JP2011246776A - 蒸着源材料、成膜方法、無機化合物膜及びガスバリアフィルム - Google Patents

蒸着源材料、成膜方法、無機化合物膜及びガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】水蒸気透過率等が低く、ガスバリア性が良好な無機化合物膜(ガスバリア膜)及びその無機化合物膜を有するガスバリアフィルムを提供するとともに、その無機化合物膜を得るための蒸着源材料及びその蒸発源材料を用いた成膜方法を提供する。
【解決手段】エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料が無機化合物である蒸着源材料により上記課題を解決した。このとき、イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、多孔質材料がMe2/xO・Al・mSiO・nHO(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、イオンはゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されていることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、蒸発源の蒸発を促進させるためのイオンを共存させた蒸発源材料、その蒸発源材料を用いた成膜方法、その成膜方法で成膜された無機化合物膜、及びその無機化合物膜を有するガスバリアフィルムに関する。特に本発明は、水蒸気透過率等が低く、ガスバリア性が良好な無機化合物膜及びその無機化合物膜を有するガスバリアフィルムを得るための技術である。
酸素や水蒸気等に対するバリア性を備えたガスバリアフィルムとして、基材上に酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物膜をガスバリア膜として設けたものが提案されている。こうしたガスバリアフィルムは透明性に優れ、食品や医薬品等の包装材料として、また電子部品や表示素子の保護材料として、また太陽電池バックカバーシート材料として、その需要が大いに期待されている。
無機酸化物からなるガスバリア膜の成膜方法では、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、イオンプレーティング法が採用されている。イオンプレーティング法で成膜されたガスバリア膜は、基材への密着性と緻密さの点で、真空蒸着法で成膜されたガスバリア膜よりも優れ、スパッタリング法で成膜されたガスバリア膜と同程度であるという特徴がある。一方、イオンプレーティング法によるガスバリア膜の成膜は、成膜速度の点で、スパッタリング法よりも大きく、真空蒸着法と同程度であるという特徴がある。
本発明者は、イオンプレーティング法でのガスバリア膜の成膜技術について研究し、高いガスバリア性を持つガスバリア膜を得るためにイオンプレーティング用蒸発源材料の改良が重要であること見出し、新規な蒸着源材料を提案している(特許文献1〜4参照)。これらの蒸着源材料は、ガスバリア膜の主成分となる主原料の蒸発を容易にさせる各種の副原料を含有させている。例えば特許文献1,3では、主原料である酸化珪素粉末に副原料である導電性材料粉末(金属粉末、金属酸化物粉末、金属窒化物粉末、金属酸窒化物粉末)を配合しており、特許文献2では、主原料である窒化珪素粉末又は酸窒化珪素粉末に副原料であるセラミック材料粉末(酸化モリブデン粉末、窒化モリブデン粉末)を配合しており、特許文献4では、主原料である窒化珪素粉末に副原料である溶融型材料粉末(酸化珪素粉末、酸窒化珪素粉末)を配合している。
なお、関連する技術として、特許文献5では、高分子フィルム等の基材上に蒸着させてガスバリア性の包装材料を製造するための酸化珪素蒸着材料について提案している。ここでは、生産性向上のために高い出力レベルの電子ビーム加熱蒸着法を利用した場合でもスプラッシュ現象の発生を抑制でき、低コストでガスバリア性包装材料を製造することを可能とする多孔質蒸着材料として、金属珪素及び珪素酸化物を含有し、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量を1重量%以下とし、密封気孔率を10%以下とし、嵩密度を真密度の30〜70%とし、且つ珪素と酸素との原子比(Si/O)を0.83以上とするものが提案されている。同文献では、ガスバリア性蒸着膜の性能に悪影響を与えるアルカリ金属やアルカリ土類金属のガスバリア膜中の含有量を低減することを主眼として所期の課題を解決している。
特開2009−24255号公報 特開2009−138248号公報 特開2009−143759号公報 特開2009−280832号公報 特開平9−143690号公報(第0011〜0015段落)
本発明の目的は、蒸発源の蒸発を促進させることができる蒸発源材料、その蒸発源材料を用いた成膜方法、その成膜方法で成膜された無機化合物膜、及びその無機化合物膜を有するガスバリアフィルムを提供することにある。特に、水蒸気透過率等が低く、ガスバリア性が良好な無機化合物膜(ガスバリア膜)及びその無機化合物膜を有するガスバリアフィルムを提供するとともに、その無機化合物膜を得るための蒸着源材料及びその蒸発源材料を用いた成膜方法を提供することにある。
本発明者は、イオンプレーティング法を用いたガスバリアフィルムの開発を行っている過程で、陽イオンを保持したゼオライトを蒸着源材料に混ぜてガスバリア膜を成膜したところ、従来よりも成膜速度が増し、ガスバリア性が向上した。本発明者はこの知見に基づいて更に検討し、ゼオライト以外の多孔質材料の適用や、イオンプレーティング法以外の成膜手段の蒸着源材料への適用についても確認し、本発明を完成させた。
(1)本発明に係る蒸着源材料は、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、前記成膜原料が無機化合物であることを特徴とする。
この発明によれば、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有する蒸発源材料を用いることにより、欠陥が少ない質の良い膜を成膜できる。これは以下の理由によると考えられる。すなわち、多孔質材料の孔内には陽イオンが保持されているので、成膜原料を蒸発させるためのエネルギーを蒸発源材料に与えたとき、その陽イオンは容易に真空チャンバー内に放出される。チャンバー内に放出された陽イオンは、電離状態を維持してプラズマ状態を安定化させる。安定したプラズマ状態下では、エネルギーを受けた成膜原料は電子を容易に放出し、イオン化が容易且つ安定して起こる。その結果、成膜原料の蒸発が促進し、多くの量の成膜原料がイオン化してチャンバー内に放出される。イオン化した成膜原料が多いと、基材上での成膜原料の運動エネルギーが増し、安定サイトでの膜成長が実現する。こうして、欠陥が少なく、緻密で質の良い膜(無機化合物膜)を高い成膜速度で得ることができる。
本発明に係る蒸着源材料において、前記イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、前記多孔質材料がMe2/xO・Al・mSiO・nHO(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、前記イオンは前記ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されている。この発明によれば、陽イオンのうち特に一価の陽イオンを用いることが効果的である。また、多孔質材料は各種のものを適用できるが、入手のし易さ、価格、成膜原料(無機化合物膜)が珪素成分を有する場合には珪素成分が共通する、という観点から、ゼオライトが好ましい。そして、陽イオンがゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されていることが、成膜速度と膜質の向上の点で好ましい。
本発明に係る蒸着源材料において、圧力勾配型イオンプレーティングの蒸発源として用いられる。この発明に係る蒸発源材料を適用できる成膜手段としては、圧力勾配型イオンプレーティングが特に好ましい。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る蒸着源材料は、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させるイオンを孔内に保持する多孔質材料とを有することを特徴とする。この発明によれば、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有する蒸発源材料を用いることにより、欠陥が少ない質の良い膜を成膜できる。その理由は上記したとおりである。
(3)上記課題を解決するための本発明に係る成膜方法は、(ア)エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、前記成膜原料が無機化合物である蒸着源材料を準備し、(イ)前記蒸着源材料にエネルギーを与えて前記成膜原料を蒸発させ、(ウ)蒸発した前記成膜原料を含む膜を基材上に形成する、ことを特徴とする。
