JP2008047434A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ耐性が高い保護層を有するプラズマディルプレイパネルの提供。
【解決手段】放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有し、前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
【選択図】なし
【解決手段】放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有し、前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
【選択図】なし
Description
本発明はプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」ともいう)は、薄型化が可能で、かつ大型化が容易であり、さらに軽量、高解像度などの特徴を持つため、表示装置としてCRTに替わる有力候補として注目されている。
PDPの動作原理はガス放電に伴う発光現象を利用したものである。その構造は、対向する透明な前面基板および背面基板の間に隔壁を有し、この隔壁によりセル(空間)が区画して形成されている。そして、セル内に可視発光が少なく紫外線発光効率が高いHe+Xe、Ne+Xeなどのペニング混合ガスを封入し、セル内でプラズマ放電を発生させ、セル内壁の蛍光体層を発光させて表示画面上に画像を形成させる。
PDPの動作原理はガス放電に伴う発光現象を利用したものである。その構造は、対向する透明な前面基板および背面基板の間に隔壁を有し、この隔壁によりセル(空間)が区画して形成されている。そして、セル内に可視発光が少なく紫外線発光効率が高いHe+Xe、Ne+Xeなどのペニング混合ガスを封入し、セル内でプラズマ放電を発生させ、セル内壁の蛍光体層を発光させて表示画面上に画像を形成させる。
このようなPDPは、画像を形成する画素にプラズマ放電を発生させるための電極として、透明な前面基板上に透明導電膜からなる放電電極(表示電極などともいう。)およびその電極の一部にバス電極を有する。また、背面基板に放電電極(アドレス電極などともいう。)を有する。そして、放電電極およびバス電極を被覆し、放電電極間の絶縁を確保する誘電体層を有し、さらにその誘電体層の上面には保護層を有する(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2参照)。
このようなPDPにおいて保護層は、放電電極および誘電体層がプラズマに侵食されることを防ぐ重要な役割を果たし、その材質として酸化マグネシウムが用いられることが多い。このような酸化マグネシウムからなる保護層を有するPDPとして、例えば特許文献2に記載のPDPが挙げられる。
特許文献2には、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板のうちの少なくとも一方の基板に形成された放電電極と、この放電電極を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被覆する保護層とを有するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記保護層が、蒸着またはスパッタリングによって形成される薄膜酸化マグネシウム層と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う酸化マグネシウム結晶体を含む結晶酸化マグネシウム層とが積層された構造を備えていることを特徴とするプラズマディスプレイパネルが記載されている。
そして、このようなPDPは、誘電体層の保護層を構成する結晶酸化マグネシウム層が特殊な酸化マグネシウム結晶体を含んでいるので、放電確率や放電遅れなどの放電特性が改善されて、良好な放電特性を得ることができると記載されている。
特開平7―65727号公報
特開2006−59780号公報
内田龍男、内池平樹著、「フラットパネルディスプレイ大辞典」、工業調査会、2001年12月25日、p.583−585
奥村健史著、「フラットパネル・ディスプレイ2004実務編」、日経BP社、p.176−183
そして、このようなPDPは、誘電体層の保護層を構成する結晶酸化マグネシウム層が特殊な酸化マグネシウム結晶体を含んでいるので、放電確率や放電遅れなどの放電特性が改善されて、良好な放電特性を得ることができると記載されている。
このようなPDPにおいて、保護層はプラズマに対する耐性がより高いことが好ましい。保護層の表面のプラズマエッチングが進行すると、放電電極および誘電体層のプラズマによる侵食を保護する保護層としての機能を果たさなくなるからである。
また、保護層のプラズマエッチングが進行し、放電電極がプラズマに曝された場合であっても、放電電極自体のプラズマに対する耐性が高ければ、放電電極としての機能を発揮するので好ましい。さらに、放電電極自体のプラズマに対する耐性がより高い場合は、放電電極を誘電体層や保護層で被覆する必要がなくなるので、製造工程の簡略化、材料の節約、形成されたプラズマディスプレイの軽量化、コンパクト化など、種々の点で好ましい。
本発明の目的は、プラズマ耐性が高い保護層および/または放電電極を有するPDPを提供することにある。
また、保護層のプラズマエッチングが進行し、放電電極がプラズマに曝された場合であっても、放電電極自体のプラズマに対する耐性が高ければ、放電電極としての機能を発揮するので好ましい。さらに、放電電極自体のプラズマに対する耐性がより高い場合は、放電電極を誘電体層や保護層で被覆する必要がなくなるので、製造工程の簡略化、材料の節約、形成されたプラズマディスプレイの軽量化、コンパクト化など、種々の点で好ましい。
本発明の目的は、プラズマ耐性が高い保護層および/または放電電極を有するPDPを提供することにある。
本発明者は鋭意検討し、少なくともその一部がマイエナイト型化合物からなる保護層または放電電極は、プラズマに対する耐性が高いことを見出した。そして、このような保護層および/または放電電極を有するPDPが上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すわなち、本発明は、以下の(1)〜(6)である。
(1)放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有し、前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
(2)前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層上の平均粒径が5nm以上の前記マイエナイト型化合物の粒子とを有する、上記(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(3)前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層中の平均粒径が5nm以上の前記マイエナイト型化合物の粒子とを有する、上記(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(4)前記薄膜層が、薄膜酸化マグネシウム層である、上記(2)または(3)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(5)前記保護層が、物理蒸着法もしくは化学蒸着法、またはウェットコーティングによって形成されたマイエナイト型化合物を含有する薄膜層を有する、上記(1)または(2)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(6)放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有し、前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
