JP5163376B2 - 高温耐火レンガのレーザ加工方法 - Google Patents

高温耐火レンガのレーザ加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5163376B2
JP5163376B2 JP2008229684A JP2008229684A JP5163376B2 JP 5163376 B2 JP5163376 B2 JP 5163376B2 JP 2008229684 A JP2008229684 A JP 2008229684A JP 2008229684 A JP2008229684 A JP 2008229684A JP 5163376 B2 JP5163376 B2 JP 5163376B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
holes
refractory brick
laser
processing
power density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008229684A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010064251A (ja
Inventor
弘二 平野
敦史 杉橋
辰彦 坂井
浩文 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2008229684A priority Critical patent/JP5163376B2/ja
Publication of JP2010064251A publication Critical patent/JP2010064251A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5163376B2 publication Critical patent/JP5163376B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

本発明は、高温の耐火レンガのレーザ加工方法に関し、特に、耐火レンガで作られた構造物を高温環境下で補修する技術に関する。
耐火レンガは種々の炉等の構造物に使われているが、耐火レンガの劣化に伴い、高温環境下で耐火レンガの加工が求められる場合がある。一例として、石炭を乾留するコークス炉の壁面を熱間で補修するための加工が挙げられる。
コークス炉は炉を加熱するための燃焼室とコークスを生成する炭化室に分かれており、壁面は耐火レンガが使用されている。炉の長年の使用により耐火レンガには表面損傷や亀裂、遂には炭化室から燃焼室まで貫通するような破孔が発生する。特に破孔が発生すると、挿入した石炭が燃焼室にこぼれ落ちて燃焼ガスの供給ポートを閉塞させたり、炭化室からコークスガスが燃焼室に流入して不完全燃焼を起こし、黒煙を発生させる原因となる。
炉壁の耐火レンガは600℃付近で熱膨張率が急激に変化するため、炉をこの温度以下に冷却すると、熱衝撃により炉壁全体へ損傷を与える危険がある。このため、炉壁の補修は、700℃から操業温度である1000℃にかけての高温環境下で行うことが望ましい。
高温でレンガを加工する方法としてレーザによる方法が着目されている。レーザ加工は切削加工等の機械的な加工に比べて機械的な応力が発生せず、破孔周辺の正常な炉壁部の強度に影響を与えず、安全に整形を行える利点がある。特許文献1には、炭化室側からのレーザ照射による炉壁レンガの破砕加工または溶融切断加工により、破孔断面形状が炭化室から燃焼室に向かって狭くなる階段形状、あるいはテーパー形状に整形し、次に当該整形部の破孔断面形状に合わせ、且つ挿入する充填用耐火レンガ材と破孔部の境界に開先部が形成されるようにレンガ材を整形し、破孔部に挿入し、次に当該開先に不定形耐火物を溶射して挿入耐火レンガを破孔部に固定する方法が開示されている。
特開2008−143966号公報
しかし、高温の耐火レンガのレーザ加工については知見の蓄積がほとんど無い。このため、高温材料の加工に適したレーザ条件が十分把握されているとは言えないのが現状である。特許文献1で開示された以下の2つのレーザ照射方法は、以下で述べるように加工精度の観点でさらに改善の余地があった。第一の方法は、比較的低いパワー密度のビームを走査することで、レーザ照射部の急加熱による熱膨張でレンガを破砕し、ほとんど溶融させることなく除去する方法である。この方法は、熱衝撃による局所的破砕に基づくが、レーザ照射部の周辺部を含めて破砕する場合があるため、加工領域と未加工領域の境界線を1mm未満の精度で加工することが困難になる可能性があった。第二の方法は、比較的高いパワー密度に保持した状態でビームを走査し、酸素ガスを吹きながら溶融切断加工する方法である。この方法は、加工領域と未加工領域の境界線近傍の未加工領域の側に溶融物の盛り上がりが生じる可能性があるために、やはり十分な加工精度を得ることが困難になる可能性があった。
