JP2008049825A - 車両および駆動装置並びにこれらの制御方法 - Google Patents

車両および駆動装置並びにこれらの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シフトレバー81が駐車ポジションにある状態でモータMG2に異常が生じているときでもエンジン22を始動できるようにする。
【解決手段】シフトレバー81が駐車ポジションにある状態でモータMG2に異常が生じているときには、オイルポンプ102から圧送されるオイルを用いて変速機60によって動力軸32aが駆動軸36に接続されるよう油圧調整部104を制御し、動力軸32aが駆動軸36に接続された状態でモータMG1によってエンジン22をモータリングして始動する。これにより、シフトレバー81が駐車ポジションにある状態でモータMG2により動力軸32aを固定できないときでもエンジン22を始動することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両および駆動装置並びにこれらの制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、エンジンと、エンジンのクランクシャフトにキャリアが接続されると共に駆動輪にリングギヤが接続された遊星歯車機構と、遊星歯車機構のサンギヤに接続された第1モータと、リングギヤに接続された第2モータとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、停車中にエンジンの始動が要求されたときには、第2モータでリングギヤをロックさせてから第1モータによってエンジンをクランキングして始動することにより、停車時にエンジンを始動する際に車両にショックや揺れが生じるのを抑制している。
特開2006−81324号公報
ところで、上述のハード構成に加えてリングギヤと駆動輪との間にそのリングギヤと駆動輪との接続や接続の解除を行なう有段の変速機を有する車両では、シフトレバーが駐車ポジションにあるときには、通常、駆動輪がロックされると共に有段の変速機によってリングギヤが駆動輪から切り離される。この状態でエンジンを始動する際、第2モータが正常であれば、上述したように、第2モータでリングギヤをロックさせてから第1モータによってエンジンを始動することができるが、第2モータに異常が生じてリングギヤをロックできないときには、第1モータによってエンジンをクランキングしようとする際にリングギヤが回転してしまい、エンジンをクランキングすることができない。
本発明の車両および駆動装置並びにこれらの制御方法は、モータリング手段や電動機から動力を出力可能な動力軸と車軸側との接続および接続の解除が可能で動力軸と車軸側との間で変速段の変更を伴って動力を伝達する変速機を備えるものにおいて、シフトレバーが駐車ポジションにある状態で電動機から動力軸に動力を入出力できないときでも、内燃機関を始動できるようにすることを目的とする。
本発明の車両および駆動装置並びにこれらの制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、
該内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され、該動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記モータリング手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記動力軸と車軸側との接続および接続の解除が可能で、該動力軸と該車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、
シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記車軸を回転不能に固定する固定手段と、
前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する始動時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、シフトレバーが駐車ポジションにある駐車状態であって電動機から動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、動力軸と車軸側とが接続された状態で内燃機関がモータリングされて始動されるよう内燃機関とモータリング手段と変速手段とを制御する。シフトレバーが駐車ポジションにある状態では、通常、固定手段によって車軸が固定されると共に動力軸側の動力が車軸側に伝達されないよう変速手段によって動力軸が車軸側から切り離される。この状態で内燃機関をモータリングして始動しようとするときには、動力軸が回転しないように、モータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を受け止めるものが必要となる。本発明の車両では、駐車状態であって電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、変速手段によって動力軸と電動機とが接続された状態で内燃機関をモータリングして始動するから、駐車状態であって電動機異常のとき、即ちモータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を電動機によって受け止めることできないときでも、内燃機関を始動することができる。
こうした本発明の車両において、電力を用いて作動流体を圧送する圧送手段を備え、前記変速手段は、前記圧送された作動流体を用いて前記動力軸と前記車軸側との間の変速段の変更を伴う動力の伝達を行なう手段であり、前記始動時制御手段は、前記駐車状態であって前記電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記圧送手段の駆動を伴って前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続されるよう該圧送手段と該変速手段とを制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駐車状態であって電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、圧送手段から圧送された作動流体を用いて変速手段により動力軸と車軸側とを接続した状態で内燃機関を始動することができる。
