼ全域に亘る開口11Bが形成されている。開口11Bの上縁は、引出し16によって仕切られている。開口11Bは、本体11の内部空間に連通している。
天板13は、透明な板であり、より具体的にはアクリル板である。天板13の上面は、本体11の天面を構成している。天板13の上面は、その略前半分を占める水平面である払出面13Aと、払出面13Aの後側Y2において左右方向Xに延び、払出面13Aよりも一段高い段部13Bとを含む。払出面13Aにおける後寄りの領域には、左右方向Xに長手の払出口13Cが形成されている。払出口13Cは、収納部12と同数(ここでは3つ)存在し、左右方向Xに並んで配置されている。
賞品払出機3は、払出口13Cを開閉するシャッタ17と、受付手段の一例としての店側表示部18と、客側表示部19とをさらに含む。シャッタ17は、左右方向Xに長手の板状に形成され、払出口13Cと同数存在する。各シャッタ17は、対応する払出口13Cを閉じた閉位置(図1参照)と、段部13B内に後退して払出口13Cを開いた開位置(後述する図9参照)との間で前後方向Yにスライド可能である。各シャッタ17は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力によって開閉される。
店側表示部18は、例えばタッチパネルによって構成され、段部13Bに固定されて受付カウンターCの係員側に臨んでいる。店側表示部18には、係員向けの情報が表示される。客側表示部19は、例えばタッチパネルによって構成され、段部13Bに固定されている。客側表示部19は、遊技媒体と賞品Pとの交換のために受付カウンターCに来る遊技客側に臨んでいる。
収納部12は、賞品Pを通い箱4ごと収納するものである。この実施形態では、3つの収納部12が左右方向Xに並んでいる。図1に示すように本体11内に目一杯収容された状態における収納部12は、前後方向Yにおける収容位置にある。図1に示すように全ての収納部12が収容位置にある場合には、これらの収納部12の前面が、面一となって開口11Bを塞いだ状態にて、本体11から前側Y1に露出されている。収容位置にある各収納部12の真上には、本体11の払出面13Aにおけるいずれか1つの払出口13Cが位置している。
各収納部12は、前述した収容位置から、前側Y1の引出位置へ前後方向Yに引き出し可能である。係員は、各収納部12の前面に設けられた取っ手12Aを操作することによって、収納部12を引出位置まで引き出したり、収容位置まで押し込んだりすることができる。なお、収納部12の移動は、係員の手動によって行われてもよいし、本体11内に設けられたDCモータやステッピングモータ等の駆動装置により自動的に行われてもよい。その場合、例えば係員が取っ手12Aを手前に引くと収納部12が前進し、係員が取っ手12Aを後側Y2に押すと収納部12が後退する。収納部12は、収容位置から引出待機位置(図示せず)まで一旦前進してから引き出されてもよい。本体11には、各収納部12を収容位置においてロックしたり、そのロックを解除したりするロック機構20(後述する図6を参照)が設けられている。ロック機構20として、公知の構成を用いることができる。
なお、賞品払出機3の傾きや収納部12の重量に起因して収納部12が収容位置から引出位置側へ勝手に移動してしまうことが想定される。そこで、収納部12の移動が駆動装置によって行われる構成を前提として、収納部12の引き出しが行われない待機状態では、収納部12が勝手に移動しないように、公知のブレーキ機構(図示せず)によって収納部12にブレーキが常にかけられる。ロック機構20によるロックを解除する際には、ロックの解除前からブレーキ機構によって収納部12にブレーキがかけられるとよい。ロックが解除できない場合には、リトライ処理として収納部12を収容位置側へ一旦引き込んだ後に、ブレーキをかけた状態で再度ロックが解除されるので、ロック解除の際におけるロック機構20の負担が軽減される。一方、ロックする場合には、ロック機構20によるロックが可能な状態になるまで、収納部12が収容位置側へ一定時間引き込まれてから、ロック機構20は、この収納部12をロックする。収納部12をロックできない場合には、ロック機構20の解除動作を一旦行ってから、収納部12を収容位置側へ再度引き込んだ後に、ブレーキをかけた状態で再度ロックがリトライされる。これにより、ロック機構20と収納部12との位置ずれが解消される。このような構成により、賞品払出機3の傾きや収納部12の重量の増加をある程度許容することができるとともに、収納部12の勝手な移動に起因する賞品払出機3の休止率を低下することができる。
収納部12について詳しく説明するのに先立って、通い箱4について説明する。図2は、通い箱4の斜視図である。通い箱4は、所定方向(図2では左右方向)に長手のボックス状に形成されていて、例えば樹脂製である。通い箱4は、対向配置された一対の側壁21と、一対の側壁21間に架設された少なくとも2つ(図2では6つ)の区画壁22と、通い箱4の底をなす1つの閉塞壁23とを一体的に含む。
一対の側壁21は、通い箱4の長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されていて、それぞれの板厚方向に沿って対向するように平行に配置されている。一対の側壁21の対向方向は、通い箱4において長手方向Lに直交する短手方向Sである。また、通い箱4の深さ方向Dは、長手方向Lおよび短手方向Sの両方に直交している。
各区画壁22は、長手方向Lに一致した板厚方向を有する略矩形の板状に形成されている。2つの区画壁22が、一対の側壁21において長手方向Lにおける一端縁間と他端縁間とに1つずつ架設され、残り4つの区画壁22が、長手方向Lに等間隔で並んだ状態で一対の側壁21の途中部間に架設されている。そのため、通い箱4には、大きさの等しい略直方体状の5つの収容空間24が、長手方向Lに等間隔で並んで形成されている。
閉塞壁23は、深さ方向Dに一致した板厚方向を有し、長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されている。閉塞壁23は、深さ方向Dにおける一方側(図2では下側)から各側壁21および各区画壁22に対して接続されていて、各収容空間24を当該一方側から塞いでいる。各収容空間24において深さ方向Dにおける他方側(図2では上側)の端部は、略矩形状の出入口25として、当該他方側へ開放されている。
通い箱4は、出入口25とは別に設けられた開口部26を含む。開口部26は、長手方向Lにおいて各収容空間24と同じ位置に一対ずつ、この実施形態では5対設けられている。つまり、開口部26は、短手方向Sにおける通い箱4の両側において、5つずつ長手方向Lに等間隔で並んで設けられている。各対における2つの開口部26は、長手方向Lで同じ位置にあって、短手方向Sにおける通い箱4の中心を基準として対称になるように構成されている。各開口部26は、収容空間24を外部に露出させるスリット状であり、短手方向Sにおける閉塞壁23の端部を切り欠きつつ、短手方向Sにおいて当該端部と同じ側にある側壁21を深さ方向Dに沿って切り欠いて、出入口25の手前まで直線状に延びている。なお、開口部26の形状は、任意に変更できる。
