JP2009286208A - 非空気式タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】外周輪と内周輪との間を複数のフィンで連結したスポーク構造体のバックリングを防止し、接地面圧の均一化を図ることを可能にした非空気式タイヤを提供する。
【解決手段】同軸的に配置された外周輪11と内周輪12との間を周方向に間隔をおいて配置された複数のフィン13で連結したスポーク構造体10と、該スポーク構造体10の外周側に装着されたトレッドリング20とからなる非空気式タイヤにおいて、スポーク構造体10の外周輪11に少なくとも隣り合う一対のフィン13,13間に跨がるように線材15を埋設する。
【選択図】図1
【解決手段】同軸的に配置された外周輪11と内周輪12との間を周方向に間隔をおいて配置された複数のフィン13で連結したスポーク構造体10と、該スポーク構造体10の外周側に装着されたトレッドリング20とからなる非空気式タイヤにおいて、スポーク構造体10の外周輪11に少なくとも隣り合う一対のフィン13,13間に跨がるように線材15を埋設する。
【選択図】図1
Description
本発明は、外周輪と内周輪との間を複数のフィンで連結したスポーク構造体を有する非空気式タイヤに関し、更に詳しくは、スポーク構造体のバックリングを防止し、接地面圧の均一化を図ることを可能にした非空気式タイヤに関する。
従来、非空気式タイヤとしては、中実ゴム構造を有するソリッドタイヤやクッションタイヤが主として産業車用に使用されている。しかし、中実ゴム構造を有する非空気式タイヤは、重量が大きい上に衝撃吸収性に欠けているため、乗心地性能が重視される乗用車用には採用されていないのが現状である。
そこで、非空気式タイヤの乗り心地性能を改善し、乗用車用にも適用可能とするため、同軸的に配置された外周輪と内周輪との間を周方向に間隔をおいて配置された複数のフィンで連結したスポーク構造体と、該スポーク構造体の外周側に装着されたトレッドリングとから構成される非空気式タイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述の非空気式タイヤは、スポーク構造体において周方向に隣り合う一対のフィン間に比較的大きな間隔が存在することにより、そのフィン間の領域でバックリングを起こす場合がある。このようなバックリングを生じると、振動の発生や乗り心地性能の低下を招くだけでなく、接地面圧がタイヤ周方向に不均一になり、異常摩耗の原因にもなる。
その対策として、スポーク構造体をタイヤ幅方向に分割し、これら分割片におけるフィンの位置を互いにずらすことにより、スポーク構造体のバックリングを抑えることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この場合、バックリングをある程度抑えることが可能であるが、スポーク構造体において周方向に隣り合う一対のフィン間に比較的大きな間隔が存在することには替わりがないので、そのバックリング抑制効果が必ずしも十分ではない。
特開2005−500932号公報
特許第3966895号公報
本発明の目的は、外周輪と内周輪との間を複数のフィンで連結したスポーク構造体のバックリングを防止し、接地面圧の均一化を図ることを可能にした非空気式タイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の非空気式タイヤは、同軸的に配置された外周輪と内周輪との間を周方向に間隔をおいて配置された複数のフィンで連結したスポーク構造体と、該スポーク構造体の外周側に装着されたトレッドリングとからなる非空気式タイヤにおいて、前記スポーク構造体の外周輪に少なくとも隣り合う一対のフィン間に跨がるように線材を埋設したことを特徴とするものである。
本発明者は、外周輪と内周輪との間を複数のフィンで連結したスポーク構造体を有する非空気式タイヤについて鋭意研究した結果、スポーク構造体の周上でフィンがある部位と無い部位とでは剛性が異なるため、接地領域内でフィンが無い部位が窪み、その部位の接地圧が低くなる傾向があるが、その際にトレッドリングでは接地中心に向かって圧縮変形を生じるのに対し、スポーク構造体の外周輪では逆に引張変形を生じることを知見し、その知見に基づいて本発明に至ったのである。
即ち、本発明では、スポーク構造体の外周輪に少なくとも隣り合う一対のフィン間に跨がるように線材を埋設するので、接地領域内でフィンが無い部位が窪もうとしたとき、線材がスポーク構造体の外周輪に生じる引張変形に抗するので、スポーク構造体のバックリングを防止することができる。これにより、外周輪と内周輪との間を複数のフィンで連結したスポーク構造体を有する非空気式タイヤにおいて、振動の発生や乗り心地性能の低下を回避すると共に、接地面圧の均一化を図り、異常摩耗を防止することが可能になる。
