JP2008039505A - 光電式エンコーダおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光や移動体等による光学的なばらつきが存在しても、安定した高精度の位相差やデューティ比を有し、高分解能の出力信号が得られる光電式エンコーダを提供すること。
【解決手段】発光素子と、この発光素子からの光が到達し得る領域に、一方向Dに並べて配置された複数の受光素子とを備える。一方向Dに沿って、光オン部Xおよび光オフ部Yを一定ピッチPで交互に有する移動体40が通過するとき、各受光素子の出力A1+,A2+,…,A4−は、発光素子からの光が入射し又は入射しないのに応じた値をとる。複数の受光素子の出力のうち互いに180°位相の異なる出力同士の差分をそれぞれ取る減算器21,22,23,24を備える。各減算器21,22,23,24によって得られた差分信号を、受光素子の配置順に応じて交互に第1群と第2群とに分類して、各群毎にそれぞれ加算器31、32によって加算する。
【選択図】図1
【解決手段】発光素子と、この発光素子からの光が到達し得る領域に、一方向Dに並べて配置された複数の受光素子とを備える。一方向Dに沿って、光オン部Xおよび光オフ部Yを一定ピッチPで交互に有する移動体40が通過するとき、各受光素子の出力A1+,A2+,…,A4−は、発光素子からの光が入射し又は入射しないのに応じた値をとる。複数の受光素子の出力のうち互いに180°位相の異なる出力同士の差分をそれぞれ取る減算器21,22,23,24を備える。各減算器21,22,23,24によって得られた差分信号を、受光素子の配置順に応じて交互に第1群と第2群とに分類して、各群毎にそれぞれ加算器31、32によって加算する。
【選択図】図1
Description
この発明は光電式エンコーダに関し、より詳しくは、発光素子と受光素子とを備え、上記発光素子からの光が上記受光素子に対して入射する状態、入射しない状態をつくる光オン部および光オフ部を交互に有する移動体の移動に応じて、上記受光素子から信号を出力する光電式エンコーダに関する。
また、この発明はそのような光電式エンコーダを備えた電子機器に関する。電子機器とは、例えば、複写機、プリンタなどの印刷機器や、ロボットなどのFA(ファクトリ・オートメイション)機器を広く含む。
従来、この種の光電式エンコーダとしては、例えば特許文献1(実開平7−12924号公報)に記載のように、光源と光センサとが間隙を有して対向配置されてなる光学部材と、同一幅の透光領域と遮光領域とが等ピッチで交互に形成され、上記間隙内を透光領域と遮光領域とが通過するように変位する透光/遮光部材とを有し、前記透光/遮光部材の変位に伴い、前記光センサに間欠的に照射される前記光源からの光信号を電気信号に変換して、前記透光/遮光部材の変位量および変位方向を検出するものが知られている。同文献では、透光/遮光領域の1ピッチ幅(透光領域と遮光領域とを併せた幅)内に1〜2n番目(n≧3)のセンサ要素を並設して、それらのセンサ要素の出力から互いに位相が異なる複数の信号を作るようになっている。
また、特許文献2(特開2006−10486号公報)には、複数ピッチにまたがるように、透光/遮光領域の1ピッチ幅(透光領域と遮光領域とを併せた幅)内に、幅1/4ピッチのセンサ要素を並設して、それらのセンサ要素の出力から互いに位相が異なる複数の信号を作るようになっている。
実開平7−12924号公報
特開2006−10486号公報
しかしながら、従来の光電式エンコーダでのセンサ要素(受光素子)の配置からの演算方法では、安定した高精度の位相差、デューティ比を有する出力信号が得られないという問題がある。特に出力を高分解能化した場合、位相差のばらつきが大きいと位相反転がおき、まったく精度が取れない。
そこで、この発明の課題は、発光や移動体等による光学的なばらつきが存在しても、安定した高精度の位相差やデューティ比を有し、高分解能の出力信号が得られる光電式エンコーダを提供することにある。
また、この発明の課題は、そのような光電式エンコーダを備えた電子機器を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の光電式エンコーダは、
発光素子と、
上記発光素子からの光が到達し得る領域に、一方向に並べて配置された複数の受光素子と
を備え、
上記各受光素子に対応する所定の位置を上記一方向に沿って、上記光が上記受光素子に対して入射する状態、入射しない状態をつくる光オン部および光オフ部を一定ピッチで交互に有する移動体が所定の移動周波数で通過するとき、上記各受光素子の出力は、その受光素子に対して上記発光素子からの光が入射し又は入射しないのに応じた値をとり、
上記発光素子からの光が到達し得る上記領域を、上記一方向に関して、上記移動体の上記光オン部と光オフ部のピッチに対応した1ピッチ領域毎に区分したとき、上記複数の受光素子はそれぞれ空間的位相をもち、
上記複数の受光素子のうち上記一方向に関して一端に配置された受光素子を基準とし、上記基準の受光素子と、この基準の受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第1差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ2番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第2差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ4番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第3差分信号を求める減算器と、
aを2以上の偶数、mを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へa番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第m差分信号までをそれぞれ求める減算器と、
