JP4982300B2 - 物体の撮影方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属の精錬・結晶の合成・火炎加水分解反応などの高温プロセスなど、特に数百度から数千度といった高温領域における試料やその合成・反応プロセスの撮影に好適な物体の撮影方法及び装置に関し、特に、撮影したい試料にのみ照明光を照射し、この照明光の反射成分のみを効率良く抽出し、それ以外の輻射(熱による輻射で、撮影した対象以外の背景輻射全てを含む)を効果的に除去し、試料やその合成・反応プロセスを直接撮影してコントラストの良好な、鮮明な画像を得ることが可能な高温物体の撮影方法及び装置に関する。
従来、高温の材料やその合成・反応プロセス等を直接画像として捕らえる際には、例えば、非特許文献1に開示されているように、撮影対象(試料やその合成/反応プロセス)と撮影手段との間に熱線除去フィルタ(赤外線除去フィルタ)を配置し、熱輻射を除去して画像を得る方法が多くとられてきた。なお、撮影手段(カメラ)の種類は銀塩反応等による感光フィルムカメラであっても、あるいはCCDやCMOSといった感光素子を用いた電子カメラであっても良い。
すなわち、この従来方法は、熱輻射によりカメラ等の装置の損傷を防ぐと同時に、熱輻射の長波長成分を除去し、感光材料/感光素子が輻射の長波長により感光し、映像の明瞭さやコントラストが損なわれるのを防止している。
しかしながら、この従来技術は、人間の目視で確認される像に近い画像を得るための手段であり、より高温の場合、例えば400〜500℃程度以上に熱されて可視光領域の長波長側(赤色)の輻射を持つ材料に対しては、目視および熱線除去フィルタを用いた撮影のいずれにおいても、輻射により像のコントラストが劣化するという問題があった。
そこで、より高温の材料・プロセスを撮影する場合に、例えば、特許文献1に開示されているように、ブルーフィルタ(青色透過フィルタ)を使用して、可視光領域も赤色側の熱輻射をフィルタで除去してより鮮明な画像を得る方法や、さらに高温の場合には、特許文献2に開示されているように、赤色側の熱輻射をフィルタで除去しつつ、(フィルタの)青色のレーザ光等を照射して照明光として用いる方法などが提案されている。
米本和也著、「CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用 〜原理,構造,動作方式,諸特性からシステム概要まで」、CQ出版/2003年8月10日発行/JAN9784789836265 特開2004−264063号公報 特開平8−252669号公報
高温の物体からは、その温度に対応した光と熱が放射(輻射)される。この輻射は、物体の表面温度により大きく異なる。図1に、各温度における、理想的な輻射物体である黒体の熱輻射スペクトルを示す。温度による輻射スペクトルは、温度の上昇に従い、そのピークが短波長側にシフトし、全体の輻射量は急激に増加する傾向を示す。高温になるに伴い、ピークが短波側にシフトすることと、全体の輻射量が急激に増加することの相乗効果、ピークよりも短波側(図1では波長1000m付近から短波長側)のパワー密度は、より急激な増大を示す。
また、この輻射は、物質により、輻射率(射出能:emissibility)が異なる。さらに同じ物質でも、傾きや表面状態(面粗さ等)により輻射の状態が異なる。図2に、実際の物質から放射される輻射のスペクトルを黒体輻射スペクトルと比較して示す。図2では一例のみを示したが、高温の撮影対象物の周囲から出る光は、その物質、面の向き(傾き)、表面状態(面粗さ等)などにより、撮影された映像における輝度が全く異なることがある。
高温状態の電気炉内部などを撮影する際、撮影対象物の周囲で最も温度が高いのは、炉の発熱体であり、次に温度が高いのが、発熱体の近くにある炉壁材であり、撮影対象物は発熱体や炉壁材と比較して低い温度となり、撮影対象物自体の熱輻射は、発熱体や炉壁材の熱輻射と比較して小さい場合が往々にしてある。
また、撮影対象物表面において、他の発熱体(すなわち輻射体)の輻射が映りこんだりする場合もあり、炉内を直接撮影した際の映像の輝度分布は非常に複雑なものとなり、特に撮影対象物とその周辺の温度が高い場合に、撮影対象物の鮮明な映像を得るのは難しくなるのが一般的である。
非特許文献1に開示されたように、デジタルカメラなどの撮影手段の撮像面上に赤外線・紫外線を除去するフィルタを配置する方法は、本来的に人間の目視で確認される像に近い画像を得るための手段であり、高温の試料を鮮明に撮影するための方法ではない。このため、撮影対象物が高温の場合(例えば、400〜500℃程度以上に熱されている場合、可視光領域の長波長側(赤色)の輻射を持つ)には、目視および熱線除去フィルタを用いた撮影のいずれにおいても、輻射により像のコントラストが劣化するという問題があった。また、より高温の場合、可視光の広い範囲にわたって熱輻射が発生し、この輻射が物体を撮影する際に映像を劣化させる(特にコントラストを低下させる)という問題があった。
特許文献1に開示されたように、ブルーフィルタ(青色透過フィルタ)を使用して、可視光領域も赤色側の熱輻射を除去してより鮮明な画像を得ようとする方法では、撮影対象(試料やその合成/反応プロセス)の温度が高い場合には、輻射光を抑制しきれず、良好な画質の映像を得ることができなくなってしまう。すなわち、青色透過フィルタの透過波長領域の輻射が無視し得ないような高温の物体などを撮影した場合、カメラ(感光素子/感光フィルム)に届く光の大部分が熱輻射となり、映像を劣化させる(特に、コントラストを低下させる)という問題があった。
図8は、特許文献2のような従来技術の一例として、光フィルタを備えた撮影装置の一例を示す構成図であり、図中、符号1は撮影対象である高温物体、2は光源、3はビデオカメラ等の撮影手段、4は光フィルタ、5はCRT,LCDなどのモニタ装置を含む表示装置、6〜8はミラー、9は透過窓である。
