JP4039850B2 - 耐候性鋼の防食法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性鋼の防食法に関し、更に詳しくは、耐候性鋼の流れ錆(赤錆)を防止し、環境に調和した様々な着色の付与を可能にし、更に省工程で長期耐候性及び防錆性を付与できる耐候性鋼の防食法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に鋼構造物は、そのコストが安いということもあって炭素鋼を使用する場合が多い。しかしながら、炭素鋼は、空気中の水分(降雨、湿気等)や酸素が鋼材表面に接触して、短期間で赤錆が発生する。この赤錆発生を防止する方法としては、塗料を塗装する方法が一般的である。この方法は、塗装の塗替を極力減らすため、耐久性の良好な塗装を施すことが一般的である。例えば、無機ジンクリッチペイント塗装→エポキシ樹脂塗料ミストコート→エポキシ樹脂塗料下塗塗装(2回)→エポキシ樹脂塗料中塗塗装→ポリウレタン樹脂塗料上塗塗装は、耐久性15年以上有する代表的な鋼材の塗装システムである。この塗装システムは、環境と調和した色彩を付与した美観及び長期の防錆性が維持できる長所がある。一方、この塗装システムでは、膜厚が厚く、更に6回塗りが必要なので、完成までに時間とコストがかかるという問題がある。そこで、最近では鋼構造物に耐食性の良い耐候性鋼を使用する場合が増加してきている。
【0003】
耐候性鋼は、一般的にP、Cu、Cr、Ni等の元素を添加した低合金鋼である。この鋼材は、屋外に於て十数年で腐食に対して保護作用のある錆(以下、「保護錆」という)を形成し、以後防錆処理作業を不要とする、いわゆるメンテナンスフリーになるといった特性を有している。
この腐食に対して保護作用は、いわゆる錆をもって錆を制すものであって、この錆は、結晶水を多量に含む無定形オキシ水酸化鉄が主体であり、これが緻密で密着性の良い保護錆の形成に寄与するものと考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐候性鋼の鋼材を無処理のままで使用すると、保護錆が形成されるまでの期間中に、赤錆や黄錆等の浮き錆や流れ錆を生じてしまい、外見的に好ましくないばかりでなく、周囲環境の汚染原因にもなると云う問題点を有していた。
また、従来例において、耐候性鋼の表面に保護錆を得るための塗装による表面処理法があるが、それでも保護錆が形成されるまでに数年間の長い期間を要し、この間に塗膜自体の白化、ふくれ、剥離といった問題点を引き起こしている。また、発生した錆を目立たなくするため色調はさび色に統一されており、炭素鋼への塗装のように環境と調和した様々な色彩を付与する配慮が全くなされていなかった。
赤錆や黄錆の発生が著しくなった既設の耐候性鋼は、そのまま放置し、保護錆が形成されるまで放置するか、又は補修する場合、通常、錆を完全に落とした後、有機ジンクリッチペイント→エポキシ樹脂塗料下塗→エポキシ樹脂塗料中塗→上塗塗料と4〜5回塗装するのが一般的であり、塗装工程が多く、時間とコストがかかる問題点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、耐候性鋼表面にアルミニウム、亜鉛及びそれらの合金からなる群より選ばれる金属の粒子(以下、単に「金属粒子」という)を含む防食塗膜を形成することで、防錆性を長期維持し、更に、耐候性の良好な有機無機複合樹脂と着色剤とを含む上塗塗料を塗装することで、耐候性を長期間維持し、更に任意の着色を可能にした、省工程の耐候性鋼の防食法を完成したものである。
即ち、本発明は、耐候性鋼表面に、アルミニウム、亜鉛及びそれらの合金からなる群より選ばれる金属の粒子を含有する、膜厚30〜80μmの防食塗膜を形成し、次いで、その上に、以下の成分、
(1)1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(成分a)と、エポキシ基と反応し得るアミノ基と、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基とを有する有機ケイ素化合物(成分b)とを反応させて得られる加水分解性基含有エポキシ樹脂(成分A)と、一般式(1)、
R1 nSi(OR2)4-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
で示されるオルガノシラン又は該オルガノシランの部分加水分解縮合物(成分B)とを加水分解縮合反応させて得られる有機無機複合樹脂(成分1)、及び
(2)着色剤(成分2)、
を含有し、かつ促進耐候性試験サンシャインウェザーメーター照射300時間後の光沢保持率が85%以上の塗膜を形成する着色有機無機複合上塗塗料を、乾燥膜厚20〜40μmとなるように塗装することを特徴とする耐候性鋼の防食法に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明に用いる耐候性鋼は、SPA材、SMA材と言われ、JIS G3141に規定されているものであり、ブラスト処理や、酸洗処理しても良いし、浮き錆のみ除去した錆が残存する耐候性鋼でも良い。