この発明によれば、準備された蒸着源材料にエネルギーを与えることによって、多孔質材料の孔内に保持された陽イオンがプラズマ状態を安定化させるように作用し、成膜原料の蒸発を促進させ、その結果、蒸着速度が増して質の良い膜を成膜することができる。
本発明に係る成膜方法において、前記イオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、前記多孔質材料がMe2/xO・Al・mSiO・nHO(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、前記イオンは前記ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されている。
本発明に係る成膜方法において、圧力勾配型イオンプレーティング法で成膜する。
(4)上記課題を解決するための本発明に係る無機化合物膜は、上記本発明に係る成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜であって、該無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、前記無機化合物膜中に前記アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれることを特徴とする。
従来の特許文献5に記載のガスバリア膜ではアルカリ金属をできるだけ少なくしてガスバリア性を高めていたが、この発明に係る無機化合物膜では、アルカリ金属成分又は窒素成分を上記の範囲内で積極的に含有させて膜質を高めている。このとき、無機化合物膜に含まれるアルカリ金属成分又は窒素成分については、成膜時に成膜原料の蒸発を促進させるために蒸発源材料に陽イオンとして含まれるものであって、成膜時にチャンバー内に放出した後に膜中に取り込まれた成分である。なお、「無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。」としたのは、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜を主構成とする場合には、その主構成の窒素成分と、蒸発源材料に陽イオンとして含まれて膜中に取り込まれる窒素成分とが放射性同位元素でも用いない限り区別できないために除外している。
本発明に係る無機化合物膜において、前記無機化合物膜が、酸化珪素膜、亜鉛含有酸化珪素膜、錫含有酸化珪素膜、酸窒化珪素膜、亜鉛含有酸窒化珪素膜及び錫含有酸窒化珪素膜から選ばれるガスバリア膜である。この発明によれば、珪素と酸素とを少なくとも含む無機珪素化合物膜について、アルカリ金属成分又は窒素成分を上記の範囲内で積極的に含有させてガスバリア性を高めている。
(5)上記課題を解決するための本発明に係るガスバリアフィルムは、上記本発明に係る成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜を有するガスバリアフィルムであって、前記無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、前記無機化合物膜中に前記アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれるガスバリア膜であることを特徴とする。
この発明によれば、緻密でガスバリア性のよいガスバリア膜を備えたガスバリアフィルムを提供できる。
本発明に係る蒸発源材料及びその蒸着源材料を用いた成膜方法によれば、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有する蒸発源材料を用いることにより、多孔質材料の孔内に保持された陽イオンがプラズマ状態を安定化させるように作用し、成膜原料の蒸発を促進させ、その結果、蒸着速度が増して質の良い緻密な膜を成膜することができる。
本発明に係る無機化合物膜及びその無機化合物膜を有するガスバリアフィルムによれば、従来の特許文献5に記載のガスバリア膜ではアルカリ金属をできるだけ少なくしてガスバリア性を高めていたのとは逆に、アルカリ金属成分又は窒素成分が所定の範囲内となるように積極的に含有させて膜質を高めている。
本発明に係る蒸発源材料の一例を示す模式的な構成図である。 本発明に係るガスバリアフィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係るガスバリアフィルムの他の一例を示す模式的な断面図である。 実施例において使用したホローカソード型イオンプレーティング装置の構成図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[蒸発源材料]
本発明に係る蒸発源材料1は、図1に示すように、イオン化させる原子の蒸発源となる材料であって、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料2と、その成膜原料2の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料3とを有している。本発明では、こうした基本構成からなる蒸発源材料1を用いることにより、欠陥の少ない緻密で良質な膜を成膜している。
本発明の蒸発源材料1を用いることにより、欠陥が少なく、緻密で良質な膜を成膜できる理由は以下によると考えられる。すなわち、多孔質材料3の孔内には陽イオンが保持されているので、成膜原料2を蒸発させるためのエネルギーを蒸発源材料1に与えたとき、その陽イオンは容易に真空チャンバー内に放出される。チャンバー内に放出された陽イオンは、電離状態を維持してプラズマ状態を安定化させる。安定したプラズマ状態下では、エネルギーを受けた成膜原料2は電子を容易に放出し、イオン化が容易且つ安定して起こる。その結果、成膜原料2の蒸発が促進し、多くの量の成膜原料2がイオン化してチャンバー内に放出される。イオン化した成膜原料2が多いと、基材に到達した成膜原料2の運動エネルギーが増す。運動エネルギーの増加は、基材上での原子の移動を容易にし、安定サイトでの膜成長を継続的に実現させる。こうして欠陥が少なく、緻密で質の良い膜(無機化合物膜)を高い成膜速度で得ることができる。
本発明者は当初、イオンプレーティング法を用いたガスバリアフィルムの開発を行っている過程で、カリウムイオンを保持したゼオライト粉末を酸化珪素粉末に混ぜて蒸発源材料としてガスバリア膜を成膜したところ、従来よりも成膜速度が増し、ガスバリア性が向上することを見つけた。本発明はこの知見に基づいて更に検討して成し得たものであって、ゼオライト以外の多孔質材料の適用や、イオンプレーティング法以外の成膜手段の蒸着源材料への適用についても確認し、本発明を完成させている。なお、得られたガスバリア膜には陽イオンであるカリウムイオンが含まれていたが、そのカリウムイオンがガスバリア膜に含まれることはガスバリア性を低下させる要因ではなく、前記特許文献5の発明(アルカリ金属をできるだけ少なくしてガスバリア性を高めている。)とは相反するものとなっている。
(成膜原料)
成膜原料は、エネルギーを受けて蒸発する無機化合物材料である。無機化合物材料としては、無機酸化物(MOx)、無機窒化物(MNy)、無機炭化物(MCz)、無機酸化炭化物(MOxCz)、無機窒化炭化物(MNyCz)、無機酸化窒化物(MOxNy)、及び無機酸化窒化炭化物(MOxNyCz)から選ばれるいずれかの材料を挙げることができる。Mとしては、珪素、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、カルシウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、ハフニウム、バリウム等の金属元素を挙げることができる。Mは単体でもよいし2種以上の元素であってもよい。各無機化合物は、具体的には、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物;炭化珪素等の炭化物;硫化物;等を挙げることができる。また、これらの無機化合物から選ばれた2種以上の複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。また、SiOZnのように金属元素を2種以上含む複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。
好ましいMとしては、珪素、アルミニウム、チタン等の金属元素を挙げることができる。特にMが珪素の酸化珪素や窒化珪素からなる無機化合物材料は、ガスバリア膜の成膜原料として好ましく、透明で高いガスバリア膜を得ることができる。特に酸化珪素と窒化珪素の複合体(無機酸化窒化物(MOxNy))であることが好ましく、酸化珪素の含有量が多いと透明性が向上し、窒化珪素の含有量が多いとガスバリア性が向上する。また、Mが珪素と亜鉛のSiOZnやMが珪素と錫のSiOSnからなる成膜原料を用いて得たガスバリア膜は、透明で高いガスバリア性を発揮する。
