JP2005082719A - 含フッ素共重合体及びその組成物、それらの被膜 - Google Patents

含フッ素共重合体及びその組成物、それらの被膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 撥水撥油性、耐候性、耐薬品性に優れ、且つ高硬度、高光沢、リコート性を有し、塗料等として有用な新規な含フッ素共重合体を提供する。
【解決手段】 必須の重合単位として、フルオロオレフィンを5〜85モル%、パーフルオロアルキル基含有単量体を0.1〜40モル%、水酸基含有不飽和単量体を1〜30モル%、並びにジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートを1〜15モル%とを重合単位として含み構成されることを特徴とする含フッ素共重合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、撥水撥油性、耐候性、耐薬品性に優れ、且つ高硬度、高光沢、リコート性を有する新規な含フッ素共重合体及びその製造方法、該含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物に関し、また、該含フッ素共重合体及び該含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物を主成分とするフッ素樹脂塗料、ワニスに関し、更には、該含フッ素共重合体及び該含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物から形成される被膜、該被膜で被覆された基材に関するものである。
従来、フルオロオレフィンとヒドロキシアルキルビニルエーテルを必須成分とする含フッ素共重合体をベースとして、シリコーンオイル等の添加により撥水撥油性を付与したフッ素樹脂塗料が知られているが、長期における維持性が劣る。
そこで本発明者等は、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において、長期における撥水撥油性に優れる含フッ素共重合体を提供した。
特開2000−313725号公報 特開2001−206918号公報 特開2002−261151号公報
しかしながら、更に実験を進めた結果、上記特許文献1〜3の含フッ素共重合体ではリコート性が劣ることが分かり、これをさらに向上させる必要があることが分かった。ここで云う「リコート性」とは、一度基材にコーティングして塗膜化させた塗膜面(第一層)に、再度同一の含フッ素共重合体等をコーティングした(第二層)場合の、第一層と第二層との密着性を意味する。
本発明者等は、上記のような問題点を解決すべく鋭意検討を行ったところ、フルオロオレフィンと、パーフルオロアルキル基含有単量体と、水酸基含有不飽和単量体と、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートとを重合単位として含有させると、これまでに提供されている前記含フッ素共重合体の塗膜以上の撥水撥油性を有し、リコート性にも優れる高硬度の塗膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、必須の重合単位として、フルオロオレフィンを5〜85モル%、パーフルオロアルキル基含有単量体を0.1〜40モル%、水酸基含有不飽和単量体を1〜30モル%、並びにジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートを1〜15モル%とを重合単位として含み構成されることを特徴とする含フッ素共重合体とその製造方法、並びにその塗膜を提供するものである。
本発明によれば、撥水撥油性、耐候性、耐薬品性に優れ、且つ高硬度、高光沢、リコート性を有する新規な含フッ素共重合体と塗料、ワニスを提供することができる。
本発明の含フッ素共重合体もしくは該含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物から形成される被膜は、上記優れた特性(撥水撥油性、リコート性等)を有するため、内装用途(壁、床、家具、水周り用品等)、屋外用途(外壁、フィルム等)やアウトドア用品(クーラーボックス、テント等)へのトップコート用途にも有用である。
本発明の含フッ素共重合体において、重合単位のフルオロオレフィンとしては、分子中に1つ以上のフッ素原子を有するオレフィンであって、例えばフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が好適である。これらのフルオロオレフィンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
パーフルオロアルキル基含有単量体の具体例としては、
CH2=CHCOOCHCF
CH2=CHCOOCH(CF)
CH2=CHCOOCH(CF)
CH2=CHCOOCHCH(CF)
CH2=CHCOOCHCH(CF)
CH2=CHCOOCHCH(CF)
CH2=CHCOOCHCH(CF)10
CH2=CHCOOCHCH(CF)12
CH2=CHCOOCHCH(OH)CH(CF)
CH2=CHCOOCHCH(OH)CH(CF)
CH2=CHCOOCHCH(OH)CH(CF)
CH2=CHCOOCH(CF)
