JP2004137298A - アクリルフィルムおよびその積層品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)とからなり、ゴム状重合体の含有量(5〜25重量%)、平均粒子径(50〜200nm)、架橋剤量およびグラフト層の特定組成(第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物を、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト共重合)を規定した樹脂組成物を成形することで、応力白化が発生せず、硬度や剛性が高く、引張破断時の伸びが高く、透明性に優れかつ加熱後の透明性にも優れたアクリルフィルムを得た。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特定のアクリルフィルム及びアクリルフィルム積層品、特に射出成形によるアクリルフィルム積層品に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、金属製品等の表面を加飾する方法として、直刷り法や転写法がある。しかし、直刷り法は複雑な形状を有する成形品には不適であり、転写法ではコストが高いという課題があった。低コストで加飾性を付与する方法として、アクリル樹脂などのフィルムを真空成形等により予め形状を付与した、または付与しない状態で、射出成形金型にインサートし基材樹脂を射出成形するフィルムインモールド成形法がある。この用途に適したアクリル系フィルムについて種々提案されている。例えば、可塑性重合体の還元粘度、ゴム含有重合体の粒子径、ゴム含有量などを規定する方法(特許文献1)、アクリル系重合体の還元粘度、多層構造アクリル系重合体の含有量を規定する方法(特許文献2及び3)が知られている。これらのフィルムは表面硬度、透明性やフィルム成形性が優れていることが知られている。
【0003】
しかしながら、フィルムの応力白化の課題については何も記載されていない。すなわち、これらフィルムは本用途において、複雑な形状の成形品にフィルムを積層する場合、コーナー等に応力が集中するためフィルムが白化しやすくなり、商品価値を著しく低下させる。更には、真空成形等により予め形状を付与した、または付与しなかったフィルムを用いたフィルムインモールド成形法により得られたフィルム積層品に対して、仕上げ工程で端部のバリを切断する際にフィルムにクラック(割れ)が発生する等の課題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−323934号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平10−279766号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平10−306192号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは応力白化が生じないフィルムを開発すべく鋭意検討した結果、特定のアクリル酸エステル系ゴム状重合体を用いた特定組成のグラフト層を有するアクリル系グラフト共重合体とメタクリル系重合体とからなる樹脂組成物から得られるフィルムが、応力白化が少なく、表面硬度も高く、透明性に優れ且つ加熱後の透明性にも優れ、耐候性に優れ、引張破断伸びも大きく、更に成形性、表面性にも優れることを見出し、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)とかなる樹脂組成物(C)であって、
(1)アクリル酸エステル系ゴム状重合体の含有量が5〜25重量%、
(2)アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径が50〜200nm、
(3)アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径dとアクリル酸エステル系ゴム状重合体に用いられる架橋剤の量wとの関係が次式を満たし、
0.03d≦w≦0.06d d:nm w:重量%
(4)アクリル系グラフト共重合体(A)が、アクリル酸エステル系ゴム状重合体に第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させたもので、かつ
(5)樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.2〜0.8dl/g
である樹脂組成物を成形してなるアクリルフィルム(請求項1)、
請求項1記載のアクリルフィルムを積層した積層品(請求項2)及び
請求項2記載の積層品が射出成形により製造されたものであるアクリルフィルム積層品(請求項3)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる樹脂組成物(C)は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体(B)とかなるものであり、アクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル系重合体(B)をそれぞれ重合してこれを混合して得ることができるが、製造に際しては同一の反応機でアクリル系グラフト共重合体(A)を製造した後、メタクリル系重合体(B)を続けて製造することも出来る。混合する方法としてはラテックス状あるいはパウダー、ビーズ、ペレット等で混合が可能である。
【0010】
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)はアクリル酸エステル系ゴム状重合体(アクリル酸エステルを主成分とした架橋ゴム状重合体)の存在下に、第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合して得られる。
【0011】