本発明は、上述の課題を解決し、高温耐火レンガのレーザ加工において、加工領域と未加工領域の境界線近傍の加工精度や品質を高めたレーザ加工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高温の耐火レンガのレーザによる溶融切断加工現象を詳細に調査した。その結果、加工精度や品質を劣化させる原因が、耐火レンガの温度が500℃以上と高いために蓄熱し過剰な溶融が発生しやすいためであることを見出した。そして対策を検討した結果、レーザビームの照射を時間的に不連続に行い、かつ空間的な加工順序を工夫することによって、過剰な蓄熱による溶融を回避し、加工品質を高められるという本発明に至った。すなわち、本発明は以下に示すものである。
本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、温度500℃以上の耐火レンガにレーザビームを照射し、該耐火レンガを切断するレーザ加工方法であって、該耐火レンガ表面のレーザビーム照射点における該レーザビームのパワー密度を、該耐火レンガを溶融させるパワー密度と、該耐火レンガを溶融させないパワー密度との間で時間的に変調させると共に、該耐火レンガ上でレーザビームの照射点を走査して、貫通孔を該貫通孔の位置が連続して配列するように複数形成し、且つ、該複数の貫通孔のうち少なくとも隣り合う貫通孔を重畳させることにより該耐火レンガを切断し、前記複数の貫通孔の形成において、該複数の貫通孔が形成される順番が不連続であることを特徴とする。
また、本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、前記複数の貫通孔の形成において、形成される順番が連続する2つの貫通孔が互いに重畳しない様に、該複数の貫通孔が形成される順番が不連続であることを特徴とする。
さらに、本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、温度500℃以上の耐火レンガにレーザビームを照射し、該耐火レンガを加工するレーザ加工方法であって、該耐火レンガ表面のレーザビーム照射点における該レーザビームのパワー密度を、該耐火レンガを溶融させるパワー密度と、該耐火レンガを溶融させないパワー密度との間で時間的に変調させると共に、該耐火レンガ上でレーザビームの照射点を走査して、非貫通穴を該非貫通穴の位置が連続して配列するように複数形成し、且つ、該複数の非貫通穴のうち少なくとも隣り合う非貫通穴を重畳させることにより該耐火レンガに溝を形成し、前記複数の非貫通穴の形成において、該複数の非貫通穴が形成される順番が不連続であることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の耐火レンガのレーザ加工方法は、前記複数の非貫通穴の形成において、形成される順番が連続する2つの非貫通孔が互いに重畳しない様に、該複数の非貫通穴が形成される順番が不連続であることを特徴とする。
さらに、本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、前記溝の形成を複数回繰り返すことにより、溝深さを増加させることを特徴とする。
また、本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、前記溝の形成を複数回繰り返すことにより、前記耐火レンガを切断することを特徴とする。
さらに、本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、前記貫通孔を該貫通孔の位置が連続して配列するように複数形成する途上、又は、前記非貫通穴を該非貫通穴の位置が連続して配列するように複数形成する途上において、該貫通孔又は非貫通穴の周辺部から放射される電磁波の強度を測定し、該電磁波の強度に基づいて、残りの貫通孔又は非貫通穴を形成する順番を決定することを特徴とする。
さらにまた、本発明の耐火レンガのレーザ加工方法は、前記耐火レンガが、コークス炉の炭化室と燃焼室とを隔てる炉壁に用いる耐火レンガであることを特徴とする。
本発明の方法により、高温耐火レンガのレーザ加工において、加工精度や品質を高めたレーザ加工が実現される。適用の一例であるコークス炉破孔部補修においては、レーザによる整形の加工精度や品質を高めることにより、挿入する充填用耐火レンガ材と整形部の隙間を一定にすることが可能となり、迅速で安定した溶射に寄与する。さらに、レーザ加工時に未加工領域への入熱を抑えることができるため、炉壁の破壊耐圧強度の向上等が期待される。