(1)放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有し、前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
(2)前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層上の平均粒径が5nm以上の前記マイエナイト型化合物の粒子とを有する、上記(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(3)前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層中の平均粒径が5nm以上の前記マイエナイト型化合物の粒子とを有する、上記(1)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(4)前記薄膜層が、薄膜酸化マグネシウム層である、上記(2)または(3)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(5)前記保護層が、物理蒸着法もしくは化学蒸着法、またはウェットコーティングによって形成されたマイエナイト型化合物を含有する薄膜層を有する、上記(1)または(2)に記載のプラズマディスプレイパネル。
(6)放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有し、前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
本発明のPDPは、その保護膜および/または放電電極のプラズマ耐性が高い。保護膜のプラズマ耐性が高い場合、放電電極や誘電体層を保護する性能が高い。また、放電電極のプラズマ耐性が高い場合、保護層のプラズマエッチングが進行し放電電極がプラズマに曝されても、放電電極としての機能を発揮するので好ましい。さらに、放電電極自体のプラズマに対する耐性がより高い場合、放電電極を誘電体層や保護層で被覆する必要がなくなる。
本発明のPDPについて説明する。
本発明のPDPは2つの態様からなる。1つ目の態様は保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPであり、2つ目の態様は放電電極の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPである。保護層および放電電極の両方において、その少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPであってもよく、そのような場合も本発明の範囲内である。
以下では、本発明の1つ目の態様である、保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPを「本発明のPDP−α」という。また、本発明の2つ目の態様である、放電電極の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPを「本発明のPDP−β」という。単に「本発明のPDP」と記した場合はそれらの両方を意味する。
本発明のPDPは2つの態様からなる。1つ目の態様は保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPであり、2つ目の態様は放電電極の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPである。保護層および放電電極の両方において、その少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPであってもよく、そのような場合も本発明の範囲内である。
以下では、本発明の1つ目の態様である、保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPを「本発明のPDP−α」という。また、本発明の2つ目の態様である、放電電極の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなるPDPを「本発明のPDP−β」という。単に「本発明のPDP」と記した場合はそれらの両方を意味する。
初めに、本発明のPDPの形態について説明する。
本発明のPDPの形態は特に限定されない。本発明のPDP−αにおいては、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有するPDPであればよい。また、本発明のPDP−βにおいては、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有するPDPであればよく、DC型のPDPを採用した場合には、本発明のPDP−αのように必ずしも誘電体層および保護層を有する必要はない。
本発明のPDPの形態は特に限定されない。本発明のPDP−αにおいては、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有するPDPであればよい。また、本発明のPDP−βにおいては、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有するPDPであればよく、DC型のPDPを採用した場合には、本発明のPDP−αのように必ずしも誘電体層および保護層を有する必要はない。
このような本発明のPDPの形態の一実施例を図1を用いて説明する。図1は、本発明のPDPの一実施例を示す概略構成図である。
図1におけるPDPは、対向する透明な前面基板1および背面基板2の間に隔壁3を有し、この隔壁3によりセル(空間)が区画して形成されている。そして、セル内に可視発光が少なく紫外線発光効率が高いHe+Xe、Ne+Xeなどのペニング混合ガスを封入し、セル内でプラズマ放電を発生させ、セル内壁の蛍光体層10を発光させて表示画面上に画像を形成させる。
このようなPDPは、画像を形成する画素にプラズマ放電を発生させるための電極として、透明な前面基板1上に透明導電膜からなる表示電極5(放電電極)およびその電極の一部にバス電極6を有する。さらに、前面基板1上にはブラックストライプ4を有する。また、背面基板2にアドレス電極7(放電電極)を有する。そして、表示電極5、バス電極6およびブラックストライプ4を被覆し、表示電極5とアドレス電極7との間の絶縁を確保する誘電体層8を有し、さらにその誘電体層8の上面には保護層9を有する。
本発明のPDPは例えばこのような形態を有する。
なお、図1を用いて説明したPDPはAC型であるが、本発明のPDP−βにおいては対向する基板の内面に放電電極が露出したDC型のPDPの形態であってもよい。
図1におけるPDPは、対向する透明な前面基板1および背面基板2の間に隔壁3を有し、この隔壁3によりセル(空間)が区画して形成されている。そして、セル内に可視発光が少なく紫外線発光効率が高いHe+Xe、Ne+Xeなどのペニング混合ガスを封入し、セル内でプラズマ放電を発生させ、セル内壁の蛍光体層10を発光させて表示画面上に画像を形成させる。
このようなPDPは、画像を形成する画素にプラズマ放電を発生させるための電極として、透明な前面基板1上に透明導電膜からなる表示電極5(放電電極)およびその電極の一部にバス電極6を有する。さらに、前面基板1上にはブラックストライプ4を有する。また、背面基板2にアドレス電極7(放電電極)を有する。そして、表示電極5、バス電極6およびブラックストライプ4を被覆し、表示電極5とアドレス電極7との間の絶縁を確保する誘電体層8を有し、さらにその誘電体層8の上面には保護層9を有する。
本発明のPDPは例えばこのような形態を有する。
なお、図1を用いて説明したPDPはAC型であるが、本発明のPDP−βにおいては対向する基板の内面に放電電極が露出したDC型のPDPの形態であってもよい。
次に、本発明のPDPにおけるマイエナイト化合物について説明する。
