JP2011246776A - 蒸着源材料、成膜方法、無機化合物膜及びガスバリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料が無機化合物である蒸着源材料により上記課題を解決した。このとき、イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、多孔質材料がMe2/xO・Al2O3・mSiO2・nH2O(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、イオンはゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されていることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明に係る蒸発源材料1は、図1に示すように、イオン化させる原子の蒸発源となる材料であって、エネルギーを受けて蒸発する成膜原料2と、その成膜原料2の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料3とを有している。本発明では、こうした基本構成からなる蒸発源材料1を用いることにより、欠陥の少ない緻密で良質な膜を成膜している。
成膜原料は、エネルギーを受けて蒸発する無機化合物材料である。無機化合物材料としては、無機酸化物(MOx)、無機窒化物(MNy)、無機炭化物(MCz)、無機酸化炭化物(MOxCz)、無機窒化炭化物(MNyCz)、無機酸化窒化物(MOxNy)、及び無機酸化窒化炭化物(MOxNyCz)から選ばれるいずれかの材料を挙げることができる。Mとしては、珪素、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、カルシウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、ハフニウム、バリウム等の金属元素を挙げることができる。Mは単体でもよいし2種以上の元素であってもよい。各無機化合物は、具体的には、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物;炭化珪素等の炭化物;硫化物;等を挙げることができる。また、これらの無機化合物から選ばれた2種以上の複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。また、SiOZnのように金属元素を2種以上含む複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。
多孔質材料は、成膜原料の蒸発を促進させるイオンを孔内に保持することができる材料である。こうした作用を備える多孔質材料であれば各種のものを用いることができ、例えば、多孔質シリカ、無機シリカ多孔体、有機−無機ハイブリッドシリカ多孔体等のシリカ系多孔質材料;ゼオライト;多孔質アルミナ、アルミナ多孔体等のアルミナ系多孔質材料;酸化チタン多孔体;アパタイト;多孔質ガラス;ナノポーラス結晶(12CaO・7Al2O3);層状多孔体;ランタンストロンチウムマンガナイト(LaSrMnO3);CaZrO3−MgO系多孔質複合材料;多孔質ディオプサイド(CaO・MgO・2SiO2);マグネシア;Ta2O5又はSnO2等のメソポーラス;コーディエライト多孔質セラミックス(2MgO・2Al2O3・5SiO2);等の酸化物系多孔質材料を用いることができる。
蒸着源材料を構成する成膜原料と多孔質材料との配合割合は、蒸着源材料の全質量に対し、多孔質材料が10〜200質量%の範囲内であることが好ましく、15〜100質量%の範囲内であることがより好ましい。多孔質材料が10質量%未満では、多孔質材料に保持された陽イオンの作用が十分に発揮されず、十分な成膜速度の向上を実現できず、また、膜質の向上も実現できないことがある。一方、多孔質材料が200質量%を超えると、成膜原料が相対的に少なくなるので、膜質が低下することがある。
本発明に係る成膜方法は、上記した蒸着源材料を用いたことに特徴がある。すなわち、(ア)エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料が無機化合物である蒸着源材料を準備し、(イ)蒸着源材料にエネルギーを与えて成膜原料を蒸発させ、(ウ)蒸発した成膜原料を含む膜を基材上に形成する、方法である。
本発明に係る無機化合物膜は、上記した成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜であって、その無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、無機化合物膜中にアルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれる。
本発明に係るガスバリアフィルム11は、図2及び図3に示すように、上記した成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜を有するガスバリアフィルムである。そして、無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、無機化合物膜中にアルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれるガスバリア膜13である。
基材12は、ガスバリア膜13を成膜することができる樹脂シート又は樹脂フィルムであれば特に制限はない。基材12の構成材料としては、例えば、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン(APO)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、シクロポリオレフィン(CPO)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体(EPA)等を挙げることができる。