また、本発明の車両において、前記始動時制御手段は、前記車両のシステムが起動されたときに前記駐車状態であって前記電動機異常のとき、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で前記内燃機関がモータリングされて始動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記始動時制御手段は、前記車両のシステムが起動されたときに前記電動機異常であっても前記シフトレバーが前記駐車ポジションにない非駐車状態のときには、該シフトレバーが該駐車ポジションにシフト変更されるのを待って前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で前記内燃機関がモータリングされて始動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。システムが起動されていないときには、通常、変速手段によって動力軸は車軸側から切り離されている。したがって、システムが起動されたときに電動機異常であってシフトレバーが駐車ポジションにないときには、シフトレバーが駐車ポジションにシフト変更されるのを待って動力軸と車軸側とを接続した状態で内燃機関を始動することにより、固定手段により固定された車軸に動力軸を接続した状態で内燃機関を始動することができる。
さらに、本発明の車両において、前記始動時制御手段は、前記駐車状態であって前記電動機異常のときには、前記内燃機関の始動要求がなされているか否かに拘わらず該内燃機関を始動する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駐車状態であって電動機異常のときに、内燃機関が停止された状態で保持されるのを回避することができる。
あるいは、本発明の車両において、前記始動時制御手段は、前記駐車状態であって前記電動機異常のときに前記内燃機関が始動された後には、前記動力軸と前記車軸側との接続が解除されるよう前記変速手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関を始動した後にシフトレバーが駐車ポジションから他のポジション(例えば、ニュートラルポジションなど)に変更されたときに、即ち、内燃機関を始動した後に固定手段による車軸の固定が解除されたときに、運転者の予期しない動力が車軸側に出力されるのを回避することができ、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。
本発明の車両において、前記モータリング手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該動力軸に出力する電力動力入出力手段であるものとすることもできる。この場合、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力軸と第3軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段であるものとすることもできる。
本発明の駆動装置は、
内燃機関と、充放電可能な蓄電手段と、シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに車軸を回転不能に固定する固定手段と、共に車両に搭載される駆動装置であって、
前記内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され、前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記動力軸と前記車軸側との接続および接続の解除が可能で、前記動力軸と前記車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、
前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する始動時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の駆動装置では、シフトレバーが駐車ポジションにある駐車状態であって電動機から動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、動力軸と車軸側とが接続された状態で内燃機関がモータリングされて始動されるよう内燃機関とモータリング手段と変速手段とを制御する。シフトレバーが駐車ポジションにある状態では、通常、固定手段によって車軸が固定されると共に動力軸側の動力が車軸側に伝達されないよう変速手段によって動力軸が車軸側から切り離される。この状態で内燃機関をモータリングして始動しようとするときには、動力軸が回転しないように、モータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を受け止めるものが必要となる。本発明の駆動装置では、駐車状態であって電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、変速手段によって動力軸と電動機とが接続された状態で内燃機関をモータリングして始動するから、駐車状態であって電動機異常のとき、即ちモータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を電動機によって受け止めることできないときでも、内燃機関を始動することができる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、充放電可能な蓄電手段と、シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに車軸を回転不能に固定する固定手段と、共に車両に搭載され、前記内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記動力軸と前記車軸側との接続および接続の解除が可能で前記動力軸と前記車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、を備える駆動装置の制御方法であって、