次に、本発明で使用する防食塗膜を形成するのに使用される防食塗料について説明する。
防食塗料は、バインダー樹脂、金属粒子、及び必要に応じて配合される溶媒や、分散剤、抗菌剤、ハジキ防止剤などの各種添加剤、シランカップリング剤等から構成される。塗料の形態は、溶剤系や水系、無溶剤系を問わない。
【0007】
バインダー樹脂としては、密着性がよく、また腐食原因となる水や酸素を透過しにくい樹脂を使用することが必要である。このような樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂や、変性エポキシ樹脂、湿気硬化型等のウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルシリコン樹脂、無機樹脂、エポキシシリコン樹脂等又は、これら樹脂に硬化剤を併用したものが挙げられる。
塗料に使用される金属粒子は、アルミニウム、亜鉛、又はそれらの合金からなり、腐食原因となる水や酸素が透過した場合、鋼材の替わりに腐食する、いわゆる犠牲防食作用を有しており、更に、その腐食生成物が、緻密な皮膜を形成し、水や酸素が、鋼材表面に浸透、接触することを防止する効果を有するものである。
【0008】
金属粒子の平均粒径は、例えば、2〜25μm、好ましくは、5〜15μmであることが適当である。
金属粒子は、樹脂(及び、必要に応じて、その硬化剤)100質量部に対して、例えば、5〜800質量部、好ましくは、アルミニウムもしくはアルミニウムを主成分とする合金粒子の場合、8〜200質量部、亜鉛もしくは亜鉛を主成分とする合金粒子の場合、100〜600質量部とすることが適当である。金属粒子の量が5質量部より少ないと、防錆性が不充分となり易く、800質量部を超えると、防食塗料の貯蔵安定性や各種塗膜の物理的特性が悪くなる傾向にある。
【0009】
防食塗膜は、乾燥膜厚で、30〜80μm、好ましくは、35〜60μmであることが適当である。防食塗膜の厚さが30μm未満であると、防錆性が不充分となり易く、一方、80μm越えると、垂直面に塗装した場合、塗料がタレやすく、また、乾燥が遅くなりやすい等の不具合が生じるので好ましくない。
次に、本発明で使用する着色有機無機複合上塗塗料について説明する。
着色有機無機複合上塗塗料は、有機無機複合樹脂(成分1)及び着色剤(成分2)を必須成分として含み、必要に応じて、溶媒や、無公害防錆顔料、シランカップリング剤、分散剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、ハジキ防止剤などの各種添加剤を配合することができる。着色有機無機複合上塗塗料の形態は、溶剤系や水系、無溶剤系を問わない。
【0010】
着色有機無機複合上塗塗料で使用されるバインダー樹脂としては、耐候性の良好な樹脂を使用することが必要である。具体的には、バインダー樹脂は、促進耐候性試験サンシャインウェザーメーター照射300時間後の光沢保持率が85%以上、好ましくは、90%以上(但し、上限は、例えば、100%であろう)の塗膜を形成する樹脂であることが適当である。光沢保持率が85%未満であると、塗膜に白化、フクレ、剥離等が生じるので好ましくない。
促進耐候性試験サンシャインウェザーメーターは、JIS K5400で規定されるサンシャインカーボンアーク灯式の、実際の屋外暴露と相関のある促進耐候性試験機であり、光沢保持率は、JIS K5400で規定される60度鏡面光沢度から下記の式で計算される光沢の残存の程度で評価される。
光沢保持率=(サンシャインウェザーメーター照射300時間後の光沢)×100/初期光沢(%)
【0011】
次に、着色有機無機複合上塗塗料を構成する成分について説明する。
着色有機無機複合上塗塗料に使用される有機無機複合樹脂(成分1)は、加水分解性基含有エポキシ樹脂(成分A)と、オルガノシラン又はそのオルガノシランの部分加水分解縮合物(成分B)との加水分解縮合反応させて得られたものである。
加水分解性基含有エポキシ樹脂(成分A)について
加水分解性基含有エポキシ樹脂(成分A)は、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(成分a)と、エポキシ基と反応し得るアミノ基と、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基とを有する有機ケイ素化合物(成分b)とを反応させて得られる。
【0012】
エポキシ樹脂(成分a)は、好ましくは、2個以上のエポキシ基を有すること適当である。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100〜1500、好ましくは、300〜800の範囲内にあることが適当である。
エポキシ樹脂(成分a)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが好適ものとして選ばれる。エポキシ樹脂(成分a)は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0013】