CH2=CHCOOCH(CF)
CH2=CHCOOCH(CF)
CH2=C(CH)COOCHCF
CH2=C(CH)COOCH(CF)
CH2=C(CH)COOCH(CF)
CH2=C(CH)COOCHCH(CF)
CH2=C(CH)COOCHCH(CF)
CH2=C(CH)COOCHCH(CF)
CH2=C(CH)COOCHCH(CF)10
CH2=C(CH)COOCHCH(CF)12
CH2=C(CH)COOCHCH(OH)CH(CF)
CH2=C(CH)COOCHCH(OH)CH(CF)
CH2=C(CH)COOCH(CF)
CH2=C(CH)COOCH(CF)
CH2=C(CH)COOCH(CF)
CH2=CH(CF)
CH2=CH(CF)
CH2=CH(CF)10
CH2=CH(CF)12
等が挙げられる。特に、CH2=CHCOOCHCH(CF)F(2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート)、CH2=C(CH)COOCHCH(CF)F(2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート)が好ましい。これらパーフルオロアルキル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、水酸基含有不飽和単量体の具体例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル等が挙げられるが、特に2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルが好適である。これらの水酸基含有不飽和単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレートあるいはジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、並びにジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート等が挙げられるが、特にジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートが好適である。これらの(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、下記一般式(1)、(2)あるいは(3)で示される反応性シリコーンは、片末端がメタクリル変性されたポリジメチルシロキサン、片末端がアクリル変性されたポリジメチルシロキサン、両末端がメタクリル変性されたポリジメチルシロキサン、両末端がビニル変性されたポリジメチルシロキサン等が好適である。これらの反応性シリコーンは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらの反応性シリコーンの数平均分子量は、200〜30,000が好ましい。
−Si(CH)−O−[Si(CH)−O]−Si(CH)−R (1)
(ここで、Rは、CH2=C(CH3)COO(CH)r1−、CH2=CHCOO(CH)r1−、又はCH=CH−を示す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基、CH2=C(CH3)COO(CH)r2−、CH2=CHCOO(CH)r2−、又はCH=CH−を示す。nは20〜150の整数、r1は1〜6の整数、r2は1〜6の整数を示す。)
−Si[OSi(CH) (2)
CH=C(R)Si(R)(R)(R) (3)
(ここで、Rは、水素原子又はメチル基を示す。R、R及びRは、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、フェニル基、置換フェニル基、−CF、−CCF、−C(CH及び−OSi(CHの内の何れかを示し、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
反応性シリコーンとしては、特に次式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)のシリコーンが好ましい。
CH2=C(CH3)-COO-C36-Si(CH3)2-O-[Si(CH3)2-O]-Si(CH3)2-R (4)
(ここで、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。mは20〜150の整数。)
CH2=CH-COO-C36-Si(CH3)2-O-[Si(CH3)2-O]-Si(CH3)2-R (5)
(ここで、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。pは20〜150の整数。)
-C36-Si(CH3)2-O-[Si(CH3)2-O]-C36-R (6)
(ここで、Rは−OOC(CH)C=CHあるいは−OOCHC=CHを示す。qは20〜150の整数。)
CH2=C(CH3)-COO-C36-Si[O-Si(CH3)3]3 (7)
CH2=CH-Si(CH3)2-O-[Si(CH3)2-O]-Si(CH3)2-R10 (8)
(ここで、R10は炭素数1〜6のアルキル基あるいは−HC=CH2を示す。tは20〜150の整数。)
