JP2008031511A - 親水撥油性物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡易なプロセスで、物品の表面に親水撥油性を付与することができ、しかも該親水撥油性の耐久性が良好である物品の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス、セラミックスおよびプラスチックからなる群から選択される材料からなる被処理物品の表面を、(A)パーフルオロカーボンと、(B)酸素原子を有し、C−H結合およびハロゲン原子のいずれも有しない酸素含有化合物とが存在する雰囲気中で放電処理することによって、前記被処理物品の表面上に膜を形成する工程を有することを特徴とする物品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面に親水撥油性が付与された物品を製造する方法に関する。
物品の表面に汚れが付着し難く、かつ水洗にて簡単に汚れを落とせるようにするために、物品表面に親水撥油性を付与する表面改質剤が多く提案されている。具体的には、下記特許文献1には、フルオロアルキル基を有するフッ素系ビニルモノマーと、カチオン性、アニオン性、及びノニオン性ビニルモノマー等との共重合体を表面改質剤として被処理基材に塗布して、基材表面に親水撥油性の層を形成することによって、防汚性および防曇性を付与する方法が開示されている。
また下記特許文献2には、被処理基材と親水撥油性の層とを化学的に結合させるために、ビニルシロキサンにフルオロアルキル基と親水性のモルホリノ基を導入したフルオロアルキルシリコーンオリゴマーからなるシランカップリング剤を被処理基材に塗布することによって、基材表面に親水撥油性の層を形成する方法が開示されている。
該特許文献1,2に記載の方法はいずれも、液相塗布工程および乾燥工程が必要な方法である。
一方、液相塗布によらない方法で被処理物の表面に防汚性を付与する方法として、例えば下記特許文献3には、酸素ガス中またはアルゴンガス中で、シリコンを含む反射防止膜にプラズマ処理を施すことによって反射防止膜表面を活性化させ、残留ガス成分の水分と反応してシラノール基を高密度に生成させた後、フッ素含有有機ケイ素化合物を真空蒸着することによって密着性の高い防汚層(撥水撥油膜)を形成する方法が記載されている。
また、下記特許文献4には、パーフルオロアルキル基を有するパーフルオロシクロアルカンを原料として、基材上に、プラズマ重合法により防汚膜(撥水撥油膜)を形成する方法が開示されている。
特開2002−105433号公報 特開平9−241331号公報 特開2005−301208号公報 特開2001−072921号公報
特許文献1,2に記載の方法は、液相塗布工程および乾燥工程が必要であるためプロセスが煩雑である。また特許文献1に記載の方法で形成された層は基材表面との密着性に劣り、耐久性の点で問題がある。
特許文献3,4に記載の方法は、被処理物の表面に形成される膜が撥水撥油性を有するため、油成分の付着は防止できるが、親水撥油性のものに比べて、一旦付着した油成分を除去することが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的簡易なプロセスで、物品の表面に親水撥油性を付与することができ、しかも該親水撥油性の耐久性が良好である物品の製造方法を提供する。
前記課題を解決するために、本発明の物品の製造方法は、ガラス、セラミックスおよびプラスチックからなる群から選択される材料からなる被処理物品の表面を、(A)パーフルオロカーボンと、(B)酸素原子を有し、C−H結合およびハロゲン原子のいずれも有しない酸素含有化合物とが存在する雰囲気中で放電処理することによって、前記被処理物品の表面上に膜を形成する工程を有することを特徴とする。
前記(A)パーフルオロカーボンが、炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。
前記(B)酸素含有化合物が、酸素、オゾン、二酸化炭素、水、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
前記(A)パーフルオロカーボンがテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンであり、前記(B)酸素含有化合物が、酸素であることが好ましい。
前記膜の膜厚が2μm以下であることが好ましい。
前記膜における、水の接触角が40゜以下であり、n−ヘキサデカンの接触角が25゜以上であることが好ましい。
本発明によれば、比較的簡易なプロセスで、表面が親水撥油性であり、しかも該親水撥油性の耐久性が良好である物品が得られる。
<被処理物品>
本発明における被処理物品は、ガラス、セラミックスおよびプラスチックからなる群から選択される材料からなる表面(被処理面)を有する。1つの物品の表面に、材料が互いに異なる複数の部分が存在していてもよい。
