以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1〜図11は、本発明の第1の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を順を追って示した工程図である。これら各図において、(a)はメモリセル部の平面図、(b)は周辺回路部の平面図、(c)は(a)のA−A’断面図、(d)は(a)のB−B’断面図、(e)は(b)のC−C’断面図に対応している。
本実施形態のスタック型DRAMは、ストレージノード電極(SN電極)の構造以外は、基本的には従来のスタック型DRAMと同様の構造である。従来のスタック型DRAMと異なる点は、絶縁膜に形成された溝に導電膜を埋め込んでSN電極を形成し、かつSN電極の側面が順テーパーになっていることである。
ここでは、メモリセル部及び周辺回路部のMOSトランジスタにNチャネルMOSトランジスタを用いた場合について説明するが、PチャネルMOSトランジスタを用いた場合も同様である。
まず、図1に示すように、不純物濃度が5×1015cm-3程度、(100)面のP型シリコン基板1(或いは、N型シリコン基板)を用意する。続いて、Nチャネルトランジスタ領域にはPウエルを、Pチャネルトランジスタ領域にはNウエルを形成する(図示せず)。続いて、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてシリコン基板1に溝を堀る。この溝内に絶縁膜を埋め込むことにより、STI(Shallow Trench Isolation)領域2(トレンチ深さ約0.2μm程度)を形成する。
次に、トランジスタのゲート絶縁膜3として、厚さ60nm程度のシリコン酸化膜を形成する。このゲート絶縁膜3上に、ゲート電極4となる導電膜を形成する。この導電膜は、メモリセル部ではワード線4となる。本例では、ゲート電極4の構造は、抵抗を小さくするために、ポリサイド構造(例えば、ポリSi膜4aとWSi2 膜4bの多層膜からなる積層構造、ポリSi膜4aとWSi2 膜4bの膜厚はそれぞれ50nm程度)としている。なお、ゲート電極構造としては、ポリSi膜のみの構造、或いはポリSi膜とW膜からなる積層構造を用いてもよい。
ゲート電極4の加工は次のようにして行う。まず、ゲート電極となる導電膜上にゲートキャップ膜5としてシリコン窒化膜(Si3 N4 膜)を形成する。このゲートキャップ膜5は、後の工程において、ゲート電極に対するエッチングストッパーとなるものである。その後、ゲートキャップ膜5上にレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとしてゲートキャップ膜5を加工する。さらに、加工されたゲートキャップ膜5をマスクとしてゲート電極4の加工を行う。
次に、RTO(Rapid Thermal Oxidation)法により、1050℃の酸素雰囲気で、100秒程度の急速熱酸化を行ない、いわゆる後酸化膜(図示せず)を形成する。この工程は、ゲート電極4と不純物拡散層6(後の工程で形成される)との間の耐圧を向上させるために行うものである。次に、ソース/ドレインとなるn- 不純物拡散層6を、レジストパターン(図示せず)及びゲート電極4をマスクとして、イオン注入法により形成する。
次に、ストッパー膜として、シリコン窒化膜7(例えば20nm程度の膜厚)を、LP−CVD法により全面に堆積する。その後、層間絶縁膜8としてBPSG膜を、CVD法により約500nmの厚さで全面に堆積する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polish)法により、層間絶縁膜8を研磨して平坦化を行う。このとき、ゲートキャップ膜5上の層間絶縁膜8の膜厚が100nm程度になるようにする。このCMP工程により、基板のほぼ全面が平坦化される。
なお、ソース/ドレインとして、n- 拡散層6の他にn+ 拡散層を、以下のようにして形成してもよい。n- 拡散層6を形成した後、全面にシリコン窒化膜(例えば20nm程度の膜厚)を、LP−CVD法により堆積する。続いて、RIE法によってゲート電極の側壁部に、シリコン窒化膜からなる側壁膜を形成する。続いて、レジストマスク、側壁膜及びゲート電極をマスクにしてシリコン基板1にイオン注入を行い、n+ ソース/ドレイン拡散層を形成する。その後、ストッパー膜として、全面にシリコン窒化膜(例えば20nm程度の膜厚)をLP−CVD法により堆積する。
次に、図2に示すように、層間絶縁膜8上にレジスト9を形成する。このレジスト9をマスクにしてエッチングを行い、不純物拡散層6とビット線及びSN電極とを接続するためのコンタクトホール10を形成する。
このコンタクトホールのエッチングでは、層間絶縁膜8に用いたBPSG膜とストッパー膜7となるシリコン窒化膜との間で、エッチングレートが10程度以上になるような、高選択比RIE法を用いる(BPSG膜のエッチング速度がシリコン窒化膜に比べて10倍以上速くなるようにする)。このようなエッチング方法を用いることにより、ゲート電極4と後の工程でコンタクトホール10に埋め込まれるn+ 型ポリSi膜との間のショートを防ぐことができる。また、ゲート電極4上のストッパー膜7と矩形パターンが形成されたレジスト膜9を用いることにより、ホールパターンを矩形にすることができるため、コンタクトホール面積を大きくすることができる。
次に、図3に示すように、リン(P+ )或いは砒素(As+ )を不純物としてドーピングしたn+ 型ポリSi膜を、LP−CVD法により全面に堆積する。続いて、CMP法或いはエッチバック法により、コンタクトホールにのみn+ 型ポリSi膜を残し、ポリSiプラグ11を形成する。このポリSiプラグ11は、ソース/ドレイン拡散層と電気的に接続され、SNコンタクト12及びBLコンタクト13となる。
次に、図4に示すように、層間絶縁膜14としてBPSG膜を、300nm程度の厚さで、CVD法により全面に堆積する。続いて、CMP時のエッチングストッパーとして、TEOS酸化膜(層間絶縁膜15)を、100nm程度、CVD法により堆積する。
次に、層間絶縁膜14及び15に、通常のリソグラフィ法とRIE法を用いて、コンタクトホール及び溝を形成する。このコンタクトホール及び溝に導電材料を埋め込むことにより、ビット線コンタクト16及びビット線(BL)17が形成される。このビット線コンタクト16及びビット線17より、ポリSiプラグ11とビット線17が電気的に接続される。このビット線コンタクト16及びビット線17の形成には、いわゆるデュアル・ダマシン(dual damascene)工程を用いる。
例えば、W膜/TiN膜/Ti膜からなる積層膜をライン状の溝(深さ350nm程度)に埋め込み、溝中に埋め込んだW膜等を100nm程度エッチングする。続いて、全面にSiN膜を厚さ300nm程度堆積する。さらに、CMP法或いはCDE(Chemical Dry Etching)法により、ビット線17となるW膜等上にのみSiN膜18を選択的に埋め込む。このとき、周辺回路部のコンタクト領域にも、コンタクトホールと溝を予め形成しておく。このようにすると、ビット線コンタクトとビット線をデュアル・ダマシン工程で形成する際に同時に、周辺回路部にもソース/ドレイン拡散層と電気的に接続されるコンタクト・プラグ19を形成することができる。
