JP4174676B2 - フレキシブル銅張積層板の製造方法 - Google Patents

フレキシブル銅張積層板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品として利用されているプリント基板やフレキシブルプリント基板などに使用される剥離強度、取扱い性、耐熱性に優れたフレキシブル銅張積層板の製造方法に関する。
従来、導体上にポリイミド前駆体樹脂溶液を直接塗付し、乾燥、硬化してフレキシブル基板を製造することは、特開昭59−232455号公報(特許文献1)、特開昭61−275325号公報(特許文献2)、特開昭62−212140号公報(特許文献3)、特開平7−57540号公報(特許文献4)等に開示されている。また、導体上にポリイミド前駆体樹脂溶液を数回に分けて塗付する方法も、特開平2−180682号公報(特許文献5)、特開平2−180679号公報(特許文献6)、特開平1−245586号公報(特許文献7)、特開平2−122697号公報(特許文献8)等に開示されている。
しかしながら、ポリイミド前駆体樹脂溶液を導体上に塗付する方法は、フレキシブル基板の最終的なポリイミド層の厚さが20μm以上ないといわゆる“こし”がなく、取り扱い上困るので、どうしても最終的なポリイミド層が20μm以上となるようにポリイミド前駆体樹脂を厚く塗付して導体上にて硬化する必要があるため、均一な厚みで塗付することが困難であり、しばしば厚みムラを起こして不良品となることがあった。特に、数回に分けて塗付した場合、塗布する回数が多いほど厚みムラが極端に顕在化するという傾向があった。
そこで、導体上に熱可塑性ポリイミドを形成してから張り合わせる方法が、特開平1−244841号公報(特許文献9)、特開平6−190967号公報(特許文献10)等に開示されている。この方法によれば、熱可塑性ポリイミド層が圧着されるため、全体としてのポリイミド層の厚さは均一になる。特に、特開平6−190967号公報に示されたように、ポリイミド又はポリアミド酸溶液を塗付、乾燥、硬化して熱可塑性ポリイミド/金属箔積層板を作製し、その熱可塑性ポリイミド側にポリイミドフィルムを加熱、圧着することにより、熱可塑性ポリイミドが加熱により溶融し、厚みが補正されるため、ポリイミドフィルムと張り合わせた後の全体としてのポリイミド層は均一な厚みとなることができる。
しかし、この方法では、硬化したポリイミドを加熱、圧着することが必須のため、ポリイミドのガラス転移点(Tg)以上の温度で加熱できる特殊な装置が必要となり、経済的ではない。
特開昭59−232455号公報 特開昭61−275325号公報 特開昭62−212140号公報 特開平7−57540号公報 特開平2−180682号公報 特開平2−180679号公報 特開平1−245586号公報 特開平2−122697号公報 特開平1−244841号公報 特開平6−190967号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、剥離強度、耐熱性に優れ、取り扱いが容易なプリント基板、フレキシブルプリント基板等の電子部品に利用することができるフレキシブル銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、特願2003−181236号において、金属箔にポリイミド系前駆体樹脂溶液を塗布し、ポリイミドフィルムと張り合わせてフレキシブル銅張積層板を製造する方法を提案しているが、更なる剥離強度の向上を目指して鋭意検討を重ねた結果、表面粗さがJIS B 0601による測定にてRa=0.08以上0.60以下、好ましくはRa=0.08以上0.45以下、更に好ましくはRa=0.08以上0.25以下である銅箔に、ポリイミド系前駆体樹脂溶液を塗布し、塗布されたポリイミド系前駆体樹脂溶液の残留溶媒が10質量%以上80質量%以下になるように乾燥後、該ポリイミド系前駆体樹脂溶液層とポリイミドフィルムを張り合わせ、該ポリイミド系前駆体樹脂をイミド化することにより、得られるフレキシブル銅張積層板の剥離強度が向上することを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、表面粗さがRa=0.08以上0.60以下である銅箔に、ポリイミド系前駆体樹脂溶液を塗布し、塗布されたポリイミド系前駆体樹脂溶液の残留溶媒が10質量%以上80質量%以下になるように乾燥させ、該ポリイミド系前駆体樹脂溶液上にポリイミドフィルムを張り合わせた後、ポリイミド系前駆体樹脂のイミド化を行うことを特徴とするフレキシブル銅張積層板の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、ポリイミドの高い耐熱性を保ちながら、剥離強度、カール性に優れたオールポリイミドのフレキシブル銅張積層板を極めて簡単で安価な方法にて作製することができる。
