JP2008055928A - 非空気式タイヤ - Google Patents

Abstract

【課題】フィンを有する非空気式タイヤにおいて、バックリングを防止し、かつ軽量の非空気式タイヤを提供する。
【解決手段】環状の外周部材２と内周部材３との間を径方向に連結するフィン４、４′を周方向に間隔をあけて間欠的に配列したスポーク構造体１をトレッドリング１１の内周側に接合した非空気式タイヤにおいて、スポーク構造体１をタイヤ幅方向に複数の帯域５１、５２、５３に区分した構成にすると共に、隣接する帯域間でフィン４、４′の位置を周方向に互いにずらせたことを特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明は、非空気式タイヤに関し、さらに詳しくは、多数のフィンでスポーク構造体を構成した非空気式タイヤにおけるバックリングを重量増加を伴うことなく防止可能にした非空気式タイヤに関する。

従来、非空気式タイヤは、中実ゴム構造のソリッドタイヤやクッションタイヤ等が主として産業車用に使用されている。しかし、従来の非空気式タイヤは、重量が大きい上に衝撃吸収性に欠けているため、乗り心地性能が重視される乗用車用には採用されていなかった。

このような非空気式タイヤの乗り心地性能を改善し、乗用車用にも適用可能になるようにするため、図６に示すように、トレッドリング１１とホイール１２との間に、外周部材２と内周部材３とを多数のフィン４を放射状に周方向に定ピッチで連結したスポーク構造体１を介在させることで、軽量化と衝撃吸収性とを具備するようにした非空気式タイヤが提案されている（例えば、特許文献１参照）。

しかし、この非空気式タイヤは、スポーク構造体１において周方向に隣接するフィン４間に間隔があいていることにより、そのフィン間の領域で外周部材２の剛性が低くなるため、接地の際に外周部材２がフィン間でバックリングを起こす場合があり、特にタイヤ幅方向の中央域で顕著にあらわれる傾向がある。このバックリング現象がタイヤ回転毎に繰り返すことにより振動やトレッドリングの異常摩耗を起こすばかりでなく、やがて破壊に至るという問題があった。

このバックリング対策としては、フィンの数を増やし周方向のピッチ間隔を短くすれば、タイヤの周方向の剛性変動を小さくすることが可能になり、バックリングの発生を改善することが可能になると考えられる。しかし、フィンの数を増やせば、タイヤ重量が増加すると共に乗り心地も低下するため、必ずしも好ましい対策とはいえなかった。
特開２００５−５００９３２号公報

本発明の目的は、スポーク構造体を有する非空気式タイヤにおいて、重量増加を伴うことなくバックリングを防止可能にした非空気式タイヤを提供することにある。

上記目的を達成するための本発明の非空気式タイヤは、環状の外周部材と内周部材との間を径方向に連結するフィンを周方向に間隔をあけて間欠的に配列したスポーク構造体をトレッドリングの内周側に接合した非空気式タイヤにおいて、前記スポーク構造体をタイヤ幅方向に複数の帯域に区分した構成にすると共に、隣接する帯域間で前記フィンの位置を周方向に互いにずらせたことを特徴とする。

本発明の非空気式タイヤは、多数のフィンを配列したスポーク構造体を、タイヤ幅方向に複数の帯域に区分すると共に、隣接する帯域間でフィンの位置を周方向に互いにずらせたことにより、互いに周方向にずれたフィンが、隣の帯域におけるフィン間の外周部材の剛性の向上に作用するため、タイヤ剛性の周方向変動を小さくすることで外周部材に支持されるトレッド部のバックリングを防止することができる。しかも、フィンの数を増やすことなく達成されるためタイヤ重量が増加することがない。

本発明の非空気式タイヤは、図１に示すように、トレッドリング１１と、その内周側に接合するスポーク構造体１とから構成され、スポーク構造体１は、環状の外周部材２と内周部材３との間を、径方向に放射状に連結する多数のフィン４、４′を周方向に間隔をあけて配列することにより構成される。このスポーク構造体１は、タイヤ幅方向に複数の帯域５１、５２、５３に区分して構成されると共に、隣接する帯域（例えば帯域５１と５２、及び５２と５３）間でフィン４、４′の位置を周方向に互いにずらせるように配置する。図示の例では、帯域の数は３列であるが、列の数はこれに限定されることなく複数であればよい。

スポーク構造体１を、隣接する帯域５１と５２において、フィンの位置を周方向に互いにずらせて配置することにより、帯域５１のフィン４間の領域に隣接させ、帯域５２のフィン４′を配置するので、帯域５２のフィン４′は帯域５１のフィン間の外周部材２の剛性の強化にも作用するようになる。同時に、帯域５２のフィン４′間の外周部材２の剛性も、帯域５１のフィン４により強化されるようになる。同様に隣接する帯域５３と５２においても相補的に外周部材２の剛性を向上させることができる。