次に、図5に示すように、通常のリソグラフィ法とRIE法を用いて、層間絶縁膜14及び15に、ポリSiプラグ(SNプラグ11a)に達するコンタクトホールを形成する。続いて、例えばW膜/TiN膜/Ti膜の積層膜を全面に堆積する。続いて、CMP法などにより層間絶縁膜15上のW膜/TiN膜/Ti膜を除去して、コンタクトホール内にのみW膜/TiN膜/Ti膜を埋め込む(以下、コンタクトホール内に埋め込まれたW膜/TiN膜/Ti膜を、Wプラグと略する)。このWプラグ20は、SNプラグ11aを介してソース/ドレイン拡散層と電気的に接続される。なお、コンタクトホールの形成の際には、レジスト(図示せず)とビット線17上のSiN膜18をマスクとして用いる。これにより、微細なコンタクトホールをビット線間の狭い領域に形成することができる。この段階では、図から明らかなように、メモリセル部も周辺回路部も平坦になっている。なお、プラグとしては、Ru膜或いはIr膜を用いてもよい。
次に、図6に示すように、全面に20nm程度の膜厚のシリコン窒化膜21を堆積する。続いて、全面にTEOS酸化膜22を膜厚300nm程度堆積する。その後、SN電極の形成領域が溝パターンとなっているレジスト23を形成し、このレジスト23をマスクとして、RIE法によりTEOS酸化膜22及びシリコン窒化膜21をエッチングする。このエッチングにより、層間絶縁膜14及び15の中に埋め込まれているWプラグ20の表面を露出させる。
このとき、図6(c)及び(d)に示すように、層間絶縁膜21及び22が順テーパー形状となるようにエッチングを行う。言い換えると、レジスト23の穴パターンよりSiN膜21の穴パターンが大きくなるようにエッチングを行う。すなわち、レジスト23の底面での寸法をS1、層間絶縁膜15の表面での寸法をS2とすると、S1<S2となるようにする。また、層間絶縁膜21及び22の側面の角度θは鋭角となる(例えば80度〜89度程度とする)。この角度θは、隣り合ったパターン間のショートの問題や、SN電極の埋め込み特性等を考慮して決める。
このエッチング工程では、TEOS酸化膜22のエッチングをSiN膜21をストッパーとしてRIE法で行い、次いでSiN膜21を選択的にエッチングするようにして行ってもよい。この時、周辺回路部等の領域は、図6(e)に示すようにレジスト23で覆っておく。
次に、図7に示すように、レジスト23を除去した後、スパッタ法又はCVD法により、全面にRu膜を400nm程度の膜厚で堆積する。その後、CMP法或いはエッチバック法を用いて平坦化処理を行い、Ru膜からなるSN電極24(キャパシタの下部電極)を形成する。この時、メモリセル部と周辺回路部には段差が生じていない。
なお、ここではSN電極24の材料としてRu膜を用いたが、RuO2 膜、Pt膜、Re膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜、Ir膜、IrO2 膜、ペロブスカイト結晶構造を持った金属酸化膜(例えばSRO(SrRuO3 )膜)などを用いてもよい。また、これらの積層膜を用いてもよい。さらに、これらの金属膜のグレインを他の金属膜(例えばRh或いはIr)でスタッフィングしたような膜を用いてもよい。
また、SN電極が埋め込まれる溝パターンは逆テーパー形状となっているので、SN電極を埋め込むときにSN電極の中に中空部が生じることがあるが、CMPを行った後のSN電極の表面が平坦になっていればよい。また、平坦になるように逆テーパーの角度を調整してもよい。
次に、図8に示すように、周辺回路部等をレジスト25で覆い、TEOS酸化膜22をNH4 F液等のウェットエッチング溶液を用いて選択的に除去する。この時、TEOS酸化膜22の下のSiN膜21によってエッチングをストップさせることができる。このとき、メモリセル部のSN電極24表面の高さと、メモリセル部以外のTEOS酸化膜22の表面の高さがそろっている。したがって、メモリセル領域とメモリセル領域以外の領域との間の段差を、ほぼなくすことができる。スタック構造のDRAM製造工程においては、段差を小さくすることが重要である。
また、SN電極24の上部コーナーの角度(θ2)は鈍角、下部コーナーの角度(θ1)は鋭角となる。したがって、SN電極24の上部コーナーでの電界集中が緩和され、キャパシタ絶縁膜の耐圧劣化を抑制することができる。また、SN電極24の下部コーナーは、シリコン窒化膜21で覆われることになる。したがって、下部コーナーでの電界集中も緩和することができ、キャパシタ絶縁膜の耐圧劣化を抑制することができる。
また、SN電極24の側面は、TEOS酸化膜22をエッチングすることによって得られた溝の側面が転写されたものである。したがって、平滑なTEOS酸化膜22のエッチング面がSN電極に転写されることになり、SN電極の側面を平滑にすることができる。金属材料をエッチングしてSN電極を形成する場合には、エッチング面の制御が難しいため、平滑なSN電極の側面を得ることは困難である。本例では、SN電極の側面を平滑にすることができるので、SN電極の側面の荒れによる電界集中を抑制することができる。したがって、キャパシタ絶縁膜のリーク電流の増加を抑えることができる。
次に、図9に示すように、キャパシタ絶縁膜となるBST膜26を、CVD法により全面に20nm程度の膜厚で堆積する。続いて、このBST膜26上に、キャパシタの上部電極(プレート電極27)となるRu膜を、CVD法により全面に40nm程度の膜厚で堆積する。さらに、このRu膜上に、キャップ膜28となるTiN膜等を、スパッタ法により50nm程度の膜厚で形成する。その後、プレート電極27及びキャップ膜28を、通常のリソグラフィ法とRIE法などを用いてパターニングする。この時、周辺回路部等のようにプレート電極が無い領域とメモリセル部との間に段差dが生じることになる。
なお、プレート電極27として、Ru膜の他、Pt膜、Re膜、Ir膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜等の貴金属膜を用いることが可能である。また、これらの貴金属の金属酸化膜を用いることも可能である。さらに、SRO等のペロブスカイト型の金属酸化膜等を用いることも可能である。また、これらの積層膜を用いることも可能である。
次に、図10に示すように、プラズマTEOS酸化膜などの層間絶縁膜29を、CVD法により400nm程度の膜厚で全面に堆積し、続いてCMP法により全面を平坦化する。これにより、メモリセル部と周辺回路部との段差をなくすことができる。
次に、図11に示すように、所望の領域にコンタクト孔を開孔し、メタル配線30を形成する。その後、必要に応じて、コンタクト及びメタル配線を複数層形成する。さらにその後、パッシベーション膜の形成、パッドコンタクトの形成等を行い、DRAMを完成させる。
