JP2008044452A - サスペンションサポートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化したサスペンションサポートの生産性を向上させることができるサスペンションサポートの製造方法を提供すること。
【解決手段】ゴム状弾性体からなる防振基体3を収容可能な筒部21と、筒部21の軸方向一側に設けられた内周フランジ部22と、筒部21の軸方向他側で防振基体3を受け入れ可能に形成された開口部23とを備えた形状にアルミニウムで一体的に成形された外筒2を用いて、内筒1と一体化された防振基体3を開口部23を介して筒部21に収容した後、筒部21に収容されている防振基体3を内周フランジ部22とプレート部材4とで軸方向に挟み込んでプレート部材4を開口部23に収容し、開口部23の周縁を内向きにかしめて、プレート部材4を筒部21に取付固定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、緩衝器の車体への取付部に介装されるサスペンションサポートの製造方法に関するものである。
自動車等の懸架装置では、車輪側から車体側への振動の伝達を抑制するため、緩衝器の車体への取付部に、サスペンションサポートと呼ばれる防振装置が介装されている。図5は、従来のサスペンションサポートの一例を示す縦断面図である。このサスペンションサポートは、緩衝器のピストンロッド6が挿通固定される内筒41と、車体フレーム7に取り付けられる外筒42と、それらの間に介設されたゴム状弾性体からなる防振基体43とを備えている。
外筒42は、鋼製のアッパー金具45とロアー金具46とにより構成され、防振基体43は両金具によって軸方向に挟持固定されている。このサスペンションサポートは、アッパー金具45とロアー金具46との間に、内筒41が一体化された防振基体43を挟み込んだ状態で、両金具の外周フランジ部をスポット溶接やメカニカルクリンチ等により接合することで製造される。
ところで、近年、自動車のエネルギー消費量を低減するべく、サスペンションサポートを含む各部品の軽量化対策が求められている。下記特許文献1〜3には、アルミニウム製の外筒を使用することにより軽量化したサスペンションサポートが記載されている。
図6に、下記特許文献1に記載のサスペンションサポートを示す。このサスペンションサポートは、防振基体53を収容する筒部54と、筒部54の軸方向両側に設けられた内周フランジ部55、56とを備えた形状にアルミニウムで一体的に成形された外筒52を備える。
防振基体53は、内周フランジ部55と内周フランジ部56とによって軸方向に挟持固定されており、その弾性変形によって入力振動を減衰するように構成されている。外筒52は、鍛造時には図7に示すように筒部54の下方を軸方向に延設した状態で成形されており、内筒51が一体化された防振基体53を下方から筒部54に収容して内周フランジ部55に内接させた後、その筒部54の下方を内向きに折り曲げて内周フランジ部56を形成することで、図6に示す構造が得られる。
しかしながら、内周フランジ部56は、防振基体53を適切に挟み込めるところまで内向きに張り出している必要があり、下記特許文献1では、外筒52を所定形状の金型で挟み付けることにより内周フランジ部56を形成している。そのため、金型へのセット、型締め、型開き及び脱型といった工程が必要となり、生産性が低下するという問題がある。また、防振基体53は軸平行に圧縮されることが特性安定の観点から好ましいが、上記方法では筒部54の折り曲げによって防振基体53が内向きに押圧された状態となり易い。
特開2001−347814号公報 特開2001−355668号公報 特開2003−120753号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量化したサスペンションサポートの生産性を向上させることができるサスペンションサポートの製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明に係るサスペンションサポートの製造方法は、ゴム状弾性体からなる防振基体を収容可能な筒部と、前記筒部の軸方向一側に設けられた内周フランジ部と、前記筒部の軸方向他側で前記防振基体を受け入れ可能に形成された開口部とを備えた形状にアルミニウムで一体的に成形された外筒を用いて、内筒と一体化された前記防振基体を、前記開口部を介して前記筒部に収容する工程と、前記筒部に収容されている前記防振基体を前記内周フランジ部とプレート部材とで軸方向に挟み込み、前記プレート部材を前記開口部に収容する工程と、前記開口部の周縁を内向きにかしめて、前記プレート部材を前記外筒に取付固定する工程とを備えるものである。
