JP2008045342A - 杭基礎構造および杭頭処理方法 - Google Patents

杭基礎構造および杭頭処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】建築等の構造物に用いる杭基礎構造において、杭への曲げモーメントを軽減して杭径を細くでき、一定量までの引抜力に対して抵抗でき、泥水・排出残土の大幅に低減等を図ることができるようにする。
【解決手段】建物等の構造物を支える鉄骨柱1の柱脚1aに接合され、その柱脚から放射方向に水平に延びる複数の水平梁2と、それら水平梁の先端部に緊結され、下向きに延びる、引抜き抵抗機構を有する複数の翼付鋼管杭等の杭3とから基礎梁の無い杭基礎構造を構成し、鉄骨柱に作用する曲げモーメント、せん断力および軸力を、当該柱の柱脚から放射方向に配された複数の水平梁を介して引抜き抵抗機構を有する複数の杭に伝達する。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築等の構造物に用いる基礎梁の無い杭基礎構造と、この杭基礎構造に適用される杭頭処理方法に関するものであり、線路・プラットホームをまたぐ建築物、工場・車庫・倉庫等の建築物、鉄塔、傾斜地における建築物などの杭基礎に適用される。
例えば鉄道駅の線路およびプラットホームをまたぐ建築物(以下、線路上空建築物と称す)は、基礎部において水平方向に延びる地中梁が無い構造となっている。従来、このような建築物の基礎構造は、一般的に1本の場所打ちコンクリート杭に1本の鉄骨柱を埋め込む、もしくはフーチングを介して鉄骨柱脚をコンクリートで根巻きまたは露出型固定柱脚としている(以下、1柱−1杭構造と称す)。
しかしながら、線路上空建築物の現場工事においては、作業空間が制約される他、作業時間も夜間に限定されるため、作業時間および施工工数の短縮が求められ、なお且つ環境保護の観点から排出残土の削減も求められている。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、例えば特許文献1及び2がある。これらは、図10に示すように、建物の荷重を支える鉄骨柱122から伝達された応力に対して、自重と圧縮抵抗のみを期待できる無筋コンクリート116から成る半固定直接基礎構造であり、地面を掘削した根切り部117に配置される。
特開2002−146800号公報 特開2002−121747号公報
従来のように場所打ちコンクリート杭を用いた場合、大掛かりな泥水を循環させるプラント設備が必要であり、また掘削により隣接軌道が変状する恐れもある。その上、泥水や掘削土などの産業廃棄物も生じる。
また、線路上空建築物の基礎構造が1柱−1杭構造の場合、柱が受ける曲げモーメント、せん断力および軸力を杭に直接負担させているため、杭が降伏すると1柱−1杭構造によって支持されている線路上空建築物が倒壊する恐れがある。
また、1柱−1杭構造の杭には柱から大きな曲げモーメントが伝達されるので、曲げ剛性を高めるために杭直径を大きく設定して(例えば、1800mm以上)、線路上空建築物を支持しなければならないため、基礎構造が大型化する恐れがある。
一方、特許文献1に記載の半固定直接基礎構造では、図10に示すように、鉄骨柱122の受ける曲げモーメントを第1基礎鉄骨梁126に伝達し、更に支持金物125を介してPHC杭124に伝達しているが、PHC杭124と第1基礎鉄骨梁126との接合は引張力に抵抗できない機構なので、鉄骨柱122の受ける曲げモーメントがある程度大きくなれば、一方のPHC杭124に作用する引抜き力に抵抗できなくなり、浮き上がりが生じることになる。従って、浮き上がりを抑えるためには、支持装置125、125…周辺と一体的に根切り部117内に無筋コンクリート116を打設してその重みで抵抗させることが必要になる。
また、この方法では、根切り部117を掘削した時の排出残土がそのまま産業廃棄物になるという問題がある。