本実施形態の特徴は、SN電極を順テーパー状に形成することである。図12及び図13に示すように、もしTEOS膜22及びSiN膜21の下部側面の角度θ1が直角(θ1=90度)又は鈍角(θ1>90度)であるとすると、SN電極24の上部コーナーの角度θ2は直角(θ2=90度)又は鋭角(θ2<90度)になってしまう。したがって、SN電極24の上部コーナーに電界が集中してしまう。
以上のように、本実施形態では、以下に示すような種々の効果を奏することができる。
SN電極の底部の外周長を長くすることができるので、SN電極の側面積を増加させることができる。したがって、蓄積容量(Cs)を増加させることができ、DRAMの安定した動作を実現することができる。また、高誘電体膜のキャパシタ絶縁膜の被覆性を向上させることができる。したがって、キャパシタ絶縁膜を薄膜化することができるため、蓄積容量をさらに増加させることができる。
また、SN電極の形成方法は、電極膜をRIE法によって加工する方法ではなく、絶縁膜に形成した溝に電極膜を埋め込んで形成する方法である。したがって、SN電極の側面を平滑化することができ、キャパシタ絶縁膜のリーク電流を低減することができる。
さらに、SN電極の上部コーナーの角度を90度よりも大きくできるため、電界集中を緩和することができ、キャパシタ絶縁膜のリーク電流を低減することができる。
(実施形態2)
図14は、本発明の第2の実施形態に係るスタック型DARMのメモリセル部の概略構成を示した図である。図14(a)及び図14(b)は、それぞれ、第1の実施形態の図6(c)及び図8(c)に対応している。第1の実施形態との違いは、SN電極の構造の違いにある。
本実施形態では、第1の実施形態の図6の工程の後、CDE法或いはウェットエッチング法などを用いて、TEOS膜22及びSiN膜21の等方的なエッチングを行う。この等方的なエッチングにより、穴パターンが横方向に拡大するため、SN電極24の表面積を増大させることができる。例えば、穴パターンの径を、第1の実施形態ではW1(例えば0.2μm)であったのが、本実施形態ではW2(例えば0.3μm)に拡大することができる。これにより、リソグラフィで決まるサイズよりも大きなサイズのSN電極を得ることができる。したがって、キャパシタの蓄積容量を増大させることができる。
(実施形態3)
図15は、本発明の第3の実施形態に係るスタック型DARMのメモリセル部の概略構成を示した図である。図15(a)及び図15(b)は、それぞれ、第1の実施形態の図6(c)及び図8(c)に対応している。本実施形態もSN電極の構造が第1の実施形態とは異なっている。
本実施形態では、TEOS膜22及びSiN膜21の側面が、逆テーパー状の放物線状になっている。この放物線状のエッチング形状は、RIE法とCDE法を組み合わせることで実現することができる。これらの方法に、ウェットエッチング法などを組み合わせてもよい。
本実施形態では、SN電極24の側面が放物線状であるため、SN電極の表面積を拡大することができる。例えば、穴パターンの径を、W3(例えば0.2μm)からW4(例えば0.3μm)に拡大することができる。また、SN電極の側面が放物線状であるため、SN電極の表面積を第2の実施形態よりもさらに増大させることができる。これにより、リソグラフィで決まるサイズよりも大きなサイズのSN電極を得ることができ、蓄積容量を増大させることができる。また、SN電極の上部コーナーをなだらかすることができ、電界集中によるリーク電流の増加を低減することができる。
(実施形態4)
図16は、本発明の第4の実施形態に係るスタック型DARMのメモリセル部の主要な製造工程を示した図である。図16(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、第1の実施形態の図6(c)、図8(c)及び図11(c)に対応している。先に示した各実施形態とは、シリコン窒化膜21の構造が異なっている。
図6の工程でTEOS膜22及びSiN膜21を加工した後、第2の実施形態では、SN電極24の面積を拡大するために、TEOS膜22及びSiN膜21を共にエッチングしている。しかし、酸化膜系の絶縁膜22と窒化膜系の絶縁膜21を同時にエッチングすることは、実際には制御が容易ではない。
そこで、本実施形態では、希釈したHF溶液によるウェットエッチング法或いはCDE法により、TEOS膜22のみを所望の量だけエッチングしている。
本実施形態でも、SN電極24の拡大という点では、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。これにより、リソグラフィで決まるサイズよりも大きなサイズのSN電極を得ることができ、蓄積容量を増大させることができる。また、前記SN電極の底部近傍の側面は凹んでおり、この凹んだ部分にはシリコン窒化膜21が接している。すなわち、シリコン窒化膜21がSN電極24の底面下に食い込むように形成されている。したがって、SN電極の下地との密着性を向上させることができる。
なお、図16の例ではSN電極の側面が順テーパー状になっているが、図17(a)及び(b)に示すような構成にしてもよい。このような構成は次のようにして得られる。まず、TEOS膜22及びSiN膜21の側面がテーパー状にならない程度に加工する。その後、希釈したHF溶液によるウェットエッチング法或いはCDE法により、TEOS膜22のみを所望の量(例えば片側0.05μm)だけ後退させる。ウェットエッチング法はエッチング量を精密に制御できるので、TEOS膜22の後退量を精密に制御することが可能である。
なお、上記各実施形態において、Wプラグ20とSN電極24との間にバリアメタル層として、TiN膜、TiSiN膜、TiAlN膜、TaSiN膜を形成してもよい。また、バリアメタル層として、Ru膜、Ir膜、Nb膜又はTi膜等を用いてもよい。また、これらの金属のシリサイド膜を用いてもよく、プラグ膜の窒化物膜(例えばWN膜等)を用いてもよい。また、バリアメタル層としてRu膜或いはIr膜を用いてもよい。さらに、Ru或いはIrの導電性酸化物膜を用いてもよい。バリアメタル層は、プラグが形成されている溝の内部に埋め込み形成される。
(実施形態5)
図18〜図23は、本発明の第5の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を順を追って示した工程図である。本実施形態の途中の工程まではすでに説明した第1の実施形態と同様であるため、途中の工程(図5の工程)までは第1の実施形態を参照することとし、本実施形態ではそれ以降の工程について説明する。なお、第1の実施形態で示した周辺回路部の平面図(各図の(b))及び断面図(各図の(e))については省略しており、本実施形態では、メモリセル部の平面図(各図の(a))、各図(a)のA−A’断面図(c)、各図(a)のB−B’断面図(d)について示している。
