JP2008032396A - 高温炉内壁面観察方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1100℃以上の高温状態にある炉内壁面の状況を鮮明に観察することができ、しかも操作が簡単で、大きな凹凸変化のない壁面異常をも確実に観察することができる高温炉内壁面観察方法を提供する。
【解決手段】高温の炉内壁面に向けてレーザ端子4とCCDカメラ3とを設置し、パルス式YAGレーザ光源から得られた波長が532nmの拡散レーザ光を、その拡散レーザ光が照射された壁面面積当たりのパワーが0.5W/m2以上となる輻射密度で照射する。炉内壁面からの反射光をCCDカメラ3により撮影すれば、常温での目視観察に近い画像を得ることができる。
【選択図】図2
【解決手段】高温の炉内壁面に向けてレーザ端子4とCCDカメラ3とを設置し、パルス式YAGレーザ光源から得られた波長が532nmの拡散レーザ光を、その拡散レーザ光が照射された壁面面積当たりのパワーが0.5W/m2以上となる輻射密度で照射する。炉内壁面からの反射光をCCDカメラ3により撮影すれば、常温での目視観察に近い画像を得ることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、1100℃以上の高温状態にある炉内壁面の損傷状態等を鮮明に観察することができる高温炉内壁面観察方法に関するものである。
例えば製鉄用の高炉に熱風を供給する熱風炉は、炉内温度が1200℃に達する。このために耐火物の損傷を定期的に観察し、亀裂や目開きが進行した場合には補修することが望ましい。
ところがこのような高温の炉内壁面は熱放射光を発し、1200℃では白熱状態となるため、単に目視観察やCCDカメラによる撮影を行っても、高温の壁面からの強い熱放射光がノイズとなって炉内壁面の状態を観察することは不可能である。そこで出願人は特許文献1に示すように、高輝度の集魚灯(イカライト)により炉内壁面を照射しながら炉内壁面を観察する方法を開発したが、炉内温度が1100℃を越えると画像が不鮮明になり、亀裂の判別が行いにくくなるという問題があった。
なお、高温炉内壁面の観察方法として、特許文献1には波長が532nmのグリーンレーザ光をスリット光として壁面に照射し、フィルタを介して撮影された画像とフィルタを介さず撮影された画像とを合成して、スリット光の歪みから壁面の凹凸を検出する方法が開示されている。しかしこの方法は操作が煩雑であるうえ、スリット光の歪みを利用する方法であるから、大きな凹凸がない壁面の微細亀裂などは検出できないという問題があった。またフィルタを駆動するための電動シリンダが内部に組み込まれた観察装置を用いるため、比較的低温度域でしか使用することができず、1000℃以上の高温領域では観察不能であった。
特開2002-90124号公報
本発明は上記した従来の問題点を解決し、1100℃以上の高温状態にある炉内壁面の状況を鮮明に観察することができ、しかも操作が簡単で、大きな凹凸変化のない壁面異常をも確実に観察することができる高温炉内壁面観察方法を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するためになされた本発明は、高温の炉内壁面に向けて、波長が532nmの拡散レーザ光を、その拡散レーザ光が照射された壁面面積当たりのパワーが0.5W/m2以上となる輻射密度で照射し、炉内壁面からの反射光をCCDカメラにより撮影することを特徴とするものである。なお、炉壁に設けた観察窓の外部にレーザ端子とCCDカメラを設置して観測を行う方法、あるいは炉壁または炉天井に設けた観察窓から、レーザ端子とCCDカメラとを備えた観察装置を炉内に挿入して観測を行う方法を取ることができる。レーザ光源としては、パルス式YAGレーザ光源を使用することが好ましい。
本発明によれば、波長が532nmの拡散レーザ光を壁面面積当たりのパワーが0.5W/m2以上となる輻射密度で照射し、反射光をCCDカメラにより撮影する。高温の炉内壁面からはボルツマンの黒体輻射の法則に従って熱放射光が放射されているが、532nmの波長域では黒体輻射密度は比較的低く、0.5W/m2以上のパワーを持つ拡散レーザ光を照射しその反射光を観察すれば、常温観察に近い鮮明な壁面画像を得ることができる。このため、常温で炉内を撮影した場合と同様、大きな凹凸変化のない壁面異常をも複雑な操作を要することなく観察することができ、従来は発見不可能であった微細な亀裂をも早期に発見することが可能となった。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本発明においては、例えば図1に示すような観察装置1を用い高温の炉内壁面の観察を行う。図1の観察装置1はジャケット構造の水冷筒2の内部にCCDカメラ3を設置するとともに、その両側にレーザ端子4を配置したものである。レーザ端子4は光ケーブル5を介して図示を略したレーザ光源に接続されており、水冷筒2の先端開口6から前方にレーザ光を照射する。レーザ光源については後述する。CCDカメラ3はズーム機能を備えたものであることが好ましく、先端開口6から前方の画像を撮影する。
本発明においては、例えば図1に示すような観察装置1を用い高温の炉内壁面の観察を行う。図1の観察装置1はジャケット構造の水冷筒2の内部にCCDカメラ3を設置するとともに、その両側にレーザ端子4を配置したものである。レーザ端子4は光ケーブル5を介して図示を略したレーザ光源に接続されており、水冷筒2の先端開口6から前方にレーザ光を照射する。レーザ光源については後述する。CCDカメラ3はズーム機能を備えたものであることが好ましく、先端開口6から前方の画像を撮影する。
図2は上記観察装置を用いて炉内温度が1200℃の熱風炉20の炉内壁面を観察する様子を示す図であり、ここではドームレンガ21を観察している。ドームの反対側の炉壁22に設けた観察窓23の外部に、レーザ端子4とCCDカメラ3を備えた観察装置1を設置し、観測を行っている。