特許文献2に開示されたように、赤色側の熱輻射を光フィルタで除去しつつ、この光フィルタを透過する光を照明光として積極的に照射する(照明光の光源としては、青色のレーザーなどを用いる)方法は、特定の波長領域、例えば熱輻射が小さくなる青色側(短波側)の波長領域において、スペクトル密度が輻射光を上回るような照明光を照射し(一般に、レーザー光などの線幅が十分に狭い光源光を用いることになる)、画像のコントラストを向上させる方法である。この方法を用いた場合、非特許文献1の方法及び特許文献1の方法とは異なり、環境光(環境から与えられる光)ではなく、照明光を積極的に照射し、かつ照明光よりも長波長側の輻射光を光フィルタによって除去するため、特許文献1の方法と比較して、ある程度高温まで良好な画像を得ることができると期待できる。
しかしながら、この方法でも、光フィルタのカットオフ波長よりも短波側での輻射が無視できなくなるような高温の物体を撮影した際には、光フィルタを透過した輻射光により、画像のコントラストが劣化し、良好な画像を得ることが困難になってしまうという問題があった。
また、一定以上に高温のサンプルを撮影する際には、出力が非常に大きい照明光源を用いる必要があり(ガスレーザー等)、設備の大型化・運用が難しくなるという問題があり、さらに、撮影対象の温度が一定以上に高くなった場合、「(ブルーフィルタ透過後の)照射光の光量が、輻射光の光量よりも大きい」という条件を満たす光源が無い(そのような狭帯域かつ高出力な光源は無い)という問題があった。
以上について、図を参照して説明する。図3に、温度T1、T2、T3(T1<T2<T3)の各温度における熱輻射と、照明光のスペクトル密度の概念図を示す。図1に示したように、温度の上昇に伴い、熱輻射のスペクトルは、特に熱輻射のピークよりも短波側(図1では波長1000m未満の波長域)では、急激にスペクトル密度が増すことになる。
フィルタ透過後の光(照明光・熱輻射)のスペクトル密度を図4〜図7に示す。図4は、照明光の高スペクトル密度を示す図であり、カメラに入射する照明光の光量(カメラに届く全光パワーの照明光の持分)は図中で斜線で示された部分(フィルタ透過域における照明光のスペクトルの波長積分)の面積(A)で表すことができる。
照明光と同様に、カメラに入射する熱輻射の光量は、図5(温度T1)、図6(温度T2)、図7(温度T3)(但しT1<T2<T3)の斜線部の面積(B1,B2,B3)として表すことができる。
図4〜図7に示したケースでは、それぞれの光量(面積)の大小関係は、B1<A<B2<B3となる。すなわち、このようなブルーフィルタを用いた撮影方法/撮影装置では、温度T1では十分なコントラストを持った鮮明な映像を得ることができるが、温度T2,T3では鮮明な映像を得ることはできない、ということになる。
図9に、温度T1、T2、T3(T1<T2<T3)の各温度における熱輻射と、照明光のスペクトル密度の概念図を示す。また、フィルタ透過後の光(照明光・熱輻射)のスペクトル密度を図10〜13に示す。図10は、照明光のスペクトル密度を示す図であり、カメラに入射する照明光の光量(カメラに届く全光パワーの照明光の持分)は図中斜線で示された部分(フィルタ透過域における照明光のスペクトルの波長積分)の面積(A)で表すことができる。
照明光と同時に、カメラに入射する熱輻射の光量も、図11(温度T1)、図12(温度T2)、図13(温度T3)(但しT1<T2<T3)の斜線部の面積(C1,C2,C3)で表すことができる。
図10〜図13に示したケースでは、それぞれの光量(面積)の大小関係は、C1<C2<A<C3となる。すなわち、このようなブルーフィルタを用いた撮影方法/撮影装置では、温度T1,T2では十分なコントラストを持った鮮明な映像を得ることができるが、温度T3では鮮明な映像を得ることはできない、ということになる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、「〔照明光の光量〕≦〔熱輻射〕」なる条件でもコントラスト良好で鮮明な映像を得ることが可能な物体の撮影方法と撮影装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、照明光源と撮影手段と演算装置を用いる物体の撮影方法であって、撮影対象に照射する照明光の強度を時間の経過に従って変動させ、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間の経過に従って変動する変動量を抽出する演算操作を行い前記輝度の変動量を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像表示及び/又は記録を行うことを特徴とする物体の撮影方法を提供する。
また本発明は、照明光源と撮影手段と演算装置を用いる物体の撮影方法であって、撮影対象に照射する照明光に強度変調を施し、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間変化のうち照明光に行う強度変調の周波数成分のうち少なくとも1つと同じ周波数成分の振幅算を行い、前記周波数成分の振幅を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像表示及び/又は記録を行うことを特徴とする物体の撮影方法を提供する。
本発明の物体の撮影方法において、照明光を撮影視野内の一部にのみ照射して、照明光を照射していない箇所の映像を除去することにより、視野内の特定の箇所のみの映像を抽出・合成することが好ましい。
本発明の物体の撮影方法において、物体と撮影手段の間に所定の波長の光を選択的に透過する光フィルタを配置することが好ましい。
