JP2008049524A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐薬品性および耐汚染性に優れたコーティング層を有する積層フィルムを提供する。
【解決手段】基体と、前記基体の一方の面に形成されたコーティング層と、を具備する積層フィルムにおいて、前記コーティング層を、重合単位として少なくともフルオロオレフィンおよびシリコーンオイルを含む含フッ素共重合体で構成する。
【選択図】なし
【解決手段】基体と、前記基体の一方の面に形成されたコーティング層と、を具備する積層フィルムにおいて、前記コーティング層を、重合単位として少なくともフルオロオレフィンおよびシリコーンオイルを含む含フッ素共重合体で構成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、含フッ素共重合体およびその組成物によるコーティング層が形成されたアクリル系樹脂フィルムに関する。本発明はまた、このアクリル系樹脂フィルムを他のフィルムもしくはシートに積層した多層のフィルムまたはシート、また、このアクリル系樹脂フィルムもしくは多層のフィルムまたはシートが熱可塑性樹脂成形体の表面に積層一体化された積層成形体に関する。
近年、塗装に代わる樹脂成形品の表面に加飾する方法として、印刷等の加飾したアクリル系樹脂フィルム(例えば特許文献1および2)、またはウレタンアクリレート樹脂を主成分とした組成物によるコーティング層が形成されたアクリル系樹脂フィルム(例えば特許文献3)を射出成形金型内に挿入し、射出成形した後、加飾層のみを成形品表面に転写してからフィルムを剥がす転写法、加飾フィルムを成形品の最表面として成形品に残すインサート成形法、インモールド成形法等の射出成形と同時に加飾を施す方法(例えば特許文献4)、およびフィルムを射出成形品表面にラミネーションする方法等が広く使用されている。
特開平8−323934号公報
特開平10−279766号公報
特開2003−211598号公報
特開平7−9484号公報
ところが、アクリル系樹脂およびウレタンアクリレート系樹脂が表面となる加飾用フィルムは耐汚染性、耐薬品性が劣ることが指摘されている。特に汗の付着に関しては、擬似汗として代用される5%乳酸水溶液による表面の劣化、および人の指紋の付着が取れないことが問題となっている。例えば、上記特許文献1および上記特許文献2に開示されているアクリル系樹脂フィルム、ならびに上記特許文献3に開示されているウレタンアクリレート系樹脂を主成分とした組成物からなるコーティング層を持つアクリル系樹脂フィルムに、印刷を施して加飾用積層フィルムが得られる。
しかしながら、この加飾用積層フィルムを自動車等車両の内外装材料、光学材料、建設材料、家庭電化製品の保護用フィルムや加飾用フィルムとして使用する場合、洗剤、芳香剤、日焼け止めクリーム、汗及び指紋等の付着により、外観が劣化して意匠性の上で問題となる。そのなかでも、特に汗および人の指紋の付着は意匠性の上での問題となっており、このことは、上記加飾用積層フィルムの使用条件を著しく限定することとなっていた。
そこで本発明の目的は、耐汚染性および耐薬品性に優れ、種々の用途に適用し得るアクリル系樹脂フィルムを提供することにある。
そこで本発明の目的は、耐汚染性および耐薬品性に優れ、種々の用途に適用し得るアクリル系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記問題点について鋭意検討の結果、特定組成物を含有するアクリル系樹脂フィルムを基体として用い、当該基体の表面に含フッ素共重合体を含む特定の組成を有するコーティング層を形成した場合には、十分な耐汚染性および耐薬品性性能が得られ、さらには擬似汗(乳酸水溶液)や人の指紋が付着した後も表面外観の変化を所定範囲に維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
基体と、前記基体の一方の面に形成されたコーティング層と、を具備し、
前記コーティング層が、重合単位として少なくともフルオロオレフィンおよびシリコーンオイルを含む含フッ素共重合体からなること、
を特徴とする積層フィルムに関する。
基体と、前記基体の一方の面に形成されたコーティング層と、を具備し、
前記コーティング層が、重合単位として少なくともフルオロオレフィンおよびシリコーンオイルを含む含フッ素共重合体からなること、
を特徴とする積層フィルムに関する。
上記積層フィルムにおいて、前記コーティング層のOH価が40〜120であること、が好ましい。
また、前記含フッ素共重合体は、前記フルオロオレフィン15〜85モル%、前記シリコーンオイル0.001〜30モル%、水酸基含有ビニルエーテル1〜50モル%、および不飽和カルボン酸0.1〜30モル%を含み、かつ分子中に水酸基およびカルボキシル基を有すること、が好ましい。
さらに、前記コーティング層の平均厚さが0.5μm〜6μmであること、が好ましい。
また、前記含フッ素共重合体は、前記フルオロオレフィン15〜85モル%、前記シリコーンオイル0.001〜30モル%、水酸基含有ビニルエーテル1〜50モル%、および不飽和カルボン酸0.1〜30モル%を含み、かつ分子中に水酸基およびカルボキシル基を有すること、が好ましい。
さらに、前記コーティング層の平均厚さが0.5μm〜6μmであること、が好ましい。
また、前記シリコーンオイルは、下記の式(1)または式(2)で示されること、が好ましい。
R1−[Si(CH3)2−O]n−Si(CH3)2−R2 ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2であり、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。nは1〜420であり、rは1〜6である。)