ガラスの具体例としては、ソーダガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラスが挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリアミド;ポリイミド;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリセルロース;ポリテトラフルオロエチレン;エチレンテトラフルオロエチレン共重合体;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリフッ化ビニリデン;ポリフッ化ビニルが挙げられる。
セラミックの具体例としては、アルミナ、ジルコニア等の酸化物系セラミック;水酸化物系セラミック;炭化ケイ素等の炭化物系セラミック;炭酸塩系セラミック;窒化ケイ素等の窒化物系セラミック;ハロゲン化物系セラミック;リン酸塩系セラミックが挙げられる。
被処理物品の形状は特に制限されない。例えばシート状、フィルム状、平板状、中空糸状、円筒状、容器状、棒状、球状、ブロック状、繊維状、織布状が挙げられる。これらのうちでもシート状、フィルム状、平板状が好ましい。
被処理物品が、さらに成形加工されて最終製品となるものである場合は、成形加工後に本発明にかかる膜を形成してもよく、該膜が成形加工時に破壊されない場合は、膜を形成した後に成形加工を施してもよい。
<(A)パーフルオロカーボン>
本発明で用いられるパーフルオロカーボンは、エーテル性酸素原子が含まれてもよい炭化水素の、水素原子の全部がフッ素原子に置換された化合物である。該炭化水素は、直鎖状、分岐状または環状の、飽和または不飽和の炭化水素である。
パーフルオロカーボンは、重合性が高く、短時間で被処理物品の表面上に膜を形成できることから、炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。パーフルオロカーボンの炭素数は2〜6が好ましく、コストの面から2〜4がより好ましい。
パーフルオロカーボンは、地球温暖化係数が低く、膜成長に寄与するCFカルベンを生成しやすいものが好ましい。
また、パーフルオロカーボンにおけるフッ素原子と炭素原子の存在比(F/C)が大きいほど、得られる膜の撥油性が向上する。本発明では、良好な撥油性を得るためにF/Cが1.5以上であることが好ましく、2.0以上がより好ましい。
好ましいパーフルオロカーボンの例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)、および下記式で表されるPPVE、PMVE、AVE、BVE、c−C4F8およびC5F8が挙げられる。
これらのうちで、重合性およびコストの点から、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。
パーフルオロカーボンは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
Figure 2008031511
<(B)酸素含有化合物>
酸素含有化合物としては、酸素原子を有し、C−H結合およびハロゲン原子のいずれも有しない化合物が用いられる。該酸素含有化合物は、プラズマ中にて酸素原子を遊離する。またC−H結合およびハロゲン原子のいずれも有しないため、膜の撥油性の低下を抑えつつ親水性を付与できる点で好ましい。
コストの点から、酸素、オゾン、二酸化炭素、水、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄、三酸化硫黄からなる群から選択されるものがより好ましい。取り扱いやすさの点から酸素が特に好ましい。酸素含有化合物は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
重合性、コスト、取り扱いやすさの点から、(A)パーフルオロカーボンがテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンであり、(B)酸素含有化合物が、酸素であるのが特に好ましい。
<物品の製造方法>
本発明の物品の製造方法は、被処理物品の表面に対して、(A)パーフルオロカーボンと(B)酸素含有化合物が存在する雰囲気中で放電処理を行うことによって、該表面上に膜を形成する工程を有する。放電処理の雰囲気中において(A)パーフルオロカーボンおよび(B)酸素含有化合物はガス状で存在していることが好ましい。
これにより表面上に親水撥油性を有する膜が形成された物品が得られる。
本明細書における「親水撥油性」とは、親水性の指標となる水の接触角が40゜以下であり、かつ撥油性の指標となるn−ヘキサデカンの接触角が25゜以上であることをいう。水の接触角が小さいほど親水性が高いことを意味し、n−ヘキサデカンの接触角が大きいほど撥油性が高いことを意味する。
本明細書における水の接触角およびn−ヘキサデカンの接触角の値は、JIS−R3257に規格化されている準処する測定方法により得られる値である。
物品表面に形成された膜の、n−ヘキサデカンの接触角が25゜以上であると汚れが付着し難く良好な防汚性が得られる。より高度な防汚性を得るためには、該n−ヘキサデカンの接触角が30°以上であることが好ましく、40°以上がより好ましい。