以下に、図を用いて本発明を詳細に説明する。まず、レーザ照射に用いる加工ヘッド光学系について図1を用いて説明する。図1には、非貫通穴1を形成する場合について記載したが、貫通孔3を形成する場合も同様の装置を用いる。レーザビームは図示しないレーザ装置より出力される。使用するレーザの種類は特に問わないが、光ファイバでの伝送が必要である場合は、波長1.1μm帯のYAGレーザ、あるいはファイバレーザが適する。また、ミラー反射による伝送も可能であることからCOレーザも使用可能である。ここでは前者を例として説明する。レーザビームは光ファイバ15で伝送され、コリメータヘッド8から出力される。コリメータヘッド8は光ファイバ15からの出力ビームを平行ビーム14に変換する。レーザビームは反射ミラー6で反射され集光レンズ4で集光されてレーザ透過ピンホール13を通過して高温の耐火レンガ2に照射される。
レーザ変位計7とCCDカメラ10は加工部観測手段として機能する。耐火レンガは高温となっており、熱輻射の影響を軽減するためには、レーザ加工ヘッド部5と加工部観察部9は水冷機構を備えた断熱冷却ボックス11内に納めることが好ましい。なお、断熱冷却ボックス11内にはパージガス12が充填されることが望ましい。
レーザビームの照射位置は以下の2つの方法で変えられる。まず、大きな動きとして断熱冷却ボックス11全体をマニピュレータにより上下左右に移動させることができる。さらにmmオーダの小さな動きは反射ミラー6の傾き角の調整により実現される。反射ミラー6はガルバノ式ミラーとなっており、レーザビームの照射点は耐火レンガ表面の一定の領域を走査できる。本発明は耐火レンガ2を溶融除去する加工法であり、溶融を効率的に行うためにレーザビームのパワー密度は1000W/mm以上とすることが望ましい。
本発明の主旨は、レーザビームの照射を時間的に不連続に行ってパワー密度を変調し、複数の貫通孔3あるいは非貫通穴1が形成される順番が不連続として空間的な加工順序を工夫することによって、過剰な蓄熱による溶融を回避し、加工品質を高めることにある。以下その具体的な方法について説明する。
本発明の第一の実施形態を図2〜図4に基づいて説明する。本実施形態では、ある照射位置において、レーザビームの照射点におけるパワー密度を、耐火レンガ2を溶融させるパワー密度と、耐火レンガ2を溶融させないパワー密度の間で時間的に変調させることを繰り返すことで貫通孔3を形成する状態と、貫通孔3を形成しない状態を交互に繰り返す。そして、貫通孔3形成を、照射位置をずらしながら複数回行うことで切断を得る。1回の変調で得られる加工穴の断面形状は図2に示すような非貫通穴1もしくは図3に示すような貫通孔3となる。図2の非貫通穴1の場合はこれを同一の照射位置に対して複数回繰り返すことで図3のような貫通孔3を形成する。本実施形態では、この貫通孔3形成を、照射位置を横にずらしながら繰り返すことで切断を得る。図4に示すように、貫通孔3の形成は隣接する孔を重畳させながら行う。図4中の数字a1〜a8は貫通孔3が形成される順番を表す。このように、形成される貫通孔3は隣の位置に次々に移っていき、貫通孔3が形成される順番は連続となっている。1回の変調でパワー密度を高くする時間はビーム径の外側に過剰溶融が生じない範囲に設定する。この時間は、レーザの波長、パワー密度、ビーム径に応じて決まる。またパワー密度を低くする非加工の時間は、加工位置から熱が拡散し、次以降の加工時に過剰な溶融が生じない程度に長くなるように設定する。
本発明の第二の実施形態は第一の実施形態の変形例であり、図3に示すような貫通孔3を形成する方法は第一の実施形態と同様であるが、貫通孔3を複数形成していく順序が異なっている。すなわち、図5に示すように、ある貫通孔3を加工後、次の貫通孔3はこれと重畳しないものを選択し、貫通孔3が形成される順番が不連続的であることを特徴とする。なお、図5中の数字a1〜a16は、図4と同様、貫通孔3が形成される順番を表す。ある加工位置から次の加工位置までの距離を大きくすることで、熱影響が減り、パワー密度を低くする非加工の時間を短くすることができる。したがって、図5に示すように、連続する加工のスポット間の距離が大きく取れるような順序が有効である。
本発明の第三の実施形態は、ある照射位置において、レーザビームの照射点におけるパワー密度を、耐火レンガ2を溶融させるパワー密度と、耐火レンガ2を溶融させないパワー密度の間で時間的に変調させることを1回もしくは複数回繰り返すことで図2に示すような非貫通穴1を形成し、この非貫通穴1形成を、照射位置をずらしながら複数回行うことで溝形状を得る。図6に示すように、非貫通穴1の形成は隣接する穴を重畳させながら行う。図6中の数字a1〜a8は、図4と同様、非貫通穴1が形成される順番を表す。1回の変調でパワー密度を高くする時間はビーム径の外側に過剰溶融が生じない範囲に設定する。この時間は、レーザの波長、パワー密度、ビーム径に応じて決まる。またパワー密度を低くする非加工の時間は、加工位置から熱が拡散し、次以降の加工時に過剰な溶融が生じない程度に長くなるように設定する。