R2−Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(2)
(式(2)中、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。)
R1−[Si(CH3)2−O]n−Si(CH3)2−R2 ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2であり、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。nは1〜420であり、rは1〜6である。)
R2−Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(2)
(式(2)中、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。)
前記含フッ素共重合体は、さらにアルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルよりなる群から選択される少なくとも一種の重合単位を残部として含むこと、が好ましい。
前記基体としては、アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物で構成されたアクリル系樹脂フィルムを用いるのが好ましい。
なかでも前記アクリル系樹脂フィルムは、(A)アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体と、(B)メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体と、を含有する樹脂組成物(C)で構成され、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径が50〜200nmであること、が好ましい。
なかでも前記アクリル系樹脂フィルムは、(A)アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体と、(B)メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体と、を含有する樹脂組成物(C)で構成され、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径が50〜200nmであること、が好ましい。
さらに、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径d(nm)と、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体に用いられる架橋剤の量w(重量%)と、が関係式:
0.03d≦w≦0.06d
を満たし、
前記樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.2〜0.8dl/gであること、が好ましい。
0.03d≦w≦0.06d
を満たし、
前記樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.2〜0.8dl/gであること、が好ましい。
また、前記基体の厚みが30〜400μmであること、が好ましい。
また、前記基体の他方の面に印刷層を具備すること、が好ましい。
さらに、本発明においては、上記積層フィルムを用いて、射出成形同時貼合法により得られる積層成形体、特に上記積層成形体を用いた自動車内装または外装用部材を提供するものである。
また、前記基体の他方の面に印刷層を具備すること、が好ましい。
さらに、本発明においては、上記積層フィルムを用いて、射出成形同時貼合法により得られる積層成形体、特に上記積層成形体を用いた自動車内装または外装用部材を提供するものである。
本発明によれば、耐汚染性および耐薬品性に優れ、種々の用途に適用し得るアクリル系樹脂フィルム(積層フィルム)、ならびにこれを用いた積層成形体ならびに自動車内装または外装用部材を提供することができる。
本発明の積層フィルムは、基体と、前記基体の一方の面に形成されたコーティング層と、を具備し、前記コーティング層が、重合単位として少なくともフルオロオレフィンおよびシリコーンオイルを含む含フッ素共重合体からなること、を特徴とする。
コーティング層に使用される含フッ素共重合体において重合単位のフルオロオレフィンは15〜85モル%であることが好ましい。15モル%以上であれば充分な耐汚染性が得られ好ましい。また85モル%以下であれば各種溶剤に対する溶解性が低下せず好ましい。
フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が好適である。これらのフルオロオレフィンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、シリコーンオイルを含有することで撥油性が得られることから好ましく、さらに反応性であればブリードアウトが無く長期保持性があることから好ましい。また、シリコーンオイルを含むと、シリコーンオイルを含まない場合に比べて、得られるコーティング層に指紋が付着しにくく拭き取りやすい。
かかる反応性を有するシリコーンオイルは、下記の式(1)または式(2)で示されること、が好ましい。
R1−[Si(CH3)2−O]n−Si(CH3)2−R2 ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2であり、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。nは1〜420であり、rは1〜6である。)
R2−Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(2)