本発明のフレキシブル銅張積層板に用いられる銅箔は、ポリイミド系前駆体樹脂溶液を塗布する面のJIS B 0601に規定された表面粗さRaが0.08以上0.60以下、好ましくは0.08以上0.45以下、更に好ましくは0.08以上0.25以下であることが必要である。ただし、この粗さは、測定方法により数値が異なる可能性があり、特に接触式の測定機では得られる数値が安定せず、正確ではないため、レーザー法による測定を用いる。なお、本発明においては、Raの測定に、キーエンス社製VK−8510、半導体レーザー波長685nmを用いて行った。
Raの値が0.08未満の場合はあまりにも表面が平滑すぎてポリイミド系前駆体樹脂溶液が銅箔表面の凹凸に入り込む、いわゆるアンカー効果が少なく、剥離強度が低くなってしまう。また、Raの値が0.60を超えるとポリイミドフィルムと銅箔の間に気泡が混在してしまうため、ポリイミドフィルムを上手く張り合わせることができない。これは、銅箔の凹凸があまりにも大きすぎて張り合わせ時に凹凸にある空気を上手く搾り出せないためと推定される。
また、銅箔の表面粗さRaの値が0.45以下で特に十分な剥離強度を得ることができ、更に銅箔の表面粗さRaの値を0.25以下とすると、ポリイミド系前駆体樹脂溶液層が薄くても十分に剥離強度を得ることができる。銅箔の表面粗さが大きいとその粗さに影響されるため、ポリイミド系前駆体樹脂溶液をきれいに塗布できないことで剥離強度が低下するものと推定される。
なお、圧延銅箔はもちろん、特殊な電解銅箔(例えば古河サーキットフォイル社製電解銅箔WS箔)は極めて平滑(Raの値で0.05以下)であり、本発明においては、これら銅箔表面を粗化処理して用いることから、必要以上に粗化することは経済的ではない。
本発明に用いられる銅箔は、前記したように圧延銅箔、電解銅箔の両方を使用することができ、その表面処理としては、前記したように粗化処理することが一般的である。この粗化処理の方法は、通常の方法によればよく、特に限定されるものではないが、銅、コバルト等の金属をメッキ等の方法で付着させる方法や、銅−コバルトの合金になるようにメッキ等の方法で付着させる方法等により行うことができる。
また、防食を目的としてクロム、ニッケル、亜鉛等を表面に付けることが一般的であり、本発明で使用する銅箔も通常に使用される防食を行ったものを使用することができる。なお、防食処理のないものも一部に使用されているが、本発明においても防食処理はなくてもよい。更に、剥離強度改良等を目的にニッケルの付着量を増やす等の作業をしてもよい。
また、銅箔表面には、シリコーン系のカップリング剤を使用することが一般的であり、本発明においては、カップリング剤の使用の有無に特定されない。
本発明に用いる銅箔は、厚さが8μm以上20μm以下であることが好ましい。銅箔の厚さが8μm未満であると取り扱いが困難となる場合があり、20μmを超えると剥離強度が低下する場合がある。この理由は定かではないが、銅箔の厚さに対する粗さの比率が影響しているものと思われ、相対的に銅箔の厚さの割に粗さが小さいと剥離強度が低下するようである。溶剤の乾燥条件(温度、時間、風力等)や張り合わせ時の条件(圧力、温度等)に影響されているとも考えられるが、その原因を推定するには至っていない。
本発明に使用されるポリイミド系前駆体樹脂溶液は、酸無水物とジアミンとを適当な溶媒中にて重合することにより得ることができる。
本発明にて使用される酸無水物としては、テトラカルボン酸無水物並びにその誘導体等が挙げられる。なお、以下ではテトラカルボン酸として例示するが、これらのエステル化物、酸無水物、酸塩化物も勿論使用できる。テトラカルボン酸無水物としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、トリメリット酸及びその誘導体等も挙げられる。
更に、反応性官能基を有する化合物で変成し、架橋構造やラダー構造を導入することもできる。
また、本発明で使用されるジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエード、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−(p−アミノフェノキシビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロプロパン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロプロパン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフルオロメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス〔4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−メトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロトリジン、4,4''−ジアミノターフェニル、4,4'''−ジアミノクォーターフェニル等のジアミン類、並びにこれらのジアミンとホスゲン等の反応によって得られるジイソシアネート類、更にジアミノシロキサン類等がある。