より具体的な成膜原料としては、珪素と酸素とを少なくとも含む無機珪素化合物が好ましく、酸化珪素、亜鉛含有酸化珪素、錫含有酸化珪素、酸窒化珪素、亜鉛含有酸窒化珪素及び錫含有酸窒化珪素から選ばれるいずれかを挙げることができる。酸窒化珪素や酸窒化珪素には、亜鉛、錫及びインジウムから選ばれるいずれか1又は2以上の元素、好ましくは亜鉛及び錫の一方又は両方が含まれていることが、膜質のより一層の向上の観点から好ましい。亜鉛、錫及びインジウムから選ばれるいずれか1又は2以上の金属元素の含有量は、無機珪素化合物に対して5〜100質量%、好ましくは20〜80質量%の範囲であることが好ましい。これらの金属元素は、無機珪素化合物との相性がよく、プラズマが蒸発源材料に集中的に照射される効果が発揮され易く、プラズマがその金属元素を介して蒸発源材料内部まで浸透し易くなる。その結果、蒸発源材料の励起が効率よく行われ、膜質(例えばガスバリア膜の場合はガスバリア性)の向上効果が確保され易い。なお、無機珪素化合物に含まれる金属元素の含有量は、XRF(蛍光X線分析装置、株式会社リガク社製、型番:RIX3100)等によって測定することができる。
成膜原料の形態は、粉末状、粒子状、塊状のいずれでもあってもよい。それらの平均粒径は特に限定されないが、例えば粉末状又は粒子状の場合は0.1μm〜5mmの範囲を例示でき、塊状の場合は5〜100mmの範囲を例示できる。塊状の成膜原料は、粉末状又は粒子状の無機化合物を造粒又は焼結して得ることができる。ここで、「平均粒径」とは、所定量(例えば1g)の粉末等を粒度分布計(コールターカウンター法)で測定した結果で表したものである。また、成膜原料は、若干の不純物や他の元素を含んでいてもよいが、通常99.9%以上の純度を有するものを用いる。
成膜原料に亜鉛や錫等の金属元素を混ぜる場合には、酸化亜鉛や酸化錫等の化合物を例えばミキサー等の混合手段で混ぜることができる。また、成膜原料を塊状にするための焼結は、成膜原料の粉末又は粒子を所定形状に圧縮成形し、その圧縮成形体を構成粉末の溶融温度よりも低い所定の温度に加熱して粉体同士を結合させる一般的な焼結手段を適用できる。具体的には、金型プレス、CIPプレス(静水圧プレス)、RIPプレス(ラバープレス)等の従来公知の各種の方法を適用できる。また、造粒は、撹拌造粒、流動層造粒、押出造粒等の造粒方法を適用できる。具体的には、撹拌造粒とは、成膜原料の粉末を容器に入れ、撹拌しながら液体の結着剤を添加して粉末を凝集させ、これを乾燥させる操作で、球形に近い塊状物を得る方法であり、流動層造粒法とは、成膜原料の粉末を入れた容器に下から熱風を送り粉末が空中にやや浮いた状態で結着剤を吹き付け、粉末を凝集乾燥させる操作で、比較的かさ高い塊状物を得る方法であり、押出造粒とは、成膜原料の粉末の湿塊を小孔から円柱状に押し出したのち乾燥させる操作で、比較的密度の高い塊状物を得る方法である。こうした造粒手段は通常結着剤を利用するが、その場合には、造粒後に例えば200℃以上1500℃以下の任意の温度で加熱焼成して結着剤を除去するのが一般的である。また、結着剤を使用しない場合には、例えば200℃以上1500℃以下の任意の温度で加熱焼成する。
成膜原料の粉末を焼結又は造粒して塊状物にする際に、結着剤(バインダー)を利用する場合の代表例としては、デンプン、小麦蛋白、セルロース等を挙げることができるが、それ以外のものであっても構わない。こうした結着剤は、焼結や造粒を行った後に加熱焼成により除去されるのが一般的である。
なお、本発明では成膜原料として上記各種の無機化合物を挙げているが、本発明の原理によれば欠陥が少なく緻密で質の良い膜を成膜できる。特に無機珪素化合物を成膜原料として成膜することにより、ガスバリア性の良いガスバリア膜を得ることができる。また、例えばITO、酸化錫、IZO、AZO等を成膜原料とした場合は、良質な透明導電性膜を得ることができ、電極や電磁波シールド等の用途に好ましく用いることができる。また、TiOを成膜原料とした場合は、安定した屈折率を有する膜を形成でき、光学用途に好ましく用いることができる。また、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を成膜することも可能であり、切削工具、機械部品、電子部品等の耐摩耗性皮膜として利用できる。
(多孔質材料)
多孔質材料は、成膜原料の蒸発を促進させるイオンを孔内に保持することができる材料である。こうした作用を備える多孔質材料であれば各種のものを用いることができ、例えば、多孔質シリカ、無機シリカ多孔体、有機−無機ハイブリッドシリカ多孔体等のシリカ系多孔質材料;ゼオライト;多孔質アルミナ、アルミナ多孔体等のアルミナ系多孔質材料;酸化チタン多孔体;アパタイト;多孔質ガラス;ナノポーラス結晶(12CaO・7Al);層状多孔体;ランタンストロンチウムマンガナイト(LaSrMnO);CaZrO−MgO系多孔質複合材料;多孔質ディオプサイド(CaO・MgO・2SiO);マグネシア;Ta又はSnO等のメソポーラス;コーディエライト多孔質セラミックス(2MgO・2Al・5SiO);等の酸化物系多孔質材料を用いることができる。
これらのうち、シリカ系多孔質材料;ゼオライト;多孔質ガラス;多孔質ディオプサイド(CaO・MgO・2SiO);コーディエライト多孔質セラミックス(2MgO・2Al・5SiO)等の珪素系の多孔質材料は、上記した成膜原料が珪素を少なくとも含む無機珪素化合物である場合に、珪素成分が成膜原料と共通するという観点から好ましい。多孔質材料と成膜原料との成分に共通するものがあると、材料中の熱の伝達が均一になり易くなるとが考えられ、好ましく用いることができる。なお、多孔質材料の同定は、X線回折によって結晶構造を同定したり、XRF(蛍光X線分析装置)等を用いた組成分析によって行うことができる。
ゼオライトは、入手のし易さや価格の観点から好ましい。また、成膜原料が珪素系やアルミニウム系の無機化合物である場合には、ゼオライトが有する珪素成分やアルミニウム成分と共通するという観点から好ましい。ゼオライトには、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライトがあり、そのいずれであってもよい。ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩の総称であり、化学式は、Me2/xO・Al・mSiO・nHO(MeはX価の陽イオン)と表される。ゼオライトの結晶型は、孔内に保持することになるイオンや、アルミノケイ酸塩を構成するアルミナとシリカの配合比等を考慮して選択される。そうした結晶型としては、ベータ、ZSM−5、フェリエライト、モルデナイト、L型及びY型等から選択して適用できる。なかでも、フェリエライト、モルデナイト、L型及びY型は、結晶の大きさが0.1μm以上、1μm以下程度であり、大きすぎず小さすぎず好ましい。
ゼオライトは孔を有する粉末又は粒子(以下、粉末又は粒子を「粉末等」又は「粉末」という。)であり、その粉末等の大きさは特に限定されない。ゼオライト粉末等をそのまま成膜原料(例えば無機化合物、具体的には金属元素成分と、酸素、窒素及び/又は炭素の成分とからなる無機化合物。)粉末等と混合するのであれば、成膜原料粉末の粒径と同程度の大きさであればよい。例えば、酸化珪素粉末等の成膜原料粉末の平均粒径が2mmであれば、ゼオライト粉末等の平均粒径を0.5〜5mmの範囲とすることが好ましく、両者をよく混ぜることができる。
ゼオライト等の多孔質材料はその孔内に陽イオンを保持する。孔の大きさは、多孔質材料で異なり、特定の多孔質材料が有する孔の大きさに合った陽イオンを選択して保持させることができる。又は、特定の陽イオンを保持できる多孔質材料を選択して用いることもできる。
陽イオンは、ゼオライト等の多孔質材料の孔内に保持される。陽イオンは電子が取れて正(+)の電荷を帯びたものであり、例えば1個の電子が取れた一価の陽イオン2個の電子が取れた二価の陽イオン等を挙げることができる。一価の陽イオンの代表例は、水素イオン;ナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属イオン;であるが、アンモニウムイオン等の化合物イオンであってもよい。また、二価の陽イオンの代表例は、マグネシウムイオンやカルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンである。
これらの陽イオンのうち、一価の陽イオンが特に好ましく、なかでも水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンがより好ましい。こうした一価の陽イオンは、反応性が高い一価の金属よりも安定で取り扱いが容易である。また、一価の陽イオン(元素)は、第一イオン化エネルギーが小さいという性質があるため、蒸着源材料にエネルギーが与えられた際にイオンの状態で容易にチャンバー内に放出され、電離状態を維持してプラズマ状態を安定化させることができる。