(式(2)中、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。)
R1−[Si(CH3)2−O]n−Si(CH3)2−R2 ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2であり、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。nは1〜420であり、rは1〜6である。)
R2−Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(2)
(式(2)中、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。)
さらに前記シリコーンオイルは、下記の式(3)、(4)、(5)または(6)で示されるものであってもよい。
CH2=C(CH3)−COO−C3H6−Si(CH3)2−[O−Si(CH3)2]m−R3・・・(3)
(式(3)中、R3は、炭素数1〜6のアルキル基であり、mは1〜250である。)
CH2=CH−COO−C3H6−Si(CH3)2−[O−Si(CH3)2]p−R4・・・(4)
(式(3)中、R4は、炭素数1〜6のアルキル基であり、pは1〜250である。)
R5−C3H6−Si(CH3)2−[O−Si(CH3)2]q−C3H6−R5 ・・(5)
(式(5)中、R5は−OOC(CH3)C=CH2であり、qは1〜250である。)
CH2=C(CH3)COO−C3H6Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(6)
CH2=C(CH3)−COO−C3H6−Si(CH3)2−[O−Si(CH3)2]m−R3・・・(3)
(式(3)中、R3は、炭素数1〜6のアルキル基であり、mは1〜250である。)
CH2=CH−COO−C3H6−Si(CH3)2−[O−Si(CH3)2]p−R4・・・(4)
(式(3)中、R4は、炭素数1〜6のアルキル基であり、pは1〜250である。)
R5−C3H6−Si(CH3)2−[O−Si(CH3)2]q−C3H6−R5 ・・(5)
(式(5)中、R5は−OOC(CH3)C=CH2であり、qは1〜250である。)
CH2=C(CH3)COO−C3H6Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(6)
上記コーティング層においては、上記シリコーンオイルの割合が0.001モル%以上であることで長期における充分な撥水撥油性、防汚性が得られることから好ましい。また30モル%以下であれば充分な耐薬品性、耐候性が得られ好ましい。
また、水酸基含有ビニルエーテルの割合が1モル%以上であれば、硬化が充分となり、硬化塗膜の耐薬品性が低下せず好ましい。また50モル%以下であれば共重合体中のフッ素含有量が低下せず、充分な耐候性が得られ好ましい。
また、不飽和カルボン酸の割合が0.1モル%以上であれば、充分な基材への密着性が得られ、好ましい。また30モル%以下であれば重合がより確実に行われ、好ましい。
また、水酸基とカルボキシル基を有することで、多価イソシアネート類を用いて効率よく常温で硬化させることができる。さらに、メラミン硬化剤などを用いて加熱硬化させることもできる。ただし、前記コーティング層のOH価が40〜120であることが好ましい。40以上であれば前記コーティング層の耐傷付き性が向上することから好ましく、120以下であれば加工性が良くなることから好ましい。また、80以上であれば、例えば商品名「コパトーン」等の日焼け止めクリーム等に対する耐薬品性が向上する。なお、このOH価は架橋度を示すものとも言え、JIS K 0070に準拠して測定することができる。
本発明における含フッ素共重合体からなる組成物に使用する溶媒としては、ブタノール等のアルコール類、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類等が挙げられるが、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエンが好ましく、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の沸点が90℃以下の溶媒を使用することが、コーティングフィルムの乾燥温度が低く抑えられることから特に好ましい。
含フッ素共重合体およびその組成物には、必要に応じてアクリル系樹脂等の各種樹脂、シリカ、アクリルビーズ等の艶消し剤、顔料、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、紫外線吸収剤等を添加することもできる。
基体へのコーティング層の形成方法としては、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、リバースコート法など、公知の各種方法が使用できる。形成された塗膜は必要に応じて乾燥され、その後、熱硬化性樹脂は加熱硬化し、光硬化性樹脂は紫外線照射により硬化させてコーティング層を形成することができる。
コーティング層の平均厚みは0.5〜6μmであることが好ましい。0.5μm以上であれば、フィルム原反の厚み精度が悪かった場合でも均一に塗ることができ好ましい。6μm以下であれば、射出成形同時貼合法で成形した場合、深絞り部でフィルムが延伸され薄くなった場合にもコーティング層にクラックが発生しにくいことから好ましい。
次に、本発明の積層フィルムのうちの基体について説明する。基体を構成する樹脂組成物(C)は、アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含むことが好ましく、さらには、アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)とからなるものが好ましい。
アクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル系重合体(B)をそれぞれ重合してこれを混合して得ることができるが、製造に際しては同一の反応機でアクリル系グラフト共重合体(A)を製造した後、メタクリル系重合体(B)を続けて製造することもできる。混合する方法としてはラテックス状あるいはパウダー、ビーズ、ペレット等で混合が可能である。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)はアクリル酸エステル系ゴム状重合体(アクリル酸エステルを主成分とした架橋ゴム状重合体)の存在下に、第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合して得られる。
本発明で用いられるアクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステル60〜99重量%、共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%および特定量の共重合可能な架橋剤からなる単量体混合物を重合させてなるものである。単量体混合物を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステルは60〜99重量%が好ましく、80〜99重量%がより好ましく、85〜99重量%が最も好ましい。60重量%以上であれば耐衝撃性が向上し、引張破断時の伸びが向上し、フィルム切断時にクラックが生じにくくなるため好ましい。ここで用いられるアクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点よりアルキル基の炭素数1〜12のものを用いることができる。その具体例としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等が挙げられ、これらの単量体は2種以上併してもよい。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステル類が特に好ましく、その具体例としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。また、芳香族ビニル類も好ましく、その具体例としてはスチレン、メチルスチレン等が挙げられ、シアン化ビニル類も好ましく、その具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
共重合可能な架橋剤の量は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径と共に応力白化、引張破断時の伸びあるいは透明性に大きく影響する。すなわち、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径d(nm)と架橋剤量w(重量%)が次式を満たすことが好ましい。
0.03d≦w≦0.06d
0.03d≦w≦0.06d
ゴム状重合体の平均粒子径は、50〜200nmであり、好ましくは50〜180nm、より好ましくは50〜150nm、最も好ましくは60〜120nmである。50nm以上であれば耐衝撃性および引張破断時の伸びが低下しにくく、フィルム切断時にクラックが生じにくくなるため好ましく、200nm以下であれば応力白化が生じにくく、透明性、特に真空成形後の透明性を確保することができ好ましい。
架橋剤の量は、上記式に示される範囲が好ましく、この範囲外では応力白化が生じ、耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが生じやすく、透明性が低下し、フィルムの成形性が悪化するため好ましくない。この目的で用いられる架橋剤は通常使用されるものでよく、例えばアクリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアクリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの架橋剤は2種以上使用してもよい。
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)は、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体5〜75重量部の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物95〜25重量部を重合させることより得られる。グラフト共重合組成(単量体混合物)中のメタクリル酸エステルは50重量%以上が好ましい。50重量%以上であれば得られるフィルムの硬度、剛性が低下しにくく好ましい。グラフト共重合に用いられる単量体としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルであり、具体例としては前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体に使用したものが使用可能である。
また、本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)は、第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させても構わない。第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させたものでは、応力白化が生じにくくなるため好ましい。