本発明のPDPにおいてマイエナイト型化合物とは、12CaO・7Al2O3化合物(以下、「C12A7」ともいう。)または12SrO・7Al2O3化合物(以下、「S12A7」ともいう。)であり、C12A7とS12A7との混晶化合物であってもよい。また、C12A7結晶もしくはS12A7結晶における2分子からなる単位胞において、66個の酸素のうち2個の酸素を塩素やフッ素などの陰イオンで置換したもの、またはこれら2個の酸素を電子で置換したものも含まれる。2個の酸素を電子で置換したマイエナイト型化合物は通常、導電性を有する。
本発明のPDPにおいてマイエナイト型化合物は導電性であっても非導電性であってもよく、いずれを用いた場合であってもプラズマ耐性は高い。
本発明のPDPにおいてマイエナイト型化合物とは、12CaO・7Al2O3化合物(以下、「C12A7」ともいう。)または12SrO・7Al2O3化合物(以下、「S12A7」ともいう。)であり、C12A7とS12A7との混晶化合物であってもよい。また、C12A7結晶もしくはS12A7結晶における2分子からなる単位胞において、66個の酸素のうち2個の酸素を塩素やフッ素などの陰イオンで置換したもの、またはこれら2個の酸素を電子で置換したものも含まれる。2個の酸素を電子で置換したマイエナイト型化合物は通常、導電性を有する。
本発明のPDPにおいてマイエナイト型化合物は導電性であっても非導電性であってもよく、いずれを用いた場合であってもプラズマ耐性は高い。
次に、本発明のPDP−αについて説明する。
本発明のPDP−αは、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有し、前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネルである。
このように本発明のPDP−αにおいて前記保護層は、その少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる。
本発明のPDP−αは、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層と、前記誘電体層上の保護層とを有し、前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネルである。
このように本発明のPDP−αにおいて前記保護層は、その少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる。
本発明のPDP−αにおける保護層は、少なくともその一部が前記マイエナイト型化合物からなるものであればその態様は特に限定されないが、次に示す第1または第2のいずれかの態様であることが好ましい。
第1態様の保護層について説明する。
本発明のPDP−αにおける第1態様の保護層は、前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層上の平均粒径が5nm以上のマイエナイト型化合物の粒子(以下、「マイエナイト粒子」ともいう。)とを有するものである。したがって、前記保護層は前記薄膜層以外の他の層を有していてもよい。また、薄膜層自体が2以上の層からなるものであってもよい。
本発明のPDP−αにおける第1態様の保護層は、前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層上の平均粒径が5nm以上のマイエナイト型化合物の粒子(以下、「マイエナイト粒子」ともいう。)とを有するものである。したがって、前記保護層は前記薄膜層以外の他の層を有していてもよい。また、薄膜層自体が2以上の層からなるものであってもよい。
第1態様の保護層は、例えば図2に示すような態様である。図2は第1態様の保護層を例示する概略断面図である。
図2において保護層30は、薄膜層32と、マイエナイト粒子34とからなっており、マイエナイト粒子34が薄膜層32の表面上にある。
なお、図2に示した薄膜層32ではマイエナイト粒子34の全てが薄膜層32の表面上にあるが、第1態様の保護層においては、薄膜層がマイエナイト粒子の一部を含んでもよい。
図2において保護層30は、薄膜層32と、マイエナイト粒子34とからなっており、マイエナイト粒子34が薄膜層32の表面上にある。
なお、図2に示した薄膜層32ではマイエナイト粒子34の全てが薄膜層32の表面上にあるが、第1態様の保護層においては、薄膜層がマイエナイト粒子の一部を含んでもよい。
ここで薄膜層を形成する物質は帯電性を有するものであれば特に限定されない。例えばMgOなどのアルカリ土類金属酸化物が挙げられる。また、薄膜層は帯電性を有する前記マイエナイト型化合物からなるものであってもよい。
このような中でもアルカリ土類金属酸化物が好ましく、MgOがより好ましい。良好な帯電性を有するので、低い放電電圧の保護層が得られるからである。MgOである場合、すなわち、薄膜層がMgOからなり、それ以外には不可避的不純物を含まない層(本発明においては「薄膜酸化マグネシウム層」ともいう。)である場合は、帯電性がより良好であり、放電電圧がより低い保護層が得られるのでより好ましい。
このような中でもアルカリ土類金属酸化物が好ましく、MgOがより好ましい。良好な帯電性を有するので、低い放電電圧の保護層が得られるからである。MgOである場合、すなわち、薄膜層がMgOからなり、それ以外には不可避的不純物を含まない層(本発明においては「薄膜酸化マグネシウム層」ともいう。)である場合は、帯電性がより良好であり、放電電圧がより低い保護層が得られるのでより好ましい。
また、薄膜層の厚さ(2以上の層からなる場合は全層の合計厚さ)は特に限定されない。例えば0.01〜50μmでよく、0.02〜20μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがより好ましい。
なお、本発明のPDP−αにおいて薄膜層の厚さは触針式表面粗さ計で測定した平均厚さを意味する。また、薄膜層を含む保護層全体の厚さや、保護層が含んでもよいその他の層の厚さについても、同様の方法で測定した平均厚さを意味するものとする。
なお、本発明のPDP−αにおいて薄膜層の厚さは触針式表面粗さ計で測定した平均厚さを意味する。また、薄膜層を含む保護層全体の厚さや、保護層が含んでもよいその他の層の厚さについても、同様の方法で測定した平均厚さを意味するものとする。
また、第1態様の保護層においてマイエナイト粒子は、前記マイエナイト型化合物であって平均粒径が5nm以上のものである。この平均粒径は50μm以下のものであることが好ましく、0.01〜50μmであることがより好ましく、0.02〜20μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。平均粒径が5nm未満であるとマイエナイト粒子を製造することが比較的難しい。
なお、本発明のPDPおいてマイエナイト粒子の平均粒径とは、レーザ回折散乱法によって測定した平均粒径(50%粒径)を意味するものとする。
なお、本発明のPDPおいてマイエナイト粒子の平均粒径とは、レーザ回折散乱法によって測定した平均粒径(50%粒径)を意味するものとする。
このような第1態様の保護層におけるマイエナイト粒子として、上記のようなマイエナイト型化合物のうち、導電性のマイエナイト型化合物を用いることができる。このようなマイエナイト粒子としては、マイエナイト型化合物の代表組成である導電性C12A7化合物が例示される。この化合物は、C12A7化合物を[Ca24Al28O64]4+・2O2−と表記したときに、フリー酸素イオンのすべてが電子に置換され、実質的に[Ca24Al28O64]4+・4e−と表記できる導電性C12A7化合物である。ここで、フリー酸素イオンのすべてが電子に置換されたものではなく、フリー酸素イオンの一部のみが電子に置換された導電性マイエナイト型化合物であってもよい。
このような第1態様の保護層において、前記マイエナイト粒子は、保護層を形成する物質の全体積(前記マイエナイト粒子および前記薄膜層の合計体積)に対して、10−10体積%以上で含まれることが好ましい。この含有率は10−9体積%以上であることがより好ましい。このような保護層はプラズマ耐性が高く、プラズマエッチングされ難いので、PDPにおける放電電極や誘電体層を保護する性能が高い。また、前記薄膜層上の前記マイエナイト粒子の数密度では約0.1個/μm2以上であることが好ましい。