有機ケイ素化合物(成分b)は、分子内にアミノ基と、ケイ素原子に直接結合した加水分解縮合反応の可能な基とを有し、主として初期乾燥性を向上させるために配合するものである。
このような有機ケイ素化合物(成分b)としては、具体的には、一般式(1)、
(R5−NH−R4−)n(R6)mSi(OR3)4-n-m
(式中、R3及びR6は、炭素数1〜5のアルキル基であり、R4は、炭素数1〜5のアルキレン基であり、R5は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又は置換若しくは未置換のアミノ基であり、nは、1又は2であり、mは、0又は1である。)で示されるアミノ基含有アルコキシシランを使用することが好ましい。
【0014】
R3及びR6としてのアルキル基は、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基が好適に挙げられる。好ましいアルキル基は、炭素数が1〜2個のものである。
R4としてのアルキレン基は、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基や、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
【0015】
R5としての炭素数1〜5のアルキル基は、上記R3及びR6の場合と同様である。また、R5としてのシクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基や、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、R5としてのアリール基としては、例えば、フェニル基や、ナフチル基等が好適に挙げられる。更に、R5としてのアミノ基としては、アミノ基中の水素原子の一方又は両方が、例えば、上記炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものが好適なものとして挙げられる。上記各官能基は、任意に置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子や臭素原子、フッ素原子等)や、(メタ)アクリロイル基、脂環式基等が挙げられる。
具体的には、アミノ基含有アルコキシシランとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−シクロへキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどが代表的なものとして挙げられる。
【0016】
有機ケイ素化合物は、エポキシ樹脂(成分a)におけるエポキシ(EP)基と、該有機ケイ素化合物(成分b)におけるアミノ(N−H)基との当量比が、EP基/N−H基=2/1〜10/9又はEP基/N−H基=1/2〜9/10であることが好ましい。
有機ケイ素化合物(成分b)の量が、前記範囲よりも多すぎると、重合安定性や樹脂の貯蔵安定性が悪くなるので好ましくない。
加水分解性シリル基含有エポキシ樹脂(成分A)は、エポキシ樹脂(成分a)と、有機ケイ素化合物(成分b)とを混合し、例えば、40〜80℃、好ましくは、45〜65℃で、例えば、2〜10時間撹拌しながら、エポキシ開環付加反応をさせることによって、調製することができる。但し、加水分解性シリル基含有エポキシ樹脂(成分A)の製造方法は、この方法に限定されるものではない。
【0017】
成分aと、成分bとの比率は、第一範囲として、エポキシ(EP)基とアミノ(N−H)基の当量比が、EP基/N−H基=2/1〜10/9であり、第二範囲として、EP基とN−H基の当量比が、EP基/N−H基=1/2〜9/10であり、好ましくは、2/1〜5/4又は1/2〜4/5である。EP基/N−H基=2/1より大きい場合、及びEP基/N−H基=1/2より小さい場合には、塗膜の光沢が低くなり易い。EP基/N−H基が、10/9と9/10との間では、後述するオルガノシラン又はオルガノシランの部分加水分解縮合物との反応時にゲル化し易くなり、好ましくない。
【0018】
オルガノシラン又はそのオルガノシランの部分加水分解縮合物(成分B)について
オルガノシランは、一般式(2)、R1 nSi(OR2)4-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕で示される。
上記式において、R1としての有機基としては、例えば、アルキル基や、シクロアルキル基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。
ここで、アルキル基としては、直鎖でも分岐したものでもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基は、炭素数が1〜4個のものである。
【0019】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が好適に挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基や、ナフチル基等が好適に挙げられる。
