以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の粘着剤組成物は、光学部材用であって、
モノマー単位として、一般式CH2=C(R1)COOR2(ただし、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される(メタ)アクリル系モノマー50〜98重量%含有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)よりも高い単量体10〜100重量部を配合して重合することにより得られる変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)をベースポリマーとする粘着剤組成物であって、
前記ベースポリマー100重量部に対し、過酸化物0.02〜2重量部含有することを特徴とする。
また、本発明の光学部材用粘着剤組成物の製造方法は、
支持体の片面または両面に上述の光学部材用粘着剤組成物からなる層を形成する工程と、前記光学部材用粘着剤組成物からなる層を過酸化物架橋処理する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の粘着剤組成物においては、上記変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)をベースポリマーとして含有していることを特徴とする。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として、一般式CH2=C(R1)COOR2(ただし、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される(メタ)アクリル系モノマー50〜98重量%含有することを特徴とする。
上記一般式において、R1は水素またはメチル基である。また、上記一般式において、R2は炭素数2〜14のアルキル基であるが、炭素数3〜12が好ましく、4〜9のものがより好ましい。また、R2のアルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれも使用できるが、ガラス転移点が低いことから分岐鎖のものが好ましい。
一般式CH2=C(R1)COOR2で表される(メタ)アクリル系モノマーとしては、具体的には、たとえば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
本発明において、上述の一般式CH2=C(R1)COOR2で表される(メタ)アクリル系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー(A)のモノマー全体において、50〜98重量%であり、60〜98重量%であることが好ましく、70〜90重量%であることがより好ましい。上記(メタ)アクリル系モノマー(A)が50重量%より少なくなると接着性に乏しくなり好ましくない。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として、水酸基含有モノマーを0.1〜20重量%含むことが好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%、さらに好ましくは0.2〜7重量%含有するものである。上記水酸基含有モノマーの含有量が上記範囲内であると凝集力がより十分に発揮でき、一方、上記水酸含有モノマーの含有量が20重量%を超えると接着性が低下してしまう場合がある。
上記水酸基含有モノマーとは、モノマー構造中に1以上の水酸基を有する重合性モノマーをいう。
上記水酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。なかでも、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが好ましいものとしてあげられる。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜20重量%含むことが好ましく、より好ましくは0.2〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%含有するものである。上記カルボキシル基含有モノマーの含有量が上記範囲内であると高温下や高湿度下などの耐久性試験において発泡や剥がれがより発生しにくいものとなり、一方、上記カルボキシル基含有モノマーの含有量が20重量%を超えると接着性が低下したり、粘度が高くなり生産性に使用をきたすなどの問題が生じる場合がある。
上記カルボキシル基含有モノマーとは、モノマー構造中に1以上のカルボキシル基を有する重合性モノマーをいう。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などがあげられる。なかでも、特にアクリル酸、およびメタクリル酸が好ましく用いられる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(A)においては、上述のモノマー以外のモノマーとして、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移点や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(A)において用いられるその他の重合性モノマーとしては、たとえば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ならびにビニルエーテルモノマーなどの接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分などを適宜用いることができる。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などがあげられる。
リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートがあげられる。
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ビニルピロリドンなどがあげられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどがあげられる。
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドンなどがあげられる。
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどがあげられる。
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
炭素数1または炭素数15以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
上記その他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー(A)のモノマー全体において、0〜50重量%であることが好ましく、0〜35重量%であることがより好ましく、0〜25重量%であることがさらに好ましい。
なかでも、上記重合性モノマーとして上記アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、またはアミド基含有モノマーの合計量が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のモノマー全体において、0.1〜20重量%であることが好ましく、0.5〜15重量%であることがより好ましく、2〜10重量%であることがさらに好ましい。上記アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、またはアミド基含有モノマーが上記範囲内であると、高温化や高湿度化により剥がれるなど接着性、耐久性に悪影響をより確実に抑制できるものとなり、一方、上記含有量より多すぎると接着性が低下してしまう場合がある。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、重量平均分子量が60万以上であることが好ましく、70万〜300万であることがより好ましく、80万〜250万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が60万より小さくなると、耐久性に乏しくなる場合がある。一方、作業性の観点より、前記重量平均分子量は300万以下が好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