本実施形態のスタック型DRAMは、SN電極とメタルプラグとの接続構造に特徴がある。本実施形態では、メタルプラグの上面に対して自己整合的に、導電性かつ耐酸化性のバリアメタル層が形成されている。このバリアメタル層を介して、SN電極とメタルプラグ層が電気的に接続されている。
なお、ここではメモリセルにNチャネルMOSトランジスタを用いた場合について説明するが、PチャネルMOSトランジスタを用いた場合も同様である。
第1の実施形態の図5の工程の後、図18に示すように、層間絶縁膜15及びSiN膜18内のWプラグ20の露出表面に、5nm〜10nm程度の厚さのWN(タングステンナイトライド)膜をバリアメタル層31として形成する。このバリアメタル層31は、例えば、RTA装置を用い、処理温度を500℃とし、アンモニアガスを用いたプラズマ雰囲気でWプラグ20の露出表面を窒化することによって得られる。
バリアメタル層31は、以下のようにして形成することも可能である。Wプラグ20の露出表面を、RIE法或いはCDE法を用いて、約10nm程度エッチングして窪みを形成する。その後、例えばTiN(チタンナイトライド)膜、TiAlN(チタンアルミナイトライド)膜、TiSiN(チタンシリコンナイトライド)膜或いはTaSiN(タンタルシリコンナイトライド)等の500℃程度の酸素雰囲気中でも酸化されない耐酸化性の膜を堆積する。耐酸化性の膜を形成する代わりに、酸化物が金属導電性を示すIr膜やRu膜(RuO2 膜は導電性)等の金属膜を堆積してもよい。その後、CMP法、RIE法或いはCDE法等を用いて不要な導電膜(前記耐酸化性の膜或いはIr膜やRu膜)を除去し、前記窪みに露出しているWプラグ表面上にのみ前記導電膜を残置させる。この残置した導電膜によりバリアメタル層31が形成される。
次に、図19に示すように、全面に20nm程度の膜厚のシリコン窒化膜21を堆積する。さらに、シリコン窒化膜21上にTEOS酸化膜22を300nm程度堆積する。次に、SN電極形成領域が開口パターンとなっているレジスト23を形成する。このレジスト23をマスクとして、RIE法によりTEOS膜22とシリコン窒化膜21をエッチングし、バリアメタル層31の表面を露出させる。
このエッチング工程では、TEOS酸化膜22のエッチングをSiN膜21をストッパーとしてRIE法で行い、次いでSiN膜21を選択的にエッチングするようにして行ってもよい。この時、周辺回路部等の領域は、レジスト23で覆っておけばエッチングされない。
次に、図20に示すように、SN電極材料としてRu膜或いはRuO2 膜(これらの積層膜でもよい)を、スパッタ法又はCVD法により、400nm程度の膜厚で全面に堆積する。その後、例えばCMP法或いはエッチバック法を用いて平坦化処理を行い、SN電極24を形成する。
SN電極の材料としては、その他に、Pt膜、Re膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜、Ir膜、IrO2 膜を用いることができる。また、SN電極の材料として、ペロブスカイト結晶構造を持った金属酸化膜(例えば、SRO(SrRuO3 )膜、CaRuO3 膜)などを用いることもできる。また、各金属膜のグレインを他の金属膜(例えばRh或いはIr)でスタッフィングしたような膜を用いてもよい。
次に、図21に示すように、TEOS膜22をNH4 F液等のウェットエッチング溶液を用いて選択的に除去する。この時、TEOS酸化膜22の下のSiN膜21によってエッチングをストップさせることができる。また、周辺回路部のようにTEOS膜22を除去したくない領域は、レジストで覆って保護する。このエッチング処理により、メモリセル部のSN電極24表面の高さと、メモリセル部以外のTEOS酸化膜22の表面の高さをそろえることができる。したがって、メモリセル領域とメモリセル領域以外の領域との間の段差を、ほぼなくすことができる。
また、SN電極24の側面は、TEOS酸化膜22をエッチングすることによって得られた溝の側面が転写されたものである。したがって、平滑なTEOS酸化膜22のエッチング面がSN電極に転写されることになり、SN電極の側面を平滑にすることができる。金属材料をエッチングしてSN電極を形成する場合には、エッチングモフォロジーの制御が難しいため、平滑なSN電極の側面を得ることは困難である。本例では、SN電極の側面を平滑にすることができるので、SN電極の側面の荒れによる電界集中を抑制することができる。したがって、キャパシタ絶縁膜のリーク電流の増加を抑えることができる。
次に、図22に示すように、キャパシタ絶縁膜となるBST膜26を、CVD法により全面に20nm程度の膜厚で堆積する。続いて、このBST膜26上に、キャパシタの上部電極(プレート電極27)となるRu膜を、CVD法により全面に50nm程度の膜厚で堆積する。さらに、このRu膜上に、キャップ膜28となるTiN或いはW膜等を、スパッタ法により50nm程度の膜厚で形成する。その後、プレート電極27及びキャップ膜28を、通常のリソグラフィ法とRIE法などを用いてパターニングする。
なお、プレート電極27として、Ru膜の他、Pt膜、Re膜、Ir膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜等の貴金属膜を用いることが可能である。また、これらの貴金属の金属酸化膜を用いることも可能である。さらに、SRO、CRO等のペロブスカイト型の金属酸化膜等を用いることも可能である。
次に、図23に示すように、プラズマTEOS酸化膜などの層間絶縁膜29を、CVD法により400nm程度の膜厚で全面に堆積する。続いて、CMP法により全面を平坦化する。これにより、メモリセル部と周辺回路部との段差をなくすことができる。
次に、所望の領域にコンタクト孔を開孔し、メタル配線30を形成する。その後、必要に応じて、コンタクト及びメタル配線を複数層形成する。さらにその後、パッシベーション膜の形成、パッドコンタクトの形成等を行い、DRAMを完成させる。
このように、本実施形態では、メタルプラグの表面にメタルプラグに対して自己整合的にバリアメタル層を形成している。特に、バリアメタル層として耐酸化性に優れたチタンアルミナイトライド(TiAlN)やチタンシリコンナイトライド(TiSiN)などを用いることにより、優れた効果を得ることができる。すなわち、BST膜を形成する時の酸素雰囲気での高温(500℃程度)工程において、メタルプラグの表面が酸化されることを防止できる。したがって、プラグとSN電極との間で良好な電気的接続を得ることができる。また、メタル膜の酸化による体積膨張によってプラグ膜がはがれやすくなることを防止することができる。
また、本実施形態では、SN電極の形成を、酸素を用いた形成条件で行うことができる。したがって、BST膜等の信頼性向上に効果があるRuOx 、SrRuO3 、IrOx 、CaRuO3 等の金属酸化物をSN電極として用いる場合、これらの金属酸化物を形成する時の成膜条件の幅が広がり、歩留まりを向上させることができる。
また、BST等のキャパシタ絶縁膜の成膜時において、酸素分圧及び成膜温度に対する制約が緩和される。したがって、BST膜の成膜条件及び結晶化アニール条件を最適化することができ、BST膜の特性を向上させることができる。