上記各官能基は、任意に置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子や臭素原子、フッ素原子等)、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、脂環式基等が挙げられる。
R1として好ましい基は、エポキシ樹脂との相溶性に優れるフェニル基である。
【0020】
R2としてのアルキル基としては、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基やエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましいアルキル基は、炭素数が1〜2個のものである。
上記一般式(2)におけるR1は、前記オルガノシラン又はオルガノシランの部分加水分解縮合物の全オルガノシランモノマーの10%以上、好ましく、
20%以上が、フェニル基であるものが好適である。フェニル基の量が、10%以上であると、エポキシ樹脂との相溶性にすぐれたものとなる。なお、フェニル基の量は、最大、例えば、90%程度が適当である。
【0021】
上記式(2)で示されるオルガノシランの具体例としては、メチルトリメトキシシランや、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
【0022】
γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジプロポキシシランなどが挙げられるが、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランである。
【0023】
オルガノシランの部分加水分解縮合物は、上記オルガノシランの単独又は2種以上の混合物の部分加水分解縮合物である。該縮合物は、ポリスチレン換算重量平均分子量が、例えば、300〜5000、好ましくは、500〜4200のものが適当である。
このような縮合物を使用することにより、貯蔵安定性がよく、密着性のよい塗膜が得られる。
このような縮合物の具体例としては、市販品として、東レ・ダウコーニング社製のSR2402や、DC3037、DC3074;信越化学工業社製のKR−211や、KR−212、KR−213、KR−214、KR−216、KR−218;東芝シリコーン社製のTSR−145や、TSR−160、TSR−165、YR−3187等が挙げられる。
【0024】
次に、本発明の主剤成分となる有機無機複合樹脂(成分1)の製造方法について説明する。
有機無機複合樹脂(成分1)は、加水分解性基含有エポキシ樹脂(成分A)を、オルガノシラン又はオルガノシランの部分加水分解縮合物(成分B)と、水、場合によれば、触媒の存在下で、加水分解及び縮合反応させる。成分Aと成分Bとの混合割合は、前者100質量部に対して、後者を例えば、10〜200質量部、好ましくは、15〜100質量部で使用することが適当である。成分Aが上記の範囲より多いと、得られる塗膜の外観や、耐クラック性、耐凍害性、耐アルカリ性等が悪くなり易く、逆に少なすぎると、得られる塗膜の耐候性、耐汚染性等が悪くなるので、好ましくない。
また、水の量は、成分A及び成分Bの混合物中に初期に存在していた加水分解性基の、例えば、45〜100%、好ましくは、50〜90%が加水分解及び縮合反応するのに充分な量であり、具体的には前記混合物中の加水分解性基総数の、例えば、0.4〜1.0倍、好ましくは、0.5〜0.9倍のモル数となる量が適当である。
【0025】
加水分解縮合反応は、上記成分の混合物を、水、場合により、触媒の存在下で、例えば、40〜80℃、好ましくは、45〜65℃で、例えば、2〜10時間撹拌しながら反応させる方法が適当であるが、この方法に限定されるものではない。
使用される反応触媒としては、例えば、トリメトキシボランや、トリエトキシボラン等のトリアルコキシボラン;トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物、ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物、モノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム等のアルミニウムキレート化合物などの有機金属化合物が挙げられる。
【0026】
成分A及び成分Bの反応によって得られた有機無機複合樹脂(成分1)は、加水分解縮合反応で生成するアルコール分により、又はそのアルコール分と必要に応じて添加する後記有機溶媒とにより、溶液状態で合成することができる。
着色剤(成分2)について
本発明で使用される着色有機無機複合上塗塗料に配合される、要望に合致した着色を施すための着色剤としては、塗料の分野において、着色のために使用されているものは、特に制限されることなく適宜使用することができる。このような着色剤としては、具体的には、二酸化チタンや、酸化亜鉛等の白色顔料、カーボンブラック、黒鉛等の黒色顔料、モリブデートオレンジ、パーマネントカーミン、キナクリドンレッド等の赤色顔料、キノフタレンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等の緑、青顔料等の通常塗料用に使用されている各色の顔料が代表的なものとして挙げられる。更に、体質顔料も併用してもよい。