本発明の含フッ素共重合体において、各成分の共重合比率は、フルオロオレフィン5〜85モル%、パーフルオロアルキル基含有単量体0.1〜40モル%、水酸基含有不飽和単量体1〜30モル%、及びジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート1〜15モル%であることが好ましい。
当該含フッ素共重合体において、重合単位のフルオロオレフィンが5モル%より少ない場合には、塗料ベースとして使用した場合に、十分な耐汚染性が得られず好ましくない。また、85モル%より多い場合には各種溶媒に対する溶解性が低下し好ましくない。より好ましくは10〜80モル%である。
また、パーフルオロアルキル基含有単量体の割合が0.1モル%より少ない場合には、充分な撥水撥油性が得られず好ましくない。また、40モル%より多い場合には汎用な溶剤に溶解しにくくなり好ましくない。より好ましくは1〜35モル%である。
また、水酸基含有不飽和単量体が1モル%より少ない場合には、硬化が不十分となり、硬化塗膜の耐溶剤性、耐薬品性が低下し好ましくない。また30モル%より多い場合には、含フッ素共重合体中のフッ素含有量が減少し、充分な耐候性が得られず好ましくない。よって、1〜30モル%の範囲で適宜使用されるが、より好ましくは5〜25モル%である。
さらに、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートの割合が1モル%より少ない場合には、充分な塗膜硬度が得られず好ましくない。また、15モル%より多い場合には、充分な撥水撥油性が得られず好ましくない。よって、1〜15モル%の範囲で適宜使用されるが、より好ましくは3〜10モル%である。
また、上記反応性シリコーンを重合単位として含む場合には、各成分の共重合比率は、フルオロオレフィン5〜85モル%、パーフルオロアルキル基含有単量体0.1〜40モル%、水酸基含有不飽和単量体1〜30モル%、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートを1〜15モル%、及び前記反応性シリコーン0.001〜5モル%であることが好ましい。
反応性シリコーンの割合が0.001モル%より少ない場合には、十分な撥水撥油性が得られず好ましくない。また5モル%より多い場合には十分なリコート性が得られず好ましくない。また、分子量が大きい(n=200〜420)ものを重合する場合は、製造上その割合を多く出来ない。これらの理由によりその割合はさらに好ましくは0.005〜3モル%である。
本発明の含フッ素共重合体は、フルオロオレフィンと、パーフルオロアルキル基含有単量体と、水酸基含有不飽和単量体と、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートと、あるいは更に前記反応性シリコーンとを必須の重合単位として含んでいるが、更に不飽和カルボン酸、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの内から選択される1種以上の重合単位を残部(20モル%を超えない範囲、特に好ましくは0.1〜10モル%の範囲)として含むこともできる。
上記不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、イタコン酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸等が挙げられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸が好適である。
アルキルビニルエーテルの具体例としては、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、グリシジルオキシメチルビニルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、グリシジルオキシブチルビニルエーテル、グリシジルオキシペンチルビニルエーテル、グリシジルオキシシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
アルキルアリルエーテルの具体例としては、エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、n−プロピルアリルエーテル、グリセロール−α−モノアリルエーテル等が挙げられる。
アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
また、さらに、本発明の含フッ素共重合体は、前記フルオロオレフィンと、パーフルオロアルキル基含有単量体と、水酸基含有不飽和単量体と、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートと、あるいは更に前記反応性シリコーンの必須の重合単位、並びに上記不飽和カルボン酸、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの内から選択される1種以上の重合単位に加え、さらに上記構成単位に加えて使用目的などに応じて20モル%を超えない範囲で他の共重合可能な単量体を含むこともできる。