この際、アクリル酸エステル系ゴム状重合体にグラフト反応せずに未グラフトの重合体となる成分が生じる。この成分は共重合体(B)の一部または全部を構成する。グラフト共重合体はメチルエチルケトンに不溶となる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体に対するグラフト率は30〜200%で、より好ましくは50〜200%、最も好ましくは80〜200%の範囲である。グラフト率が30%以上であれば透明性が低下せず、引張破断時の伸びが低下せず、フィルム切断時にクラックが生じにくくなるため好ましく、200%以下であればフィルム成形時の溶融粘度が高くならず、フィルムの成形性が低下せず好ましい。
本発明で用いられるメタクリル系重合体(B)は、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものであり、好ましくは90重量%以上含有するもの、より好ましくは92重量%以上含有するものである。メタクリル酸メチルが80重量%以上であれば、得られるフィルムの硬度、剛性が低下しにくく好ましい。
本発明で用いられる樹脂組成物(C)中のアクリル酸エステル系ゴム状重合体の含有量は5〜25重量%が好ましく、10〜23重量%がより好ましい。5重量%以上であれば得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下せず、応力白化が生じにくくなるため好ましい。25重量%以下であれば得られるフィルムの硬度、剛性が低下しにくく好ましい。
本発明で用いられる樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度は0.2〜0.8dl/gである。0.2dl/g以上であれば得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下せず、耐溶剤性が低下せず好ましく、0.8dl/g以下であればフィルムの成形性が低下しにくく好ましい。
本発明で用いられる樹脂組成物(C)のアクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル系重合体(B)の製造方法は特に限定されたものではなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が適用可能である。
乳化重合法においては、通常の重合開始剤が使用される。具体例としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用される。これらは単独または2種以上を組合せて用いられる。
これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄などの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に制限はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。
例えば、アルキル硫酸ソーダ、アルキルスルフォン酸ソーダ、アルキルベンデンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリン酸ソーダなどの陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類とエチレンオキサイドとの反応生成物などの非イオン性界面活性剤などが示される。これらの界面滑性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
このように得られる共重合体ラテックスから、通常の凝固と洗浄により、またはスプレー乾燥、凍結乾燥などによる処理により樹脂組成物(C)が分離、回収される。本発明で得られる樹脂組成物(C)は特にフィルム(基体)として有効であり、例えば通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、さらには溶剤キャスト法等により良好に加工される。
基体を構成するフィルムの厚みは、30〜400μm程度が適当であり、30〜300μmがより好ましい。また、必要に応じ、樹脂組成物(C)をペレット化およびフィルム化する場合にステンレス鋼焼結フィルターによりろ過することもできる。この場合、フィルターのろ過精度は3μm以上であることが好ましい。なお、ろ過精度とは、95%以上の粒子をカットする大きさを表す。またフィルム状に成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。
本発明の樹脂組成物(C)には、着色のため無機または有機系の顔料、染料、シリカ、アクリルビーズ等の艶消し剤、熱や光に対する安定性をさらに向上させるための抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
紫外線吸収剤を含有させることは、耐候性の優れた成形品とすることができる点で、好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
なかでも高分子量のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、例えば、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕などが耐候性が高く、フィルムからの揮発も少ないことから好ましい。
また、アクリル樹脂組成物に紫外線吸収性を示す単量体を共重合することがさらに好ましい。そのことにより押出成形時にその一部が揮発することなく、押出成形時のロールおよび金属ベルト、また射出成形用金型への揮発成分の付着による汚れ少なくなる。
紫外線吸収性能を示す単量体としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類であり、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチル−3’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらのうちでも、より好ましくは、コストおよび取り扱い性から、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。