該膜における水の接触角が40°以下であると、付着した汚れを拭き取りまたは水洗によって容易に除去できる易洗浄性が良好となる。易洗浄性がより良好であるとともに、優れた防曇性を得るためには、該水の接触角が30°以下であることが好ましく、22°以下がより好ましい。
膜の親水撥油性の程度、すなわち前記水の接触角およびn−ヘキサデカンの接触角の値は、放電処理を行う雰囲気中に存在する酸素原子の原子数とフッ素原子の原子数の比(酸素原子数/フッ素原子数、以下「O/F比」ということもある。)によって調整できる。該O/F比が大きくなるほど膜の親水性が大きくなるとともに撥油性が低下し、該O/F比が小さくなるほど膜の撥油性が大きくなるとともに親水性が低下する。該O/F比は、放電処理の雰囲気に供給する(A)パーフルオロカーボンの種類および量と、(B)酸素含有化合物の種類および量を調整することによって制御できる。
またO/F比が一定であっても、放電処理を行う装置構成および放電条件によって、水の接触角およびn−ヘキサデカンの接触角の値は変化し得る。
したがって、得ようとする膜における所望の親水撥油性が得られるように、装置構成に応じて、(A)パーフルオロカーボンの種類および供給量、(B)酸素含有化合物の種類および供給量、ならびに放電条件を設定するのが好ましい。
例えば、13.56MHzの高周波電源を放電電源とし、容量結合型平行平板を用いた放電装置を使用し、(A)パーフルオロカーボンとしてヘキサフルオロプロピレンを、(B)酸素含有化合物として酸素をそれぞれ用い、放電処理時の電力を10〜30Wの範囲内としてガラスの表面を処理する場合、良好な親水撥油性を有する膜を形成するためには、前記O/F比が0.05〜0.5の範囲であることが好ましく、特に0.1〜0.4の範囲が好ましい。
放電処理時の雰囲気中には、(A)パーフルオロカーボンおよび(B)酸素含有化合物のほかに、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガス、窒素等のその他のガスが存在していてもよい。
良好な親水撥油性を有する膜を形成するためには、該雰囲気中における(A)パーフルオロカーボンおよび(B)酸素含有化合物の含有割合の合計が、50モル%以上であることが好ましく、100モル%がより好ましい。
(放電条件)
本発明における放電処理の方法は特に限定されず、たとえばコロナ放電(火花放電)、グロー放電等が適用できる。グロー放電がより好ましい。いずれも、ガス雰囲気中に被処理面を曝し、電極間に高周波電圧を印加することにより放電処理する。放電形態は連続的又はパルス的に放電することができる。
本発明における放電処理の雰囲気の圧力は10Pa以下が好ましく、10Pa以下がより好ましい。該雰囲気の圧力が10Pa以下であれば放電の安定性が良好となる。放電処理の雰囲気圧力の下限は特に制限されず、良好な放電が行われる範囲であればよい。例えば1Pa以上とされる。
例えば、13.56MHzの高周波電源を放電電源とし、容量結合型平行平板を用いた放電装置を使用し、(A)パーフルオロカーボンとしてヘキサフルオロプロピレンを、(B)酸素含有化合物として酸素をそれぞれ用い、O/Fが0.25の雰囲気下、放電処理時の電力を10〜30Wの範囲内としてガラスの表面を処理する場合、良好な親水撥油性を有する膜を形成するためには、該雰囲気の圧力が25〜35Paの範囲であることが好ましい。
前記放電処理により形成される膜の膜厚は2μm以下が好ましい。膜厚が2μm以下であると膜の耐久性が向上し、製造にかかるコストが低減する利点がある。100nm以下がより好ましい。該膜厚の下限値は特に制限されないが、ピンホール(基材上に膜が形成されない部分)の発生を防ぐ観点からは1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
膜厚は放電条件によって制御でき、例えば放電処理時間によって調整できる。
本発明の製造方法によれば、被処理物品の表面上に(A)パーフルオロカーボンに由来するモノマー単位を有するとともに、(B)酸素含有化合物に由来する酸素原子(O)を含む膜が形成される。該膜は親水撥油性を有する。これは、撥油性を発現するフルオロカーボン膜中に酸素が取り込まれたことにより親水撥油性が発現されたものと考えられる。また放電処理雰囲気中におけるO/F比が大きくなるほど膜の親水性が大きくなることから、膜中の酸素原子(O)の一部または全部は親水性基を形成していると推測される。
また本発明の製造方法は、膜の親水性および撥油性の程度を制御できるため、親水撥油性を有するとともに、防曇性をも有する膜を形成できる。
さらに該膜は、(A)パーフルオロカーボンと(B)酸素含有化合物が存在する雰囲気中で放電処理する方法で形成されるため、液相塗布工程および乾燥工程を必要とする従来の親水撥油性層を形成する方法に比べてプロセスが簡易である。また、被処理面と膜との間に化学結合が生じるため、膜の密着性が良好であり耐久性に優れる。