これらの陽イオンの保持量は、陽イオンの種類と多孔質材料の種類に応じて異なる。多孔質材料への陽イオンの保持量を制御する観点からは、多孔質材料が陽イオンを保持できる空孔1個あたり、陽イオンを1個保持していることが好ましい。こうした観点から陽イオンと多孔質材料とを組合せることが、成膜速度と膜質の向上且つ安定性の点で好ましい。なお、陽イオンの保持量の測定は、XRFのような元素分析手段により行うことができる。
特にゼオライトの場合は、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個の陽イオンを保持できるものを選択して使用することが好ましい。ゼオライトには陽イオンを保持する各種のものがあり、例えば東ソー株式会社のベータ型ゼオライト(HSZ−900シリーズ)には、プロトン(H)を保持したもの(商品名:940HOA、980HOA)、アンモニウムイオン(NH )を保持したもの(商品名:930NHA,940NHA)があり、同社のフェリエライト型ゼオライト(HSZ−700シリーズ)には、カリウムイオン(K)を保持したもの(商品名:720KOA)、アンモニウムイオン(NH )を保持したもの(商品名:770NHA)、ナトリウムイオン(Na)を保持したもの(商品名:770NAA)があり、同社のモルデナイト型ゼオライト(HSZ−600シリーズ)には、ナトリウムイオン(Na)を保持したもの(商品名:642NAA)、プロトン(H)を保持したもの(商品名:640HOA、690HOA)があり、同社のL型ゼオライト(HSZ−500シリーズ)には、カリウムイオン(K)を保持したもの(商品名:500KOA)があり、同社のY型ゼオライト(HSZ−300シリーズ)には、ナトリウムイオン(Na)を保持したもの(商品名:320NAA)、プロトン(H)を保持したもの(商品名:320HOA、331HOA、350HUA、360HUA,385HUA、390HUA)があり、アンモニウムイオン(NH )を保持したもの(商品名:341NHA)がある。なお、陽イオンを保持する他又は他社の市販のゼオライトを用いることもできる。
(配合割合)
蒸着源材料を構成する成膜原料と多孔質材料との配合割合は、蒸着源材料の全質量に対し、多孔質材料が10〜200質量%の範囲内であることが好ましく、15〜100質量%の範囲内であることがより好ましい。多孔質材料が10質量%未満では、多孔質材料に保持された陽イオンの作用が十分に発揮されず、十分な成膜速度の向上を実現できず、また、膜質の向上も実現できないことがある。一方、多孔質材料が200質量%を超えると、成膜原料が相対的に少なくなるので、膜質が低下することがある。
成膜原料と多孔質材料とからなる蒸着源材料は、粉末状、粒子状又は塊状の成膜原料と、粉末状又は粒子状の多孔質材料とを単純に混合したものであってもよいし、混合したものをプレス等で成形したものであってもよい。また、ゼオライト粉末等の多孔質材料を成膜原料の粉末等に降りかけた態様としてもよいし、又は、降りかけた後にプレス成形した態様としてもよい。プレス手段としては、金型プレス、CIPプレス(静水圧プレス)、RIPプレス(ラバープレス)等の従来公知の各種の方法を適用できる。必要に応じて加温して粒子間を接合させてもよい。
以上説明した蒸着源材料は、プラズマ状態下で成膜する各種の成膜手段で用いることができる。例えば、イオンプレーティング法のような各種プラズマをアシストした蒸着や、プラズマCVD法、スパッタリング法等に適用できる。なかでも、圧力勾配型イオンプレーティング法で用いる蒸発源材料として用いることが好ましい。
[成膜方法]
本発明に係る成膜方法は、上記した蒸着源材料を用いたことに特徴がある。すなわち、(ア)エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料が無機化合物である蒸着源材料を準備し、(イ)蒸着源材料にエネルギーを与えて成膜原料を蒸発させ、(ウ)蒸発した成膜原料を含む膜を基材上に形成する、方法である。
(ア)の工程は、上記した蒸発源材料を準備する工程である。蒸発源材料については既に詳しく説明したのでここではその説明を省略する。
(イ)の工程は、準備した蒸着源材料にエネルギーを与えて成膜原料を蒸発させる工程である。エネルギーとしては、プラズマ、熱、レーザー等を挙げることができる。例えばイオンプレーティング法では、電界と磁界の制御によって蒸着源材料に1000℃以上となるプラズマエネルギーを与えることができる。また、抵抗加熱法ではヒーターのジュール熱によって、誘導加熱法では電磁誘導によって、それぞれエネルギーを与えることができる。また、レーザーアブレーション法では、レーザーのエネルギーを与えることができる。プラズマCVD法では、プラズマのエネルギーにより材料を分解励起させることができる。
こうしたエネルギーが蒸発源材料に与えられることにより、多孔質材料の孔内に保持された陽イオンはチャンバー内に放出され、プラズマ状態を安定化させるように作用する。安定したプラズマ状態下では、エネルギーを受けた成膜原料は電子を容易に放出し、イオン化が容易且つ安定して起こる。その結果、成膜原料の蒸発が促進し、多くの量の成膜原料がイオン化してチャンバー内に放出される。蒸発源材料は、イオンプレーティング法では、例えば後述の図4に示すように、坩堝内に収容される。
一例として、蒸発源材料の成膜原料として無機珪素化合物を用い、多孔質材料としてゼオライトを用いた場合、そのゼオライトは酸化アルミニウムと酸化珪素を含む。酸化アルミニウムの融点は2020℃で沸点は3000℃とされている。また、酸化珪素の融点は1650℃で沸点は2230℃とされている。このことから、蒸発源材料にエネルギーを与えると、無機珪素化合物がイオン化して蒸発するとともに、ゼオライトを構成する酸化珪素成分も蒸発すると考えられる。一方、後述の実験結果で説明するように、膜中にアルミニウム成分が検出されなかったことから、ゼオライトを構成する酸化アルミニウム成分は蒸発していないと考えられる。また、蒸発源材料を構成する多孔質材料として、熱伝導性のよい多孔質材料を用いてもよい。
(ウ)の工程は、蒸発した成膜原料を含む膜を基材上に形成する工程である。蒸発が促進されてイオン化した成膜原料がチャンバー内に増えると、基材に到達した成膜原料の運動エネルギーが増し、基材上での原子の移動が容易になる。その結果、安定サイトでの膜成長が継続的に実現し、欠陥が少なく、緻密で質の良い膜(無機化合物膜)を成膜することができる。このときの膜は、高い成膜速度で得ることができる。なお、基材は、後述のガスバリアフィルムの説明欄で詳しく説明する。
[無機化合物膜]
本発明に係る無機化合物膜は、上記した成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜であって、その無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、無機化合物膜中にアルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれる。
無機化合物膜は、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含むものであればよく、種々の無機化合物膜を挙げることができる。上記の成膜原料で説明したのと同様、例えば、無機酸化物(MOx)膜、無機窒化物(MNy)膜、無機炭化物(MCz)膜、無機酸化炭化物(MOxCz)膜、無機窒化炭化物(MNyCz)膜、無機酸化窒化物(MOxNy)膜、及び無機酸化窒化炭化物(MOxNyCz)膜から選ばれるいずれかの膜を挙げることができる。Mとしては、珪素、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、カルシウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、ハフニウム、バリウム等の金属元素を挙げることができる。Mは単体でもよいし2種以上の元素であってもよい。各無機化合物は、具体的には、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物;炭化珪素等の炭化物;硫化物;等を挙げることができる。また、これらの無機化合物から選ばれた2種以上の複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。また、SiOZnのように金属元素を2種以上含む複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。
より具体的な無機化合物膜としては、珪素と酸素とを少なくとも含む無機珪素化合物膜等を挙げることができる。この無機珪素化合物膜としては、酸化珪素膜、亜鉛含有酸化珪素膜、錫含有酸化珪素膜、酸窒化珪素膜、亜鉛含有酸窒化珪素膜及び錫含有酸窒化珪素膜から選ばれるいずれかの膜を挙げることができる。酸窒化珪素膜や酸窒化珪素膜には、亜鉛、錫及びインジウムから選ばれるいずれか1又は2以上の元素、好ましくは亜鉛及び錫の一方又は両方が含まれていることが、膜質のより一層の向上の観点から好ましい。亜鉛、錫及びインジウムから選ばれるいずれか1又は2以上の金属元素の含有量は、無機珪素化合物に対して5〜100質量%、好ましくは20〜80質量%の範囲であることが好ましい。なお、無機複合珪素化合物に含まれる金属元素の含有量は、XRF(蛍光X線分析装置)によって測定することができる。
