JP3831793B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性塗料組成物に関し、より詳しくは合成樹脂製床シート材、合成樹脂製天井シート材、合成樹脂製壁紙材の表面塗料として塗布した際、塗工性に優れると共に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の消臭性に優れた塗膜を与える水性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂製の床シート材、天井シート材、壁紙材などの表面仕上げには、有機溶剤を溶媒とした、いわゆる溶剤型塗料が仕上り塗装外観に優れるため広く使用されていた。
しかし、近年溶剤型塗料は有機溶剤を使用するために、大気汚染の問題、作業者の安全衛生の問題、火災の問題、価格の問題等から有機溶剤の使用を極力抑え、水を分散媒とする水性塗料への移行が急速になされている。
現在、合成樹脂製シート材や壁紙材の表面塗装に使用されている水性塗料としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、アクリル系エマルジョン等があり、溶剤型塗料と比較して塗装外観及び塗膜性能(非粘着性、柔軟性、耐寒性、耐熱性など)において遜色のないものが得られつつある。
一方、近年、新築家屋におけるホルマリン(ホルムアルデヒド)臭や一般家屋室内のたばこ臭(アセトアルデヒド)が問題となってきている。この問題を上記水性塗料によって解決すべく、各種の消臭剤が検討されてきたが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドに対して消臭効果が認められるものはまだ得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況から、本発明は水性塗料であって、しかもホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等に対して優れた消臭効果を有する塗膜を与える水性塗料組成物を提供するためになされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討の結果、塩化ビニル系またはスチレン系重合体エマルジョン、水溶性高分子及びヒドラジド化合物からなる組成物により課題解決の可能性があることを見出し、さらにエマルジョン、水溶性高分子、ヒドラジド化合物の種類、量について試験を行い本発明に至った。
すなわち、本発明は
Figure 0003831793
配合した水性塗料組成物を要旨とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本発明における(A)成分の塩化ビニル系またはスチレン系重合体のエマルジョンは、単量体として塩化ビニルまたはスチレンを単独で用いて製造することができるし、両方を用いて製造することもできる。塩化ビニルやスチレンは塗膜に強靭性を付与する。また、(A)成分は塩化ビニルおよび/またはスチレンと、共重合可能な他の単量体とを組み合わせ用いて製造することもできるが、組み合わせる場合には塩化ビニルおよび/またはスチレンを全単量体中60重量%以上含む単量体混合物を用いて製造することが好ましい。
【0006】
上記の共重合可能な他の単量体としては、エチレン性二重結合に隣接したエステル結合をもつ単量体が好ましく、全単量体中1〜40重量%であることが好ましい。このような単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニル等のビニルエステル類;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル等の不飽和ジカルボン酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0007】
上記のエチレン性二重結合に隣接したエステル結合を持つ単量体は、塗膜の可撓性を向上させたり、また基材との接着性を向上させたりするが、ヒドラジド化合物中のヒドラジド基がエステル結合と化学的に反応する為、全単量体中の40重量%以下が好ましい。使用量が40重量%を超えると、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等に対する消臭効果が悪くなる。また、1重量%未満では基材に対する接着性が悪くなる。
【0008】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲内で、前述以外のラジカル重合性単量体と共重合させることができる。このような単量体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のアルキルビニルエーテル;グリシジルアリルエーテル、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの単量体は、前述のエチレン性二重結合に隣接したエステル結合を持つ単量体と併せて全単量体中の40重量%以下であることが好ましい。
【0009】
本発明で使用する(A)成分のエマルジョンは、上記した各単量体を用いて公知の乳化重合法により製造することができる。すなわち、用いる単量体を混合し、これに乳化剤、重合開始剤等を加えて水系で乳化重合を行えばよく、一括して仕込み重合する方法、各成分を連続供給しながら重合する方法などの各種の方法を適用できる。
