JP5371204B2 - 高温物体の観察装置及び観察方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属の精錬・結晶の合成・火炎加水分解反応など、数百度から数千度の範囲からなる高温領域において、試料やその合成/反応プロセスを直接観察する、高温物体の観察装置及び観察方法に関する。
従来、高温の材料やその合成・反応プロセス等を直接画像として捕らえる際には、観察対象(試料やその合成/反応プロセス)と撮像装置との間に熱線除去フィルタ(赤外線除去フィルタ)を配置し、輻射光を除去して画像を得る方法が多くとられてきた(第一の方法:例えば、特許文献1参照)。ここで、撮像装置(カメラ)の種類は銀塩反応等による感光フィルムカメラであっても、あるいはCCDやCMOSといった感光素子を用いた電子カメラであっても良い。
すなわち、この方法は、輻射光によりカメラ等の装置の損傷を防ぐと同時に、輻射光の長波長成分を除去し、感光材料/感光素子が輻射の長波長により感光し、映像の明瞭さ・コントラストが損なわれるのを防止している。しかしながら、これは(人間の)目視で確認される像に近い画像を得るための手段であり、より高温の場合(例えば400〜500℃程度以上に熱された材料は可視光領域の長波長側=赤色=の輻射を持つ)には、目視及び熱線除去フィルタを用いた撮影のいずれにおいても、輻射により像のコントラストが劣化するという問題があった。
そこで、より高温の材料・プロセスを観察する際、ブルーフィルタ(青色透過フィルタ)を使用して、可視光領域も赤色側の輻射光を除去してより鮮明な画像を得る方法や(第二の方法:例えば、特許文献2参照)、さらに高温の場合に、赤色側の輻射光をフィルタで除去しつつ、(フィルタの)青色のレーザー光等を照射して照明光として用いる方法などが提案されている(第三の方法:例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの方法には、以下のような問題点があった。
まず、前記第一の方法は、人間の目視で確認される像に近い画像を得るための手段であり、より高温の場合(例えば、400〜500℃程度以上に熱された材料は可視光領域の長波長側=赤色=の輻射を持つ)には、目視及び熱線除去フィルタを用いた撮影のいずれにおいても、輻射により像のコントラストが劣化するという問題があった。
図10に、高温(1500℃以上)における輻射光のスペクトル密度を示す。参考までに、1000℃の場合(太い実線)も示すが、図10では横軸(ゼロ)と一致している。
図10に示すように、高温の材料は可視光領域(370〜780nm付近)の輻射光も出す。これが映像の劣化の原因となる(良好なコントラストを得られなくなる)。
また、前記第二の方法を用いた場合でも、観察対象(試料やその合成/反応プロセス)の温度が高い場合には、輻射光を抑制しきれず、良好な画質の映像を得ることができなくなってしまう。
図11に例を示す。ブルーフィルタ/長波長除去フィルタのカットオフ波長を450nmとした場合、450nm以下の輻射光はフィルタを透過してカメラに入射することになる。観察対象がこのような高温の場合、フィルタを透過した輻射光は感光フィルム/感光素子まで届き、画像のコントラストを劣化させることになり、良好な画像を得ることが困難になってしまう。
また、前記第三の方法は、一部波長(輻射が小さくなる青色側=短波側=の波長領域)において光強度スペクトルが輻射光を上回るような照明光を照射し(一般にレーザー光を用いることになる)、画像のコントラストを上昇させる方法である。この方法を用いた場合、積極的に照明を当て、かつ照明光よりも長波長側の輛射光をフィルタによって除去するため、前記第二の方法と比較して、ある程度高温まで良好な画像を得ることが出来ると期待できる。
しかしながら、この方法でも、照射光は、光源→試料(照射光は散乱されて一部のみカメラの方向に向かう)→カメラ、という経路をたどり、カメラに届く照射光パワーはごく一部となる場合、及び/又は、観察対象の温度が、フィルタを透過する(フィルタのカットオフ波長よりも短波の)光のパワーが無視し得ない強度を持つ程高温で、照射光のパワーを上回る場合、第二の方法と同様、フィルタを透過した輻射光により画像のコントラストが劣化し、良好な画像を得ることが困難になってしまうという問題があった。
すなわち、図12に示すように、フィルタ透過後、カメラに届く光パワーは、図中黒塗りで示される部分の面積(2500℃の場合)、すなわちパワー密度関数の波長積分である。これが照射光(のうちカメラに戻る成分)と比較して大きくなった場合、品質は劣化する。
特開2000−292076号公報 特開2004−264063号公報 特開平8−252669号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、高温物体から放射される輻射光による画像のコントラストの劣化を防止し、良好な画像を得ることが可能な高温物体の観察装置を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、高温物体から放射される輻射光による画像のコントラストの劣化を防止し、良好な画像を得ることが可能な高温物体の観察方法を提供することを第二の目的とする。