上記第1群の第1差分信号から第m差分信号までのm個の差分信号を加算して第1群の中間出力信号を求める加算器とを備えるとともに、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ1番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第1差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ3番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第2差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ5番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第3差分信号を求める減算器と、
nを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ(a+1)番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第n差分信号までをそれぞれ求める減算器と、
上記第2群の第1差分信号から第n差分信号までのn個の差分信号を加算して第2群の中間出力信号を求める加算器とを備えることを特徴とする。
発光素子と、
上記発光素子からの光が到達し得る領域に、一方向に並べて配置された複数の受光素子と
を備え、
上記各受光素子に対応する所定の位置を上記一方向に沿って、上記光が上記受光素子に対して入射する状態、入射しない状態をつくる光オン部および光オフ部を一定ピッチで交互に有する移動体が所定の移動周波数で通過するとき、上記各受光素子の出力は、その受光素子に対して上記発光素子からの光が入射し又は入射しないのに応じた値をとり、
上記発光素子からの光が到達し得る上記領域を、上記一方向に関して、上記移動体の上記光オン部と光オフ部のピッチに対応した1ピッチ領域毎に区分したとき、上記複数の受光素子はそれぞれ空間的位相をもち、
上記複数の受光素子のうち上記一方向に関して一端に配置された受光素子を基準とし、上記基準の受光素子と、この基準の受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第1差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ2番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第2差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ4番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第3差分信号を求める減算器と、
aを2以上の偶数、mを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へa番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第m差分信号までをそれぞれ求める減算器と、
上記第1群の第1差分信号から第m差分信号までのm個の差分信号を加算して第1群の中間出力信号を求める加算器とを備えるとともに、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ1番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第1差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ3番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第2差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ5番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第3差分信号を求める減算器と、
nを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ(a+1)番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第n差分信号までをそれぞれ求める減算器と、
上記第2群の第1差分信号から第n差分信号までのn個の差分信号を加算して第2群の中間出力信号を求める加算器とを備えることを特徴とする。
ここで、受光素子の「空間的位相」とは、上記一方向に関して、1ピッチ領域毎に区分された空間周期における位相を意味する。
この発明の光電式エンコーダでは、複数配置された受光素子の出力のうち互いに180°位相の異なる出力同士の差分をそれぞれ減算器によって取るため、最もSN(信号対ノイズ)比の優れた出力振幅を得ることができる。この理由は、各受光素子が出力する受光電流は微小であるため、互いに180°位相の異なる出力同士差分を取って増幅することで最も出力振幅が大きくなるからである。
しかも、この光電式エンコーダでは、実質的に、上記各減算器によって得られた差分信号を、上記一方向に関する受光素子の配置順に応じて、上記一方向に関して基準となる一端側から交互に第1群と第2群とに分類している。そして、上記第1群の第1差分信号から第m差分信号までのm個の差分信号を加算器によって加算して第1群の中間出力信号を求めるとともに、上記第2群の第1差分信号から第n差分信号までのn個の差分信号を加算器によって加算して第2群の中間出力信号を求める。したがって、発光や移動体等による光学的なばらつきが存在しても、第1群の中間出力信号と第2群の中間出力信号との間の位相差やデューティ比の変動が平均化されて小さくなる。したがって、この光電式エンコーダでは、安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、高分解能の出力信号が得られる。
なお、上記mとnとは等しいことが望ましい。その場合、第1群の中間出力信号と第2群の中間出力信号との間の位相差の変動が最小になる。
また、上記複数の受光素子の上記一方向に関する間隔はいずれも等しいことが望ましい。その場合、第1群の中間出力信号と第2群の中間出力信号との間の位相差の変動が、さらに平均化される。したがって、さらに安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、さらに高分解能の出力信号が得られる。
一実施形態の光電式エンコーダでは、
上記第1群の中間出力信号をこの中間出力信号の反転相と比較して、AD変換を行うAD変換器と、
上記第2群の中間出力信号をこの中間出力信号の反転相と比較して、AD変換を行うAD変換器とを備えることを特徴とする。
上記第1群の中間出力信号をこの中間出力信号の反転相と比較して、AD変換を行うAD変換器と、