【0010】
乳化重合の乳化剤としてはアルキルまたはアルキルアリル硫酸塩、アルキルまたはアルキルアリルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性乳化剤及び分子中にビニル基をもつ重合性乳化剤などが例示される。乳化剤の使用量はエマルジョンに対して要求される性質に応じて変わり得るが、一般に重合安定性を向上させる目的やエマルジョンの機械的、化学的安定性を良好にする目的には乳化剤の使用量が多いことが望ましく、乾燥皮膜の耐水性を向上させるためには逆に使用量が少ない方が望ましく、通常は単量体の合計量 100重量部に対して1〜10重量部程度の範囲から目的に応じて使用量が決められる。
【0011】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩等の水溶性タイプ;ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性タイプなどが例示される。さらに必要に応じ、過酸化物系重合開始剤と、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸、糖類、アミン類などの還元剤を併用したレドックス系も使用することができる。重合開始剤の使用量は単量体の合計量 100重量部に対して0.01〜3重量部程度とすればよい。重合反応は通常35〜90℃程度で行えばよく、反応時間は通常3〜10時間程度とすればよい。
【0012】
なお、乳化重合の開始時あるいは終了後に塩基性物質を加えてpHを調整することにより、エマルジョンの重合安定性、凍結安定性、機械的安定性、化学的安定性等を向上させることができる。この場合、得られるエマルジョンのpHが5〜11となるように調整することが好ましく、塩基性物質としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することができる。
【0013】
(A)成分である塩化ビニル系またはスチレン系重合体のエマルジョンの塗料組成物への配合量は、(A)成分の固形分、(B)成分、(C)成分の合計を 100重量%とするとき、その固形分換算で16〜77重量%となる。このエマルジョンの配合量が固形分換算で16重量%未満では本発明の塗料組成物の基材への接着力が悪くなるし、77重量%を超えると水溶性高分子及び消臭剤の配合比率が減少することにより、それらの効果が発現出来なくなる。
【0014】
(B)成分の水溶性高分子は塗料組成物を塗布する際の流動性を改善するために配合されるもので、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチンなどが例示され、好ましくはポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0015】
これら水溶性高分子の平均分子量は 5,000〜300,000 の範囲が好ましい。 5,000未満では添加量を多くする必要があるため、塗膜の耐水性が低下するし、300,000 を超えると逆に添加量を少なくする必要があり、塗工性が低下する。さらに好ましい平均分子量は20,000〜200,000 の範囲である。また、塗料のたれ防止や塗りむら防止にはノニオン系水溶性高分子が好ましい。
(B)成分の水溶性高分子の塗料組成物への配合量は(A)成分の固形分換算 100重量部に対し10〜 200重量部とする。10重量部未満では塗布時の流動性が悪くなるし、 200重量部を超えると塗膜の耐水性が著しく損なわれる。好ましくは20〜 150重量部の範囲である。この水溶性高分子は配合を容易にするため水に溶解してから配合することが好ましい。
【0016】
(C)成分のヒドラジド化合物は分子内にヒドラジド基を有し、水に室温下1重量%以上溶解するものが好ましい。(C)成分は塗膜に消臭性を付与するために配合されるもので、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、カルボヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、クエン酸ジヒドラジドなどが例示され、好ましくはアジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジドである。
(C)成分のヒドラジド化合物の塗料組成物への配合量は(A)成分の固形分 100重量部に対し20〜 300重量部、好ましくは25〜 250重量部とする。20重量部未満では塗膜のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等に対する消臭効果が劣るし、 300重量部を超えると製品コストが高くなるわりには消臭効果が増さない。このヒドラジド化合物は配合を容易にするため水に溶解又は乳化させてから配合することが好ましい。
【0017】
上記(A)〜(C)成分からなる塗料組成物は、各成分の所定量を一般的な攪拌機を使用し混合することにより容易に得ることができる。塗料組成物の固形分濃度は10〜20重量%、粘度は50〜3,000cP であることが好ましく、この濃度、粘度に調整するために混合の際一定量の水を添加することが可能である。
【0018】