紫外線吸収剤の共重合比率は、アクリル樹脂組成物(C)100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部が特に好ましく、0.01〜5重量部の範囲ではフィルムの耐候性と乳化重合のバランスが良好な傾向にある。
アクリル系樹脂フィルム(基体)の厚みは30〜400μmが好ましく、30〜300μmがさらに好ましい。30μm以上の厚みでは絵柄を印刷した場合に深みのある外観が得られ易いことから好ましい。また400μm以下の厚みではコストが高くなり過ぎないことから、より使用し易い。
コーティング層が形成されていない面に絵柄を印刷する場合は、グラビア印刷、スクリーン印刷あるいはインクジェットプリンター等による印刷などの方法が採用できる。印刷層にはプライマーや接着剤を塗布することができ、公知の樹脂とコーティング層が設けられた面と反対側の面を基材樹脂と積層することができる。またコーティング層が表層にある積層品は、自動車内装または自動車外装部材として使用した場合は、日焼け止めクリームや人の汗や指紋が付着しても外観の変化が起こりづらく、意匠性が維持できるため好ましい。
本発明で得られる積層品を構成する基材樹脂としては、種類を問わず、公知の樹脂が使用可能である。樹脂として、例えば、ABS系樹脂、オレフィン系樹脂、AS系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、あるいはこれを主成分とする樹脂とラミネートして積層品とすることができる。
本発明で得られる積層品の製造方法は特に制限されるものではないが、二次元形状の積層品で、かつ基材が熱融着出来るものの場合は、熱ラミネーション等の公知の方法を用いることができる。また熱融着しない基材に対しては、プライマー層または接着層を介して貼り合せることが可能である。三次元形状の積層品の場合は、加飾フィルムを成型品の最表面とするインサート成形法、インモールド成形法等の公知の方法を用いることができる。射出成形される樹脂としては、種類は問わず射出成形可能な全ての樹脂が使用可能である。
本発明の積層品の使用方法は特に制限されるものではないが、自動車内装や自動車外装等の各種乗り物の内装、外装部品に特に適している。また人の汗や指紋が付着するような場所、例えばAV機器、パソコン機器、家具製品、携帯電話、各種ディスプレイ、レンズ、窓ガラス、小物、雑貨等のその他各種用途等に使用することができる。
《実施例1》
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が120mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す6種類の膜厚を有する積層フィルムを8種類作成した。
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が120mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す6種類の膜厚を有する積層フィルムを8種類作成した。
《実施例2》
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が80mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す6種類の膜厚を有する積層フィルムを8種類作成した。
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が80mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す6種類の膜厚を有する積層フィルムを8種類作成した。
《実施例3》
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が40mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す6種類の膜厚を有する積層フィルムを8種類作成した。
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が40mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す6種類の膜厚を有する積層フィルムを8種類作成した。
《実施例4》
50モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が120mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
50モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が120mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
《実施例5》
20モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が100mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
20モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が100mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
《実施例6》
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が160mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