ガスバリア膜13は、図2に示すように基材12上に直接設けられていてもよいが、図3に示すように基材12上に平坦化膜14を設けた後に設けられていてもよい。平坦化膜14を基材12とガスバリア膜13との間に設けることにより、基材12の表面が有する凹凸や突起をなくして平坦面にすることができるので、ガスバリア膜13の欠陥をさらに低減でき、ガスバリア性を高めることができる。
ガスバリア膜13は、図2及び図3に示すように、基材11上にプラズマ環境下で成膜された膜である。例えば、上記した無機化合物膜のうち、ガスバリア性を有する膜をガスバリア膜13とすることができ、特に限定されない。より好ましいガスバリア膜13としては、無機珪素化合物膜が好ましい。例えば、酸化珪素からなるガスバリア膜13や窒化珪素からなるガスバリア膜13は、透明で高いガスバリア性を発揮する。また、酸化珪素と窒化珪素の複合体膜(無機酸化窒化物(MOxNy)膜)では、酸化珪素の含有量が多いと透明性が向上し、窒化珪素の含有量が多いとガスバリア性が向上するという特徴がある。また、珪素と亜鉛のSiOZnや珪素と錫のSiOSnからなるガスバリア膜13は、透明で高いガスバリア性を発揮する。
VG Scientific社製、型式:LAB220i−XL)により測定したものである。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるモノクロAlX線源、及び、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のESCA装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、Zn:2p、Sn:3d、O:1s、C:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1に対して、Si=0.865、N=1.77、Zn=18.01、Sn=14.63、O=2.850)を行い、原子数比を求めた。得られた原子数比について、Si原子数を100とし、Zn又はSnの原子数を算出して成分割合とした。
3/31を用い、40℃で90%Rhの条件で測定した。一方、酸素ガス透過率はMOCON社製のOX−TRAN 2/20を用い、温度23℃、湿度90%RH、バックグラウンド除去測定を行うインディヴィジュアルゼロ(Individual Zero)測定ありの条件で測定した。
本発明に係るガスバリアフィルム11には、上記した平坦化膜14の他、必要に応じて各種の膜を設けることができる。例えば、透明導電膜、ハードコート膜、保護膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタ等から選ばれるいずれかを挙げることができる。これらのうち、透明導電膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタを、ガスバリアフィルム11の構成要素として設けることが好ましい。
ガスバリアフィルム11の製造方法は、上記した成膜方法と同じであり、蒸着源材料を用いたことに特徴がある。具体的には、(ア)エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、その成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、成膜原料がガスバリア膜用無機化合物である蒸着源材料を準備し、(イ)蒸着源材料にエネルギーを与えて成膜原料を蒸発させ、(ウ)蒸発した成膜原料を含むガスバリア膜を基材上に形成する、方法である。この製造方法を構成する工程は、上記した成膜方法やガスバリア膜の説明欄でそれぞれ詳しく説明しているのでここでは簡単に説明する。
基材12としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、厚さ100μm、商品名:A4300)を用い、その基材12上に、ザ・インクテック株式会社製のOELV30(商品名)をコーティングして厚さ5μmの平坦化膜14を形成した。最初に、平坦化膜14を形成した基材12をバッチ式の真空チャンバー内に設置し、真空チャンバー内のるつぼに蒸着源材料を収納した。ここで用いた蒸着源材料は、成膜原料として平均粒径2mmのSiO2粒(株式会社高純度化学研究所製)を用い、多孔質材料としてゼオライト粒(東ソー株式会社製、HSZ−550KOA、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個のカリウムイオンを保持したもの。)を用いた。SiO2粒100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合した。
得られたガスバリアフィルム11について、ガスバリア膜13の水蒸気透過率を測定したところ0.10g/m2/dayであった。水蒸気透過率の測定は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、TERMATRAN−W3/31)を用い、温度38℃、湿度100%RHで行った。なお、全光線透過率を併せて測定したところ94%であった。全光線透過率は、スガ試験機株式会社製の装置(SMカラーコンピューターSM−C)を使用し、JIS K7105に準拠して測定した。さらに、ガスバリア膜13の組成分析を行った。組成分析にはXRF(蛍光X線測定装置)を用い、そのX線強度からg換算して酸化物の質量として定量した。その結果、ガスバリア膜のSiO2に対し、K2Oが0.50質量%の割合で含まれていることを確認した。また、ガスバリア膜中にアルミニウムは検出されなかったことから、ゼオライト中のアルミニウム元素は蒸発していないと考えられる。なお、ガスバリア膜の厚さは、XRFによる元素カウント及び断面SEMの検量で測定した値を用いた。評価結果を表1にまとめた。