該共重合可能な単量体としては、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のアルカンカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類が挙げられる。
本発明の含フッ素共重合体は、所定割合の単量体混合物を、重合開始剤を用いて共重合させることにより製造することが出来る。
上記重合開始剤としては、重合形式や所望に応じて用いられる溶媒の種類に応じて、油溶性のものあるいは水溶性のものが適宜用いられる。
油溶性開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル型過酸化物、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が用いられる。
水溶性開始剤としては、例えば過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤との組み合わせからなるレドックス開始剤、さらには、これらに少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀等を共存させた無機系開始剤やコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド等の二塩基酸塩の有機系開始剤等が用いられる。
これらの重合開始剤の使用量は、その種類、共重合反応条件等に応じて適宜選ばれるが、使用する単量体全量に対して、0.005〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の範囲で選ばれる。
重合方法については特に制限はなく、例えば塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等を用いることが出来るが、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、キシレン等の芳香族炭化水素類、ソルベッソ(登録商標)等の芳香族炭化水素混合物、t−ブタノール等のアルコール類、フッ素原子を1個以上有するハロゲン化飽和炭化水素類等を溶媒とする溶液重合法や水性溶媒中での乳化重合法が好ましい。そして、重合溶液をより均一にするという効果を達成するために、該含フッ素共重合体を溶液重合法により得る方法が好ましく用いられるが、そのための特に好ましい溶媒としては、酢酸ブチル、芳香族炭化水素類若しくはその混合物、メチルエチルケトン、アルコール類が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
水性溶媒中で共重合させる場合(乳化重合法、懸濁重合法)には、通常分散安定剤として懸濁剤や乳化剤を用い、かつ塩基性緩衝剤を添加して、重合中の反応液のpH値を4以上、好ましくは6〜8にすることが望ましい。
これらの共重合反応における反応温度は、−30℃〜150℃での範囲内で重合開始剤や重合媒体の種類に応じて適宜選ばれる。例えば溶媒中で共重合を行う場合には、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜90℃の範囲で選ばれる。また、反応圧力については特に制限はないが、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPaの範囲で選ばれる。さらに、該共重合反応は、適当な連鎖移動剤を添加して行うことが出来る。
本発明の含フッ素共重合体は、水酸基を有しているので、多価イソシアネート類を用いて効率よく常温で硬化させることができる。該多価イソシアネート類としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の無黄変性ジイソシアネートやその付加物、リジントリイソシアナート(2−イソシアナトエチル 2,6−ジイソシアナトヘキサノアート)などのトリイソシアネート、イソシアヌレート類を有する多価イソシアネートが好ましく用いられるが、これらの中でもイソシアヌレート類を有する多価イソシアネート、リジントリイソシアナートが特に有効である。イソシアネート類を用いて常温硬化を行わせる場合には、ジブチル錫ジラウレート、3級アミン等の公知触媒の添加によって硬化を促進させることもできる。
またさらに、メラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤、多基塩基酸硬化剤等を用いて加熱硬化させることもできる。該メラミン硬化剤としては、例えばブチル化メラミン、メチル化メラミン、エポキシ変性メラミン等が挙げられ、用途に応じて各種変性度のものを適宜用いることができ、また自己縮合度も適宜選ぶことができる。尿素樹脂硬化剤としては、例えばメチル化尿素樹脂やブチル化尿素樹脂等が挙げられる。多基塩基酸硬化剤としては、例えば長鎖脂肪族ジカルボン酸、芳香族多価カルボン酸及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
さらに、ブロック化多価イソシアネート類も硬化剤として好適に用いることもできる。また、メラミン硬化剤又は尿素樹脂硬化剤の使用に際しては、酸性触媒の添加によって硬化を促進させることもできる。