上記課題を解決するために、本発明は、建築等の構造物を支える鉄骨柱の柱脚に接合され、その柱脚から放射方向に水平に延びる複数の水平梁と、それら水平梁の先端部に緊結され、下向きに延びる、突起による引抜き抵抗機構を有する複数の杭とから構成されていることを特徴とする基礎梁の無い杭基礎構造を提供するものである。即ち、本発明は、鉄骨柱に作用する曲げモーメント、せん断力および軸力を、当該柱の柱脚から放射方向に配置された複数の水平梁を介して引抜き抵抗機構を有する複数の杭に伝達するものである。
前記水平梁は3本以上であり、それら全部の水平梁先端部に前記引抜き抵抗機構を有する杭を緊結するのが好ましい。
前記鉄骨柱の柱脚芯と前記引抜き抵抗機構を有する杭の芯とを結ぶ水平線と、前記水平梁の部材軸芯とが一致するように配置するのが好ましい。
複数の前記水平梁の隣接する先端同士は補剛梁で連結するのが好ましい。
前記杭の頭部にトッププレートを溶接等により水平に取付け、このトッププレートに水平梁の先端部を溶接又はボルトで接合するのが好ましい。
本発明の杭基礎構造では、埋設後の鋼管杭頭部の切断処理において、仮の支持金物を杭頭付近の鋼管内部に固定し、その支持金物に支持させることにより杭頭上端に切断機走行板を水平に保持し、当該切断機走行板に設けたガイドレールに沿って切断機を走行させることにより、鋼管杭頭部の切断を行うのが好ましい。
また、本発明の杭基礎構造においては、水平梁と鋼管杭頭とを接続するためのアジャスト部の取付けにおいて、杭頭付近の鋼管内部に固定された仮の支持金物に支持させて、アジャスト部に予め取付けられたトッププレートを水平に保持し、そのトッププレートにガイドレールを設けて溶接機を走行させることにより、アジャスト部と鋼管杭頭とを溶接接合するのが好ましい。
本発明によれば、鉄骨柱に作用する曲げモーメント、せん断力および軸力を、当該柱の柱脚から放射方向に配された複数の水平梁を介して引抜き抵抗機構を有する複数の杭に伝達するので、次のような効果がある。
(1)従来の1柱−1杭構造の場合では負担の大きかった曲げモーメントは、本発明では軸力に変換されて杭に伝達されるので、杭への曲げモーメントを軽減でき、杭径を細くできる。
(2)引抜き抵抗機構を有する杭を用いているため、これがアンカーの役目を果たし、一定量までの引抜力に対して抵抗でき、大きな曲げモーメントにも抵抗できる。従来の浮き上がりを抑えるための根切り部の無筋コンクリート等を無くすことができる。
(3)引抜き抵抗機構を有する杭として、回転貫入する翼付鋼管杭を使用すれば、従来の場所打ちコンクリート杭の場合よりも泥水や排出残土の産業廃棄物を大幅に減らせる。
(4)回転貫入する杭であれば、騒音や振動も少ないので環境対策上有益である。
(5)場所打ちコンクリート杭のための掘削がないので、隣接軌道が変状する危険性が大幅に減る。
(6)根切り土は本発明の基礎構造体施工後に埋め戻すため、根切り土の場外廃棄量を大幅に低減できる。
(7)大掛かりな泥水循環プラント設備が不要である。
(8)現場作業の工期短縮ができるので、時間的制約の厳しい線路上空建築物の基礎構造として本発明は極めて有益である。
(9)基礎構造体の強度を従来の1柱−1杭構造と同等以上に保ちながらコストダウンが期待できる。
(10)本発明では基礎構造体が自立しているため、従来の1柱−1杭構造では建方時に必要であったステーが不要となり、鉄骨建方において省力化になる。
本発明の実施例を以下に示す。
図1は本発明の実施例1の構成を説明するための斜視図である。建築物を支える鉄骨柱1の柱脚1aに複数の水平梁2、2…が、柱脚1aから放射方向に水平に延びるように接合されている。柱脚1aとは反対側の水平梁2、2…の材端部下面には、それぞれ鋼管杭3の杭頭が、トッププレート37を介してボルトにより緊結されている。鉛直下向きに延びる鋼管杭3は、引抜き抵抗機構を有する杭として翼付鋼管杭を用いる場合、通常は図2に示すように、上鋼管34a、中鋼管34b、下鋼管34cで構成され、下鋼管34cの最下端部には鋼管杭3を回転貫入させるための推進翼61と掘削爪62が設けられている。鋼管杭3の長さは地盤の支持層深さにより変化するので、支持層が浅ければ下鋼管34cのみの1本で長さが足りる場合もあり得る。なお、上鋼管34a、中鋼管34b、下鋼管34cの相互の接合は現場溶接の他、ネジやカプラ―等の機械的継手により施工される。