また、本実施形態では、SN電極(Ru、RuOx 、SrRuO3 、IrOx 、CaRuO3 等)を形成するときに、下地のSiO2 膜も同時に表面処理される。したがって、SN電極膜をCVD法で形成する時のインキュベーションタイムが揃い、均一なSN電極膜を全面に形成することができる。
さらに、バリアメタル層をメタルプラグの上部表面のみに自己整合的に形成する、特にプラグ材を窒化してバリアメタル層を形成することにより、工程の簡略化がはかることができる。
(実施形態6)
図24は、第6の実施形態に係るスタック型DARMのメモリセルの概略構成を示す図である。
第5の実施形態との違いは、SN電極の構造の違いである。すなわち、第5の実施形態ではSN電極を箱型に形成しているが、本実施形態では溝の側面及び底面にSN電極を形成している。以下、このような構造を得るための製造工程を説明する。
第5の実施形態の図19の工程において溝の形成及びレジストの除去を行った後、スパッタ法或いはCVD法により、SN電極となるRu膜或いはRuO2 膜を堆積する。膜厚は、溝の側面で30〜40nm程度になるようにする。その後、溝の底部がエッチングされないようにSOG膜或いはレジストでカバーした状態で、CMP法或いはエッチング法を用いて平坦化処理を行う。この平坦化処理により、SN電極24をSN電極溝の側面及び底面に選択的に形成することができる。
本実施形態では、溝の側面及び底面に選択的にSN電極を形成するので、メモリセル部と周辺回路部との間の平坦性を向上させることができる。また、SN電極の側面にTEOS等のシリコン酸化膜が接しているので、SN電極の密着性を高めることができる。
(実施形態7)
図25は、第7の実施形態に係るスタック型DARMのメモリセルの概略構成を示す図である。本実施形態も第5の実施形態に対してSN電極の構造が異なっている。
本実施形態では、第6の実施形態(図24)において、SN電極24を形成した後、フッ酸系の希釈溶液等を用いたウェットエッチングにより、層間絶縁膜22を除去する。このウェットエッチングは、シリコン窒化膜21で停止し、SN電極24は円筒状に形成される。
本実施形態では、円筒状のSN電極の内壁と外壁の両方をキャパシタ電極として用いることができる。したがって、SN電極の高さを低くすることができる。円筒形のSN電極については今までにも提案されているが、本実施形態では、SN電極24に用いる材料に対して密着性のよいバリアメタル層31の材料を選択できるという特徴がある。
なお、第5、第6及び第7の実施形態では、キャパシタ絶縁膜としてBST膜を用いたが、高誘電率を持つ絶縁膜であればよく、PZT膜、STO(SrTiO3 )膜、BTO(BaTiO3 )膜、Ta2 O5 膜等を用いることも可能である。
(実施形態8)
図26〜図29は、第8の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。
まず、図26(a)に示すように、不純物濃度が5×1015cm-3程度、(100)面のP型シリコン基板41(或いは、N型シリコン基板)を用意する。続いて、Nチャネルトランジスタ領域にはPウエルを、Pチャネルトランジスタ領域にはNウエルを形成する(図示せず)。続いて、RIE法を用いてシリコン基板41に溝を堀る。この溝内に絶縁膜を埋め込むことにより、STI領域42(トレンチ深さ約0.2μm程度)を形成する。
次に、トランジスタのゲート絶縁膜43として、厚さ60nm程度のシリコン酸化膜を形成し、このゲート絶縁膜43上に、ゲート電極となる導電膜を形成する。この導電膜は、メモリセル部ではワード線となる。本例では、ゲート電極の構造は、抵抗を小さくするために、ポリサイド構造(例えば、ポリSi膜44とWSi2 膜45の多層膜からなる積層構造、ポリSi膜44とWSi2 膜45の膜厚はそれぞれ50nm程度)としている。なお、ゲート電極構造としては、ポリSi膜のみの構造、或いはポリSi膜とW膜からなる積層構造を用いてもよい。
ゲート電極の加工は次のようにして行う。まず、ゲート電極となる導電膜上にゲートキャップ膜46としてシリコン窒化膜(Si3 N4 膜)を形成する。このゲートキャップ膜46は、後の工程において、ゲート電極に対するエッチングストッパーとなるものである。その後、ゲートキャップ膜46上にレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとしてゲートキャップ膜46を加工する。さらに、加工されたゲートキャップ膜46をマスクとしてゲート電極の加工を行う。
次に、RTO(Rapid Thermal Oxidation)法により、1050℃の酸素雰囲気で、100秒程度の急速熱酸化を行ない、いわゆる後酸化膜(図示せず)を形成する。この工程は、ゲート電極と不純物拡散層(後の工程で形成される)との間の耐圧を向上させるために行うものである。次に、ソース/ドレインとなるn- 不純物拡散層48を、レジストパターン(図示せず)及びゲート電極45,キャップ膜46をマスクとして、イオン注入法により形成する。
次に、シリコン窒化膜47(例えば20nm程度の膜厚)を、LP−CVD法により全面に堆積する。続いて、RIE法によってゲート電極の側壁部に、シリコン窒化膜47からなる側壁膜を形成する。その後、シリコン窒化膜(例えば20nm程度の膜厚、図示せず)を、LP−CVD法により全面に堆積する。さらに、層間絶縁膜49としてBPSG膜を、CVD法により約500nmの厚さで全面に堆積する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polish)法により、層間絶縁膜49を研磨して平坦化を行う。このとき、ゲートキャップ膜46上の層間絶縁膜49の膜厚が100nm程度になるようにする。このCMP工程により、基板のほぼ全面が平坦化される。
なお、ソース/ドレインとして、n- 拡散層48の他にn+ 拡散層を形成してもよい。この場合は、側壁膜47を形成した後、レジストマスク、側壁膜及びゲート電極をマスクにしてシリコン基板にイオン注入を行い、n+ ソース/ドレイン拡散層を形成する。
次に、層間絶縁膜49上にレジスト(図示せず)を形成し、このレジストをマスクにしてエッチングを行い、不純物拡散層48とビット線及びSN電極とを接続するためのコンタクトホールを形成する。
このコンタクトホールのエッチングでは、層間絶縁膜49に用いたBPSG膜とストッパー膜となるシリコン窒化膜との間で、エッチングレートが10程度以上になるような、高選択比RIE法を用いる(BPSG膜のエッチング速度がシリコン窒化膜に比べて10倍以上速くなるようにする)。このようなエッチング方法を用いることにより、ゲート電極45と後の工程でコンタクトホールに埋め込まれるn+ 型ポリSi膜との間のショートを防ぐことができる。
