JP4052499B2 - 光学式エンコーダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動位置や回転位置などを検出するための光学式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばインクジェットプリンタにおいては、印字ヘッドを走行させながら印字を行うため、印字ヘッドの走行位置を正確に検出する必要がある。このような場合、光学式エンコーダを用いれば、印字ヘッドの走行位置を正確に検出することができる。
【0003】
光学式エンコーダの一例として、たとえば特開昭61−292016号公報に掲載されたものが存在する。この光学式エンコーダは、たとえば図14に示すように、発光部51と受光部52とを有する光学部53と、発光部51と受光部52との間に配置された光制御体55とを備えている。光学部53と光制御体55とは、光制御体55の長手方向に沿って相対移動可能である。たとえば、光学部53がインクジェットプリンタの印字ヘッドに搭載され、光制御体55がインクジェットプリンタの筐体に固定されているとすると、印字ヘッドの走行に伴って、光学部53が光制御体55に沿って移動する。
【0004】
光制御体55は、たとえば帯状の樹脂フィルムからなり、図15に示すように、透光部56と非透光部57とが交互に多数形成されている。各透光部56同士は、光制御体55の長手方向の長さが全て等しい。各非透光部57同士は、光制御体55の長手方向の長さが全て等しい。また、各透光部56の光制御体55長手方向の長さと、各非透光部57の光制御体55長手方向の長さとは、互いに等しい。すなわち、互いに隣接する1個の透光部56の光制御体55長手方向の長さと1個の非透光部57の光制御体55長手方向の長さとの合計の長さLは、全ての透光部56と非透光部57との組について相互に等しい。
【0005】
受光部52は、図16に示すように、たとえば4個のホトダイオード61a〜61dからなるホトダイオード群61により構成されており、これら4個のホトダイオード61a〜61dは、光学部53と光制御体55との相対移動方向に沿って隣接配置されている。各ホトダイオード61a〜61dの配列方向の長さは、相互に等しく、その合計はKである。すなわち、ホトダイオード群61の光学部53と光制御体55との相対移動方向の長さはKである。そしてこのKは、Lと完全に等しいか、あるいは製造誤差の範囲でほぼ等しい。なお、各隣接ホトダイオード61a〜61d間には、製造技術上若干の間隙を生じるが、図16では省略している。
【0006】
ホトダイオード61a〜61dの出力端は、図17に示すように、4個の加算器63〜66の入力端に接続される。すなわち、加算器63の入力端には、ホトダイオード61a,61bの出力端が接続されている。加算器64の入力端には、ホトダイオード61c,61dの出力端が接続されている。加算器65の入力端には、ホトダイオード61b,61cの出力端が接続されている。加算器66の入力端には、ホトダイオード61a,61dの出力端が接続されている。加算器63〜66の出力端は、2個の比較器68,69の入力端に接続されている。すなわち、比較器68の入力端には、加算器63,64の出力端が接続されている。比較器69の入力端には、加算器65,66の出力端が接続されている。
【0007】
光制御体55が、図15の矢印A方向に一定速度で移動した場合、あるいは光学部53が矢印A方向とは逆の方向に一定速度で移動した場合、ホトダイオード61a〜61dからは、図18に示すような出力信号が出力される。
【0008】
したがって、加算器63,64の出力、および比較器68の出力は、図19に示すようになる。ただし、比較器68は、加算器63の出力が加算器64の出力よりも大きいときに出力がハイレベルになるように構成されている。
【0009】
また、加算器65,66の出力、および比較器69の出力は、図20に示すようになる。ただし、比較器69は、加算器65の出力が加算器66の出力よりも大きいときに出力がハイレベルになるように構成されている。
【0010】
このように、従来の光学式エンコーダは、ホトダイオード群61の寸法Kが1個の透光部56と1個の非透光部57との合計の寸法Lと一致するようにホトダイオード61a〜61dを製造することにより、比較器68および比較器69から、互いに1/4周期位相の異なる出力信号を得る構成であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の光学式エンコーダでは、寸法Kを寸法Lと極力一致させるために、ホトダイオード61a〜61dを精度よく製造する必要があり、製造コストの上昇要因となっていた。また、検出精度の向上などのために寸法Lを変更したり、あるいは寸法Lの相互に異なる複数種類の製品を製造するような場合、寸法L毎に異なるサイズのホトダイオード群61を有する光学部53を製造する必要があり、このことからも製造コストが上昇するという課題があった。さらには、比較器68および比較器69から、互いに1/4周期位相の異なる出力信号を得ても、その用途は特殊なものに限られていた。たとえば、インクジェットプリンタの印字ヘッドの位置を検出する場合のような、一般的な用途では、比較器68の出力と比較器69の出力との位相差が1/4周期である必要はなく、要するに、比較器68の出力と比較器69の出力とを比較することによって、光学部53と光制御体55との相対的な移動の方向が判断できれば充分であった。
