JP2008068406A - フレキシブル金属積層体およびフレキシブルプリント基板 - Google Patents

フレキシブル金属積層体およびフレキシブルプリント基板 Download PDF

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Abstract

【課題】高耐熱性を有し、カールや捩れを生じることがなく、かつ、種々な温湿度変化に対しても安定した寸法変化性を有するフレキシブル金属積層体およびそれを用いたフレキシブルプリント基板の提供。
【解決手段】金属層上に、ポリイミド系樹脂を含有する異なる組成の第1および第2の2つの層よりなる絶縁樹脂層を設けたフレキシブル金属積層体であって、金属層側の第1の層の線熱膨張係数αT1、表面側の第2の層の線熱膨張係数αT2、金属層の線熱膨張係数αTMが、次式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、相対湿度50%から90%へ変化した際の絶縁樹脂層全体の吸湿膨張係数αが、次式(3)を満たすことを特徴とするフレキシブル金属積層体。
−4×10-6≦αT1−αTM≦4×10-6/℃ ・・・・・・・(1)
0≦αT2−αT1<5×10-6/℃ ・・・・・・・(2)
α≦15×10-6/%RH ・・・・・・・(3)
【選択図】図1

Description

本発明は、高耐熱性、低カール性、種々の温湿度変化に対しても良好な寸法安定精度を有するフレキシブル金属積層体、およびフレキシブルプリント基板に関する。
フレキシブルプリント基板は、電子部品の高密度実装化を実現させるため、更なる高耐熱化や高精度な寸法安定精度が要求されている。そのため、高耐熱性かつフレキシブル性を有する絶縁樹脂層が導体層と隣接する、いわゆる2層構造のフレキシブル金属積層体が上市され、2層構造のフレキシブル金属積層体に配線形成したフレキシブルプリント基板が注目されている。
例えば、最近の大型液晶ディスプレイ(LCD)用駆動IC用のフレキシブルプリント基板では、ICの多出力化の要求に伴い、2層構造のフレキシブル金属積層体を用いるCOF(Chip On Film)実装が採用され、従来のTCP(Tape Carrier Package)実装の絶縁層に比べ、薄厚化した35〜40μmの厚さのものとなっている。このため、フレキシブルプリント基板の製造工程では、薄厚化した金属積層体の搬送性をより安定させ、また工程全体の歩留まりを上げるため、使用するフレキシブル金属積層体は、反り(カール)性がないことや、温湿度変化に対する寸法変化をより小さくさせることが要求されている。(例えば、非特許文献1参照)
そこで、反り(カール)やねじれを抑え、かつ積層体自身の平坦性を維持させるフレキシブル金属箔積層体の製造方法として、非熱可塑性ポリイミドとして知られるポリイミドフィルムと銅箔からなる金属箔を積層し、これらの間に、非熱可塑性ポリイミド層よりもガラス転移温度の低い熱可塑性ポリイミド層を設けた構成のものや、金属箔上に有機溶剤に溶解した高耐熱絶縁樹脂を直接塗布し、熱処理により脱溶剤することによって絶縁樹脂層を形成したもの等が提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4、5参照)。
特開平9−148695号公報 特許2746555号公報 特許3405252号公報 特開2006−62187号公報 特開2000−22290号公報 「COF技術動向から求められるFPCの課題」エレクトロニクス実装学会誌、第8巻第2号pp.95−99(2005)
しかしながら、特許文献1、2、3に記載の場合は、反り(カール)性を抑え、配線基板の平坦性をもたせるためには、異なる3層以上の絶縁層を設ける構成にしなければならない。絶縁層の多層化は、多層塗工によるため、生産性が低くなるばかりでなく、導体層と樹脂層間、あるいは、樹脂層と樹脂層間に生ずる特性の影響を考慮せねばならず、より安定した配線基板の平坦性や、良好な寸法安定性の確保が困難である。
導体層上の絶縁層は、単層で構成され、かつ、耐熱的にも良好な特性を有するフレキシブルプリント基板が提供できることが望ましいが、導体層より小さい線膨張係数を有する絶縁樹脂を単層で、かつ絶縁層が厚いタイプの金属箔積層体を作製した場合は、絶縁樹脂層の硬化後に、導体層を内側にして大きくカールが生じてしまう。これは、樹脂の低線膨張性による要因以外にも、絶縁層の厚さ方向で、異なる物性が生じているからと考えられる。例えば、絶縁層の線膨張性が、導体層に近い絶縁層部と導体層に最も離れた絶縁層部で異なることにより、カールの発生をさらに助長する。例えば特許文献4には、線膨張係数が20×10-6以下のポリイミド樹脂となるポリアミック酸ワニスを銅箔上に直接塗布、乾燥し、イミド硬化処理することで、導体層上の絶縁層が単層で構成されたものが提案されている。しかし、その目的は、フレキシブル積層基板の絶縁層の耐熱性向上と導体層との接着性向上を意図しており、実施例に例示されたポリイミド絶縁層の線膨張係数が、銅箔の線膨張係数より小さいため、導体層を内側にして大きくカールが生じてしまい、配線基板としての生産性を欠いてしまう。
したがって、高耐熱性を有し、カールのない、かつ、種々な温湿度変化に対しても安定した寸法変化性を有するフレキシブル金属箔積層体は、その絶縁層の層構成が2層構成であることが、より生産性が高く、効率がよいものとなる。特許文献5には、2層構成の絶縁層に関して、「金属箔層より上層に線熱膨張係数が3×10-5以下のポリイミド系樹脂を含む第一樹脂層と、第一樹脂層より上層に上記ポリイミド系樹脂よりも大きい線熱膨張係数をもつポリイミド系樹脂を含む第二樹脂層とが形成されてなるフレキシブルプリント基板」が例示されている。しかしながら、該特許文献中には、「第二樹脂層を構成するポリイミド系樹脂の好ましい線熱膨張係数は、3.0×10-5より大きい樹脂である。さらに好ましくは、4.0×10-5〜4.5×10-5である。該線熱膨張係数が3.0×10-5未満ではエッチング・回路形成後、樹脂層が金属箔と接触していた面を内側にしてカールしやすくなる場合がある。」と記載されており、この場合には第二樹脂層と導体層との線膨張係数の差、及び第二樹脂層と第一樹脂層との線膨張係数の差が、それぞれ大きすぎる為に、種々の温湿度変化が生じた際には、プリント配線されたプリント基板の寸法安定性に問題が生じてしまうのである。
前記課題を解決するために、本発明者は、検討を加えた結果、線熱膨張係数について、2層構成の絶縁樹脂層のそれぞれと、導体層との間にある条件を満たす関係があった場合に、前記の問題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のフレキシブル金属積層体は、金属層上に、ポリイミド系樹脂を含有する異なる組成の第1および第2の2つの層よりなる絶縁樹脂層を設けたものであって、金属層側の第1の層の線熱膨張係数αT1、表面側の第2の層の線熱膨張係数αT2、金属層の線熱膨張係数αTMが、次式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、相対湿度50%から90%へ変化した際の絶縁樹脂層全体の吸湿膨張係数αが、次式(3)を満たすことを特徴とする。
−4×10-6≦αT1−αTM≦4×10-6/℃ ・・・・・・・(1)
0≦αT2−αT1<5×10-6/℃ ・・・・・・・(2)
α≦15×10-6/%RH ・・・・・・・(3)
本発明のフレキシブル金属積層体においては、前記絶縁樹脂層の第1の層の引張弾性率Eと、第2の層の引張弾性率Eとの比(E/E)が、0.8≦E/E≦1.2であることが好ましい。
また、前記絶縁樹脂層の第1の層のTMA法引張モードによる400℃での伸張量Lおよび第2の層のTMA法引張モードによる400℃での伸張量Lの少なくとも一方が500μm以下であることが好ましい。
また、前記絶縁樹脂層の第1の層および/または第2の層のTMA法引張モードによる伸張量の変曲温度が330℃ないし400℃の範囲に存在することが好ましい。