本発明によれば、筒部に収容した防振基体を、筒部の軸方向一側に設けられた内周フランジ部と、筒部の軸方向他側の開口部に収容されたプレート部材とで挟み込んだ後、開口部の周縁を内向きにかしめて該プレート部材を外筒に取付固定することで、サスペンションサポートが製造される。この外筒はアルミニウムにより成形されたものであり、軽量化を図ることができる。また、開口部の周縁のかしめ加工は、プレート部材を固定しうるものであればよいことから加工代が少なくて済み、単純な工具によって簡単に行うことができる。その結果、軽量化したサスペンションサポートの生産性を向上することができる。
ここで、外筒の素材であるアルミニウムとは、純アルミ系の素材のみならず、アルミニウム合金を含む概念であり、後記の「アルミニウム製」という表現も同様である。合金例としては、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系、Al−Mn系、Al−Si系などが挙げられる。
上記において、前記プレート部材を前記開口部に収容する工程にて、前記プレート部材を前記防振基体側に押し込むとともに、前記開口部の内周縁に形成された段差で前記プレート部材の外周縁を係止して位置決めを行うことが好ましい。
プレート部材を防振基体側に押し込んで固定することにより、防振基体が内周フランジ部とプレート部材とで軸平行に圧縮された状態となり、特性安定の観点から好ましいものとなる。その際、開口部の内周縁に形成された段差でプレート部材の外周縁を係止することにより、プレート部材の軸方向の位置決めを適切に行うことができる。
上記において、プレート部材がアルミニウムで成形されていることが好ましく、これによりサスペンションサポートを更に軽量化することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るサスペンションサポートの一例を示す縦断面図である。図2は、図1のサスペンションサポートを構成する外筒の平面図である。図3、4は、サスペンションサポートの製造を説明する図である。図1、3及び4の断面は、図2のA−O−A矢視断面に対応している。
図1に示すサスペンションサポートは、緩衝器のピストンロッド6が挿通固定されるアルミニウム製の内筒1と、内筒1を軸平行に取り囲んで車体フレーム7に取り付けられるアルミニウム製の外筒2と、内筒1と外筒2との間に介設されたゴム状弾性体からなる防振基体3と、外筒2に取り付けられたプレート部材4とを備える。
内筒1は、ピストンロッド6が挿通される筒部11と、筒部11の上端で軸直角方向に外向きに張り出す外周フランジ部12とを備えた形状に、アルミニウムで一体的に成形されている。外周フランジ部12は、防振基体3の軸方向で略中間位置に埋入された状態で加硫接着されている。内筒1は鋼製としても構わないが、アルミニウム製とすることで更なる軽量化を図ることができる。
外筒2は、防振基体3を収容する筒部21と、筒部21の軸方向で中間位置のやや下側から内向きに張り出す内周フランジ部22と、筒部21の上端に設けられた開口部23と、外向きに張り出す外周フランジ部24とを備えた形状に、アルミニウム鍛造により一体的に成形されている。外周フランジ部24には、車体側に取り付けるためのボルト孔25が形成されている。外筒2は、鋳造品及び鍛造品のいずれを採用しても構わないが、薄肉で複雑な形状の製品の成形に好適な高強度アルミ合金の鍛造品を採用することが好ましい。
図1では、開口部23の周縁がかしめ加工されており、それによってプレート部材4が外筒2に取付固定されている。筒部21に収容された防振基体3は、内周フランジ部22とプレート部材4とによって軸方向に挟持固定されており、防振基体3の弾性変形によって入力振動を減衰するように構成されている。なお、防振基体3を構成するゴム状弾性体としては、自動車用防振ゴムの技術分野における公知のゴム材料を限定なく使用することができる。
鍛造時の外筒2は、図3に示すように筒部21の上端が開放された状態で成形され、プレート部材4が取り付けられる前の開口部23は、防振基体3を受け入れ可能に形成されている。また、開口部23の内周縁には、プレート部材4の外周縁が係止可能な段差26が形成されている。後述するように、開口部23は、防振基体3が筒部21内に収容された後、その周縁が内向きにかしめられてプレート部材4の取付固定が行われる。
プレート部材4は平面視ドーナツ形の板材であり、その外径は筒部21の内径よりも大で且つ筒部21の外径よりも小に設定されていて、段差26が形成された開口部23に収容可能に構成されている。プレート部材4は鋼製としても構わないが、外筒2と同じくアルミニウム製とすることが軽量化の観点から好ましく、電蝕の発生も回避される。