本発明で用いられるアクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステル60〜99重量%、共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%および特定量の共重合可能な架橋剤からなる単量体混合物を重合させてなるものである。単量体混合物を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
【0012】
アクリル酸エステルは60〜99重量%が好ましく、80〜99重量%がより好ましく、85〜99重量%が最も好ましい。60重量%以下では耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが生じやすくなるため好ましくない。ここで用いられるアクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点よりアルキル基の炭素数1〜12のものを用いることができる。その具体例としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等があげられ、これらはの単量体は2種以上併してもよい。
【0013】
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステル類が特に好ましく、その具体例としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等があげられる。また、芳香族ビニル類も好ましく、その具体例としてはスチレン、メチルスチレン等があげられ、シアン化ビニル類も好ましく、その具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。
【0014】
共重合可能な架橋剤の量は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径と共に応力白化、引張破断時の伸びあるいは透明性に大きく影響する。すなわち、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径d(nm)と架橋剤量w(重量%)が次式を満たすことが重要である。
【0015】
0.03d≦w≦0.06d
ゴム状重合体の平均粒子径は、50〜200nmであり、好ましくは50〜180nm、より好ましくは50〜150nm、最も好ましくは60〜120nmである。50nm以下では耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが生じやすくなるため好ましくなく、200nm以上では応力白化が生じやすく、透明性が低下し、更に真空成形後の透明性が低下するため好ましくない。
【0016】
架橋剤の量は、上記式に示される範囲が好ましく、この範囲外では応力白化が生じ、耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが生じやすく、透明性が低下し、フィルムの成形性が悪化するため好ましくない。この目的で用いられる架橋剤は通常使用されるものでよく、例えばアクリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアクリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの架橋剤は2種以上使用してもよい。
【0017】
本発明で用いられるアクリル系グラフト共重合体(A)は、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下で第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させて得られる。好ましくは、前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体5〜75重量部の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物95〜25重量部を少なくとも2段階以上で重合させることより得られる。グラフト共重合組成(単量体混合物)中のメタクリル酸エステルは50重量%以上が好ましい。50重量%以下では得られるフィルムの硬度、剛性が低下するため好ましくない。グラフト共重合に用いられる単量体としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルであり、具体例としては前記アクリル酸エステル系ゴム状重合体に使用したものが使用可能である。
【0018】
第1段階でグラフト重合される単量体混合物中に含有されるメタクリル酸エステルは86重量%以上であり、好ましくは88重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。第2段階でグラフト重合される単量体混合物中に含有されるメタクリル酸エステルは85重量%以下であり、好ましくは83重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させたものでは、応力白化が生じやすくなるため好ましくない。
【0019】
この際、アクリル酸エステル系ゴム状重合体にグラフト反応せずに未グラフトの重合体となる成分が生じる。この成分は共重合体(B)の一部または全部を構成する。グラフト共重合体はメチルエチルケトンに不溶となる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体に対するグラフト率は30〜200%で、より好ましくは50〜200%、最も好ましくは80〜200%の範囲である。グラフト率が30%以下では透明性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが生じやすくなるため好ましくなく、200%以上ではフィルム成形時の溶融粘度が高くなり、フィルムの成形性が低下するため好ましくない。
【0020】
本発明で用いられるメタクリル系重合体(B)は、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものであり、好ましくは90重量%以上含有するもの、より好ましくは92重量%以上含有するものである。メタクリル酸メチルが80重量%以下では、得られるフィルムの硬度、剛性が低下するため好ましくない。