このように、推進翼61と掘削爪62が設けられた鋼管杭3を回転貫入させるので、杭施工に伴う排出残土が大幅に減り、また騒音や振動も少ないので環境対策上有益である。
図1に図示の4、4…は、隣接する水平梁2、2…の先端同士を繋ぐ補剛梁であり、水平梁2、2…との接合は溶接あるいはボルト接合とする。
なお、鋼管杭3へのトッププレート37の取付けは、先ず、回転貫入が完了した複数本の鋼管杭3、3…の頂部を所定の高さ位置でガス等により切断し、次に、トッププレート37、37…の高さと水平度を調整した後、鋼管杭3、3…の頂部に現場溶接する、という手順で行う。
鋼管杭3へのトッププレート37の取付けは、図3に示すように、予め工場にて溶接でトッププレート37に取付けた複数のリブ38、38…を、現場にて隅肉溶接20で行えば比較的容易である。この場合、リブ38、38…が上部からの全応力を鋼管杭3へ直接伝達させるので、リブ38及び隅肉溶接20は全応力を伝達できる十分なサイズにする必要がある。
上記の現場隅肉溶接による方法は容易であるが、通常は人間が溶接作業をするため、一定以上の作業空間が必要になる。本発明が主な対象としている線路上空建築物の基礎部工事においては、根切りも最小限とせざるを得ないので、人が作業するのに必要な空間を確保できない場合もあり得る。そこで、そのような場合には、図4〜図6に図示したようなロボット溶接が有効である。
図4は埋設後の鋼管杭頭部の切断方法を示す説明図であり、図5は図4におけるD視を示す。埋設後の杭頭部の切断処理において、先ず十字形状の受け金物31にボルト33a、33a…、ナット33b、33b…を用いて、ほぼ水平になるように円板形状の支持金物32を吊り下げる。この時、受け金物31と支持金物32との中心は合わせた状態とする。そして、支持金物32を鋼管34の内部に挿入し、受け金物31を鋼管34の上端に仮置きする。
支持金物32の直径と鋼管34の内径とは概ね一致しており、支持金物32を鋼管34の内周面の周方向に4箇所以上、バランスよく隅肉溶接で固定する。
次に、鋼管34の小口を傷つけないために十字形状の位置固定金物35を、受け金物31の上面にボルト33a、33a…を貫通させて重ね、受け金物31直下のナット33b、33b…により、受け金物31の高さと水平度を確保した後、位置固定金物35の各端部から図中下方向に延びた各腕部35a、35a…と、鋼管34の外周面との接触部分に仮付け溶接して、受け金物31の位置を固定する。
その次に、図4に示すように、位置固定金物35の上面に、鋼管34の外径よりも直径が大きい円板形状の切断機走行板36を、ボルト33a、33a…およびナット33b、33b…にて取付ける。従って、切断機走行板36はボルト33a、33a…を介して支持金物32に支えられるので、鋼管34には負担をかけない状態となる。
切断機走行板36の縁には、その周方向に延びるガイドレール51aが設けられており、このガイドレール51aに沿ってノズル駆動装置51bが走行するようになっている。ノズル駆動装置51bには、複数の回転駆動部を有するアーム51cが設けられており、このノズル51dの先端部に形成された不図示の開口部から切断用のガスが放出されるようになっている。
なお、ノズル駆動装置51bには、ノズル駆動装置51bの走行速度、アーム51cの回転角度など切断に関わる動作を実行させるための制御信号を生成する、不図示の制御回路が組み込まれている。