上記第2群の中間出力信号をこの中間出力信号の反転相と比較して、AD変換を行うAD変換器とを備えることを特徴とする。
ここで、AD変換はアナログ−デジタル変換を意味し、AD変換器はアナログ−デジタル変換器を意味する(以下同様。)。
上記受光素子の出力はアナログ信号であるから、上記第1群の中間出力信号と第2群の中間出力信号とは、光学ばらつきによる位相変動を含んでいる。そこで、この一実施形態の光電式エンコーダでは、上記第1群の中間出力信号、上記第2群の中間出力信号をそれぞれAD変換器によってそれぞれの反転相と比較してAD変換を行う。したがって、位相変動の小さいデジタル信号が得られ、有益である。
一実施形態の光電式エンコーダでは、
kを2以上でmまたはn以下の整数としたとき、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、0/k個分の反転相と(k−0)/k個分の差分信号を加算して第1群の第1中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、1/k個分の反転相と(k−1)/k個分の差分信号を加算して第1群の第2中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、2/k個分の反転相と(k−2)/k個分の差分信号を加算して上記第1群の第3中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算して第1群の第k中間出力信号までをそれぞれ求める加算器とを備えるとともに、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、0/k個分の反転相と(k−0)/k個分の差分信号を加算して第2群の第1中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、1/k個分の反転相と(k−1)/k個分の差分信号を加算して第2群の第2中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、2/k個分の反転相と(k−2)/k個分の差分信号を加算して第2群の第3中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算して第2群の第k中間出力信号を求める加算器とを備えることを特徴とする。
kを2以上でmまたはn以下の整数としたとき、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、0/k個分の反転相と(k−0)/k個分の差分信号を加算して第1群の第1中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、1/k個分の反転相と(k−1)/k個分の差分信号を加算して第1群の第2中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、2/k個分の反転相と(k−2)/k個分の差分信号を加算して上記第1群の第3中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算して第1群の第k中間出力信号までをそれぞれ求める加算器とを備えるとともに、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、0/k個分の反転相と(k−0)/k個分の差分信号を加算して第2群の第1中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、1/k個分の反転相と(k−1)/k個分の差分信号を加算して第2群の第2中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、2/k個分の反転相と(k−2)/k個分の差分信号を加算して第2群の第3中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算して第2群の第k中間出力信号を求める加算器とを備えることを特徴とする。
ここで、0/k個分(つまり0個分)の反転相を「加算」するとは、実際には加算しないことを意味する。
また、例えば1/k個分とは、k個のうちの1個を指す。2/k個分とは、k個のうちの2個を指す。同様に、(k−1)/k個分とは、k個のうちの(k−1)個を指す。
この一実施形態の光電式エンコーダでは、第1群において互いに位相が異なるk個の中間出力信号が得られるとともに、第2群において互いに位相が異なるk個の中間出力信号が得られる。第1群の上記k個の中間出力信号は、第1群のm対の受光素子による位相情報を全て有する。同様に、第2群の上記k個の中間出力信号は、第2群のn対の受光素子による位相情報を全て有する。したがって、この光電式エンコーダでは、発光や移動体等による周期変動が抑制され、有益である。この結果、さらに安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、さらに高分解能の出力信号が得られる。
一実施形態の光電式エンコーダでは、
上記第1群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換を行う第1群用のk個のAD変換器と、
上記第1群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第1の出力信号を求める排他的論理和回路と、
上記第2群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換を行う第2群用のk個のAD変換器と、
上記第2群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第2の出力信号を求める排他的論理和回路とを備えることを特徴とする。
上記第1群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換を行う第1群用のk個のAD変換器と、
上記第1群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第1の出力信号を求める排他的論理和回路と、
上記第2群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換を行う第2群用のk個のAD変換器と、