また、本発明の塗料組成物に塗膜の表面性を改良する目的で無機フィラーを配合することが好ましい。無機フィラーには、無水珪素、含水珪素などの珪素類;珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムなどの珪酸化合物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、石膏、クレー、タルク、アルミホワイト等が挙げられる。なお、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系などのポリマー微粉体などでも同様な効果が得られる。無機フィラーの好ましい平均粒径は5μm以下、さらに好ましくは1〜3μmである。
無機フィラーによって塗膜に艶消効果を付与するためには、(A)成分の固形分 100重量部に対し20〜 300重量部を配合する。20重量部未満では塗膜の艶消効果が充分でなく、 300重量部を超えると艶消剤の保持性が悪くなるし、塗膜の実用的強度が得られなくなる。
この無機フィラーは、通常、水に10〜30重量%分散したフィラー分散液として使用されるが、この分散液は水に所定量のフィラーを添加し一般に使用される羽根型、ディスパー型、ホモミキサー型などの攪拌機を使用して 100〜500rpmの回転数で 0.5〜3時間攪拌することにより得られる。
【0019】
さらに、本発明の塗料組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて消泡剤、濡れ剤、難燃剤、防カビ剤等を添加配合することができる。
本発明の塗料組成物を塗布する際には、被塗布材表面に膜厚が15〜35μmになるようにバーコーター、グラビアロールなどで塗布し、 100〜 150℃で1〜3分間乾燥し、さらに 180〜 250℃で30〜 120秒間熱処理を行い、熱処理後において2〜5μmの塗布厚さになるようにするとよい。
本発明の塗料組成物は特に塩化ビニル系樹脂からなる被塗布材に用いることが好ましい。
【0020】
【実施例】
つぎに、エマルジョンの合成例及びこれらを用いた具体的実施例ならびに比較例をあげるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお例中の部及び%はそれぞれ重量部と重量%を示す。
【0021】
合成例1(エマルジョン−1の合成)
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素で充分置換した後、脱イオン水 1,150部、アクリル酸ブチル 270部、アクリル酸30部、エマールO(ラウリル硫酸ソーダ、花王社製、商品名)10部、ノイゲンEA-170(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、第一工業製薬社製、商品名)30部を仕込み、さらに重合器内を減圧して塩化ビニル 700部を仕込んだ。重合器内を60℃に昇温した後、過硫酸アンモニウムの1%水溶液 100部を圧入して反応を開始し、内温を60℃に保持しながら16時間反応させて重合を終了した。その後30℃まで冷却し25%アンモニア水を使用してpHを7〜8に調整した。得られたエマルジョンの固形分濃度は44.2%であった。
【0022】
合成例2(エマルジョン−2の合成)
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素で充分置換した後、脱イオン水 1,130部、ネオペレックス No.6(ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、花王社製、商品名)9部、ノイゲンEA-170(前出)27部を仕込んだ。重合器内を80℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム 4.5部を脱イオン水 100重量部に溶解した水溶液及びスチレン 600部、アクリル酸エチル 380部、アクリル酸20部の混合液をそれぞれ3時間で均一に追加し、さらに80℃で2時間反応させて重合を終了した。その後30℃まで冷却し25%アンモニア水を使用してpHを7〜8に調整した。得られたエマルジョンの固形分濃度は45.4%であった。
【0023】
合成例3,4(エマルジョン−3,4の合成)
合成例1と同様にして表1に示される単量体の種類、量で共重合を行いエマルジョンを製造した。得られたエマルジョン3の固形分濃度は45.5%、エマルジョン4の固形分濃度は45.2%であった。
【0024】
合成例5〜7(エマルジョン−5〜7の合成)
合成例2と同様にして表1に示される単量体の種類、量で共重合を行いエマルジョンを製造した。得られたエマルジョン5の固形分濃度は45.1%、エマルジョン6の固形分濃度は44.8%、エマルジョン7の固形分濃度は45.0%であった。
【0025】
【表1】
Figure 0003831793
【0026】
水溶性高分子水溶液の調製
ステンレス製容器に 900部の脱イオン水を入れ、羽根型攪拌機により攪拌しながら下記の市販水溶性高分子 100部を添加し、その後30分間攪拌を続け水溶性高分子水溶液を得た。
A:PVA-217(クラレ社製、商品名、ポリビニルアルコール、平均重合度=1,700 、ケン化度=88モル%)
B:メトローズ60SH−50(信越化学工業社製、商品名、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、重量平均分子量=15万)