また、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が−5℃以下、好ましくは−10℃以下であることが望ましい。ガラス転移温度が−5℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく被着体への濡れが不十分となり、層間に発生するフクレの原因となる場合がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより上記範囲内に調整することができる。
このような(メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、たとえば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤として、たとえば、モノマー全量100重量部に対して、アゾビスイソブチロニトリル0.01〜0.2重量部加え、通常、50〜70℃程度で、8〜30時間程度行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。
本発明に用いられる重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
また、重合開始剤として過酸化物を使用した場合には、重合反応に使用されずに残存した過酸化物を架橋反応に使用することも可能であるが、その場合は残存量を定量し、必要に応じて再添加し、所定の過酸化物量にして使用することができる。
また、本発明においては、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の分子量を適宜調整することができる。
連鎖移動剤としては、たとえば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。
これらの連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.01〜0.1重量部程度である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、たとえば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
また、本発明の変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)よりも高い単量体10〜100重量部を配合して重合することにより得られることを特徴とするものである。
上記単量体は、主鎖となる(メタ)アクリル系ポリマー(A)ドメインよりも、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が高くなるような(メタ)アクリル系モノマーであれば適宜用いることができる。なかでも、芳香族基を有する単量体を用いることが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
芳香族基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、スチレンやαメチルスチレンなどのスチレン系単量体、ビニルトルエンやαビニルトルエンなどのビニルトルエン系単量体、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレートなどの芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体等をあげることができる。
また、上記単量体の重合方法としては、溶液重合であれば、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の溶液に、必要な単量体と粘度調整される溶媒を加えて、窒素置換した後、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリルやジベンゾイルパーオキサイドなどの重合開始剤を加えて、50℃〜80℃で、4〜15時間加熱して反応を終了させる方法などをあげることができる。また、乳化重合であれば、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の水分散液に、固形分量を調整する水を加えて、さらに必要な上記単量体を加えて、撹拌しながら窒素置換して(メタ)アクリル系ポリマー粒子に単量体を吸収させた後に、水溶性のアゾ化合物や過硫酸アンモニウムなどの水溶液を加えて、50℃〜80℃で、4〜15時間加熱して反応を終了させる方法などをあげることができる。
本発明においては、上記単量体は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、10〜100重量部を配合して重合されるが、15〜70重量部を配合して重合されることが好ましく、20〜60重量部を配合して重合されることがより好ましく、20〜50重量部を配合して重合されることが特に好ましい。特に、芳香族基を有する単量体を用いる場合、芳香族基を有する単量体が少なくなるとタッキファイヤーとの相溶性が低下してタッキファイヤーを配合すると白濁し、好ましくない。一方、芳香族基を有する単量体が多すぎると粘着特性が低下し好ましくない。
本発明の粘着剤組成物は、上記のような変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)をベースポリマーとするものである。
また、本発明の粘着剤組成物は、過酸化物を含有することを特徴とする。
本発明の過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。1分間半減期温度が低すぎると、塗布乾燥する前の保存時に反応が進行し、粘度が高くなり塗布不能となる場合があり、一方、1分間半減期温度が高すぎると、架橋反応時の温度が高くなるため副反応が起こり、また未反応の過酸化物が多く残存して経時での架橋が進行する場合があり、好ましくない。
本発明に用いられる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などがあげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
前記過酸化物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.02〜2重量部含有することが好ましく、0.04〜1.5重量部含有することがより好ましく、0.05〜1重量部含有することがさらに好ましい。0.02重量部未満では、架橋形成が不十分となり、耐久性に劣る場合があり、一方、2重量部を越えると、架橋形成が過多となり、接着性に劣る場合がある。
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
また、本発明の粘着剤組成物には、接着力、耐久力をより向上させる目的でイソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。なかでも特に、脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートが、架橋物が透明になることから好ましく用いられる。
