JP2008038041A - 塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】公害防止関連機器装置、産業廃棄物処理装置などを構成している金属基材に対して密着性や防食性、耐候性などに優れた塗料組成物を提供する。
【解決手段】成分として、以下の成分を配合する。(A)エポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン、(B)アミノ基を含有するオルガノシランオリゴマー、(C)非膨潤性の合成雲母を含有する添加剤をそれぞれ主成分とする塗料組成物。

Description

本発明は、常温硬化型の塗料組成物に関し、詳細には、硫酸、塩酸、硝酸、苛性ソーダ、アンモニアなどの腐食性液体、あるいは腐食性気体に侵されない耐久性のある塗料組成物に関する。
近年、硫酸、塩酸、硝酸、苛性ソーダ、アンモニアなどの腐食性液体や腐食性気体の存在する環境下に晒されている装置は、公害防止関連機器装置、産業廃棄物処理装置など多数存在する。
これらの環境下に設置された、これらの装置に使用されている鋼材が侵されることにより穴開きなどの損傷を来たし、公害防止関連機器装置等の寿命が短くなり各装置メーカーはその対応に苦慮している。
この様な対応として、オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を結合剤とするオルガノポリシロキサン系無機塗料が知られており、このオルガノポリシロキサン系無機塗料は、耐候性や耐汚染性に優れた塗膜を形成するもので、無機建材分野を中心として広く使用されている。
しかしながら、この無機塗料は、硫酸、塩酸、硝酸、苛性ソーダ、アンモニアなどの腐食性液体に晒されている装置への展開は、装置を構成している鋼材への密着性や、防食性が劣るという課題を有しているために、仕上げ用塗料としてのみ使用されていた。
即ち、オルガノポリシロキサン系無機塗料を使用した鋼材の塗装系は、通常、プライマーとして鋼材への密着性及び防食性に優れるエポキシ樹脂塗料を塗装し、次に、プライマー塗膜及びオルガノポリシロキサン系無機塗料の双方に密着性に優れる中塗り塗料を塗装し、その後、仕上げ塗料として、オルガノポリシロキサン系無機塗料を塗装していた。
従って、塗装工程が多く、且つ多種類の塗装材料を使用しなければならないという課題があった。
特開2003−49118号公報
本発明は、このような従来技術の課題を背景になされたもので、装置を構成している鋼材への塗装作業性を改良すべく、プライマーや中塗りそして仕上げ塗装を同一材料で行うことを可能にし、防食性、耐候性に優れた塗膜を形成する、常温硬化可能な、塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため、以下の構成により、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は以下の発明に関するものである。
(A)主剤はエポキシ基を含有するオリガノポリシキロンであり、一般式は下記で示される。
(化1)
1―〔Si(R−O−〕n−R
aR (OR)cSiO 4−a−b−c/2
1: CH−CHCHO(R)m−
\ /

2: CpH2p+1−、C
3: CqH2q+1−、H
4: ―CrH2r
n:1〜100
m:1〜10
p:1〜5
q:1〜5
r:1〜5
a,b,cは0<a<2、0<b<2、0≦c<3、0<a+b<2
主剤としては、エポキシ基を含有するオリガノポリシロキサンを少なくとも50重量%を含有しているが、その特性を補完させる機能を有する樹脂材料として、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、若しくはそれらのシリコーン変性樹脂を混合させて利用することが可能である。
(B)硬化剤は、アミノ基を含有するオルガノシランオリゴマーであり、一般式は下記で示される。
(化2)
NH−R−(NH−R−Si(OR
NH−R−(NH−R−Si(OR