本発明の含フッ素共重合体を主成分とするフッ素樹脂塗料又は硬化性フッ素樹脂塗料を製造する場合には、種々の溶媒が使用可能であり、例えばブタノール等のアルコール類、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ソルベッソ(登録商標)等の芳香族炭化水素混合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類、市販の各種シンナー等が挙げられるが、酢酸エチル、酢酸ブチルが特に好ましい。また、必要に応じてアクリル系樹脂等の各種樹脂を添加することが可能で、それら樹脂に応じて適宜溶媒を使用できる。
アクリル系樹脂の具体例としては、一般的にアクリル樹脂と称されているメチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート共重合体、ブチル(メタ)アクリレート共重合体、スチレンを含有する(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。これらアクリル系樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
市販されているアクリル系樹脂としては、アクリディックA−814、アクリディックA−810−45(大日本インキ化学工業(株)製)、テストロイド4211−46、テストロイド4212−46(日立化成ポリマー(株)製)、ダイヤナールLR−620、ダイヤナールLR−199、ダイヤナールLR−2516、ダイヤナールSS−792(三菱レイヨン(株)製)、ヒタロイド3046C、ヒタロイド3018(日立化成工業(株)製)等があり、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
樹脂組成物中にアクリル系樹脂が用いられる場合、上記含フッ素共重合体は樹脂組成物の5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは40〜60重量%を占め、アクリル系樹脂は95〜5重量%、好ましくは80〜20重量%、更に好ましくは60〜40重量%を占める。アクリル系樹脂を使用することにより、塗膜の寿命や硬度等が改善される場合がある。
また、本発明の含フッ素共重合体又は含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物よりなる塗料に、金属酸化物の微粉末及び/又はポリテトラフルオロエチレン微粉末を添加することにより、塗膜表面に凹凸を与え、著しく撥水性を向上させることができる。該微粉末としては、溶剤に既に分散されているタイプを用いても良い。
使用する該微粉末の平均粒子径は、0.001〜10μm であることがより好ましい。平均粒子径が0.001μmより小さい場合には、塗膜表面に充分な凹凸が得られず好ましくない。平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、塗料組成物中で凝集が起こりやすくなり好ましくない。塗膜厚により該微粉末の平均粒子径を選択することが好ましい。
また、該微粉末は、含フッ素共重合体又は含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物100重量部に対して1〜100重量部の添加量であることが好ましい。添加量が1重量部より少ない場合には、塗膜表面に充分な凹凸が得られず好ましくない。また、100重量部より多い場合には、塗膜の耐久性が低下し好ましくない。より好ましくは、含フッ素共重合体又は含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物100重量部に対して該微粉末が5〜90重量部である。
本発明において使用し得る金属酸化物微粉末の具体例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化鉄、酸化珪素(シリカ)、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられるが、特に酸化珪素(シリカ)が好ましい。市販されているシリカ微粉末としては、SYLYSIA 350、440、445、446(富士シリシア化学(株)製)、Nipsil E−150K、E−220、E−200A、K−300(日本シリカ工業(株)製)、スノーテックス MEK−ST、PMA−ST(日産化学工業(株)製)等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
塗料製造に際し、本発明の含フッ素共重合体と溶媒との混合、または各種樹脂との混合は、ボールミル、ペイントシェーカー、サンドミル、三本ロールミル、ニーダー等の通常の塗料化に用いられる種々の機器を用いて行うことが出来る。この際、必要に応じて顔料、分散安定剤、粘度調節剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等を添加することも出来る。
また、本発明の含フッ素共重合体を電着塗料用のベース樹脂として用いる場合には、含フッ素共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部をモノメチルアミン、トリメチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類、ピリジン等のピリジン類などの塩基性化合物により中和し、水分散液として用いることが適当である。