上記第2群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第2の出力信号を求める排他的論理和回路とを備えることを特徴とする。
この一実施形態の光電式エンコーダでは、上記第1群用のk個のAD変換器、第2群用のk個のAD変換器によって、それぞれ位相変動の小さいデジタル信号が得られ、有益である。しかも、上記第1群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第1の出力信号を求めるとともに、上記第2群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第2の出力信号を求めている。したがって、上記第1、第2の出力信号としてk倍の分解能の高い信号が出力される。
この発明の電子機器は、上記光電式エンコーダを備えた電子機器である。
この発明の電子機器では、上記光電式エンコーダの出力位相差の精度が向上するので、高分解能の出力が可能となる。したがって、高精度の動作が可能となり、有益である。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図10は一実施形態の光透過型の光電式エンコーダの検出部の断面を示している。この光電式エンコーダでは、略中央に溝147を有するケース145内の一方の側(図10において上側)に発光部142が収容され、他方の側(図10において下側)に受光部144が収容されている。これにより、発光部142と受光部144とが対向している。発光部142は、リードフレーム148のヘッダ部148aに発光素子としての半導体発光チップ141を搭載し、それを透明樹脂152で封じて構成されている。受光部144は、リードフレーム149のヘッダ部149aに複数の受光素子を含む半導体受光チップ10を搭載し、それを透明樹脂154で封じて構成されている。半導体発光チップ141と半導体受光チップ10とを結ぶ光軸150上における発光部142の前には、発光部142の照射光を平行化するためのコリメーティングレンズ146が配置されている。溝147内には、光オン部としての複数の光透過部(集合的に符号Xで表す。)が設けられた円板状の移動体40が挿入されている。
動作時には、この移動体40は、光軸150に平行な中心軸の周りに一定速度で回転される。リードフレーム148を通して発光チップ141に通電がなされ、発光チップ141が発光し、コリメーティングレンズ146を介して光軸150に沿って光が出射される。受光チップ10は、移動体40の光透過部Xを通して入射した光を光電変換して、入射光量に応じた信号を出力する。受光チップ10の出力は、後述するような回路によって処理される。
以下の例では、受光チップ10は、半導体基板上に形成された複数の受光素子を有するものとする。具体的には、図示しない半導体基板上に形成されたエピタキシャル層が、そのエピタキシャル層の導電型(例えばn型)と異なる導電型(例えばp型)をもつ所定のパターン幅寸法の分離拡散領域(図示せず)によって格子状に区画されている。上記複数の受光素子は、その分離拡散領域によって区画されたエピタキシャル層の表面に、互いに電気的に分離された状態で形成されている。
図1中の上段には、移動体40の光透過部X1,X2,…が設けられた部分を、板面に対して垂直に見たところを模式的に示している。光透過部X1,X2,…は、上述のように受光素子に光を入射させる光オン部に相当する。光透過部X1,X2,…の間に相当する部分は、受光素子に光を入射させない光オフ部としての光遮断部Y1,Y2,…を構成している。なお、図1では、移動体40の回転方向Dは近似的に直線として表されている。移動体40は、回転方向Dに沿って、光透過部X1,X2,…と光遮断部Y1,Y2,…とを交互に一定ピッチPで有している。光透過部X1,X2,…と光遮断部Y1,Y2,…とは回転方向Dに関して同じ1/2ピッチ(つまり、P/2)の寸法をもっている。
図1中の10A,10B,10C,10D,10Eは、それぞれ既述の受光チップ10の表面における受光素子PDの様々な配置例を模式的に示している。ここで、受光チップ10の表面を、回転方向Dに関して、移動体40の光透過部と光遮断部のピッチPに対応した1ピッチ領域Z1,Z2,Z3,…毎に区分するものとする。
配置例10Aでは、1ピッチ領域毎に8個の受光素子PDが一定のピッチ(1/8ピッチ(つまり、P/8))で配置されている。各受光素子PDは、同じ矩形パターンに形成され、回転方向Dに関して1/16ピッチ(つまり、P/16)の寸法をもっている。したがって、この例では、受光素子PD同士の間に実質的に1/16ピッチの隙間が生じている。なお、図中に示す符号A1+,A2+,A3+,A4+,A1−,A2−,A3−,A4−は、各受光素子PDの出力信号を、その受光素子PDがもつ空間的位相に応じて識別するための符号である。これに対応して、各受光素子を適宜、PDA1+,PDA2+,PDA3+,PDA4+,PDA1−,PDA2−,PDA3−,PDA4−のように呼ぶ(他の配置例10B〜10Eでも同様。)。
動作時に、移動体40が上述のように一定速度で回転されると、回転方向Dに沿って、光透過部X1,X2,…と光オフ部Y1,Y2,…とは、各受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA4−に対して一定の移動周波数(これをfとする。)で交互に通過する状態になる。なお、移動周波数fのカウントにあたっては、個々の光透過部X1,X2,…を区別せず、いずれの光透過部X1,X2,…が通過しても1回とカウントするものとする。各受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA4−は、それぞれ入射光を光電変換して、移動周波数fに応じた周期的波形をもつ信号A1+,A2+,…,A4−を出力する。各受光素子の配置に応じて、信号A1+とA1−とは互いに位相が180°だけ異なり、信号A2+とA2−とは互いに位相が180°だけ異なり、信号A3+とA3−とは互いに位相が180°だけ異なり、信号A4+とA4−とは互いに位相が180°だけ異なっている(他の配置例10B〜10Eでも同様。)。
次の配置例10Bでは、上の配置例10Aと同様に、1ピッチ領域毎に8個の受光素子PDが一定のピッチ(1/8ピッチ(つまり、P/8))で配置されている。各受光素子PDは、同じ矩形パターンに形成され、回転方向Dに関して1/8ピッチ(つまり、P/8)の寸法をもっている。したがって、この例では、受光素子PD同士の間には、既述の分離拡散領域を無視すると、実質的に隙間が存在しない。
