JP2008045534A - ロータリー式熱流体機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ローターハウジング10と、このローターハウジング内に収納される第一のローター20と第二のローター30を有するロータリー式熱流体機器において、両ローターの歯2,3はそれぞれ、任意形状の歯先端部2c,3cと、そのローターが一定速度で回転するとき反対方向へ一定速度で回転するもう一方のローターの歯先端部が切り欠くときにできる凹面部2d,3dと、この凹面部と隣の歯先端部までをインボリュート曲線で滑らかに接続した形状からなる凸面部2e,3eからなる構造とした。
【選択図】図1
Description
また、バンケル型ロータリーエンジンの偏心による振動を抑止するため真円動作とした特許文献2、特許文献3の3ローターを使用したロータリーエンジンは、3つのローターを外部の歯車で連結しているため、構造が複雑でローターがお互いぶつからないよう位置合わせを正確にする必要がある。しかし初期の位置合わせを実施したとしても、歯車の磨耗等のガタによりローターが接触する危険性があり、ローター羽根先端が磨耗しやすい。また、特許文献3の方式は、羽根の先端の大きさに比べ羽根の根元が細いため、圧縮と爆発を頻繁に繰り返すエンジンの性格上、強度面に不安があり、最悪の場合、羽根が折れてしまう危険性がある。
この発明は、構造が簡単で磨耗が少なく効率が良い、コンプレッサにもエンジンにも応用できるロータリー式熱流体機器を提供することを目的とする。
ロータリーコンプレッサと圧力差で回転するロータリーエンジンは同一構造であって、構造が簡単なため、大型にも超小型にも製作可能であり、また2台を接続して一方の回転動作を他方へ伝達することができ、2台の大きさを変えることで回転数を変えることもできる。
図1は、この発明のロータリーコンプレッサの断面図である。図において、10はローターハウジングであり、第一のローター20と第二のローター30は、各々のローター軸2aと3aで回転可能な状態でロータハウジング10に密接して装着されている。2は第一のローター20の一枚の歯であり、ローター胴体2bの周囲に複数形成されており、歯2は、歯先端部2cと凹面部2dと凸面部2eで構成されている。第二のローターの歯3も同様に、ローター胴体3bの周囲に複数形成されており、歯先端部3cと凹面部3dと凸面部3eで構成されている。ローターハウジング10の側面中央部左右には、吸気口11と排気口12が設けられている。ロータリーコンプレッサの場合、第二のローター30が駆動ローターとなり、ローター軸3aを反時計回りに回転させることで駆動し、第一のローター20は第二のローター30の回転によって第二のローター30と逆方向に同速度で回転する従属ローターである。
以上のような形状としたことにより、第一のローター20と第二のローター30はお互い反対方向へそれぞれの歯数に応じた角速度での速度振れのない等速回転が可能となる。ローターの歯の凸面部をインボリュート曲線としている理由は、後述するロータリーエンジンの動作説明で明らかにする。
図1では、第一のローター20と第二のローター30はa、bの2箇所で接しており、第二のローター30を反時計回りに回転させると、インボリュート曲線を介して第一のローター20も同速度で回転する。このときローターの接点a、bの間の領域Vの部分の面積が広がり、吸気口11を通し外部からガスをローターハウジング内へ吸入する。吸入したガスはローターの回転に合わせローターの外側を通ってローターハウジング10上部に達する。
図4は、実施の形態2のロータリーコンプレッサにおけるローターの斜視図である。ローターハウジングは実施の形態1と同様のものを使用する。図4において、第一のローター21と第二のローター31は、図1のローター20と30を軸方向へお互い逆向きにねじった「はすば歯車」のローターで、どの位置でも密着するようにしてある。したがって、図4のローターでも軸に垂直な断面図は図1と同じである。10’はローターハウジング内面の輪郭を示している。図4では、吸気口11はローターハウジングの奥の側面、排気口12は手前の側面に取り付けられており、ローターをねじることでローターの回転に合わせてガスが軸方向へ移動するため、ガスの吸気、排気がスムーズになる。
図1と図4のロータリーコンプレッサは、吸気口11と排気口12にガスの圧力差を与えるとローターを回転させることができ、圧力差で回転力を得るロータリーエンジンとなる。例えば、図1で吸気口11より外部から圧力の高いガスを注入し排気口12より排気すると、第一のローター20は時計回りに、第二のローター30は半時計回りに回転し、回転出力は第一のローターの軸2aより得られる。この場合、吸気日11と排気口12の周辺は圧力漏れによるロスを少なくするため、密閉を良くする必要がある。その詳細は以降の温度差による回転動作で説明する。