本発明により得られる物品は、表面に親水撥油性を有する膜が形成されているため、油汚れが付着し難い。さらに、一旦付着した油汚れを簡単に拭き取ることができ、また、付着した汚れを簡単に水洗で除去することができる。好ましくは優れた防曇性も得られる。しかも該膜は耐久性に優れているため、拭き取りや摩擦による親水撥油性の低下が抑えられ、防汚性、易洗浄性、および防曇性が良好に持続される。
本発明における物品としては、防汚性および易洗浄性が要求される物品、または防汚性、易洗浄性、および防曇性が要求される物品が好適である。
該物品の具体例としては、壁紙、キッチン内装、風呂桶、配水管内壁などの住宅内装;車、住宅などの窓ガラス;鏡;太陽電池カバー;ディスプレイカバーフィルム;腕時計のカバーガラス;眼鏡レンズ;コンタクトレンズ;医療用カテーテルなどの細管が挙げられる。
さらに、優れた防汚性、易洗浄性および親水性が得られることから、ウィンドサーフィンボード、ボディーボードなどのサーフィンボード;プレジャーボート、ヨット、ジェットスキー、パワーボートなどのヨット類;競泳用水着;船舶用スクリューなどにも好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
図1は、以下の実施例で用いた装置の概略構成図である。この例の装置は、概略次のように構成されている。
真空チャンバー5内に平行平板電極からなる上部シャワーヘッド電極7および下部電極8が互いに対向して設置されている。上部シャワーヘッド電極7には13.56MHzの高周波電源6が接続され、下部電極8は接地されており、該電極7,8間に低温プラズマを発生できるように構成されている。下部電極8の、上部シャワーヘッド電極7に対向する面上には被処理物品10が着脱可能に固定される。上部シャワーヘッド電極7はガス供給手段も兼ねており、該上部シャワーヘッド電極7には、流量計を備えた(A)パーフルオロカーボン供給手段3および流量計を備えた(B)酸素含有化合物供給手段4が接続されている。また、上部シャワーヘッド電極7の、下部電極8に対向する面には多数のガス噴出孔が設けられており、下部電極8上の被処理物品10に向かってシャワー状にガスを供給できるようになっている。図中符号9は真空ポンプを備えた排気手段を示している。
(実施例1〜9)
図1の装置を用いて、ガラス(被処理物品)の表面上に膜を形成した。
まず、厚さ1mmのガラス10を下部電極8上に設置し、真空チャンバー5内が0.1Pa以下になるまで真空ポンプで排気した。次いで、上部シャワーヘッド電極7と下部電極8との電極間距離を5cmに調整した後、表1に示す条件で上部シャワーヘッド電極7よりヘキサフルオロプロピレン(HFP)ガスおよび酸素ガスを同時に供給しつつ放電処理を行った。HFPガスと酸素ガスは混合された状態でチャンバー5内に供給される。表1における「O/F」はチャンバー内に供給されるHFPガスと酸素ガスの混合物における酸素原子数とフッ素原子数との比を表している。
続いて、真空チャンバー5内を空気パージしてから、放電処理されたガラスを取り出した。得られたガラスの被処理面における水接触角およびn−ヘキサデカンの接触角を、JIS−R3257に規格化されている方法により、接触角測定装置(協和界面化学製、製品名;CA−X150)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1,2)
表1に示す条件で、チャンバー5内にHFPガスまたは酸素ガスのいずれか一方を供給しつつ放電処理を行った以外は、実施例1と同様にして膜を形成した。接触角の測定結果を表1に示す。
(比較例3)
表1に示す条件で、HFPの代わりにエチレンガスをチャンバー5内に供給しつつ放電処理を行った以外は、実施例1と同様にして膜を形成した。接触角の測定結果を表1に示す。
上記実施例および比較例の方法で膜が形成された処理物品(ガラス)について、以下の評価を行った。
[膜組成]
実施例8、9で得られた処理物品について、被処理面の表層部分を、X線光電子分光分析装置(XPS、アルバック・ファイ社製、Quantera)にて、X線源に単色化AlKα線を40.3Wで用い、光電子検出面積を0.2mmφ、光電子検出角を45度、パスエネルギーを224eVとして測定した。得られたワイドスペクトルから酸素原子、炭素原子、フッ素原子の1sピークを観測し、それぞれの原子比を計算することにより、膜の組成を算出した。
また、炭素原子の1sピークをナロースペクトルにより観測し、292nm付近に−CF−に由来するピークを確認した。
上記膜組成分析の結果、実施例8の処理物品については、炭素(C):47.4mol%、酸素(O):9.9mol%、フッ素(F):42.8mol%であった。また上記XPSによる測定において、基板表面が見える部分は認められなかった。
実施例9においては、C:56.5mol%、O:16.9mol%、F:26.6mol%であった。上記XPSによる測定において、基板表面が見える部分が認められた。
[膜厚]