より具体的には、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどをあげることができる。
上記イソシアネート系架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対し、前記イソシアネート系架橋剤0.02〜2重量部含有することが好ましく、0.04〜1.5重量部含有することがより好ましく、0.05〜1重量部含有することがさらに好ましい。イソシアネート系架橋剤を上記範囲で用いることにより、より確実に凝集力や耐久性の向上したものとすることができるが、一方、2重量部を越えると、架橋形成が過多となり、接着性に劣る場合がある。
また、乳化重合にて製造した変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)の水分散液でイソシアネート系架橋剤を用いる場合には、イソシアネート基が水と反応しやすいためにブロック化されたイソシアネート系架橋剤を用いてもよい。
本発明においては、架橋された粘着剤層のゲル分率が、40〜90重量%となるように架橋剤(過酸化物、および、イソシアネート系架橋剤併用時はイソシアネート系架橋剤)の添加量を調整することが好ましく、50〜85重量%となるように上記架橋剤の添加量を調整することがより好ましく、55〜80重量%となるように上記架橋剤の添加量を調整することがさらに好ましい。ゲル分率が40重量%より小さくなると、凝集力が低下するため耐久性に劣る場合があり、90重量%を超えると、接着性に劣る場合がある。さらに、この両者の架橋割合は、過酸化物単独でのゲル分を測定した場合に10〜75重量%になるのが好ましい。
本発明における粘着剤組成物のゲル分率とは、粘着剤層の乾燥重量W1(g)を酢酸エチルに浸漬した後、前記粘着剤層の不溶分を酢酸エチル中から取り出し、乾燥後の重量W2(g)を測定し、(W2/W1)×100として計算される値をゲル分率(重量%)とした。
より具体的には、たとえば、架橋後の粘着剤層をW1(g)(約500mg)採取した。次いで、前記粘着剤層を酢酸エチル中に約23℃下で7日間浸漬し、その後、前記粘着剤層を取り出し、130℃で2時間乾燥し、得られた粘着剤層のW2(g)を測定した。このW1およびW2を上記の式に当てはめることにより、ゲル分率(重量%)を求めた。
所定のゲル分率に調整するためには、過酸化物やイソシアネート系架橋剤の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮する必要がある。
架橋処理温度や架橋処理時間の調整は、たとえば、粘着剤組成物に含まれる過酸化物の分解量は50重量%以上になるように設定することが好ましく、60重量%以上になるように設定することがより好ましく、70重量%以上になるように設定することがさらに好ましい。過酸化物の分解量が50重量%より少ないと、粘着剤組成物中に残存する過酸化物の量が多くなり、架橋処理後も経時での架橋反応が起こる場合などがあり、好ましくない。
より具体的には、たとえば、架橋処理温度が1分間半減期温度では、1分間で過酸化物の分解量は50重量%であり、2分間で過酸化物の分解量は75重量%であり、1分間以上の架橋処理時間が必要となる。また、たとえば、架橋処理温度における過酸化物の半減期(半減時間)が30秒であれば、30秒以上の架橋処理時間が必要となり、また、たとえば、架橋処理温度における過酸化物の半減期(半減時間)が5分であれば、5分間以上の架橋処理時間が必要となる。
このように、使用する過酸化物によって架橋処理温度や架橋処理時間は、過酸化物が一次比例すると仮定して半減期(半減時間)から理論計算により算出することが可能であり、添加量を適宜調節することができる。一方、より高温にするほど、副反応が生じる可能性が高くなることから、架橋処理温度は170℃以下であることが好ましい。
また、かかる架橋処理は、粘着剤層の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。
また、架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定することができるが、通常0.2〜20分間程度であり、0.5〜10分間程度であることが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物には接着力、耐久力をより向上させる目的でシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、公知のものを特に制限なく適宜用いることができる。
具体的には、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのインシアネート基含有シランカップリング剤などがあげられる。このようなシランカップリング剤を使用することは、耐久性の向上に好ましい。
上記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.01〜1重量部含有することが好ましく、0.02〜0.6重量部含有することがより好ましく、0.05〜0.3重量部含有することがさらに好ましい。上記シランカップリング剤を上記範囲で用いることにより、より確実に凝集力や耐久性の向上したものとすることができるが、一方、0.01重量部未満では、耐久性に劣る場合があり、一方、1重量部を越えると、液晶セル等の光学部材への接着力が増大しすぎてしまう場合がある。
また、本発明の粘着剤組成物には接着力、耐久力、および屈折率をより向上させる目的でタッキファイヤーを用いることができる。
タッキファイヤーとしては、公知のものを特に制限なく適宜用いることができるが、芳香族環またはその水添物を有し、かつ屈折率1.51〜1.75のタッキファイヤーを用いることが好ましく、上記屈折率は1.53〜1.65であるのがより好ましく、1.54〜1.63であるのがさらに好ましい。なお、着色したタッキファイヤーは粘着剤組成物を着色させるため、透明なタッキファイヤーが好ましく使用される。その透明なタッキファイヤーの目安としては、タッキファイヤーの50重量%トルエン溶液でのガードナー色相が1以下であるものが好適に使用される。
また、タッキファイヤーを用いる場合、上記変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)の屈折率は1.49〜1.54であることがタッキファイヤーとの相溶性が向上して好ましく、1.49〜1.53であるのがより好ましい。アクリル系共重合体の屈折率は、芳香族基を有する単量体の共重合割合を調整することにより、前記範囲になるように制御できる。また、前記屈折率を有する変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、タッキファイヤーとの相溶性が良好であることから、タッキファイヤーの添加による屈折率の向上効果もよく、かつ粘着特性も良好になる。
上記タッキファイヤーの具体例としては、たとえば、スチレンオリゴマー、フェノキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンとαメチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体、C9系石油樹脂の水添物、テルペンフェノール類およびその水添物、ロジンフェノール類およびその水添物、芳香族系石油樹脂およびその水添物などがあげられる。これらのなかでも、スチレンオリゴマー、スチレンとαメチルスチレンの共重合体が好ましい。
また、軟化点が40℃以下であるタッキファイヤーの含有量をことが好ましい。さらには、60℃以上、70〜160℃であるのが好ましい。なお、軟化点が40℃未満のタッキファイヤーを用いる場合には、その使用量を20重量部未満とし、軟化点が50℃以上のタッキファイヤーと併用して、併用後のタッキファイヤーの軟化点が40℃以上になるようにするのが耐熱性の面からも好ましい。