本発明の第四の実施形態は第三の実施形態の変形例であり、図2に示すような非貫通穴1を形成する方法は第三の実施形態と同様であるが、非貫通穴1を複数形成していく順序が異なっている。すなわち図7に示すように、ある非貫通穴1を加工後、次の非貫通穴1はこれと重畳しないものを選択し、お互いに重畳する非貫通穴1の形成を時間的に連続的に行わないことを特徴とする。なお、図7中の数字a1〜a16は、図5と同様、非貫通穴1が形成される順番を表す。ある加工位置から次の加工位置までの距離を大きくすることで、熱影響が減り、パワー密度を低くする非加工の時間を短くすることができる。したがって、図7に示すように、連続する加工のスポット間の距離が大きく取れるような順序が有効である。
本発明の第五の実施形態は、第三もしくは第四の実施形態の変形例である。図8に示すように、第三もしくは第四の実施形態で得られた溝形状の加工(以下、これを1段階の加工と呼ぶ)を複数段階繰り返すことで、溝深さを大きくする、もしくは貫通させることにより切断線を得るものである。同じく貫通した切断線を得る方法である第一、第二の実施形態と比較すると、本実施形態は、ある照射位置での1段階での加工深さが浅いため、熱影響が抑えられるものであり、特に厚い耐火レンガ2に対して有効な形態である。数段階にわたる溝加工の進展に伴い、集光レンズ4と加工面の距離が変化するが、溝深さに合わせて図1の装置図における断熱冷却ボックス11全体を上下させる、もしくは集光レンズ4を動かすことにより、加工面上のパワー密度の変化を補償することが可能である。
本発明の第六の実施形態を説明する。この実施形態は、複数の貫通孔3または非貫通穴1の加工スポットの形成において、貫通孔3または非貫通穴1の周辺部から放射される電磁波の強度を測定し、これを温度情報に変換し、この情報に基づいて、次以降の加工スポットを形成する位置もしくは時間を決定する。すなわち、複数の非貫通穴1を形成する順番を決定する。温度計測には、例えば放射温度計や図1に示したCCDカメラ10などが用いられる。予め黒体炉等を用いた校正しておけば、図1に示す加工部観察用CCDカメラ10を用いて加工部周辺の温度分布を測定することも可能である。この際、CCDカメラ10の素子が感度を持たない波長領域からの迷光を除去して温度測定精度を高めるために、1μm以上の波長領域の輻射を遮断するフィルター16をCCDカメラ10の前に取り付けても良い。図9は、本実施形態の加工制御法のフローチャートである。次の加工予定部周辺の温度を計測し、そこに一定の閾値を定める。計測値がその温度以上であれば次の加工を行わずに、しばらくレーザパワー密度を低い非加工の状態に保つ、もしくは、レーザビームを温度が上昇していない場所に移動させ加工する、等の制御を行なう。耐火レンガ2の材質には不均一性があるため、時として過剰溶融が発生する。本実施形態によると、こうしたバラツキに対応して、非加工時間の長さを制御できる。この結果、加工の効率や安定性を高めることができる。なお、以上では黒体炉等を用いた校正を通じて電磁波の強度を温度情報に変換する例に言及したが、CCDカメラ10の受光強度から直接判定することも可能である。
以上説明してきた形態はいずれも連続して貫通孔3もしくは非貫通穴1を重畳させるものであったが、本発明の方法には2次元的な重畳も含まれる。これは図14に示すような、お互いに重畳する複数の直線に沿って貫通孔3もしくは非貫通穴1を重畳させていく方法である。上述した第三もしくは第四の実施形態をこのように面的な加工法に拡張したものは、コークス炉の破孔補修において、図15の斜線部で示されるような平坦部を得るための加工に適している。
以下、本発明の効果を検証するために行なったレーザ加工試験の結果について説明する。レーザ加工装置は図1に示すものを用いた。加工対象の耐火レンガ2の温度は全て1000℃に保持した。レーザ装置としては炉外に設置したファイバレーザを用い、レーザビームを光ファイバ15でレーザ加工ヘッド部5に伝送した。レーザビームの走査方法は以下の2つの方法を併用した。まず、大きな動きとして断熱冷却ボックス11全体をマニピュレータにより上下左右に移動させた。また、mmオーダの小さな動きはガルバノ式ミラーである反射ミラー6の傾き角の調整により行った。加工結果の評価は、図10に示すように、カーフ幅(w)と溶融物盛り上がりの高さ(h)で評価した。いずれの指標も30mm程度の加工長さに沿った最大値5点の平均値を取った。