前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の車両の制御方法では、シフトレバーが駐車ポジションにある駐車状態であって電動機から動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、動力軸と車軸側とが接続された状態で内燃機関がモータリングされて始動されるよう内燃機関とモータリング手段と変速手段とを制御する。シフトレバーが駐車ポジションにある状態では、通常、固定手段によって車軸が固定されると共に動力軸側の動力が車軸側に伝達されないよう変速手段によって動力軸が車軸側から切り離される。この状態で内燃機関をモータリングして始動しようとするときには、動力軸が回転しないように、モータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を受け止めるものが必要となる。本発明の車両の制御方法では、駐車状態であって電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、変速手段によって動力軸と電動機とが接続された状態で内燃機関をモータリングして始動するから、駐車状態であって電動機異常のとき、即ちモータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を電動機によって受け止めることできないときでも、内燃機関を始動することができる。
本発明の駆動装置の制御方法は、
内燃機関および充放電可能な蓄電手段と共に車両に搭載され、前記内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記動力軸と車軸側との接続および接続の解除が可能で前記動力軸と車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記車軸を回転不能に固定する固定手段と、を備える駆動装置の制御方法であって、
前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の駆動装置の制御方法では、シフトレバーが駐車ポジションにある駐車状態であって電動機から動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、動力軸と車軸側とが接続された状態で内燃機関がモータリングされて始動されるよう内燃機関とモータリング手段と変速手段とを制御する。シフトレバーが駐車ポジションにある状態では、通常、固定手段によって車軸が固定されると共に動力軸側の動力が車軸側に伝達されないよう変速手段によって動力軸が車軸側から切り離される。この状態で内燃機関をモータリングして始動しようとするときには、動力軸が回転しないように、モータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を受け止めるものが必要となる。本発明の駆動装置では、駐車状態であって電動機異常のときに内燃機関を始動する際には、変速手段によって動力軸と電動機とが接続された状態で内燃機関をモータリングして始動するから、駐車状態であって電動機異常のとき、即ちモータリング手段によって内燃機関をモータリングする際に動力軸に作用する駆動力を電動機によって受け止めることできないときでも、内燃機関を始動することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された動力軸としてのリングギヤ軸32aに接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32aの動力を変速して駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に出力する変速機60と、駆動輪39a,39bをロックするパーキングロック機構90と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32には動力軸としてのリングギヤ軸32aがそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aから変速機60,駆動軸36,デファレンシャルギヤ38を介して、最終的には車両の駆動輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
変速機60は、動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動軸36との接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をリングギヤ軸32aの回転数を4段に変速して駆動軸36に伝達できるよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。図2の変速機60は、シングルピニオンの遊星歯車機構60a,60bと三つのクラッチC1,C2,C3と二つのブレーキB1,B2と一つのワンウェイクラッチF1とにより構成されている。遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛々すると共にリングギヤ62に噛々する複数のピニオンギヤ63と、複数のピニオンギヤ63を自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えている。サンギヤ61は、クラッチC1を介してリングギヤ軸32aに接続されていると共にブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。キャリア64は、クラッチC2を介してリングギヤ軸32aに接続されている。遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛々すると共にリングギヤ66に噛々する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ63を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えている。サンギヤ65は、回転軸69およびクラッチC3を介してリングギヤ軸32aに接続されている。