本発明のフレキシブル金属積層体は、前記絶縁樹脂層全体の吸水率が1.7%以下であることが必要である。
また、前記金属層は、銅箔、銅合金箔、ステンレス箔から選ばれる1種以上からなるのが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント基板は、上記のフレキシブル金属積層体を用いて回路形成したものである。
次に、本発明のフレキシブル金属積層体およびフレキシブルプリント基板について詳細に説明する。
[フレキシブル金属積層体]
図1は、本発明のフレキシブル金属積層体の模式的断面図である。
図において、フレキシブル金属積層体は、金属層(金属箔)10と、その片面上に積層された樹脂層11とから構成されている。樹脂層11は、ポリイミド系樹脂を含有する異なる組成の第1の層11aと第2の層11bの2つの層より構成されている。
金属層10を構成する金属としては、銅箔、銅合金箔、ステンレス箔の種のいずれか1種以上を用いることが好ましい。金属箔を使用することにより、ピンホールの発生を抑制でき、そのため、配線欠陥を低減することができる。したがって、歩留まりの向上、電気的信頼性の向上の効果が得られる。
金属層の厚さは、何等限定されるものではないが、好ましくは3〜35μm、より好ましくは3〜18μmである。特に、ファインピッチ化対応や金属箔単独で搬送可能な8〜15μmの範囲とすることが望ましい。
金属層としては、銅箔または銅合金箔のいずれかを用いることが好ましい。エッチング特性が良好でファインピッチ化が対応できる電解銅箔、高屈曲性を向上させることができる圧延銅箔も好適に使用することができる。また、配線層厚さをより薄くする必要があれば、工程内の搬送のしやすい18〜70μm厚さの銅箔の代わりに、キャリア付の1〜5μm厚の極薄銅箔を、さらには銅層の機械強度等の特性調整をおこなう必要があれば、銅組成にスズ等の異種金属を含有させた銅合金箔等も使用することができる。
電解銅箔としては、例えば、古河サーキットフォイル社製(製品名:WS箔)、日本電解社製(製品名:USLP箔、HLB箔)、三井金属鉱業社製(製品名:FQ−VLP箔、TQ−VLP箔)、日鉱マテリアルズ社製(製品名:JTC−AM−FN箔)等が挙げられる。更に超ファインピッチ化に対応させるためには、樹脂層と接する銅箔表面の表面粗さを低くした、いわゆる無粗化電解銅箔を用いることが好ましい。例えば、日本電解社製(製品名:HLS箔)、三井金属鉱業社製(製品名:NA−VLP、NS−VLP)、福田金属箔粉工業社製(製品名:SV−T8G−DS)等が挙げられる。
圧延銅箔としては、例えば、日鉱マテリアルズ社製(製品名:BHY−22B−T箔やBHY−22B−HS箔)および福田金属箔粉工業社製(製品名:RCF−T4X箔)等があげられる。また、銅合金箔としては、例えば、日鉱マテリアルズ社製(製品名:NK−120箔)等が挙げられる。
また、キャリア付極薄銅箔としては、例えば、日本電解社製(製品名:YS−NAP−3B)および三井金属鉱業社製(製品名:MicroThinシリーズ)、古河サーキットフォイル社製(製品名:F−DP箔)などが挙げられる。
ステンレス箔としては、例えば、新日本製鐵株式会社製(製品名:SUS304)が挙げられる。ステンレス箔の強度を調整する必要があれば、アニール処理等を施したステンレス箔を使用してもよい。
本発明に使用する金属層の絶縁樹脂を塗布する表面の10点平均表面粗さ(Rz)は、3.0μm未満であることが望ましい。より好ましくは2.0μm未満、更に好ましくは1.0μm以下である。なお、表面の10点平均粗さ(Rz)は、JIS B−0601によって測定を行ない、金属層の幅方向に沿って、測定長さ2.5mm、カットオフ値0.25mmの条件にて行う。
絶縁樹脂層と金属層との種々環境下での接着力を高める目的で、絶縁樹脂を塗布する前に、金属層の絶縁樹脂を塗布する面に、ニッケル、クロム、亜鉛等の異種金属やシランカップリング剤由来の珪素を表面付着させておくことが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば反応性官能基としてアミノシラン系、エポキシシラン系、ビニルシラン系、メルカプトシラン系等が挙げられる。好ましくはアミノシラン系、エポキシシラン系のものであり、これを用いて、あらかじめ金属層の絶縁樹脂を塗布する面にカップリング処理しておくことが望ましい。
本発明における絶縁樹脂層は、樹脂層が異なる組成で構成された第1および第2の2つの層よりなる樹脂層からなり、各々の層の樹脂組成に少なくともポリイミド系樹脂を含有していればよく、樹脂層11を構成するポリイミド樹脂は1種または2種以上混合して用いることができる。なお、本発明でいうポリイミド樹脂とは、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂の中からいずれか1種を含む樹脂のことである。また、金属層上に塗布する前の段階の樹脂状態としては、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸樹脂溶液でもよいし、ポリイミド化が完全に終了した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を用いてもよい。
また、絶縁樹脂層と金属層との接着力を高めるために、絶縁樹脂層形成用の樹脂溶液中にシランカップリング剤を添加した後、樹脂溶液を金属層に塗布してもよい。好ましくはアミノシラン系、エポキシシラン系を用い、シランカップリング剤の添加量は、樹脂溶液の固形重量分100%に対して0.1%〜1.0%、好ましくは0.2%〜0.5%の範囲にすればよい。シランカップリング剤の添加量が0.1%未満であると、シランカップリング剤の効果が顕著に発現されない。また添加量が1.0%を超えると、樹脂溶液のゲル化を引き起こしやすい。
また、絶縁樹脂層11には、難燃性を付与させるためのリン酸エステル系化合物、窒素系エステル化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂を添加することもできる。
また、絶縁樹脂層11には、フレキシブルプリント基板の製造工程時の搬送性を良好にするために、有機フィラー、無機フィラー等を添加することもできる。ただし、有機フィラー、無機フィラーは、接触面13側ではなく、最外面12側の層に配合することが望ましい。
フィラーとしては、中でも無機フィラーが好ましく、特に好ましくは平均粒径0.005〜5μm、さらに好ましくは0.005〜2μmのコロイダルシリカ、窒化珪素、タルク、酸化チタン、リン酸カルシウム等である。その配合量は、例えば添加する層の樹脂100質量部に対して、0.1〜3質量部に設定される。
本発明のフレキシブル金属積層体における絶縁樹脂層11の厚さは、10μm〜75μmの範囲が望ましく、より好ましくは12μm〜50μm、更に好ましくは20μm〜40μmである。絶縁樹脂層厚さが10μm未満では、積層体自体のコシが弱く、積層体単独では搬送性に乏しくなる。積層体の厚さが75μmを超えると、絶縁樹脂層の塗布厚さによっては同組成の樹脂層の塗布回数が増えることになり、生産性に欠けたり、フレキシブルプリント基板の折り曲げ性や小型化ができにくくなる。
絶縁樹脂層が2層以上の複数層にて構成されている場合、可能であれば各層毎に分離し、測定することが望ましいが、各層厚さの違いや、樹脂層−樹脂層の層間の識別がつきにくい等のため、明確に樹脂層を分離させることは困難である。そこで、本発明における線熱膨張係数については、以下の手順で測定する。なお、本発明における「線熱膨張係数」とは、TMA(サーモメカニカルアナライザー)を用いた引張測定を行い、JIS K7197での平均線熱膨張率算出方法により、50℃から250℃における平均線熱膨張率を算出したものである。