本発明の請求項1に記載の高温物体の観察装置は、高温物体に向けて照明光を照射する光源と、高温物体から放射される前記照明光に対して感度を有する撮像素子と、前記高温物体と前記撮像素子との間に配され、前記照明光の波長を含む特定の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタと、を備え、前記特定の波長域において、前記照明光は、そのスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長少なくとも1か所以上有し、かつ、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きいことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の高温物体の観察装置は、請求項1において、前記照明光がレーザー光であることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の高温物体の観察装置は、請求項1又は2において、前記照明光がコリメート光であることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の高温物体の観察方法は、高温物体に向けて照明光を照射する光源と、高温物体から放射される前記照明光に対して感度を有する撮像素子と、前記高温物体と前記撮像素子との間に配され、前記照明光の波長を含む特定の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタと、を備えた高温物体の観察装置を用いる高温物体の観察方法であって、前記照明光として、そのスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長少なくとも1か所以上有し、前記特定の波長域において、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きくなるような構成を用いることを特徴とする。
本発明では、スペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長少なくとも1か所以上有する照明光と、照明光源照明光源の発光波長を含む特定の波長を透過するバンドパスフィルタとを備え、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きいことで、照明光のパワーが、高温物体から放射される輻射光のパワーよりも大きくなる。これにより輻射光による画像のコントラストの劣化を防止し、良好な画像を得ることが可能な高温物体の観察装置を提供することができる。
また、本発明では、スペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長少なくとも1か所以上有する照明光と、照明光源照明光源の発光波長を含む特定の波長を透過するバンドパスフィルタとを備えた観察装置を用い、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きいような構成を用いることで、照明光のパワーが、高温物体から放射される輻射光のパワーよりも大きくなる。これにより輻射光による画像のコントラストの劣化を防止し、良好な画像を得ることが可能な高温物体の観察方法を提供することができる。
以下、本発明に係る高温物体の観察装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の高温物体の観察装置の一実施形態を模式的に示す図である。
本発明の高温物体の観察装置1は、高温炉2と、前記高温炉2内に配された高温物体10に向けて照明光を照射する光源3と、前記高温物体10から放射される前記照明光に対して感度を有する撮像素子4と、前記高温物体10と前記撮像素子4との間に配され、前記照明光の波長を含む特定の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタ5と、を備える。
そして本発明の高温物体の観察装置1は、図2に示すように、前記特定の波長域において、前記照明光は、そのスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長を少なくとも1か所以上有し、かつ、図3に示すように、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光(図中Bで示される部分の面積)に比べて前記照明光(図中Aで示される部分の面積)のほうが大きいことを特徴とする。
本発明では、照明光のスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長が少なくとも1か所以上あるような照明光と、照明光源の発光波長を含む特定の波長を透過するバンドパスフィルタ(BPF)とを備え、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きいことで、照明光のパワーが、高温物体から放射される輻射光のパワーよりも大きくなる。これにより輻射光による画像のコントラストの劣化を防止し、良好な画像を得ることが可能となる。