【0021】
本発明で用いられる樹脂組成物(C)中のアクリル酸エステル系ゴム状重合体の含有量は5〜25重量%が好ましく、10〜23重量%がより好ましい。5重量%以下では得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下し、応力白化が生じやすくなるため好ましくない。25重量%以上では得られるフィルムの硬度、剛性が低下するため好ましくない。
【0022】
本発明で用いられる樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度は0.2〜0.8dl/gである。0.2dl/g以下では得られるフィルムの引張破断時の伸びが低下し、耐溶剤性が低下して好ましくなく、0.8dl/g以上ではフィルムの成形性が低下するため好ましくない。
【0023】
本発明で用いられる樹脂組成物(C)のアクリル系グラフト共重合体(A)とメタクリル系重合体(B)の製造方法は特に限定されたものではなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が適用可能である。
【0024】
乳化重合法においては、通常の重合開始剤が使用される。具体例としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、更にアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用される。これらは単独または2種以上を組合せて用いられる。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄などの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に制限はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ソーダ、アルキルスルフォン酸ソーダ、アルキルベンデンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリン酸ソーダなどの陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類とエチレンオキサイドとの反応生成物などの非イオン性界面活性剤などが示される。これらの界面滑性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。このように得られる共重合体ラテックスから、通常の凝固と洗浄により、またはスプレー乾燥、凍結乾燥などによる処理により樹脂組成物が分離、回収される。
【0025】
本発明で得られる樹脂組成物(C)は特にフィルムとして有効であり、例えば通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等により良好に加工される。フィルムの厚みは、30〜500μm程度が適当であり、50〜300μmがより好ましい。また、必要に応じ、樹脂組成物(C)をフィルム状に成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、特にガラス転移温度以上の温度に加熱したロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。
【0026】
本発明の樹脂組成物(C)には、着色のため無機又は有機系の顔料、染料、熱や光に対する安定性を更に向上させるための抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを単独又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0027】
本発明のフィルムを用いた積層品の製造方法は特に制限されるものではないが、特公昭63−6339号、特公平4−9647号、特開平7−9484号、特開平8−323934号、特開平10−279766号等に記載の方法と同様なフィルムインモールド成形法により製造することが好ましい。すなわち、真空成形等により予め形状を付与した、または付与しなかったフィルムを、射出成形金型間に挿入し、フィルムを挟んだ状態で金型を閉じ型締めし、基材樹脂の射出成形を行うことにより、射出された基材樹脂成形体の表面にフィルムを溶融一体化させることが好ましい。その際、樹脂温度、射出圧力等の射出成形条件は、基材樹脂の種類等を勘案して適宜設定される。
【0028】
本発明で得られるアクリル積層品を構成する基材樹脂は、アクリルフィルムと溶融接着可能なものであることが必要であり、例えばABS樹脂、AS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、あるいはこれらを主成分とする樹脂が挙げられる。
【0029】
【実施例】以下に実施例、比較例により本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例にある「部」は重量部、「%」は重量%を表す。また、略号はそれぞれ下記の物質を表す。
【0030】
OSA:ソジウムジオクチルスルホサクネシート
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
CHP:キュメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリードデシルメルカプタン
EA:アクリル酸エチル
特性評価は次の方法、条件に従った。
(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径)
フィルムをルテニウム染色し、透過型電子顕微鏡で観察し、500個の粒子径を測定した。
(グラフト率G)
参考例で製造したパウダーを、メチルエチルケトンに溶解させ、不溶分と可溶分に分離し、不溶分をグラフト分として次式より求めた(単位:%)。
G=(不溶分の重量−ゴム状重合体の重量)/ゴム状重合体の重量×100
(還元粘度)