着色剤は、その種類によっても異なるが、有機無機複合樹脂100質量部に対して、例えば、0.1〜70質量部、好ましく、1〜50質量部の量で添加することが適当である。
【0027】
任意配合成分について
本発明の着色有機無機複合上塗塗料には、必要に応じて、各種の成分を適宜配合することができる。
このような任意成分としては、例えば、無公害防錆顔料や、シランカップリング剤、アミノ基含有化合物等が好適に挙げられる。
無公害防錆顔料としては、下層を構成する防食塗膜中の金属粒子の溶出速度を調整し、それにより、耐候性鋼に対する長期防錆性を向上させるため配合するため配合されるものであり、例えば、リン酸アルミニウムや、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、ハイドロカルマイト等の好適に挙げられる。無公害防錆顔料は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。但し、クロム系、鉛系防錆顔料は毒性の観点から好ましくない。
【0028】
無公害防錆顔料は、有機無機複合樹脂100質量部に対して、例えば、1〜80質量部、好ましくは、5〜60質量部の量で添加することが適当である。無公害防錆顔料の量が、1質量部未満では、防錆性が不充分となり易く、一方、80質量部を越える場合は、塗料安定性が悪くなる傾向にある。
シランカップリング剤としては、下層を構成する防食塗膜の粒子と複合化し、防食塗膜と着色有機無機複合上塗塗料塗膜との密着性を向上させるため配合するものであり、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシランや、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチル、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン等が代表的なものとして挙げられる。
【0029】
特に、分子内にエポキシ基を含有するシランカップリング剤は、EP基/N−H基=1/2〜9/10で得られた有機無機複合樹脂に残存するアミノ基と反応し、更に、有機無機複合樹脂の加水分解性シリル基と、水分が加水分解縮合反応を起こさせ、高架橋塗膜を形成させることによって、耐水性と基材への密着性を向上させるために配合するものである。
このようなシランカップリング剤の具体的としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロぺニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロぺニルオキシシランとグリシドールとの付加物などのエポキシ基含有シランカップリング剤が代表的なものとして挙げられる。
【0030】
シランカップリング剤は、有機無機複合樹脂100質量部に対して、例えば、0〜20質量部、好ましくは、1〜5質量部の量で添加することが適当である。シランカップリング剤の量が20質量部を越えると、塗料安定性が低下する傾向にある。
アミノ基含有化合物は、上記有機無機複合樹脂中に残存するエポキシ基と反応する硬化剤として、又は、該有機無機複合樹脂中に残存する加水分解性シリル基と空気中の水分とが加水分解縮合反応を起こす際の反応触媒として配合することが好ましい。
【0031】
このようなアミノ基含有化合物としては、例えば、脂肪族又は脂環族のアミンアダクトや、マンニッヒ化合物、ケチミン化合物等が好適なものとして挙げられる。
このような脂肪族又は脂環族のアミンとしては、例えば、三和化学工業(株)製のサンマイドD−1100や、TX−983、大都産業(株)製のダイクラールB1969等のアミンを好適に挙げることができる。
脂肪族又は脂環族のアミンのアダクトとしては、例えば、ジエチレントリアミンや、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂肪族又は脂環族アミンと、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物やアルキレンオキサイドとのアダクトを好適に挙げることができる。
【0032】
脂肪族又は脂環族のマンニッヒ化合物としては、上記脂肪族又は脂環族アミンと、フェノール類、ホルムアルデヒドとを反応させて得られるマンニッヒ化合物が好適に挙げられる。
脂肪族又は脂環族のケチミン化合物としては、上記脂肪族又は脂環族アミンと、ケトン化合物とを反応させて得られるケチミン化合物が好適に挙げられる。
アミノ基含有化合物の市販品としては、具体的には、三和化学工業(株)製のサンマイドD−1100、TX−983や大都産業(株)製のダイクラールB1969などが好適に挙げられる。
【0033】