まず、図1に示す構造のフレキシブル金属積層体を、2つ用意する。次いで、2つのフレキシブル金属積層体について、それぞれ、図2に示す様に、金属層10を除去し、絶縁樹脂層11のみとする。金属層10の除去には、化学エッチング処理等を適用することができる。例えば銅箔からなる金属層10を用いた場合には、塩化第二鉄溶液などによって除去することができる。
そして、一方の絶縁樹脂層11から、以下の様にして第1の層11aのサンプルを得る。すなわち、この絶縁樹脂層11について、マイクロメータを用いて絶縁樹脂層11の膜厚(T0)を計測する。そして、膜厚をマイクロメータにて計測しながら、機械研磨等の方法により、絶縁樹脂層11を最外面12側から、膜厚が全体厚さの2/3になるまで削りとる。これにより、金属層10との接触面13側の第1の層11aのサンプルが得られる(図3参照)。
また、他方の絶縁樹脂層11についても、以下の様にして第2の層11bのサンプルを得る。すなわち、第1の層11aのサンプルを得る手順と同様にして、この絶縁樹脂層11を、今度は金属層10との接触面13側から膜厚が全体厚さの2/3になるまで削り取る。これにより、金属層10と反対側の最外面12側にある第2の層11bのサンプルが得られる。
そして、第1の層11aのサンプルを、23±5℃、55±5%相対湿度環境下で24時間以上放置した後、TMAによる引張測定を行い、50℃から250℃における平均線熱膨張率を、JIS K7197での平均線熱膨張率算出方法により算出して、第1の層11aの線熱膨張係数αT1(×10-6/℃)を得る。
他方、第2の層11bのサンプルについても、第1の層11aのサンプルと同様にTMAによる引張測定を行い、50から250℃における平均線熱膨張率を、JIS K7197での平均線熱膨張率算出方法により算出して、第2の層11bの線熱膨張係数αT2(×10-6/℃)を得る。
また、金属層の線熱膨張係数αTMについては、絶縁樹脂層を形成する前の状態における導体のTMAによる引張測定を行い、第1の試料11aの場合と同様に、50℃から250℃における平均線熱膨張率を、JIS K7197での平均線熱張率算出方法により算出し、金属層の線熱膨張係数αTM(×10-6/℃)を得る。
本発明における樹脂層の線熱膨張係数は、上記式(1)および式(2)の関係を満たすように設定される。すなわち、第1の層11aと金属層との線熱膨張係数の差(αT1TM)は、−4(×10-6/℃)〜4(×10-6/℃)の範囲に設定する必要があり、より好ましい範囲は、−1(×10-6/℃)〜3(×10-6/℃)であり、さらに好ましくは、0(×10-6/℃)〜3(×10-6/℃)の範囲である。しかしながら、金属層と隣接した層である第1の層11aの線熱膨張係数αT1は、金属層の線熱膨張係数αTMとほぼ同値か、金属層よりやや小さい値にしておくのが好ましい。
金属層と第1の層11aとの線熱膨張係数の差(αT1−αTM)が、−4(×10-6/℃)を超えた場合には、金属積層体の状態で樹脂層を内側にして大きくカールが生じやすくなる。また線熱膨張係数の差(αT1−αTM)が、4(×10-6/℃)を超えた場合には、反対に金属積層体の状態で金属層を内側にして大きくカールが生じやすくなる。
本発明において、絶縁樹脂層の第2の層11bの線熱膨張係数αT2は、第1の層の線熱膨張係数αT1とほぼ同じ値か、やや大きい値に設定される。すなわち、本発明において、第2の層11bの線熱膨張係数αT2と第1の層11aとの線膨張係数の差(αT2−αT1)は、0(×10-6/℃)〜5(×10-6/℃)未満であることが必要であり、より好ましいのは0(×10-6/℃)〜3(×10-6/℃)であり、さらに好ましいのは0(×10-6/℃)〜1(×10-6/℃)である。
第2の層11bと第1の層11aとの線熱膨張係数の差(αT2−αT1)が、5(×10-6/℃)以上の場合には、金属積層体の状態で絶縁樹脂層を内側にして大きくカールが生じやすくなる。また線熱膨張係数の差(αT2−αT1)が、0(×10-6/℃)未満の場合には、反対に金属積層体の状態で金属層を内側にして大きくカールが生じやすくなる。
また、本発明のフレキシブル積層体およびそれを利用したプリント基板のカール性は、異種材料の積層による線熱膨張係数の差による要因以外に、製造工程内で生じる湿度の吸脱湿によっても生じてくる。そこで、本発明の絶縁樹脂層の吸湿膨張係数(α)が15×10-6/%RH以下であることが望ましい。より好ましくは10×10-6/%RH以下にすることにより、高寸法安定性を要求されるプリント基板、例えば、狭ピッチのフリップチップ接合性が求められるプリント基板を提供することができる。
本発明での絶縁樹脂層の吸湿膨張係数(α)は、次にようにして測定される。測定用サンプルは、線熱膨張係数を測定する際のものと同じもので、縦70mm×横70mmのサイズのものを用い、測定方向は、金属層に樹脂を塗布した際の銅箔流れ方向と同じ(以下MD方向という)として、以下のように測定する。
まず、測定用サンプルの金属層10に接触していなかった方の表面上に、MD方向において、1点マーキングし、さらにこの点との距離が55mmとなるように、2点目をマーキングする。その後、23±2℃、50±5%相対湿度雰囲気下の恒温恒湿槽に測定用サンプルを入れ、24±1時間放置後、MD方向にマーキングした2点間の距離を3次元デジタル寸法測定機にて測定する。この寸法測定値を(MD50)とする。測定後、測定用サンプルを23±2℃、90±5%相対湿度雰囲気下の恒温恒湿槽に測定用サンプルを入れて24±1時間放置し、50±5%相対湿度のときと同様にして、2点間の距離を測定する。この寸法測定値を(MD90)とする。
そして、以下の式によって、吸湿膨張係数(α)求める。
α=[(MD90)−(MD50)]/[(MD50)×(90−50)]
(単位:×10-6/%RH)
なお、測定条件は、湿度の高い過酷な条件下で保管された場合を想定して上記のように決定した。
本発明における絶縁樹脂層の望ましい耐熱性として、前記絶縁樹脂層の第1の層のTMA法引張モードによる400℃での伸張量Lおよび第2の層のTMA法引張モードによる400℃での伸張量Lの少なくとも一方が500μm以下であることが望ましい。より好ましい伸張量は300μm以下であり、さらに好ましくい伸張量は100μm以下である。
前記絶縁樹脂層の400℃での伸張量について、第1の層の伸張量Lは、第2の層の伸張量L以下であるのが好ましい。より好ましくはL≦L≦500μmであり、さらに好ましくはL≦L≦300μm以下である。
また、前記400℃での伸張量L、Lのどちらかが、500μm以下の条件の下で、前記絶縁樹脂層のTMA法引張モードによる同測定における伸張量の変曲温度が、330℃〜400℃に存在することが望ましく、より好ましくは350℃〜400℃に存在する。なお、本発明におけるTMA曲線での伸張量の変曲温度とは、TMA曲線における伸張量が変曲を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、変曲速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点の温度を絶縁樹脂層の変曲温度とする。
また、本発明においては、絶縁樹脂層の吸水率を測定することにより、絶縁樹脂層の吸湿性を知ることができる。本発明においては、吸湿膨張係数を測定する際と同様にして金属層をエッチングして除去した5cm×5cm形状のサンプルを用いて、吸水率を測定する。循環熱風オーブンにて150±5℃下で1時間加熱したものを吸水前重量と定め秤量する。秤量後のサンプルを水中に23±5℃、24±1時間放置した後を吸水後重量と定め秤量する。サンプルの吸水前後の重量より吸水率(%)を算出する。
本発明における絶縁樹脂層の吸水率は、1.7%以下であることが望ましく、より好ましくは1.0%以下であり、更に好ましくは0.5%であり、それにより、作業環境下での絶縁樹脂層中の吸水による寸法変化を抑制することができる。また、吸水率が1.7%を超えると、絶縁フィルムが吸水しやすいため、急激な吸脱湿による寸法変化を抑制することができない。