フィルムをメチルエチルケトンに溶解させ、可溶分を0.3%、N,N−ジメチルホルムアミドで30℃で測定した(単位:dl/g)。
(引張り強度、破断時の伸び)
フィルムをJIS号型ダンベルに打抜き、23℃でオートグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて引張スピード50mm/分のスピードで測定した(単位:引張強度はMPa、引張破断時の伸びは%)。
(透明性)
フィルムを用い曇値をJIS K 6714に従って測定した(単位:%)。
(鉛筆硬度)
フィルムを用いJIS K 5400に従って測定した。
(フィルムの成形性)
フィルム成形を3時間行い、状況を観察し次の評価をした。
○:フィルムの厚みが均一で、切れずに成形できる。
×:フィルムの厚みが不均一またはフィルム切れが発生する。
(フィルムの表面性)
1m2広さのフィルムの表面を観察し次の評価をした。
○:フィッシュアイ、ダイライン、ヤケが殆ど認められない。
△:フィッシュアイ、ダイライン、ヤケのいずれかが認められる。
×:フィッシュアイ、ダイライン、ヤケのいずれかが著しい。
(応力白化)
フィルムを23℃で180度折り曲げて、白化状態を観察し次の評価をした。
○:白化が認められない。
△:白化がわずか認められる。
×:白化が著しい。
(加熱後の透明性)
フィルムを160℃で1分間加熱した後の曇価をJIS K 6714に従って測定し、加熱前後の曇価の差を次の評価をした。
○:加熱前後の曇価の差が0.5未満である。
△:加熱前後の曇価の差が0.5以上から1.0未満である。
×:加熱前後の曇価の差が1.0以上である。
【0031】
(参考例1)
撹拌機付き8L重合機に次の物質を仕込んだ。
水 200部
ソジウムオクチルスルホサクシネート 0.2部
エチレンジアミン・2Na 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
ソジウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
脱酸素後、内温を60℃にした後、表1に示した単量体混合物(a)を10部/時間の割合で連続的に滴下し、その後30分間後重合を行いアクリル酸エステル系ゴム状重合体を得た。重合転化率は99.5%であった。その後、ソジウムオクチルスルホサクシネート0.2部を仕込んだ後、表1に示した単量体混合物(b)を12部/時間の割合で連続的に滴下し、その後1時間後重合を行い、アクリル系グラフト共重合体(A)を得た。重合転化率は99.0%、グラフト率は135%、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度は0.35dl/gであった。得られたラテックスを酢酸カルシウムで塩析凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末を得た。還元粘度、グラフト率を測定し表1に示した。
【0032】
(参考例2〜9)
参考例2、3、4、5、6、7、8及び9も表1に示す処方で参考例1と同様にして製造した。還元粘度、グラフト率を測定し表1に示した。
【0033】
(参考例10)
同様に乳化重合でMMA92%、BA8%の単量体混合物を用い共重合体を製造した。得られたメタクリル酸エステル系共重合体の還元粘度は0.36dl/gであった。
【0034】
(参考例11)
懸濁重合で製造したMMA−EA共重合体(住友化学株式会社製スミペックスEX:MMA約95%、EA約5%からなる共重合体、還元粘度0.30dl/g)を用いた。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例1)
参考例1で得られた重合体100部に対し、紫外線吸収剤としてチヌビン1577(チバスペシャルケミカル社製)1.5部及び酸化防止剤としてスミライザーGM(住友化学株式会社製)0.3部を混合し、ベント式押出機で220℃で押出ペレットを得た。得られたペレットをTダイ押出機でダイス温度240℃で成形し、100μm厚みのフィルムを得た。このフィルムを用いて種々の物性を評価した。結果を表2に示した。
【0037】
(実施例2〜6及び比較例1〜5)
実施例2、3、4、5、6及び比較例1、2、3、4、5も実施例1と同様に表2に示す処方でフィルムを得た。得られたフィルムを用い、種々の物性を評価した。結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、応力白化がなく、表面硬度も高く、透明性に優れ且つ加熱後の透明性にも優れ、引張破断時の伸びが高く、フィルム成形性および表面性のバランスに優れていることがわかる。
Claims (3)
- (A)アクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体と(B)メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するメタクリル系重合体とからなる樹脂組成物(C)であって、
(1)アクリル酸エステル系ゴム状重合体の含有量が5〜25重量%、
(2)アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径が50〜200nm、
(3)上記アクリル酸エステル系ゴム状重合体の平均粒子径d(nm)とアクリル酸エステル系ゴム状重合体に用いられる架橋剤の量w(重量%)との関係が次式を満たし、
0.03d≦w≦0.06d
(4)アクリル系グラフト共重合体(A)が、アクリル酸エステル系ゴム状重合体に第1段階でメタクリル酸エステルを86重量%以上含有する単量体混合物をグラフト重合させ、第2段階でメタクリル酸エステルを85重量%以下含有する単量体混合物をグラフト重合させたもので、かつ
(5)樹脂組成物(C)のメチルエチルケトン可溶分の還元粘度が0.2〜0.8dl/g
である樹脂組成物を成形してなるアクリルフィルム。 - 請求項1記載のアクリルフィルムを積層した積層品。
- 請求項2記載の積層品が射出成形により製造されたものであるアクリルフィルム積層品。
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