【0012】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、製造コストを良好に低減できる光学式エンコーダを提供することを、その課題としている。
【0013】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0014】
本発明によれば、光を放射する発光部、およびこの発光部からの光を受光する受光部を有する光学部と、前記発光部からの光を通過させる透光部、および前記発光部からの光を遮光する非透光部を交互に多数有し、これら透光部および非透光部は、隣接方向の長さが互いに等しく、かつ、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計が全て等しいように構成されている光制御体とを備え、前記光学部と前記光制御体とは、前記透光部と前記非透光部との配列方向に沿って相対移動可能であり、前記受光部は、前記光学部と前記光制御体との相対移動方向に沿って隣接配置されて順に並ぶ4個の受光素子(11a,11b,11c,11d)からなる受光素子群を任意数有するとともに、各受光素子群における各受光素子(11a,11b,11c,11d)からの出力信号を処理する論理回路を備え、この論理回路は、1番目の受光素子(11a)からの出力と2番目の受光素子(11b)からの出力が入力される第1の加算器(13)と、3番目の受光素子(11c)からの出力と4番目の受光素子(11d)からの出力が入力される第2の加算器(14)と、2番目の受光素子(11b)からの出力と3番目の受光素子(11c)からの出力が入力される第3の加算器(15)と、1番目の受光素子(11a)からの出力と4番目の受光素子(11d)からの出力が入力される第4の加算器(16)と、前記第1の加算器(13)からの出力と前記第2の加算器(14)からの出力が入力される第1の比較器(18)と、前記第3の加算器(15)と前記第4の加算器(16)からの出力が入力される第2の比較器(19)とを備えている、光学式エンコーダであって、前記受光素子群における前記各受光素子の配列方向の長さを互いに等しくするとともに、前記受光素子群の前記光学部と前記光制御体との相対移動方向の長さを、前記互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計との差が前記受光素子の配列方向の受光素子1個分の長さ以上となる寸法に設定することにより、前記第1の比較器(18)からの出力と前記第2の比較器(19)からの出力との間に所定の位相差が生じるように構成したことを特徴とする、光学式エンコーダが提供される。
【0016】
好ましい実施の形態によれば、受光素子群は、所定ピッチで複数設けられており、所定ピッチは、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計と等しいか、あるいはその整数倍の寸法である。
【0017】
このように、受光素子群の光学部と光制御体との相対移動方向の長さを、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計と等しくない寸法に設定したので、製造コストを良好に低減できる。
【0018】
すなわち、受光素子群の光学部と光制御体との相対移動方向の長さを、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計と極力一致させるために、受光素子群の各受光素子を精度よく製造するという必要がなくなり、この結果、製造コストを低減できる。しかも、検出精度の向上などのために互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計を変更したり、あるいは互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計の相互に異なる複数種類の製品を製造するような場合に、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計が異なる毎に異なるサイズの受光素子群を有する光学部を製造する必要がなくなり、このことからも、量産効果の増大による製造コストの低減を実現できる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る光学式エンコーダの概略構成図であって、この光学式エンコーダは、発光部1と受光部2とを有する光学部3と、発光部1と受光部2との間に配置された光制御体5とを備えている。発光部1は、たとえば発光ダイオードを備えている。光学部3と光制御体5とは、光制御体5の長手方向に沿って相対移動可能である。たとえば、光学部3がインクジェットプリンタの印字ヘッドに搭載され、光制御体5がインクジェットプリンタの筐体に固定されているとすると、印字ヘッドの走行に伴って、光学部3が光制御体5に沿って移動する。もちろん、光学部3を固定側に設け、光制御体5を移動側に設けてもよい。また、光学部3と光制御体5との双方を互いに反対の方向に移動させてもよい。さらには、光学部3と光制御体5との双方を、一定の速度差を保ちつつ、互いに同じ方向に移動させてもよい。
