JP2008031404A - プラスチック用水系バインダー - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン類、特にポリプロピレンに対する接着性に優れ、さらに耐水性に優れ、環境にも優しいプラスチック用水系バインダーを提供すること。
【解決手段】式(1)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルを85.0〜99.8重量%およびカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体を0.2〜3.0重量%含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合して得られる水性樹脂分散体を含むことを特徴とするプラスチック用水系バインダー。
Figure 2008031404

(式中、R1、R2およびR3はアルキル基を示し、これらの少なくとも1つはメチル基であり、R1、R2およびR3に含まれる炭素原子の合計は7〜9である)
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック用水系バインダーに関するものである。
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン類は、比較的安価で、耐水性、耐薬品性、成形性に優れていることから、成形品、シート、フィルム等に加工され、自動車部材や建築部材をはじめ、様々な用途に使用されている。しかし、ポリマーの極性が低いために、ポリオレフィン類に直接印刷したり、接着したり、塗装することが困難である。そこで、ポリオレフィン基材表面をコロナ放電等で処理するか、プライマーとして塩素化ポリオレフィン類(特許文献1)や特定の有機溶剤等(特許文献2)を塗布する方法が提案されているが、これらの方法は工程が余計に必要となったり、有機溶剤を使用するため環境面に難がある。
そこで、以下のような1コートでもポリオレフィン類に密着性良好な水性バインダーの提案がなされている。
特許文献3、4および5には、塩素化ポリオレフィン存在下で他の単量体を重合し、水分散体を得る方法が開示されている。
特許文献6には、不飽和カルボン酸および/またはその無水物で変性して得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物に対して変性澱粉、乳化剤、および水と塩基性物質を混合してなる水性樹脂組成物、また、特許文献7にはホモポリマーのガラス転移点が100℃以下の(メタ)アクリルアミド誘導体を1種類以上、ポリオレフィン樹脂にグラフト共重合してなる樹脂組成物を水に分散させた分散物が提案されている。
特許文献8には、平均炭素数9の第3級カルボン酸のビニルエステルを含むビニルエステル成分とエチレンとを乳化重合して得られた水性分散液であって、ビニルエステル成分の含有量が70〜95重量%、エチレンの含有量が5〜30重量%で、該共重合体のガラス転移温度が−20〜45℃である水性分散液を主成分とする接着剤組成物が提案されている。
特許第2616787号公報 特開2001−311097号公報 特開平5−209006号公報 特開平9−316134号公報 特開2004−182896号公報 特開2004−285227号公報 特開2005−163030号公報 特開平7−113069号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記特許文献に開示されるバインダー(または接着剤)は、期待したほどの接着性や耐水性が得られないということが明らかになった。また、上記特許文献に開示されるバインダー(または接着剤)の中にはハロゲン原子を含有するものがあり、低温での焼却時にダイオキシン類を発生する可能性があるという問題もある。
従って、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、従来のバインダーに比べ、ポリオレフィン類、特にポリプロピレンに対する接着性に優れ、さらに耐水性に優れ、環境にも優しいプラスチック用水系バインダーを提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する第3級カルボン酸のビニルエステルと、特定の官能基を有するエチレン性不飽和単量体とを特定の割合で含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合して得られる水性樹脂分散体を含むプラスチック用水系バインダーが上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(1):
Figure 2008031404
(式中、R1、R2およびR3はアルキル基を示し、これらの少なくとも1つはメチル基であり、R1、R2およびR3に含まれる炭素原子の合計は7〜9である)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルを85.0〜99.8重量%およびカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体を0.2〜3.0重量%含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合して得られる水性樹脂分散体を含むことを特徴とするプラスチック用水系バインダーである。
本発明のプラスチック用水系バインダーにおいて、水性樹脂分散体中の樹脂のガラス転移温度は−20〜75℃であることが好ましい。
本発明のプラスチック用水系バインダーにおいて、被接着体であるプラスチックはポリオレフィンであることが好ましい。
本発明によれば、従来のバインダー(または接着剤)と比較して、ポリオレフィン類、特にポリプロピレンに対する接着性に優れ、さらに耐水性に優れ、環境にも優しいプラスチック用水系バインダーを提供することができる。
以下、本発明によるプラスチック用水系バインダーを詳細に説明する。
本発明のプラスチック用水系バインダーは、式(1)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルを85.0〜99.8重量%およびカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、特定官能基を有するエチレン性不飽和単量体と呼ぶことがある)を0.2〜3.0重量%含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合して得られる水性樹脂分散体を含むことを特徴としている。
本発明において、式(1)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルの含有量が85.0重量%未満であると、プラスチック基材、特にポリオレフィンに対する接着性が大幅に低下する。好ましくは、第3級カルボン酸のビニルエステルの含有量は90重量%以上である。式(1)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルの例としては、ネオノナン酸、ネオデカン酸、ネオウンデカン酸から誘導されたビニルエステルが挙げられ、これらは「ベオバ9」、「ベオバ10」、「ベオバ11」の商品名(登録商標)で、ヘキシオン・スペシャルティケミカルズにて製造、販売されている。これら式(1)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルは単独で使用してもよく、または2種類以上を併用してもかまわない。