まず、従来の方法による例について説明する。耐火レンガ厚は50mmとした。レーザパワー2000W、パワー密度20000W/mm、ビーム走査速度1mm/sで走査して加工を行った。図11に示すように、レーザ照射はビームの走査を開始すると同時にスタートさせ、以後は一定のパワー密度(20000W/mm)に保持した。この加工結果には、過剰な溶融が見られ、w=4.1mm、h=3.5mm、と両者ともに大きい値となった。なお20℃のレンガに対し同様の加工を行ったところ、w=1.6mm、h=2.2mmであり、1000℃の高温の結果と比較して良好であった。なお、上と同じレーザ条件で、温度を変えながら走査加工を行ったところ、200℃ではw=1.8mm、h=2.3mmであり過剰な溶融の影響は認められなかったが、500℃ではw=2.8mm、h=2.9mmであり、過剰な溶融の影響が見られた。従って、本願の方法は500℃以上の耐火レンガ2に対して特に有効であると言える。
この理由は以下のように考えられる。耐火レンガの融点は成分にも依存するが1700℃付近である。{(1700−1000)/(1700−20)}≒0.4であるから、比熱等の物性値の温度依存性を無視した粗い見積りの範囲では、1000℃の場合は20℃の場合の40%のレーザパワーで溶融に至ることが判る。また耐火レンガの温度が高い場合は、加工周辺部への熱拡散も遅くなる。これらの原因で、1000℃の場合は耐火レンガに過剰な溶融が発生し、加工精度の低下、品質の劣化につながっていると考えられる。
次に、本発明の第一の実施例について説明する。これは上述の第一の実施形態にあたる例であり、図4に示す方法で貫通孔が形成される順番が連続となるようにビームを走査した。耐火レンガ厚は50mmとした。レーザビームのパワー密度は図12に示すように変調した。まずパワー密度が高い加工時間は、レーザパワー2000W、パワー密度20000W/mm、時間幅は200msとした。パワー密度が低い非加工時間は、レーザパワー0W、時間幅は800msとした。すなわち、パワー密度は繰り返し周波数1Hzのパルス変調されていると言える。事前検討において、この変調条件では3回の加工で貫通孔が得られた。これに基づき、切断加工においては、3回は定位置で加工し、その定位置での3回の加工が終了すると、レーザパワーが0Wとなっている次の800msの間に、隣接する照射位置に照射スポットをずらしながら加工を行った。この移動はガルバノ式ミラーの傾き角度の調整により行った。3回の加工で得られる一つの貫通孔の直径は約1mmであり、隣接する照射スポットの中心同士の間隔は0.5mmとした。この結果、w=1.9mm、h=1.1mmとなり加工精度を高める効果が確認された。
次に本発明の第二の実施例について説明する。これは上述の第二の実施形態にあたる例であり、図5に示す方法でビームを走査した。耐火レンガ厚は50mmとした。レーザビームのパワー密度は図13に示すように変調した。パワー密度が高い加工時間は、レーザパワー2000W、パワー密度20000W/mm、時間幅は200msとした。パワー密度が低い非加工時間は、レーザパワー0W、時間幅は400msとした。この変調条件では上述の通り、3回の加工で直径約1mmの貫通孔が得られる。そこで、3回は定位置で加工し、その定位置での3回の加工が終了すると、レーザパワーが0Wとなっている次の400msの間に、次の照射位置に照射スポットをずらしながら加工を行った。貫通孔は照射スポットをずらした順序は図5に示す通りである。最終的に0.5mmピッチで貫通孔が形成されるように、例えば図5中a1とa2の間隔は2mm、a2とa3の間隔は1mm、などとした。a1〜a8までの3.5mm長さの範囲はミラーの反射角を傾ける方式にて照射位置を変更した。a8からa9への移動は断熱ボックス全体を動かす方法を取った。ミラー方式と比較して移動速度に限りがあり、また、a8とa9は隣接しているため蓄熱を回避するためにはパワー密度が低い非加工の時間が長く必要である、という2つの理由により、a8とa9の加工の間の非加工時間は1000msとした。以上の方法による加工の結果、w=1.8mm、h=1.0mmとなった。連続する2つの照射スポットを重畳させない順序で加工することにより非加工時間を短くできるため、この第二の実施例は第一の実施例に比べて加工時間を短くできるメリットがある。
次に本発明の第三の実施例について説明する。これは上述の第三の実施形態にあたる例であり、図6に示す方法でビームを走査した。耐火レンガ厚は100mmとした。レーザビームのパワー密度は図12に示すように変調した。パワー密度が高い加工時間は、レーザパワー2000W、パワー密度20000W/mm、時間幅は200msとした。パワー密度が低い非加工時間は、レーザパワー0W、時間幅は800msとした。この800msの間に、隣接する照射位置に照射スポットをずらしながら加工を行った。この移動はガルバノ式ミラーの傾き角度の調整により行った。この変調条件では、一回の加工で形成される非貫通穴の直径は約0.8mmであり、隣接する照射スポットの中心同士の間隔は0.4mmとした。この結果、深さ20mmの溝が形成された。w=1.5mm、h=1.1mmとなり、過剰溶融影響はなかった。