前記したように、炉内温度が1100℃を越えると炉内壁面からの熱放射光のノイズが大きくなるため、単にCCDカメラ3で炉内壁面を撮影しても鮮明な画像を得ることができない。そこで本発明では、レーザ光源7としてパルス式YAGレーザ光源を使用し、波長が532nmのレーザ光を必要範囲に拡散させて照射する。しかも拡散レーザ光が照射された壁面面積当たりのレーザ光のパワーが、0.5W/m2以上となる輻射密度で照射する。
図3は波長と光強度との関係を示すグラフであり、炉内壁面からの熱放射光の強度は図示のような曲線分布を示す。532nmの波長では熱放射光の強度が比較的低いため、レーザ光のパワーを0.5W/m2以上とすれば、炉内壁面からの熱放射光のパワーレベルを上回り、レーザ光線が照射された炉内壁面からの反射光をCCDカメラ3で撮影することにより、鮮明な画像を得ることができる。壁面面積当たりのレーザ光のパワーを0.5W/m2以上とするには、レーザ光源7を大型化したり、複数のレーザ光源7を組み合せ、複数のレーザ端子4から同一部位に向けて照射するなどの手段を採用すればよい。なお、CCDカメラ3への入射光は狭帯域フィルタを通し、532nmの波長の光線だけの画像とすることが好ましい。
レーザ光源には各種のものが存在するが、0.5W/m2以上のパワーを実用的に達成できるものは、YAGレーザ、He-Neレーザ、CO2レーザ等に限定される。YAGレーザには波長が1064nm、532nm(第2高調波)、355nm(第3高調波)、266nm(第4高調波)等のものが存在するが、355nmと266nmはパワー不足であって、現在のところ実用的ではない。またYAGレーザのうち波長が1064nmのものは、熱放射光の強度が高い領域となるうえ、解像度も低下するためやはり好ましくない。He-Neレーザは波長が632.8nmであるために解像度の点でYAGレーザが勝り、CO2レーザは波長が10.6μmであるので熱放射光の強度が高い領域となるうえ、解像度も低下するので好ましくない。これらの理由から、本発明ではパルス式YAGレーザ光源からの波長が532nmのレーザ光を使用する。
このようにしてCCDカメラ3で撮影された画像は、レンガの目開きがクリアーに確認できただけではなく、表面に微細な亀裂や付着物も確認でき、さらにレンガのずれ落ちによる下段段差の発生も鮮明に確認でき、常温での目視観察に近い画像であった。なお、同一部位を特許文献1に示される高輝度の集魚灯を用いた方法で観察した場合には、レンガの1mmの目地がかろうじて確認できる程度の画像しか得られなかった。
上記した図2の実施形態では、観察対象であるレンガ21とは反対側の炉壁22に設けた観察窓23に観察装置1を設置したため、ドーム直径が10m前後となると観察対象とCCDカメラ3との間の距離が大きくなる。そこで図4に示す第2の実施形態では、炉天井24に設けた観察窓23から、観察装置11を炉内に挿入して観測を行う。
この場合の観察装置11は、図4に示すように水冷筒2の内部にCCDカメラ3を設置するとともに、その両側にレーザ端子4を配置し、さらにその先端側に反射鏡12を配置したものである。反射鏡12の背面にはケーブル13によってスライドさせることができる角度調整部材14が配置されており、反射鏡12の角度を調整可能である。水冷筒2の先端部の側壁には開口15が設けられており、レーザ端子4から照射されたレーザ光線は反射鏡12によりほぼ直角に反射され、開口15から炉内壁面に向けられる。また炉内壁面からの反射光は反射鏡12で反射され、CCDカメラ3により撮影される。
この第2の実施形態の方法によれば、観察対象とCCDカメラ3との間の距離を接近させることができるので、より明確に異常の有無を観察することが可能となる。
なお本発明は実施形態に示したような熱風炉のみならず、コークス炉その他の各種窯炉の炉壁観察に広く適用することができる。
1 観察装置
2 水冷筒
3 CCDカメラ
4 レーザ端子
5 光ケーブル
6 先端開口
7 レーザ光源
11 観察装置
12 反射鏡
13 ケーブル
14 角度調整部材
15 開口
20 熱風炉
21 ドームレンガ
22 炉壁
23 観察窓
24 炉天井
2 水冷筒
3 CCDカメラ
4 レーザ端子
5 光ケーブル
6 先端開口
7 レーザ光源
11 観察装置
12 反射鏡
13 ケーブル
14 角度調整部材
15 開口
20 熱風炉
21 ドームレンガ
22 炉壁
23 観察窓
24 炉天井
Claims (4)
- 高温の炉内壁面に向けて、波長が532nmの拡散レーザ光を、その拡散レーザ光が照射された壁面面積当たりのパワーが0.5W/m2以上となる輻射密度で照射し、炉内壁面からの反射光をCCDカメラにより撮影することを特徴とする高温炉内壁面観察方法。
- 炉壁に設けた観察窓の外部に、レーザ端子とCCDカメラを設置して観測を行うことを特徴とする請求項1記載の高温炉内壁面観察方法。
- 炉壁または炉天井に設けた観察窓から、レーザ端子とCCDカメラとを備えた観察装置を炉内に挿入して観測を行うことを特徴とする請求項1記載の高温炉内壁面観察方法。
- レーザ光源として、パルス式YAGレーザ光源を使用することを特徴とする請求項1記載の高温炉内壁面観察方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006202743A JP2008032396A (ja) | 2006-07-26 | 2006-07-26 | 高温炉内壁面観察方法 |
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- 2006-07-26 JP JP2006202743A patent/JP2008032396A/ja active Pending
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