40モル%のフルオロオレフィンおよび反応型のシリコーンオイル、水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が160mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、コーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
《比較例1》
40モル%のフルオロオレフィンおよび水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が120mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、シリコーン成分を含まないコーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
40モル%のフルオロオレフィンおよび水酸基、カルボキシル基を分子中に有する0H価が120mgKOH/gの含フッ素共重合体(関東電化工業(株)製 商品名エフクリア)を、酢酸エチル78%、イソプロピルアルコール22%の比率で混合した溶剤に分散させて、表1に示す固形分濃度に調整した。硬化剤として住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールZ4470BAを、表1に示す割合で含フッ素共重合体と混合して混合物を得、この混合物に質量平均粒径2μmの不定形シリカ5%を混合することによって、シリコーン成分を含まないコーティング用組成物を得た。得られたコーティング用組成物を、(株)カネカ製のアクリル樹脂系透明フィルムSD018XA88H(厚さ75μm)の基体に、グラビアコーターで塗布し、85℃で40秒間乾燥した後、表1に示す温度で3日間エージングを行った。このようにして表1に示す2種類の膜厚を有する積層フィルムを4種類作成した。
《比較例2》
アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物で構成された(株)カネカ製のアクリル系樹脂透明フィルムであるSD018XA88H(厚さ75μm)を使用した。表層にはコーティング剤等は塗布せずにフィルム単層を用いた。
アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物で構成された(株)カネカ製のアクリル系樹脂透明フィルムであるSD018XA88H(厚さ75μm)を使用した。表層にはコーティング剤等は塗布せずにフィルム単層を用いた。
《比較例3》
アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物にアクリルビーズ系の艶消し剤を配合することで構成された(株)カネカ製のアクリル系樹脂艶消しフィルムであるSD010NDLGH(厚さ75μm)を使用した。
表層にはコーティング剤等は塗布せずにフィルム単層を用いた。
アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物にアクリルビーズ系の艶消し剤を配合することで構成された(株)カネカ製のアクリル系樹脂艶消しフィルムであるSD010NDLGH(厚さ75μm)を使用した。
表層にはコーティング剤等は塗布せずにフィルム単層を用いた。
[評価試験]
上記のようにして作成した積層フィルムについて以下の評価試験を行った。また、比較のために、(株)カネカ製のアクリルフィルム(単層、膜厚75μm)であるSD018XA88HおよびSD010HDLGHについても同様の評価試験を行った。
上記のようにして作成した積層フィルムについて以下の評価試験を行った。また、比較のために、(株)カネカ製のアクリルフィルム(単層、膜厚75μm)であるSD018XA88HおよびSD010HDLGHについても同様の評価試験を行った。
(1)耐乳酸
純水により希釈した5%乳酸水溶液0.2mlを上記積層フィルムのコーティング層上に滴下し、60℃で24時間静置した後、コーティング層表面の外観の変化を目視により観察し、以下のように評価した。
○:コーティング層にクラック、または乳酸溶液の跡が認められない。
△:コーティング層にクラック、または乳酸溶液の跡がわずかに認められる。
×:コーティング層にクラック、または乳酸溶液の跡が認められる。
純水により希釈した5%乳酸水溶液0.2mlを上記積層フィルムのコーティング層上に滴下し、60℃で24時間静置した後、コーティング層表面の外観の変化を目視により観察し、以下のように評価した。
○:コーティング層にクラック、または乳酸溶液の跡が認められない。
△:コーティング層にクラック、または乳酸溶液の跡がわずかに認められる。
×:コーティング層にクラック、または乳酸溶液の跡が認められる。
(2)耐指紋性
上記積層フィルムのコーティング層上に指先を押し付けることによって指紋を付け、ネル布でふき取った後の、指紋跡部分を目視により観察し、以下のように評価した。
○:指紋跡が残っていない。
×:指紋跡が残っていることが認められる。
上記積層フィルムのコーティング層上に指先を押し付けることによって指紋を付け、ネル布でふき取った後の、指紋跡部分を目視により観察し、以下のように評価した。
○:指紋跡が残っていない。
×:指紋跡が残っていることが認められる。
(3)加工性
(株)島津製作所製のオートグラフAG200Dを使用し、120℃雰囲気下で、200mm/minの速度で、80mmのチャック間距離から、上記積層フィルムの120%、150%及び250%の延伸を実施した。このときのコーティング層の割れを目視により観察し、以下のように評価した。
◎:250%の延伸でもコーティング層の割れが認められない。
○:150%の延伸でもコーティング層の割れが認められない。