このような第1態様の保護層の厚さ(薄膜層およびマイエナイト粒子の合計厚さ)は特に限定されない。例えば従来公知のPDPにおけるMgOからなる保護層と同程度であってよい。例えば0.01〜50μmでよく、0.02〜20μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることがより好ましい。
このような薄膜層とマイエナイト粒子とからなる第1態様の保護層を形成する方法は特に限定されない。例えば次に説明する方法で形成することができる。
まず、マイエナイト粒子を製造する方法の例を示す。
炭酸カルシウムと酸化アルミニウムとを、CaOおよびAl2O3の酸化物換算のモル比で12:7程度となるように調合し、大気雰囲気下、1300℃程度の温度で6時間程度保持し、その後室温まで冷却する。そして得られた焼結物を平均粒径が5nm以上となるように、タングステンカーバイド製遊星ミルなどを用いて粉砕する。このようにしてマイエナイト粒子である12CaO・7Al2O3化合物の粒子を得ることができる。
まず、マイエナイト粒子を製造する方法の例を示す。
炭酸カルシウムと酸化アルミニウムとを、CaOおよびAl2O3の酸化物換算のモル比で12:7程度となるように調合し、大気雰囲気下、1300℃程度の温度で6時間程度保持し、その後室温まで冷却する。そして得られた焼結物を平均粒径が5nm以上となるように、タングステンカーバイド製遊星ミルなどを用いて粉砕する。このようにしてマイエナイト粒子である12CaO・7Al2O3化合物の粒子を得ることができる。
また、このようにして得たマイエナイト粒子をさらに処理してもよい。具体的には、マイエナイト粒子をさらにプレス成形して成型体とし、これを金属アルミニウム粉末とともに蓋付きアルミナ容器に入れ、真空炉中で1300℃程度まで昇温させ、10時間程度保持する還元熱処理を行い冷却した後、平均粒径が5nm以上となるように上記と同様の方法などで粉砕する。すると、導電性を有するマイエナイト粒子を得ることができる。
このようにして製造したマイエナイト粒子を薄膜層の表面上に有する保護層は、例えば次のようにして製造することができる。
初めに、上記の方法で製造したマイエナイト粒子を分散媒に添加する。分散媒としては、例えば、1−プロパノール1リットルに対して100gの割合で結晶性ゼオライト(モレキュラーシーブなど)を加え、数回攪拌した後に24時間静置したものを用いることができる。このような分散媒にマイエナイト粒子を1g程度添加し、さらに粉砕ミルとして直径が0.1mmの酸化ジルコニアビーズを60g程度添加した後混合し、これらをポリエチレン容器に入れて24時間程度回転粉砕し、マイエナイト粒子を含む懸濁液を得る。
初めに、上記の方法で製造したマイエナイト粒子を分散媒に添加する。分散媒としては、例えば、1−プロパノール1リットルに対して100gの割合で結晶性ゼオライト(モレキュラーシーブなど)を加え、数回攪拌した後に24時間静置したものを用いることができる。このような分散媒にマイエナイト粒子を1g程度添加し、さらに粉砕ミルとして直径が0.1mmの酸化ジルコニアビーズを60g程度添加した後混合し、これらをポリエチレン容器に入れて24時間程度回転粉砕し、マイエナイト粒子を含む懸濁液を得る。
次に、このようにして得たマイエナイト粒子を含む懸濁液を、ろ紙を用い吸引ろ過して酸化ジルコニアビーズを分離除去した後、前記誘電体層の表面に形成した前記薄膜層の表面に塗布し焼成して第1態様の保護層を形成することができる。
ここで塗布方法としては、スプレー塗布、ダイ塗布、ロール塗布、ディップ塗布、カーテン塗布、スピン塗布、グラビア塗布などが挙げられるが、スピン塗布、スプレー塗布が粉末密度をより簡便かつ的確に操作できる点から特に好ましい。
また、好ましい焼成条件は、分散媒の有機分子が分解し、マイエナイト粒子が薄膜層と十分に固着され、かつマイエナイト粒子の酸化作用が促進されないような温度が好ましい。一般的には、200℃〜600℃の範囲が好ましい。また、焼成時間は10分程度が好ましい。
ここで塗布方法としては、スプレー塗布、ダイ塗布、ロール塗布、ディップ塗布、カーテン塗布、スピン塗布、グラビア塗布などが挙げられるが、スピン塗布、スプレー塗布が粉末密度をより簡便かつ的確に操作できる点から特に好ましい。
また、好ましい焼成条件は、分散媒の有機分子が分解し、マイエナイト粒子が薄膜層と十分に固着され、かつマイエナイト粒子の酸化作用が促進されないような温度が好ましい。一般的には、200℃〜600℃の範囲が好ましい。また、焼成時間は10分程度が好ましい。
なお、前記薄膜層を前記誘電体層の表面に形成する方法は特に限定されず、例えば従来公知のPDPにおけるMgOからなる保護層と同様の方法であってよく、物理蒸着法や化学蒸着法などのドライコーティングや、スピン塗布やダイ塗布などのウェットコーティングによって形成することが好ましい。
ここで物理蒸着法(PVD)とは、蒸着法(真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法)、イオンプレーティング法、スパッタリング法などである。スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、ECRスパッタリング法およびイオンビームスパッタリング法(レーザアブレーション法)などが挙げられる。また、化学蒸着法(CVD)とは、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどである。
このような中でも、蒸着法によって形成することが好ましい。透明性が高い薄膜層を容易に形成できるからである。また、スパッタリング法およびイオンプレーティング法は精度良く層厚を制御できる点で好ましい。また、電子ビーム蒸着法及びCVDは高品質の結晶を作る上で好ましい。
ここで物理蒸着法(PVD)とは、蒸着法(真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法)、イオンプレーティング法、スパッタリング法などである。スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、ECRスパッタリング法およびイオンビームスパッタリング法(レーザアブレーション法)などが挙げられる。また、化学蒸着法(CVD)とは、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどである。
このような中でも、蒸着法によって形成することが好ましい。透明性が高い薄膜層を容易に形成できるからである。また、スパッタリング法およびイオンプレーティング法は精度良く層厚を制御できる点で好ましい。また、電子ビーム蒸着法及びCVDは高品質の結晶を作る上で好ましい。
このような物理蒸着法もしくは化学蒸着法またはウエットコーティングにおいて、例えば従来公知の通常の処理条件で、前記薄膜層を形成することができる。
例えば、スパッタリング法により前記薄膜層を形成する方法としては、例えばカソード側にアルカリ土類金属酸化物を含むターゲットを設置し、1〜10−2Pa程度の反応雰囲気ガス中で電極間にグロー放電を起こし、この反応雰囲気ガスをイオン化させ、ターゲットからアルカリ土類金属酸化物などを叩き出して、アノード側に設置した誘電体層を有する基板上にアルカリ土類金属酸化物を被覆する方法が挙げられる。ここで、反応雰囲気ガスはアルゴンなどの不活性ガスや、アルゴンなどにN2、CO2、CH4などを混合させたガスを用いることができる。また、アノード側の基板温度を100〜700℃とすると形成される薄膜層の表面の凹凸がより少なくなる傾向があるので好ましい。薄膜層形成後に熱処理を施すと、結晶性が向上するため好ましい。