着色有機無機複合上塗塗料は、乾燥膜厚20〜40μm、好ましくは、25〜35μmで塗装することが適当である。膜厚が20μm未満であると、隠蔽性や耐候性が不充分となる。一方、膜厚が40μmを越えると、発泡や、硬化不良が生じ易くなり、また垂直面に塗装した場合、塗料がたれる等の不具合が生じ易い。
【0034】
次に、耐候性鋼の塗装方法について述べる。
使用する耐候性鋼表面に浮き錆が発生している場合には、ワイヤーブラシ等で浮き錆のみを除去する。耐候性鋼に固着した赤錆や、黄錆等の錆は、問題ないが、浮き錆は、塗膜が浮き錆とともに剥離し易く、そのための前処理としてそれを除去する必要がある。
このような前処理を必要に応じて行った耐候性鋼に対して、防食塗料をハケ、スプレー、ローラー等の手段で、乾燥膜厚が30〜80μmとなるように塗装し、必要に応じて、自然乾燥もしくは100℃以下の温度で強制乾燥させることができる。次いで、防食塗膜の上に、有機無機複合上塗塗料を同様な手段で乾燥膜厚が20〜40μmとなるように塗装し、同様にして乾燥させる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明について、実施例及び比較例により、更に詳細に説明する。
尚、実施例中の「部」、「%」は、特に断らない限り、質量基準で示す。
【0036】
有機無機複合樹脂の調製
合成例1
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エピコート828EL(油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量185)100部、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル50部、及びキシレン50部を仕込んだ後、室温で撹拌下、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン40部を1時間で滴下した後、更に60℃まで昇温し、同温度で3時間撹拌を続けた。次に、フェニルトリメトキシシランの部分加水分解共縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のDC3074、固形分100%)25部及びメチルトリメトキシシラン8部を加え、混合した後、イオン交換水5.3部及びイソプロピルアルコール5部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、トリエトキシボラン0.5部を加え、更に60℃で3時間撹拌を続け、固形分55%、エポキシ当量1700(ワニス値)の有機無機複合樹脂(a)を得た。なお、有機無機複合樹脂の反応の際のEP基/N−H基は、3/1であった。
【0037】
合成例2
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エピコート1001X70(油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量320)100部及びプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル35部を仕込んだ後、室温で撹拌下、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン18部を1時間で滴下した後、更に60℃まで昇温し、同温度で3時間撹拌を続けた。次に、フェニルトリメトキシシランの部分加水分解共縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のDC3037、固形分100%)25部及びメチルトリメトキシシラン5部を加え、混合した後、イオン交換水3部及びイソプロピルアルコール5部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.3部を加え、更に60℃で3時間撹拌を続け、固形分55%、エポキシ当量1300(ワニス値)の有機無機複合樹脂(b)を得た。なお、有機無機複合樹脂の反応の際のEP基/N−H基は、2.5/1であった。
【0038】
合成例3
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エピコート1001X70(油化シェルエポキシ社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量320)100部、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル45部及びキシレン10部を仕込んだ後、室温で撹拌下、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン50部を1時間で滴下した後、更に60℃まで昇温し、同温度で3時間撹拌を続けた。次に、フェニルトリメトキシシランの部分加水分解共縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のDC3037、固形分100%)15部、ジメチルジメトキシシランを5部及びフェニルトリメトキシシラン3部を加え、混合した後、イオン交換水5.7部及びイソプロピルアルコール10部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.3部を加え、更に60℃で3時間撹拌を続け、固形分55%、活性水素当量1800(ワニス値)の有機無機複合樹脂(c)を得た。なお、有機無機複合樹脂の反応の際のEP基/N−H基は、5/5であった。