前記高温炉2は、例えば電気炉等であり、複数の窓が設けられている。窓は、一般に照明用の窓6と撮像素子用の窓7の2つを設ける。一方の窓6からの照明照射範囲と、他方の窓7に設置した撮像素子の視野範囲とが重複するように構成し、この重複範囲に観察対象(高温物体10)を配置すれば良い。
なお、高温炉2の使用温度領域は室温〜2500℃程度が望ましく、特に1800℃以上の温度域での観察に好適である。
照明光としてはレーザー光やコリメート光が挙げられ、光源3は、このような光を照射するものであれば特に限定はない。
撮像素子4は、加熱中における加熱対象の挙動を詳細に把握できるよう、連続的に又は適宜な間隔で撮像を行うカメラを用いることが好ましい。カメラとしては特に限定されるものではなく、例えば銀塩反応等による感光フィルムカメラや、CCDやCMOSといった感光素子を用いた電子カメラ等が利用できる。
以下に、本発明の有効性・効果を理論的に説明する。
(1)光源・試料・カメラの配置
図4に、理論検討モデルのコンフィグレーションを示す。試料表面の温度をT[K]、系の外部から試料(高温物体10)を照らす光源は、試料からR[m]離れた場所に位置する。試料表面からR[m]離れた位置にカメラを配置し、試料表面から入射する光(像)をモニタする。
ここでは簡単のため、輻射光は黒体輻射のみとする。光源は点光源とし、試料表面で照明光は吸収されず(100%再放射される)、反射・透過・屈折・散乱され、方向によらず全方位に等しいパワーの光が再放射されるものとする。
(2)照明光のスペクトル密度(点光源照明の場合)
照明光をP[W]の点光源とする(イメージしている光源は、ハロケンランプやHIDランプといった、放射状に元を出す光源である)。光源からR[m]離れた場所における光の密度は、次の(1)式で表される。
Figure 0005371204
また、光源からR[m]離れた場所にある面積(有効断面積)A[m]の面(AlN/SiC試料表面)が受ける光量は、次の(2)式で表される。
Figure 0005371204
この面から、100%の光が無損失・等方的に再放射されるとすると、面(試料表面)からR[m]離れた地点で受け取る光の密度は、次の(3)式で表される。
Figure 0005371204
照明光のスペクトルが、中心波長λ[m]、分散σλ [m]の正規分布に従うとすると、試料表面における再放射(反射・透過・屈折・散乱)が等方的・波長無依存の場合には、再放射される光のスペクトル密度は、次の(4)式で表される。
Figure 0005371204
(3)輻射光のスペクトル密度
図5に示すように、試料表面からの輻射光は、方向によらず全方位に等しいパワーの光が輻射され、その一部がカメラに届く。
物体表面の温度がT[K]のとき、この物体表面からの輻射が黒体輻射の式[プランク公式:次の(5)式]に従うとする。
Figure 0005371204
この時、面積A[m]の面からの輻射量は、次の(6)式で表される。
Figure 0005371204
これが、等方的に放射されるとして、R[m]離れた地点でのスペクトル密度は、次の(7)式で表される。
Figure 0005371204
前記式(7)をいくつかの温度に対してプロットしたものを図10に示す。
(4)照明光と輻射光のスペクトル密度比較(点光源ではうまくいかない例)
点光源を照明光として用いた場合の、照明光の光パワーの波長依存性は前記式(4)で表される。また、表面温度がT[K]、面積Aの物体からの輻射光の光パワー波長依存性は式(7)で表される。各変数に具体的な値を入力して、式(4)・(7)の比較を行なう。図6より、2500℃の輻射は400nm付近から短波側でレベルが小さくなっていることと、可視光領域(一般に380〜760nmとされる)で代表的な値として、照明光の中心波長を400nmとする。
また、光源と試料の距離R及び試料と撮像デバイス(カメラ)の距離R(図1参照)をR=R=0.5ミリとした。
図6に、表面温度2500℃の試料に点光源光を当てた際の、カメラに届く輻射光と照明光のパワー密度(その1)を示す。なお、図6以降の各図面では、輻射光の場合を「Radiation」 と、照明光の場合を「Illumination」と、それぞれ表記する。
図6の計算を行う際に使用した各条件は以下の通りである。
・照明光パワー:P=10[kW]
※点光源の出力としては非常に大きな値であり、技術的・経済的に実現困難な値
である。
・照明光の中心波長:λ=400[nm]
・照明光の線幅(半値半幅):σλ=0.01[nm]
※点光源の波長特性としては実現困難な線幅である。
図6(a)で、400nm付近、横軸からわずかに飛び出しているのが、カメラに届く照明光のパワーである。ピーク波長においても輻射光の半分以下のレベルであり、輻射光の影響を十分に抑制しつつ画質の良い映像を得るのは困難である。すなわち、高温の試料を点光源(一般の照明光)を照明光として用いても、良い画像を得ることは出来ないということになる。