本発明の物体の撮影方法において、撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値が、変化を連続的に記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きいことが好ましい。
本発明の物体の撮影方法において、撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値と最小値の差が、変化を記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きいことが好ましい。
また本発明は、照明光源と撮影手段と演算装置を有する撮影装置であって、撮影対象に照射する照明光の強度を時間の経過に従って変動させる変調手段を有し、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間の経過に従って変動する変動量を抽出する演算操作を行前記輝度の変動量を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像出力する演算装置を持つことを特徴とする物体の撮影装置を提供する。
また本発明は、照明光源と撮影手段と演算装置を有する撮影装置であって、照明光に強度変調を施す変調手段を有し、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間変化のうち照明光に行う強度変調の周波数成分のうち少なくとも1つと同じ周波数成分の振幅算を行い、前記周波数成分の振幅を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像出力する演算装置を持つことを特徴とする物体の撮影装置を提供する。
本発明の物体の撮影装置において、照明光を撮影視野内の一部にのみ照射して、照明光を照射していない箇所の映像を除去することにより、視野内の特定の箇所のみの映像を抽出・合成することが好ましい。
本発明の物体の撮影装置において、物体と撮影手段の間に所定の波長の光を選択的に透過する光フィルタが配置されてなることが好ましい。
本発明の物体の撮影装置において、撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値が、変化を記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きくなるように照明光の入射量の最大値を設定してあることが好ましい。
本発明の物体の撮影装置において、撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値と最小値の差が、変化を記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きくなるように照明光の入射量の最大値及び最小値を設定してあることが好ましい。
本発明は、高温物体を撮影する際に輻射の影響を除去し、コントラスト良好で鮮明な映像を得る物体の撮影方法及び装置を提供する。
高温の物体を撮影する際、従来の方法では「〔照明光の光量〕>〔熱輻射〕」なる条件にする必要があったが、本発明の方法を用いると、「〔照明光の光量〕≦〔熱輻射〕」なる条件でもコントラスト良好で鮮明な映像を得ることが可能である。
また、本発明によれば、従来技術よりも小さな出力の照明光で鮮明な映像を得られ、従来技術よりも小さい出力の光源を用いることができる。
また、本発明によれば、従来技術よりも高温な物体を撮影可能である。すなわち、従来技術と同じ出力の照明光源を用いた場合、照明光源と比較して熱輻射レベルの高い状態、すなわち温度の高い物体/状態の撮影が可能である。
また、本発明によれば、映像の不要な箇所の「背景」を除去することが可能となるので、撮影したい領域のみの映像を得ることが可能である。
また、本発明によれば、映像の不要な箇所を除去することが可能となるので、撮影対象への、周囲の輻射などが「映り込む」ことによる映像の乱れを除去することが可能である。
また、本発明によれば、照射光(の反射光/散乱光)の変調成分を抽出することができる範囲(輝度のゆらぎ・ノイズからの変調光成分を分離できる範囲)で実施する限り、照明光の光量は輻射光の光量と比較して、小さくても良いという特徴も有する。
爆発などの急激な反応を伴うものは除いた、多くの高温プロセスにおいて、数百ミリ秒〜数十秒といった短時間内の温度の変化は、一般に小さいことが多い、という特徴がある。すなわち、数百ミリ秒〜数十秒といった短時間内に、撮影対象の周囲の(撮影に邪魔な)輻射の輝度が大きく変化することは少ない、ということができる。
図14に、温度(すなわち輻射レベル)が限られた時間内にほぼ一定の高温物体に照明光を照射した場合に、撮影手段であるカメラが受ける輻射・照明光の合計パワーを示す。照明光を照射することにより、カメラが受ける光量は、輻射のみの光量に比べて大きくなるが、この光量の増加分は、照明光のうち、物体により反射/散乱されてカメラに届いた光量の分である。
図14の状態では、カメラが受ける光量は、輻射光と照明光が反射/散乱された光の強度の合計となり、照明光が散乱/反射された光の強度を直接調べることはできない。しかし、ここで、図15のように時間とともに照明光の強度を変化させた場合、カメラが受ける光量は、時間とともに変化するものとなる。このカメラが受ける光量の変化量は、照明光の元の光量の変化幅に、高温物体の反射/散乱の強度を掛け合わせた値になる。すなわち、もとの照明光の光量の変化幅を一定にした場合、カメラが受ける光量変化は、高温物体の反射/散乱強度に比例したものとなり、さらに、この光量の変化の幅は、輻射の大きさによらない。
これを画素単位で行うと、各画素の輝度の変化の幅は、各画素に対応する視野内の各位置の輻射量に依存しない、照明光の反射/散乱強度を表すものとなる。すなわち、撮影された映像の各画素について輝度の変化の幅で再マッピングすることにより、輻射の影響を除去した映像を合成することができるということになる。各画素の輝度から変動幅を得る方法としては、例えば、一定時間内における各画素の輝度の最大値と最小値の差を用いる方法などが挙げられる。