実施例1において、SiO2粒100gに対してゼオライト粒18g(15質量%)を混合した他は、実施例1と同様にして実施例2に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは129nmであり、水蒸気透過率は0.37g/m2/dayであった。ガスバリア膜のSiO2に対しK2Oが0.16質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
実施例1において、SiO2粒100gに対してゼオライト粒100g(50質量%)を混合した他は、実施例1と同様にして実施例3に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは123nmであり、水蒸気透過率は0.19g/m2/dayであった。ガスバリア膜のSiO2に対しK2Oが0.93質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
実施例1において、SiO2粒100gに対してゼオライト粒43g(30質量%)を混合し、その混合粒を造粒した後、700℃・1時間焼成した蒸着源材料を用いた他は、実施例1と同様にして実施例4に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは114nmであり、水蒸気透過率は0.17g/m2/dayであった。ガスバリア膜のSiO2に対しK2Oが0.23質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
実施例1において、多孔質材料として他の種類のゼオライト粒(東ソー株式会社製、HSZ−770NHA、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個のアンモニウムイオンを保持したもの。)を用いた他は、実施例1と同様にして実施例5に係るガスバリアフィルムを作製した。なお、SiO2粒100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは113nmであり、水蒸気透過率は0.28g/m2/dayであり、全光線透過率は94%であった。なお、アンモニウムイオンに由来する窒素元素の検出は今回の測定手段ではできなかった。結果を表1にまとめた。
実施例5において、SiO2粒100gに対してゼオライト粒30g(23質量%)を混合し、その混合粒を造粒した後、700℃・1時間焼成した蒸着源材料を用いた他は、実施例5と同様にして実施例6に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例5と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは108nmであり、水蒸気透過率は0.24g/m2/dayであり、全光線透過率は94%であった。なお、アンモニウムイオンに由来する窒素元素の検出は今回の測定手段ではできなかった。結果を表1にまとめた。
実施例1で用いた成膜原料の代わりに、平均粒径3mmのSiON粒(株式会社高純度化学研究所製)を用いた他は、実施例1と同様にして実施例7に係るガスバリアフィルムを作製した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは75nmであり、水蒸気透過率は0.075g/m2/dayであり、全光線透過率は85%であった。ガスバリア膜のSiO2に対しK2Oが0.4質量%含まれていた。なお、実施例7では、イオンプレーティングの実施時間は9秒間であり、成膜速度は8.4nm/秒であった。結果を表1にまとめた。
実施例1で用いた成膜原料について、平均粒径0.3μmのSiO2粒(株式会社高純度化学研究所製)100質量部に、平均粒径0.5μmの酸化亜鉛(ZnO)粉末(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径は粒度分布計(コールターカウンター法)で測定した。)を30質量部加えて混合粉末とした。この混合粉末にバインダーとして2%セルロース水溶液を滴下しながら混合粉末を回転させて、10mmφの球状体を得た。その後、焼成炉に入れ、400℃で1時間保持し、平均粒径7mmφの塊状物からなる成膜原料を得た。得られた成膜原料の質量割合をX線分光分析装置(XPS/ESCA)により測定した結果、二酸化珪素100に対して、酸化亜鉛の質量割合は30であり、混合粉末の混合割合とほぼ一致していた。
実施例8で用いた成膜原料について、平均粒径0.3μmのSiO2粒(株式会社高純度化学研究所製)100質量部に、平均粒径1.0μmの酸化錫(ZnO)粉末(株式会社高純度化学研究所製、平均粒径は粒度分布計(コールターカウンター法)で測定した。)を30質量部加えて混合粉末とした。この混合粉末にバインダーとして2%セルロース水溶液を滴下しながら混合粉末を回転させて、10mmφの球状体を得た。その後、焼成炉に入れ、400℃で1時間保持し、平均粒径7mmφの塊状物からなる成膜原料を得た。得られた成膜原料の質量割合をX線分光分析装置(XPS/ESCA)により測定した結果、二酸化珪素100に対して、酸化錫の質量割合は30であり、混合粉末の混合割合とほぼ一致していた。