このようにフィンの位置を周方向にずらせて配置することにより、タイヤ剛性の周方向変動を小さくすることが可能になる。特に、バックリングを起こしやすい中央域を構成する中央の帯域５２の外周部材は、左右両側の帯域５１、５３において周方向にずらせて配置されたフィンにより周方向の剛性を向上される。このため、外周部材に支持されるトレッド部のバックリングを防止することができる。

隣接する帯域間においてフィンの位置を周方向に互いにずらせる形態としては、（１）フィンの配列ピッチの位相をずらせる形態と、（２）フィンの配列ピッチの間隔（フィンの数）を異ならせる形態とがあり、いずれの方法を適用してもよい。また、これらを組合せるようにしてフィンの周方向の位置を互いにずらせてもよい。

図２は、（１）の隣接する帯域５間で配列ピッチの位相をずらせるようにした形態の一例を示す説明図である。

図２において、隣接する帯域５１と５２、及び５２と５３の間において、互いの帯域の配列ピッチの位相をずらせることにより、フィンの位置を周方向にずらせて配置している。すなわち、帯域５１、５２、５３におけるフィンの配列ピッチは、いずれも間隔Ｐで同じであるが、隣接する帯域のフィンの配列ピッチの位相をずらせているので、一つの帯域のフィン間の外周部材の剛性を、隣接する帯域のフィンにより強化することができる。また、従来のスポーク構造体と比べ、フィンの数を増やしていないので、タイヤ重量が増加することはない。

また、スポーク構造体は、帯域を中央と左右両側の３列に区分することが好ましく、さらに端部の帯域５１、５３のフィンの配列ピッチの位相を等しくし、中央の帯域５２の配列ピッチの位相をずらせるようにするとよい。このように中央の帯域５２の配列ピッチの位相をずらせることにより、バックリングが起こりやすい幅方向中央域に対して、中央の帯域５２のフィン４′に加えて、左右両側の帯域５１、５３のフィン４によっても擬似的に補強することができるので、スポーク構造体一周にわたり中央域の外周部材の剛性を向上し、周方向の変動を小さくすることができる。

本発明において、帯域におけるフィンの周方向の配列ピッチをＰとするとき、この帯域のフィンから０．４Ｐ〜０．６Ｐだけずらせた位置に、隣接する帯域のフィンを配置するとよい。特に、中央の帯域５２のフィンの配列ピッチの位相のずれＳを、０．４Ｐ〜０．６Ｐにすることが好ましい。中央の帯域５２の位相のずれＳを上記の範囲内にすることにより、左右両側の帯域５１、５３におけるフィン４間の領域に隣接して、中央の帯域５２のフィン４′を配置し、かつ中央の帯域５２のフィン４′間の領域に隣接して、左右両側の帯域５１、５３のフィン４を配置するので、スポーク構造体の外周部材の剛性を相補的に向上することができる。

一方、図３に示すように、前述した（２）の形態の隣接する帯域のフィンの配列ピッチの間隔（フィンの数）を異ならせてもよい。例えば、中央の帯域５２が有するフィン４′の数を、左右両側の帯域５１、５３のフィン４の数に対して増減させ、配列ピッチの間隔を異ならせるとよい。

特に、バックリングを起こしやすいトレッドの幅方向中央域において、中央の帯域５２のフィン４′の数を多くすることにより、フィン４′の配列ピッチの間隔Ｐｃを小さくし、中央域の外周部材の剛性をより高くし、バックリングを防止することができる。このように中央の帯域５２のフィン４′の数だけを増やすことにより、タイヤ重量の増加を抑制しながら、幅方向中央域の外周部材の剛性を効果的に向上することができる。

また、中央の帯域５２のタイヤ幅方向の幅Ｗｃを、他の帯域の幅Ｗより狭くすることが好ましい。中央の帯域５２の幅Ｗｃを狭くすることにより、フィンの数を増やしたときのタイヤ重量の増加を低減することができる。

さらに、中央の帯域５２のフィン４′の厚さｔｃを、他の帯域のフィン４の厚さｔより薄くすることが好ましい。中央の帯域５２のフィン４′の厚さｔｃを、薄くすることにより、タイヤ重量をさらに低減しながら、外周部材の剛性を向上することができる。

本発明において、スポーク構造体１を、図４に示すように、タイヤ幅方向に複数の帯域に分割した構造体５１０、５２０、５３０を単位とし、これら複数の単位構造体を集積接着することにより構成することが好ましい。図示の例は理解しやすいように、分割した単位構造体５１０、５２０、５３０の間に間隔をあけて表したものであるが、トレッドリングの内周側に挿入して集積接着することにより、非空気式タイヤを製造することができる。このように帯域毎に分割した単位構造体により構成することにより、トレッドリングの内周側を隣接する単位構造体が相補的に支持しバックリングを防止すると共に、帯域の形成が容易になり、帯域相互の周方向の位相をずらせる自由度を高くすることができる。すなわち、各単位構造体の集積接着時に位相のずれの大きさを変化させる調整を行なうことができる。