照明光の強度に時間変化を与え、撮影された映像の各画素について、輝度変化量で映像を再マッピング〜合成した際の効果について図16〜図18を用いて説明する。
図16は、撮影対象である高温物体10とその周辺の状況を示す模式図である。電気炉などの高温環境においては、一般に、発熱体11が最も温度が高く、炉壁12などがそれに次いで温度が高く、撮影対象(試料や製造中の製品、半製品などの高温物体10)の温度が相対的に最も低い。すなわち、輻射強度で比較すると、発熱体11が最も明るく見え、炉壁12がそれに次ぐ明るさを持ち、高温物体10は最も暗く見えることになる。
従来の技術では、このような映像を、ブルーフィルタを介して直接撮影したり(特許文献1)、撮影対象(試料・(半)製品など)に照明光を照射してブルーフィルタを介して直接撮影したり(特許文献2)してきた。しかしながら、前述の通り、特に撮影対象とその周囲の温度が高い場合、従来の方法では、コントラストが良く鮮明な映像を得るのが困難であった。
図17は、撮影対象である高温物体10およびその近傍部のみに、照明を当てた場合の様子を示し、その照明領域13を図中斜線で表す。この照明光の強度を時間変化させ、この変化量を用いて映像をマッピングする。照明光の強度を変化させなかった場合には、各画素の輝度は、熱輻射による光量と照明光の反射/散乱の強度の合計値になる。すなわち、2点間における照明光の反射/散乱する度合いとは必ずしも一致せず、画像のコントラストが劣化する場合が往々にしてある。
本発明では、照明光の強度を時間変化させて、撮影された映像の輝度の変動幅をもって、新たな映像(合成映像)の各点の輝度として再マッピングすることにより、熱輻射による光量の影響を除去することができ、コントラストが良く鮮明な映像を得ることを可能としている。
図16〜17に示した高温物体10の配置状態において、照明光の強度に時間変化を与え、これを撮影した映像から時間変化の幅を抽出して再マッピングすると、図19に示すような映像が得られる。すなわち、照明光が当たっている照明領域13のみ、その照明光の反射/散乱の強度に応じた輝度で得られるようになる。この場合、発熱体11など、照明光を照射していない箇所は、映像から消し去ることが可能になる。また、撮影対象への他の物体の輻射の影響を除去することにより、良好なコントラストを得ることができるし、さらに撮影対象への他の物体の輻射の映りこみなども除去され、従来よりも数段鮮明な映像を得ることができる。
以下に、変調した照明光を照射して解析することにより、輻射の影響を除去する方法の実施形態を記す。
図20は、本発明の実施形態として、高温装置の撮影装置を示す構成図である。図20中、符号1は高温物体、2は光源、3は撮影手段、4は光フィルタ、5は表示装置、6〜8はミラー、9は透過窓、14は演算装置、15は変調光発生手段、16は変調手段である。
本実施形態の撮影装置では、強度変調を行った照明光を高温物体1に照射し、高温物体1から反射/散乱された照明光と熱輻射が、必要に応じて配置された光フィルタ4を透過した後、ビデオカメラ等の撮影手段3に入射する。ここで、熱輻射は、数百ミリ秒〜数十秒程度のサンプリング時間中、温度変動が十分小さい場合には、輻射光の光量は一定であると扱って差し支えない。これに対し、照明光は強度変調がかけられており、各画素の輝度の変動幅を抽出することにより、前述したように、輝度の変動幅のみを抽出する演算を行い、この変動幅を新たな輝度として各画素に再マッピングした画像を作る。
撮影対象である高温物体1と撮影手段3の間に光フィルタ4を配置した場合、映像全体の輝度を下げて、照明光の変調による各画素の輝度の変動量を、全輝度に対して相対的に大きくすることが可能である。すなわち、光フィルタ4を配置することにより、撮影手段3の受光素子のレンジを生かしてSNRの良い映像信号を得る上で有利になる。このような光フィルタ4としては、a.熱線カットフィルタ、b.ブルーフィルタ、c.照明光付近のみを通す帯域透過フィルタなどが挙げられるが、一般に、後者ほど変調振幅に対する輻射率を抑制する能力が高く、SNRが大きくなり有利になるということができる。
レーザー光に強度変調を行う方法としては、変調手段16に可変光アッテネータ(可変光減衰器)を用いる方法などが挙げられる。光の減衰量を連続的に変化させる方法、すなわち光の透過率を変化させる方法には、種々の問題があるが、例えば、単層ないし多層の光学膜による干渉フィルタの一種を透明基板(ガラス基板など)上に作り、この傾斜を連続的に変化させることにより、光干渉の中心波長を変化させ、特定波長又は特定波長域の光の透過量/減衰量を連続的に変化させる光学部品を用いたものなどが一般的に多く用いられる。
幾通りかの輻射量(すなわち温度・物質・表面状態等の異なる条件)を持つ高温物体に、時間変化をする照明光を照射した場合、カメラが受ける映像の各画素について輝度の変動幅を抽出する演算の例を以下に示す。
シミュレーションの条件は以下の通りとした。
○カメラに入射する光量で比較して、〔輻射の光量〕:〔照射光の変動幅(最大値−最小値)〕=1〜2:0〜0.2(相対値)。
○撮影手段:CCDカメラ等、入射光量に対して線形化された輝度情報を出力。
○撮影速度(サンプリング速度):30回/秒(サンプリング周波数30Hz)。
○照射光の変調方法:正弦波状、5Hz。
図21は、輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラでとらえた映像のうち、ある画素における光量の時間変動のモデルを示す。輻射光の強度はサンプリング時間内で一定、照射光は5Hzで正弦波状に変動し、輻射光と照射光の最大パワー比は1:0.1(相対比)である。ここでは説明のため、輻射光のみの光量及び照射光のみの光量もグラフに示したが、実際にカメラに入射する光量は、輻射+照射光の合計パワーである。