鋼管杭頭の切断に当たっては、ノズル51dの先端部を、破線で示す鋼管34の切断予定部41(部材長350mm以上)に位置決めし、ノズル駆動装置51bをガイドレール51aに沿って走らせながらノズル51dを駆動すると、ノズル51dの先端部からガスが放出され、鋼管34が自動切断される。切断完了後、切断機一式と切断機走行板36を取り外し、位置固定金物35、受け金物31、ボルト33a、33a…及びナット33b、33b…を、切断された鋼管34の上鋼管34aと共に撤去する。なお、切断された上鋼管34aは、後述のアジャスト部の一部として利用する。
切断後の鋼管34即ち中鋼管34bの切断面は、グラインダー等を用いてミルスケールを除去して仕上げ、傷やゴミなどが着かないように養生を施す。
中鋼管34bには、水平梁2と中鋼管34bとを連結する後述のアジャスト部が溶接固定される。そのアジャスト部の製作・取付け方法を、図6を参照して説明する。
鉄骨柱1の柱芯と杭3の杭芯の方向(鋼管断面の長短径の扁平状況含む)を確認し、アジャスト部用の鋼管として、現場で切断された上鋼管34a(部材長350mm以上)を利用して用意する。次に、現場実測で得られた実測データ(柱芯、杭芯、水平梁軸芯およびボルト芯の方向)をもとに、上鋼管34aに高力ボルト71用のボルト孔71a付きのトッププレート37及びリブ38、38…を、工場にて溶接で組み立てる。
このようにして製作されたアジャスト部と中鋼管34bとの連結は以下のように行う。トッププレート37の縁には、トッププレート37の周方向に延びるガイドレール61aが設けられており、このガイドレール61aに沿ってトーチ駆動装置61bが走行するようになっている。
トーチ駆動装置61bには、複数の回転駆動部を有するアーム61cが設けられており、このアーム61cの先端部には溶接用のトーチ61dが設けられている。
なお、トーチ駆動装置61bには、トーチ駆動装置61bの走行速度、アーム61cの回転角度および開先部角度、ルートギャップなどについて溶接に関わる動作を実行させるための制御信号を生成する、不図示の制御回路が組み込まれている。
そして、アジャスト部の下端に設けられた裏当て金51を、中鋼管34bの内周面に溶接された支持金物32の上面に突き当てて、上鋼管34aの位置決めした後、鋼管の開先内に組立溶接で固定し、トーチ駆動装置61bを駆動して、上鋼管34aと中鋼管34bとの連結を自動溶接により行う。
次に、図7を参照して水平梁2の構成を詳述する。図7は本実施例1の基礎構造体の平面図および断面図である。鉄骨柱1は角型鋼管、水平梁2はH形鋼であり、鉄骨柱1の柱脚1aと水平梁2との接合は、水平梁2のウェブ2aは鉄骨柱1の側面のスキンプレートに、水平梁2のフランジ2bは鉄骨柱1のダイヤフラムにそれぞれ溶接されている。勿論、鉄骨柱1は円型鋼管等、水平梁2と補剛梁4は箱型断面部材等としてもよい。
本実施例1の場合、鉄骨柱1の通り芯94、94と水平梁2、2…の部材軸芯96は一致している。
水平梁2の先端側で鋼管杭3が接合される位置には、水平梁2のウェブ2aを挟んだ左右両側に補強材としてリブ2cが設けてある。鋼管杭3は、鋼管杭3と一体になったトッププレ−ト37を介して、水平梁2の下フランジにボルト接合される。ボルトは高力ボルト71、71…およびナット72、72…を使用する。
鋼管杭3は、地面に形成された凹形状の根切り部5の底面に回転貫入される。貫入完了直後の鋼管杭3の頂部は、所定の高さが確保できるように、根切り部5の底面よりも突出した状態とする。
根切り部5には、根切り時の掘削土や鋼管杭3の回転貫入時の排出残土を埋め戻しするので、特許文献1及び2の根切り部117の排出残土がそのまま産業廃棄物となることに比べると、本発明は産業廃棄物の軽減に大きく寄与できることは明らかである。
ここで、柱脚1a、水平梁2、2…および補強梁4、4…は、凹形状の根切り部5内の埋め戻し土に埋没するので、防錆処置として腐食防止塗料を塗布することにより、土との接触を防止する。
本発明は以上のような構成であるので、建築構造物に地震等の外力が作用した場合には、以下のような応力伝達機構となる。