例えば、スパッタリング法により前記薄膜層を形成する方法としては、例えばカソード側にアルカリ土類金属酸化物を含むターゲットを設置し、1〜10−2Pa程度の反応雰囲気ガス中で電極間にグロー放電を起こし、この反応雰囲気ガスをイオン化させ、ターゲットからアルカリ土類金属酸化物などを叩き出して、アノード側に設置した誘電体層を有する基板上にアルカリ土類金属酸化物を被覆する方法が挙げられる。ここで、反応雰囲気ガスはアルゴンなどの不活性ガスや、アルゴンなどにN2、CO2、CH4などを混合させたガスを用いることができる。また、アノード側の基板温度を100〜700℃とすると形成される薄膜層の表面の凹凸がより少なくなる傾向があるので好ましい。薄膜層形成後に熱処理を施すと、結晶性が向上するため好ましい。
前記保護層の厚さは、物理蒸着法または化学蒸着法における反応時間などの処理条件を制御することで調整可能である。
次に第2態様の保護層について説明する。
本発明のPDP−αにおける第2態様の保護層は、前記保護層が薄膜層を有し、前記薄膜層中に前記マイエナイト型化合物を含むものである。ここで、前記保護層は前記薄膜層以外の他の層を有していてもよい。また、薄膜層自体が2以上の層からなるものであってもよい。
本発明のPDP−αにおける第2態様の保護層は、前記保護層が薄膜層を有し、前記薄膜層中に前記マイエナイト型化合物を含むものである。ここで、前記保護層は前記薄膜層以外の他の層を有していてもよい。また、薄膜層自体が2以上の層からなるものであってもよい。
第2態様の保護層は、例えば図3に示すような態様である。図3は第2態様の保護層を例示する概略断面図である。
図3において保護層20は、薄膜層22と、平均粒径が5nm以上のマイエナイト型化合物の粒子であるマイエナイト粒子24とからなっており、薄膜層22がマイエナイト粒子24を含んでいる。つまり、図3に示す態様の保護層は、上記で図2を用いて説明した第1態様の保護層において薄膜層の表面上に存在するマイエナイト粒子が、薄膜層内に存在する態様の保護層である。
各々のマイエナイト粒子24は薄膜層22に完全に含まれていてもよく、図3に示すように粒子の一部または全部が薄膜層22の表面から露出していてもよい。また、マイエナイト粒子の一部が薄膜層22の表面に存在してもよい。
図3において保護層20は、薄膜層22と、平均粒径が5nm以上のマイエナイト型化合物の粒子であるマイエナイト粒子24とからなっており、薄膜層22がマイエナイト粒子24を含んでいる。つまり、図3に示す態様の保護層は、上記で図2を用いて説明した第1態様の保護層において薄膜層の表面上に存在するマイエナイト粒子が、薄膜層内に存在する態様の保護層である。
各々のマイエナイト粒子24は薄膜層22に完全に含まれていてもよく、図3に示すように粒子の一部または全部が薄膜層22の表面から露出していてもよい。また、マイエナイト粒子の一部が薄膜層22の表面に存在してもよい。
ここで薄膜層を形成する物質は、帯電性を有するものであれば特に限定されず、例えば上記の第1態様の薄膜層を形成する物質と同じであってよい。
このような物質の中でも、スパッター耐性に優れるマイエナイト型化合物が好ましい。
このような物質の中でも、スパッター耐性に優れるマイエナイト型化合物が好ましい。
また、第2態様においてマイエナイト粒子は、第1態様におけるマイエナイト粒子と同じであってよく、第1態様と同様に、導電性マイエナイト型化合物(導電性C12A7化合物)であるマイエナイト粒子を用いることもできる。また、平均粒径も第1態様の場合と同じでよいが、50μm以下のものであることが好ましい。50μm超であると、均質にマイエナイト粒子を含む薄膜層を得ることが比較的難しい。
このようなマイエナイト粒子は第2態様における保護層を形成する物質の全体積(図3の態様でいえば、薄膜層22を形成する物質の体積とマイエナイト粒子24の体積との合計体積)に対して5体積%以上で含まれることが好ましく、10体積%以上であることがより好ましい。このような保護層はプラズマ耐性が高く、プラズマエッチングされ難いので、PDPにおける放電電極や誘電体層を保護する性能が高い。このうち、マイエナイト粒子が導電性である場合は、マイエナイト粒子の上記の含有率は、帯電性を確保する観点から25%未満であることが好ましい。
また、このようなマイエナイト粒子を含む薄膜層の厚さは特に限定されない。例えば0.01〜50μmでよく、0.02〜20μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがより好ましい。
また、このようなマイエナイト粒子を含む薄膜層を有する保護層の厚さは特に限定されない。例えば従来公知のPDPにおけるMgOからなる保護層と同程度であってよい。例えば0.01〜50μmでよく、0.02〜20μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることがより好ましい。
なお、本発明のPDPにおいて保護層が有する薄膜層以外の層としては、例えば、粒子状、島状、帯状または階段状に形成された層が挙げられる。このような薄膜層以外の層は、薄膜層と同様な方法、例えば物理蒸着法や化学蒸着法を適用して形成することができる。
なお、本発明のPDPにおいて保護層が有する薄膜層以外の層としては、例えば、粒子状、島状、帯状または階段状に形成された層が挙げられる。このような薄膜層以外の層は、薄膜層と同様な方法、例えば物理蒸着法や化学蒸着法を適用して形成することができる。
このようなマイエナイト粒子を含む薄膜層を形成する方法は特に限定されない。例えば次に説明する方法で形成することができる。
初めに、薄膜層を形成する物質として、帯電性に優れた、絶縁性の化合物粉末をタングステンカーバイド製遊星ミルなどを用いて粉砕し、平均粒径が1〜5μmの絶縁性化合物の粒子を得る。前記絶縁性化合物としては、非導電性のC12A7化合物、アルミナ、またはMgOなどのアルカリ土類金属酸化物が例示される。
次に、絶縁性化合物の粒子と、上記の第1態様の場合と同様の方法で製造したマイエナイト粒子とを分散媒に添加する。分散媒としては、例えば、1−プロパノール1リットルに対して100gの割合で結晶性ゼオライト(モレキュラーシーブなど)を加え、数回攪拌した後に24時間静置したものを用いることができる。このような分散媒と増粘剤としてテルピネオールとを混合したのち、マイエナイト粒子および絶縁性化合物の粒子を添加して、混合物を混煉することにより、マイエナイト粒子および絶縁性化合物の粒子を含むスラリー(または懸濁液、ペースト)を得る。分散媒および増粘剤とマイエナイト粒子と絶縁性化合物の粒子との混合比(質量比)は、15:80:5とすることが好ましい。
または、薄膜状に形成されたマイエナイト型化合物を、リソグラフィ技術などを用いて微細加工したのち、物理蒸着法もしくは化学蒸着法またはウエットコーティングによって絶縁性化合物を形成し、前記薄膜層を形成することができる。
初めに、薄膜層を形成する物質として、帯電性に優れた、絶縁性の化合物粉末をタングステンカーバイド製遊星ミルなどを用いて粉砕し、平均粒径が1〜5μmの絶縁性化合物の粒子を得る。前記絶縁性化合物としては、非導電性のC12A7化合物、アルミナ、またはMgOなどのアルカリ土類金属酸化物が例示される。
次に、絶縁性化合物の粒子と、上記の第1態様の場合と同様の方法で製造したマイエナイト粒子とを分散媒に添加する。分散媒としては、例えば、1−プロパノール1リットルに対して100gの割合で結晶性ゼオライト(モレキュラーシーブなど)を加え、数回攪拌した後に24時間静置したものを用いることができる。このような分散媒と増粘剤としてテルピネオールとを混合したのち、マイエナイト粒子および絶縁性化合物の粒子を添加して、混合物を混煉することにより、マイエナイト粒子および絶縁性化合物の粒子を含むスラリー(または懸濁液、ペースト)を得る。分散媒および増粘剤とマイエナイト粒子と絶縁性化合物の粒子との混合比(質量比)は、15:80:5とすることが好ましい。
または、薄膜状に形成されたマイエナイト型化合物を、リソグラフィ技術などを用いて微細加工したのち、物理蒸着法もしくは化学蒸着法またはウエットコーティングによって絶縁性化合物を形成し、前記薄膜層を形成することができる。
次に、このようにして得たスラリーを前記誘電体層の表面に塗布し焼成すれば、第2態様の保護層を形成することができる。