図21の輻射光+照明光(変調光)のサンプリング結果を、周波数解析した例が図22である。ここで、周波数解析には、離散フーリエ変換を用いたが、数値演算の高速化のために、高速フーリエ変換が用いられることも多い。また、これら以外の解析方法を用いても良い。
図22の0Hz近辺にあるピークは、図21の輻射光(パワー一定)+照明光(変調光)のうち、時間無依存成分(DC成分)、すなわち、パワー一定の輻射光に起因するものである。なお、この図22の縦軸のスケールを変えて図23に示す。±5Hzの位置に現れているピークは、輻射光(パワー一定)+照明光(変調光)のうち、照明光に変調がかけられているために見られるピークであり、この振幅は元のサンプリングされた光のうち、変調成分の振幅を反映したものとなっており、このケースでは、±5Hz(変調光の変調周波数成分)のフーリエ係数の絶対値は、ほぼ1.5(相対値)である。
次に、変調成分の大きいケースについて検討・比較する。
図24は、図21と同様に輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラで捉えた映像のうち、ある画素における光量の時間変動のモデルを示す。ここでは輻射光と照明光の最大値のパワー比は1:0.2(相対値)である。
図21及び図24では、同じ輻射量で、かつ異なる照明光変動振幅の場合を示している。これは、例えば、同じ輻射量を持ち、照明光の反射率/散乱強度の異なる物体からの、照明光の照射方向に対する面の向きが異なる等の場合をモデル化したものである。
図24のデータを離散フーリエ変換した結果を図25及び図26に示す。図26は前記図23と同様、図25の縦軸のスケールを変えたグラフである。このケースでは、±5Hz(変調周波数)に現れるピークは、絶対値でおよそ3(相対値)であり、図23のほぼ2倍となっている。この「2倍」という数値は、元の(フーリエ変換を行う前の)変調強度に比例した値となっている。
また、図23及び図26の±5Hzの場所のフーリエ振幅と同様の計算を、変調強度=0.00,0.05,0.10,0.15,0.20について計算した結果を図27に示す。
図28は、図27(輻射量1.0)と同じ演算を、輻射量1.5,2.0(相対値)についても行った結果を示す。
これらの図から分かる通り、各画素の輝度データから照射光の変調周波数と同じ周波数の成分を抽出することにより、輻射の影響を除去して照射光の反射/散乱強度のみを抽出することができる。
以上、信号へのノイズ・輝度の揺らぎ等が無い場合について説明してきた。次に、ノイズ・ゆらぎのある場合について説明する。
図29及び図30は、輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラでとらえた映像の輝度情報のうち、ある画素における光量の時間変動のモデルを示す。輻射光の強度は、サンプリング時間内ではノイズ・ゆらぎの影響で幅0.02で変動し、照明光の変動・輻射光と照明光の最大値のパワー比は1:0.1(相対値)及び1:0.2(同)であり、ノイズが存在する点以外は、図21及び図24と同じである。
図31及び図32は、図29及び図30のそれぞれの輻射光+照射光(変調光)のサンプリング結果を、周波数解析した例である。0Hz近辺にあるピークは輻射光(パワーほぼ一定)の成分、±5Hzのピークは照明光(変調光)の成分であり、それぞれのフーリエ振幅(相対値)の値は1.47及び3.04であり、誤差範囲内で図23及び図26の±5Hzのピークの高さと等しい値である。なお、0Hz及び±5Hz以外の箇所に若干量見られる振幅はノイズの影響であるが、特定の周波数成分を持たないノイズは周波数解析を行うと0Hz及び±5Hzのピーク値にほとんど影響を与えない。このため、照明光の変調周波数(5Hz)のフーリエ振幅という形で反射光強度を解析した場合、背景輻射(パワー一定の熱輻射及びノイズ成分)を効果的に除去することが可能であることがわかる。
図33は、図28と同様の計算を、ノイズのある場合について行った結果を示す。図33から分かる通り、各画素の輝度データから照射光の変調周波数と同じ周波数の成分を抽出することにより、輻射の影響及びノイズの影響を除去して、照射光の反射/散乱強度のみを抽出することができる。
なお、背景輻射のゆらぎ(変調周期よりも短時間で起きる温度変化、例えば輝度変化やノイズ)により、変調強度とフーリエ振幅のリニアリティ(線形性)が若干崩れているが、このことから、変調強度が背景輻射のゆらぎから識別できる必要があることがわかる。簡単には、変調強度(振幅)が背景輻射のゆらぎ(変動幅)よりも大きければよいということになる。なお、このノイズの影響が除去しがたい場合などは、変調周期の整数倍の時間周期でサンプリングデータを加算・平均化して相対的にノイズの影響を小さくする方法なども有効である。
ここで、本発明の演算の必要時間等を例示し、実現可能であることを示しておく。
上記の解析(演算)例では、サンプリング周波数30Hz×2秒=60点のサンプリングデータについて演算を行った。
離散フーリエ変換を行う際、サンプリング点数Nの場合に複素数演算は約N回、すなわち60点の場合には、約3600回の複素数演算を、各画素について行う必要がある。各画素が640×480=307200ピクセルの時(VGA相当)、必要な演算回数は3600×307200≒1.1×10回となる。これを、1秒間に3.4回×10回(3.4GHz)の複素数演算が行える装置で計算した場合、全画素の離散フーリエ変換に必要な計算時間は(1.1×10)÷(3.4×10)≒0.33秒、すなわち1秒に3回の頻度で画像更新が可能であることになる。