【0022】
光制御体5は、たとえば帯状の樹脂フィルムからなり、図2に示すように、透光部6と非透光部7とが交互に多数形成されている。各透光部6同士は、光制御体5の長手方向の長さが全て等しい。各非透光部7同士は、光制御体5の長手方向の長さが全て等しい。また、各透光部6の光制御体5長手方向の長さと、各非透光部7の光制御体5長手方向の長さとは、互いに等しい。すなわち、互いに隣接する1個の透光部6の光制御体5長手方向の長さと1個の非透光部7の光制御体5長手方向の長さとの合計の長さL1は、全ての透光部6と非透光部7との組について相互に等しい。
【0023】
受光部2は、図3に示すように、たとえば4個のホトダイオード11a〜11dからなるホトダイオード群11により構成されており、これら4個のホトダイオード11a〜11dは、光学部3と光制御体5との相対移動方向に沿って隣接配置されている。各ホトダイオード11a〜11dの配列方向の長さは、相互に等しく、その合計はK1である。すなわち、ホトダイオード群11の光学部3と光制御体5との相対移動方向の長さはK1である。そしてこのK1は、L1よりも短い。本実施形態においては、K1=(2/3)L1である。すなわち、K1はホトダイオード11aを4個隣接配置した長さに等しく、L1はホトダイオード11aを6個隣接配置した長さに等しい。
【0024】
ホトダイオード11a〜11dの出力端は、図4に示すように、4個の加算器13〜16の入力端に接続されている。すなわち、加算器13の入力端には、ホトダイオード11a,11bの出力端が接続されている。加算器14の入力端には、ホトダイオード11c,11dの出力端が接続されている。加算器15の入力端には、ホトダイオード11b,11cの出力端が接続されている。加算器16の入力端には、ホトダイオード11a,11dの出力端が接続されている。加算器13〜16の出力端は、2個の比較器18,19の入力端に接続されている。すなわち、比較器18の入力端には、加算器13,14の出力端が接続されている。比較器19の入力端には、加算器15,16の出力端が接続されている。
【0025】
次に動作を説明する。光学部3と光制御体5とが光制御体5の長手方向に相対移動すると、光学部3の発光部1と受光部2との間に光制御体5の透光部6と非透光部7とが交互に位置することになる。このため、発光部1からの光は、透光部6を透過して受光部2のホトダイオード11a〜11dに受光される状態と、非透光部7によって遮光されてホトダイオード11a〜11dに受光されない状態とが交互に繰り返される。また、各ホトダイオード11a〜11dについて考えると、受光部2から各ホトダイオード11a〜11dに至る光路のうち、非透光部7によって一部が遮光され、その遮光面積が次第に小さくなっていく状態と、非透光部7によって全く遮光されない状態と、非透光部7によって一部が遮光され、その遮光面積が次第に大きくなっていく状態と、非透光部7によって完全に遮光される状態とが繰り返されることになる。そして、それらの繰り返し周期の位相は、光制御体5の1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL1と、ホトダイオード群11の各ホトダイオード11a〜11dの長さ(K1)/4=(L1)/6との関係から、各ホトダイオード11a〜11d毎に1/6周期だけ順次ずれたものになる。
【0026】
したがって、光制御体5が、図2の矢印A1方向に一定速度で移動した場合、あるいは光学部3が矢印A1方向とは逆の方向に一定速度で移動した場合、ホトダイオード11a〜11dからは、図5に示すような出力信号が出力される。図5から明らかなように、各ホトダイオード11a〜11dの出力信号は、周期がT1であり、位相が(T1)/6ずつ順次ずれている。なお、周期T1は、光制御体5の1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL1と、ホトダイオード群11の各ホトダイオード11a〜11dの長さ(K1)/4=(L1)/6と、光学部3と光制御体5との相対移動の速度との相互関係で決まる。
【0027】
ここで、加算器13の出力は、ホトダイオード11aの出力とホトダイオード11bの出力との和であり、加算器14の出力は、ホトダイオード11cの出力とホトダイオード11dの出力との和であるので、それぞれ図6に示すようになる。また、比較器18は、加算器13の出力が加算器14の出力よりも大きいときに出力がハイレベルになり、加算器13の出力が加算器14の出力よりも小さいときに出力がローレベルになるように構成されているので、比較器18の出力は図6に示すようになる。図6から明らかなように、加算器13,14の出力は、各ホトダイオード11a〜11dの出力と同様に、周期がT1である。加算器13の出力と加算器14の出力とは、位相が(T1)/3ずれている。比較器18の出力は、加算器13,14の出力と同様に、周期がT1である。また、比較器18の出力は、矩形パルス状であり、オン期間とオフ期間とが共に(T1)/2である。