ここで、図6の検討で用いた点光源光のパワー、線幅等の条件は、一般に入手可能な光源よりも高出力、狭帯域である。たとえば、自動車ヘッドランプ用HIDランプは出力100W程度、線幅は可視光域(400〜600nm付近、200nm程度の幅)である。メタルハライドランプ、水銀ランプ等で高出力な物(工事現場等で用いられる高出力な物)が1灯当たり最大1kW程度、線幅はHIDランプと同様400〜600nm付近で200nm程度の線幅である。また、仮に10kWクラス・数nm幅の光源が準備可能であった場合も、不要な光や発熱の処理などを考えると、現実的ではない。
以下に、点光源でなく平行光光源(レーザー光、コリメート光)等の有効性を示す。これが従来技術の第一の方法、第二の方法と比して第三の方法が有効であることを示すが、条件によってはまだ不足であり、本発明の照明光源の発波長を含む波長域の光を透過するバンドパスフィルタ(BPF)を用いることがより効果的であることも示す。
(5)光源を(点光源でなく)平行光光源(レーザー等)にした場合
照明光がパワーP[W]、断面積A[m]の平行光(レーザー光など)である場合、光密度は、光源からの距離によらず、次の(8)式で表される。
Figure 0005371204
この光が有効断面積A[m]の試料表面に当たった場合の光パワーは、次の(9)式で表される。
Figure 0005371204
この面から、100%の光が無損失・等方的に再放射されるとすると(以下、点光源の場合と同じ議論)、試料表面からR[m]離れた地点で受け取る光の密度は、次の(10)式で表される。
Figure 0005371204
ゆえに、照明光のスペクトルが中心波長λ[m]、分散σλ [m]の正規分布に従うという仮定の下、試料表面における再放射(反射・透過・屈折・散乱)が等方的・波長無依存の場合には、再放射される光のスペクトル密度は、次の(11)式で表される。
Figure 0005371204
前述した式(11)及び式(7)に具体的な値を入れて、スペクトル密度を計算した。図7は、シミュレーションにより求めたスペクトル密度を示すグラフである。
その際、図6と同様、照明光の中心波長は400nm、光源と試料の距離R及び試料と撮像デバイス(カメラ)の距離R(図1参照)をR=R=0.5mとした。また、照明光は平行光であり、光源〜試料間での光の発散による損失が無いものとした。照明光のパワーは10[W]とした。
図7の計算を行う際に使用した各条件は以下の通りである。
・照明光パワー:P=10[W]
・照明光の中心波長:λ=400[nm]
・照明光の線幅(半値半幅):σλ=0.01[nm]
・照明光(平行光)の断面積:A=1[cm
設定したパラメータの妥当性について述べておく。図7の照明光パワー10[W]は、色素レーザやガスレーザでは容易に実現可能な値であり、また、LD等の固体レーザでも容易に実現可能な(一般的な)値である。よって、これは既存の技術で実現可能な値である。
(6)感光素子が感じるのはピークの高さではなく、スペクトル密度の積分値
これまで、従来技術の第三の方法と同等の方式について、第一の方法及び第二の方法に対する有意性を示してきた。図7で、カメラに届く照明光のスペクトル密度と、輻射光のスペクトル密度との比較をした。ここで、中心波長400nmの照明光のピークの高さは確かに輻射のスペクトル密度を超えているが、感光素子が感じるのはこの波長の光だけではない。すなわち、受光波長範囲全体にわたってそれぞれの光のスペクトル密度を積分した値である。
図8は、図7の輻射光及び照明光をブルーフィルタ(カットオフ波長450nm)に透過させた後のスペクトル密度を示すグラフである。これらの光を200nm−1000nmの波長範囲で積分すると(下限値200nmは多くのCCDカメラの感度波長の最短波値である)、輻射光が照明光に比べて十分に大きい[輻射光(2.58×102[W/cm])≫照明光(5.6×10−1[W/cm])]という結果が得られる。
図8から以下の点が明らかとなった。
(イ)試料温度が2500℃(前記の例)よりも充分に低い場合や、照明光のパワーが数桁大きい場合には、この不等号を逆向きにすることができる。
(ロ)しかしながら、前記条件では(従来技術の第三の方法と同様の方法の場合)、温度条件などによっては、照明光の照射によって品質の良い画像を得ることは実質的に不可能となる場合もある。
(7)狭帯域フィルタの利用による、コントラストの向上
前記方法では、照明光のレーザーの発光波長付近以外に不要な光も通すフィルタを用いていたので、不要な光を極力除去するフィルタを用いることを検討する。
照明光源の波長が400nm、半値半幅が0.01nmであるので、この波長を通す狭帯フィルタを用いる。たとえば、透過波長(中心波長)400nm、透過帯幅0.2nm(399.9〜400.1nm)とした場合、スペクトル密度の積分値は図9に示したとおり、「輻射光(4.3×10−1[W/cm])<照明光(6×10−1[W/cm])」となる。ゆえに、輻射光よりも照明光のパワーを大きくし、比較的良好なコントラストの映像を得ることができる。
さらに、(透過帯幅がより狭い狭帯フィルタは高価になってしまうが、)透過帯幅を0.1nm(399.95〜400.05nm)とした場合、「輻射光(2.2×10−1[W/cm])<照明光(5.6×10−1[W/cm])」となる。したがって、より鮮明な画像を得ることができる。
このように、本発明によれば、従来よりも出力の小さな光源(レーザー光などの平行光光源)を照明光として用い、高温の物体(試料や反応プロセスなどなど)の画像を従来よりも鮮明に、良好なコントラストで得ることができる。