リングギヤ66は、遊星歯車機構60aのキャリア64に接続されていると共にブレーキB2のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっていると共にワンウェイクラッチF1により所定方向に自由に回転でき所定方向と逆方向には回転できないようになっている。キャリア68は、駆動軸36に接続されていると共に遊星歯車機構60aのリングギヤ62に接続されている。変速機60は、クラッチC1,C2,C3,ブレーキB1,B2のオンオフにより、リングギヤ軸32aの回転を4段に変速して駆動軸36に伝達すると共にリングギヤ軸32aを駆動軸36から切り離している。クラッチC1,C2,C3やブレーキB1,B2は、図1に示すように、内蔵された図示しない電気モータからの動力によりオイルを圧送するオイルポンプ102と、オイルポンプ102から圧送されたオイルを用いてクラッチC1,C2,C3やブレーキB1,B2に対して作用させる油圧を調節する油圧調整部104と、を有する油圧回路100からの油圧によりオンオフされる。
パーキングロック機構90は、駆動軸36に取り付けられたパーキングギヤ92と、パーキングギヤ92と噛み合ってその回転駆動を停止した状態でロックするパーキングロックポール94と、から構成されている。パーキングロックポール94は、他のレンジからPレンジへの操作信号またはPレンジから他のレンジへの操作信号を入力したハイブリッド用電子制御ユニット70により図示しないアクチュエータが駆動制御されることによって作動し、パーキングギヤ92との噛合およびその解除によりパーキングロックおよびその解除を行なう。駆動軸36は機械的に駆動輪39a,39bに接続されているから、パーキングロック機構90は間接的に駆動輪39a,39bをロックしていることになる。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、油圧回路100のオイルポンプ102への駆動信号や油圧調整部104への油圧調整制御信号,パーキングロック機構90の図示しないアクチュエータへの駆動信号,各種情報を表示可能なディスプレイ89への信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
なお、実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションセンサ82により検出するシフトレバー81のポジションとしては、駐車ポジション(Pポジション)や中立ポジション(Nポジション),ドライブポジション(Dポジション),リバースポジション(Rポジション)などがある。シフトレバー81が駐車ポジションの状態のときには、通常、変速機60のクラッチC1,C2,C3,ブレーキB1,B2の全てをオフとして動力軸としてのリングギヤ軸32aが駆動軸36から切り離される。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて動力軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にハイブリッド自動車20のシステムが起動されたときの動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される起動時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ハイブリッド自動車20のシステムが起動されたときに実行される。
起動時処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、モータ異常判定フラグFを入力すると共に(ステップS100)、入力したモータ異常判定フラグFの値を調べる(ステップS110)。ここで、モータ異常判定フラグFは、モータMG2が正常であるときに値0が設定され、モータMG2に異常が生じているときに値1が設定されるフラグである。このモータ異常判定フラグFは、モータMG2やインバータ42の温度が予め設定された許容限界温度を超えていないか否かや、回転位置検出センサ44によりモータMG2の回転子の回転位置が検出されているか否かなどに基づいてモータMG2に異常が生じているか否かを判定した結果をモータECU40から通信により入力するものとした。また、ステップS110のモータ異常判定フラグFの値を調べる処理は、モータMG1によってエンジン22をモータリングする際に動力軸としてのリングギヤ軸32aに作用するトルクをモータMG2によって受け止めることができるか否かを判定する処理である。動力軸としてのリングギヤ軸32aと駆動軸36とを接続した状態でエンジン22をモータリングする際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図4に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2であるリングギヤ32の回転数を示す。また、図中、S軸の太線矢印はエンジン22をモータリングする際にモータMG1から出力されるトルクを示し、R軸の太線矢印はモータMG1から出力されてリングギヤ32に作用するトルクを示す。ステップS110の処理は、このR軸に作用するトルクをモータMG2によって受け止めることができるか否かを判定する処理である。
モータ異常判定フラグFが値0のときには、モータMG2に異常は生じていないと判断して、そのまま起動時処理ルーチンを終了する。この場合には、起動時処理ルーチンを終了した後にエンジン22の始動要求がなされたときに、モータMG1によってエンジン22をモータリングする際に動力軸としてのリングギヤ軸32aに出力される反力をモータMG2によって受け止めることにより、エンジン22をモータリングして始動することができる。
一方、モータ異常判定フラグFが値1のときには、モータMG2に異常が生じていると判断し、シフトポジションSPを入力し(ステップS120)、入力したシフトポジションSPが駐車ポジションであるか否かを判定し(ステップS130)、シフトポジションSPが駐車ポジションでないと判定されたときには、シフトレバー81を駐車ポジションにシフト変更するよう運転者に要請する旨をディスプレイ89に表示して(ステップS140)、ステップS120に戻る。システムが起動されるとき、通常、シフトレバー81は駐車ポジションにあると考えられるため、ステップS120〜S140の処理は、シフトレバー81が駐車ポジションにある即ちパーキングロック機構90によって駆動輪63a,63bがロックされているのを確認する処理となる。なお、システムが起動されるときにシフトレバー81が駐車ポジションにないときには、ステップS120〜S140の処理は、シフトレバー81が駐車ポジションにシフト変更されるのを待つ処理となる。