【0028】
また、加算器15の出力は、ホトダイオード11bの出力とホトダイオード11cの出力との和であり、加算器16の出力は、ホトダイオード11aの出力とホトダイオード11dの出力との和であるので、それぞれ図7に示すようになる。また、比較器19は、加算器15の出力が加算器16の出力よりも大きいときに出力がハイレベルになり、加算器15の出力が加算器16の出力よりも小さいときに出力がローレベルになるように構成されているので、比較器19の出力は図7に示すようになる。図7から明らかなように、加算器15の出力は、各ホトダイオード11a〜11dの出力と同様に、周期がT1である。加算器16の出力は、常に一定レベルである。比較器19の出力は、加算器15の出力と同様に、周期がT1である。また、比較器19の出力は、矩形パルス状であり、オン期間とオフ期間とが共に(T1)/2である。
【0029】
図6と図7とを比較すれば明らかなように、比較器18の出力と比較器19の出力とは、共に周期T1の矩形パルス状であり、位相が(T1)/4ずれている。なお、比較器18の出力と比較器19の出力との位相のずれは、光制御体5の1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL1と、ホトダイオード群11のホトダイオード11a〜11dの長さK1との関係に応じて、−(T1)/2〜+(T1)/2まで変化するが、この位相差が0付近になると光学部3と光制御体5との相対移動の方向を判断することが困難になる。したがって、光制御体5の振動などに起因する検出誤差などを考慮すると、比較器18の出力と比較器19の出力との位相差が周期T1の5%以上になるように、L1とK1との関係を設定するのが好ましい。
【0030】
そして、光学部3と光制御体5との相対移動方向が逆になれば、比較器19の出力は変化せず、比較器18の出力が反転するので、たとえば比較器19の出力の立上がり時あるいは立下がり時における比較器18の出力のレベルを調べることにより、光学部3と光制御体5との相対移動方向を判断できる。もちろん、比較器18あるいは比較器19の出力パルス数をカウントすることにより、光学部3と光制御体5との相対移動の距離を求めることができる。
【0031】
このように、ホトダイオード群11の光学部3と光制御体5との相対移動方向の長さK1を、互いに隣接する1個の透光部6と1個の非透光部7との隣接方向の長さの合計L1よりも小さい寸法に設定したので、製造コストを良好に低減できる。
【0032】
すなわち、ホトダイオード群11の光学部3と光制御体5との相対移動方向の長さK1を、互いに隣接する1個の透光部6と1個の非透光部7との隣接方向の長さの合計L1と極力一致させるために、ホトダイオード群11の各ホトダイオード11a〜11dを精度よく製造するという必要がなくなり、この結果、製造コストを低減できる。
【0033】
しかも、検出精度の向上などのために互いに隣接する1個の透光部6と1個の非透光部7との隣接方向の長さの合計L1を変更したり、あるいは互いに隣接する1個の透光部6と1個の非透光部7との隣接方向の長さの合計L1の相互に異なる複数種類の製品を製造するような場合に、互いに隣接する1個の透光部6と1個の非透光部7との隣接方向の長さの合計L1が異なる毎に異なるサイズのホトダイオード群11を有する光学部3を製造する必要がなくなり、量産効果の増大による製造コストの低減を実現できる。換言すれば、光学部3を変更することなく、光制御体5を変更するだけで、各種検出精度の光学式エンコーダを得ることができる。
【0034】
なお、上記実施形態においては、4個の加算器13〜16を設けたが、これはホトダイオード11a〜11dの出力を加算して比較器18,19の入力を大きくし、実質的にホトダイオード11a〜11dの受光面積を大きくしたような効果を得るためであって、加算器13〜16は必ずしも設けなくてもよい。すなわち、ホトダイオード11a,11cの出力を比較器18に供給し、ホトダイオード11b,11dの出力を比較器19に供給するように構成してもよい。このようにすれば、加算器13〜16を省略できるので回路構成が簡単になり、製造コストを更に低減できる。この場合、比較器18の出力と比較器19の出力とは、位相が互いに(T1)/6ずれる。
【0035】
また、上記実施形態においては、ホトダイオード群11の4個のホトダイオード11a〜11dの長さK1が、光制御体5の1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL1よりも小さくなるように構成したが、図8に示すように、ホトダイオード群11の4個のホトダイオード11a〜11dの長さK2が、光制御体5の1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL2よりも大きくなるように構成してもよい。図8の例では、K2=(4/3)L2である。
【0036】