図5は本発明によるロータリーコンプレッサとロータリーエンジンを組み合わせた遠隔制御システムの構成図である。図の100はロータリーコンプレッサであり、図1と同じもので、図中で同一符号は同じものを示している。400は圧力差で回転動作するロータリーエンジン駆動部であり、40はローターハウジング、50は第一のローターで5aはローターの軸、60は第二のローター、41は吸気口、42は排気口で、ロータリーコンプレッサ100と同一形状である。ロータリーコンプレッサ100の排気口12とロータリーエンジン駆動部400の吸気口41、および、ロータリーエンジン駆動部400の排気口42とロータリーコンプレッサ100の吸気口11はそれぞれ接続管71と72で接続されている。
本発明のロータリー式熱流体機器は構造が簡単なため、大型にも超小型にも製作可能であり、ロータリーコンプレッサ100とロータリーエンジン駆動部400の大きさを変えることで回転数を変えることもできる。
実施の形態5は、温度差を利用したロータリーエンジンである。まず、図6で本発明のロータリーエンジンの回転力発生機構を説明する。
図6において、43はローターハウジングで、吸気口と排気口はなく、代わりに過熱器81と冷却器82が取り付けられており、ローターハウジング内に閉じ込めたガスに対し上下に温度差を与える。第一のローター50と第二のローター60は、実施の形態4と同様のものである。この図のようにローターハウジング43の下部を加熱し上部を冷却すると、加熱器81とローター50、60の間の空間P部分ではガスが膨張し、冷却器82とローター50、60の間の空間Q部分ではガスが収縮し、ローター50、60の歯を押す。歯を押す力は、第一のローター50の左側(外側)と、第二のローター60の右側(外側)と、2つのローターの間の歯が重なった中央部分の3箇所に加わる。左右外側の2箇所と中央部分はローターを回転させる向きが逆であるが、合計した力は概略2:1であるため、第一のローター50は時計回りに、第二のローター60は反時計回りに回転する。
説明の都合上、初めに、ローター間の中央部を通して上部から下部への空気の流入がない場合を考える。
加熱膨張側であるローター下部のP部分を見た場合、図6(A)の状態では、第二のローター60は反時計回りに回転する力Aと時計回りに回転する力Bがつり合い回転力は生じないが、第一のローター50は、中央部に加わる力を第二のローター60が遮っているため、時計回りに回転する力Cのみが加わり、時計回りに回転しようとする。この力は主軸である第一のローターの軸5aにそのまま伝わる。第一のローター歯の先端a部は第二のローター60に接触しているため、第二のローター60も反時計回りに回転する。このとき、第二のローター60の軸6aからは負荷を取り出さないようにすれば、第一のローター歯の先端a部に大きな力は加わらない。
さらにローターが回転すると、図6(C)のようになって第一のローター50に回転力Gが発生するため、時計回りの回転を継続する。途中、図6(D)の位置だけ、加熱膨張側ではそれぞれのローターの時計回りの回転力と反時計回りの回転力がつり合い回転力がなくなるが、ローターの慣性と、反対側である上部冷却側Q部分でのガスの収縮力による回転力で、回転は継続される。
吸気口、排気口を通して外部から圧力差を与える場合はこの問題は発生しない。
図8(A)で第一のローター51と第二のローター61の羽根の先端部分がc点で接触するとき、羽根部分51f、61fの間(W部分)に上部の冷却されたガスを取り込む。W部分のガスは図8(B)→図8(C)のように歯車部分を除いてほとんど圧縮せずに下部へ移動できる。図8(C)では羽根の凹面部の間(Z部分)にもガスを取り込み図8(D)のように動いたとき下部へガスを移動する。膨張したガスで回転力が発生する仕組みは前述の内容と同様である。
加熱側が非常に高温でガス圧力が高く、高い効率を求める場合に、図9のようにエンジンを低温側と高温側に分けて使用する。図9において、高温側は、ローターハウジング44とその中に収納された第一のローター50と第二のローター60、ローターハウジング44に取り付けられた加熱器81で構成され、ローターハウジング側面には吸気口45と排気口46が設けられている。低温側も同様に、ローターハウジング47とその中に収納された第一のローター52と第二のローター62、ローターハウジング47に取り付けられた冷却器82で構成され、ローターハウジング側面には吸気口48と排気口49が設けられている。高温側の第一のローター50と低温側の第一のローター52は回転軸5aで接続され、これが最終的な出力軸となる。また、高温側の排気口46からは接続管75で熱交換器83に接続され、放熱したガスの出口は低温側の吸気口48へ接続管76で接続されている。逆に低温側の排気口49は接続管73で熱交換器83に接続され、吸熱したガスの出口は高温側の吸気口45へ接続管74で接続されている。84は冷却が不十分な場合の補助冷却器である。85は加熱が不十分な場合の補助過熱器である。
このシステムの中で最もガスの温度が低くなるローターハウジング47内の上部Q部分(冷却器直下)のガスには収縮の力が加わり、図の矢印の向きにローターが回転する。このため、排気口49からは冷却したガスが接続管73を通り熱交換器83へ排出される。冷却ガスは熱交換器83で熱を吸収し、補助加熱器85がある場合は補助加熱器85で加熱され、高温側の吸気口45へ送り込まれて加熱器81によりさらに加熱され膨張する。膨張したガスはローター50、60を矢印の方向へ回転させる。ローターを一周したガスは排気口46から排出され、接続管75を通り熱交換器83で放熱した後、補助冷却器84がある場合は補助冷却器84で冷却され、低温側の吸気口48へ吸引される。