△:120%の延伸でコーティング層の割れが認められないが、150%の延伸でコーティング層の割れが認められる。
×:120%及び150%の延伸でのコーティング層の割れが認められる。
(株)島津製作所製のオートグラフAG200Dを使用し、120℃雰囲気下で、200mm/minの速度で、80mmのチャック間距離から、上記積層フィルムの120%、150%及び250%の延伸を実施した。このときのコーティング層の割れを目視により観察し、以下のように評価した。
◎:250%の延伸でもコーティング層の割れが認められない。
○:150%の延伸でもコーティング層の割れが認められない。
△:120%の延伸でコーティング層の割れが認められないが、150%の延伸でコーティング層の割れが認められる。
×:120%及び150%の延伸でのコーティング層の割れが認められる。
(4)応力白化
上記積層フィルムを23℃で180度折り曲げ、コーティング層の白化状態を目視により観察し、以下のように評価した。
○:白化が認められない。
△:白化がわずかに認められる。
×:白化が認められる。
上記積層フィルムを23℃で180度折り曲げ、コーティング層の白化状態を目視により観察し、以下のように評価した。
○:白化が認められない。
△:白化がわずかに認められる。
×:白化が認められる。
表1に示す結果から、基体と基体の一方の面に形成されたコーティング層とを具備する本発明の積層フィルムは、耐薬品性および耐汚染性に優れることがわかる。
本発明の積層フィルムは、自動車の内装用部材および外装用部材に好適に用いることができる。
Claims (13)
- 基体と、前記基体の一方の面に形成されたコーティング層と、を具備し、
前記コーティング層が、重合単位として少なくともフルオロオレフィンおよびシリコーンオイルを含む含フッ素共重合体からなること、
を特徴とする積層フィルム。 - 前記コーティング層のOH価が40〜120であること、
を特徴とする請求項1記載の積層フィルム。 - 前記含フッ素共重合体が、前記フルオロオレフィン15〜85モル%、前記シリコーンオイル0.001〜30モル%、水酸基含有ビニルエーテル1〜50モル%、および不飽和カルボン酸0.1〜30モル%を含み、かつ分子中に水酸基およびカルボキシル基を有すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。 - 前記コーティング層の平均厚さが0.5μm〜6μmであること、
を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の積層フィルム。 - 前記シリコーンオイルが、下記の式(1)または式(2)で示されること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
R1−[Si(CH3)2−O]n−Si(CH3)2−R2 ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2であり、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。nは1〜420であり、rは1〜6である。)
R2−Si[OSi(CH3)3]3 ・・・(2)
(式(2)中、R2は−(CH2)r−OOC(CH3)C=CH2または−CH=CH2である。) - 前記含フッ素共重合体が、さらにアルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルよりなる群から選択される少なくとも一種の重合単位を残部として含むこと、
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。 - 前記基体が、アクリル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を含有する樹脂組成物で構成されたアクリル系樹脂フィルムであること、
を特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の積層フィルム。 - 前記アクリル系樹脂フィルムが、(A)アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体と、(B)メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体と、を含有する樹脂組成物(C)で構成され、
前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径が50〜200nmであること、
を特徴とする請求項7に記載の積層フィルム。 - 前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径d(nm)と、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体に用いられる架橋剤の量w(重量%)と、が関係式:
0.03d≦w≦0.06d
を満たし、
前記樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.2〜0.8dl/gであること、
を特徴とする請求項8に記載の積層フィルム。 - 前記基体の厚みが30〜400μmであること、
を特徴とする請求項1〜9のうちのいずれかに記載の積層フィルム。 - 前記基体の他方の面に印刷層を具備すること、
を特徴とする請求項1〜10のうちのいずれかに記載の積層フィルム。 - 請求項1〜11のうちのいずれかに記載の積層フィルムを用いて、射出成形同時貼合法により得られる積層成形体。
- 請求項1〜12のうちのいずれかに記載の積層成形体を用いた自動車内装または外装用部材。
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