また、前記タッキファイヤーの重量平均分子量は、300〜7000であるのが好ましく、400〜6000であるのがより好ましく、420〜6000であるのがさらに好ましい。
また、上記ベースポリマー100重量部に対し、上記タッキファイヤーを10〜100重量部含有することが好ましく、20〜80重量部含有することがより好ましく、30〜50重量部含有することがさらに好ましい。かかる配合量により、粘着剤組成物を所定の屈折率に調整する。すなわち、当該粘着剤層により形成した粘着剤層の屈折率が1.51〜1.75、好ましくは1.52〜1.66になるように調整されることが好ましい。上記タッキファイヤーの配合量が、少なすぎると屈折率が十分に上がらず、一方、多すぎると粘着剤層が硬くなり、粘着特性が低下するため好ましくない。
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
本発明の粘着剤組成物は、上記のような構成を有するものである。
一方、本発明の粘着剤層は、上記のような粘着剤組成物を架橋して得られるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持体などに転写することも可能である。
支持体(光学部材、セパレーターなど)上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持体に転写する方法、または支持体に前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持体に形成する方法などにより作製される。また、粘着剤組成物を支持体上に塗布して粘着剤付光学部材などを作製する際には、支持体上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶媒(溶剤)を新たに加えてもよい。
本発明に用いられる支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルフィルムなどのプラスチック基材や、紙、不織布などの多孔質材料、ならびに光学部材などがあげられる。
プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。前記フィルムの厚みは、通常4〜100μm、好ましくは4〜25μm程度である。
プラスチック基材には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
本発明において用いられる溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水などがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明の粘着剤層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
また、たとえば、支持体(光学部材、セパレーターなど)上の片面または両面に上述のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる層を形成する工程と、前記粘着剤組成物からなる層を過酸化物架橋処理するする工程とを含む製造方法を用いることによって本発明の粘着剤層を得ることができる。かかる製造方法を用いることにより、上述の優れた粘着特性、特に粘着剤層を薄層化した場合であっても、加熱処理や高湿処理により浮きや剥がれの生じない、耐久性に優れた粘着剤層を得ることができる。
また、前記粘着剤層の表面にはコロナ処理、プラズマ処理などの易着処理をおこなってもよい。
さらに、このような表面に粘着剤が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(剥離シート、セパレーター、剥離ライナー)で粘着剤層を保護してもよい。
セパレーターの構成材料としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。
前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
なお、上記の製造方法において、剥離処理したシートは、そのまま粘着シート類や粘着剤付光学部材などのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
本発明における粘着剤層は、上記粘着剤組成物を上記の架橋剤と過酸化物にて架橋することにより、これらの特性が塗布、乾燥、架橋、転写の工程を経た後にエージングなどを必要とせず、打ち抜き加工やスリット加工が速やかに行えるという生産性に優れた粘着剤層となる。
また、上記粘着剤層において、上記粘着剤層の厚みが2〜500μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
さらに、上記粘着剤層のヘイズ値が20%以下であることが好ましく、19%以下であることがより好ましく、18%以下であることがさらに好ましい。上記ヘイズ値が20%を越えると、光学部材に積層された際に透過率が大きく低下するために好ましくない。また、本発明のような(メタ)アクリル系ポリマー(A)の存在下で他の単量体を重合した変性(メタ)アクリル系ポリマー(B)では、単量体のホモポリマー同士が相溶しにくいものであっても、もし相分離してもそのドメインが小さいために、へイズ値は大きくならず、透過率の低下もほとんどないものとすることが可能である。このため、本発明の粘着剤組成物および粘着剤層を用いることにより、上記ヘイズ値の範囲になるものを容易に得ることができる。
さらに、本発明の粘着剤組成物および粘着剤層は、上述のような作用効果を奏するため、特に光学部材用として用いられることに適している。
また、本発明の粘着剤付光学部材は、上記の構成を有する粘着剤層を光学部材の片面または両面に形成しているものである。本発明の粘着剤付光学部材は、上記のような作用効果を奏する粘着剤層を備えるため、再剥離性や加工性に優れるとともに、加熱処理や高湿処理により浮きや剥がれの生じない、耐久性に優れ、屈折率を向上させたものとなる。
光学部材としては、液晶表示装置などの画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学部材としては偏光板などの光学フィルムがあげられる。偏光板には、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどがあげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛などを含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴なかでも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定することができるが、一般には強度や取扱性などの作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料などからなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤などを介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステルなどを例示できる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、たとえばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性などに優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、たとえばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、たとえば、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンなどからなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマーなどからなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また本発明の光学部材としては、たとえば、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で本発明の光学部材として用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