本発明の塗膜に用いられる基材に特に制限はなく、有機材料も無機材料も用いることができる。例えば、使用できる基材の材料として、アクリル材、木材、プラスチック(PET、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等)、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル等)、グラファイト、紙、コンクリート、不燃材(石膏ボード、珪酸カルシウム板、フレキシブルボード等のセラミック材等)、ガラス、FRP、カーボン等が挙げられる。
基材の形状に特に制限はなく、平面状であっても凹凸があってもよい。本発明の塗膜を有する物品は、各種の内装用途、屋外用途に用いることができる。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、以下の例において部は全て重量部を意味する。
実施例1
内容積1Lのステンレス製攪拌機付きオートクレーブ(耐圧10MPa)に、CH2=C(CH)COOCHCH(CF)F 191.5g、ヒドロキシブチルビニルエーテル41.8g、ジシクロペンタニルメタクリレート39.6g、メタクリル酸メチル36.0g、酢酸ブチル400g、及びt−ブチルパーオキシピバレート4gを入れ、その後脱気し、テトラフルオロエチレン54gを入れ、攪拌しながら内温を60℃に昇温した。
その後、攪拌しながら反応を続け、20時間後攪拌を停止し、反応を終了した。得られた共重合体の収量は334g、共重合体収率は92%であった。得られた共重合体の無水酢酸によるアセチル化法によって測定した水酸基価は61mgKOH/g樹脂であった。
この共重合体の硬化塗膜の塗膜特性を次の方法で調べた。結果を表1に示す。
<試験塗膜の作成条件>
上記共重合体の30%酢酸ブチル溶液に、該共重合体の水酸基/NCO基が1/1になるようにリジントリイソシアナートを加え、ガラス板上に6milアプリケーターにより塗布し、80℃で2時間加熱処理し、試験塗膜を得て、下記の評価方法に基づき評価した。
<光沢>
測定装置として堀場製作所製グロスチェッカIG−330を使用し、上記硬化塗膜の60°光沢を測定した。
<鉛筆硬度>
JIS−K5600 5−4:1999(引っかき試験(鉛筆法))に準拠して行い、荷重は1kgで測定した。
<リコート性>
得られた試験塗膜の上に、更に上記試験塗膜の作成条件に従い試験塗膜を作成した。得られた2層間の密着性を、ゴバン目試験(塗膜にカッターナイフで1mm幅のマス目(100個)の切れこみを入れ、その上にセロハンテープを圧着する。その後、テープを引き剥がし、塗膜上に残ったマス目数を数える。)により評価した。結果は、残ったマス目数/100で記載した。
<撥水性>
純水の撥水角(単位;度)を測定した。
<撥油性>
n−デカンの撥水角(単位;度)を測定した。
実施例2〜6
表1に示す単量体を用いて前記実施例1の操作に準拠して共重合体を製造し、これらの特性を同様に調べた。結果を表1に示す。また、これら共重合体の硬化塗膜の塗膜特性を実施例1と同様に調べた。結果を表1に示す。
実施例7
実施例5で得られた共重合体の30%酢酸ブチル溶液100部に、シリカ微粉末(Nipsil E−200A、日本シリカ工業(株)製;平均粒子系2.0〜3.0μm )30部、酢酸ブチル10部、平均粒径1mmのガラスビース60部を加え、サンドグラインダー(1500rpm)で3時間攪拌し、分散液を作成した。得られた分散液に該共重合体の水酸基/NCO基が1/1になるようにリジントリイソシアナートを加え、ガラス板上に6milアプリケーターにより塗布し、80℃で2時間加熱処理し、試験塗膜を得て、撥水角(接触角)を測定したところ、140°(純水)、86°(n−デカン)であった。
比較例1
内容積1Lのステンレス製攪拌機付きオートクレーブ(耐圧10MPa)に、ヒドロキシブチルビニルエーテル58.0g、ジシクロペンタニルアクリレート51.5g、ジシクロペンタニルメタクリレート55.0g、反応性シリコーンA 11.5g、メタクリル酸メチル72.5g、クロトン酸1.9g、酢酸ブチル400g、及びt−ブチルパーオキシピバレート5.6gを入れ、その後脱気し、テトラフルオロエチレン75gを入れ、攪拌しながら内温を60℃に昇温した。
その後、攪拌しながら反応を続け、20時間後攪拌を停止し、反応を終了した。得られた共重合体の収量は292g、共重合体収率は90%であった。得られた共重合体の無水酢酸によるアセチル化法によって測定した水酸基価は96mgKOH/g樹脂であり、酸価は4.2mgKOH/g樹脂であった。
得られた重合液の硬化塗膜の塗膜特性を実施例1と同様に調べた。結果を表2に示す。
比較例2〜3
表2に示す単量体を用いて前記比較例1の操作に準拠して共重合体を製造し、これらの特性を同様に調べた。結果を表2に示す。また、これら共重合体の硬化塗膜の塗膜特性を実施例1と同様に調べた。結果を表2に示す。
Figure 2005082719
Figure 2005082719
表中、
・反応性シリコーンオイルA:
CH2=CH-Si(CH3)2-O-[Si(CH3)2-O]60-Si(CH3)2CH=CH2
・反応性シリコーンオイルB:
CH2=C(CH3)-COO-C36-Si[O-Si(CH3)3]3

Claims (12)