本発明において、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量が0.2重量%未満であると不飽和単量体組成物を乳化重合して得られる水性樹脂分散体の分散安定性が低下し、スプレー塗布時の目詰まり等、実用上問題を生じる。カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量が3.0重量%を超えるとプラスチック基材、特にポリオレフィンに対する接着性が低下し、さらに耐水性が悪化する。不飽和単量体組成物を乳化重合して得られる水性樹脂分散体の分散安定性とポリオレフィンに対する接着性および耐水性とを考慮すると、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、好ましくは0.5〜2.5重量%、さらに好ましくは0.7〜2.0重量%である。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、これらの中でもアクリル酸が好ましい。
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの中でもヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
アミド基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドが挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドが好ましい。
カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ダイアセトンアクリレートが挙げられ、中でもダイアセトンアクリルアミドが好ましい。
カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体は単独で使用してもよく、または2種類以上を併用してもかまわない。
少なくとも式(1)に示される第3級カルボン酸のビニルエステルを85.0〜99.8重量%およびカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体を0.2〜3.0重量%含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合して得られる水性樹脂分散体のガラス転移温度(以下、Tと略記する)は、−20〜75℃であることが好ましい。Tが−20℃未満の場合、樹脂の凝集力が低く、接着性が十分に得られないことがある。さらに、樹脂が軟化しやすいため、温水に浸漬した際、温水が樹脂内部に浸透して耐水性の低下をもたらすことがある。一方、Tが75℃より高いと、樹脂が硬くなりすぎることで、プラスチック基材に対する濡れが低下し、接着性が十分に得られないことがある。水性樹脂分散体のTは、更に好ましくは−10〜70℃、最も好ましくは−5〜65℃である。
本発明のプラスチック用水系バインダーは、上記第3級カルボン酸のビニルエステルと上記特定官能基を有するエチレン性不飽和単量体とを特定の割合で含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合することにより得られるが、第3級カルボン酸のビニルエステルおよび特定官能基を有するエチレン性不飽和単量体以外の、少なくとも1個の重合可能なビニル基を有するエチレン性不飽和単量体を併用することができる。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物(スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等)、複素環式ビニル化合物(ビニルピロリドン等)、ビニルエステル類(蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、スルホン酸基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(p−スチレンスルホン酸ナトリウム等)、エポキシ基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(グリシジル(メタ)アクリレート等)、加水分解性アルコキシル基含有エチレン性不飽和化合物(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、多官能ビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート等)が挙げられる。より具体的には、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニル等が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明のプラスチック用水系バインダーの製造は、上記第3級カルボン酸のビニルエステル85.0〜99.8重量%およびカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体0.2〜3.0重量%、必要に応じて、上記エチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合することにより行われる。本発明における常圧条件下とは、反応器内の圧力が、3kg/cm以下のことを意味する。このように常圧条件下で重合成分を乳化重合することにより、高圧条件下に比べ、少量の乳化剤でポリマー粒子を安定化させることができ、さらに小粒子径のエマルジョンが得られやすく、結果として耐水性が向上する。なお、上記乳化重合は、空気雰囲気下もしくは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
乳化重合に使用される乳化剤は、市販のアニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両性乳化剤、反応性乳化剤が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用してもよい。これらの中でも単量体の乳化力、耐水性の点からアニオン性乳化剤が好ましい。
乳化重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリドや2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、クメンヒドロパーオキシドやt−ブチルヒドロパーオキシド等の有機過酸化物類、過酸化水素等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもかまわない。さらに、必要に応じて還元剤を使用してもよい。このような還元剤としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩等の還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられる。乳化重合は、50〜90℃の温度条件下で行われる。