特に、偏光板にさらに反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板にさらに視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板にさらに輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライトなどの光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層などを介して偏光板の片面に金属などからなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウムなどの反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制することができる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光およびその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制することができる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、たとえば、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式などの蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板などで被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラーなどの半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライトなどの内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライトなどの光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、たとえば、画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸などにより配向物(延伸フィルム)となる。
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、たとえば、ネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコールなどの薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、たとえば、各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差などの光学特性を制御したものなどであってもよい。
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板または反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板などは、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成することができるが、前記のように予め楕円偏光板などの光学部材としたものは、品質の安定性や積層作業性などに優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させることができる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、たとえば、位相差板、液晶ポリマーなどの配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマーなどの配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、たとえば、ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いることができる。
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いることができる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層などを介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示などに利用することができる光量の増大を図ることにより輝度を向上させることができるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示などに利用することができる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層などを介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層などの間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層などに向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層などに向かい、反射層などを介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層などの間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、たとえば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いることができる。
したがって、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層のように円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域などの広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、たとえば、波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、たとえば、1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。したがって、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層または3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域などの広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板のように、偏光板と2層または3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。したがって、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学部材は、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させることができる利点がある。積層には粘着剤層などの適宜な接着手段を用いることができる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
なお、本発明の粘着剤付光学部材の光学部材や粘着剤層などの各層には、たとえば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の粘着剤付光学部材は、液晶表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行うことができる。すなわち、液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着剤付光学部材、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学部材を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じることができる。液晶セルについても、たとえば、TN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いることができる。
液晶セルの片側または両側に粘着剤付光学部材を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学部材は液晶セルの片側または両側に設置することができる。両側に光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、たとえば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、たとえば、トリフェニルアミン誘導体などからなる正孔注入層と、アントラセンなどの蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体などからなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体など、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
このような光学部材は、上述した粘着剤層と貼り合せた場合の投錨力を向上させるため、光学部材の表面をコロナ処理、プラズマ処理などの易着処理や下塗り処理を行ってもよい。
また、本発明の画像表示装置は、上記粘着剤付光学部材を用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどであり、再剥離性や加工性に優れるとともに、加熱処理や高湿処理により浮きや剥がれの生じない高耐久性が発現できる機能を有する。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
<分子量の測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm(計90cm)
・カラム温度:40℃
・流量:0.8ml/min
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
なお、分子量はポリスチレン換算により算出した。
<過酸化物分解量の測定>
熱分解処理後の過酸化物分解量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定した。
具体的には、分解処理前後の粘着剤組成物をそれぞれ約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置した。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、分解処理前後の過酸化物量の減少を過酸化物分解量とした。
・装置:東ソー社製、HPL CCPM/UV8000
・カラム:MACHEREY−NAGEL社製、NUCLEOSIL 7C18(4.6mmφ×250mm)
・カラム流量:1ml/min
・カラム圧力:41kg/cm2
・カラム温度:40℃
・注入量:10μl
・溶離液:水/アセトニトリル=30/70
・注入試料濃度:0.01重量%
・検出器:UV検出器(230nm)。
<ゲル分率の測定>
各実施例・比較例で作製した粘着剤層をW1g取り出し、酢酸エチルに室温(約25℃)下で1週間浸漬した。その後、浸漬処理した粘着剤層(不溶分)を酢酸エチル中から取り出し、130℃で2時間乾燥後の重量W2gを測定し、(W2/W1)×100として計算される値をゲル分率(重量%)とした。
<接着力の測定>
実施例、比較例で得られた粘着剤付光学フィルム(幅25mm)を、無アクリルガラス(コーニング社製、#1737、厚さ:0.7mm)に2kgローラーでロール1往復して貼着した。その後、50℃、0.5Mpaのオートクレーブにて30分間処理した後、23℃×50%RH雰囲気下において3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで剥離接着力を測定した。
また、上記オートクレーブ処理の後、70℃で6時間保存し、23℃×50%RH雰囲気下において3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで剥離接着力を測定し、その値を加熱後の接着力とした。
<耐久性の評価>
実施例、比較例で得られた粘着剤付光学フィルム(12インチサイズ)を、無アクリルガラス(コーニング社製、#1737、厚さ:0.7mm)に2kgローラーでロール1往復して貼着した。その後、50℃、0.5Mpaのオートクレーブにて30分間処理した後、100℃の雰囲気下で300時間保存し、そのサンプルにより耐久性の評価を行った。耐久性の評価は目視でおこない、評価基準は以下のとおりである。
・光学部材の浮きや剥がれが生じなかった場合:○
・光学部材の浮きや剥がれが生じた場合:×。
<加工性の評価>
実施例および比較例で得られた粘着剤付光学フィルムを、エージング処理を行わずに、プレス機を用いて打ち抜き加工し、加工性の評価を行った。加工性の評価は目視でおこない、評価基準は以下のとおりである。
・切断刃に粘着剤層が取られなかった場合:○
・切断刃に粘着剤層が取られたり、付着した場合:×。
<屈折率の測定>
25℃の雰囲気下で、ナトリウムD線を照射し、アッペ屈折率計(ATAGO社製、DR−M4)を用いて屈折率を測定した。
<ヘイズ値の測定>
粘着剤層(20μm)を、25μmポリエチレンテレフタレートを裏打ちとしたサンプルを用いて、25℃の雰囲気下で、HR−100型(村上色彩技術研究所社製)を用いてC光の透過法により、へイズ値(%)を測定した。
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
〔アクリル系ポリマー(a1)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート97.5重量部、アクリル酸2重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.5重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って15時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(a1)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(a1)の重量平均分子量は180万であった。
〔変性アクリル系ポリマー(b1)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、酢酸エチルを加えて25重量%に希釈した上記アクリル系ポリマー(a1)溶液500重量部、スチレン20重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って10時間重合反応を行い、変性アクリル系ポリマー(b1)溶液を調製した。