賞品Pを収容して流通しているときの通い箱4の姿勢は、図2に示すように各出入口25が上を向いた基本姿勢である。賞品Pは、出入口25を介して各収容空間24に収容される。各収容空間24の大きさが等しいので、賞品Pは、所定数ずつ(この実施形態では20枚ずつ)、各収容空間24に収容される。複数の賞品Pは、それぞれの板厚方向が短手方向Sと一致して閉塞壁23から起立した姿勢で、各収容空間24に積層状態で収容され、その状態の各賞品Pでは、出入口25側の部分が出入口25からはみ出ている。また、前述した所定数の賞品Pが収容された収容空間24(図2における右端の収容空間24を参照)では、短手方向Sの両端に位置する賞品Pの一部が、短手方向Sにおける同じ側の開口部26から露出されている。この実施形態では、1つの通い箱4に収容される複数の賞品Pの種類は、大賞品、中賞品および小賞品のいずれか一種類である。変形例として、複数種類の賞品Pが1つの通い箱4に収容されてもよく、その場合の各収容空間24には賞品Pが一種類ずつ収容される。なお、各側壁21において各収容空間24に臨む内面における閉塞壁23側の端部には、深さ方向Dに延びるリブ(図示せず)が設けられていてもよい。一対の側壁21のリブ同士の間隔が、前記所定枚数分の賞品Pの厚さに相当するので、この所定枚数を超える数の賞品Pが各収容空間24に入ることが防止される。なお、このリブは、賞品Pを傷付けないように、極力短く設定され、角が丸められている。
次に、収納部12について詳しく説明する。図3は、収納部12の模式的な斜視図である。各収納部12は、前後方向Yに並ぶ2つの収納本体部31と、これらの収納本体部31の間に配置された繰出払出部32とを含む。2つの収納本体部31のうち、前側Y1のものを前収納本体部31Aといい、後側Y2のものを後収納本体部31Bというがある。図3では、各収納本体部31と繰出払出部32との境界が1点鎖線で図示されている。収納本体部31と繰出払出部32とは一体化されていてもよいし、別々に存在して組み合わされることによって収納部12を構成してもよい。
各収納本体部31は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体33を含む。収納部12の上面を構成する筐体33の上面には、略矩形状の装填口33Aと、装填口33Aを開閉する略矩形板状の扉33Bとが設けられている。扉33Bは、前後方向Yにおいて繰出払出部32に最も近い端部に設けられたヒンジ33Cを介して筐体33に連結されていて、ヒンジ33Cまわりに回動することによって開閉される。前収納本体部31Aの筐体33の前面は、取っ手12Aが設けられた収納部12の前面を構成している。
図4は、賞品払出機3の内部の模式的な右側面図である。各収納部12における各収納本体部31の筐体33の内部には、左右一対の搬送体34と、複数(ここでは6つ)の装填部35とが設けられている。各搬送体34は、無端状のチェーンまたはベルト(ここではチェーン)によって構成されており、左右方向Xから見て例えば略矩形の環状をなしている。搬送体34は、モータ(図示せず)等の駆動部の駆動力を受けることによって、左右方向Xから見て時計回りおよび反時計回りのそれぞれの方向へ向けて周回移動する。この駆動部と搬送体34とは、移動機構50を構成する。
各装填部35は、左右方向Xに長手のトレイ状に形成されている。各装填部35の内部空間は、左右方向Xに長手となった通い箱4をちょうど収容できる大きさを有する。上向き姿勢の装填部35(例えば図4における上端の装填部35を参照)には、その上面を全域に亘って開放した出入口35Aと、前後の両側壁のそれぞれを切り欠いたスリット状の開口部(図示せず)とが形成されている。この開口部は、装填部35の前壁および後壁において、通い箱4の開口部26(図2参照)に合致する位置に同数形成され、左右方向Xに並んで配置されている。
各装填部35には、通い箱4が1つずつ装填される。これにより、通い箱4内の賞品Pは、通い箱4および装填部35を介して、本体11内の収納部12に収容される。通い箱4が装填された装填部35では、前述した開口部と通い箱4の開口部26とが1つずつ整合している。また、この実施形態では、同じ種類の賞品Pが1つの通い箱4内に収納されるので、1つの装填部35には、同じ種類の賞品Pが装填される。しかし、各収納部12内の前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bのそれぞれにおいて、装填部35毎に、賞品Pの種類が異なってもよい。つまり、各収納部12は、複数種類の賞品P(ここでは、大賞品、中賞品および小賞品)をまとめて収納している。
これらの装填部35は、左右一対の搬送体34の周回方向Rに沿って環状に並んで配置された状態で、これらの搬送体34の間に架設されている。そのため、移動機構50が作動することによって左右の搬送体34が周回移動すると、これらの装填部35は、搬送体34とともに周回移動する。また、各装填部35は、搬送体34との連結部分において、左右方向Xに延びる回動軸線(図示せず)まわりに回動自在である。そのため、各装填部35は、原則として、上向き姿勢を維持するように回動しながら、ゴンドラのように周回移動する。
図4を参照するとともに、収納部12の内部の模式的な平面図である図5も参照して、各収納本体部31の内部において前後方向Yにおける外側の端部(前収納本体部31Aの場合は前端部であり、後収納本体部31Bの場合は後端部)には、識別計数部36が配置されている。識別計数部36は、左右方向Xに延びるホルダ37と、ホルダ37において繰出払出部32を臨む側面(前収納本体部31Aの場合は後面であり、後収納本体部31Bの場合は前面)に設けられた識別部38および計数部39とを含む。左右方向Xに隣り合った識別部38および計数部39が1つの組を構成し、各識別計数部36では、この組が、左右方向Xに等間隔で5組並んでいる。識別計数部36は、収納本体部31の筐体33によって支持されており、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて昇降する。
識別部38の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだカラーセンサである。この場合、発光部が、被検知物である賞品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。識別部38は、この反射光をRGB値に変換して分析することによって賞品Pの表面の色を検知し、この検知結果に基づいて賞品Pの真偽や種類を識別する。なお、識別情報を記憶したICチップが賞品Pに内蔵されていて、識別部38は、非接触でICチップから識別情報を読み取ることによって、賞品Pの真偽や種類を識別してもよい。
計数部39の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだ光学式の反射型センサである。この場合、発光部が、賞品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。計数部39は、識別計数部36の昇降に伴い、通い箱4において上下方向Zに積層された賞品Pの端部の凸形状を、発光部からの光によってなぞる。これによって、連続する複数の凸形状の輪郭にほぼ一致する波形データが得られるので、計数部39は、この波形データにおける凸形状の数を数えることによって、賞品Pを計数することができる。
繰出払出部32は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体40を含む。筐体40の上面40Aには、左右方向Xに長手の出口40Bが1つ形成されている(図3も参照)。出口40Bは、筐体40の内部空間40Cを上側Z1に露出させている。内部空間40Cは、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bのそれぞれの筐体33の内部空間に連通している。収納部12が収容位置にある状態では、この収納部12の出口40Bが、左右方向Xにおいて同じ位置ある1つの払出口13Cの真下に配置される。繰出払出部32は、繰出ユニット41および払出ユニット42を含む。繰出ユニット41は、左右一対設けられている。左右2つの繰出ユニット41のうち、左側X1のものは、前収納本体部31A用の前繰出ユニット41Aであり、右側X2のものは、後収納本体部31B用の後繰出ユニット41Bである。各繰出ユニット41は、単数または複数の繰出部43を含む。