乳化重合する際、必要に応じて連鎖移動剤を使用してもよい。このような連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレ―ト、β−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、アンモニア水や水酸化ナトリウム等のpH調整剤、増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、防腐剤、難燃剤、粘着付与剤、可塑剤、成膜助剤等を添加することができる。また、接着性や耐水性を損なわない範囲で、他の水性樹脂分散体を混合してもよく、例えば、酢酸ビニル重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、オレフィン重合体、塩素化ポリオレフィン類、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
本発明における被接着体であるプラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ABS樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられるが、中でもプラスチックの極性が低いポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンおよびポリプロピレンが特に好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明の詳細を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例における各種物性等の測定は下記の方法で実施した。結果を表1および表2に示した。
(Tの測定)
得られた水性樹脂分散体を23℃、65%RH条件下で1週間乾燥させた後、示差走査熱量計(DSC、セイコーインスツルメンツ株式会社製SSC5200)にて測定した。
(接着性の評価)
(1)プラスチック用水系バインダーの調製
得られた水性樹脂分散体に最低成膜温度が約0℃になるように、成膜助剤としてジプロピレングリコール n−ブチルエーテル(以下、DPnBと略記する)を適量添加した。さらに、粘度が約1000mPa・sになるように、ポリカルボン酸系増粘剤を適量添加してプラスチック用水系バインダーを調製した。
(2)試験基材の作製方法
上記のようにして調製したプラスチック用水系バインダーをJIS規格ポリプロピレン板もしくはポリカーボネート板(厚さ2mm、日本テストパネル工業製)に6milのアプリケーターで塗布し、80℃で20分間乾燥させた。その後、23℃、65%RH条件下で1日放置して試験基材を得た。この試験基材を用いて、以下の接着性評価および耐水性評価を実施した。
(3)接着性評価
JIS K 5600に準じ、作製した試験基材を用いて碁盤目密着試験(2mm幅、100マス)を実施した。残存したマスが95以上であれば、プラスチック基材(ポリプロピレン板もしくはポリカーボネート板)との接着性が優れていると判断した。
(4)耐水性評価
作製した試験基材を水道水に50℃で7日間浸漬し、樹脂フィルムの白化の状態を観察した。白化が見られないものを〇、若干白化した場合を△、著しく白化した場合を×とした。
(実施例1)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた四つ口フラスコ反応器に、溶媒であるイオン交換水を209重量部およびアニオン性乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩;商品名ハイテノール08E、第一工業製薬株式会社製)を1重量部仕込み、75℃に昇温した。次に、第3級カルボン酸のビニルエステルとしてネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9、ヘキシオン・スペシャルティケミカルズ製)202.5重量部およびネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10、ヘキシオン・スペシャルティケミカルズ製)202.5重量部、その他のエチレン性不飽和単量体としてメチルメタクリレート41重量部、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体として80%アクリル酸5重量部、アニオン性乳化剤(同上)17重量部、イオン交換水328重量部を混合し、ホモミキサーで乳化した。得られたモノマー乳化物の5重量%を反応器に投入し、過硫酸カリウム0.5重量部を添加し、プレ反応を行った。30分後、残りのモノマー乳化物とイオン交換水30重量部に溶解させた過硫酸カリウム1.0重量部とを4時間かけて連続滴下した。なお、反応温度は約80℃に保った。モノマー乳化物および重合開始剤の滴下終了後、約80℃で1時間保持した後、室温まで冷却し、pH調整剤としてアンモニア水を適量添加した。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.9%、T24℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを3.5重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン(以下、PPと略記することがある)板を用いた。
(実施例2)
ネオノナン酸ビニルエステル202.5重量部(商品名ベオバ9)、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)446重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.5%、T67℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを10重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(実施例3)
ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)202.5重量部、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)423.5重量部および2−エチルヘキシルアクリレート22.5重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.3%、T−8℃であった。最低成膜温度は0℃であったので、DPnBは添加しなかった。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(実施例4)