【0027】
ヒドラジド化合物分散液の調製
ステンレス製容器に 800部の脱イオン水を入れ、ホモミキサーで300rpmの速度で攪拌しながら下記のヒドラジド化合物 200部を添加し、その後1時間攪拌を続け、ヒドラジド化合物分散液を得た。
a:アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)
b:グルタル酸ジヒドラジド(大塚化学社製)
【0028】
フィラー分散液の調製
ステンレス製容器に 800部の脱イオン水を入れ、ホモミキサーで300rpmの速度で攪拌しながら下記の市販無機フィラー 200部を添加し、その後1時間攪拌を続け、フィラー分散液を得た。
イ:サイリシア350 (富士シリシア化学社製、商品名、コロイド状シリカ、平均粒径 1.8μm)
ロ:ニップシール 200A(日本シリカ工業社製、商品名、超微粒子含水珪酸、平均粒径 2.0μm)
【0029】
実施例1
ステンレス製容器に合成例1で得たエマルジョン−1を 100部仕込み、羽根型攪拌機で攪拌しながら、水溶性高分子(PVA-217)水溶液A 400部、ヒドラジド化合物(アジピン酸ジヒドラジド)分散液a 100部、フィラー(サイリシア350 )分散液イ 150部、分散・消泡剤(サーフィノール 104A、エア プロダクツアンド ケミカル社製、商品名)3部及び脱イオン水 107部を添加し、その後30分間攪拌を続け艶消型塗料を得た。
別に、市販水酸化アルミ紙(日本化工製紙社製)に下記配合のペーストレジンゾルを膜厚が 200μmになるようドクターナイフで塗布し、 160℃で5分間加熱乾燥を行ってビニル壁紙を得た。
【0030】
ペーストレジン
Geon 121 (塩化ビニル樹脂、日本ゼオン社製、商品名) 100部
DOP (可塑剤、新日本理化社製) 150部
Mark FC−21(安定剤、アデカ・アーガス化学社製、商品名) 3部
炭酸カルシウム 50部
酸化チタン 10部
メチルエチルケトン 5部
ユニフォームAZ (発泡剤、大塚化学社製、商品名) 4部
【0031】
このビニル壁紙の塩ビ層の上に、先に得た塗料を膜厚が15μmになるようバーコーターで塗布し、 105℃で2分間乾燥し、さらに 220℃で90秒間熱処理を行い、塗布むらのない艶消ビニル壁紙を得た。
得られた艶消ビニル壁紙について次に示す消臭テストを行い結果を表2に示した。
【0032】
消臭テスト方法
・ホルムアルデヒド
得られたビニル壁紙から5×5cmのサイズのものを2枚切り取り、裏側同士を貼り合わせ、切り口をテープでシールし、有効面が3×3cmとなるようにして作った試験片を、300ml のコニカルビーカーに吊した後、ホルムアルデヒド濃度が30ppm となるように 0.9%ホルムアルデヒド水溶液3μlを加えた。シーロンフィルムを用いて密閉した後、室温で60分間放置した。北川式ガス検知管No.171SBにより60分間後のホルムアルデヒドの濃度(ppm) を読み取った。
また、ブランクとして試験片を加えずに同様な操作を行った60分後の濃度は 30ppmであった。
・アセトアルデヒド
アセトアルデヒド濃度が 30ppmとなるように、 3.6%アセトアルデヒド水溶液を加えた以外はホルムアルデヒドテスト方法と同様にしてアセトアルデヒドの濃度(ppm) を読み取った。(検知管はホルムアルデヒドと同じNo.171SB)
【0033】
塗工性の試験方法
日商グラビア社製の印刷試験機(GRAVO-PROOF CM 型) に 150メッシュのグラビアロールを取り付け、20m/min の速度で先に得た艶消型塗料をビニル壁紙に塗布した。この塗布面の状態を目視で観察し、下記の基準で塗工性を判定して結果を表2に示した。
○:均一に塗布されている
△:部分的に塗布むら(未塗布部または塗布量の多い部分)がある。
×:ほぼ全面に塗布むらが発生している。
【0034】
実施例2〜7、比較例1〜3
実施例1と同様にして表2に示される共重合体エマルジョン、水溶性高分子水溶液、ヒドラジド化合物分散液、フィラー分散液等の種類、量で塗料を作製、それを同様のビニル壁紙に同様にして塗布、乾燥、熱処理し艶消ビニル壁紙を得た。
消臭テスト、塗工性テストも同様の方法で行い結果を表2に示した。
【0035】
【表2】
Figure 0003831793
【0036】
【発明の効果】
本発明の水性塗料組成物は塗工性に優れ、その塗膜がホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の消臭性に優れるため、合成樹脂製床シート材、天井シート材、壁紙材の表面塗料として有用である。

Claims (2)

  1. A.塩化ビニルおよび/またはスチレンの他にエチレン性二重結合に隣接したエステル結合をもつ単量体を全単量体中1〜 40 重量%含む単量体混合物を用いて製造された塩化ビニル系またはスチレン系重合体のエマルジョンを固形分換算で 100重量部
    B.水溶性高分子を 10〜 200重量部及び
    C.アジピン酸ヒドラジドまたはグルタル酸ヒドラジドを 20〜 300重量部配合した水性塗料組成物。
  2. A成分のエマルジョンの pH が5〜 11である請求項1記載の水性塗料組成物。
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