さらに、本発明においては、絶縁樹脂層11全体については、以下の特性を満足することが、耐熱性向上の点から一層望ましい。
1点目は、絶縁樹脂層が「動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(E′)」が大きい樹脂材料から構成されることである。また、ガラス転移点(Tg)が高く、かつ貯蔵弾性率(E′)が大きい樹脂材料から構成されることが望ましい。
絶縁樹脂層を構成する樹脂材料のガラス転移温度(Tg)は、以下のように測定される。すなわち、樹脂材料の動的粘弾性測定を行い、その結果を温度と損失係数(tanδ)との関係のグラフにしたときの、ピークの頂点の温度(ピークトップ温度)をTgとする。実際は、ピークトップ温度は測定装置にて自動的に検出される。すなわち、強制震動非共振型粘弾性測定器(オリエンテック社製、商品名:レオバイブロン)を用いて、測定条件:加振周波数11Hz、静的張力3.0gf、サンプルサイズ0.5mm(幅)×30mm(長)にて、常温常湿環境下から昇温速度10℃/minで400℃まで昇温し、温度と損失係数の関係を求めることにより得られる。
絶縁樹脂層の各層を構成する樹脂材料においては、例えば質量平均分子量が異なる樹脂を混合した場合等において、ピークトップ温度は2つ以上存在する場合がある。そして、その少なくとも1点が350℃以上であることが望ましい。絶縁樹脂層を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)は高い程好ましく、より好ましくは380℃以上のガラス転移点(Tg)が存在することであり。さらには、400℃以上のガラス転移点(Tg)が存在することが望ましい。また、複数のガラス転移点(Tg)が存在する場合、全てのガラス転移点(Tg)が350℃以上であることが、高温処理時の変形等防止等の点から望ましい。
絶縁樹脂層を構成する樹脂材料の貯蔵弾性率(E′)は、強制震動非共振型粘弾性測定器(オリエンテック社製、商品名:レオバイブロン)による動的粘弾性測定における、温度300℃の測定値である。具体的な測定条件は、ガラス転移点(Tg)の場合と同様であり、加振周波数11Hz、静的張力3.0gf、サンプルサイズ0.5mm(幅)×30mm(長)にて、常温常湿環境下から昇温速度10℃/minで400℃まで昇温する。そして、300℃の測定値を求める。
貯蔵弾性率(E′)は、好ましくは1GPa以上、特に好ましくは3GPa以上である。上限値は特に限定するものではないが、実質的には10GPa以下である。
2点目は、前記絶縁樹脂層全体の200℃から400℃までのTGAによる熱重量減少率が1%以下であることが望ましい。ここでいう熱重量減少率とは、TG/DTA装置により測定したものであって、200℃で測定した重量減少値から、400℃で測定した重量減少値を引いた値である。熱重量減少率が1%を超えてしまうと、プリント基板の製造工程中にかかる温度変化によって、積層体、とりわけ硬化が終了した絶縁樹脂層中から、塗布時の残存した有機溶剤が飛散してプリント基板の信頼性を低下させる恐れがある。
3点目は、絶縁樹脂層11全体を測定用サンプルとしたとき、その接触面13からのTMA法による針入変位量(L)が、5μm以下であり、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm未満であることである。これにより、高温時に絶縁樹脂層11の厚さ方向に高い温度や高い圧力が急激にかかった場合に、その影響による樹脂の変形等が防止できる。
なお、「針入変位量」とは、TMAを用い、先端が1mm×1mm角の針入プローブで、荷重:300mN、昇温速度:20℃/minの測定条件において、金属層10を取り除いた後の絶縁樹脂層11を、23±5℃、50±5%相対湿度環境下で24時間以上放置した後、20℃/minにて昇温しながら350℃に到達した時点の針入変位量である。
本発明のフレキシブル金属積層体を製造するためには、金属層上に絶縁樹脂層形成用の樹脂溶液を塗布すればよい。その場合、形成される絶縁樹脂層中の不純物やゴミ等の異物により、プリント基板の信頼性を損ねないために、金属層上に樹脂溶液を塗布する前に、樹脂溶液を濾過(フィルター)しておくことが好ましい。濾過の際には、樹脂溶液の特性に応じて、濾材の種類、濾材フィルター径などの条件を必要に応じて任意に採用することができる。
金属層上に樹脂溶液を塗布した後、その層の表面のタック性がない状態まで初期乾燥を行う。以下、塗布、乾燥の操作を繰り返して、2層からなる絶縁樹脂層11を形成する。なお、2層間でミキシングが生じない程度に連続塗布することもできる。
樹脂溶液に用いる有機溶剤としては、樹脂を溶解する有機溶剤であればよく、溶剤の種類も1種類のみで用いても、2種類以上の混合溶剤として用いてもかまわない。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤などの極性溶剤が挙げられる。また、これら比較的高沸点溶剤の他に、樹脂の溶解性に問題がない範囲で、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン系の芳香族系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクライム、トリグライム等のエーテル系溶剤等を混合溶剤として用いることもできる。
塗工機としては、所望の樹脂層厚に応じ塗布することが可能であればいずれも制限されるものではない。例示として、コンマコータ、ダイコータ、リバースコータ、リップコータ、グラビアコータ、ダム式コータ等を所望の樹脂層厚に応じ単独または、各塗工ヘッドを組み合わせ連続塗布等が可能な塗工機が挙げられる。
また、ポリイミド前駆体樹脂を塗布する場合には、その乾燥温度は、ポリイミド前駆体樹脂層のイミド化が進行しない程度の温度で行うことが好ましく、具体的には、150℃以下、さらには110〜140℃の範囲が好ましい。
好ましい初期乾燥方法として、金属層上に樹脂溶液を塗布した後、その層の表面のタック性がない状態まで初期乾燥した際の積層体中に残留する溶剤揮発量が、50重量%以下、より好ましくは溶剤揮発量が10重量%〜35重量%、さらに好ましくは金属層と接する絶縁樹脂層を初期乾燥させた際の溶剤揮発量が10重量%〜20重量%であり、金属層上に2層重ねて初期乾燥した際の溶剤揮発量が10重量%〜35重量%であることが好ましい。
溶剤の残留揮発量が10重量%以下の場合、過乾燥のため、初期乾燥直後の積層体がカールしてしまい、積層体を搬送することが困難となることや、樹脂層−樹脂層との密着性が低下することで、層間剥離を生じやすくプリント基板としての信頼性低下を招く。また、溶剤の残留揮発量が50重量%以上の場合は塗布層表面が、未乾燥状態や、樹脂層表面にタック性が残ることにより、塗工後の積層体を巻き取った際に、塗布面と金属層の非塗布面が付着したり、金属層の非塗布面が残留溶剤により汚染したりする恐れがある。
このような初期乾燥(ドライヤー)工程は、塗布された金属層が、装置に接触しないフローティング形式や、金属層の絶縁樹脂を塗布する面の汚染や傷を防止するため、ハードクロムメッキ等でコーティングされた金属ロールが付設されたロールサポート形式のものを使用する等、任意のプロセスを採用することができる。加熱は熱風を気流として吹き出すことにより行うことが好ましいが、赤外線加熱、電磁誘導加熱等を使用又は併用してもよい。加熱ドライヤー内は、樹脂の特性劣化が生じない範囲で、空気雰囲気下や、窒素、炭素ガス、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下のいずれも選択可能である。