本発明において、線材としてはモノフィラメント又は撚りコードを用いることが可能であるが、特に撚りの無いモノフィラメントが好ましい。また、線材は1%以上の伸張を与えた状態で外周輪に埋設することが好ましい。これにより、スポーク構造体のバックリングをより効果的に防止することができる。
上記線材は、少なくともタイヤ周方向の延長成分を有することが必要であるが、タイヤ周方向に対して実質的に平行に延長していても良く、或いは、タイヤ周方向に対して傾斜角度をもって延長していても良い。前者の場合、線材はタイヤ周方向に連続的に巻回されていることが好ましい。これにより、スポーク構造体のバックリングをより効果的に防止することができる。
スポーク構造体は、一体物であっても良いが、タイヤ幅方向に分割された複数の分割片から構成したり、タイヤ周方向に分割された複数の分割片から構成することが可能である。スポーク構造体をタイヤ幅方向に分割された複数の分割片から構成した場合、複数の分割片におけるフィンの位置を互いにずらすことで、バックリング防止効果を更に高めることができる。一方、スポーク構造体をタイヤ周方向に分割された複数の分割片から構成した場合、リム組み作業が容易になる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる非空気式タイヤを示す斜視図であり、図2は図1の非空気式タイヤをホイールに組み付けた状態を示す子午線断面図である。
この非空気式タイヤは、図1及び図2に示すように、同軸的に配置された外周輪11と内周輪12との間を周方向に間隔をおいて配置された複数のフィン13で連結したスポーク構造体10と、そのスポーク構造体10の外周側に装着されたトレッドリング20とから構成されている。スポーク構造体10はホイールWのリムに対して装着される。
スポーク構造体10において、複数のフィン13は湾曲しながらタイヤ径方向に延長し、隣り合う一対のフィン13,13が互いに反対方向に向かって湾曲している。更に、これら隣り合う一対のフィン13,13はタイヤ周方向に延長する連結部14で連結されている。
スポーク構造体10の構成材料としては、ゴム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は、これらを含む組成物を使用することができる。特に、ウレタン樹脂に代表される熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。スポーク構造体10は単一のマトリクス材料から成形することが可能であるが、外周輪11、内周輪12、フィン13、連結部14の部材毎に材料を異ならせても良い。
一方、トレッドリング20はゴム組成物から構成され、その内部に複数層のベルト層21がタイヤ全周にわたって埋設されている。これらベルト層21はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、その補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。また、トレッドトレッドリング20の接地面にはタイヤ周方向に延びる複数本の溝22が形成されている。
上記非空気式タイヤにおいて、スポーク構造体10の外周輪11には少なくとも隣り合う一対のフィン13,13間に跨がるように線材15が埋設されている。このようにスポーク構造体10の外周輪11に少なくとも隣り合う一対のフィン13,13間に跨がるように線材15を埋設することにより、接地領域内でフィン13が無い部位が窪もうとしたとき、線材15がスポーク構造体10の外周輪11に生じる引張変形に抗するので、スポーク構造体10のバックリングを防止することができる。これにより、スポーク構造体10を有する非空気式タイヤにおいて、振動の発生や乗り心地性能の低下を回避すると共に、接地面圧の均一化を図り、異常摩耗を防止することが可能になる。また、スポーク構造体10の剛性を高めるためにフィン13の数を増加させる必要がないので、実質的な重量増加を伴うこともない。
図3は本発明の非空気式タイヤが接地したときのスポーク構造体の変形状態を示し、図4は本発明の非空気式タイヤにおける接地形状を示すものである。一方、図5は従来の非空気式タイヤが接地したときのスポーク構造体の変形状態を示し、図6は従来の非空気式タイヤにおける接地形状を示すものである。図4及び図6において、接地領域を斜線部にて示す。
図3及び図4に示すように、本発明の非空気式タイヤでは、スポーク構造体10の外周輪11に線材15が埋設されているため、スポーク構造体10の外周輪11に局部的な窪みが形成されず、良好な接地形状を形成している。
これに対して、図5及び図6に示すように、従来の非空気式タイヤでは、スポーク構造体10の外周輪11に線材15が埋設されていないため、スポーク構造体10の外周輪11に局部的な窪みが形成され、接地領域が少なくなっている。