また、ここで使用される溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、硫酸ジメチル、スルホラン、ブチロラクトン、クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ダイグライム等が挙げられる。
上記酸無水物とジアミンとの反応割合としては、酸無水物とジアミンとのモル比が0.95:1.00〜1.05:1.00の範囲で反応させることが好ましい。また、溶媒の使用量は特に限定されず、適宜調整される。
酸無水物とジアミンとの反応は、常法により行うことができるが、N2雰囲気下、反応温度10〜40℃で反応させることが好ましい。なお、原料の溶解方法及び添加方法に特に限定はない。
更に、本発明においては、前記化合物等を用いて共重合、あるいは得られたポリイミド系前駆体樹脂溶液をブレンドして使用することも可能である。また種々の特性改良を目的として、無機質、有機質又は金属等の粉末、繊維等を混合して使用することもできる。また導体の酸化を防ぐ目的で酸化防止剤等の添加剤あるいは接着性の向上を目的としてシランカップリング剤やレべリング剤を加えることも可能である。更に、接着性の向上等を目的として異種のポリマーをブレンドすることも可能である。
本発明に使用されるポリイミド系前駆体樹脂は、前記した化合物等の反応から得られるが、好ましくはイミド化した後にガラス転移点が350℃以上、特に350℃以上550℃以下となるポリイミド系前駆体樹脂を用いることが好ましく、これにより、イミド化した後に耐熱性が高く、最終製品の使用温度範囲が高温側に大きく広がるため、高温での半田耐熱等を求められる分野に有効である。ガラス転移点が350℃未満である場合には、最終的な製品の耐熱性が低くなり、利用できる製品の範囲が狭くなるおそれがある。
得られたポリイミド系前駆体樹脂溶液を銅箔に塗布するが、この塗布方法は特に特定されない。いわゆるコーターと言われるものが多種(コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター等)あり、それらのものが利用できるし、刷毛のようなもので塗布することも可能である。
本発明においては、銅箔に塗布したポリイミド系前駆体樹脂溶液の残留溶媒が10質量%以上80質量%以下になるように乾燥させることが必要である。残留溶媒が10質量%未満の場合は剥離強度が低下する。これは残留溶媒がポリイミドフィルムとポリイミド系前駆体樹脂をなじみやすくしているものと推定され、そのために剥離強度が強くなるものと思われる。しかるに、残留溶媒が80質量%を超えた場合は溶媒が多すぎてポリイミド系前駆体樹脂が流れてしまい、張り合わせが困難である。なお、上記残留溶媒量は下記W1、W2、W3の質量を秤量し、得られた測定値より、下記の計算式で残留溶媒量を算出した。
(1)ポリイミド前駆体樹脂溶液を銅箔に塗布し、乾燥して得られるポリイミド前駆体樹脂/銅箔積層体を裁断して、縦10cm×横10cmのサンプル片を取り、この質量を秤量する。この秤量の測定値をW1gとする。
(2)上記、裁断して得られたサンプル片を250℃のイナートオーブン中に2時間放置して溶媒をとばす。2時間放置後のサンプル片について質量を秤量する。この秤量の測定値をW2gとする。
(3)用いた銅箔について縦10cm×横10cmあたりの質量を秤量する。この秤量の測定値をW3gとする。
Figure 0004174676
ここで、溶媒を上記範囲とするための乾燥条件としては特に限定されるものではなく、常法に準じて行うことができる。
上記残留溶媒量のポリイミド系前駆体樹脂溶液層の厚さは、上述したように銅箔の表面粗さに依存して適宜調整される。例えば、銅箔の表面粗さRaの値が0.08以上0.25以下ならば、ポリイミド系前駆体樹脂溶液層の厚さは2μm以上6μm未満であることが好ましく、Raの値が0.25を超える場合、ポリイミド系前駆体樹脂溶液層の厚さは6μm以上であることが望ましい。
本発明で使用するポリイミドフィルムは、前記したポリイミド系前駆体樹脂で例示したものと同様の酸無水物とジアミンから得られたものでよい。一般に市販されているポリイミドフィルムを使用することもでき、市販品としては、下記のものが挙げられる。
鐘淵化学工業社製 商品名:アピカル
東レ・デュポン社製 商品名:カプトン
宇部興産社製 商品名:ユーピレックス
なお、ポリイミドフィルムの厚さは適宜選定され、特に限定されるものではないが、通常5〜50μm、特に10〜30μmのものである。