防振基体3は略筒状に形成されており、その軸方向の略中間位置に埋入された内筒1の外周フランジ部12と外筒2の内周フランジ部22との間、及び外周フランジ部12とプレート部材4との間で、それぞれ軸方向に圧縮された状態で介在している。防振基体3の上面の周方向八箇所及び下面の周方向六箇所には、それぞれ円弧状の凸部31、32が形成されており、防振基体3の回転を防ぐ摩擦力を確保すると共に、振動によって内周フランジ部22の上面又はプレート部材4の下面から離れないように構成されている。
以下、上記サスペンションサポートの製造方法について説明する。まず、図3に示したような筒部21と、内周フランジ部22と、開口部23と、外周フランジ部24とを備えた形状の外筒2をアルミニウム鍛造品によって一体的に成形する。次に、内筒1と一体化した防振基体3を開口部23を介して挿入し、筒部21内に収容する。このとき、防振基体3を圧入することなく収容できるように、防振基体3の外径と筒部21の内径とは同程度の大きさとしておくことが好ましい。
防振基体3を筒部21に収容した後、図4に示すように、筒部21に蓋をするようにプレート部材4を上方から防振基体3側に押し込み、防振基体3を内周フランジ部22とプレート部材4とで挟み込む。また、それと共にプレート部材4の外周縁を段差26で係止し、プレート部材4を軸方向に位置決めして開口部23に収容する。段差26の深さは、プレート部材4の厚みよりも大に設定されており、開口部23の周縁はプレート部材4よりも上方に突出している。
このとき、内周フランジ部22とプレート部材4との間の軸方向距離が、防振基体3の軸方向長さよりも短いことで、防振基体3が軸方向に圧縮されるが、本発明では、プレート部材4の押圧により軸平行に適切に圧縮された状態となり、特性安定の観点から好ましいものとなる。軸方向に圧縮された防振基体3は軸直角方向にも拡がろうとし、防振基体3は軸直角方向にも圧縮されることになる。
続いて、プレート部材4を防振基体3側に押しながら、開口部23の周縁を内向きにかしめてプレート部材4の外周縁を固定し、外筒2にプレート部材4を取り付けて、図1に示したサスペンションサポートを完成する。該かしめ加工は、外筒2が加工性の良好なアルミニウム製であるとともに、開口部23の周縁のプレート部材4から突出した部分だけをかしめればよいことから、例えば図4に示す如き工具8を用いて簡単に行うことができる。
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であり、サスペンションサポートの形状や防振基体の特性などは使用条件に応じて適宜に変更することができる。
本発明に係るサスペンションサポートの一例を示す縦断面図 図1のサスペンションサポートを構成する外筒の平面図 サスペンションサポートの製造を説明する図 サスペンションサポートの製造を説明する図 従来のサスペンションサポートの一例を示す縦断面図 上記特許文献1に記載のサスペンションサポートの縦断面図 上記特許文献1に記載のサスペンションサポートの縦断面図
符号の説明
1 内筒
2 外筒
3 防振基体
4 プレート部材
8 工具
21 筒部
22 内周フランジ部
23 開口部
24 外周フランジ部
25 ボルト孔
26 段差

Claims (3)

  1. ゴム状弾性体からなる防振基体を収容可能な筒部と、前記筒部の軸方向一側に設けられた内周フランジ部と、前記筒部の軸方向他側で前記防振基体を受け入れ可能に形成された開口部とを備えた形状にアルミニウムで一体的に成形された外筒を用いて、
    内筒と一体化された前記防振基体を、前記開口部を介して前記筒部に収容する工程と、
    前記筒部に収容されている前記防振基体を前記内周フランジ部とプレート部材とで軸方向に挟み込み、前記プレート部材を前記開口部に収容する工程と、
    前記開口部の周縁を内向きにかしめて、前記プレート部材を前記外筒に取付固定する工程とを備えることを特徴とするサスペンションサポートの製造方法。
  2. 前記プレート部材を前記開口部に収容する工程にて、前記プレート部材を前記防振基体側に押し込むとともに、前記開口部の内周縁に形成された段差で前記プレート部材の外周縁を係止して位置決めを行う請求項1記載のサスペンションサポートの製造方法。
  3. 前記プレート部材がアルミニウムで成形されている請求項1又は2に記載のサスペンションサポートの製造方法。
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