さらに、離散フーリエ変換よりも演算速度の速い、高速フーリエ変換を用いた場合、サンプリング点数Nに対して複素数演算は約NlogN、データ点数が60点であれば約360回の複素数演算を行うことになる。これを、3.4GHzの演算装置を用い、VGA相当の画素数に対して行った場合、必要な計算時間は(360×307200)÷(3.4×10)≒0.032秒、すなわち1秒間に30回程度の頻度で画像更新が可能であることになる。
演算装置の計算能力がこれより低い場合であっても、複数の画素をまとめて1単位として扱い、演算回数を大幅に減らすことも可能である。たとえば、2×2ピクセルを1単位として(実質的に、画素数を1/4にしたのと同等である)、計算時間を1/4にする等により、同等の効果を得ることができる。
以上に示した通り、本発明の方法/装置を用いることにより、高温物体の撮影を行う際に、以下のような効果を得ることができる。
1.特許文献2に記載された従来技術の場合よりも、小さな出力の照明光で鮮明な映像を得ることができる。すなわち、特許文献2に記載された従来技術で撮影可能な温度域の高温物体/状態を撮影する際に、照明として用いる光源の出力は、当該従来技術の場合よりも小さいもので良い。
2.従来技術よりも高温な物体を撮影可能である。すなわち、従来技術の場合と同じ出力の照明光源を用いた場合、照明光源と比較して熱輻射レベルの高い状態、すなわち温度の高い物体/状態の撮影が可能である。
3.撮影したい領域のみの映像を得ることが可能であり、映像の不要な箇所の「背景」を除去することが可能である。
4.撮影対象に、周囲の輻射などが「映り込む」ことによる映像の乱れを除去することが可能である。
以上、本発明の物体の撮影方法及び装置の一実施形態として、図20に示す撮影装置を用いる場合を例として説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、後述する別な実施形態に述べるような、種々の修正や変更が可能である。
前述した実施形態では、照明光に強度変調を行う変調手段16として、可変光アッテネータを用い、光強度の変調方法として正弦波状の変調を行う場合を示したが、これ以外の変調手段及び変調方法を用いても良い。例えば、可変光アッテネータよりも簡便な光強度の変調方法として、図34に示すようなシャッター17、図35に示すようなチョッパー18を用いることもできる。さらに、図36に示すように、2つの可動ミラー19A,19Bと、2つの固定ミラー19C,19D及びフィルタ等の損失媒体19Dとを組み合わせ、光源2からの照明光を2つの経路(経路A,経路B)に切り替えて導く光路変換器を変調手段として用いてもよい。
また、光源2の種類によっては、光源2から出た光を減衰/阻止することによって変調を行うのではなく、光源2に入力するパワーを変化させて光源が出力する光の強度を直接変調する方法を用いることも可能である。図37はその一例を示し、本例示では電源線20Aを介して変調器20と光源2を接続し、変調器20によって光源2に入力するパワーを変化させて出力光の強度を直接変調するように構成されている。
また前述した実施形態では、照明光の強度変調として、正弦波状に変調をかけた場合のシミュレーション結果を示したが、以下にシャッター17やチョッパー18を用いてOn(透過)/Off(阻止)制御による変調を行った場合のシミュレーション結果を示す。
図38及び図39に、照明光の強度をOn/Off制御した際にカメラに入射し、特定の画素の輝度を変化させる場合の輝度変化のモデルを示す。この画素の輝度について、輻射の輝度への寄与分は、サンプリング時間内で一定、照明光は5HzでOn/Offに変動し(OnとOffの時間比であるデューティー比は50:50)、輻射光と照明光の最大値のパワー比は1:0.1(相対比)及び1:0.2である。なお、図38及び図39にも、図21と同様、説明のため輻射光のみの光量及び照明光のみの光量もグラフに示したが、実際にカメラに入射する光量は、輻射+照明光の合計パワーである。
図40及び図41は、図38及び図39に示した輝度のサンプリングデータを周波数解析した結果である。変調関数が異なる場合でも、変調の基本周波数(5Hz)の成分(±5Hz)の位置にメインピークが来て、この場合も同種の変調関数のもの同士の結果を比較した場合、変調関数の振幅に比例したフーリエ振幅を持つことがわかる。
図42は、背景輻射が異なる場合について、図38〜図41と同様の解析をした場合の、変調強度に対して変調周波数(ここでは±5Hz)のピーク高さ(フーリエ振幅)をプロットしたグラフである。照明光を正弦波長に変調した場合同様、On/Off制御(矩形波状の変調)の場合も、背景輻射の大きさによらず、変調の振幅(すなわち輝度の変化量)に比例した結果を得る。
図45〜図47は、矩形波状の変調を行い、ノイズがある場合の解析結果である。この場合も、輝度変化の周波数解析による振幅の抽出という作業により、背景輻射(強度一定+ノイズ成分)の影響を効果的に除去し、変調周波数における輝度変動幅をフーリエ振幅として効率良く抽出することができている。