繰出部43は、左右方向Xから見て略三角形の環状をなす無端状の繰出ベルト44と、繰出ベルト44の内側において略三角形の各頂点部分に1つずつ配置されたローラ45と、例えばウレタンで構成された外周面を有する繰出ローラ46と、繰出ベルト44の外周面に設けられた繰出部材47とを含む。繰出ベルト44は、少なくもいずれかのローラ45がモータ等の駆動部(図示せず)により駆動回転されることによって、周回移動する。繰出ローラ46は、繰出ベルト44を挟んでいずれかのローラ45と対向しており、駆動回転される。繰出部材47は、繰出ベルト44の外周面から突出した爪状に形成され、各繰出ベルト44において、複数の繰出部材47が繰出ベルト44の周回方向に沿って等間隔で設けられている。
各繰出ユニット41は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、待機姿勢と繰出姿勢との間で姿勢変更可能である。待機姿勢にあるときの各繰出ユニット41は、図4に示すように筐体40の内部空間40Cに収まっていて、各繰出部43における繰出ベルト44の平坦部分44Aが上下方向Zに沿っている。なお、共に待機姿勢にある前繰出ユニット41Aおよび後繰出ユニット41Bは、実際には、左右方向Xから見て重なるように配置されている。繰出姿勢にあるときの前繰出ユニット41A(後述する図9を参照)では、繰出部43が内部空間40Cから前側Y1へはみ出して、繰出部43の繰出ベルト44の平坦部分44Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出姿勢にあるときの後繰出ユニット41B(図9を参照)では、繰出部43が内部空間40Cから後側Y2へはみ出して、繰出部43の繰出ベルト44の平坦部分44Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出姿勢にあるときの各繰出ユニット41では、繰出部43が、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって左右方向Xにスライド可能である。
図5を参照して、筐体40の内部空間40Cにおける略上半分の領域は、筐体40に固定された複数の鉛直な板状の仕切部48によって、複数の縦長の繰出空間40Dへと区画されている。繰出空間40Dは、通い箱4の収容空間24と同数(ここでは5つ)存在し、筐体40の出口40Bの真下において、左右方向Xに等間隔で並んでいる。
払出ユニット42は、払出部49を含む。払出部49は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する略矩形の板状であり、各繰出空間40Dに1つずつ配置されており、合計で5つ存在する。払出ユニット42は、全ての払出部49を一括して保持する保持部(図示せず)を含む。全ての払出部49は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、繰出空間40Dの下端付近に設定された待機位置と、繰出空間40Dの上端に設定された払出位置との間で、保持部と一体となって昇降する。
図6は、賞品払出機3の電気的構成を示すブロック図である。賞品払出機3は、判定手段、受付手段、優先手段および異常保留手段の一例としての制御部51を含む。制御部51は、CPUやROMやRAM等によって構成され、タイマ等を内蔵し、本体11に設けられている。制御部51には、シャッタ17、店側表示部18、客側表示部19およびロック機構20のそれぞれに関連した電気部品(例えば、前述した駆動部やセンサ等)が電気的に接続されている。また、制御部51には、各収納部12が電気的に接続されている。具体的には、収納部12の各収納本体部31において搬送体34を周回移動させる移動機構50が電気的に接続されている。また、制御部51には、各収納部12の繰出払出部32および各収納本体部31の識別計数部36に関連した電気部品が電気的に接続されている。
制御部51は、これらの電気部品の動作を制御することによって、賞品Pを補充する補充処理と、賞品払出機3の各収納部12内の賞品Pを識別および計数する識別計数処理と、各収納部12内の賞品Pを繰り出して機外(つまり本体11の外)に払い出す繰出払出処理とを実行する。これらの処理に関連して、制御部51は、店側表示部18や客側表示部19に必要な情報を表示したり、係員による店側表示部18の操作に応じた指示や、賞品管理機2からの払出指示を受け付けたりする。なお、制御部51は、賞品管理機2からの払出指示だけでなく、係員による店側表示部18の操作に基いた払出指示を受け付けてもよい。
賞品払出機3は、記憶部52をさらに備えている。記憶部52は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されている。記憶部52は、制御部51に電気的に接続されている。記憶部52は、各装填部35に装填された通い箱4内の賞品Pの種類および収納数(在庫数ともいう)等を装填部35毎に記憶している。また、記憶部52は、過去の異常履歴や賞品Pの払出履歴等の様々な情報も記憶している。
以下では、補充処理、識別計数処理および繰出払出処理について、この順番に説明する。補充処理の場合には、係員が、店側表示部18を操作することによって、補充処理の対象となる収納部12を1つ選択する。すると、制御部51は、選択された収納部12についてのロック機構20によるロックを解除することによって、この収納部12の引出位置までの引き出しを許可する。次に、係員が、ロックが解除された収納部12の取っ手12Aを掴んで前側Y1に引くと、この収納部12は、図7に示す引出位置まで引き出される。このように、一度に引き出させる収納部12は、1つだけである。
引出位置まで引き出された収納部12では、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bの両方が本体11よりも前側Y1に位置しており、これらの収納本体部31の上面の装填口33Aが本体11の外に配置されている。この状態において、係員が収納本体部31(図7では前収納本体部31Aを参照)の扉33Bを開いて装填口33Aを上側Z1に開放する。扉33Bが開くのに先立って制御部51が搬送体34を周回移動させ、これにより、空の2つの装填部35が、装填口33Aの真下において前後に並んで配置される。空の装填部35とは、通い箱4が装填されていない装填部35、または、エンプティもしくはニアエンプティの状態の通い箱4が装填された装填部35を指す。装填口33Aの前側領域および後側領域のそれぞれに、空の装填部35が1つずつ配置される。
係員は、賞品Pを収容した基本姿勢の状態の通い箱4を、白抜き矢印で示すように下降させて装填口33Aを通過させ、装填位置にある上向き姿勢の装填部35の出入口35Aに上側Z1から挿入する。これにより、通い箱4が、装填位置の装填部35に装填され、通い箱4内の賞品Pは、収納部12内に装填される。なお、通い箱4および装填部35の一方に設けられた位置決めリブ(図示せず)が、他方に設けられた位置決め溝(図示せず)に嵌まり込むことによって、通い箱4と、この通い箱4が装填された装填部35とが互いに位置決めされる。装填位置の装填部35に通い箱4が装填されてから扉33Bが閉じられると、他の空の装填部35が装填位置に配置されるように、制御部51が搬送体34を周回移動させる。
他の空の装填部35にも通い箱4が装填された後に、係員が、扉33Bを閉じて、引出位置の収納部12の取っ手12Aを掴んで収容位置まで戻すと、制御部51は、この収納部12を、ロック機構20によって収容位置にてロックする。これにより、この収納部12についての補充処理が終了する。なお、この引出位置とは別の引出途中位置が設定され、引出途中位置まで引き出された収納部12では、前収納本体部31Aだけが本体11よりも前側Y1に位置し、前収納本体部31Aだけに賞品Pが装填できてもよい。