また、無機化合物膜には、アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれる。上記範囲のアルカリ金属成分又は窒素成分については、上記した蒸発源材料を用いた成膜手段によって、無機化合物膜に含まれたものである。その含有量の範囲で、欠陥が少なく、緻密で質の良い膜を得ることができる。アルカリ金属成分又は窒素成分の含有量が0.1原子%未満では、膜の緻密さが低下して膜質が低下することがある。また、アルカリ金属成分又は窒素成分の含有量が10原子%を超えるような場合は、蒸着源材料中のゼオライトの割合が非常に多くなっている場合であり、蒸着速度が低下することがある。このように本発明に係る無機化合物膜は、アルカリ金属成分又は窒素成分を積極的に上記含有量の範囲で含有させることに特徴があり、できるだけ含有するのを避けようとする特許文献5とは逆である。
本発明に係る無機化合物膜は、欠陥が少なく緻密で質の良い膜である。したがって、本発明に係る無機化合物膜が例えばITO膜、酸化錫膜、IZO膜、AZO膜等である場合は、良質な透明導電性膜となり、電極や電磁波シールド等の用途に好ましく用いることができる。また、TiO膜である場合は、安定した屈折率を有する膜を形成でき、光学用途に好ましく用いることができる。また、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜である場合は、切削工具、機械部品、電子部品等の耐摩耗性皮膜となる。また、ガスバリア性のよい無機化合物膜については、ガスバリア膜として以下に説明する。
[ガスバリアフィルム]
本発明に係るガスバリアフィルム11は、図2及び図3に示すように、上記した成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜を有するガスバリアフィルムである。そして、無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、無機化合物膜中にアルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれるガスバリア膜13である。
(基材)
基材12は、ガスバリア膜13を成膜することができる樹脂シート又は樹脂フィルムであれば特に制限はない。基材12の構成材料としては、例えば、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン(APO)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、シクロポリオレフィン(CPO)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体(EPA)等を挙げることができる。
また、上記の樹脂材料以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物、上記アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メタクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解した樹脂組成物等の光硬化性樹脂、及びこれらの混合物等を用いることもできる。さらに、これらの樹脂の1種又は2種以上をラミネート、コーティング等の手段により積層させたものを基材12として用いることもできる。また、樹脂シート又は樹脂フィルム以外でも、ガラスやシリコンウエハを基材として用いることができる。
基材12の厚さは、3μm以上500μm以下、好ましくは12μm以上300μm以下程度であることが好ましい。この範囲内の厚さの基材12は、フレキシブルであるとともに、ロール状に巻き取ることもできるので好ましい。基材12は、長尺材であってもよいし枚葉材であってもよいが、長尺の基材を好ましく用いることができる。長尺の基材12の長手方向の長さは特に限定されないが、例えば10m以上の長尺フィルムが好ましく用いられる。なお、長さの上限は限定されず、例えば10km程度のものであってもよい。
基材12には、種々の性能確保のために添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては従来公知のものを適宜用いることができ、例えば、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、塩素捕獲剤等を挙げることができる。なお、基材12を、透明性が必要とされるOLED等の発光素子の基板として用いる場合には、基材12は無色透明であることが好ましい。より具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内での基材12の平均光透過度が80%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。こうした光透過度は基材12の材質と厚さに影響されるので両者を考慮して構成される。
(平坦化膜)
ガスバリア膜13は、図2に示すように基材12上に直接設けられていてもよいが、図3に示すように基材12上に平坦化膜14を設けた後に設けられていてもよい。平坦化膜14を基材12とガスバリア膜13との間に設けることにより、基材12の表面が有する凹凸や突起をなくして平坦面にすることができるので、ガスバリア膜13の欠陥をさらに低減でき、ガスバリア性を高めることができる。
平坦化膜14としては、従来公知のものを適宜用いればよく、その材料としては、例えば、ゾル・ゲル材料、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、及びフォトレジスト材料等を挙げることができる。こうした有機材料で形成した平坦化膜14は、応力緩和機能も兼ね備えることから好ましい。より具体的な材料としては、アクリレートを含む高分子化合物が汎用的なものとして挙げられるが、他には、スチレン、フェノール、エポキシ、ニトリル、アクリル、アミン、エチレンイミン、エステル、シリコーン、カルドポリマー、アルキルチタネート化合物、イオン高分子錯体等、光硬化又は熱硬化性のもの、高分子化合物と金属アルコキシドの加水分解生成物の混合物等を含む、高分子化合物が適宜使用される。
特にガスバリア機能を保持させつつ膜の形成を容易にする観点からは、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。より具体的には、エポキシ基をもつ反応性のプレポリマー、オリゴマー、及び/又は単量体を適宜混合した電離放射線硬化型樹脂や、その電離放射線硬化型樹脂に必要に応じてウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ビニル系等の熱可塑性樹脂を混合して液状とした液状組成物のような、分子中に重合性不飽和結合を有し、紫外線(UV)や電子線(EB)を照射することにより、架橋重合反応を起こして3次元の高分子構造に変化する樹脂を好ましく用いることができる。
平坦化膜14は、こうした樹脂を、例えば、ロールコート法、ミヤバーコート法、及びグラビアコート法等の従来公知の塗布方法で塗布・乾燥・硬化させることにより形成することができる。また、平坦化膜14の形成材料として、ガスバリア膜13との良好な密着性を確保する観点からは、ガスバリア膜13と同材料系の塗膜を形成できるゾル・ゲル法を用いたゾル・ゲル材料を用いることも好ましい。ゾル・ゲル法とは、有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する有機官能基を有する架橋性化合物とを少なくとも原料として構成された塗料組成物の塗工方法、及び塗膜のことをいう。有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤としては、従来公知のものを適宜用いることができる。また、平坦化膜14の材料として、耐熱性の観点からは、従来公知のカルドポリマーを用いることも好ましい。なお、平坦化膜14の厚さは、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下である。
(ガスバリア膜)
ガスバリア膜13は、図2及び図3に示すように、基材11上にプラズマ環境下で成膜された膜である。例えば、上記した無機化合物膜のうち、ガスバリア性を有する膜をガスバリア膜13とすることができ、特に限定されない。より好ましいガスバリア膜13としては、無機珪素化合物膜が好ましい。例えば、酸化珪素からなるガスバリア膜13や窒化珪素からなるガスバリア膜13は、透明で高いガスバリア性を発揮する。また、酸化珪素と窒化珪素の複合体膜(無機酸化窒化物(MOxNy)膜)では、酸化珪素の含有量が多いと透明性が向上し、窒化珪素の含有量が多いとガスバリア性が向上するという特徴がある。また、珪素と亜鉛のSiOZnや珪素と錫のSiOSnからなるガスバリア膜13は、透明で高いガスバリア性を発揮する。