また、帯域の幅Ｗ、配列ピッチの間隔Ｐ、及びフィンの厚みｔを異ならせた複数種類の単位構造体を予め用意しておき、これらを適宜組合せて、車種、用途、タイヤサイズや種類に応じたスポーク構造体を形成することも容易になる。さらに、一つの帯域を形成する単位構造体において、そのピッチ間隔に変化をもたせることにより、タイヤ回転に伴う固有振動数を分散させる効果を発揮させる場合にも、スポーク構造体の形成が容易になる。

さらに、本発明に使用するスポーク構造体は、図５に示すように、幅方向に分割した単位構造体５１０、５２０、５３０を、さらに周方向に複数に分割した構造体を単位とし、これら複数の単位構造体５１１、５２１、５３１を集積接着することにより構成することが好ましい。幅方向に分割した帯域の単位構造体を、さらに周方向に分割した単位構造体５１１、５２１、５３１を使用して構成することにより、トレッドリングの内周側を隣接する単位構造体が相補的に支持しバックリングを防止すると共に、トレッドリングの内周側への装着性やホイールへのリム組み性を向上することが可能になる。図示の例は周方向に８分割したものであるが、分割数はこれに限定されるものでなく２以上であればトレッドリングへの装着性やリム組性を向上することができる。なお、図示の例は理解しやすいように、帯域を分割したものを、幅方向及び周方向に間隔をあけて表してあるが、トレッドリングの内周側に集積接着するため、非空気式タイヤの製造時には間隔はなくなる。

本発明において、外周部材及び内周部材は、ゴム又は樹脂、コード補強材を被覆したゴム又は樹脂等から構成するのが好ましく、なかでもゴム又は樹脂がより好ましい。外周部材及び内周部材を構成する材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。フィンは、弾性材であれば特に限定されるものではないが、好ましくはゴム、弾性樹脂などを挙げることができる。

本発明の非空気式タイヤを構成するトレッドリング及びスポーク構造体の一例を分割して示す斜視図である。 本発明の非空気式タイヤを構成するスポーク構造体における帯域の配列ピッチの一例を示す説明図である。 本発明の非空気式タイヤを構成するスポーク構造体における帯域の他の配列ピッチの一例を示す説明図である。 本発明の非空気式タイヤを構成するスポーク構造体の他の形態の一例を示す斜視図である。 本発明の非空気式タイヤを構成するスポーク構造体のさらに他の形態の一例を示す斜視図である。 非空気式タイヤをホイールに装着した状態を示す斜視図である。

符号の説明

１ スポーク構造体
２ 外周部材
３ 内周部材
４、４′ フィン
５ 帯域
５１、５３ 左右両側の帯域
５２ 中央の帯域
１１ トレッドリング

Claims (8)

1. 環状の外周部材と内周部材との間を径方向に連結するフィンを周方向に間隔をあけて間欠的に配列したスポーク構造体をトレッドリングの内周側に接合した非空気式タイヤにおいて、
   前記スポーク構造体をタイヤ幅方向に複数の帯域に区分した構成にすると共に、隣接する帯域間で前記フィンの位置を周方向に互いにずらせた非空気式タイヤ。
2. 前記帯域を中央と左右両側の３列に区分した請求項１に記載の非空気式タイヤ。
3. 前記帯域におけるフィンの周方向の配列ピッチをＰとするとき、該帯域のフィンから０．４Ｐ〜０．６Ｐだけずらせた位置に、前記隣接する帯域のフィンを配置した請求項１又は２に記載の非空気式タイヤ。
4. 前記中央の帯域のフィンの配列ピッチを、前記両側の帯域のフィンの配列ピッチより小さくした請求項２又は３に記載の非空気式タイヤ。
5. 前記中央の帯域のタイヤ幅方向の幅を、前記両側の帯域より狭くした請求項２、３又は４に記載の非空気式タイヤ。
6. 前記中央の帯域のフィンの厚さを、前記両側の帯域のフィンより薄くした請求項２、３、４又は５に記載の非空気式タイヤ。
7. 前記スポーク構造体を、タイヤ幅方向に複数の帯域に分割した構造体を単位とし、これら複数の単位構造体を集積接着することにより構成した請求項１〜６のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
8. 前記単位構造体を、さらに周方向に複数に分割した構造体を単位とし、これら複数の単位構造体を集積接着することにより構成した請求項７に記載の非空気式タイヤ。

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