識別計数処理の場合、図4および図5を参照して、制御部51は、搬送体34を、前収納本体部31Aでは右側面視において反時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは右側面視において時計回りに周回移動させる。そして、各収納本体部31では、識別計数処理の対象となる装填部35が、識別計数部36の上方に配置された所定位置に上側Z1から接近すると、第1の姿勢変更機構(図示せず)により、図4に示すように、出入口35Aが横を向いた横向き姿勢に傾倒する。なお、横向き姿勢の装填部35では、セットされた通い箱4の出入口25からの賞品Pの脱落を防止するために、出入口35Aが真横でなく、僅かに斜め上側へ向いている。
前収納本体部31Aでは、前側下端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが前側Y1を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から前側Y1へはみ出しており、当該賞品Pの前端面が識別計数部36側(厳密には斜め上側)を向いている。後収納本体部31Bでは、後側下端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが後側Y2を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から後側Y2へはみ出しており、当該賞品Pの後端面が識別計数部36側(厳密には斜め上側)を向いている。
図4に示すように、装填部35が上向き姿勢から横向き姿勢に変わって識別計数部36に上側Z1から接近すると、制御部51は、搬送体34の周回移動を停止する。このとき、各収納本体部31では、識別計数部36における識別部38および計数部39の組(図5参照)が、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の各収容空間24に対して1組ずつ左右方向Xにおいて同じ位置にある。この状態において、制御部51は、識別計数部36を、例えば下端の待機位置から上昇させる。その際、各組における識別部38および計数部39が、当該通い箱4において左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に前後方向Yから対向しながら上昇する。識別部38は、左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pの種類を下側Z2から順に1つずつ非接触で識別し、計数部39は、当該収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触で計数する。横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の各収容空間24における全ての賞品Pについての識別および計数が完了して識別計数部36が待機位置まで下降すると、識別計数処理が終了する。
識別計数処理後において、制御部51は、次の識別計数処理のために、通常では、搬送体34を、計数方向、つまり、前収納本体部31Aでは右側面視において反時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは右側面視において時計回りに周回移動させる。すると、直前の識別計数処理の対象であった通い箱4が装填された装填部35は、搬送体34の周回移動に応じて、まず下降してから水平移動し、その途中で装填部35の横向き姿勢が自重によって上向き姿勢に切り替わる。この通い箱4における少なくともいずれかの収容空間24における賞品Pの数が僅か(例えば1枚や2枚)である場合には、装填部35の姿勢が切り替わって識別計数部36のホルダ37等に接触する際の衝撃によって、収容空間24内の賞品Pが暴れて反転するおそれがある。そこで、制御部51は、識別計数処理を終えた直後の通い箱4におけるいずれかの収容空間24における賞品Pの数(識別計数処理により得られる計数結果)が僅かである場合には、搬送体34を計数方向とは逆の方向に例えば1周分だけ周回移動させる。これにより、この通い箱4が装填された装填部35は、搬送体34の周回移動に応じて、まず上昇してから水平移動し、その途中で、ホルダ37等に接触することなく、前述した第1の姿勢変更機構によって横向き姿勢から上向き姿勢に緩やかに切り替わる。その後、制御部51は、次の識別計数処理のために、搬送体34を計数方向に周回移動させる。このように、収容空間24内の賞品Pが少ない場合には、通常とは異なる制御によって装填部35を上向き姿勢に切り替えることによって、賞品Pの暴れを抑制して、賞品払出機3における休止率の低下を図れる。なお、収容空間24における賞品Pの数が僅かである場合に限らず、例えば学習機能により、過去に収容空間24内の賞品Pが暴れるというエラーの発生時における賞品Pの数以下である場合に、通常とは異なる当該制御が行われてもよい。
識別計数処理は、全ての収納部12において一度に実行されてもよいし、係員による店側表示部18での操作によって選択された所定の収納部12において個別に実行されてもよい。また、識別計数処理は、各収納部12では、前後の両方の収納本体部31において一度に実行されてもよいし、前後のどちらかの収納本体部31において個別に実行されてもよい。また、識別計数処理は、各収納本体部31において、全ての装填部35に装填された通い箱4について実行されてもよいし、係員によって指定された装填部35に装填された通い箱4のみについて実行されてもよい。いずれにせよ、制御部51は、識別計数処理の度に、賞品払出機3内の各装填部35における賞品Pの在庫数を更新する。
各装填部35における賞品Pの種類および在庫数は、装填部35毎に割り当てられた識別情報と関連付けてテーブル(図示せず)にまとめられ、記憶部52に記憶されている。制御部51は、このテーブルの内容を、図8に示す在庫画面55として店側表示部18に表示することができる。在庫画面55は、店側表示部18における待機画面であってもよい。図8では、説明の便宜上、黒く塗り潰された部分を、大賞品の種類を示す赤色の部分とし、右下へ延びる斜線のハッチングが施された部分を、中賞品の種類を示す青色の部分とし、右上へ延びる斜線のハッチングが施された部分を、小賞品の種類を示す黄色の部分としている。
一例として、店側表示部18の上端部には、賞品払出機3における様々な処理(メニュー)を選択等するためのタッチキーであるメニューキー56が表示され、在庫画面55は、店側表示部18においてメニューキー56よりも下側の領域に表示される。在庫画面55には、タッチキーである見出しキー57と、各装填部35における賞品Pの種類および在庫数が示された個別表示部58とが表示されている。見出しキー57は、左右方向Xに並ぶ3つの収納部12と同数存在し、例えば在庫画面55の下端部において左右に並んで表示されている。左端の見出しキー57Lは、左端の収納部12L(図1参照)に対応しており、収納部12Lを指す<レーン左>という文字が見出しキー57Lに表示されている。真ん中の見出しキー57Cは、真ん中の収納部12C(図1参照)に対応しており、収納部12Cを指す<レーン中>という文字が見出しキー57Cに表示されている。右端の見出しキー57Rは、右端の収納部12R(図1参照)に対応しており、収納部12Rを指す<レーン右>という文字が見出しキー57Rに表示されている。