ガスバリア膜13が酸化珪素膜の場合における酸化珪素膜の組成は、ほぼ化学量論組成(SiO)又はそれに近い組成である。また、ガスバリア膜13が酸窒化珪素膜の場合における酸窒化珪素膜の組成も、ほぼ化学量論組成(SiON)又はそれに近い組成である。
一方、ガスバリア膜13が亜鉛若しくは錫を含有する酸化珪素膜又は酸窒化珪素膜の場合、亜鉛又は錫の含有量は、酸化珪素膜又は酸窒化珪素膜を構成する珪素の原子数に対して、0.5〜30%の原子数であることが好ましく、1〜10%の原子数であることがより好ましい。原子数比は、ESCA等の分析装置で得られた結果で評価できる。本発明において、ESCAの測定は、ESCA(英国
VG Scientific社製、型式:LAB220i−XL)により測定したものである。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるモノクロAlX線源、及び、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のESCA装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、Zn:2p、Sn:3d、O:1s、C:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1に対して、Si=0.865、N=1.77、Zn=18.01、Sn=14.63、O=2.850)を行い、原子数比を求めた。得られた原子数比について、Si原子数を100とし、Zn又はSnの原子数を算出して成分割合とした。
こうしたガスバリア膜13には、アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれる。この範囲のアルカリ金属成分又は窒素成分については、上記した蒸発源材料を用いた成膜手段によって、ガスバリア膜13に含まれたものである。その含有量の範囲で、欠陥が少なく、緻密で質の良い膜を得ることができる。アルカリ金属成分又は窒素成分の含有量が0.1原子%未満では、膜の緻密さが低下して膜質が低下することがある。また、アルカリ金属成分又は窒素成分の含有量が10原子%を超えるような場合は、蒸着源材料中のゼオライトの割合が非常に多くなっている場合であり、蒸着速度が低下して膜中の欠陥数が逆に増加することがある。このように本発明に係るガスバリア膜13は、アルカリ金属成分又は窒素成分を積極的に上記含有量の範囲で含有させることに特徴があり、できるだけ含有するのを避けようとする特許文献5とは逆である。
ガスバリア膜13はプラズマ環境下で成膜される。プラズマ環境下での成膜方法としては、上記の成膜方法で説明したように、イオンプレーティング法;DCスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、高電力パルススパッタリング法等のようにプラズマ環境下で行うスパッタリング法;を挙げることができる。これらの成膜方法は、成膜材料の種類、成膜のし易さ、工程効率等を考慮して選択すればよい。
ガスバリア膜13の厚さは、通常10nm以上、500nm以下である。この範囲とすれば、ガスバリア性、フレキシビリティを確保しつつ、色味の調整もし易くなり、生産性も確保し易いという利点がある。
こうしたガスバリア膜13のガスバリア性は、各種の測定装置で測定できるが、水蒸気透過率はMOCON社製のPARMATRAN−W
3/31を用い、40℃で90%Rhの条件で測定した。一方、酸素ガス透過率はMOCON社製のOX−TRAN 2/20を用い、温度23℃、湿度90%RH、バックグラウンド除去測定を行うインディヴィジュアルゼロ(Individual Zero)測定ありの条件で測定した。
(その他の膜)
本発明に係るガスバリアフィルム11には、上記した平坦化膜14の他、必要に応じて各種の膜を設けることができる。例えば、透明導電膜、ハードコート膜、保護膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタ等から選ばれるいずれかを挙げることができる。これらのうち、透明導電膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタを、ガスバリアフィルム11の構成要素として設けることが好ましい。
上記した平坦化膜14と同様の平坦化膜をガスバリア膜13上に形成してもよい。ガスバリア膜13上に平坦化膜を形成すれば、ガスバリア膜13表面が有する凹凸や突起をなくして平坦面にすることができるので、特に有機EL素子や電子ペーパー素子等のディスプレイ用途に適用した場合に、ムラやぎらつき等をなくすことができるという利点がある。ガスバリア膜13上に形成する平坦化膜については、上記した平坦化膜14の構成(材料、成膜方法、厚さ等)と同じであるのでここではその説明は省略する。
透明導電膜(図示しない)は、特に本発明に係るガスバリアフィルム11を有機EL素子や電子ペーパー素子等の表示素子用途に用いる場合、ガスバリア膜13の上に設ける電極として利用することができる。透明導電膜は、特に限定されないが、その形成材料としては、インジウム−錫系酸化物(ITO)、インジウム−錫−亜鉛系酸化物(ITZO)、ZnO系、CdO系、及びSnO系等を挙げることができ、特にITO膜が好ましい。これらは、抵抗加熱蒸着法、誘導加熱蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、及びプラズマCVD法等の真空成膜法によって形成することができる。また、透明導電膜を、金属アルコキシド等の加水分解物や、透明導電粒子と金属アルコキシド等の加水分解物を塗布して形成される無機酸化物を主成分とするコーティング膜としてもよい。
透明導電膜の厚さは、通常10nm以上、好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは450nm以下、より好ましくは200nm以下とする。なお、上記の平坦化膜、透明導電膜以外の機能膜であるハードコート膜、保護膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタ等についての説明は省略するが、それらの膜については、従来公知の技術を適用できる。
(製造方法及び装置)
ガスバリアフィルム11の製造方法は、上記した成膜方法と同じであり、蒸着源材料を用いたことに特徴がある。具体的には、(ア)エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料がガスバリア膜用無機化合物である蒸着源材料を準備し、(イ)蒸着源材料にエネルギーを与えて成膜原料を蒸発させ、(ウ)蒸発した成膜原料を含むガスバリア膜を基材上に形成する、方法である。この製造方法を構成する工程は、上記した成膜方法やガスバリア膜の説明欄でそれぞれ詳しく説明しているのでここでは簡単に説明する。
最初に、基材12を準備する。基材12は上記した各種の基材を任意に選択して用いることができる。
次に、基材12上に必要に応じて平坦化膜14やその他のガスバリア膜を成膜する。これらの膜の形成工程は任意であり、その上には本発明必須のガスバリア膜13を設けることになる。
次に、基材12上(平坦化膜14等が設けられている場合にはその上)にガスバリア膜13を成膜する。ガスバリア膜13の成膜手段も既述したとおりである。
こうしたガスバリアフィルム11の製造方法によれば、欠陥が少なく緻密でガスバリア性のよいガスバリア膜13を高い成膜速度で成膜できるので、ガスバリアフィルム11の効率的な製造を実現でき、低コスト化を可能にする。
次に、ガスバリア膜13を成膜する装置について簡単に説明する。図4は、本発明に係るガスバリアフィルム11を構成するガスバリア膜13の成膜に適用できるイオンプレーティング装置の一例を示す構成図である。この装置は、後述の実施例で使用するホローカソード型イオンプレーティング装置の構成図である。図4に示すホローカソード型イオンプレーティング装置101は、真空チャンバー102と、このチャンバー102内に配設された供給ロール103a、巻き取りロール103b、コーティングドラム104と、バルブを介して真空チャンバー102に接続された真空排気ポンプ105と、仕切り板109,109と、その仕切り板109,109で真空チャンバー102と仕切られた成膜チャンバー106と、この成膜チャンバー106内の下部に配設された坩堝107と、アノード磁石108と、成膜チャンバー106の所定位置(図示例では成膜チャンバーの右側壁)に配設された圧力勾配型プラズマガン110、収束用コイル111、シート化磁石112、圧力勾配型プラズマガン110へのアルゴンガスの供給量を調整するためのバルブ113と、成膜チャンバー106にバルブを介して接続された真空排気ポンプ114と、酸素ガス等の供給量を調整するためのバルブ116とを備えている。なお、図示のように、供給ロール103aと巻き取りロール103bはリバース機構が装備されており、両方向の巻き出し、巻き取りが可能となっている。