次に本発明の第四の実施例について説明する。これは上述の第三の実施形態にあたる例であり、図7に示す方法でビームを走査した。耐火レンガ厚は100mmである。パワー密度が高い加工時間は、レーザパワー2000W、パワー密度20000W/mm、時間幅は200msとした。パワー密度が低い非加工時間は、レーザパワー0W、時間幅は400msとした。この変調条件では上述の通り、一回の加工で直径約0.8mmの非貫通穴が得られる。照射スポットをずらした順序は図7に示す通りである。最終的に0.4mmピッチで非貫通穴が連なるように、例えば図5中a1とa2の間隔は1.6mm、a2とa3の間隔は0.8mm、などとした。a1〜a8までの2.8mm長さの範囲はミラーの反射角を傾ける方式にて照射位置を変更した。a8からa9への移動は断熱ボックス全体を動かす方法を取った。上の第二の実施例で述べたのと同じ理由により、a8とa9の加工の間の非加工時間は1000msとした。以上の方法による加工の結果、20mm深さの溝が形成された。w=1.5mm、h=1.0mmとなり、過剰溶融影響はなかった。
次に本発明の第五の実施例について説明する。これは上述の第五の実施形態にあたる例である。耐火レンガ厚は100mmである。各段階におけるレーザパワー密度の変調の仕方、および照射スポットの移動のさせ方は、上述の第三の実施例と同じとした。第三の実施例と同じく、1回の走査で20mm深さの溝が形成されたが、この上から再度同じ加工を繰り返した。この結果、6段目の加工で100mm厚の耐火レンガに穴が貫通した。このときw=1.7mm、h=1.3mmとなり過剰溶融影響はなかった。
次に本発明の第六の実施例について説明する。これは上述の第六の実施形態にあたる例である。耐火レンガ厚は100mmである。照射スポットの移動のさせ方、および、1段の加工で形成される溝を多段階繰り返す点は第五の実施例と同じであるが、図1のCCDカメラ10を用いて加工スポット近傍の温度を測定し、それに基づいてレーザパワー密度を変調する方法に変えた。次の加工点近傍の半径1mm以内の平均温度が1300℃を下回ったタイミングで次の加工を行うという制御則で加工を行った。1回の走査で20mm深さの溝が形成され、この上から再度同じ加工を繰り返した結果、6段の溝加工で100mm厚の耐火レンガに穴が貫通した点は上述した第五の実施例と同じである。このときw=1.7mm、h=1.1mmとなり、第五の実施形態とほぼ同等の品質であったが、加工時間は20%短縮された。
この理由は以下のように説明される。各々の加工穴に対し、過剰溶融を発生させないために必要な非加工時間は、耐火レンガ材質の不均一性のために一定のバラツキを持つものである。第五の実施例で採用した非加工時間800ms(図12参照)は、このバラツキを考慮して長めに設定されたものである。これに対し、温度測定により非加工時間の長さを決定する本実施の形態では、過剰溶融が少ない場合、すなわち次の加工穴近傍からの熱拡散が速くなる加工穴については、非加工時間を短くできる。よって、一定の非加工時間を設定する第五の実施形態よりも、多数の加工穴に対する非加工時間の平均値を小さくすることができ、従って加工時間の短縮が実現される。
本発明のレーザ加工に使用する装置の説明図である。 照射位置固定条件下でのレーザ加工の説明図である。 照射位置固定条件下でのレーザ加工の説明図である。 本発明の第一の実施形態におけるレーザ加工方法の説明図である。 本発明の第二の実施形態におけるレーザ加工方法の説明図である。 本発明の第三の実施形態におけるレーザ加工方法の説明図である。 本発明の第四の実施形態におけるレーザ加工方法の説明図である。 本発明の第五の実施形態におけるレーザ加工方法の説明図である。 加工制御法のフローチャートである。 本発明の実施例における加工結果の評価方法を説明する図である。 従来例のレーザ照射方法を説明する図である。 本発明の実施例のレーザ照射方法を説明する図である。 本発明の実施例のレーザ照射方法を説明する図である。 本発明の実施形態によるレーザ加工方法の説明図である。 本発明を用いたコークス炉の破孔の補修方法例を説明する図である。
符号の説明
1 非貫通穴
2 耐火レンガ
3 貫通孔
4 集光レンズ
5 レーザ加工ヘッド部
6 反射ミラー
7 レーザ変位計
8 コリメータヘッド
9 加工部観察部
10 CCDカメラ
11 断熱冷却ボックス
12 パージガス
13 レーザ透過ピンホール
14 平行ビーム
15 光ファイバ
16 フィルター

Claims (8)

  1. 温度500℃以上の耐火レンガにレーザビームを照射し、該耐火レンガを切断するレーザ加工方法であって、