スポーク構造体10の外周輪11に埋設する線材15としては、モノフィラメント又は撚りコードを用いることが可能である。モノフィラメントとしては、金属製又は合成樹脂製のモノフィラメントを用いることができる。撚りコードとしては、スチールコード又は有機繊維コードを用いることができる。特に、撚りの無いモノフィラメントを用いることが望ましい。つまり、スポーク構造体10の外周輪11が窪もうとする際には、外周輪11に埋設された線材15が最初に圧縮力を受けた後で引張力を受けることになるので、撚りの無いモノフィラメントを用いた場合、耐久性の点で有利である。
線材15は、1%以上の伸張を与えた状態、即ち、伸張率が1%以上となる状態で外周輪11に埋設すると良い。これにより、スポーク構造体10のバックリングをより効果的に防止することができる。線材の伸張率は、線材の埋設状態での長さL1を測定し、その線材をスポーク構造体から取り出した状態での長さL0を測定したとき、(L1−L0)/L0×100%にて求められる。上記伸張率は1%〜5%であると良い。
線材15は、タイヤ周方向に対して実質的に平行に延長し、タイヤ周方向に連続的に巻回されていることが好ましい。これにより、スポーク構造体のバックリングをより効果的に防止することができる。また、線材15は、タイヤ周方向に対して傾斜角度をもって延長していても良い。この場合、線材15のタイヤ周方向に対する傾斜角度は5°〜54.7°にすると良い。
上述した実施形態では、スポーク構造体10を一体物として形成した場合について説明したが、本発明ではスポーク構造体10を複数の分割片から構成することも可能である。例えば、図7に示すように、スポーク構造体10をタイヤ幅方向に分割された複数の分割片110,120,130から構成することができる。この場合、複数の分割片110,120,130におけるフィン13のタイヤ周方向の位置を互いにずらすことで、バックリング防止効果を更に高めることができる。
また、図8に示すように、スポーク構造体10をタイヤ幅方向に分割された複数の分割片110,120,130から構成し、更に分割片110,120,130をそれぞれタイヤ周方向に分割された複数の分割片111,121,131から構成することも可能である。この場合、バックリング防止効果が増大することに加えて、スポーク構造体10をホイールWのリムへの組み付け作業が容易になる。
スポーク構造体10を複数の分割片から構成する場合、それら分割片を接着剤により互いに接合しても良く、或いは、これら分割片をボルト等の締結部材を用いて互いに連結するようにしても良い。
10 スポーク構造体
11 外周輪
12 内周輪
13 フィン
14 連結部
15 線材
20 トレッドリング
21 ベルト層
22 溝
110,120,130 タイヤ幅方向の分割片
111,121,131 タイヤ周方向の分割片
11 外周輪
12 内周輪
13 フィン
14 連結部
15 線材
20 トレッドリング
21 ベルト層
22 溝
110,120,130 タイヤ幅方向の分割片
111,121,131 タイヤ周方向の分割片
Claims (9)
- 同軸的に配置された外周輪と内周輪との間を周方向に間隔をおいて配置された複数のフィンで連結したスポーク構造体と、該スポーク構造体の外周側に装着されたトレッドリングとからなる非空気式タイヤにおいて、前記スポーク構造体の外周輪に少なくとも隣り合う一対のフィン間に跨がるように線材を埋設したことを特徴とする非空気式タイヤ。
- 前記線材がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1に記載の非空気式タイヤ。
- 前記線材が撚りコードであることを特徴とする請求項1に記載の非空気式タイヤ。
- 前記線材を1%以上の伸張を与えた状態で前記外周輪に埋設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
- 前記線材がタイヤ周方向に対して実質的に平行に延長することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
- 前記線材がタイヤ周方向に対して傾斜角度をもって延長することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
- 前記線材がタイヤ周方向に連続的に巻回されていることを特徴とする請求項5に記載の非空気式タイヤ。
- 前記スポーク構造体をタイヤ幅方向に分割された複数の分割片から構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
- 前記スポーク構造体をタイヤ周方向に分割された複数の分割片から構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
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