個別表示部58は、賞品払出機3内における装填部35と同数(1つの収納部12につき12個)存在し、在庫画面55において各見出しキー57の真上の領域に12個ずつ表示されている。各見出しキー57の真上の12個の個別表示部58は、各収納部12における前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bに応じて、6個ずつにまとまって表示されている。これら12個の個別表示部58において、在庫画面55における下側の6個の個別表示部58は、前収納本体部31Aにおける6個の装填部35に1つずつ対応し、上側の6個の個別表示部58は、後収納本体部31Bにおける6個の装填部35に1つずつ対応している。各個別表示部58は、対応する1つの装填部35に割り当てられた賞品Pの種類についての情報を示す種類表示部58Aと、この装填部35における現在の在庫数を示す在庫数表示部58Bとを含む。種類表示部58Aでは、対応する賞品Pの種類についての情報として、この賞品Pの色および種類名の少なくともいずれか(図8では両方)が表示されている。
図9を参照して、繰出払出処理について説明する。繰出払出処理は、通い箱4から賞品Pを1枚ずつ繰り出す繰出処理と、繰出処理により繰り出された本体11内の賞品Pを機外へ払い出す払出処理とを含む。賞品管理機2等からの払出指示に基いて、制御部51は、まず、繰出処理を行う。具体的に、制御部51は、前収納本体部31Aでは搬送体34を右側面視において時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは搬送体34を右側面視において反時計回りに周回移動させる。各収納本体部31では、繰出処理の対象となる装填部35が、払出ユニット42の払出部49に接近すると、第2の姿勢変更機構(図示せず)により、図9に示すように、出入口35Aが横(厳密には斜め上側)を向いた横向き姿勢に傾倒する。
このとき、前収納本体部31Aでは、後側上端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが後側Y2を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から後側Y2へはみ出していて、当該賞品Pの後端面が繰出払出部32側(厳密には斜め上側)を向いている。後収納本体部31Bでは、前側上端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが前側Y1を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から前側Y1へはみ出していて、当該賞品Pの前端面が繰出払出部32側(厳密には斜め上側)を向いている。
図9に示すように、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4内における最下位の賞品Pが、払出ユニット42において待機位置にある払出部49の上面と上下方向Zにおいてほぼ同じ位置になると、制御部51は、搬送体34の周回移動を停止する。搬送体34の周回移動の停止に前後して、制御部51は、繰出ユニット41の姿勢を待機姿勢から繰出姿勢に切り換える。繰出姿勢の前繰出ユニット41Aでは、繰出部43が、前収納本体部31Aの筐体33の内部空間に後側Y2から進入し、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の真下に配置される。繰出姿勢の後繰出ユニット41Bでは、繰出部43が、後収納本体部31Bの筐体33の内部空間に前側Y1から進入し、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の真下に配置される。
次いで、制御部51は、繰出部43における繰出ベルト44を周回移動させ、繰出ローラ46を回転させる。このとき、前繰出ユニット41Aでは、右側面視において繰出ベルト44が時計回りに周回移動して繰出ローラ46が反時計回りに回転する。また、後繰出ユニット41Bでは、右側面視において繰出ベルト44が反時計回りに周回移動して繰出ローラ46が時計回りに回転する。周回移動する繰出ベルト44に設けられた繰出部材47が、繰出ベルト44の平坦部分44Aにおいて払出部49側へ水平移動する。その際、繰出部材47が、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の開口部26(図2参照)に進入して、当該通い箱4の収容空間24内の最下位の賞品Pを引っ掛けて払出部49側へ繰り出す。
払出部49側へ繰り出された賞品Pは、駆動回転される繰出ローラ46に接触することによって払出部49側へ押し出され、左右方向Xにおいて同じ位置にある1つの払出部49上に載る。そして、繰出ベルト44の周回移動と繰出ローラ46の回転が繰り返されることによって、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4において各繰出部43の真上に位置する収容空間24内の賞品Pが、下側Z2の賞品Pから順に1つずつ繰り出されて、払出部49上に集積される。
なお、繰り出された賞品Pが払出部49において上側Z1に集積されるように、賞品Pの繰り出しの度に、制御部51は、払出部49を待機位置から徐々に下降させる。また、制御部51は、横向き姿勢の装填部35を一時上昇させて浮かせている間に繰出部43を左右方向に移動させてから装填部35を元の位置まで下降させ、先ほど賞品Pを繰り出した元の収容空間24とは別の収容空間24の賞品Pを繰出部43によって繰り出してもよい。この場合、当該別の収容空間24から繰り出された賞品Pは、先ほどの払出部49とは別の払出部49に集積される。ここで、当該元の収容空間24の賞品Pが繰出ローラ46とその下のローラ45との間のゲート部分に挟まった状態で装填部35が浮いたり繰出部43が左右に移動したりすると、この賞品Pが引っ掛かることによって、装填部35や繰出部43が円滑に動けなくなる。そこで、制御部51は、装填部35や繰出部43の移動に先立って、繰出ベルト44を逆回転させて、当該賞品Pをゲート部分から退避させて収容空間24に引き戻す。これにより、装填部35の上下移動や繰出部43の横移動が達成できるので、当該別の収容空間24からの賞品Pの繰り出しが可能になる。また、通い箱4における全ての収容空間24が空になると、制御部51は、繰出ユニット41を一旦待機姿勢に戻した後に搬送体34を周回移動させ、別の通い箱4が装填された装填部35を横向き姿勢にする。その後、制御部51は、繰出ユニット41を繰出姿勢に姿勢変更して、当該別の通い箱4から賞品Pを繰り出す。
繰出処理に関連して、図10A〜図10Hを参照して、繰出払出部32の要部の構成についてさらに詳しく説明する。図10A〜図10Hでは、前繰出ユニット41Aおよび後繰出ユニット41Bの両方が、繰出姿勢にあり、各繰出ユニット41の繰出部43における繰出ベルト44(図9参照)の図示が省略されている。繰出払出部32の払出ユニット42は、払出部49の他に、繰出払出部32の筐体40に固定された前板59Aおよび後板59Bと、繰出空間40D毎に設けられて筐体40によって前後に回動可能に支持された板状の前フラッパー60Aおよび後フラッパー60Bとを含む。
前板59Aおよび後板59Bは、前後方向Yに一致した板厚方向を有する縦板であり、これらの上端は、繰出部43において繰出ローラ46に下から対向するローラ45の回転中心とほぼ同じ高さ位置に配置されている。図10Aにおける前フラッパー60Aは、閉位置にあって、前板59Aの真上に位置して上下に延びている。図10Aにおける後フラッパー60Bは、閉位置にあって、後板59Bの真上に位置して上下に延びている。前板59Aおよび閉位置の前フラッパー60Aと、後板59Bおよび閉位置の後フラッパー60Bとの間に、払出部49が配置された繰出空間40Dが区画されている。閉位置にある前フラッパー60Aおよび後フラッパー60Bは、それぞれの上端に設けられた回動軸60Cまわりに回動可能であり、閉位置から繰出空間40D側へ傾くように回動可能である。前フラッパー60Aおよび後フラッパー60Bは、自重、または、ばね等の付勢部材(図示せず)によって閉位置へ戻るように付勢されている。