〔アクリル系ポリマー(a2)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート48重量部、n−ブチルアクリレート50重量部、アクリル酸1重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って15時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(a2)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(a2)の重量平均分子量は172万であった。
〔変性アクリル系ポリマー(b2)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、酢酸エチルを加えて25重量%に希釈した上記アクリル系ポリマー(a2)溶液500重量部、スチレン20重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って10時間重合反応を行い、変性アクリル系ポリマー(b2)溶液を調製した。
〔アクリル系ポリマー(a3)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、n−ブチルアクリレート93.5重量部、アクリロイルモルフォリン4重量部、アクリル酸2重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.5重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って15時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(a3)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(a3)の重量平均分子量は189万であった。
〔変性アクリル系ポリマー(b3)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、酢酸エチルを加えて25重量%に希釈した上記アクリル系ポリマー(a3)溶液500重量部、スチレン30重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って10時間重合反応を行い、変性アクリル系ポリマー(b3)溶液を調製した。
〔アクリル系ポリマー(a4)〕
2−エチルヘキシルアクリレート50重量部、n−ブチルアクリレート48重量部、アクリル酸1重量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1重量部を、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、アクアロンHS−10)2重量部を添加した水120重量部に加え、ホモミキサーにより乳化して乳化物(a)を得た。次いで、攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコを1時間窒素置換した後、上記4つ口フラスコに前記乳化物(a)および重合開始剤(和光純薬社製、VA−057)0.03重量部を加え、フラスコ内の液温を56℃付近に保って3.5時間重合反応を行った。
また、2−エチルヘキシルアクリレート50重量部、n−ブチルアクリレート48重量部、アクリル酸1重量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1重量部を、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、アクアロンHS−10)2重量部を添加した水30重量部に加え、ホモミキサーにより乳化して乳化物(b)を得た。次いで、上記4つ口フラスコに上記乳化物(b)を、フラスコ内の液温を59℃付近に保って2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。重合反応後、アンモニアを加え、pHを8に調整して、アクリル系ポリマー(a4)溶液を調製した。
〔変性アクリル系ポリマー(b4)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、上記アクリル系ポリマー(a4)溶液(固形分濃度57重量%)100重量部、水13重量部、スチレン17重量部を仕込み、1時間窒素置換した後、スチレンを(メタ)アクリル系ポリマー(a4)粒子に吸収させた。次いで、重合開始剤(和光純薬社製、VA−057)0.03重量部を加え、フラスコ内の液温を60℃付近に保って4時間重合反応を行い、変性アクリル系ポリマー(b4)の水分散液を調製した。
〔変性アクリル系ポリマー(b5)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、酢酸エチルを加えて25重量%に希釈した上記アクリル系ポリマー(a1)溶液500重量部、スチレン50重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を65℃付近に保って10時間重合反応を行い、変性アクリル系ポリマー(b5)溶液を調製した。
〔実施例1〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b1)溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.3重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.06重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(1)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(1)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は80重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔実施例2〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b1)溶液の固形分100重量部に対して、αメチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)40重量部、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.4重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.1重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(2)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(2)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は77重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔実施例3〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b2)溶液の固形分100重量部に対して、スチレンオリゴマー(軟化点:72−77℃、重量平均分子量:1300、屈折率:1.59、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA75)30重量部、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.35重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.08重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(3)