照明光が小さくて済むということは、観察系のコスト低減、装置の小型化、ランニングコスト低減、レーザーの安全性の向上(出力が小さくて済むため)、などの効果がもたらされる。また、従来と(前記第三の方法と比較して)同じ出力レベルの光源を用いた場合には、従来より高温の物体(試料、反応プロセス)を観察することができる、という効果も本発明は期待できる。
また、本発明の高温物体の観察方法は、高温物体に向けて照明光を照射する光源と、前記高温物体から放射される前記照明光に対して感度を有する撮像素子と、前記高温物体と前記撮像素子との間に配され、前記照明光の波長を含む特定の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタと、を備えた高温物体の観察装置を用いる高温物体の観察方法であって、前記照明光として、そのスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長が少なくとも1か所以上あり、前記特定の波長域において、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きくなるような構成を用いることを特徴とする。
本発明の高温物体の観察方法では、上述したような、照明光のスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長が少なくとも1か所以上あるような照明光と、照明光源の発光波長を含む特定の波長域の光を透過するバンドパスフィルタとを備えた観察装置を用い、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きいような構成を用いることで、照明光のパワーが、高温物体から放射される輻射光のパワーよりも大きくなる。これにより輻射光による画像のコントラストの劣化を防止し、良好な画像を得ることができる。
以上、本発明の高温物体の観察装置及び観察方法について説明してきたが、本発明は前記の例に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
本発明は、高温領域において、試料やその合成/反応プロセスを直接観察する、高温物体の観察装置及び観察方法に適用可能である。
本発明に係る高温物体の観察装置の一例を示す図。 輻射光と照明光のスペクトル密度を示す図。 輻射光と照明光のスペクトル密度を示す図。 図1の観察装置において、照射光の経路を示す図。 図1の観察装置において、輻射光の経路を示す図。 点光源を用い、カメラに届く輻射光と照明光のスペクトル密度を示す図。 平行光光源を用い、カメラに届く輻射光と照明光のスペクトル密度を示す図。 ブルーフィルタを透過させた後の輻射光と照明光のスペクトル密度を示す図。 狭帯域フィルタを透過させた後の輻射光と照明光のスペクトル密度を示す図。 各温度における輻射光のスペクトル密度を示す図。 輻射光のうち赤色成分を除去した場合を示す図。 フィルタ透過後の輻射光のスペクトル密度を示す図。
符号の説明
1 高温物体の観察装置、2 高温炉、3 光源、4 撮像素子、5 バンドパスフィルタ、6,7 窓、10 高温物体。

Claims (4)

  1. 高温物体に向けて照明光を照射する光源と、
    高温物体から放射される前記照明光に対して感度を有する撮像素子と、
    前記高温物体と前記撮像素子との間に配され、前記照明光の波長を含む特定の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタと、を備え、
    前記特定の波長域において、前記照明光は、そのスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長少なくとも1か所以上有し、かつ、
    前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きいことを特徴とする高温物体の観察装置。
  2. 前記照明光がレーザー光であることを特徴とする請求項1に記載の高温物体の観察装置。
  3. 前記照明光がコリメート光であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高温物体の観察装置。
  4. 高温物体に向けて照明光を照射する光源と、
    高温物体から放射される前記照明光に対して感度を有する撮像素子と、
    前記高温物体と前記撮像素子との間に配され、前記照明光の波長を含む特定の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタと、を備えた高温物体の観察装置を用いる高温物体の観察方法であって、
    前記照明光として、そのスペクトル密度が、前記高温物体から放射される輻射光レベルを超える波長少なくとも1か所以上有し
    前記特定の波長域において、前記照明光及び前記輻射光のスペクトル密度の波長積分により得られる積分値が、前記輻射光に比べて前記照明光のほうが大きくなるような構成を用いることを特徴とする高温物体の観察方法。
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