次の配置例10Cでは、3ピッチ領域毎に8個の受光素子PDが一定のピッチ(3/8ピッチ(つまり、3P/8))で配置されている。各受光素子PDは、同じ矩形パターンに形成され、回転方向Dに関して1/4ピッチ(つまり、P/4)の寸法をもっている。したがって、この例では、受光素子PD同士の間に1/8ピッチの隙間が生じている。
次の配置例10Dでは、上の配置例10Cと同様に、3ピッチ領域毎に8個の受光素子PDが一定のピッチ(3/8ピッチ(つまり、3P/8))で配置されている。各受光素子PDは、同じ矩形パターンに形成され、回転方向Dに関して1/4ピッチ(つまり、P/4)の寸法をもっている。したがって、この例では、受光素子PD同士の間には、既述の分離拡散領域を無視すると、実質的に隙間が存在しない。
配置例10Eでは、1ピッチ領域毎に16個の受光素子PDが一定のピッチ(1/16ピッチ(つまり、P/16))で配置されている。各受光素子PDは、同じ矩形パターンに形成され、回転方向Dに関して1/16ピッチ(つまり、P/16)の寸法をもっている。したがって、この例では、受光素子PD同士の間には、既述の分離拡散領域を無視すると、実質的に隙間が存在しない。
(第1の回路例)
図2は、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置が図1中の配置例10A,10B,10C,10Dのいずれかである場合において、受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA4−が出力した信号を処理する回路(等価回路)を示している。この回路は、減算器21、22、23、24と、加算器31、32とを含んでいる。
図2は、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置が図1中の配置例10A,10B,10C,10Dのいずれかである場合において、受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA4−が出力した信号を処理する回路(等価回路)を示している。この回路は、減算器21、22、23、24と、加算器31、32とを含んでいる。
減算器21、22、23、24は、それぞれ互いに位相が180°だけ異なる信号A1+とA1−;A2+とA2−;A3+とA3−;A4+とA4−の差分をとってそれぞれの差分信号(A1+−A1−)、(A2+−A2−)、(A3+−A3−)、(A4+−A4−)を求める。このように互いに180°位相の異なる出力同士の差分をそれぞれ減算器21、22、23、24によって取るため、最もSN比の優れた出力振幅を得ることができる。この理由は、各受光素子PDが出力する受光電流は微小であるため、互いに180°位相の異なる出力同士の差分を取って増幅することで最も出力振幅が大きくなるからである。
減算器21、22、23、24が求めた差分信号は、回転方向Dに関する受光素子PDの配置順に応じて交互に、第1群の差分信号(A1+−A1−)、(A3+−A3−)と、第2群の差分信号(A2+−A2−)、(A4+−A4−)とに分類されている。図2では、上半分に第1群の差分信号、下半分に第2群の差分信号が示されている。
そして、第1群の第1差分信号(A1+−A1−)から第2差分信号(A3+−A3−)までの2個の差分信号を、加算器31が加算して第1群の中間出力信号としての第1出力J1を求める。これとともに、第2群の第1差分信号(A2+−A2−)から第2差分信号(A4+−A4−)までの2個の差分信号を、加算器32が加算して第2群の中間出力信号としての第2出力J2を求める。したがって、発光や移動体等による光学的なばらつきが存在しても、第1出力J1と第2出力J2との間の位相差やデューティ比の変動が平均化されて小さくなる。したがって、この光電式エンコーダでは、安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、高分解能の出力信号が得られる。
上述の各受光素子PDの出力はアナログ信号であるから、図2中の第1出力J1と第2出力J2とは、光学ばらつきによる位相変動を含んでいる。そこで、図4に示すように、第1出力J1、第2出力J2をそれぞれAD変換器41、42によってそれぞれの反転相と比較してAD変換を行うのが望ましい。図4中の第1出力J1′、第2出力J2′はそれぞれAD変換後のデジタル信号を表している。このようにした場合、位相変動の小さいデジタル信号が得られ、有益である。
図8(A)は、従来の光電式エンコーダにおける回路(特許文献1(実開平7−12924号公報)参照。)で得られる中間出力信号同士の位相差を示し、図8(B)は、この実施形態の回路(第1の回路例)で得られる中間出力信号同士の位相差を示している。いずれの例でも、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置は、図1中に示した配置例10Bであるものとする。図8(A)の従来例では、回転方向Dに関して連続して4個並ぶ受光素子の出力を加算している。例えば或る中間出力信号は、図8(A)の上半分に実線で示すように信号A1+、A2+、A3+、A4+を加算したものであり、それに続く位相をもつ中間出力信号は、図8(A)の上半分に破線で示すようにA2+、A3+、A4+、A1−を加算したものである。つまり、中間出力信号同士の位相差は、A1+の位相とA1−の位相との間の差で決まる。これに対して、第1の回路例では、中間出力信号同士の位相差は、図8(B)の上半分に実線で示す(A1++A3+)の位相と図8(B)の上半分に破線で示す(A2++A4+)の位相との間の差で決まる。光学ばらつきは受光素子間距離が近いほど軽減できるため、反転相ではなく隣に配置された受光素子の差で位相差が決定される方が、ばらつきが軽減され有益である。
(第2の回路例)
図3は、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置が図1中の配置例10Eである場合において、受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA8−が出力した信号を処理する回路(等価回路)を示している。この回路は、減算器21、22、23、24、25、26、27、28と、加算器35、36とを含んでいる。