次に、リン(P+ )或いは砒素(As+ )を不純物としてドーピングしたn+ 型ポリSi膜を、LP−CVD法により全面に堆積する。続いて、CMP法或いはエッチバック法により、コンタクトホール内にのみn+ 型ポリSi膜を残し、ポリSiプラグ50を形成する。このポリSiプラグ50は、ソース/ドレイン拡散層と電気的に接続され、SNコンタクト及びBLコンタクトとなる。
次に、CVD法により、層間絶縁膜51を100nm程度の厚さで全面に堆積する。続いて、層間絶縁膜51に、通常のリソグラフィ法とRIE法を用いて、コンタクトホール及び溝を形成する。このコンタクトホール及び溝に導電材料を埋め込むことにより、ビット線コンタクト及びビット線(図示せず)を形成する。これにより、ポリSiプラグ(BLコンタクト)とビット線が電気的に接続される。この工程では、いわゆるデュアル・ダマシン工程を用い、W膜等を溝等に埋め込む例を示した。
その後、エッチングストッパー膜としてシリコン窒化膜53を、50nm程度全面に堆積する。このエッチングストッパー膜を平坦化した後、TEOS膜54からなる層間絶縁膜を150nm程度堆積する。なお、層間絶縁膜54としては、エッチングストッパー膜となるシリコン窒化膜53に対して選択的にウェットエッチング可能であればよく、TEOS膜以外の材料(例えば、BPSG膜やSOG膜)を用いてもよい。
次に、層間絶縁膜54、エッチングストッパー膜53及び層間絶縁膜51をRIE等を用いてエッチングすることにより、ポリSiプラグ50に達するコンタクトホールを開口する。その後、CVD法などを用いてタングステン膜52を全面に堆積する。なお、ここではW膜の例を示したが、Ru膜やIr膜を用いてもよい。
次に、図26(b)に示すように、CMP法により層間絶縁膜54上のタングステン膜を除去し、コンタクトホール内にのみタングステン膜52を残置させる。
次に、図27(c)に示すように、RIE法等を用いてコンタクトホール内のタングステン膜を選択的にエッチングし(リセス処理)、タングステンプラグ52を形成する。
次に、図27(d)に示すように、CVD法を用いてルテニウム(Ru)膜55を全面に堆積する。CVD法の代わりに、スパッタ法やメッキ法等を用いてもよい。その後、CMP法を用いて層間絶縁膜54上のルテニウム膜を除去し、ルテニウム膜の一部をコンタクトホールの上部にのみ残置させ、第1のSN電極55を形成する。
次に、図28(e)に示すように、エッチングストッパー膜53上の層間絶縁膜54を、NH4 F液等の溶液を用いて選択的にエッチングする。この時、シリコン窒化膜からなるエッチングストッパー膜53が、ウェットエッチングのストッパー膜として機能する。
次に、図28(f)に示すように、第2のSN電極となるルテニウム膜56をCVD法を用いて全面に堆積する。CVD法の代わりに、スパッタ法やメッキ法等を用いてもよい。
次に、図29(g)に示すように、RIE法を用いてルテニウム膜56をエッチングし、ルテニウム膜56を第1のSN電極55の側壁にのみ残す。これにより、第1のSN電極55の側壁に第2のSN電極56が形成される。
次に、図29(h)に示すように、キャパシタ絶縁膜として(Ba、Sr)TiO3 膜(BST膜57)を、CVD法により20nm程度全面に堆積する。続いて、プレート電極58としてルテニウム膜を全面に約50nm程度堆積する。その後、RIE法を用いてBST膜57及びルテニウム膜58を加工する。
なお、キャパシタ絶縁膜57としては、BSTに代表されるペロブスカイト型の高誘電率膜以外にも、Ta2 O5 などの高誘電体膜を用いることができる。また、キャパシタ絶縁膜57としては、(Pb、Zn)TiO3 などの強誘電体膜を用いてもよく、さらにはSi酸化物、Al酸化物(Al2 O3 )、Si窒化物などを用いてもよい。
以上の工程により、第1のSN電極55、第2のSN電極56、キャパシタ絶縁膜57及びPL電極58によってDRAMのキャパシタが形成される。
このように、本実施形態によれば、SN電極55及び56の加工の際に、光リソグラフィ法を用いておらず、第1のSN電極55がタングステンプラグ52に対して自己整合的に形成される。したがって、SN電極とプラグとの電気的接続を確実にとることができる。
また、SN電極55がタングステンプラグ52に対して自己整合的に形成されるため、プラグ材料の露出を確実に防ぐことができる。したがって、キャパシタ絶縁膜を成膜する際に、プラグが酸化されることを防止できる。また、プラグ材料とキャパシタ絶縁膜との接触及びプラグ材料とPL電極との接触を防ぐことができる。
また、SN電極の加工に光リソグラフィ法を用いていないため、従来よりも少ない工程数でキャパシタを作製することができる。
さらに、SN電極の上部コーナーが鋭角でないため、上部コーナーでの電界集中を抑えることができ、キャパシタ絶縁膜のリーク電流を抑えることができる。
なお、第1及び第2のSN電極としては、Ti膜、TiN膜、TiAlN膜、W膜、WNx 膜、SrRuO3 膜、Ru膜、Pt膜、Re膜、Ir膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜を用いることができる。また、これらの金属の酸化物導電体或いはこれらの金属に微量な酸素を含む導電体を用いてもよい。
また、これらの電極材料を用いて、第1のSN電極材料と第2のSN電極材料を異ならせるようにしてもよい。例えば、第1のSN電極材料にはプラグ材料との間で正常な電気的接合が得られるものを用い、かつ第2のSN電極材料にはエッチングストッパー膜との密着性に優れたものを用いるようにする。
また、第1のSN電極材料と第2のSN電極材料が同一であっても、成膜法或いは成膜条件(例えば温度や雰囲気)を変えることにより、第1のSN電極と第2のSN電極とで、結晶構造や組成などを変えるようにしてもよい。
図30(a)及び(b)は、本実施形態の変更例を示したものであり、SN電極部近傍の概略構成を示した断面図である。
図26〜図29に示した例では、プラグ52と第1のSN電極55との接触面が、エッチングストッパー膜53より下側になるようにしたが、プラグ52と第1のSN電極55との接触面は、プラグ52が形成されるコンタクトホール内であればよい。例えば、プラグ52と第1のSN電極55との接触面は、図30(a)に示すようにエッチングストッパー膜53よりも上側でもよく、図30(b)に示すようにエッチングストッパー膜53と同じ高さになるようにしてもよい。プラグ52と第1のSN電極55の接触面の高さ位置は、プラグ材料のリセス処理におけるエッチング量を変えることによって調整できる。
このように、プラグ52と第1のSN電極55の接触面の高さ位置には自由度があるため、プロセスマージンを広げることができる。また、第1のSN電極55に貴金属材料に代表される高価な材料を用いる場合、図30(a)のような構造を用いることにより、第1のSN電極の総体積を小さくすることができる。
また、図31に示すように、第2のSN電極5が第1のSN電極55の側面及び上面を覆うようにしてもよい。このような構造は、第1のSN電極55の構成材料の酸化物が絶縁物である場合に有効である。この場合、第2のSN電極56の構成材料としては、その酸化物が導電性を示す材料を用いるようにする。このような構成により、キャパシタ絶縁膜の成膜時に第1のSN電極の酸化を防ぐことができるため、信頼性の高いキャパシタを作製することができる。