上記銅箔に塗布したポリイミド系前駆体樹脂溶液層と、ポリイミドフィルムとの張り合わせ方法は、特に限定されないが、プレス法、ラミネート法などの方法が用いられる。
本発明においては、ポリイミド系前駆体樹脂溶液層とポリイミドフィルムとを張り合わせた後、該ポリイミド系前駆体樹脂のイミド化を行うものである。ここで、イミド化の方法としては、通常用いられている方法でよく、150〜500℃、好ましくは250〜500℃でイミド化を行えばよい。
このようにして得られた本発明のフレキシブル銅張積層板は、剥離強度、耐熱性に優れた取り扱いが容易なものであり、プリント基板、フレキシブルプリント基板等の電子部品などに利用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[合成例1] ポリイミド前駆体樹脂溶液Aの製造
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル200gをN,N’−ジメチルアセトアミド3152gに加え、N2雰囲気中で攪拌、溶解した。そこにピロメリット酸無水物194gを内温が15℃を超えないようにゆっくりと添加した。添加終了後、15℃で2時間反応させ、更に室温で6時間反応を行ってポリイミド前駆体樹脂溶液Aを得た。
なお、このイミド化物のガラス転移点は下記に示す方法で測定したところ、380℃であった。
ガラス転移温度の測定
合成例1のポリイミド前駆体樹脂溶液Aをガラス板に塗布し、50℃にて30分乾燥して溶媒を除去した後、ガラス板より剥がして、厚さ3mmの該ポリイミド前駆体樹脂溶液シート試料を得た。この試料を350℃にて5時間処理してイミド化した。このイミド化して得られたものを熱分析計(レオメトリックサイエンス社製、分析装置名:RSA−III)を用いてガラス転移点を測定した。
[合成例2] ポリイミド前駆体樹脂溶液Bの製造
p−フェニレンジアミン108gをN−メチル−2−ピロリドン3216gに加え、N2雰囲気中で攪拌、溶解した。そこに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物294gを内温が10℃を超えないようにゆっくりと添加した。添加終了後、内温を40℃に昇温し、更に2時間反応を行ってポリイミド前駆体樹脂溶液Bを得た。
なお、このイミド化物のガラス転移点は、合成例1と同様な方法で測定したところ、410℃であった。
[実施例1]
古河サーキットフォイル社製電解銅箔WS箔(厚さ18μm、Ra=0.37)にポリイミド前駆体樹脂溶液Aを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した。乾燥後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みは5μmであり、溶媒含有量は61質量%であった。これを鐘淵化学工業社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカルNPI、厚み25μm)とラミネート温度120℃、ラミネート圧力20kgf/cmで張り合わせた後、イナートオーブン(窒素雰囲気下)にて350℃で2時間処理してイミド化を行い、積層板を得た。
得られた積層板の剥離強度を測定し、外観観察を行った。実験条件と測定データを表1に示す。
[実施例2]
銅箔として表面粗さRa=0.18のものを使用した以外は実施例1と同様に行った。
[実施例3]
銅箔として表面粗さRa=0.52のものを使用した以外は実施例1と同様に行った。
[実施例4]
ポリイミド前駆体樹脂溶液Aの乾燥後の層厚みを7μmにした以外は実施例1と同様に行った。
[比較例1]
銅箔として表面粗さRa=0.06のものを使用した以外は実施例1と同様に行った。
[比較例2]
銅箔として表面粗さRa=0.68のものを使用した以外は実施例1と同様に行った。
[実施例5]
マイクロハード社製圧延銅箔(厚さ18μm、Ra=0.21)にポリイミド前駆体樹脂溶液Aを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した。乾燥後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みは3μmであり、溶媒含有量は39質量%であった。これと鐘淵化学工業社製ポリイミドフィルム(商品名:アピカルNPI、厚み12.5μm)をラミネート温度100℃、ラミネート圧力25kgf/cmで張り合わせた後、イナートオーブン(窒素雰囲気下)にて350℃で2時間処理してイミド化を行い、積層板を得た。
得られた積層板の剥離強度を測定し、外観観察を行った。実験条件と測定データを表2に示す。
[実施例6]
銅箔として表面粗さRa=0.28のものを使用した以外は実施例5と同様に行った。
[実施例7]
銅箔として表面粗さRa=0.36のものを使用した以外は実施例5と同様に行った。
[実施例8]