塗布方法としては、スプレー塗布、ダイ塗布、ロール塗布、ディップ塗布、カーテン塗布、スピン塗布、グラビア塗布などが挙げられるが、スピン塗布が塗布厚みをより簡便かつ的確に操作できる点から特に好ましい。
また、好ましい焼成条件は、分散媒または増粘剤の有機分子が分解し、マイエナイト粒子が薄膜層と十分に固着され、かつマイエナイト粒子の酸化作用が促進されないような温度が好ましい。一般的には、200℃〜600℃の範囲が好ましい。また、焼成時間は10分程度が好ましい。
塗布方法としては、スプレー塗布、ダイ塗布、ロール塗布、ディップ塗布、カーテン塗布、スピン塗布、グラビア塗布などが挙げられるが、スピン塗布が塗布厚みをより簡便かつ的確に操作できる点から特に好ましい。
また、好ましい焼成条件は、分散媒または増粘剤の有機分子が分解し、マイエナイト粒子が薄膜層と十分に固着され、かつマイエナイト粒子の酸化作用が促進されないような温度が好ましい。一般的には、200℃〜600℃の範囲が好ましい。また、焼成時間は10分程度が好ましい。
このように本発明のPDP−αにおける保護層の第2態様は、例えば図3に示したように薄膜層内にマイエナイト粒子が含まれる態様であるが、薄膜層が粒子状でないマイエナイト型化合物を含有するものであってもよい。つまり、薄膜層がマイエナイト型化合物と他の成分との混合物であってもよい。薄膜層を形成する物質の全体積に対する前記マイエナイト型化合物の含有率は5体積%以上であることが好ましく、10体積%以上であることがより好ましい。このような保護層はプラズマ耐性が高く、プラズマエッチングされ難いので、PDPにおける放電電極や誘電体層を保護する性能が高い。
マイエナイト型化合物が導電性の場合の含有率は、帯電性を確保する観点から薄膜層を形成する物質の全体積に対して25%未満であることが好ましい。
マイエナイト型化合物が導電性の場合の含有率は、帯電性を確保する観点から薄膜層を形成する物質の全体積に対して25%未満であることが好ましい。
ここで、薄膜層を構成する前記マイエナイト型化合物以外の物質として、金属酸化物を用いることができる。なかでもアルカリ土類金属酸化物を用いると、良好な帯電性を有し低い放電電圧を得られるため好ましい。さらに好適にはMgOを用いることができる。
このような前記マイエナイト型化合物を含有する薄膜層の厚さ(2以上の層からなる場合は全層の合計厚さ)は特に限定されない。例えば0.01〜50μmでよく、0.02〜20μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることがより好ましい。
また、このようなマイエナイト型化合物を含む薄膜層を有する保護層の厚さは特に限定されない。例えば従来公知のPDPにおけるMgOからなる保護層と同程度であってよい。例えば0.01〜50μmでよく、0.02〜20μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることがより好ましい。
このような前記マイエナイト型化合物を含有する薄膜層を形成する方法は特に限定されない。例えば従来公知のPDPにおけるMgOからなる保護層と同様の方法であってよいが、上記の第1態様の保護層における薄膜層と同様な物理蒸着法もしくは化学蒸着法またはウエットコーティングによって形成することが好ましい。
このような物理蒸着法もしくは化学蒸着法またはウエットコーティングにおいて、例えば従来公知の通常の処理条件で、前記薄膜層を形成することができる。
例えば、スパッタリング法により前記薄膜層を形成する方法としては、例えばカソード側に前記マイエナイト型化合物を含むターゲットを設置し、1〜10−2Pa程度の反応雰囲気ガス中で電極間にグロー放電を起こし、この反応雰囲気ガスをイオン化させ、ターゲットから前記マイエナイト型化合物などを叩き出して、アノード側に設置した誘電体層を有する基板上に前記マイエナイト型化合物を被覆する方法が挙げられる。ここで、反応雰囲気ガスはアルゴンなどの不活性ガスや、アルゴンなどにN2、CO2、CH4などを混合させたガスを用いることができる。また、アノード側の基板温度を100〜700℃とすると形成される薄膜層の表面の凹凸がより少なくなる傾向があるので好ましい。薄膜層形成後に熱処理を施すと、結晶性が向上するため好ましい。
例えば、スパッタリング法により前記薄膜層を形成する方法としては、例えばカソード側に前記マイエナイト型化合物を含むターゲットを設置し、1〜10−2Pa程度の反応雰囲気ガス中で電極間にグロー放電を起こし、この反応雰囲気ガスをイオン化させ、ターゲットから前記マイエナイト型化合物などを叩き出して、アノード側に設置した誘電体層を有する基板上に前記マイエナイト型化合物を被覆する方法が挙げられる。ここで、反応雰囲気ガスはアルゴンなどの不活性ガスや、アルゴンなどにN2、CO2、CH4などを混合させたガスを用いることができる。また、アノード側の基板温度を100〜700℃とすると形成される薄膜層の表面の凹凸がより少なくなる傾向があるので好ましい。薄膜層形成後に熱処理を施すと、結晶性が向上するため好ましい。
前記薄膜層の厚さは、物理蒸着法もしくは化学蒸着法またはウエットコーティングにおける反応時間などの処理条件を制御することで調整可能である。
本発明のPDP−αは上記のようなものであり、上記の第1または第2態様の保護層を有するものであることが好ましい。
次に本発明のPDP−βについて説明する。
本発明のPDP−βは、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有し、前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネルである。
このように本発明のPDP−βは、前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる。
本発明のPDP−βは、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有し、前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネルである。
このように本発明のPDP−βは、前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる。
本発明のPDP−βにおいて、マイエナイト型化合物は導電性を有するものを用いることができる。さらに、この導電性を有するマイエナイト型化合物の電気伝導率が1.0×10−4S/cm以上であることが好ましく、1.0S/cm以上であることがより好ましく、100S/cm以上であることがさらに好ましい。
本発明のPDP−βにおいて前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなると、耐スパッター性に優れているという利点があるので好ましい。
本発明のPDP−βにおいて前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなると、耐スパッター性に優れているという利点があるので好ましい。
このような放電電極における前記マイエナイト型化合物の存在形態は特に限定されない。前記マイエナイト型化合物と放電電極を構成するその他の材料とが、混合物や合金を形成していてもよいし、粒子状のマイエナイト型化合物が、その他の材料中に分散して存在していてもよい。この粒子状のマイエナイト型化合物は、上記のマイエナイト粒子と同じであってもよい。ここで、その他の材料とは、例えば従来公知の放電電極に用いられる材料と同じであってよく、例えば、酸化錫を添加した酸化インジウム(ITO)が挙げられる。
また、前記放電電極の特定部分が前記マイエナイト型化合物からなるものであってもよいし、前記放電電極が2以上の層からなるものであり、その中の1層が前記マイエナイト型化合物からなるものであってもよい。
また、前記放電電極の特定部分が前記マイエナイト型化合物からなるものであってもよいし、前記放電電極が2以上の層からなるものであり、その中の1層が前記マイエナイト型化合物からなるものであってもよい。