図10はこの発明の実施の形態7を示す内燃機関としてのロータリーエンジンの断面図である。この図は実施の形態4(図5)とほぼ同様の構成をしており、図中、実施の形態4と同様なものは同一符号をつけて説明を省略する。図10において、400はロータリーエンジン駆動部であり、110はロータリーエンジン駆動部400の回転力で動作するロータリーコンプレッサである。図5のロータリーコンプレッサ100に比し、ロータリーコンプレッサ110は左右が逆になっており、ロータリーコンプレッサ110の駆動ローター30の軸はロータリーエンジン駆動部400の出力軸5aに接続されている。
混合ガスはロータリーコンプレッサ110の吸気口11より吸入されて、ローター20、30を一周してU部分で圧縮される。圧縮された混合ガスは排気口12から接続管71を通してロータリーエンジン駆動部400の吸気口41(V部分)へ注入し、第二のローター60が吸気口41を閉じたときV部分で点火、爆発させる。このとき、第二のローター60には時計回りの回転力1と反時計回りの回転力Jがほぼ拮抗するため、わずかな反時計回りの回転力しか発生せず、爆発力はほとんど第一のローター50の歯を押し出すために供される。第一のローター50ではこの爆発力はほとんど歯の凸面部に加わるが、凸面部はインボリュート曲線のため、凸面部に加わる力Hは全てその法線が接するインボリュート基準円に向かい、効率よくローター50の時計回りの回転エネルギーに変換される。これがインボリュート曲線を使用する第二の理由である。
排気ガスはローターを一周しロータリーエンジン駆動部の排気口42より排出される。
図11は、この発明のロータリーエンジンの圧力漏れ対策の説明図であり、図12は図11のA−A’部分の断面図である。両図において、40はローターハウジング、5と6はそれぞれ第一のローターと第二のローターの歯であり、5bと6bはそれぞれ第一のローターと第二のローターの胴体部、91は第一と第二のローター胴体部端面に同心円状に生成したコルゲーション、92はローターのコルゲーション91に勘合するローターハウジング側のコルゲーションであり、93は第一のローター歯の凸面部と第二のローター歯の凸面部に施した、互いに勘合するコルゲーションである。
図13はコルゲーションの必要性を示す図である。ローターハウジング40内には燃焼による圧力の高い部分と膨張後の圧力の低い部分が存在する。ローターハウジング−ローター間に隙間があると、この図のように隙間を通って高圧の気体が漏れていく。
このうちローター中央の胴体部分における気体の漏れに対して、図11のコルゲーション91、92は半径方向には圧力が高いほど大きな抵抗を示し、回転軸方向には影響を与えない。
また、ローター歯の凸面部の境界面からの気体の漏れは、図11のコルゲーション93で防止する。
ローターの歯とケース間の漏れに対しては、コンプレッサで用いられるシール等の密閉用部品を歯の先端部に取り付けても良い。
20,21,50,51,52 第一のローター 、
30,31,60,61,62 第二のローター 、
2a,3a,5a ローター軸 、 2b,3b,5b,6b ローター胴体部 、
2,3,5,6 歯 、 2c,3c 歯先端部 、
2d,3d 凹面部 、 2e,3e 凸面部
11,41,45,48 吸気口 、12,42,46,49 排気口 、
71,72,73,74,75,76 接続管 、
81 加熱器 、 82 冷却器
83 熱交換器 、 84 補助冷却器 、 85 補助加熱器
91、92、93 コルゲーション
100,110 ロータリーコンプレッサ 、 400 ロータリーエンジン駆動部
Claims (4)
- ローターハウジングと、このローターハウジング内に収納される複数のローターを有するロータリー式熱流体機器において、
上記ローターの歯はそれぞれ、任意形状の歯先端部と、そのローターが一定速度で回転するとき反対方向へ一定速度で回転するもう一方のローターの歯先端部が切り欠くときにできる凹面部と、この凹面部と隣の歯先端部までをインボリュート曲線で滑らかに接続した形状からなる凸面部を備えたことを特徴とするロータリー式熱流体機器。 - 上記ローターの歯の凹面部または凸面部のどちらか一方に切り欠きを設けたことを特徴とする請求項1記載のロータリー式熱流体機器。
- ローターの胴体部端面とそれに対向するローターハウジングの端面に、同心円状のコルゲート処理を施したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のロータリー式熱流体機器。
- ローターのインボリュート曲線凸面部にそれに向かい合ったローターと勘合するコルゲート処理を施したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のロータリー式熱流体機器。
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