CH
:−C2t
:−C2u
t:2〜5
u:3〜5
d:0〜3
(C)非膨潤性の合成雲母は、マイカを主成分とする層状構造を有し水酸基の一部がフッ素で置換されており、金属イオンを層状空間に浸透させない特徴を有している。
即ち、非膨潤性の合成雲母は、リン片状の雲母が配向しているが故に塗膜の強度アップ、ガスバリアー性の向上が行われ、耐熱性もアップする機能を有している。
添加材料として、非膨潤性の合成雲母を少なくとも50重量%含有しているが、その特性を補完する機能を有する添加材料成分として酸性或いはアルカリ性水溶液と反応しないガラス繊維、ガラス繊維粉、強化ガラス微粉、グラファイト粉、石英粉あるいはそれらの対応する燐片状、フィルム状、ウイスカー状形状を混合させて利用することが可能である。
(A)成分と(B)成分との配合割合は、前者のエポキシ当量と、後者の活性水素当量との比が、1.4〜0.8、好ましくは1.1〜0,9が適当である。
なお、(A)成分のエポキシ基と(B)成分のアミノ基が、塗装した際に反応して塗膜を硬化させるのである。
(A)成分に含有されるエポキシ基を含有するオリガノポリシロキサン以外の添加材料は、上述したようにオリガノポリシロキサンの特性を補完する役割を果たすものである。
(A)成分と(B)成分に対する(C)成分の配合割合は、0.1〜5.0で、好ましくは、0.2〜2.0が適当である。
本発明の塗料組成物を塗装する被塗物としては、ステンレス、鉄、アルミ、各種メッキ材などの金属基材が挙げられるが、無機窯業基材などの各種被塗物にも使用可能である。
本発明の塗料組成物は、被塗物表面に刷毛、スプレーや、ロール、ディッピングなどの塗装手段により塗装し、常温で硬化塗膜を形成することが可能であるが、強制乾燥や加熱硬化させても良い。
本発明の塗料組成物を塗装する被塗物として金属基材を使用する際には、その金属基材表面の前処理が非常に重要であり、ブラスト処理などが望ましいが、金属基材表面を粗面化する方法であれば、ブラスト処理に拘るものではない。
本発明の塗料組成物を塗装する際に、塗膜面にピンホールが発生する可能性がある場合には、数回塗装することが好ましい。
即ち、本発明の塗料組成物を塗装した装置の使用環境条件に応じて、塗装回数を増やすことは有効であり、且つ塗装面への下塗りの際には素地との密着性向上を考慮してアルミ粉や亜鉛粉などを添加することが好ましい。
本発明の塗料組成物を塗付する際に、例えばブラスト処理した後には速やかに下塗りすることにより密着力を向上させることができる。これはブラスト処理後の被塗装表面に凹凸が発生すると同時に金属酸化膜の除去により活性な金属面が露出し塗料組成物との反応性が向上することに起因するからである。
本発明の塗料組成物を被塗装表面に下塗りした後、更に塗装する際には十分な時間常温乾燥させてから塗装することが好ましい。数回の塗装を行う場合には、何れの塗装の場合にも一定の時間間隔を置くことが好ましい。
本発明の塗料組成物で被塗装表面を塗装する際に、塗装膜厚を厚くすると耐薬品性能は向上するが、耐熱性に不利になる場合がある。特に公害防止関連機器では3回塗りで塗装膜厚としては100から300μmが好ましい。
本発明の塗料組成物で被塗装面を塗装した際に、従来の塗料組成物よりも3〜5倍の耐久性を確認することが出来た。
本発明の塗料組成物は、公害防止関連機器装置、産業廃棄物処理装置などを構成している金属基板に対して密着性や防食性、耐候性などに優れた塗装膜を形成することが出来る。
以下、本発明について、実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中「部」「%」は、特に断らない限り質量基準で示す。
合成雲母300部、チタン酸ウイスカー50部、ガラス部50部、コバルトブラック50部の混合物を主剤であるエポキシ基含有オルガノポリシロキサン400部、アクリル変性シリコーン50部、トルエン100部の混合液に添加して、均一組成に調整するための攪拌を行う。この主剤と添加物を混合した溶液に硬化剤であるアミノ基を含有するオルガノシランオリゴマー200部を添加して、均一組成に調整するための攪拌を行う。得られた塗料組成物をブラスト処理した鉄板表面に塗装膜厚として100μm塗装して次の条件下、1.自然乾燥7日間2.自然乾燥後100℃で24時間乾燥、3.自然乾燥後200℃で24時間、4.自然乾燥後300℃で24時間乾燥した。
(比較例1)リン酸亜鉛100部、リン酸カルシウム100部、チタン白50部、カーボンブラック5部、アルキッド変性シリコーン400部、キシレン200部、リン酸0.025部を均一に混合攪拌して得られた溶液を実施例と同じように鉄板表面に100μm塗装して実施例と同じ条件で乾燥させた。
(比較例2)マイカ200部、タルク50部、鱗状グラファイト100部、エポキシ樹脂400部、反応性希釈剤100部、キシレン150部、キシレンジアミン250部を均一に混合攪拌して得られた溶液を実施例と同じように鉄板表面に100μm塗装して実施例と同じ条件で乾燥させた。
(比較例3)石英粉250部、ケイ酸ジルコニウム150部、チタン白50部、ステンレス粉100部、エチルシリケート加水分解物300部、アルキッド変性シリコーン50部、キシレン100部を均一に混合攪拌して得られた溶液を実施例と同じように鉄板表面に100μm塗装して実施例と同じ条件で乾燥させた。
実施例と比較例で得られた塗装膜の耐久試験を行った。耐久試験としては、塩水噴霧試験(38℃、10日間)、耐湿試験(50℃、10日間)、耐水試験(室温、10日間)、耐沸騰水試験(100℃、8時間)、耐酸性試験(5%塩酸水中、室温、10日間)、耐アルカリ性試験(5%苛性ソーダ水中、室温、10日間)をJIS K5600に準じて実施した。
実施例で得られた塗装膜の場合には、何れの乾燥条件を実施した場合にも錆、膨れ、剥がれは生じなかった。それ故、常温での自然乾燥で十分な塗装膜が得られることが明らかとなった。
一方、比較例1,2,3で得られた塗装膜の場合には、何れの乾燥条件で実施した場合にも錆、膨れ、剥がれが発生した。

Claims (5)

  1. 主剤としてエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン、硬化剤としてアミノ基を含有するオルガノシランオリゴマー、添加材料として非膨潤性の合成雲母をそれぞれ主成分として硬化することを特徴とする塗料組成物。
  2. 主剤としてエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを少なくとも顔料成分中50重量%を含有し、他の樹脂材料との混合物であることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
  3. 主剤を構成する他の樹脂材料がシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、若しくはソレラノシリコーン変性樹脂であることを特徴とする請求項2記載の塗料組成物。
  4. 硬化剤としてのアミノ基を含有するオルガノシランオリゴマーが、γ−アミノプロピルトリトメキシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシラン、β−アミノエチルアミノプロピルトリトメキシラン、β−アミノエチルプロピルトリエトキシランなどであるであることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
  5. 添加材料として非膨潤性の合成雲母を少なくとも顔料成分中50重量%を含有し、その他の添加材料成分として酸性或いはアルカリ性水溶液と反応しないガラス繊維、ガラス繊維粉、強化ガラス微粉、グラファイト粉、石英粉あるいはそれらの対応する燐片状、フィルム状、ウイスカー状形状を有していることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
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