また、このような放電電極における前記マイエナイト型化合物の含有率は特に限定されないが、放電電極を形成する物質の全体積に対する前記マイエナイト型化合物の含有率(体積%)が25体積%以上であることが好ましく、50体積%以上であることがより好ましく、80体積%以上であることがさらに好ましい。マイエナイト型化合物の含有率が、25体積%未満であると、電極に導電性が付与されないおそれがある。
また、基板上の放電電極以外の電極(バス電極)や、ブラックストライプの少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなるものも、同様の理由で好ましい。
次に本発明のPDPの製造方法について説明する。本発明のPDPの製造方法は特に限定されず、例えば従来公知のPDPの製造方法を適用することができる。
例えばフォトリソグラフィ・エッチングプロセスを適用する場合であれば、初めに、透明基板上にスパッタリング法や蒸着法などによって薄膜層を形成した後に、洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチングおよびレジスト剥離を行い透明電極やバス電極、アドレス電極などを形成する。
また、ここで放電電極の少なくとも一部を前記マイエナイト型化合物から形成する場合は、スパッタリング法や蒸着法におけるターゲットに、前記マイエナイト型化合物を含む物質を用いて薄膜層を形成する。
例えばフォトリソグラフィ・エッチングプロセスを適用する場合であれば、初めに、透明基板上にスパッタリング法や蒸着法などによって薄膜層を形成した後に、洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチングおよびレジスト剥離を行い透明電極やバス電極、アドレス電極などを形成する。
また、ここで放電電極の少なくとも一部を前記マイエナイト型化合物から形成する場合は、スパッタリング法や蒸着法におけるターゲットに、前記マイエナイト型化合物を含む物質を用いて薄膜層を形成する。
次に、これらの電極の上面に誘電体の原料(低融点ガラス原料など)を付着させ加熱して溶融などしたり、低融点ガラスのスクリーン印刷などをして誘電体層を形成する。そして保護層を前述したように、前記マイエナイト型化合物を含むターゲットを用いてスパッタリング法などで形成する。さらに隔壁をスクリーン印刷などで形成する。
そして、このようにして形成した前面基板および背面基板を組立てた後、放電空間内を排気し、キセノンガスを含む放電ガスを封入する。
以下,実施例および比較例によって本発明を説明する。下記は本発明をより明確に示すためのものであり,本発明の内容は下記の実施例に限られない。
<実施例1>
炭酸カルシウムと酸化アルミニウムをモル比で12:7となるように混合し、大気中において1300℃で6時間保持し、12CaO・7Al2O3化合物(C12A7)を作製した。次に、この粉末を1軸プレス機を用いて成型体とし、この成型体を空気中で1350℃で3時間保持して、焼結密度が99%超の焼結体を作製した。この焼結体を、以下では「試料B」ともいう。この試料Bは白色であった。
次に、この試料Bを金属アルミニウムと一緒に蓋付きアルミナ容器に入れ、真空炉中で1300℃まで昇温し10時間保持した後、室温まで徐冷した。ここで得られた熱処理物を以下では「試料A」ともいう。この試料Aは黒茶色を呈していた。
炭酸カルシウムと酸化アルミニウムをモル比で12:7となるように混合し、大気中において1300℃で6時間保持し、12CaO・7Al2O3化合物(C12A7)を作製した。次に、この粉末を1軸プレス機を用いて成型体とし、この成型体を空気中で1350℃で3時間保持して、焼結密度が99%超の焼結体を作製した。この焼結体を、以下では「試料B」ともいう。この試料Bは白色であった。
次に、この試料Bを金属アルミニウムと一緒に蓋付きアルミナ容器に入れ、真空炉中で1300℃まで昇温し10時間保持した後、室温まで徐冷した。ここで得られた熱処理物を以下では「試料A」ともいう。この試料Aは黒茶色を呈していた。
次に、このようにして得た試料Aおよび試料Bの性状測定をした。
この試料AをX線回折装置(理学電機RINT2500)に供し、マイエナイト型構造のピークをもつことを確認した。
また、分光光度計(日立製作所社製、U3500)を用いて試料Aおよび試料Bの光吸収スペクトルを測定した。これらの結果を図4に示す。この図に示すように、試料Aは電子密度が1.4×1021/cm3で、van der Pauwの方法により120S/cmの電気伝導率を有することを確認した。これに対して試料Bは導電性を示さない絶縁体であることを確認した。
また、試料Aを電子スピン共鳴装置(JEOL社製、JES−TE300)に供し、ESRシグナルは、1021/cm3超の高い電子濃度の導電性マイエナイト型化合物に特徴的なg値1.994を有する非対称形であることがわかった(図5参照)。
以上により、試料Aは導電性マイエナイト型化合物であり、試料Bは非導電性マイエナイト型化合物であることを確認した。
この試料AをX線回折装置(理学電機RINT2500)に供し、マイエナイト型構造のピークをもつことを確認した。
また、分光光度計(日立製作所社製、U3500)を用いて試料Aおよび試料Bの光吸収スペクトルを測定した。これらの結果を図4に示す。この図に示すように、試料Aは電子密度が1.4×1021/cm3で、van der Pauwの方法により120S/cmの電気伝導率を有することを確認した。これに対して試料Bは導電性を示さない絶縁体であることを確認した。
また、試料Aを電子スピン共鳴装置(JEOL社製、JES−TE300)に供し、ESRシグナルは、1021/cm3超の高い電子濃度の導電性マイエナイト型化合物に特徴的なg値1.994を有する非対称形であることがわかった(図5参照)。
以上により、試料Aは導電性マイエナイト型化合物であり、試料Bは非導電性マイエナイト型化合物であることを確認した。
<実施例2>
炭酸カルシウムと酸化アルミニウムをモル比で12:7となるように混合し、大気中において1300℃で6時間保持した後粉砕してC12A7を作製した。このC12A7(以下、「試料C」ともいう。)の導電性について、上記実施例1と同様のvan der Pauwの方法で測定したところ、試料Cは絶縁体であることを確認した。なお、試料Cは白色であった。
次に、試料Cにグラファイト粉末を添加して混合し混合粉末を形成した。ここで試料Cとグラファイト粉末との混合比は100質量部:0.4質量部とした。そして、この混合粉末を蓋付のカーボン坩堝内に保持した後、窒素を通じた管状炉に入れ、1300℃で3時間保持した。その後、室温まで冷却して、緑色の粉末を得た(以下、「試料D」ともいう。)。
このようにして得た試料Dについて、上記の実施例1と同様にX線回折、光吸収スペクトル、ESR測定を行った。そして、試料Dは約1020/cm3の電子濃度を有する導電性のC12A7化合物であることを確認した。
炭酸カルシウムと酸化アルミニウムをモル比で12:7となるように混合し、大気中において1300℃で6時間保持した後粉砕してC12A7を作製した。このC12A7(以下、「試料C」ともいう。)の導電性について、上記実施例1と同様のvan der Pauwの方法で測定したところ、試料Cは絶縁体であることを確認した。なお、試料Cは白色であった。
次に、試料Cにグラファイト粉末を添加して混合し混合粉末を形成した。ここで試料Cとグラファイト粉末との混合比は100質量部:0.4質量部とした。そして、この混合粉末を蓋付のカーボン坩堝内に保持した後、窒素を通じた管状炉に入れ、1300℃で3時間保持した。その後、室温まで冷却して、緑色の粉末を得た(以下、「試料D」ともいう。)。
このようにして得た試料Dについて、上記の実施例1と同様にX線回折、光吸収スペクトル、ESR測定を行った。そして、試料Dは約1020/cm3の電子濃度を有する導電性のC12A7化合物であることを確認した。
<実施例3>