またプリント基板の信頼性が損なわない程度まで残留溶剤量を脱溶剤化させてもよい。また、ポリイミド前駆体を含有する場合のイミド化に必要な硬化工程は、初期乾燥工程と同様に、任意のプロセスを採用することができる。例えば、塗布、初期乾燥が終了した塗工物をロールトゥロール搬送により搬送し、巻出装置、乾燥炉(ドライヤー)、巻取装置等を付設したインライン式加熱により処理するプロセス、または金属層に絶縁樹脂層を塗布、乾燥した積層体を金属筒をコアにして円筒(ドーナツ)状に巻取、その後不活性ガス雰囲気下、または減圧雰囲気下にてオーブン、オートクレーヴ等中に投入して熱処理する、いわゆるバッチ式処理のいずれも選択可能である。
バッチ式処理での熱処理を行う際には、塗布した金属積層体のスペーサとして、表面平滑な金属板を用いて、その金属板表面に、金属積層体が密着するようにドーナツ形状に、かつ、ステンレス板同士の間隔が一定となるように巻きつけ後、熱処理装置に投入することが望ましい。
この際、金属コアとしては、ステンレス製またはアルミニウム製で、6〜10インチ幅程度のものを使用することが好ましい。
また金属積層体のスペーサとして使用する金属板は、前述の熱処理条件中に金属板の表面酸化を起こさないもので、表面が平滑なものであればよい。厚さが0.1〜0.5mm程度のステンレス板(例えば、日本金属社製:SUS304−CSP、SUS316、SUS430)を使用するのが好ましい。さらには、ステンレス材表面の平滑レベルとして、ステンレス材のBA仕上げ(たとえば、日本金属社製:製品名SUS340BAの表面粗さはRa=0.01μm)程度にしておくことが好ましい。
さらに前述した長尺リール状のステンレス板の一端を金属製コアに、あらかじめ巻きつけておき、塗布した金属積層体の樹脂塗布面側がステンレス板の巻外を向くようにして、ステンレス板表面と金属積層体の金属層非塗布面とが接触するように、ドーナツ状の形に巻きつけることが望ましい。この際、ステンレス板とステンレス板が0.8〜3.0mm間隔程度に空隙を残すようにして、ドーナツ状にステンレス板と塗布した積層体を巻き付けるのが好ましい。それにより、絶縁樹脂層を塗布、乾燥した金属積層体の熱収縮や均一な脱溶剤化を促進させ、一様な位置寸法精度を保持したフレキシブル金属積層体を得ることができる。
[フレキシブルプリント基板]
本発明のフレキシブルプリント基板は、本発明の上記フレキシブル金属積層体を用いて形成されたものであり、例えば、図1に示した構成において、金属層10をフォトレジスト法により処理して配線パターンを形成することによって得ることができる。
本発明のフレキシブル金属積層体は、上記の構成を有することによって、2つの樹脂層間に生じる特性の相違に基く影響が少なく、また、絶縁樹脂層と金属層の間に生じる不都合が解消でき、絶縁樹脂層の変形、フレキシブル金属積層体のカール、急激な温湿度変化に対する寸法精度等に伴う不都合を解決することができる。そして、本発明のフレキシブル金属積層体を用いて作製されたフレキシブルプリント基板は、高耐熱性を有し、カールや捩れを生じることがなく、かつ、種々な温湿度変化に対しても安定した寸法変化性を有するという効果を生じる。
以下、本発明を実施例によって具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<樹脂溶液A>
ポリアミック酸溶液(宇部興産社製、商品名:U−ワニス−S、固形分濃度18.0質量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液)。
<樹脂溶液B>
ポリアミック酸溶液(日本化薬社製、商品名:KAYAFLEX KPI−100K、固形分濃度15.0質量%、N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドンの混合溶液)。
<樹脂溶液C>
ポリアミック酸溶液(日本化薬社製、商品名:KAYAFLEX KPI−200K、固形分濃度30.0質量%、N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドンの混合溶液)。
<樹脂溶液D>
ポリアミドイミド溶液(東洋紡績社製、商品名:バイロマックスHR−16NN、固形分濃度13.0質量%、N−メチル−2−ピロリドン溶液)。
<樹脂溶液E>
前記樹脂溶液Aの595.0gと前記樹脂溶液Bの306.0gとを室温下にて混合して攪拌し、固形分濃度17質量%のポリイミド系樹脂溶液を得た。
<樹脂溶液F>
前記樹脂溶液Bの304.0gと前記樹脂溶液Cの101.0gとを室温下にて混合して攪拌し、固形分濃度19質量%のポリイミド系樹脂溶液を得た。
<樹脂溶液G>
シリカフィラー(日本アエロジル社製、製品名:アエロジルR972)5.0gとN−メチル−2−ピロリドン45.0gを混合および分散させたシリカフィラー分散液をあらかじめ調製しておき、前記樹脂溶液Bの3040gと前記樹脂溶液Cの1010gと前記シリカフィラー分散液(日本アエロジル社製、製品名:アエロジルR972)38.0gとを室温下で混合して攪拌し、固形分濃度18.7質量%のポリイミド系樹脂溶液を得た。
<樹脂溶液H>
アミノシランカップリング剤(チッソ社製、商品名:サイラエースS330)を固形分濃度10質量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液にて調製した後、3.4g秤量したものを、前記樹脂溶液Eの中に混合して攪拌し、固形分濃度16.9質量%のポリイミド系樹脂溶液を得た。
<樹脂溶液I>
シリカハイブリッドタイプのポリアミック酸溶液(荒川化学社製、商品名:コンポセランH−850D、固形分濃度16.0質量%のN,N−ジメチルアセトアミド溶液)。
<樹脂溶液J>
前記樹脂溶液Aの700.0gと前記樹脂溶液Cの180.0gとを、室温下で混合して攪拌し、固形分濃度20質量%のポリイミド系樹脂溶液を得た。
<樹脂溶液K>
シリカフィラー(日本アエロジル社製、製品名:アエロジルR972)10.0gとN−メチル−2−ピロリドン40.0gを混合および分散させたシリカフィラー分散液をあらかじめ調製しておき、前記樹脂溶液Aの560.0gと前記樹脂溶液Cの224.0gと前記シリカフィラー分散液(日本アエロジル社製、製品名:アエロジルR972)8.4gとを室温下で混合して攪拌し、固形分濃度21.3質量%のポリイミド系樹脂溶液を得た。
次に前記の樹脂溶液を用いて、下記の手順にしたがって、フレキシブル金属積層体を作製した。
なお、以下の説明では、樹脂溶液A〜Kを用いて製造した絶縁樹脂層を、それぞれ樹脂層A〜Kという。
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Eをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが17μmになるように塗布し、140℃で5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ、樹脂層Eを形成した。次に、同様な方法で、樹脂層Eの上に樹脂溶液Fを乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、140℃で7分間初期乾燥して、樹脂層Fを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレス管に、積層体のスペーサとして、ステンレス板(日本金属社製、製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)の一端を固定した後、積層体の樹脂塗布面を外巻にして、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板同士の間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体をともに巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブンに投入し、窒素雰囲気下、30℃の一定温度で2時間維持した後、30℃から350℃に昇温しながら2時間、350℃の一定温度で1時間維持する処理を行ない、その後室温まで徐冷し、全樹脂層の総厚が37μmのフレキシブル金属積層体を得た。