実施例1において、多孔質材料として他の種類のゼオライト粒(東ソー株式会社製、HSZ−770NAA、ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個のナトリウムイオンを保持したもの。)を用いた他は、実施例1と同様にして実施例10に係るガスバリアフィルムを作製した。なお、SiO2粒100gに対しゼオライト粒30g(23質量%)を混合した。得られたガスバリアフィルムについて実施例1と同様の測定を行った。ガスバリア膜の厚さは132nmであり、水蒸気透過率は0.4g/m2/dayであり、全光線透過率は93%であった。なお、ガスバリア膜の全質量に対しNa2Oが0.4質量%含まれていた。結果を表1にまとめた。
実施例1において、蒸着源材料にゼオライトを混合しない他は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリアフィルムを作製した。なお、イオンプレーティング条件は、プラズマガンに放電電力を投入して、140Aの放電電流と92Vの放電電圧を発生させ、昇華ガスをプラズマ化した。イオンプレーティングの実施時間は15秒間であり、ガスバリア膜の厚さは92nmであった。得られたガスバリア性シートについて、ガスバリア膜13の水蒸気透過率を測定したところ0.7g/m2dayであった。また、全光線透過率は91%であった。また、XRFでの組成分析では、ガスバリア膜中にK2Oや窒素酸化物(アンモニウムイオンに由来)は含まれていないことを確認した。結果を表1にまとめた。
比較例1において、イオンプレーティングの実施時間を30秒間とする他は、比較例1と同様にして比較例2のガスバリアフィルムを作製した。なお、ガスバリア膜の厚さは155nmであった。得られたガスバリア性シートについて、ガスバリア膜13の水蒸気透過率を測定したところ0.8g/m2dayであった。また、全光線透過率は90%であった。また、XRFでの組成分析では、ガスバリア膜中にK2Oや窒素成分(アンモニウムイオンに由来)は含まれていないことを確認した。結果を表1にまとめた。
2 成膜原料粉末
3 多孔質材料粉末
11,11’ ガスバリアフィルム
12 基材
13 ガスバリア膜
14 平坦化膜
101 ホローカソード型イオンプレーティング装置
102 真空チャンバー
103a 供給ロール
103b 巻き取りロール
104 コーティングドラム
105 真空排気ポンプ
106 成膜チャンバー
107 坩堝
108 アノード磁石
109 仕切り板
110 圧力勾配型プラズマガン
111 収束用コイル
112 シート化磁石
113 バルブ
114 真空排気ポンプ
116 バルブ
Claims (10)
- エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、前記成膜原料が無機化合物であることを特徴とする蒸着源材料。
- 前記イオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、前記多孔質材料がMe2/xO・Al2O3・mSiO2・nH2O(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、前記イオンは前記ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されている、請求項1に記載の蒸着源材料。
- 圧力勾配型イオンプレーティングの蒸発源として用いられる、請求項1又は2に記載の蒸着源材料。
- エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有することを特徴とする蒸着源材料。
- エネルギーを受けて蒸発する成膜原料と、該成膜原料の蒸発を促進させる陽イオンを孔内に保持する多孔質材料とを有し、前記成膜原料が無機化合物である蒸着源材料を準備し、
前記蒸着源材料にエネルギーを与えて前記成膜原料を蒸発させ、
蒸発した前記成膜原料を含む膜を基材上に形成する、ことを特徴とする成膜方法。 - 前記イオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオン等の一価の陽イオンであり、前記多孔質材料がMe2/xO・Al2O3・mSiO2・nH2O(MeはX価の陽イオン)で表されるゼオライトであり、前記イオンは前記ゼオライトの1つの結晶格子の1つの空孔に1個保持されている、請求項5に記載の成膜方法。
- 圧力勾配型イオンプレーティング法で成膜する、請求項5又は6に記載の成膜方法。
- 請求項5又は6に記載の成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜であって、該無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、前記無機化合物膜中に前記アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれることを特徴とする無機化合物膜。
- 前記無機化合物膜が、酸化珪素膜、亜鉛含有酸化珪素膜、錫含有酸化珪素膜、酸窒化珪素膜、亜鉛含有酸窒化珪素膜及び錫含有酸窒化珪素膜から選ばれるガスバリア膜である、請求項8に記載の無機化合物膜。
- 請求項5又は6に記載の成膜方法で成膜されてなる無機化合物膜を有するガスバリアフィルムであって、前記無機化合物膜が、金属元素と、酸素、窒素及び/又は炭素と、アルカリ金属成分又は窒素成分(但し、窒素成分については、無機化合物膜が窒化膜又は酸窒化膜である場合を除く。)とを含み、前記無機化合物膜中に前記アルカリ金属成分又は窒素成分が0.1〜10原子%含まれるガスバリア膜であることを特徴とするガスバリアフィルム。
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