膜厚の評価として、実施例7、8、9で得られた処理物品について、被処理面の表層部分を一部剥離させた後、剥離した箇所と剥離していない箇所の段差を原子間力顕微鏡(AFM、セイコーインスツル社製、Nanopics2000)にて測定した。
その結果、実施例7は12nm、実施例8は37nm、実施例9は35nmであった。
[耐久性]
耐久性の評価として、被処理面上に形成した膜の表面に、キムワイプ「S−200」(商品名、クレシア社製)を4.9Nで押しつけながら20回往復擦る方法でワイプテストを行った。該擦った部分のn−ヘキサデカン接触角を上記と同様にして測定した。接触角の測定結果を表1に示す。
仮に、ワイプテストによって膜が脱落した場合は、ガラス表面が露出されるため、ワイプテスト後は親油性を示すようになる。上記ワイプテスト前後におけるn−ヘキサデカンの接触角の差が10°以内であれば実用上問題なく耐久性は良好であると判定し、表には○と記載する。
なお、比較例1〜3については、形成した膜が良好な親水撥油性を有していなかったため、耐久性の評価は行わなかった。
[易洗浄性(乾式)]
乾式洗浄による易洗浄性の評価として、被処理面上に形成した膜の表面に、汚れとしてオレイン酸を付着させ、セルロース製不織布(商品名:ベンコットM−3、旭化成社製)で拭き取り、その取れ易さを目視判定した。判定基準は次の通りとした。結果を表1に示す。
〇:オレイン酸を完全に拭き取ることができた。
△:オレイン酸の拭き取り跡が残った。
×:オレイン酸を拭き取ることができなかった。
なお、実用上使用できるのは○である。
[易洗浄性(水洗)]
水洗による易洗浄性の評価として、被処理面上に形成した膜の表面に、汚れとして油性マジック(ゼブラ社製、マッキー極細黒「MO−120−MC−BK」)を付着させ、物品を純水中に含浸させながら超音波を2分間照射し、その汚れの取れ易さを目視判定した。判定基準は次の通りとした。結果を表1に示す。
〇:油性マジックを完全に除去できた。
△:一部油性マジックが残った。
×:油性マジックを除去することができなかった。
なお、実用上使用できるのは○である。
[防曇性]
防曇性の評価として、被処理面上に形成した膜の表面に息を吹きかけ、白く曇らない場合を◎、息を吹きかけると白く曇るがすぐ透明になる場合を○、息を吹きかけると白く曇り透明になるまでに時間がかかる場合を×とした。結果を表1に示す。
なお、実用上使用できるのは◎、○である。
Figure 2008031511
表1に示されるように、HFPガスと酸素ガスを含む雰囲気中で放電処理を行った実施例1〜9では、ガラス表面上に、水接触角が40°以下の親水性であり、かつn−ヘキサデカンの接触角が25°以上の撥油性である膜が形成された。
一方、HFPガスのみ、または酸素ガスのみの雰囲気下で放電処理を行った比較例1〜2、およびHFPガスの代わりに非フッ素化合物ガスであるエチレンガスを用いた比較例3では、親水性および撥油性を両立させる膜は形成されなかった。比較例1で形成された膜は撥水撥油性であり、易洗浄性および防曇性が劣っていた。比較例2,3で形成された膜は親水親油性であり、防曇性は良好であるものの易洗浄性が劣っていた。
本発明にかかる放電処理に用いられる装置の例を示した概略構成図である。
符号の説明
3…パーフルオロカーボン供給手段
4…酸素含有化合物供給手段
5…真空チャンバー
6…高周波電源
7…上部シャワーヘッド電極
8…下部電極
9…排気手段

Claims (6)

  1. ガラス、セラミックスおよびプラスチックからなる群から選択される材料からなる被処理物品の表面を、(A)パーフルオロカーボンと、(B)酸素原子を有し、C−H結合およびハロゲン原子のいずれも有しない酸素含有化合物とが存在する雰囲気中で放電処理することによって、前記被処理物品の表面上に膜を形成する工程を有することを特徴とする物品の製造方法。
  2. 前記(A)パーフルオロカーボンが、炭素−炭素二重結合を有する請求項1記載の物品の製造方法。
  3. 前記(B)酸素含有化合物が、酸素、オゾン、二酸化炭素、水、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化硫黄および三酸化硫黄からなる群から選択される1種以上である請求項1または2に記載の物品の製造方法。
  4. 前記(A)パーフルオロカーボンがテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンであり、前記(B)酸素含有化合物が、酸素である請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品の製造方法。
  5. 前記膜の膜厚が2μm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品の製造方法。
  6. 前記膜における、水の接触角が40゜以下であり、n−ヘキサデカンの接触角が25゜以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品の製造方法。

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