黒体輻射のスペクトルと温度依存性の関係を示すグラフである。 実際の物体による熱輻射のスペクトルを示すグラフである。 ブルーフィルタを用いた場合の、照明光と輻射のスペクトルを示す模式図である。 ブルーフィルタ透過後の照射光パワーを示す模式図である(照明光の光量=図の斜線部の面積A)。 温度T1における熱輻射のブルーフィルタ透過後のパワーを示す模式図である(温度T1における熱輻射の光量=図の斜線部の面積B1<A)。 温度T2(>T1)における熱輻射のブルーフィルタ透過後のパワーを示す模式図である(温度T2における熱輻射の光量=図の斜線部の面積B2>A)。 温度T3(>T2>T1)における熱輻射のブルーフィルタ透過後のパワーを示す模式図である(温度T3における熱輻射の光量=図の斜線部の面積B3>A)。 従来技術の撮影方法/装置の一例を示す構成図である。 帯域透過フィルタ(バンド・パスフィルタ;BPF)を用いた場合の照明光と輻射のスペクトルを示す模式図である。 BPF透過後の照明光のパワーを示す模式図である(照明光の光量=図の斜線部の面積A)。 温度T1における熱輻射のBPF透過後のパワーを示す模式図である(温度T1における熱輻射の光量=図の斜線部の面積C1)。 温度T2における熱輻射のBPF透過後のパワーを示す模式図である(温度T2における熱輻射の光量=図の斜線部の面積C2)。 温度T3における熱輻射のBPF透過後のパワーを示す模式図である(温度T3における熱輻射の光量=図の斜線部の面積C3)。 輻射光と照明光の合計パワーを示す模式図である。 照明光の強度を時間変化させた際の、輻射光と照明光の合計パワーを示す模式図である。 高温の撮影対象物体とその周囲の物の配置を例示する斜視図である。 図16の配置において、撮影対象にのみ照明光(強度を変化させた光)を照射する場合を示す斜視図である。 照明光に強度変調〜各画素の輝度変化の振幅を輝度として、新たな映像を合成(再マッピング)した際の各点の輝度の比較を示す模式図である。 再マッピングして合成した映像(照明光を照射した箇所のみ映像が得られ、照明光が照射されなかった箇所は映像上から削除される)を例示する斜視図である。 本発明の実施形態として、高温装置の撮影方法/撮影装置を示す構成図である。 輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラでとらえた映像のうち、ある画素における光量の時間変動を示すグラフであり、輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.1)を示す。 図21の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 図22の縦軸のスケールを変えた場合を示すグラフである。 変調成分の大きいケースにおいて、輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラでとらえた映像のうち、ある画素における光量の時間変動を示すグラフであり、輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.2)を示す。 図24の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 図25の縦軸のスケールを変えた場合を示すグラフである。 図23と図26の±5Hzの場所のフーリエ振幅と同様の計算を、輻射強度=1、変調強度=0.00,0.05,0.10,0.15,0.20について計算したフーリエ振幅の変調強度依存性を示すグラフである。 図27(輻射量1.0)と同じ演算を、輻射量1.5,2.0(相対値)についても行った結果を示し、振幅強度=1.0/1.5/2.0、変調強度=0.00/0.05/0.10/0.15/0.20の場合のフーリエ振幅の変調強度依存性と、DC成分への無依存性を示すグラフである。 輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラでとらえた映像の輝度情報のうち、ある画素における光量の時間変動を示すグラフであり、輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.1,ノイズ=0.02)を示す。 輻射を持つ物体に照明光を照射し、カメラでとらえた映像の輝度情報のうち、ある画素における光量の時間変動を示すグラフであり、輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.2,ノイズ=0.02)を示す。 図29の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 図30の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 図28と同じ演算をノイズのある場合について行った結果を示すグラフであり、振幅強度=1.0/1.5/2.0、変調強度=0.00/0.05/0.10/0.15/0.20の場合のフーリエ振幅の変調強度依存性と、DC成分への無依存性を示す。 照明光の変調手段の別な例を示す模式図である。 照明光の変調手段の別な例を示す模式図である。 照明光の変調手段の別な例を示す模式図である。 照明光の変調手段の別な例を示す模式図である。 照明光の強度をOn/Off制御した際にカメラに入射し、特定の画素の輝度を変化させている際の輝度変化のモデルを示すグラフであり、輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.1、On/Off変調)を示す。 照明光の強度をOn/Off制御した際にカメラに入射し、特定の画素の輝度を変化させている際の輝度変化のモデルを示すグラフであり、輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.2、On/Off変調)を示す。 図38の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 図39の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 背景輻射が異なる条件について、図38〜図41と同様の解析をした場合の、変調強度に対して変調周波数(±5Hz)のピーク高さ(フーリエ振幅)をプロットしたグラフであり、On/Off変調、振幅強度=1.0/1.5/2.0、変調強度=0.00/0.05/0.10/0.15/0.20の場合のフーリエ振幅の変調強度依存性と、DC成分への無依存性を示す。 輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.1、ノイズ=0.02、On/Off変調)を示すグラフである。 輻射光+照射光(の反射/散乱光)のパワーの時間変動(輻射:照射=1:0.2、ノイズ=0.02、On/Off変調)を示すグラフである。 図43の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 図44の輻射光+照射光のサンプリング結果を周波数解析した結果を示すグラフである。 On/Off変調、振幅強度=1.0/1.5/2.0、変調強度=0.00/0.05/0.10/0.15/0.20、ノイズ強度=0.02の場合のフーリエ振幅の変調強度依存性と、DC成分への無依存性を示すグラフである。