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(3)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は71重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔実施例4〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b3)溶液の固形分100重量部に対して、αメチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)25重量部、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.3重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.1重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(4)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(4)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は84重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔実施例5〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b4)溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.2重量部をトルエン10重量部に溶解した溶液、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.2重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(5)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(5)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は82重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔実施例6〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b5)溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.3重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.06重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(6)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(6)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は75重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔実施例7〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記変性アクリル系ポリマー(b5)溶液の固形分100重量部に対して、スチレンオリゴマー(軟化点:室温以下、重量平均分子量:440、屈折率:1.60、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA5)10重量部、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.3重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.08重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(7)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(7)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は74重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔比較例1〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記アクリル系ポリマー(a1)溶液の固形分100重量部に対して、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.3重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.06重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(8)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(8)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は75重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
〔比較例2〕
(粘着剤付光学フィルムの作製)
上記アクリル系ポリマー(a2)溶液の固形分100重量部に対して、スチレンオリゴマー(軟化点:72−77℃、重量平均分子量:1300、屈折率:1.59、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA75)30重量部、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130℃)0.35重量部、およびトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物からなるポリイソシアネート系架橋剤(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD160N)0.08重量部を配合したアクリル系粘着剤溶液(9)を調整した。
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液(9)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を、ヨウ素染色し延伸したポリビニルアルコールのフィルムの両側にトリアセチルセルロースフイルムを貼り合せた偏光フィルムに転写し、粘着剤付光学フィルムを作製した。なお、このときの粘着剤層のゲル分率は67重量%であり、乾燥時の過酸化物の分解率は88重量%であった。
上記方法にしたがい、作製した粘着剤付光学フィルムの粘着力、耐久性、加工性、屈折率、およびヘイズ値の測定・評価を行った。得られた結果を表1に示す。
上記表1の結果より、本発明によって作製された粘着剤付光学フィルムを用いた場合(実施例1〜7)、いずれの実施例においても、保存処理試験によって、接着力が大きく増加することや剥がれてしまうことがなく、かつ糊残りが生じることもなく、耐久性、加工性、および再剥離性に優れることがわかった。
これに対して、本発明の構成を満たさない粘着剤付光学フィルムを用いた場合(比較例1〜2)、いずれの比較例においても、保存処理による接着力増加の抑制および耐久性などを並立することができない結果となり、本発明の粘着剤層を用いた場合に比較して劣ることが明らかとなった。
以上により、本発明の粘着剤層は、架橋処理後に優れた粘着特性を発揮し、加熱試験・加湿試験にて発泡や浮き、剥がれなどの不良が生じない、耐久性および再剥離性に優れるとともに、加工処理までの時間が短く、屈折率が比較的高く反射による光のロスが少ないものであることが分かった。