図3は、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置が図1中の配置例10Eである場合において、受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA8−が出力した信号を処理する回路(等価回路)を示している。この回路は、減算器21、22、23、24、25、26、27、28と、加算器35、36とを含んでいる。
減算器21、22、23、24、25、26、27、28は、それぞれ互いに位相が180°だけ異なる信号A1+とA1−;A2+とA2−;A3+とA3−;A4+とA4−;A5+とA5−;A6+とA6−;A7+とA7−;A8+とA8−の差分をとってそれぞれの差分信号(A1+−A1−)、(A2+−A2−)、(A3+−A3−)、(A4+−A4−)、(A5+−A5−)、(A6+−A6−)、(A7+−A7−)、(A8+−A8−)を求める。このように互いに180°位相の異なる出力同士の差分をそれぞれ減算器21、22、23、24、25、26、27、28によって取るため、第1の回路例に関して述べたのと同様に、最もSN比の優れた出力振幅を得ることができる。
減算器21、22、23、24、25、26、27、28が求めた差分信号は、回転方向Dに関する受光素子PDの配置順に応じて交互に、第1群の差分信号(A1+−A1−)、(A3+−A3−)、(A5+−A5−)、(A7+−A7−)と、第2群の差分信号(A2+−A2−)、(A4+−A4−)、(A6+−A6−)、(A8+−A8−)とに分類されている。図3では、上半分に第1群の差分信号、下半分に第2群の差分信号が示されている。
そして、第1群の第1差分信号(A1+−A1−)から第4差分信号(A7+−A7−)までの4個の差分信号を、加算器35が加算して第1群の中間出力信号としての第1出力J11を求める。これとともに、第2群の第1差分信号(A2+−A2−)から第4差分信号(A8+−A8−)までの4個の差分信号を、加算器36が加算して第2群の中間出力信号としての第2出力J12を求める。したがって、発光や移動体等による光学的なばらつきが存在しても、第1出力J11と第2出力J12との間の位相差やデューティ比の変動が平均化されて小さくなる。したがって、この光電式エンコーダでは、安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、高分解能の出力信号が得られる。
上述の各受光素子PDの出力はアナログ信号であるから、図3中の第1出力J11と第2出力J12とは、光学ばらつきによる位相変動を含んでいる。そこで、図5に示すように、第1出力J11、第2出力J12をそれぞれAD変換器43、44によってそれぞれの反転相と比較してAD変換を行うのが望ましい。図5中の第1出力J11′、第2出力J12′はそれぞれAD変換後のデジタル信号を表している。このようにした場合、位相変動の小さいデジタル信号が得られ、有益である。
上述の第1、第2の回路例を一般化すると、次のような処理を行う回路となる。
第1群の差分信号に関して、aを2以上の偶数、mを2以上の整数としたとき、左端に配置された基準の受光素子PDA1+対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、右端側へa番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第m差分信号までをそれぞれ減算器によって求める。第1群の第1差分信号から第m差分信号までのm個の差分信号を、加算器によって加算して第1群の中間出力信号を求める。これとともに、nを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子PDA1+に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、右端側へ(a+1)番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第n差分信号までをそれぞれ減算器によって求める。第2群の第1差分信号から第n差分信号までのn個の差分信号を、加算器によって加算して第2群の中間出力信号を求める。
この一般化された回路において、上記第1の回路例は、a=2、m=2、n=2の場合に相当する。また、上記第2の回路例は、a=6、m=4、n=4の場合に相当する。
なお、上記mとnとは等しいことが望ましい。その場合、第1群の中間出力信号と第2群の中間出力信号との間の位相差の変動が最小になる。
また、上記複数の受光素子の上記一方向に関する間隔はいずれも等しいことが望ましい。その場合、第1群の中間出力信号と第2群の中間出力信号との間の位相差の変動が、さらに平均化される。したがって、さらに安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、さらに高分解能の出力信号が得られる。
(第3の回路例)
図6は、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置が図1中の配置例10A,10B,10C,10Dのいずれかである場合において、受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA4−が出力した信号を処理する別の回路(等価回路)を示している。この回路は、減算器51、52、53、54と、加算器61、62、63、64とを含んでいる。
図6は、受光チップ10の表面における受光素子PDの配置が図1中の配置例10A,10B,10C,10Dのいずれかである場合において、受光素子PDA1+,PDA2+,…,PDA4−が出力した信号を処理する別の回路(等価回路)を示している。この回路は、減算器51、52、53、54と、加算器61、62、63、64とを含んでいる。
減算器51、52、53、54は、第1の回路例における減算器21、22、23、24と同様に、それぞれ互いに位相が180°だけ異なる信号A1+とA1−;A2+とA2−;A3+とA3−;A4+とA4−の差分をとってそれぞれの差分信号(A1+−A1−)、(A2+−A2−)、(A3+−A3−)、(A4+−A4−)を求める。このように互いに180°位相の異なる出力同士の差分をそれぞれ減算器21、22、23、24によって取るため、第1の回路例に関して述べたのと同様に、最もSN比の優れた出力振幅を得ることができる。