地震等の外力が作用し鉄骨柱1に軸力、曲げモーメントおよびせん断力が生じると、鉄骨柱1の軸力と曲げモーメントは水平梁2の曲げモーメントとして、また、せん断力は水平梁2の軸力として伝達される。更に、前記水平梁2の曲げモーメントは、図7に図示の杭芯間距離Lで除した偶力として、水平梁2の先端の下面に接続されたトッププレート37を介して鋼管杭3に伝達され、圧縮軸力または引張軸力となり鋼管杭3から地盤に伝達される。また、前記水平梁2の軸力は、鋼管杭3のせん断力となり地盤に伝達される。なお、通常の杭では引張軸力ができるだけ生じないように設計するのが普通であるが、本発明に用いる鋼管杭3は下端に翼61を有する等の引抜き抵抗機構を有しており、これがアンカーの役目を果し、一定量までの引抜き力に対して抵抗できるため、大きな曲げモーメントにも抵抗できるのが特徴である。
このように、本発明による基礎構造体は鉄骨柱1に生じた曲げモーメントを偶力に変換して、鋼管杭3に軸力として伝達している。そのため、鋼管杭3が受ける曲げモーメントを軽減できるので、従来の1柱−1杭構造の杭よりも直径を小さくでき、基礎構造体をコンパクト化できる。また、1柱−1杭構造では、上部架構の建方時に、ステーを用いて3〜4本の柱および梁を同時に支持しながら架構を建方する必要があるが、本発明では基礎構造体は自立しているためステーが不要となり、鉄骨建方において省力化でき、工期短縮、工事費低減になる。
また、本実施例1では、水平梁2、2…を補強梁4、4…で連結しているので水平梁2、2…の剛性が確保されることになり、地震力が作用しても全ての鋼管杭3、3…は一体的に挙動するため、強固な基礎構造体を形成できる。
実施例2を図8にて説明する。実施例1では、鉄骨柱1の通り芯94、94と水平梁2、2…の部材軸芯96が一致していたが、実施例2はそれらが一致しない場合である。図8は実施例2の平面図であり、施工誤差のために鋼管杭3、3…の杭芯95、95…が鉄骨柱1の通り芯94、94からずれてしまい、鉄骨柱1の柱芯91と杭芯95、95…とを結ぶ線に水平梁2、2…の部材軸芯96を一致させた状態を示す。このように柱通り芯94から杭芯95が偏芯した状態では、鉄骨柱1からの伝達応力によって、微小のねじりモーメントが水平梁2、2…に生じる恐れがあるが、補強梁4、4…で水平梁2、2…を連結しているのでねじりモーメントを抑制することができ、強固な基礎構造体を提供できる。
本実施例2における施工では、鉄骨柱1の通り芯94、94から偏芯した杭芯95、95…の位置を現場実測し、柱芯91と杭芯95、95…とを結ぶ線に部材軸芯96が一致するように水平梁2、2…を製作する。
なお、上記2つの実施例では1本の鉄骨柱を4本の杭で支持する構成であるが、3本以上の杭があれば本発明の基礎構造体は成り立つ。また、杭頭と水平梁との接合は固定接合、ピン接合或いは半剛接合の何れでもよい。
また、本発明による基礎構造は、線路上空建築物以外の構造物、例えば工場、車庫、倉庫等にも適用できる。
本発明の杭基礎構造により支持される構造物全体の解析方法を、図9を参照して説明する。図9は、構造解析手順を示したフローチャートである。構造解析に当たっては、「線路上空建築物(低層)構造設計標準2002(財団法人鉄道総合技術研究所編)」に準拠し、以下の手順で進める。
(S101)地盤情報(N値、せん断強度等)から地盤水平および鉛直バネ定数、鋼管杭3の支持力および引抜き耐力を計算する。
(S102)上記「線路上空建築物(低層)構造設計標準2002」に準拠した構造計算プログラムを使用し、解析モデルに対して、上部構造の鉄骨柱1他各部材、水平梁2、補剛梁4、鋼管杭3には断面性能(断面積、断面2次モーメント、断面係数等)を、鋼管杭3の長さ方向に分割した各節点に配置される仮想バネには(S101)で計算された地盤水平および鉛直バネ定数を、鋼管杭3には支持力および引抜き耐力を入力する。
(S103)上記構造計算プログラムを実行し、鉄骨柱1を含む上部構造、水平梁2、補剛梁4、鋼管杭3を連続的に一体として、有限要素法により構造解析を実施する。