この場合、各ホトダイオード11a〜11dの出力は、図9に示すようになる。図9から明らかなように、各ホトダイオード11a〜11dの出力信号は、周期がT2であり、位相が(T2)/3ずつ順次ずれている。
【0037】
また、図10から明らかなように、加算器13,14の出力は、各ホトダイオード11a〜11dの出力と同様に、周期がT2である。加算器13の出力と加算器14の出力とは、位相が2(T2)/3ずれている。比較器18の出力は、加算器13,14の出力と同様に、周期がT2である。また、比較器18の出力は、矩形パルス状であり、オン期間とオフ期間とが共に(T2)/2である。
【0038】
また、図11から明らかなように、加算器15,16の出力は、各ホトダイオード11a〜11dの出力と同様に、周期がT2である。比較器19の出力は、加算器15,16の出力と同様に、周期がT2である。また、比較器19の出力は、矩形パルス状であり、オン期間とオフ期間とが共に(T2)/2である。
【0039】
図10と図11とを比較すれば明らかなように、比較器18の出力と比較器19の出力とは、共に周期T2の矩形パルス状であり、位相が(T2)/4ずれている。
【0040】
また、上記実施形態においては、1個のホトダイオード群11により受光部2を構成したが、図12に示すように、複数のホトダイオード群11により受光部2を構成してもよい。この場合、各ホトダイオード群11は、1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL1のピッチで配置する。このようにすれば、各ホトダイオード11a〜11dがそれぞれ複数個存在することになるので、それら複数個のホトダイオードの出力を加算することにより、大きな出力を得ることができる。なお、互いに隣接するホトダイオード群11同士の間には、たとえば、ホトダイオードを設けて、そのホトダイオードからの出力を他の目的に利用することもできるし、あるいはそのホトダイオードから出力を取り出さないようにすることもできる。さらには、ホトダイオード以外の他の半導体素子や配線パターンを形成してもよいし、何も形成しなくてもよい。
【0041】
なお、図3に示す実施形態のように、ホトダイオード群11の長さK2が、1個の透光部6と1個の非透光部7との合計の長さL2よりも大きい場合には、図13に示すように、L2の整数倍のピッチでホトダイオード群11を設ければよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、K1とL1との差を各ホトダイオード11a〜11dの2個分とし、また、K2とL2との差を各ホトダイオード11a〜11dの1個分としたが、もちろんK1とL1との差は任意であり、各ホトダイオード11a〜11dの長さの整数倍にする必要はない。ただし、K1とL1、あるいはK2とL2との差があまりにも小さくなり、ホトダイオード11a〜11dの製造誤差の範囲で差が0と見做せるような状態に近づくと、上記した本発明の効果が次第に薄れてしまうので、K1とL1、あるいはK2とL2との差は、各ホトダイオード11a〜11dの1個分以上の長さであることが好ましい。
【0043】
また、上記実施形態においては、ホトダイオード群11を4個のホトダイオード11a〜11dにより構成したが、ホトダイオード群11を構成するホトダイオードの数は4個に限られるものではなく、たとえば6個のホトダイオードによりホトダイオード群11を構成してもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、受光素子群としてホトダイオード群11を用いたが、受光素子群はホトダイオード群11に限られるものではなく、たとえば受光素子群としてホトトランジスタ群を用いてもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、帯状の光制御体5を用いたが、環状の光制御体を用いてもよい。この場合、光学部3と光制御体とが、相対的に円周上を移動することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学式エンコーダの概略構成図である。
【図2】図1に示す光制御体の正面図である。
【図3】図1に示す受光部の正面図である。
【図4】図1に示す受光部からの信号を処理する信号処理回路の要部の回路ブロック図である。
【図5】図3に示すホトダイオードの出力信号の波形図である。
【図6】図4に示す加算器および比較器の出力信号の波形図である。
【図7】図4に示す加算器および比較器の出力信号の波形図である。
【図8】他の実施形態における受光部の正面図である。
【図9】他の実施形態におけるホトダイオードの出力信号の波形図である。
【図10】他の実施形態における加算器および比較器の出力信号の波形図である。
【図11】他の実施形態における加算器および比較器の出力信号の波形図である。
【図12】更に他の実施形態における受光部の正面図である。
【図13】更に他の実施形態における受光部の正面図である。
【図14】従来の光学式エンコーダの概略構成図である。
【図15】従来の光学式エンコーダにおける光制御体の正面図である。
【図16】従来の光学式エンコーダにおける受光部の正面図である。