減算器51、52、53、54が求めた差分信号は、回転方向Dに関する受光素子PDの配置順に応じて交互に、第1群の差分信号(A1+−A1−)、(A3+−A3−)と、第2群の差分信号(A2+−A2−)、(A4+−A4−)とに分類されている。図6では、上半分に第1群の差分信号、下半分に第2群の差分信号が示されている。
そして、第1群の2個の差分信号のうち、2個分の差分信号(A1+−A1−)、(A3+−A3−)を加算器61によって加算して、第1群の第1中間出力信号としてのA1出力(A1+−A1−)+(A3+−A3−)を求める。
また、第1群の2個の差分信号のうち、1個分の差分信号(A3+−A3−)の反転相と、1個分の差分信号(A1+−A1−)とを加算器62によって加算して、第1群の第2中間出力信号としてのA3出力(A1+−A1−)+(A3−−A3+)を求める。
これとともに、第2群の2個の差分信号のうち、2個分の差分信号(A2+−A2−)、(A4+−A4−)を加算器63によって加算して、第2群の第1中間出力信号としてのA2出力(A2+−A2−)+(A4+−A4−)を求める。
また、第2群の2個の差分信号のうち、1個分の差分信号(A4+−A4−)の反転相と、1個分の差分信号(A2+−A2−)とを加算器64によって加算して、第2群の第2中間出力信号としてのA4出力(A2+−A2−)+(A4−−A4+)を求める。
このようにした場合、第1群の2個の中間出力信号であるA1出力、A3出力は、第1群の2対の受光素子による位相情報を全て有する。同様に、第2群の2個の中間出力信号であるA2出力、A4出力は、第2群の2対の受光素子による位相情報を全て有する。したがって、この光電式エンコーダでは、発光や移動体等による周期変動が抑制され、有益である。この結果、さらに安定した高精度の位相差やデューティ比が得られ、さらに高分解能の出力信号が得られる。
上述の各受光素子PDの出力はアナログ信号であるから、図6中のA1出力、A3出力、A2出力、A4出力は、光学ばらつきによる位相変動を含んでいる。そこで、図7に示すように、これらのA1出力、A3出力、A2出力、A4出力をそれぞれAD変換器81、82、83、84によってそれぞれの反転相と比較してAD変換を行うのが望ましい。このようにした場合、位相変動の小さいデジタル信号が得られ、有益である。
さらに、図7に示すように、EXOR(排他的論理和回路)91によって、このAD変換後の第1群のA1出力、A3出力の排他的論理和を取って、第1の出力信号としての第1出力J21を求める。これとともに、EXOR(排他的論理和回路)92によって、このAD変換後の第2群のA2出力、A4出力の排他的論理和を取って、第2の出力信号としての第2出力J22を求める。排他的論理和は、論理1である入力の数が奇数、偶数、奇数、…と切り替わることで、出力が論理1、論理0、論理1、…と変化する。したがって、移動体40の移動周波数fよりも2倍高い周波数の出力信号を容易に作成することができる。したがって、移動体40の移動速度や移動方向等の移動情報をより精密に得ることができる。
なお、図7の上半分におけるA1出力及びA3出力までに関する部分を具体的にトランジスタ等で表すと、図9Aおよび図9Bに示すような構成となる(なお、図9A中の端子(丸数字1、2、…、8)と図9B中の端子(丸数字1、2、…、8)とはそれぞれ互いに接続されている。)。
上述の第3の回路例を一般化すると、次のような処理を行う回路となる。
kを2以上でmまたはn以下の整数としたとき、第1群の第k中間出力信号までをそれぞれ加算器によって求める。同様に、第2群の第k中間出力信号までをそれぞれ加算器によって求める。第1群の第k中間出力信号とは、第1群のm個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算したものである。同様に、第2群の第k中間出力信号とは、第2群のn個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算したものである。
そして、第1群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換器によってAD変換を行う。EXORによって、第1群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第1の出力信号を求める。これとともに、第2群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換器によってAD変換を行う。EXORによって、第2群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第2の出力信号を求める。
このようにした場合、移動体40の移動周波数fに対して、上記第1、第2の出力信号としてk倍の周波数をもつ高分解能の信号が出力される。したがって、移動体40の移動速度や移動方向等の移動情報をより精密に得ることができる。
この一般化された回路において、上記第3の回路例は、a=2、m=2、n=2、k=2の場合に相当する。なお、k=2ではなく、仮にk=1とすれば、上記第1の回路例の場合に相当する。
上述の光電式エンコーダを備えた電子機器では、上記光電式エンコーダが互いに位相が異なる複数の信号を高分解能で出力するので、高精度の動作が可能となる。例えば、この光電式エンコーダを備えた電子機器としてのプリンタでは、紙送りの位置や速度、プリントヘッドの行方向での位置などを高精度に検出することが可能となる。
この実施形態では、光電式エンコーダは光透過型であるものとしたが、当然ながらこれに限られるものではなく、光電式エンコーダは光反射型であっても良い。
10 半導体受光チップ
PD 受光素子
40 移動体
X1,X2,… 光透過部
Y1,Y2,… 光遮断部
PD 受光素子
40 移動体
X1,X2,… 光透過部
Y1,Y2,… 光遮断部
Claims (5)
- 発光素子と、
上記発光素子からの光が到達し得る領域に、一方向に並べて配置された複数の受光素子と
を備え、
上記各受光素子に対応する所定の位置を上記一方向に沿って、上記光が上記受光素子に対して入射する状態、入射しない状態をつくる光オン部および光オフ部を一定ピッチで交互に有する移動体が所定の移動周波数で通過するとき、上記各受光素子の出力は、その受光素子に対して上記発光素子からの光が入射し又は入射しないのに応じた値をとり、
上記発光素子からの光が到達し得る上記領域を、上記一方向に関して、上記移動体の上記光オン部と光オフ部のピッチに対応した1ピッチ領域毎に区分したとき、上記複数の受光素子はそれぞれ空間的位相をもち、