    該耐火レンガ表面のレーザビーム照射点における該レーザビームのパワー密度を、該耐火レンガを溶融させるパワー密度と、該耐火レンガを溶融させないパワー密度との間で時間的に変調させると共に、該耐火レンガ上でレーザビームの照射点を走査して、貫通孔を該貫通孔の位置が連続して配列するように複数形成し、且つ、該複数の貫通孔のうち少なくとも隣り合う貫通孔を重畳させることにより該耐火レンガを切断し、
    前記複数の貫通孔の形成において、該複数の貫通孔が形成される順番が不連続であることを特徴とする耐火レンガのレーザ加工方法。
  2. 前記複数の貫通孔の形成において、形成される順番が連続する2つの貫通孔が互いに重畳しない様に、該複数の貫通孔が形成される順番が不連続であることを特徴とする請求項1に記載の耐火レンガのレーザ加工方法。
  3. 温度500℃以上の耐火レンガにレーザビームを照射し、該耐火レンガを加工するレーザ加工方法であって、
    該耐火レンガ表面のレーザビーム照射点における該レーザビームのパワー密度を、該耐火レンガを溶融させるパワー密度と、該耐火レンガを溶融させないパワー密度との間で時間的に変調させると共に、該耐火レンガ上でレーザビームの照射点を走査して、
    非貫通穴を該非貫通穴の位置が連続して配列するように複数形成し、且つ、該複数の非貫通穴のうち少なくとも隣り合う非貫通穴を重畳させることにより該耐火レンガに溝を形成し、
    前記複数の非貫通穴の形成において、該複数の非貫通穴が形成される順番が不連続であることを特徴とする耐火レンガのレーザ加工方法。
  4. 前記複数の非貫通穴の形成において、形成される順番が連続する2つの非貫通孔が互いに重畳しない様に、該複数の非貫通穴が形成される順番が不連続であることを特徴とする請求項3に記載の耐火レンガのレーザ加工方法。
  5. 前記溝の形成を複数回繰り返すことにより、溝深さを増加させることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載の耐火レンガのレーザ加工方法。
  6. 前記溝の形成を複数回繰り返すことにより、前記耐火レンガを切断することを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載の耐火レンガのレーザ加工方法。
  7. 前記貫通孔を該貫通孔の位置が連続して配列するように複数形成する途上、又は、前記非貫通穴を該非貫通穴の位置が連続して配列するように複数形成する途上において、該貫通孔又は非貫通穴の周辺部から放射される電磁波の強度を測定し、該電磁波の強度に基づいて、残りの貫通孔又は非貫通穴を形成する順番を決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐火レンガのレーザ加工方法。
  8. 前記耐火レンガが、コークス炉の炭化室と燃焼室とを隔てる炉壁に用いる耐火レンガであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐火レンガのレーザ加工方法。
JP2008229684A 2008-09-08 2008-09-08 高温耐火レンガのレーザ加工方法 Active JP5163376B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008229684A JP5163376B2 (ja) 2008-09-08 2008-09-08 高温耐火レンガのレーザ加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008229684A JP5163376B2 (ja) 2008-09-08 2008-09-08 高温耐火レンガのレーザ加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010064251A JP2010064251A (ja) 2010-03-25
JP5163376B2 true JP5163376B2 (ja) 2013-03-13

Family

ID=42190279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008229684A Active JP5163376B2 (ja) 2008-09-08 2008-09-08 高温耐火レンガのレーザ加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5163376B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5521715B2 (ja) * 2010-04-06 2014-06-18 新日鐵住金株式会社 レーザ加工装置およびレーザ加工方法
JP2013226590A (ja) * 2012-04-26 2013-11-07 Toshiba Corp レーザ切断装置及びレーザ切断方法