また、図32に示すように、第2のSN電極56の幅x及び第1のSN電極55の上面からエッチングストッパー膜53までの距離yを変化させることにより、キャパシタの電荷蓄積領域の面積を変化させることができる。
なお、エッチングストッパー膜53は必ずしも設ける必要はなく、これを省略してさらに工程数を削減することも可能である。
(実施形態9)
図33〜図34は、本発明の第9の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。途中の工程までは、第8の実施形態で説明した図28(e)の工程と同様であり、図33(a)が図28(e)に対応している。
図33(a)の工程の後、図33(b)に示すように、TEOS膜59等のシリコン酸化膜をCVD法によって全面に堆積する。その後、光リソグラフィ法及びRIE法などを用いて、TEOS膜59に溝を形成する。
次に、図34(c)に示すように、Ru膜をCVD法を用いて全面に堆積し、CMP法を用いてTEOS膜59上のRu膜を除去する。その後、TEOS膜59をNH4 F液等の溶液を用いて選択的にエッチングすることにより、第2のSN電極60を形成する。
次に、図34(d)に示すように、キャパシタ絶縁膜57としてBST膜をCVD法を用いて全面に堆積する。さらに、キャパシタ絶縁膜57上に、PL電極58としてRu膜を堆積する。その後、RIE法を用いてこれらの膜を加工することによりキャパシタセルが形成される。
本実施形態でも、第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、第2のSN電極を所望の形状に加工することができるいうメリットがある。
(実施形態10)
図35〜図36は、本発明の第10の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。途中の工程までは、第8の実施形態で説明した図27(c)までの工程と同様である。
図27(c)の工程の後、図35(a)に示すように、TEOS膜61(図26(c)のTEOS膜54に対応)を、第2のSN電極に対応した形状に加工して溝を形成する。続いて、全面にSN電極となるRu膜62をCVD法によって堆積する。
次に、図35(b)に示すように、CMP法を用いて余分なRu膜62を除去し、SN電極を形成する。
次に、図36(c)に示すように、エッチングストッパー膜53上のTEOS膜61を適当なエッチング溶液を用いて除去する。
次に、図36(d)に示すように、キャパシタ絶縁膜57としてBST膜をCVD法を用いて全面に堆積する。さらに、キャパシタ絶縁膜57上に、PL電極58としてRu膜を堆積する。その後、RIE法を用いてこれらの膜を加工することによりキャパシタセルが形成される。
このように、本実施形態によれば、SN電極62の下部構成部がプラグ52に対して自己整合的に形成されるため、SN電極とプラグとの電気的接続を確実にとることができる。また、SN電極の下部構成部がプラグに対して自己整合的に形成されるため、プラグ材料の露出を防ぐことができ、キャパシタ絶縁膜を成膜する際にプラグが酸化されることを防止することができる。
さらに、本実施形態では、SN電極62をプラグ52が形成されているコンタクトホール内及びTEOS膜61の溝内に連続膜として一体に埋め込むので、SN電極の強度を向上させることができる。
(実施形態11)
図37〜図39は、本発明の第11の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。図37(a)の途中の工程までは、第8の実施形態の図26(a)に示した工程の途中までと同様である。
第8の実施形態と同様の工程により、ポリSiプラグ50等を形成した後、CVD法により、層間絶縁膜71としてBPSG膜を、300nm程度の厚さで、CVD法により全面に堆積する。続いて、CMP時のエッチングストッパーとして、シリコン窒化膜(層間絶縁膜72)を、50nm程度、CVD法により堆積する。
次に、層間絶縁膜71及び72に、通常のリソグラフィ法とRIE法を用いて、コンタクトホール及び溝(図示せず)を形成する。このコンタクトホール及び溝に導電材料を埋め込むことにより、ビット線コンタクト及びビット線が形成される。このビット線コンタクト及びビット線より、ポリSiプラグ50(BLプラグ)とビット線が電気的に接続される。このビット線コンタクト及びビット線の形成には、いわゆるデュアル・ダマシン(dual damascene)工程を用い、W膜等をライン状の溝(深さ350nm程度)に埋め込む。
次に、溝中に埋め込んだW膜等を例えば100nm程度エッチングする。続いて、全面にSiN膜を厚さ300nm程度堆積する。さらに、CMP法或いはCDE法により、ビット線となるW膜等上にのみSiN膜(図示せず)を選択的に埋め込む。
次に、通常のリソグラフィ法とRIE法を用いて、層間絶縁膜71及び72に、ポリSiプラグ50(SNプラグ)に達するコンタクトホールを形成する。続いて、例えばW膜/TiN膜/Ti膜の積層膜を全面に堆積する。続いて、CMP法などにより層間絶縁膜72上のW膜/TiN膜/Ti膜を除去して、コンタクトホール内にのみW膜/TiN膜/Ti膜を埋め込む(以下、コンタクトホール内に埋め込まれたW膜/TiN膜/Ti膜を、Wプラグと略する)。このWプラグ73は、SNプラグ50を介してソース/ドレイン拡散層と電気的に接続される。この段階では、メモリセル部は平坦になっている。
次に、図37(b)に示すように、全面に膜厚20nm程度のシリコン窒化膜74を堆積する。さらに、このシリコン窒化膜74上に、膜厚300nm程度のTEOS酸化膜75を堆積する。
次に、図37(c)に示すように、SN電極を形成する領域が穴パターンとなっているレジスト(図示せず)をマスクとして、シリコン窒化膜74及びTEOS酸化膜75をエッチングし、Wプラグ73の表面を露出させる。
次に、図38(d)に示すように、露出したWプラグ73の上部領域を100nm程度エッチングし、Wプラグ73の表面を後退させる(リセス処理)。
次に、図38(e)に示すように、スパッタリング法或いはCVD法により、SN電極材料となるRu膜76を、400nm程度の膜厚で堆積する。
次に、図38(f)に示すように、CMP法或いはエッチバック法により平坦化処理を行い、SN電極76を形成する。
なお、ここではSN電極76の材料としてRu膜を用いたが、RuO2 膜、Pt膜、Re膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜、Ir膜、IrO2 膜、ペロブスカイト結晶構造を持った金属酸化膜(例えばSRO(SrRuO3 )膜)などを用いてもよい。また、これらの金属膜のグレインを他の金属膜(例えばRh或いはIr)でスタッフィングしたような膜を用いてもよい。