電解銅箔(商品名:NS−VLP、三井金属鉱業社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Eをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが19μmになるように塗布し、140℃5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ樹脂層Eを形成した。次に、同様な方法で、樹脂層Eの上に樹脂溶液Gを乾燥後の厚さが19μmになるように塗布し、140℃で7分間初期乾燥して、樹脂層Gを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレス管に、積層体のスペーサとして、ステンレス板(日本金属社製、製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)の一端を固定した後、積層体の樹脂塗布面を外巻にして、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板同士の間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体をともに巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブンに投入し、窒素雰囲気下、30℃の一定温度で2時間維持したあと、30℃から350℃に昇温しながら2時間、350℃の一定温度で1時間維持する処理を行ない、その後室温まで徐冷し、全樹脂層の総厚が38μmのフレキシブル金属積層体を得た。
電解銅箔(商品名:NS−VLP、三井金属鉱業社製、厚さ:9μm)の疎化処理面に、樹脂溶液Hをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが19μmになるように塗布し、140℃5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ樹脂層Hを形成した。次に、同様な方法で、樹脂層Hの上に樹脂溶液Gを乾燥後の厚さが19μmになるように塗布し、140℃7分間を初期乾燥して、樹脂層Gを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレス管に、積層体のスペーサとして、ステンレス板(日本金属社製、製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)の一端を固定した後、積層体の樹脂塗布面を外巻にして、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板同士の間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体をともに巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブンに投入し、窒素雰囲気下、30℃の一定温度で2時間維持した後、30℃から350℃に昇温しながら2時間、350℃の一定温度で1時間維持する処理を行ない、その後室温まで徐冷し、全樹脂層の総厚が38μmのフレキシブル金属積層体を得た。
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Jをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが19μmになるように塗布し、140℃5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ、樹脂層Jを形成した。次に、同様な方法で、樹脂層Jの上に樹脂溶液Kを、乾燥後の厚さが19μmになるように塗布し、140℃7分間初期乾燥して、樹脂層Kを形成させ、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレス管に、積層体のスペーサとして、ステンレス板(日本金属社製、製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)の一端を固定した後、積層体の樹脂塗布面を外巻にして、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板同士の間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体をともに巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブンに投入し、窒素雰囲気下、30℃の一定温度で2時間維持した後、30℃から350℃に昇温しながら2時間、350℃の一定温度で1時間維持する処理を行ない、その後室温まで徐冷し、全樹脂層の総厚が38μmであるフレキシブル金属積層体を得た。
[比較例1]
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Aをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが30μmになるように塗布し、140℃10分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ、樹脂層Aを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレス管に、積層体のスペーサとして、ステンレス板(日本金属社製、製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)の一端を固定した後、積層体の樹脂塗布面を外巻にして、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板同士の間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体をともに巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブンに投入し、窒素雰囲気下、30℃の一定温度で2時間維持した後、30℃から350℃に昇温しながら4.5時間、350℃の一定温度で1時間維持する処理を行ない、その後室温まで徐冷し、樹脂層の総厚が30μmのフレキシブル金属積層体を得た。
[比較例2]
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Dをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが10μmになるように塗布し、140℃5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ、樹脂層Dを形成した。次に、樹脂層Dの上に樹脂溶液Aをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが10μmになるように塗布し、140℃で5分間初期乾燥し、樹脂層Aを形成して、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレスコアに、ステンレス板(製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)を固定した後、ステンレス板をスペーサとして、積層体の樹脂塗布面側が外巻になるように、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板とステンレス板との間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体を巻きつけた。巻き付けたものを一体として、イナートオーブン中に投入し、窒素雰囲気下で30℃から350℃に昇温させながら2時間、次いで350℃で1時間熱処理を行ない、全樹脂層の総厚が20μmのフレキシブル金属積層体を得た。
[比較例3]