古河サーキットフォイル社製電解銅箔WS箔(厚さ12μm、Ra=0.22)にポリイミド前駆体樹脂溶液Bを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した。ポリイミド前駆体樹脂層の厚みは3μmであり、溶媒含有量は12質量%であった。これと東レデュポン社製ポリイミドフィルム(商品名:カプトンEN、厚み25μm)をラミネート温度100℃、ラミネート圧力22kgf/cmで張り合わせた後、イナートオーブン(窒素雰囲気下)にて300℃で2.5時間処理してイミド化を行い、積層板を得た。
得られた積層板の剥離強度を測定し、外観観察を行った。実験条件と測定データを表3に示す。
[実施例9]
ポリイミド前駆体樹脂溶液Bを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みが4μmであり、溶媒含有量が32質量%であった以外は実施例8と同様に行った。
[実施例10]
ポリイミド前駆体樹脂溶液Bを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みが4μmであり、溶媒含有量が50質量%であった以外は実施例8と同様に行った。
[実施例11]
ポリイミド前駆体樹脂溶液Bを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みが5μmであり、溶媒含有量が76質量%であった以外は実施例8と同様に行った。
[比較例3]
ポリイミド前駆体樹脂溶液Bを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みが3μmであり、溶媒含有量が9質量%であった以外は実施例8と同様に行った。
[比較例4]
ポリイミド前駆体樹脂溶液Bを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した後のポリイミド前駆体樹脂層の厚みが5μmであり、溶媒含有量が84質量%であった以外は実施例8と同様に行った(張り合わせ時に樹脂層が若干流れてしまった)。
[実施例12]
日鉱マテリアルズ社製圧延銅箔(厚さ9μm、Ra=0.37)にポリイミド前駆体樹脂溶液Aを塗布してクリーンオーブンにて乾燥した。ポリイミド前駆体樹脂層の厚みは5μmであり、溶媒含有量は52質量%であった。これと東レデュポン社製ポリイミドフィルム(商品名:カプトンEN、厚み25μm)をラミネート温度110℃、ラミネート圧力16kgf/cmで張り合わせた後、イナートオーブン(窒素雰囲気下)にて300℃で2時間処理してイミド化を行い、積層板を得た。
得られた積層板の剥離強度を測定し、外観観察を行った。実験条件と測定データを表4に示す。
[実施例13]
銅箔として厚さ12μmのものを使用した以外は実施例12と同様に行った。
[実施例14]
銅箔として厚さ18μmのものを使用した以外は実施例12と同様に行った。
[実施例15]
銅箔として厚さ35μmのものを使用した以外は実施例12と同様に行った。
[実施例16]
銅箔としてマイクロハード社製圧延銅箔(厚さ6μm、Ra=0.39)のものを使用した以外は実施例12と同様に行った。
銅箔表面粗さのRa測定
JIS B 0601に規定された粗さをレーザー法により測定した。測定装置はキーエンス社製VK−8510、半導体レーザー波長685nmを用いて行った。
残留溶媒の測定
残留溶媒量は前述した方法により測定、計算した。
剥離強度の測定
JIS C 6471に準拠して、1mm巾の回路を作製したサンプルを引張速度50mm/分、引き剥がし角度180°で測定した。
張り合わせ観察
積層板の表面を観察した。
Figure 0004174676
Figure 0004174676
Figure 0004174676
Figure 0004174676

Claims (4)

  1. 表面粗さがRa=0.08以上0.60以下である銅箔に、ポリイミド系前駆体樹脂溶液を塗布し、塗布されたポリイミド系前駆体樹脂溶液の残留溶媒が10質量%以上80質量%以下になるように乾燥させ、該ポリイミド系前駆体樹脂溶液上にポリイミドフィルムを張り合わせた後、ポリイミド系前駆体樹脂のイミド化を行うことを特徴とするフレキシブル銅張積層板の製造方法。
  2. 銅箔の表面粗さがRa=0.08〜0.45であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
  3. 銅箔の表面粗さがRa=0.08〜0.25であることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
  4. 銅箔の厚さが8μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。

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