繰出処理において、例えば前収納本体部31Aから払出部49に賞品Pを繰り出す場合には、賞品Pは、前繰出ユニット41Aの繰出部43において、繰出ローラ46と、繰出ローラ46に下から対向するローラ45との間を通って、後側Y2(厳密には後上側)へ繰り出される。図10Aに示すように、この賞品Pの後端が、閉位置にある前フラッパー60Aに接触するので、前フラッパー60Aは、後側Y2へ回動する。払出部49の前端部には、回動する前フラッパー60Aを通過させる切欠き49Aが形成されている。切欠き49Aは、払出部49の後端部にも形成されており、払出部49は、平面視でH形状をなしている(図5参照)。払出部49の待機位置は、繰り出される賞品Pとの落差が極力少ない受取位置に設定される。または、賞品Pの繰り出しが始まった瞬間に、払出部49は、待機位置から受取位置まで上昇することによって、この賞品Pを迎えに行ってもよい。また、払出部49は、回動する前フラッパー60Aに接触しないように一旦下降し、前フラッパー60Aの回動後に受取位置まで上昇してもよい。この場合には、払出部49に切欠き49Aを形成しなくてもよい。
前フラッパー60Aを回動させた賞品Pは、図10Bに示すように、前フラッパー60Aの下を潜った状態で繰出空間40Dに進入する。この賞品Pは、閉位置へ戻ろうとする前フラッパー60Aの下端によって上側Z1から接触されることによって、押し下げられながら繰出空間40Dに進入する。そして、この賞品Pは、図10Cに示すように、閉位置にある後フラッパー60Bにぶつかることによって失速して、払出部49へ向けて落下する。その際、引き続き閉位置に戻ろうとする前フラッパー60Aが、図10Dに示すように、この賞品Pを払出部49の上面に押さえつけるので、落下して払出部49の上面に着地した賞品Pは、着地の衝撃によって暴れても、すぐに落ち着いて静止する。また、前述したように、払出部49は、繰り出される賞品Pとの落差が極力少ない受取位置にて賞品Pを受け取るので、賞品Pの着地の衝撃を小さく抑えて、払出部49上の賞品Pをより短時間で落ち着かせることができる。なお、ダンパー機構(図示せず)によって払出部49を弾性支持したり、払出部49を衝撃吸収材によって構成したりすることによって、賞品Pの着地の衝撃を小さく抑えてもよい。
そして、図10Eに示すように、前フラッパー60Aが1枚目の賞品Pを払出部49の上面に押さえつけている状態で、払出部49は、賞品P1枚分の厚さに応じた距離だけ下降する。次いで、図10Fに示すように、前収納本体部31Aにおける次(2枚目)の賞品Pが、繰り出される。当該次の賞品Pは、前フラッパー60Aに接触し、1枚目の賞品Pと同様に前フラッパー60Aによって押さえつけられながら、繰出空間40Dに進入して後フラッパー60Bにぶつかった後に落下して、1枚目の賞品P上に押さえつけられる。既に静止している1枚目の賞品Pは暴れていないので、暴れている1枚目の賞品Pと次の賞品Pとの間に前フラッパー60Aが噛み込むことによる賞品Pの集積不良を防止できる。
このようにして必要数の賞品Pが繰り出されると、繰出処理が完了する。繰出処理が完了した状態では、図10Gに示すように、払出部49上に積層された賞品Pは、前フラッパー60Aによって押さえつけられている。なお、以上では、前収納本体部31Aから払出部49に賞品Pを繰り出す場合について説明したが、後収納本体部31Bから払出部49に賞品Pを繰り出す場合には、後フラッパー60Bが、先ほどの前フラッパー60Aと同じ動作をする。繰出処理中では、払出部49上に繰り出された賞品Pが短時間で落ち着くので、前述したように集積不良を防止できるとともに、次の賞品Pを早く繰り出すことによって繰出処理の処理速度の向上を図れる。
以上の繰出処理が完了すると、制御部51は、払出処理を開始する。具体的には、制御部51は、払出処理の対象となる収納部12の真上のシャッタ17を、図9に示す開位置までスライドさせる。これにより、このシャッタ17によって開閉される払出口13Cと、この収納部12の出口40Bとが上側Z1へ開放される。そして、制御部51は、この収納部12における5つ全ての払出部49を、破線にて示す払出位置まで上昇させる。ただし、繰出処理が完了した直後の状態では、前述したように前フラッパー60Aまたは後フラッパー60Bが払出部49上の賞品Pに上側Z1から接触している(図10G参照)。そこで、制御部51は、払出部49を一旦下降させて、前フラッパー60Aや後フラッパー60Bを閉位置に戻してから(図10H参照)、払出位置まで上昇させる。なお、前フラッパー60Aや後フラッパー60Bによって払出部49上の賞品Pが短時間で静止するので、速やかに払出処理を開始できる。そして、払出部49が払出位置まで上昇することにより、各払出部49上に繰り出された賞品Pが、出口40Bおよび払出口13Cから上側Z1に露出されることによって機外へ払い出されるので、係員は、払出部49上の賞品Pを受け取って遊技客に手渡しすることができる。なお、遊技客が、払出部49上の賞品Pを直接受け取ってもよい。
払出部49が払出位置まで上昇したとき、1つの払出口13Cでは、5つの払出部49が並んでおり、これにより、この払出口13Cは、5つの個別払出口13Dに区分けされている(後述する図11参照)。前述したように各収納部12には複数種類の賞品Pがまとめて収納されているので、各個別払出口13Dからは、決まった種類の賞品Pが払い出されるとは限らず、各収納部12内の複数種類の賞品Pが払い出される。各個別払出口13Dにおける払出部49上の賞品Pが係員によって取り出された後に、制御部51は、払出部49を待機位置まで下降させる。さらに、制御部51は、今まで開位置にあったシャッタ17を閉位置までスライドさせ、各繰出ユニット41を繰出姿勢から待機姿勢(図4参照)まで戻す。これにより、払出処理が終了し、一連の繰出払出処理が完了する。
図11は、賞品払出機3の天板13の一部を示す模式的な平面図である。賞品払出機3は、表示部61をさらに含む。表示部61は、左右方向Xに長い帯状の表示器であって、収納部12と同数存在し、天板13の払出面13Aにおいて所定の間隔を隔てて左右方向Xに並んでいる。表示部61に関連して、払出面13Aにおいて各払出口13Cの手前側には、左右方向Xに長い帯状の表示領域62が1つずつ設けられている(図1も参照)。表示部61は、各表示領域62において1つずつ天板13に埋め込まれ、制御部51に対して電気的に接続されており(図6参照)、制御部51の制御によって表示領域62に数字や文字等の記号を表示する。
以下では、左端の収納部12Lに収納されている賞品Pが払い出される払出口13C(レーン左の払出口13C)に対応する左端の表示部61を、表示部61Lということがある。真ん中の収納部12Cに収納されている賞品Pが払い出される払出口13C(レーン中の払出口13C)に対応する真ん中の表示部61を、表示部61Cということがある。右端の収納部12Rに収納されている賞品Pが払い出される払出口13C(レーン右の払出口13C)に対応する右端の表示部61を、表示部61Rということがある。各表示部61は、左右方向Xに並ぶ複数(1つの払出口13Cに含まれる個別払出口13Dと同数であり、ここでは5つ)の個別表示部63を含む。各個別表示部63は、LED等の発光素子を内蔵した複数のセグメント64によって構成されている。各セグメント64が発光することによって、各個別表示部63は、記号を表示する。