JP6242778B2 (ja) * 2014-09-30 2017-12-06 三菱重工業株式会社 レーザ切断方法
EP4029970A4 (en) * 2019-09-13 2023-10-11 Zefa Co., Ltd. CAST CIRCUIT COMPONENT AND ELECTRONIC DEVICE

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1043880A (ja) * 1996-08-02 1998-02-17 Ngk Spark Plug Co Ltd レーザ加工方法
JP4102609B2 (ja) * 2002-07-24 2008-06-18 株式会社 エヌティーアイ アスファルト切断方法及びアスファルト切断装置
JP4884947B2 (ja) * 2006-12-07 2012-02-29 新日本製鐵株式会社 コークス炉の破孔補修方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010064251A (ja) 2010-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5163376B2 (ja) 高温耐火レンガのレーザ加工方法
JP5054297B2 (ja) レーザーショック処理を監視するシステム及び方法
KR101818409B1 (ko) 투명 재료들의 고속 레이저 프로세싱
US5569399A (en) Lasing medium surface modification
TWI535516B (zh) 於利用雷射移除材料之期間減少熱效應
JP2007120048A (ja) 岩石掘削方法
JP2011056544A5 (ja)
CN1617783A (zh) 提高激光机加工除材速率的方法与设备
TWI515071B (zh) Laser processing method
CN102006964A (zh) 基于激光的材料加工方法和系统
KR102646994B1 (ko) 어닐링장치 및 어닐링방법
Banat et al. Application of high power pulsed nanosecond fibre lasers in processing ultra-thin aluminium foils
Norton et al. Growth of laser damage on the input surface of SiO2 at 351 nm
Guss et al. Mitigation of growth of laser initiated surface damage in fused silica using a 4.6-um wavelength laser
JP4352143B2 (ja) レーザスポット溶接における穴欠陥の防止または修復方法および装置
US20080035088A1 (en) Laser ignition arrangement
JP4884947B2 (ja) コークス炉の破孔補修方法
Bomschlegel et al. In-situ analysis of heat accumulation during ultrashort pulsed laser ablation
JP2008032396A (ja) 高温炉内壁面観察方法
JP5560096B2 (ja) レーザ加工方法
Harp et al. Laser ablation using a long-pulsed, high-fluence, CW single-mode fiber laser
JP5521715B2 (ja) レーザ加工装置およびレーザ加工方法
US20200041719A1 (en) Ablated end fibers and methods for ablating optical fibers
JP2015199114A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP2015136718A (ja) 欠陥補修装置及び欠陥補修方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121203

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151228

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5163376

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151228

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350