試料Aまたは試料Dを、1−プロパノール、アセチルアセトンおよび直径0.1mmの酸化ジルコニアビーズとともに円筒形のポリプロピレン容器に入れた。これら質量比は試料A(または試料D):1−プロパノール:アセチルアセトン:酸化ジルコニアビーズ=1:9:0.065:75とした。そして、このポリプロピレン容器を回転することで試料A(または試料D)を回転粉砕して、導電性マイエナイト型化合物が分散した懸濁液を作製した(以下、「懸濁液A」ともいう。)。
ここで懸濁液AにおけるC12A7の平均粒径を粒径分布測定装置(Microtrac社製、UPA150)を用いて測定しところ800nmであった。
試料Aまたは試料Dを、1−プロパノール、アセチルアセトンおよび直径0.1mmの酸化ジルコニアビーズとともに円筒形のポリプロピレン容器に入れた。これら質量比は試料A(または試料D):1−プロパノール:アセチルアセトン:酸化ジルコニアビーズ=1:9:0.065:75とした。そして、このポリプロピレン容器を回転することで試料A(または試料D)を回転粉砕して、導電性マイエナイト型化合物が分散した懸濁液を作製した(以下、「懸濁液A」ともいう。)。
ここで懸濁液AにおけるC12A7の平均粒径を粒径分布測定装置(Microtrac社製、UPA150)を用いて測定しところ800nmであった。
次に、ガラス板上に懸濁液Aを滴下した後、分散媒を乾燥させてガラス基板上から除去し、試料A(または試料D)の粒子を付着させた。そして、ガラス基板の表面を光学顕微鏡を用いて観察し、粒子の単位面積当りの存在個数(数密度)を計測した。光学顕微鏡像を図6に示す。粒子の数密度は約0.1個/μm2であった。
また、粒子を付着させたガラス板の光透過率を測定し、粒子を付着させる前のガラス板のみの場合と光透過率を比較した。その結果を図7に示す。そして、粒子塗布によっても、可視領域での透明性はほとんど損なわれないことが分かった。
また、粒子を付着させたガラス板の光透過率を測定し、粒子を付着させる前のガラス板のみの場合と光透過率を比較した。その結果を図7に示す。そして、粒子塗布によっても、可視領域での透明性はほとんど損なわれないことが分かった。
<実施例4>
モンテカルロ法によってNe原子が試料(ターゲット)に垂直入射した場合について、C12A7化合物のスパッタリング収率を算出した。計算には、TRIMコード(J. F. Ziegler, J. P, Biersack, U. Littmark, "The Stopping and Range of Ions in Solids," vol.1 of series "Stopping and Ranges of Ions in Matter," Pergamon Press, New York (1984)を参照。)を用いた。比較のため、MgOについてもスパッタリング収率を計算した。スパッタリング収率は、入射原子またはイオン1つにつき、スパッタリングされたターゲット原子の数であり、数値が小さいほど、スパッタリングされ難いことを示す。
モンテカルロ法によってNe原子が試料(ターゲット)に垂直入射した場合について、C12A7化合物のスパッタリング収率を算出した。計算には、TRIMコード(J. F. Ziegler, J. P, Biersack, U. Littmark, "The Stopping and Range of Ions in Solids," vol.1 of series "Stopping and Ranges of Ions in Matter," Pergamon Press, New York (1984)を参照。)を用いた。比較のため、MgOについてもスパッタリング収率を計算した。スパッタリング収率は、入射原子またはイオン1つにつき、スパッタリングされたターゲット原子の数であり、数値が小さいほど、スパッタリングされ難いことを示す。
このシミュレーションにおいては、ターゲットであるC12A7およびMgOの密度を、それぞれ2.67g/cmおよび3.58g/cmとした。また、材料表面での原子間の結びつきの目安である表面結合エネルギーを、C12A7については3.55eV/atom、MgOについては3.24eV/atomとした。ここで用いたeV/atomとは、材料の原子1つあたりのエネルギー値を示す単位である。
また、現在実用に供されるPDPパネルの放電ガスはNeを主成分として、数パーセントのXeが添加された混合ガスである。そこで実施例4においては、飛来原子としてNeについてシミュレーションを行った。このシミュレーションはNeの運動エネルギーを0.1〜1.0keVの範囲で変えたときのC12A7またはMgOの構成原子が、スパッタリングによって材料表面から外部へ飛び出す効率を見積もったものである。
また、現在実用に供されるPDPパネルの放電ガスはNeを主成分として、数パーセントのXeが添加された混合ガスである。そこで実施例4においては、飛来原子としてNeについてシミュレーションを行った。このシミュレーションはNeの運動エネルギーを0.1〜1.0keVの範囲で変えたときのC12A7またはMgOの構成原子が、スパッタリングによって材料表面から外部へ飛び出す効率を見積もったものである。
図8に0.1keVのNeが入射したときのMgOのスパッタリング収率を1とした場合の計算結果を示す。図8における全てのエネルギー領域で、C12A7化合物のスパッタリング収率は、MgOのそれを下回ることが示されている。
以上のことから、PDPパネルの放電用ガスであるNeに対して、C12A7化合物は、MgOよりも高いスパッタリング耐性を示すことが分かった。
以上のことから、PDPパネルの放電用ガスであるNeに対して、C12A7化合物は、MgOよりも高いスパッタリング耐性を示すことが分かった。
1 前面基板
2 背面基板
3 隔壁
4 ブラックストライプ
5 表示電極
6 バス電極
7 アドレス電極
8 誘電体層
9 保護層
10 蛍光体層
20 保護層
22 薄膜層
24 マイエナイト粒子
30 保護層
32 薄膜層
34 マイエナイト粒子
2 背面基板
3 隔壁
4 ブラックストライプ
5 表示電極
6 バス電極
7 アドレス電極
8 誘電体層
9 保護層
10 蛍光体層
20 保護層
22 薄膜層
24 マイエナイト粒子
30 保護層
32 薄膜層
34 マイエナイト粒子
Claims (6)
- 放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、
前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極と、
前記放電電極を被覆する誘電体層と、
前記誘電体層上の保護層とを有し、
前記保護層の少なくとも一部がマイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。 - 前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層上の平均粒径が5nm以上の前記マイエナイト型化合物の粒子とを有する、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記保護層が、薄膜層と、前記薄膜層中の平均粒径が5nm以上の前記マイエナイト型化合物の粒子とを有する、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記薄膜層が、薄膜酸化マグネシウム層である、請求項2または3に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記保護層が、物理蒸着法もしくは化学蒸着法、またはウェットコーティングによって形成されたマイエナイト型化合物を含有する薄膜層を有する、請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、
前記前面基板上および/または前記背面基板上の放電電極とを有し、
前記放電電極の少なくとも一部が前記マイエナイト型化合物からなる、プラズマディスプレイパネル。
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