【0039】
着色有機無機複合上塗塗料用樹脂溶液の調製
以下の表1に示す有機無機複合樹脂I又はエポキシ樹脂IIを60℃で3時間加熱撹拌した後、表1に示す成分III及びIVを20℃以下で加え、均一溶液となるまで撹拌を続け、樹脂溶液を調製した。
【0040】
<表1> 塗料用樹脂溶液の組成
(単位:部)
サンマイドD−1100は、硬化剤である。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、シランカップリング剤である。
【0041】
実施例1
アルミナブラスト処理を施した、平均表面粗さ30μm及び大きさ3×100×300(mm)を有する、JIS G3141に規定された耐候性鋼(SMA400)表面に、下記の組成を有するエポキシ樹脂系防食塗料を乾燥膜厚50μmになるよう一回塗装し、1日間自然乾燥させた。次いで、得られた防食塗膜の上に、下記組成を有する着色有機無機複合上塗塗料を乾燥膜厚が35μmになるよう一回塗装し、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。得られた塗装鋼について、耐候性及び防食性を評価し、その結果を表2に示した。
【0042】
〔防食塗料〕
<主剤成分>
エポキシ樹脂溶液注 1) 200.0部
亜鉛粒子(平均粒径5μm) 800.0部
キシレン 75.0部
注1)エポキシ当量450のビスフェノールA型エポキシ樹脂、
固形分 70%
<硬化剤成分>
ポリアミドアミン樹脂溶液注 2) 101.6部
キシレン 172.4部
注2)アミン価75mgKOH/g、固形分65%
【0043】
〔着色有機無機複合上塗塗料〕
表1で示した樹脂溶液1 120.0部
トリポリリン酸アルミニウム 18.0部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 6.4部
ジブチルスズジラウレート 4.0部
キナクリドンレッド 32.3部
【0044】
実施例2
実施例1で使用したものと同一耐候性鋼(SMA400)表面に、下記組成を有する湿気硬化型ウレタン樹脂系防食塗料を乾燥膜厚50μmになるよう一回塗装し、1日間自然乾燥させた。次いで、得られた防食塗膜の上に、下記組成を有する着色有機無機複合上塗塗料を乾燥膜厚35μmになるよう一回塗装し、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。得られた塗装鋼について、耐候性及び防食性を評価し、その結果を表2に示した。
【0045】
〔防食塗料〕
キシレン樹脂注 3) 39.0部
芳香族ポリイソシアネート注 4) 91.0部
亜鉛粒子(平均粒径8μm) 770.0部
脱水剤 注 5) 16.0部
キシレン 680.0部
注3)三菱瓦斯化学工業(株)社製商品名「ニカノール3L」
(キシレン/ホルムアルデヒド樹脂)
注4)住友バイエルウレタン(株)社製商品名「スミジュールE21−1」
注5)住友バイエルウレタン(株)社製商品名「アディティブTI」
(トシルイソシアネート)
〔着色有機無機複合上塗塗料〕
表1で示した樹脂溶液2 120.0部
シアナミド亜鉛 23.5部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 6.4部
ジブチルスズジラウレート 4.0部
キナクリドンレッド 32.3部
【0046】
参考例1
実施例1で使用したものと同一耐候性鋼(SMA400)表面に、下記組成を有するエポキシ樹脂系防食塗料を乾燥膜厚50μmになるよう一回塗装し、1日間自然乾燥させた。次いで、得られた防食塗膜の上に、下記組成を有する着色有機無機複合上塗塗料を乾燥膜厚35μmになるよう一回塗装し、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。得られた塗装鋼について、耐候性及び防食性を評価し、その結果を表2に示した。
【0047】
〔防食塗料〕
<主剤成分>
エポキシ樹脂溶液注 6) 200.0部
アルミニウムペースト注 7) 35.6部
ミネラルスピリット 200.0部
注6)エポキシ当量210のビスフェノールA型エポキシ樹脂、固形分100%
注7)アルミニウム粒子の平均粒径12μm、固形分75%
<硬化剤成分>
ポリアミドアミン樹脂溶液注 8) 102.8部
キシレン 69.6部
注8)アミン価255mgKOH/g、固形分76%
【0048】
〔着色有機無機複合上塗塗料〕
表1で示した樹脂溶液3 100.0部
亜リン酸亜鉛 8.0部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 10.5部
キノフタレンイエロー 32.0部
ジブチルスズジラウレート 3.8部
【0049】
参考例2