次に、図39(g)に示すように、周辺回路部等をレジスト(図示せず)で覆い、TEOS酸化膜75をNH4 F液等のウェットエッチング溶液を用いて選択的に除去する。この時、TEOS酸化膜75の下のSiN膜74によってエッチングをストップさせることができる。このエッチング処理により、メモリセル部のSN電極76表面の高さと、メモリセル部以外のTEOS酸化膜75の表面の高さをそろえることができる。したがって、メモリセル領域とメモリセル領域以外の領域との間の段差をほぼなくすことができる。
SN電極76の側面は、TEOS酸化膜75をエッチングすることによって得られた溝の側面が転写されたものである。したがって、平滑なTEOS酸化膜75のエッチング面がSN電極に転写されることになり、SN電極の側面を平滑にすることができる。金属材料をエッチングしてSN電極を形成する場合には、エッチング面の制御が難しいため、平滑なSN電極の側面を得ることは困難である。本例では、SN電極の側面を平滑化することができるので、SN電極の側面の荒れによる電界集中を抑制することができる。したがって、キャパシタ絶縁膜のリーク電流の増加を抑えることができる。
次に、図39(h)に示すように、キャパシタ絶縁膜となるBST膜77を、CVD法により全面に20nm程度の膜厚で堆積する。続いて、このBST膜77上に、キャパシタの上部電極(プレート電極)となるSRO膜78を、CVD法により全面に40nm程度の膜厚で堆積する。さらに、このSRO膜78膜上に、キャップ膜となるTiN膜等(図示せず)を、スパッタ法により50nm程度の膜厚で形成する。その後、プレート電極78及びキャップ膜を、通常のリソグラフィ法とRIE法を用いてパターニングする。
なお、プレート電極78として、SRO膜の他、Ru膜、Pt膜、Re膜、Ir膜、Os膜、Pd膜、Rh膜、Au膜等の貴金属膜を用いることが可能である。また、これらの貴金属の金属酸化膜を用いることも可能である。さらに、ペロブスカイト型の金属酸化膜を用いることも可能である。
その後、図示しないが、プラズマTEOS酸化膜などの層間絶縁膜を、CVD法により400nm程度の膜厚で全面に堆積する。さらに、CMP法により全面を平坦化する。これにより、メモリセル部と周辺回路部との段差をなくすことができる。さらに、所望の領域にコンタクト孔を開口し、メタル配線を形成する。その後、必要に応じて、コンタクト及びメタル配線を複数層形成する。さらにその後、パッシベーション膜の形成、パッドコンタクトの形成等を行い、DRAMを完成させる。
本実施形態によっても、第10の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、SN電極の上部構成部の底部近傍の側面に絶縁膜が接しているため、この部分での電界集中を抑えることができ、キャパシタのリーク電流を低減することができる。
(実施形態12)
図40は、本発明の第12の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。基本的な製造工程は、図37〜図39に示した第11の実施形態と類似している。
第11の実施形態では、図37(c)の工程において、SN電極等の穴をほぼ垂直に形成した。本実施形態では、図40(a)に示すように、RIE条件を適当に選択することにより、穴の側面が順テーパーとなるようにしている。その後の工程は、第11の実施形態と同様である。すなわち、リセスエッチングによりWプラグ73の表面を後退させ(図40(b))、その後、SN電極76を形成している(図40(c))。
本実施形態では、SN電極の側面を逆テーパーにすることにより、SN電極どうしのショートをさけながら、SN電極の表面積を大きくすることができる。
(実施形態13)
図41は、本発明の第13の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。基本的な製造工程は、図37〜図39に示した第11の実施形態と類似している。
第11の実施形態では、図37(c)の工程において、SN電極等の穴をほぼ垂直に形成した。本実施形態では、図41(a)に示すように、穴の側面が逆テーパーとなるようにしている。逆テーパー形状は、例えばRIE法とCDE法を組み合わせる(さらにウエットエッチング法を組み合わせてもよい。)ことにより得られる。その後の工程は、第11の実施形態と同様である。すなわち、リセスエッチングによりWプラグ73の表面を後退させ(図41(b))、その後、SN電極76を形成している(図41(c))。
本実施形態では、SN電極の側面を順テーパーにすることにより、SN電極の表面積を大きくすることができる。また、SN電極の上部構成部の底部近傍の側面は鋭角になっているが、この部分には絶縁膜が接しているため、この部分での電界集中を抑えることができる。
(実施形態14)
図42は、本発明の第14の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。基本的な製造工程は、図37〜図39に示した第11の実施形態と類似している。
本実施形態では、シリコン窒化膜72上に、直接TEOS酸化膜75を形成する。その後、リセスエッチングによりWプラグ73の表面を後退させる工程において、シリコン窒化膜72の表面も後退させる(図42(a))。その後の工程は、第11の実施形態と同様であり、SN電極76の形成等を行う(図42(b))。
本実施形態においても、SN電極の上部構成部の底部近傍の側面に絶縁膜が接しているため、この部分での電界集中を抑えることができる。
(実施形態15)
図43は、本発明の第15の実施形態に係るスタック型DARMの製造工程を示した工程図である。基本的な製造工程は、図37〜図39に示した第11の実施形態と類似している。
本実施形態でも、第14の実施形態と同様、シリコン窒化膜72上に、直接TEOS酸化膜75を形成する。その後、リセスエッチングによりWプラグ73の表面を後退させる工程において、シリコン窒化膜72の露出部分を全て除去する(図43(a))。その後の工程は、第11の実施形態と同様であり、第1のSN電極76の形成等を行う(図43(b))。
本実施形態においても、SN電極の上部構成部の底部近傍の側面に絶縁膜が接しているため、この部分での電界集中を抑えることができる。
なお、上記第8〜第15の実施形態において、プラグとSN電極との間にバリアメタル層として、TiN膜、TiSiN膜、TiAlN膜、TaSiN膜を形成してもよい。また、バリアメタル層として、W膜、Nb膜又はTi膜等を用いてもよい。また、これらの金属のシリサイド膜や窒化物膜(例えばWN膜等)を形成してもよい。さらに、バリアメタル層としてRu膜を用いてもよい。バリアメタル層は、プラグが形成されている溝の内部に埋め込み形成される。
また、上記各実施形態では、キャパシタ絶縁膜としてBST膜を用いたが、高誘電率を持つ絶縁膜であればよい。例えば、PZT膜、STO膜、Ta2 O5 膜等を用いてもよい。BST膜としては、エピタキシャルBST膜を用いることも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。