  1. フルオロオレフィンと、パーフルオロアルキル基含有単量体と、水酸基含有不飽和単量体と、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートとを重合単位として含み構成されることを特徴とする含フッ素共重合体。
  2. フルオロオレフィンを5〜85モル%、パーフルオロアルキル基含有単量体を0.1〜40モル%、水酸基含有不飽和単量体を1〜30モル%、並びにジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートを1〜15モル%とを重合単位として含み構成されることを特徴とする請求項1記載の含フッ素共重合体。
  3. フルオロオレフィンと、パーフルオロアルキル基含有単量体と、水酸基含有不飽和単量体と、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレート、並びに一般式(1)、(2)及び(3)の内から選択される1種以上の反応性シリコーンとを重合単位として含み構成されることを特徴とする含フッ素共重合体。
    −Si(CH)−O−[Si(CH)−O]−Si(CH)−R (1)
    (ここで、Rは、CH2=C(CH3)COO(CH)r1−、CH2=CHCOO(CH)r1−、又はCH=CH−を示す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基、CH2=C(CH3)COO(CH)r2−、CH2=CHCOO(CH)r2−、又はCH=CH−を示す。nは20〜150の整数、r1は1〜6の整数、r2は1〜6の整数を示す。)
    −Si[OSi(CH) (2)
    CH=C(R)Si(R)(R)(R) (3)
    (ここで、Rは、水素原子又はメチル基を示す。R、R及びRは、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、フェニル基、置換フェニル基、−CF、−CCF、−C(CH及び−OSi(CHの内の何れかを示し、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  4. フルオロオレフィンを5〜85モル%、パーフルオロアルキル基含有単量体を0.1〜40モル%、水酸基含有不飽和単量体を1〜30モル%、ジシクロペンタニル基含有(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニル基含有(メタ)アクリレートを1〜15モル%、並びに一般式(1)、(2)及び(3)の内から選択される1種以上の反応性シリコーンを0.001〜5モル%とを重合単位として含み構成されることを特徴とする請求項3記載の含フッ素共重合体。
  5. さらに、不飽和カルボン酸、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの内から選択される1種以上の重合単位を残部として含み構成されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の含フッ素共重合体。
  6. 重合単位を溶液重合法で共重合させることからなり、その溶媒として、酢酸ブチル、芳香族炭化水素類及びその混合物、メチルエチルケトン及びアルコール類から選択される1種以上を使用することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の含フッ素共重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れか1項記載の含フッ素共重合体5〜95重量%と、アクリル系樹脂95〜5重量%とからなる含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物。
  8. 請求項1〜5の何れか1項記載の含フッ素共重合体又は請求項7記載の含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物100重量部に、平均粒子径0.001〜10μm の金属酸化物の微粉末及び/又はポリテトラフルオロエチレン微粉末1〜100重量部を配合してなる含フッ素共重合体組成物。
  9. 請求項1〜5の何れか1項記載の含フッ素共重合体又は請求項7記載の含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物からなるワニス又は塗料。
  10. 請求項1〜5の何れか1項記載の含フッ素共重合体又は請求項7記載の含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物から形成されてなる被膜又は塗膜。
  11. 請求項1〜5の何れか1項記載の含フッ素共重合体又は請求項7記載の含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物からなる被膜で被覆されてなることを特徴とする被覆基材。
  12. 基材が、アクリル材、木材、プラスチック、金属、グラファイト、紙、コンクリート、不燃材、ガラス、FRP及びカーボンの内から選択されるものである請求項11記載の被覆基材。
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