ステップS130でシフトポジションSPが駐車ポジションにあると判定されたときには、オイルポンプ102を起動し(ステップS150)、起動後に所定時間が経過するのを待って(ステップS160)、オイルポンプ102により圧送されたオイルを用いて変速機60によって動力軸としてのリングギヤ軸32aが駆動軸36に接続されるよう油圧調整部104を制御する(ステップS170)。ここで、所定時間は、例えば、オイルポンプ102を起動してからクラッチC1,C2,C3やブレーキB1,B2をオンオフするのに十分なオイルがオイルポンプ102から油圧調整部104に供給されるようになるまでの時間などに設定することができ、オイルポンプ102の性能などに基づいて実験などにより設定することができる。
続いて、エンジン22の回転数Neを入力する(ステップS180)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。そして、エンジン22をモータリングするためのトルクとしてのモータリングトルクTcrをモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*として設定し(ステップS190)、設定したトルク指令Tm1*をモータECU40に送信する(ステップS200)。トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、エンジン22の回転数Neを閾値Nrefと比較し(ステップS210)、回転数Neが閾値Nref未満のときにはステップS180に戻る。ここで、閾値Nrefは、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御を開始するための回転数であり、例えば、1000rpmや1200rpmなどに設定することができる。こうしてステップS180〜S210の処理を繰り返し実行してエンジン22の回転数Neが閾値Nref以上に至ると、燃料噴射制御や点火制御の開始をエンジンECU24に指示して(ステップS220)、エンジン22が完爆したか否かを判定し(ステップS230)、エンジン22が完爆していないと判定されたときには、ステップS180に戻り、エンジン22が完爆したと判定されたときには、動力軸としてのリングギヤ軸32aが駆動軸36から切り離されるよう油圧調整部104を制御して(ステップS240)、起動時処理ルーチンを終了する。シフトレバーが駐車ポジションにある状態では、前述したように、パーキングロック機構90によって駆動輪39a,39bおよび駆動軸36がロックされていると共に変速機60によって動力軸としてのリングギヤ軸32aが駆動軸36から切り離されている。したがって、この状態でモータMG1によってエンジン22をモータリングして始動するには、モータMG1から出力されて動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを受け止めるものが必要となる。モータMG2に異常が生じていてモータMG2からリングギヤ軸32aに動力を入出力できないときに、実施例では、変速機60によってリングギヤ軸32aを駆動軸36に接続した状態でエンジン22をモータリングして始動することにより、エンジン22の始動を行なうことができる。しかも、システムが起動されたときにシフトレバー81が駐車ポジションにあってモータMG2に異常が生じているときには、エンジン22の始動要求がなされているか否かに拘わらずエンジン22を始動することにより、エンジン22が停止された状態で保持されるのを回避することができる。この結果、シフトレバー81が駐車ポジションから他のポジション(例えば、ドライブポジションなど)にシフト変更されてパーキングロック機構90による駆動軸36のロックが解除されたときに、モータMG1からの動力の入出力を伴ってエンジン22からの動力をリングギヤ軸32a,変速機60,駆動軸36を介して駆動輪39a,39bに出力して走行することができる。また、実施例では、エンジン22を始動した後にはリングギヤ軸32aを駆動軸36から切り離すから、シフトレバー81が駐車ポジションから他のポジション(例えば、ニュートラルポジションなど)にシフト変更されてパーキングロック機構90による駆動軸36のロックが解除されたときに、運転者の予期しない動力が駆動軸36を介して駆動輪39a,39bに出力されるのを回避することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、システムが起動されたときにシフトレバー81が駐車ポジションにあってモータMG2に異常が生じているときには、オイルポンプ102を起動し、オイルポンプ102から圧送されたオイルを用いて変速機60によって動力軸としてのリングギヤ軸32aが駆動軸36に接続されるよう油圧調整部104を制御し、リングギヤ軸32aが駆動軸36に接続された状態でモータMG1によってエンジン22をモータリングして始動するから、モータMG1によってエンジン22をモータリングする際にリングギヤ軸32aに作用するトルクをモータMG2によって受け止めることができないときでもエンジン22を始動することができる。
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、システムが起動されたときにシフトレバー81が駐車ポジションにあってモータMG2に異常が生じているときには、エンジン22の始動要求がなされているか否かに拘わらずエンジン22を始動するから、シフトレバー81が駐車ポジションから走行用ポジションなどにシフト変更されたときにエンジン22からの動力を動力分配統合機構30,リングギヤ軸32a,変速機60,駆動軸36を介して駆動輪39a,39bに出力して走行することができる。