このようなイオンプレーティング装置101を用いたガスバリア膜13の成膜は以下のように行われる。先ず、真空チャンバー102、成膜チャンバー106内を、真空排気ポンプ105,114により所定の真空度まで減圧し、次いで、必要に応じて成膜チャンバー106内に酸素ガス等を所定流量導入し、真空排気ポンプ114と成膜チャンバー106との間にあるバルブの開閉度を制御することにより、チャンバー106内を所定圧力に保ち、基材フィルムを走行させ、アルゴンガスを所定流量導入した圧力勾配型プラズマガン110にプラズマ生成のための電力を投入し、アノード磁石108上の坩堝107にプラズマ流を収束させて照射することにより蒸発源材料を蒸発させ、高密度プラズマにより蒸発分子をイオン化させて、強磁性元素4が付着した基材面Sに所定の種類のガスバリア膜13を成膜して、本発明に係るガスバリアフィルム11を得る。
なお、好ましいイオンプレーティング装置は、ハースに照射された電流が、プラズマガンに安定的に帰還できるように、帰還電極を備えたものである。こうした装置としては、特開平11−269636号公報に記載されるように、プラズマガンのプラズマビームの照射出口部に、プラズマビームの周囲を取り囲み、電気的に浮遊状態として突出させた絶縁管と、この絶縁管の外周側を取り巻くとともに、出口部よりも高い電位状態とした電子帰還電極と、を設けたイオンプレーティング装置を用いればよい。
ここでは、ガスバリア膜13の成膜装置として、ホローカソード型イオンプレーティング装置を例示したが、プラズマ環境下でガスバリア膜13を成膜することができる他の装置であってもよいことは言うまでもない。また、図4の例は、長尺の基材シート上にガスバリア膜13を連続成膜できるロール・ツー・ロール法お可能にする装置であるが。一般的なバッチ式の装置であっても構わない。
ガスバリア膜13は、上記したイオンプレーティング装置のほか、DCスパッタリング装置、マグネトロンスパッタリング装置等のような、プラズマ環境下での成膜装置であってもよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
基材12としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、厚さ100μm、商品名:A4300)を用い、その基材12上に、ザ・インクテック株式会社製のOELV30(商品名)をコーティングして厚さ5μmの平坦化膜14を形成した。最初に、平坦化膜14を形成した基材12をバッチ式の真空チャンバー内に設置し、真空チャンバー内のるつぼに蒸着源材料を収納した。ここで用いた蒸着源材料は、成膜原料として平均粒径2mmのSiO粒(株式会社高純度化学研究所製)を用い、多孔質材料としてゼオライト粒(東ソー株式会社製、HSZ−550KOA、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個のカリウムイオンを保持したもの。)を用いた。SiO粒100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合した。
次に、真空引きを行って真空度を9×10−4まで到達させた後、昇華ガスとしてアルゴンガスを12sccm導入した。その後、プラズマガンに放電電力を投入して、139Aの放電電流と99Vの放電電圧を発生させ、昇華ガスをプラズマ化した。なお、sccmとは、standard cubic per minuteの略であり、以下の実施例、比較例においても同様である。
収束コイルに所定の磁場を発生させることにより、プラズマ化した昇華ガスからなるプラズマ化昇華ガス流を所定方向に曲げ、これによってプラズマ化した昇華ガスを真空チャンバー内の蒸着源材料に向けて照射した。プラズマ化した昇華ガスによって、蒸着源材料は昇華するとともにイオン化した。イオン化した蒸着源材料が、基材12上に堆積することにより、厚さ143nmのガスバリア膜13を成膜した。なお、イオンプレーティングの実施時間は15秒間であり、成膜速度は9.5nm/秒であった。こうして実施例1に係るガスバリアフィルム11を作製した。
(評価)
得られたガスバリアフィルム11について、ガスバリア膜13の水蒸気透過率を測定したところ0.10g/m/dayであった。水蒸気透過率の測定は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、TERMATRAN−W3/31)を用い、温度38℃、湿度100%RHで行った。なお、全光線透過率を併せて測定したところ94%であった。全光線透過率は、スガ試験機株式会社製の装置(SMカラーコンピューターSM−C)を使用し、JIS K7105に準拠して測定した。さらに、ガスバリア膜13の組成分析を行った。組成分析にはXRF(蛍光X線測定装置)を用い、そのX線強度からg換算して酸化物の質量として定量した。その結果、ガスバリア膜のSiOに対し、KOが0.50質量%の割合で含まれていることを確認した。また、ガスバリア膜中にアルミニウムは検出されなかったことから、ゼオライト中のアルミニウム元素は蒸発していないと考えられる。なお、ガスバリア膜の厚さは、XRFによる元素カウント及び断面SEMの検量で測定した値を用いた。評価結果を表1にまとめた。
[実施例2]
実施例1において、SiO粒100gに対してゼオライト粒18g(15質量%)を混合した他は、実施例1と同様にして実施例2に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは129nmであり、水蒸気透過率は0.37g/m/dayであった。ガスバリア膜のSiOに対しKOが0.16質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
[実施例3]
実施例1において、SiO粒100gに対してゼオライト粒100g(50質量%)を混合した他は、実施例1と同様にして実施例3に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは123nmであり、水蒸気透過率は0.19g/m/dayであった。ガスバリア膜のSiOに対しKOが0.93質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
[実施例4]
実施例1において、SiO粒100gに対してゼオライト粒43g(30質量%)を混合し、その混合粒を造粒した後、700℃・1時間焼成した蒸着源材料を用いた他は、実施例1と同様にして実施例4に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは114nmであり、水蒸気透過率は0.17g/m/dayであった。ガスバリア膜のSiOに対しKOが0.23質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
[実施例5]
実施例1において、多孔質材料として他の種類のゼオライト粒(東ソー株式会社製、HSZ−770NHA、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個のアンモニウムイオンを保持したもの。)を用いた他は、実施例1と同様にして実施例5に係るガスバリアフィルムを作製した。なお、SiO粒100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは113nmであり、水蒸気透過率は0.28g/m/dayであり、全光線透過率は94%であった。なお、アンモニウムイオンに由来する窒素元素の検出は今回の測定手段ではできなかった。結果を表1にまとめた。
[実施例6]
実施例5において、SiO粒100gに対してゼオライト粒30g(23質量%)を混合し、その混合粒を造粒した後、700℃・1時間焼成した蒸着源材料を用いた他は、実施例5と同様にして実施例6に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例5と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは108nmであり、水蒸気透過率は0.24g/m/dayであり、全光線透過率は94%であった。なお、アンモニウムイオンに由来する窒素元素の検出は今回の測定手段ではできなかった。結果を表1にまとめた。
[実施例7]
実施例1で用いた成膜原料の代わりに、平均粒径3mmのSiON粒(株式会社高純度化学研究所製)を用いた他は、実施例1と同様にして実施例7に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは75nmであり、水蒸気透過率は0.075g/m/dayであり、全光線透過率は85%であった。ガスバリア膜のSiOに対しKOが0.4質量%含まれていた。なお、実施例7では、イオンプレーティングの実施時間は9秒間であり、成膜速度は8.4nm/秒であった。結果を表1にまとめた。
[実施例8]