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Aをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが10μmになるように塗布し、140℃5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させ、樹脂層Aを形成した。次に、樹脂層Aの上に樹脂溶液Dをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが10μmになるように塗布し、140℃5分間初期乾燥させ、樹脂層Dを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレスコアに、ステンレス板(製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)を固定した後、ステンレス板をスペーサとして、積層体の樹脂塗布面側が外巻になるように、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板とステンレス板との間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体を巻きつけた。巻き付けたものを一体として、イナートオーブン中に投入し、窒素雰囲気下で30℃から350℃に昇温させながら2時間、次いで350℃で1時間熱処理をおこない、全樹脂層の総厚が20μmのフレキシブル金属積層体を得た。
[比較例4]
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Bをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが32μmになるように塗布し、140℃10分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させて樹脂層Bを形成した。次に、樹脂層Bの上に樹脂溶液Cをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが6μmになるように塗布し、140℃で5分間初期乾燥して樹脂層Cを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレスコアに、ステンレス板(製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)を固定した後、ステンレス板をスペーサとして、積層体の樹脂塗布面側が外巻になるように、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板とステンレス板との間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と塗布体を巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブン中に投入し、窒素雰囲気下で30℃から350℃に昇温させながら2時間、次いで350℃で1時間熱処理を行ない、全樹脂層の総厚が38μmのフレキシブル金属積層体を得た。
[比較例5]
電解銅箔(商品名:HLS−9、日本電解社製、厚さ:9μm)の無疎化面に、樹脂溶液Iをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが15μmになるように塗布し、140℃5分間ロールサポートドライヤー内にて初期乾燥させて樹脂層Iを形成した。次に、樹脂層Iの上に再び樹脂溶液Iをコンマヘッドコータにて最終熱処理後の厚さが31μmになるように重ね塗布し、140℃で10分間初期乾燥して樹脂層Iを形成し、積層体を得た。
次いで、10インチ幅のステンレスコアに、ステンレス板(製品名:SUS430BA5U、厚さ:0.15mm、表面粗さRa=0.01μm)を固定した後、ステンレス板をスペーサとして、積層体の樹脂塗布面側が外巻になるように、ステンレス板表面と銅箔の非塗布面を密着させながら、ステンレス板とステンレス板との間隔が、1.5mmとなるように、ドーナツ状にステンレス板と積層体を巻きつけた。巻き付けたものをイナートオーブン中に投入し、窒素雰囲気下で30℃から300℃に昇温させながら23時間、次いで300℃で3時間保持して熱処理を行ない、全樹脂層の総厚が46μmのフレキシブル金属積層体を得た。
表1に、実施例、比較例のフレキシブル金属積層体の絶縁樹脂層の層構成をまとめて示す。
なお、表1においては、金属箔側から、絶縁樹脂層の第1の層(第1の樹脂層)、第2の層(第2の樹脂層)が積層されたものとして、それら樹脂層の種類および膜厚(単位:μm)を示す。
Figure 2008068406
以上のようにして得られた実施例、比較例のフレキシブル金属積層体について、それらの物性値測定及び評価を下記のとおり行った。
<物性値測定および評価>
1.線熱膨張係数
前記実施例と比較例のそれぞれのフレキシブル金属積層体を複数ずつ用意して、以下のようにして測定に用いる各サンプルの作製を行った。
・金属箔サンプル
樹脂を塗布する前の金属箔について、厚さをマイクロメータで計測し、線熱膨張係数を測定するサンプルとした。
・第1の層の測定用サンプル
フレキシブル金属積層体から銅箔層を除去した樹脂層を、丸本ストルアス社製の研磨紙(製品名:SiC PAPER Grit1200)を用い、樹脂厚をマイクロメータにて計測しながら、最外面側から最初の厚さの2/3まで研磨して、第1の層の測定用サンプルを得た。
・第2の層の測定用サンプル
金属層との接触面側から最初の厚さの2/3まで研磨した以外は、第1の層の測定用サンプルと同様にして、第2の層の測定用サンプルを得た。
なお、比較例4の場合は、金属層との接触面側から、第2の層が現われるまで研磨した。
上記の3つのサンプルについて、それぞれ、23±5℃、55±5%相対湿度環境下で24時間以上放置した後、TMA(エスアイアイナノテクノロジー社製、商品名:EXSTAR6 100TMA/SS)による引張測定を行い、50℃から250℃における平均線熱膨張率を、JIS K7197での平均線熱膨張率算出方法により算出した。
測定条件は次の通りである。サンプル形状:0.5cm幅×1.5cm長、測定温度範囲:30℃→400℃、荷重:(測定厚さ(μm)×4)mN、昇温速度:20℃/min、測定初期環境条件:常温常湿環境下。その結果を、表2に示す。
2.吸湿膨張係数
絶縁樹脂層の吸湿膨張係数(α)は、以下の様にして測定した。
フレキシブル金属積層体から金属層10を除去し、絶縁樹脂層のみからなる測定用サンプルを得る。測定用サンプルのサイズは縦70mm×横70mmとする。金属層10の除去には、化学エッチング処理等を適用することができる。例えば銅箔からなる金属層10を用いた場合には、塩化第二鉄溶液等によって除去することができる。
次いで、測定用サンプルの金属層10に接触していなかった方の表面に、塗布した際のMD方向において、1点目をマーキングし、さらにこの点との距離が55mmとなるように、2点目をマーキングする。ついで、23±5℃、50±5%相対湿度の雰囲気の恒温恒湿漕に(24±1)時間放置する。測定用サンプルについて、MD方向にマーキングした2点間の距離を3次元デジタル寸法測定機にて測定する。この測定値を(MD50)とする。
測定後、23±5℃、90±5%相対湿度の雰囲気下の恒温恒湿槽に、測定用サンプルを入れて(24±1)時間調湿した後、同様にして、MD方向にマーキングした2点間の距離を測定する。MD方向の測定値を(MD90)とする。
そして、以下の式によって、吸湿膨張係数(α)求める。
α=[(MD90)−(MD50)]/[(MD50)×(90−50)]
(単位:×10-6/%RH)
その結果を表2に示す。
なお、測定での湿度条件は、製造工程内での通常(50±10)%相対湿度下と、湿度の高い過酷な条件(90±5)%相対湿度下で保管された場合の、吸湿による寸法変動を想定して決定した。