上記複数の受光素子のうち上記一方向に関して一端に配置された受光素子を基準とし、上記基準の受光素子と、この基準の受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第1差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ2番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第2差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ4番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第3差分信号を求める減算器と、
aを2以上の偶数、mを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へa番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第1群の第m差分信号までをそれぞれ求める減算器と、
上記第1群の第1差分信号から第m差分信号までのm個の差分信号を加算して第1群の中間出力信号を求める加算器とを備えるとともに、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ1番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第1差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ3番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第2差分信号を求める減算器と、
上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ5番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第3差分信号を求める減算器と、
nを2以上の整数としたとき、上記基準の受光素子に対して180°未満の或る位相差ずれて配置されている複数の受光素子のうち、上記一方向に関して他端側へ(a+1)番目に配置された受光素子と、この受光素子に対して180°だけずれた空間的位相をもつ受光素子との出力同士の差分を取って第2群の第n差分信号までをそれぞれ求める減算器と、
上記第2群の第1差分信号から第n差分信号までのn個の差分信号を加算して第2群の中間出力信号を求める加算器とを備えることを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項1に記載の光電式エンコーダおいて、
上記第1群の中間出力信号をこの中間出力信号の反転相と比較して、AD変換を行うAD変換器と、
上記第2群の中間出力信号をこの中間出力信号の反転相と比較して、AD変換を行うAD変換器とを備えることを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項1に記載の光電式エンコーダおいて、
kを2以上でmまたはn以下の整数としたとき、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、0/k個分の反転相と(k−0)/k個分の差分信号を加算して第1群の第1中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、1/k個分の反転相と(k−1)/k個分の差分信号を加算して第1群の第2中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、2/k個分の反転相と(k−2)/k個分の差分信号を加算して上記第1群の第3中間出力信号を求める加算器と、
上記第1群の上記m個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算して第1群の第k中間出力信号までをそれぞれ求める加算器とを備えるとともに、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、0/k個分の反転相と(k−0)/k個分の差分信号を加算して第2群の第1中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、1/k個分の反転相と(k−1)/k個分の差分信号を加算して第2群の第2中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、2/k個分の反転相と(k−2)/k個分の差分信号を加算して第2群の第3中間出力信号を求める加算器と、
上記第2群の上記n個の差分信号のうち、(k−1)/k個分の反転相と{k−(k−1)}/k個分の差分信号を加算して第2群の第k中間出力信号を求める加算器とを備えることを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項3に記載の光電式エンコーダにおいて、
上記第1群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換を行う第1群用のk個のAD変換器と、
上記第1群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第1の出力信号を求める排他的論理和回路と、
上記第2群の第1中間出力信号から第k中間出力信号までのk個の中間出力信号を、それぞれその中間出力信号の反転相と比較して、それぞれAD変換を行う第2群用のk個のAD変換器と、
上記第2群用のk個のAD変換器の出力の排他的論理和を取って第2の出力信号を求める排他的論理和回路とを備えることを特徴とする光電式エンコーダ。 - 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の光電式エンコーダを備えた電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006211858A JP2008039505A (ja) | 2006-08-03 | 2006-08-03 | 光電式エンコーダおよび電子機器 |
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