実施例1で用いた成膜原料について、平均粒径0.3μmのSiO粒(株式会社高純度化学研究所製)100質量部に、平均粒径0.5μmの酸化亜鉛(ZnO)粉末(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径は粒度分布計(コールターカウンター法)で測定した。)を30質量部加えて混合粉末とした。この混合粉末にバインダーとして2%セルロース水溶液を滴下しながら混合粉末を回転させて、10mmφの球状体を得た。その後、焼成炉に入れ、400℃で1時間保持し、平均粒径7mmφの塊状物からなる成膜原料を得た。得られた成膜原料の質量割合をX線分光分析装置(XPS/ESCA)により測定した結果、二酸化珪素100に対して、酸化亜鉛の質量割合は30であり、混合粉末の混合割合とほぼ一致していた。
この成膜原料に実施例1と同じゼオライト粒を、成膜原料100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合して、蒸着源材料とした。その他は、実施例1と同様にして、実施例8に係るガスバリアフィルムを作製した。
得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは122nmであり、水蒸気透過率は0.032g/m/dayであり、全光線透過率は89%であった。ガスバリア膜の全元素量に対しKOが0.4質量%含まれていた。なお、実施例8では、イオンプレーティングの実施時間は11.5秒間であり、成膜速度は10.6nm/秒であった。結果を表1にまとめた。
[実施例9]
実施例8で用いた成膜原料について、平均粒径0.3μmのSiO粒(株式会社高純度化学研究所製)100質量部に、平均粒径1.0μmの酸化錫(ZnO)粉末(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径は粒度分布計(コールターカウンター法)で測定した。)を30質量部加えて混合粉末とした。この混合粉末にバインダーとして2%セルロース水溶液を滴下しながら混合粉末を回転させて、10mmφの球状体を得た。その後、焼成炉に入れ、400℃で1時間保持し、平均粒径7mmφの塊状物からなる成膜原料を得た。得られた成膜原料の質量割合をX線分光分析装置(XPS/ESCA)により測定した結果、二酸化珪素100に対して、酸化錫の質量割合は30であり、混合粉末の混合割合とほぼ一致していた。
この成膜原料に実施例1と同じゼオライト粒を、成膜原料100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合して、蒸着源材料とした。その他は、実施例8と同様にして、実施例9に係るガスバリアフィルムを作製した。
得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは123nmであり、水蒸気透過率は0.091g/m/dayであり、全光線透過率は87%であった。ガスバリア膜の全質量に対しKOが0.4質量%含まれていた。なお、実施例9では、イオンプレーティングの実施時間は12.2秒間であり、成膜速度は10.1nm/秒であった。結果を表1にまとめた。
[実施例10]
実施例1において、多孔質材料として他の種類のゼオライト粒(東ソー株式会社製、HSZ−770NAA、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個のナトリウムイオンを保持したもの。)を用いた他は、実施例1と同様にして実施例10に係るガスバリアフィルムを作製した。なお、SiO粒100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは132nmであり、水蒸気透過率は0.4g/m/dayであり、全光線透過率は93%であった。なお、ガスバリア膜の全質量に対しNaOが0.4質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
[比較例1]
実施例1において、蒸着源材料にゼオライトを混合しない他は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリアフィルムを作製した。なお、イオンプレーティング条件は、プラズマガンに放電電力を投入して、140Aの放電電流と92Vの放電電圧を発生させ、昇華ガスをプラズマ化した。イオンプレーティングの実施時間は15秒間であり、ガスバリア膜の厚さは92nmであった。得られたガスバリア性シートについて、ガスバリア膜13の水蒸気透過率を測定したところ0.7g/mdayであった。また、全光線透過率は91%であった。また、XRFでの組成分析では、ガスバリア膜中にKOや窒素酸化物(アンモニウムイオンに由来)は含まれていないことを確認した。結果を表1にまとめた。
[比較例2]
比較例1において、イオンプレーティングの実施時間を30秒間とする他は、比較例1と同様にして比較例2のガスバリアフィルムを作製した。なお、ガスバリア膜の厚さは155nmであった。得られたガスバリア性シートについて、ガスバリア膜13の水蒸気透過率を測定したところ0.8g/mdayであった。また、全光線透過率は90%であった。また、XRFでの組成分析では、ガスバリア膜中にKOや窒素成分(アンモニウムイオンに由来)は含まれていないことを確認した。結果を表1にまとめた。
Figure 2011246776
1 蒸発源材料
2 成膜原料粉末
3 多孔質材料粉末
11,11’ ガスバリアフィルム
12 基材
13 ガスバリア膜
14 平坦化膜
101 ホローカソード型イオンプレーティング装置
102 真空チャンバー
103a 供給ロール
103b 巻き取りロール
104 コーティングドラム
105 真空排気ポンプ
106 成膜チャンバー
107 坩堝
108 アノード磁石
109 仕切り板
110 圧力勾配型プラズマガン
111 収束用コイル
112 シート化磁石
113 バルブ
114 真空排気ポンプ
116 バルブ

Claims (10)

  1. エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、前記成膜原料が無機化合物であることを特徴とする蒸着源材料。
  2. 前記イオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、前記多孔質材料がMe2/xO・Al・mSiO・nHO(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、前記イオンは前記ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されている、請求項1に記載の蒸着源材料。
  3. 圧力勾配型イオンプレーティングの蒸発源として用いられる、請求項1又は2に記載の蒸着源材料。
  4. エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有することを特徴とする蒸着源材料。
  5. エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、前記成膜原料が無機化合物である蒸着源材料を準備し、
    前記蒸着源材料にエネルギーを与えて前記成膜原料を蒸発させ、
    蒸発した前記成膜原料を含む膜を基材上に形成する、ことを特徴とする成膜方法。
  6. 前記イオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、前記多孔質材料がMe2/xO・Al・mSiO・nHO(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、前記イオンは前記ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されている、請求項5に記載の成膜方法。
  7. 圧力勾配型イオンプレーティング法で成膜する、請求項5又は6に記載の成膜方法。
  8. 請求項5又は6に記載の成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜であって、該無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、前記無機化合物膜中に前記アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれることを特徴とする無機化合物膜。
  9. 前記無機化合物膜が、酸化珪素膜、亜鉛含有酸化珪素膜、錫含有酸化珪素膜、酸窒化珪素膜、亜鉛含有酸窒化珪素膜及び錫含有酸窒化珪素膜から選ばれるガスバリア膜である、請求項8に記載の無機化合物膜。
  10. 請求項5又は6に記載の成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜を有するガスバリアフィルムであって、前記無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、前記無機化合物膜中に前記アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれるガスバリア膜であることを特徴とするガスバリアフィルム。
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