各個別払出口13Dから払い出された賞品Pの数は、対応する個別表示部63に表示される。例えば、レーン中の払出口13Cにおける右端の個別払出口13Dから5個の賞品Pが払い出され、レーン中の払出口13Cにおける右から2番目の個別払出口13Dから10個の賞品Pが払い出され、レーン左の払出口13Cにおける右端の個別払出口13Dから8個の賞品Pが払い出されるとする。各レーンの個別払出口13Dにおいて予定数の賞品Pの払い出しを完了するという取引が成立すると、図12(a)に示すように、表示部61Cにおける右端の個別表示部63に「5」が表示され、表示部61Cにおける右から2番目の個別表示部63に「10」が表示され、表示部61Lにおける右端の個別表示部63に「8」が表示される。
このように合計23個の賞品Pを払い出す予定なのに、レーン中では取引が成立したものの、レーン左においてジャム等の異常によって取引が成立しなかった場合には、異常発生が賞品管理機2に通知される。その後に、図12(b)に示すように、表示部61Cにおいて対応する個別表示部63に「5」や「10」が表示されるが、表示部61Lの全ての個別表示部63に「×」が表示される。係員が、取引が成立したレーン中から賞品Pを取り除くと、図12(c)に示すように、表示部61Lの全ての個別表示部63に「×」が引き続き表示された状態で、他の表示部61Cおよび表示部61Rの全ての個別表示部63に「−」が例えば点滅によって表示される。これにより、取引中に賞品P(ここでは8枚の賞品P)の未払いが発生したことが、係員に対して報知される。このように賞品Pの未払いが発生したことは、店側表示部18や、上位機である賞品管理機2に表示されてもよい。これにより、係員は、異常発生時においても、客に賞品Pを正確に渡すことができる。
このように異常によって取引不成立のレーンが存在する場合の運用の一例として、係員は、異常が発生した収納部12を引出位置まで引き出して、この収納部12から不足分の賞品Pを取り出して客に手渡しし、この収納部12の異常を解除して収容位置に戻す。すると、賞品払出機3では、異常解除が賞品管理機2に通知されるとともに、この収納部12についての識別計数処理が実行される。この識別計数処理によって、制御部51は、異常発生前後での在庫数の差を、先ほど客に手渡しした賞品Pの手渡し数として算出して、記憶部52において管理する。しかし、制御部51は、この手渡し数を賞品管理機2に通知しないので、この手渡し数によって賞品管理機2における賞品Pの在庫データに誤差が生じることが防止される。別の運用として、手渡し数が賞品管理機2に通知されてもよく、この場合には、賞品管理機2では、手渡し数が在庫の補充データとして扱われない。これにより、賞品管理機2の在庫データに誤差が生じることが防止される。
賞品払出機3は、賞品払出機3内での払出処理に関する様々な異常(エラー)を検出する異常検出手段の一例としての異常検出部70を含む。異常検出部70は、賞品払出機3内における賞品Pの移動経路の近傍等に配置される公知のセンサであって、単数または複数存在して、制御部51に対して電気的に接続されている(図6参照)。払出処理中に賞品払出機3内で異常が発生したとする。この異常の発生時において、制御部51は、以下の条件1〜3が満たされるか否かを確認する。
・条件1:現在の払出処理において取引不成立のレーン、つまり未払いの賞品Pが存在しないこと。
・条件2:発生した異常が個々の収納部12(レーン)についての異常であり、正常な収納部12が他に存在すること。つまり、この異常によって、正常な収納部12による払出処理に影響が与えられないこと。
・条件3:正常な収納部12に賞品Pの在庫が存在すること。
異常の発生時にこれらの条件1〜3が全て満たされる場合には、正常な収納部12による縮退運転によって次の払出処理が可能である。また、取引中にいずれかのレーンにて異常が発生しても、賞品Pの払い出しが可能な別のレーンつまり正常な収納部12が代わりに賞品Pを払い出すことによって取引が成立すれば、条件1は満たされる。また、複数のレーンにおいて異常が発生していても、正常な収納部12が1つでも存在すれば、条件2は満たされる。
現在の払出処理中での異常の発生時に条件1〜3が全て満たされる場合には、異常の発生直後または当該払出処理後に、制御部51は、図13に示す通知画面71を、店側表示部18において在庫画面55上にポップアップ表示する。通知画面71には、異常の種類を示すエラーコード72(図13では「E−0001」)と、係員向けの案内文73と、エラー解除キー74および次取引優先キー75という2つのタッチキーとが表示されている。
エラーを直ちに解除したい場合、係員は、エラー解除キー74にタッチする。すると、制御部51は、図14に示す解除画面80を店側表示部18に切替表示する。解除画面80には、エラーコード72と、このエラーコード72に対応するエラーの内容(図14では「レーン左エラー」)と、係員向けの案内文81と、3つのレーンを示したイラスト82と、リセットキー83というタッチキーとが表示されている。イラスト82には、今回の異常が発生しているレーン左に対応する位置に、ロック解除キー84というタッチキーが表示されている。
案内文81を見た係員は、ロック解除キー84にタッチする。すると、制御部51は、レーン左、つまり、左端の収納部12Lについてのロック機構20によるロックを解除する。これにより、エラーが発生した収納部12Lは、ソフトウェア上では、賞品払出機3において賞品Pの払い出しが可能な他のレーンから切り離されるので、係員は、この収納部12Lを引出位置まで引き出して、この収納部12のエラーを解除する。切り離された収納部12Lの在庫数は、不明なので零にリセットされる。なお、イラスト82において、エラーが発生していない他の可動レーン(図14では、レーン中およびレーン右)に対応する位置にもロック解除キー84が1つずつ表示されてもよいが、制御部51は、これらのロック解除キー84についての係員によるタッチは無視する。係員は、エラーを解除した収納部12Lを収容位置まで戻してから、リセットキー83にタッチする。すると、収納部12Lは、可動レーンとして復帰する。その際、収納部12Lについての識別計数処理が実行される。
一方、エラーの解除を後回しにして次取引(次の繰出払出処理)を優先したい係員は、通知画面71の次取引優先キー75(図13参照)にタッチする。すると、制御部51は、通知画面71を消去して、図15に示すように、在庫画面55において対応する見出しキー57(ここでは、見出しキー57L)に、レーン左にエラーが発生中であることを示す警告ランプ85を表示する。表示中の警告ランプ85は、点滅または点灯する。係員は、レーン左のエラーが解除されていない状態にあることを警告ランプ85の表示によって把握しながら、次取引を行う。そして、係員は、受付カウンターCの混雑がおさまった任意のタイミングにおいて、受付カウンターCを一旦閉めて、警告ランプ85が表示中である見出しキー57Lにタッチする。これにより、制御部51は、前述した解除画面80(図14参照)を店側表示部18に切替表示するので、係員は、前述した手順によってエラーを解除する。
異常の発生時に前記条件1〜3の全てが満たされない場合には、縮退運転(次の払出処理)ができないので、エラーを直ちに解除しなければならない。そこで、制御部51は、図16に示す通知画面90を、店側表示部18に切替表示する。通知画面90には、エラーコード72と、係員向けの案内文91と、エラー解除キー92というタッチキーとが表示されている。係員がエラー解除キー92にタッチすると、制御部51は、前述した解除画面80(図14参照)を店側表示部18に切替表示する。解除画面80を見た係員は、前述した手順によってエラーを解除する。