符号の説明
1…高温物体、2…光源、3…撮影手段、4…光フィルタ、5…表示装置、6〜8…ミラー、9…透過窓、10…撮影対象、11…発熱体、12…炉壁、13…照明領域、14…演算装置、15…変調光発生手段、16…変調手段、17…シャッター、18…チョッパー、19A〜19B…可動ミラー、19C〜19D…固定ミラー、19E…損失媒体、20…変調器、20A…電源線。

Claims (12)

  1. 照明光源と撮影手段と演算装置を用いる物体の撮影方法であって、撮影対象に照射する照明光の強度を時間の経過に従って変動させ、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間の経過に従って変動する変動量を抽出する演算操作を行い前記輝度の変動量を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像表示及び/又は記録を行うことを特徴とする物体の撮影方法。
  2. 照明光源と撮影手段と演算装置を用いる物体の撮影方法であって、撮影対象に照射する照明光に強度変調を施し、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間変化のうち照明光に行う強度変調の周波数成分のうち少なくとも1つと同じ周波数成分の振幅算を行い、前記周波数成分の振幅を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像表示及び/又は記録を行うことを特徴とする物体の撮影方法。
  3. 照明光を撮影視野内の一部にのみ照射して、照明光を照射していない箇所の映像を除去することにより、視野内の特定の箇所のみの映像を抽出・合成することを特徴とする請求項1又は2に記載の物体の撮影方法。
  4. 物体と撮影手段の間に所定の波長の光を選択的に透過する光フィルタを配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の物体の撮影方法。
  5. 撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値が、変化を連続的に記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物体の撮影方法。
  6. 撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値と最小値の差が、変化を記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物体の撮影方法。
  7. 照明光源と撮影手段と演算装置を有する撮影装置であって、撮影対象に照射する照明光の強度を時間の経過に従って変動させる変調手段を有し、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間の経過に従って変動する変動量を抽出する演算操作を行前記輝度の変動量を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像出力する演算装置を持つことを特徴とする物体の撮影装置。
  8. 照明光源と撮影手段と演算装置を有する撮影装置であって、照明光に強度変調を施す変調手段を有し、撮影された映像の各画素又は複数の画素を1単位とした画素群について輝度の時間変化を記録し、前記輝度の時間変化のうち照明光に行う強度変調の周波数成分のうち少なくとも1つと同じ周波数成分の振幅算を行い、前記周波数成分の振幅を前記各画素又は画素群の輝度とした合成映像出力する演算装置を持つことを特徴とする物体の撮影装置。
  9. 照明光を撮影視野内の一部にのみ照射して、照明光を照射していない箇所の映像を除去することにより、視野内の特定の箇所のみの映像を抽出・合成することを特徴とする請求項7又は8に記載の物体の撮影装置。
  10. 物体と撮影手段の間に所定の波長の光を選択的に透過する光フィルタが配置されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の物体の撮影装置。
  11. 撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値が、変化を記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きくなるように照明光の入射量の最大値を設定してあることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の物体の撮影装置。
  12. 撮影手段に入射する光のうち、照明光の入射量の最大値と最小値の差が、変化を記録する時間と比較して短い時間内に起こる背景輻射の時間変化である背景輻射のゆらぎと比較して大きくなるように照明光の入射量の最大値及び最小値を設定してあることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の物体の撮影装置。
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