5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼(SMA400)表面を、ワイヤーブラシで浮き錆を軽く除去した後、参考例1で使用したものと同一のエポキシ樹脂系防食塗料を乾燥膜厚50μmになるよう一回塗装し、1日間自然乾燥させた。次いで、得られた防食塗膜の上に参考例1で使用したものと同一の着色有機無機複合上塗塗料を乾燥膜厚35μmになるよう一回塗装し、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。得られた塗装鋼について、耐候性及び防食性を評価し、その結果を表2に示した。
【0050】
実施例3
参考例2で使用したものと同一の耐候性鋼表面をワイヤーブラシにて軽く浮き錆を除去した。次いで、該耐候性鋼表面に、実施例1で使用したものと同一のエポキシ樹脂系防食塗料を乾燥膜厚50μmになるよう一回塗装し、1日間自然乾燥させた。次いで、得られた防食塗膜の上に、実施例1で使用したものと同一の着色有機無機複合上塗塗料を乾燥膜厚が35μmになるよう一回塗装し、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。得られた塗装鋼について、耐候性及び防食性を評価し、その結果を表2に示した。
【0051】
比較例1
実施例1で使用したものと同一の耐候性鋼(SMA400)表面に、金属粒子を使用しない以外は実施例1で使用したものと同一の防食塗料を塗装し、乾燥させ、更に、無公害防錆顔料及びシランカップリング剤を含有しない下記組成を有するエポキシ上塗塗料を乾燥膜厚が35μmになるよう一回塗装し、7日間自然乾燥させた。得られた塗装鋼について、耐候性及び防食性を評価し、その結果を表2に示した。
【0052】
〔上塗塗料〕
表1で示した樹脂溶液4 140.0部
ジブチルスズジラウレート 2.0部
キナクリドンレッド 32.3部
【0053】
比較例2
実施例1で使用したものと同一の耐候性鋼を、全く塗装しないで、耐候性及び防食性評価し、その結果を表2に示す。
【0054】
比較例3
参考例2で使用したものと同一の耐候性鋼を、ワイヤーブラシで浮き錆を除去し、全く塗装しないで、耐候性及び防食性評価し、その結果を表2に示す。
【0055】
<表2> 耐候性、防食性評価結果及び色味、光沢保持率
注9) サンシャインウェザーメーター300時間後の光沢保持率(%)
注10) 屋外暴露1年
注11) 塩水噴霧試験1000時間
【0056】
上記表2からも明らかな通り、本発明の実施例においては、耐候性鋼を任意に着色でき、また、耐候性鋼に対して、優れた耐候性及び防食性を付与することができた。これに対して、金属粒子を全く含有しない防食塗料を塗料した比較例1、無塗装の比較例2及び比較例3では、いずれも赤錆が発生した。
【0057】
【発明の効果】
本発明により、防錆性及び耐候性を長期間保持し、更に任意の着色を可能にした、省工程の耐候性鋼の防食法が得られる。
Claims (4)
- 耐候性鋼表面に、亜鉛及びその合金からなる群より選ばれる金属の粒子を、樹脂100質量部に対して100〜600質量部の量で含有する、膜厚30〜80μmの防食塗膜を形成し、次いで、その上に、以下の成分、
(1)1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(成分a)と、エポキシ基と反応し得るアミノ基と、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基とを有する有機ケイ素化合物(成分b)とを反応させて得られる加水分解性基含有エポキシ樹脂(成分A)と、一般式(1)、
R1 nSi(OR2)4-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
で示されるオルガノシラン又は該オルガノシランの部分加水分解縮合物(成分B)とを加水分解縮合反応させて得られる有機無機複合樹脂(成分1)、
(2)着色剤(成分2)、
(3)シランカップリング剤(成分3)、及び
(4)無公害防錆顔料(成分4)、
を含有し、かつ促進耐候性試験サンシャインウェザーメーター照射300時間後の光沢保持率が85%以上の塗膜を形成する着色有機無機複合上塗塗料を、乾燥膜厚20〜40μmとなるように塗装することを特徴とする耐候性鋼の防食法。 - 前記1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(成分a)におけるエポキシ(EP)基と、前記有機ケイ素化合物(成分b)におけるアミノ(N−H)基との当量比が、EP基/N−H基=2/1〜10/9又は9/10〜1/2である請求項1に記載の防食法。
- 前記1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(成分a)が、100〜1500の範囲内のエポキシ当量を有する請求項1に記載の防食法。
- 前記耐候性鋼が、浮き錆のみ除去した錆が残存する耐候性鋼である請求項1に記載の防食法。
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