3.TMA法による伸張量と変曲温度
前記1の熱線膨張係数測定でのTMAチャートにて、400℃における伸張量を読み取り、その結果を表2に示した。またTMA曲線での伸張量の変曲温度とは、TMA曲線における伸張量が変曲を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、変曲速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点の温度を読み取り、同様に結果を表2に示す。
4.吸水率
絶縁樹脂層の吸水率は、以下の様にして測定する。吸湿膨張係数を測定する際と同様にして金属層をエッチングした5cm×5cm形状のサンプルを用い、サンプルを循環熱風オーブン中で150±5℃下で1時間加熱した直後、サンプル重量を秤量する。これを吸水前重量とする。その後、サンプルを水中に23±5℃、24±1時間放置した直後、すぐにサンプル表面の付着した水滴をふき取り、秤量したものを吸水後重量とする。そして、以下の式によって吸水率(単位:%)を算出する。
吸水率=100×[(吸水後重量)−(吸水前重量)]/(吸水前重量)
その結果を表2に示す。
5.熱重量減少率
吸湿膨張係数の測定と同様のエッチング済サンプルを用い、TG/DTA(エスアイアイナノテクノロジー社製、商品名:EXSTAR6)による熱重量測定を下記条件にて行い、200℃から400℃までの間に生じる熱重量減少量を算出した。重量が減少した場合を正の値とする。
測定条件は次の通りである。サンプル形状:1.0cm、測定温度範囲:30→600℃、昇温速度:20℃/min、測定初期環境条件:常温常湿環境下。その結果を表2に示す。
Figure 2008068406
6.カール量
実施例、比較例のフレキシブル金属積層体を(TD方向)45mm×(MD方向)200mmを2枚用意し、1枚は金属積層体の状態で、別の1枚は、塩化第二鉄溶液による化学エッチングをおこない、金属層を除去し水洗し表面の水滴を拭いた。
23±5℃/55±5%(湿度)環境に調整された恒温恒湿槽にて72時間調湿した状態を常態時のカール量として、金属層面を上にして平滑なガラス板上に静置して、円弧状にカールしたサンプルのガラス面からの高さをカール量とした。なお、樹脂面を内側にして弧を描いた値を正の値とした。その結果を表3に示す。
7.回路加工時の作業性
実施例、比較例のフレキシブル金属積層体を48mm幅のリール状とし、リール トゥリール搬送にて、スプロケットホールのパンチング、銅箔表面上に、液状フォトレジスト塗布、乾燥、パターン露光、現像、エッチング、ソルダーレジスト塗布及び無電解錫メッキを施しフォトレジスト法によって、フリップチップ接合用の回路パターンを形成した。この間のフレキシブル金属積層体の作業性を下記の評価基準に基づいて評価した。その結果を表3に示す。
<評価基準>
○:金属積層体の搬送性に問題なく、回路パターン作製後のプリント基板の反り等に問題がなかった。
△:金属積層体のフィルムが滑りにくく搬送しづらい点を除いては、作業性に問題はなく、また回路パターン作製後のプリント基板の反り等にも問題はなかった。
×:金属積層体の状態でのカール量が非常に大きいため、搬送中の経路を逸脱して、搬送が止まる、または、エッチング後での回路パターン作製後の反りが大きい、のいずれかの状態が発生して、回路加工ができなかった。
8.金属層との接着性
実施例、比較例のフレキシブル金属積層体を48mm幅×200mm長のサンプルの銅箔上に、「7.回路加工時の作業性」で示したと同様なフォトレジスト法を用いて、銅箔50μm幅の直線パターンを形成した。これを用いて接着強度を測定した。すなわち、金属層を90°方向に50mm/minの速度で剥離し、その際の剥離力を測定した。その結果を表3に示す。
9.フリップチップ接合性(インナーリード(ILB性))
回路加工時の作業性評価の際に作製した、フリップチップ接合用の回路パターンを形成させたフレキシブルプリント基板を23℃55%RH下にて72時間放置した後、フリップチップ接合用の回路パターンとICのバンプとの接合をフリップチップボンダー(澁谷工業社製)にて行った。
なお、接合する際の温度、接合時間及び接合圧力は、次の通りであった。
回路基板側ステージ温度:100℃
チップ側ツール温度 :450℃
接合時間 :2.5秒
接合圧力 :200mN/mm
そして、絶縁樹脂層の外観上の変化や、接合部位の断面観察を下記の評価基準に基づいて行った。その結果を表3に示す。
<評価基準>
○:外観上の問題が無く、接合部位の著しい変形や剥離、さらに絶縁樹脂層の脱湿等によるリードとバンプの位置づれも生じていなかった。
△:絶縁樹脂層の著しい変形は生じていないが、プリント基板の反りや絶縁樹脂層の吸湿膨張により、リードとバンプの位置づれが生じていた。
×:外観上に問題があり、接合部位に著しい樹脂の沈み込みやエッジショート、あるいはリードずれが発生していた。
Figure 2008068406
表2および表3に示す結果から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例のフレキシブル金属積層体は、カール量や回路加工性、さらには高温高圧の負荷がかかる工程、例えばフリップチップ接合性(インナーリード(ILB性))において良好な結果が得られた。これに対して、比較例においては、金属積層体の材料間の熱および吸湿膨張に差が生じて、フラットなフレキシブル金属積層体が作製できず、回路加工ができなかったり、あるいはフリップチップ接合性(インナーリード(ILB性))が不良であるなどの問題があった。
本発明のフレキシブル金属積層体の一例を示す断面図である。 金属層を剥離した状態の絶縁樹脂層の断面図である。 第1の層の線熱膨張係数を測定するためのサンプル作成の説明図である。
符号の説明
10…金属層
11…絶縁樹脂層
11a…第1の層
11b…第2の層
12…金属層と反対側の面(最外面)
13…金属層との接触面

Claims (6)

  1. 金属層上に、ポリイミド系樹脂を含有する異なる組成の第1および第2の2つの層よりなる絶縁樹脂層を設けたフレキシブル金属積層体であって、金属層側の第1の層の線熱膨張係数αT1、表面側の第2の層の線熱膨張係数αT2、金属層の線熱膨張係数αTMが、次式(1)および式(2)の関係を満たし、かつ、相対湿度50%から90%へ変化した際の絶縁樹脂層全体の吸湿膨張係数αが、次式(3)を満たすことを特徴とするフレキシブル金属積層体。
    −4×10-6≦αT1−αTM≦4×10-6/℃ ・・・・・・・(1)
    0≦αT2−αT1<5×10-6/℃ ・・・・・・・(2)
    α≦15×10-6/%RH ・・・・・・・(3)
  2. 前記絶縁樹脂層の第1の層のTMA法引張モードによる400℃での伸張量Lおよび第2の層のTMA法引張モードによる400℃での伸張量Lの少なくとも一方が500μm以下である請求項1に記載のフレキシブル金属積層体。
  3. 前記絶縁樹脂層の第1の層および/または第2の層のTMA法引張モードによる伸張量の変曲温度が330℃ないし400℃の範囲に存在する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル金属積層体。
  4. 前記絶縁樹脂層全体の吸水率が1.7%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブル金属積層体。
  5. 前記金属層は、銅箔、銅合金箔、ステンレス箔から選ばれる1種以上からなる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブル金属積層体。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のフレキシブル金属積層体を用いて回路形成したフレキシブルプリント基板。
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