さらに、実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22を始動した後には動力軸としてのリングギヤ軸32aを駆動軸36から切り離すから、エンジン22を始動した後にシフトポジションSPが駐車ポジションからニュートラルポジションにシフト変更されたときに、運転者の意に反してエンジン22からの動力が動力分配統合機構30,リングギヤ軸32a,変速機60,駆動軸36を介して駆動輪39a,39bに出力されるのを回避することができ、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、システムが起動されたときに、シフトレバー81が駐車ポジションにある状態でモータMG2に異常が生じているときにエンジン22を始動するものとしたが、システムが起動されたときだけに限られず、シフトレバー81が駐車ポジションにある状態でモータMG2に異常が生じていてエンジン22が停止しているときには、エンジン22を始動するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、システムが起動されたときにシフトレバー81が駐車ポジションにあると判定されてからエンジン22を始動するものとしたが、シフトレバー81が駐車ポジションにあるときにだけシステムを起動できる構成の場合には、シフトレバー81が駐車ポジションにあるか否かを判定することなくエンジン22を始動するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、システムが起動されたときにモータMG2に異常が生じているときには、エンジン22の始動要求がなされているか否かに拘わらずエンジン22を始動するものとしたが、エンジン22の始動要求がなされているときにエンジン22を始動するものとしてもよい。なお、この場合、モータMG1によってエンジン22をモータリングする際に動力軸としてのリングギヤ軸32aに作用するトルクをモータMG2によって受け止めることはできないため、パーキングロック機構90によって駆動輪63a,63bがロックされていると共に変速機60によってリングギヤ軸32aが駆動軸36に接続されている状態でモータMG1によってエンジン22をモータリングして始動することになる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動した後には、動力軸としてのリングギヤ軸32aを駆動軸36から切り離すものとしたが、切り離さないものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、4段の変速段をもって変速可能な変速機60を用いるものとしたが、変速段は4段に限られるものではなく、2段以上の変速段をもって変速可能な変速機であればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機60のアクチュエータとして油圧回路100を用いたが、オイル以外の流体(例えば、空気など)を用いたアクチュエータや、モータを用いたアクチュエータ,ソレノイドを直接的に用いたアクチュエータなどを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に変速機60を介して接続された動力軸としてのリングギヤ軸32aにエンジン22からの動力を動力分配統合機構30を介して出力するものとしたが、図5の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ132と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸36に変速機60を介して接続された動力軸32bに接続されたアウターロータ134とを有し、エンジン22の動力の一部を動力軸32b,変速機60,駆動軸36を介して駆動輪39a,39bに伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機130を備えるものとしてもよい。
実施例では、ハイブリッド自動車20の形態として説明したが、エンジンや充放電可能なバッテリ,駆動輪63a,63bをロックするパーキングロック機構90と共に車両に搭載される駆動装置の形態としてもよい。また、ハイブリッド自動車20などの車両の制御方法や駆動装置の制御方法の形態としてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両や駆動装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 変速機60の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される起動時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジン22をモータリングする際の動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a,60b 遊星歯車機構、61,65 サンギヤ、62,66 リングギヤ、63,67 ピニオンギヤ、64,68 キャリア、69 回転軸、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 ディスプレイ、90 パーキングロック機構、92 パーキングギヤ、94 パーキングロックポール、100 油圧回路、102 オイルポンプ、104 油圧調整部、130 対ロータ電動機、132 インナーロータ 134 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、C1,C2,C3 クラッチ、B1,B2 ブレーキ、F1 ワンウェイクラッチ。

Claims (11)

  1. 内燃機関と、
    該内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され、該動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
    前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記モータリング手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    前記動力軸と車軸側との接続および接続の解除が可能で、該動力軸と該車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、
    シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記車軸を回転不能に固定する固定手段と、
    前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する始動時制御手段と、
    を備える車両。
  2. 請求項1記載の車両であって、
    電力を用いて作動流体を圧送する圧送手段を備え、
    前記変速手段は、前記圧送された作動流体を用いて前記動力軸と前記車軸側との間の変速段の変更を伴う動力の伝達を行なう手段であり、
    前記始動時制御手段は、前記駐車状態であって前記電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記圧送手段の駆動を伴って前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続されるよう該圧送手段と該変速手段とを制御する手段である
    車両。
  3. 前記始動時制御手段は、前記車両のシステムが起動されたときに前記駐車状態であって前記電動機異常のとき、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で前記内燃機関がモータリングされて始動されるよう制御する手段である請求項1または2記載の車両。
  4. 前記始動時制御手段は、前記車両のシステムが起動されたときに前記電動機異常であっても前記シフトレバーが前記駐車ポジションにない非駐車状態のときには、該シフトレバーが該駐車ポジションにシフト変更されるの待って前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で前記内燃機関がモータリングされて始動されるよう制御する手段である請求項3記載の車両。
  5. 前記始動時制御手段は、前記駐車状態であって前記電動機異常のときには、前記内燃機関の始動要求がなされているか否かに拘わらず該内燃機関を始動する手段である請求項1ないし4いずれか記載の車両。
  6. 前記始動時制御手段は、前記駐車状態であって前記電動機異常のときに前記内燃機関が始動された後には、前記動力軸と前記車軸側との接続が解除されるよう前記変速手段を制御する手段である請求項1ないし5いずれか記載の車両。
  7. 前記モータリング手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該動力軸に出力する電力動力入出力手段である請求項1ないし6いずれか記載の車両。
  8. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記動力軸と第3軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3軸に動力を入出力可能な発電機と、を備える手段である請求項7記載の車両。
  9. 内燃機関と、充放電可能な蓄電手段と、シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに車軸を回転不能に固定する固定手段と、共に車両に搭載される駆動装置であって、
    前記内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され、前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
    前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記動力軸と前記車軸側との接続および接続の解除が可能で、前記動力軸と前記車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、
    前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する始動時制御手段と、
    を備える駆動装置。
  10. 内燃機関と、該内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され該動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記モータリング手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、前記動力軸と車軸側との接続および接続の解除が可能で前記動力軸と前記車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記車軸を回転不能に固定する固定手段と、を備える車両の制御方法であって、
    前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する、
    車両の制御方法。
  11. 内燃機関と、充放電可能な蓄電手段と、シフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに車軸を回転不能に固定する固定手段と、共に車両に搭載され、前記内燃機関の出力軸と動力軸とに接続され前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸への動力の出力を伴って前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、前記蓄電手段と電力のやりとりが可能で前記動力軸に動力を入出力可能な電動機と、前記動力軸と前記車軸側との接続および接続の解除が可能で前記動力軸と前記車軸側との間で変速段の変更を伴って動力の伝達を行なう変速手段と、を備える駆動装置の制御方法であって、
    前記シフトレバーが前記駐車ポジションにある駐車状態であって前記電動機から前記動力軸に動力を入出力することができない電動機異常のときに前記内燃機関を始動する際、前記変速手段により前記動力軸と前記車軸側とが接続された状態で該内燃機関がモータリングされて始動されるよう該内燃機関と前記モータリング手段と前記変速手段とを制御する、
    駆動装置の制御方法。

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