以上により得られた解析結果を元に、上記「線路上空建築物(低層)構造設計標準2002」に準拠して、各種構造規定、保有水平耐力、変形性能等を確認する。(詳細省略)
本発明の実施例1の杭基礎構造体の斜視図である。 本発明で用いる鋼管杭の概観を示す側面図である。 本発明で用いる杭トッププレートの一例を示す、(a)は鉛直断面図、(b)は水平断面図である。 本発明の杭頭の自動切断方法を示す、(a)は平面図、(b)は鉛直断面図である。 図4のD視断面図である。 本発明の杭頭へのアジャスト部自動溶接方法を示す鉛直断面図である。 実施例1の杭基礎構造体の、(a)は平面図、(b)、(c)は鉛直断面図である。 本発明の実施例2の杭基礎構造体を示す平面図である。 本発明の構造解析手順を示したフローチャートである。 従来例の半固定直接基礎構造体を示す鉛直断面図である。
符号の説明
1:鉄骨柱 1a:柱脚
2:水平梁 2a:ウェブ 2b:フランジ 2c:リブ
3:鋼管杭 4:補剛梁 5:根切り部
20:隅肉溶接
31:受け金物 32:支持金物 33a:ボルト 33b:ナット
34:鋼管 34a:上鋼管 34b:中鋼管 34c:下鋼管
35:位置固定金物 35a:腕部
36:切断機走行板 37:トッププレート
41:切断予定部
51:裏当て金 51a:ガイドレール 51b:ノズル駆動装置
51c:アーム 51d:ノズル
61:推進翼 61a:ガイドレール 61b:トーチ駆動装置
61c:アーム 61d:トーチ
62:掘削爪
71:高力ボルト 71a:ボルト孔 72:ナット
91:柱芯 94:通り芯 95:杭芯 96:水平梁の部材芯
L:杭芯間距離
116:無筋コンクリート 117:根切り部
122:鉄骨柱 124:PHC杭
125:支持装置 126:第1基礎鉄骨

Claims (7)

  1. 構造物を支える鉄骨柱の柱脚に接合され、その柱脚から放射方向に水平に延びる複数の水平梁と、それら水平梁の先端部に緊結され、下向きに延びる、突起による引抜き抵抗機構を有する複数の杭とから構成されていることを特徴とする基礎梁の無い杭基礎構造。
  2. 前記水平梁が3本以上であり、それら全部の水平梁先端部に前記引抜き抵抗機構を有する杭が緊結されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎梁の無い杭基礎構造。
  3. 前記鉄骨柱の柱脚芯と前記引抜き抵抗機構を有する杭の芯とを結ぶ水平線と、前記水平梁の部材軸芯とが一致するように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の杭基礎構造。
  4. 複数の前記水平梁の隣接する先端同士が補剛梁で連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の杭基礎構造。
  5. 前記杭の頭部にトッププレートが水平に取付けられ、このトッププレートに水平梁の先端部が溶接又はボルトで接合されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の杭基礎構造。
  6. 埋設後の鋼管杭頭部の切断処理において、仮の支持金物を杭頭付近の鋼管内部に固定し、その支持金物に支持させることにより杭頭上端に切断機走行板を水平に保持し、当該切断機走行板に設けたガイドレールに沿って切断機を走行させることにより、鋼管杭頭部の切断を行うことを特徴とする鋼管杭の杭頭処理方法。
  7. 水平梁と鋼管杭頭とを接続するためのアジャスト部の取付けにおいて、杭頭付近の鋼管内部に固定された仮の支持金物に支持させて、アジャスト部に予め取付けられたトッププレートを水平に保持し、そのトッププレートにガイドレールを設けて溶接機を走行させることにより、アジャスト部と鋼管杭頭とを溶接接合することを特徴とする鋼管杭の杭頭処理方法。
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