ネオノナン酸ビニルエステル202.5重量部(商品名ベオバ9)、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)438重量部、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体として80%アクリル酸5重量部、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート8重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.8%、T63℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを9.5重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(実施例5)
ネオノナン酸ビニルエステル202.5重量部(商品名ベオバ9)、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)441重量部、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体として80%アクリル酸5重量部、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体として50%アクリルアミド10重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.3%、T68℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを10重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(実施例6)
ネオノナン酸ビニルエステル202.5重量部(商品名ベオバ9)、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)440重量部、カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体としてダイアセトンアクリルアミド10重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.8%、T65℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを10重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(実施例7)
プラスチック基材をポリカーボネート(以下、PCと略記することがある)板に変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。
(比較例1)
ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)202.5重量部、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)315重量部およびメチルメタクリレート131重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分45.1%、T18℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを2.5重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(比較例2)
ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)を256重量部、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)を100重量部およびメチルメタクリレートを90重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分45.4%、T53℃であった。最低成膜温度を約0℃にするため、DPnBを8重量部添加した。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
(比較例3)
ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)202.5重量部、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)202.5重量部およびメチルメタクリレート41重量部の代わりに、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)414重量部、メチルメタクリレート20重量部、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体として80%アクリル酸8.8重量部、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート9重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で乳化重合を行った。得られた水性樹脂分散体は不揮発分44.3%、T0℃であった。最低成膜温度は0℃だったので、DPnBは添加しなかった。プラスチック基材としてはポリプロピレン板を用いた。
Figure 2008031404
Figure 2008031404
表1および表2から明らかなように、実施例1〜7のプラスチック用水系バインダーは、接着性および耐水性ともに優れている。これに対して、比較例1〜3の水系バインダーは接着性と耐水性の両立が不十分である。
以上のことから分かるように、本発明のプラスチック用水系バインダーは、難接着基材であるポリプロピレンに対してプライマー処理を施さなくても、高い接着性を有するものである。

Claims (3)

  1. 式(1)により表される第3級カルボン酸のビニルエステルを85.0〜99.8重量%およびカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基またはカルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体を0.2〜3.0重量%含む不飽和単量体組成物を常圧条件下にて乳化重合して得られる水性樹脂分散体を含むことを特徴とするプラスチック用水系バインダー。
    Figure 2008031404
    (式中、R1、R2およびR3はアルキル基を示し、これらの少なくとも1つはメチル基であり、R1、R2およびR3に含まれる炭素原子の合計は7〜9である)
  2. 前記水性樹脂分散体中の樹脂のガラス転移温度が−20〜75℃であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック用水系バインダー。
  3. 被接着体であるプラスチックがポリオレフィンであることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック用水系バインダー。
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