従来の賞品払出機の場合、エラー解除のために切り離したレーンを復帰させるために賞品払出機の電源をリセット(OFFおよびON)する必要があった。この場合には、電源のリセットによって時間がかかるし、賞品払出機では、エラーの内容(エラーコード)が、電源のリセットの前後で異なって認識され得る。例えば、賞品のジャムによるエラーであるのに、電源のリセット後は、賞品を検知するセンサの異常によるエラーと認識されることが想定される。これでは、レーン復帰後にエラー解除の処理をする際に、その処理方法がわかりにくい。また、この場合には、エラーの発生原因が1つだけであるのに、このエラーについて複数のエラー発生原因が履歴として残るので、その後の保守作業等の際に、エラー発生原因を正確に特定しにくい。
しかし、本実施形態における賞品払出機3では、異常検出部70が検出したエラーの内容(具体的には、前述した条件1〜3を満たすエラーであるか否か)に応じて、制御部51が、次の払出処理の可否を判定する。なお、この判定は、賞品払出機3が賞品管理機2からの次の払出指示を受信するタイミングの前後のどちらに行われてもよい。次の払出処理が可能と判定された場合の賞品払出機3では、異常が解除されなくても、係員は、異常を保留(換言すれば放置)した状態で次の払出処理に取りかかれる。そのため、次の払出処理をキャンセルして異常の解除に向けた処理を速やかに行わなくても済むので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。また、賞品払出機3では、エラー解除のために切り離したレーンを復帰させるために電源をリセットする必要はなく、前述したリセットキー83(図14参照)にタッチするだけでよい。そのため、従来の賞品払出機について前述した不具合を回避できる。
そして、条件1〜3が満たされる場合、つまり、エラー発生時の取引が成立したことを前提として、このエラーが収納部12に関するエラーであって、かつ、エラーが発生しておらず賞品Pの在庫を有する正常な収納部12が別に存在する場合に、制御部51は、次の払出処理が可能と判定する。よって、異常が発生した収納部12が存在した状態でも、次の払出処理のために当該正常な収納部12から賞品Pを払い出せる。これにより、異常が解除されなくても、次の払出処理が確実に可能である。
制御部51は、次の払出処理が可能と判定した場合には、次の払出処理を優先可能とするとともに、次の払出処理を優先するか否かについての係員による選択を通知画面71(図13参照)によって受け付ける。そのため、例えば係員が多忙により次の払出処理を優先したい状況において異常が発生し、次の払出処理が可能と判定された場合には、係員は、この異常の解除に向けた処理を速やかに行わずに、選択によって目的どおりに次の払出処理を優先することができるので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
次の払出処理を優先することが係員によって選択された場合に、制御部51は、前述した警告ランプ85(図15参照)の表示等によって、今回発生したエラーに関する情報を保留する。そのため、次の払出処理が優先される場合に、今回発生した異常に関する情報が保留されるので、係員は、後の都合の良いタイミングにおいて、この情報に基いて当該異常を解除することができる。これにより、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、制御部51は、エラー発生時に次の払出処理が可能と判定した場合には、所定条件に応じて次の払出処理を強制的に優先してもよく、そのために、通知画面71(図13参照)を表示することなく、警告ランプ85(図15参照)を表示する。当該所定条件として、受付カウンターが混雑しているときや、受付カウンターの混雑が予想されるときである。この場合には、賞品管理機2等の上位機から賞品払出機3に対して、所定条件に応じた信号が入力される。そのため、係員が例えば多忙により次の払出処理を優先したい状況では、異常が発生した状態でも、係員の目的どおりに次の払出処理が必ず優先されるので、異常の発生に関して使い勝手の向上を図れる。
逆に、受付カウンターの閑散時等には、制御部51は、エラー解除を強制的に優先してもよく、その場合には、次の払出処理の可否についての判定自体を行わなくてもよい。別の例として、原則としてエラー解除が優先されるものの、受付カウンターが混雑しているときや、受付カウンターの混雑が予想されるときには、次の払出処理を優先するか否かについて通知画面71(図13参照)によって選択できてもよい。さらに別の例として、原則として次の払出処理が優先されるものの、受付カウンターが混雑しているときや、受付カウンターの混雑が予想されるときには、次の払出処理を優先するか否かが選択できてもよい。
前述したエラーの一例として、あるレーン(ここでは「レーン左」とする。)において、賞品Pの払い出し途中に通い箱4がエンプティになってしまうことがある。この場合のエラー解除の処理として、係員によって収納部12Lに賞品Pが補充される。そのために、制御部51は、店側表示部18に表示した解除画面80において、エラー解除の対象であるレーン左のロックを解除するためのロック解除キー84だけを表示することにより、エラーが発生した収納部12Lだけが引き出し可能となる(図14参照)。これにより、他のレーンの収納部12Cおよび12Rについては、賞品Pを補充できないように引き出し不可となる。そのため、係員にとっては、自身で判断しなくても、エラー解除すべきレーンが把握できるし、当該他のレーンの収納部12に補充用の賞品Pを誤装填してしまうことを防止できる。
なお、1回の取引中に複数のレーンにエラーが同時に発生した場合には、例えば左側X1のレーンから順に1レーンずつ収納部12が引き出し可能になればよい。この場合には、左側X1のレーンから優先して賞品Pが払い出されるように運用されるとよい。また、エラーが同時に発生した複数のレーンにおいて、それぞれに異なる種類の賞品Pがエンプティになる場合が想定される。この場合には、他のレーンにも在庫が存在しない種類の賞品Pがエンプティになったレーンの引き出しが優先されるとよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
3 賞品払出機
11 本体
12 収納部
18 店側表示部
51 制御部
70 異常検出部
P 賞品

Claims (6)

  1. 賞品が収容される本体を含み、前記本体内の賞品を払い出す払出処理を払出指示に基いて行う賞品払出機であって、
    払出処理に関する異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段が検出した異常の内容に応じて、次の払出処理の可否を判定する判定手段とを含む、賞品払出機。
  2. 前記本体内には、賞品が収納される複数の収納部が設けられ、払出処理では各収納部の賞品が払い出され、
    前記異常検出手段が検出した異常が前記収納部に関する異常であって、かつ、異常が発生しておらず賞品の在庫を有する収納部が存在する場合に、前記判定手段は、次の払出処理が可能と判定する、請求項1に記載の賞品払出機。
  3. 次の払出処理が可能と前記判定手段が判定した場合に、次の払出処理を優先可能とする、請求項1または2に記載の賞品払出機。
  4. 次の払出処理が可能と前記判定手段が判定した場合に、次の払出処理を優先するか否かについての選択を受け付ける受付手段をさらに含む、請求項3に記載の賞品払出機。
  5. 次の払出処理が可能と前記判定手段が判定した場合に、所定条件に応じて次の払出処理を強制的に優先する優先手段をさらに含む、請求項3または4に記載の賞品払出機。
  6. 次の払出処理が優先される場合に、今回発生した異常に関する情報を保留する異常保留手段をさらに含む、請求項4または5に記載の賞品払出機。
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