【図17】従来の光学式エンコーダにおける受光部からの信号を処理する信号処理回路の要部の回路ブロック図である。
【図18】従来の光学式エンコーダにおけるホトダイオードの出力信号の波形図である。
【図19】従来の光学式エンコーダにおける加算器および比較器の出力信号の波形図である。
【図20】従来の光学式エンコーダにおける加算器および比較器の出力信号の波形図である。
【符号の説明】
1 発光部
2 受光部
3 光学部
5 光制御体
6 透光部
7 非透光部
11 ホトダイオード群
11a〜11d ホトダイオード
13 加算器
14 加算器
15 加算器
16 加算器
18 比較器
19 比較器
Claims (3)
- 光を放射する発光部、およびこの発光部からの光を受光する受光部を有する光学部と、
前記発光部からの光を通過させる透光部、および前記発光部からの光を遮光する非透光部を交互に多数有し、これら透光部および非透光部は、隣接方向の長さが互いに等しく、かつ、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計が全て等しいように構成されている光制御体とを備え、
前記光学部と前記光制御体とは、前記透光部と前記非透光部との配列方向に沿って相対移動可能であり、
前記受光部は、前記光学部と前記光制御体との相対移動方向に沿って隣接配置されて順に並ぶ4個の受光素子(11a,11b,11c,11d)からなる受光素子群を任意数有するとともに、
各受光素子群における各受光素子(11a,11b,11c,11d)からの出力信号を処理する論理回路を備え、この論理回路は、1番目の受光素子(11a)からの出力と2番目の受光素子(11b)からの出力が入力される第1の加算器(13)と、3番目の受光素子(11c)からの出力と4番目の受光素子(11d)からの出力が入力される第2の加算器(14)と、2番目の受光素子(11b)からの出力と3番目の受光素子(11c)からの出力が入力される第3の加算器(15)と、1番目の受光素子(11a)からの出力と4番目の受光素子(11d)からの出力が入力される第4の加算器(16)と、前記第1の加算器(13)からの出力と前記第2の加算器(14)からの出力が入力される第1の比較器(18)と、前記第3の加算器(15)と前記第4の加算器(16)からの出力が入力される第2の比較器(19)とを備えている、光学式エンコーダであって、
前記受光素子群における前記各受光素子の配列方向の長さを互いに等しくするとともに、前記受光素子群の前記光学部と前記光制御体との相対移動方向の長さを、前記互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計との差が前記受光素子の配列方向の受光素子1個分の長さ以上となる寸法に設定することにより、
前記第1の比較器(18)からの出力と前記第2の比較器(19)からの出力との間に所定の位相差が生じるように構成したことを特徴とする、光学式エンコーダ。 - 光を放射する発光部、およびこの発光部からの光を受光する受光部を有する光学部と、
前記発光部からの光を通過させる透光部、および前記発光部からの光を遮光する非透光部を交互に多数有し、これら透光部および非透光部は、隣接方向の長さが互いに等しく、かつ、互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計が全て等しいように構成されている光制御体とを備え、
前記光学部と前記光制御体とは、前記透光部と前記非透光部との配列方向に沿って相対移動可能であり、
前記受光部は、前記光学部と前記光制御体との相対移動方向に沿って隣接配置されて順に並ぶ4個の受光素子(11a,11b,11c,11d)からなる受光素子群を任意数有するとともに、
各受光素子群における各受光素子(11a,11b,11c,11d)からの出力信号を処理する論理回路を備え、この論理回路は、1番目の受光素子(11a)からの出力と3番目の受光素子(11c)からの出力が入力される第1の比較器(18)と、2番目の受光素子(11b)からの出力と4番目の受光素子(11d)からの出力が入力される第2の比較器(19)とを備えている、光学式エンコーダであって、
前記受光素子群における前記各受光素子の配列方向の長さを互いに等しくするとともに、前記受光素子群の前記光学部と前記光制御体との相対移動方向の長さを、前記互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計との差が前記受光素子の配列方向の受光素子1個分の長さ以上となる寸法に設定することにより、
前記第1の比較器(18)からの出力と前記第2の比較器(19)からの出力との間に所定の位相差が生じるように構成したことを特徴とする、光学式エンコーダ。 - 前記受光素子群は、所定のピッチで複数設けられており、
前記所定のピッチは、前記互いに隣接する1個の透光部と1個の非透光部との隣接方向の長さの合計と等しいか、あるいはその整数倍の寸法である、請求項1または2に記載の光学式エンコーダ。
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