JP2928349B2 - 水性エマルジョンとそれを用いた接着剤組成物 - Google Patents

水性エマルジョンとそれを用いた接着剤組成物

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JP2928349B2 JP20549690A JP20549690A JP2928349B2 JP 2928349 B2 JP2928349 B2 JP 2928349B2 JP 20549690 A JP20549690 A JP 20549690A JP 20549690 A JP20549690 A JP 20549690A JP 2928349 B2 JP2928349 B2 JP 2928349B2
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信親 広田
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水性エマルジョンとそれを用いた接着剤組
成物に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 床材の施行においては、床基材面が一般に平滑でない
ため、床基材面に、櫛目こてなどを用いて接着材を凹凸
状に厚塗りした後、床材を圧着して接着剤の厚みを均一
化し接合している。この接着剤には、(1)塗布時の流
動性がよく厚塗りでき、かつ凹凸状の形状を保つため、
粘度が高いこと、(2)施工性を高めるため、接着剤を
塗布した後、接着剤が固化し接着能が失われるまでの開
放時間、すなわち、オープンタイムが低温環境下及び高
温環境下でも30分以上と長いこと、(3)シーリング効
果が高いこと、(4)接着強度が早期に発現し、かつ大
きいこと、(5)走行などによる荷重が作用したとき、
きしみなどの床なりがないことなどが必要とされてい
る。
このような床用接着剤として、固形分が約65重量%以
上であり、かつ接着強度の大きなポリ酢酸ビニル系の溶
剤型接着剤が汎用されている。しかしながら、溶剤型接
着剤で床材を接合する場合には、有機溶剤が揮散するの
で、作業環境が汚染される。従って、床用接着剤とし
て、ポリ酢酸ビニル系の水性エマルジョン型接着剤を使
用することが有利である。
しかしながら、ポリ酢酸ビニルやエチレン−酢酸ビニ
ル系水性エマルジョンの固形分を高めると、粘度が著し
く増大するので、前記のような高固形分とすることが困
難である。また、これらの接着剤を用いる場合には、シ
ーリング効果がなく、オープンタイムが短いだけでな
く、床なりが生じ、床用接着剤としては適さない。
さらに、水性エマルジョン型の接着剤として、アクリ
ル系エマルジョンも知られている。しかしながら、アク
リル系エマルジョンは、ポリマー粒子のガラス転移温度
が低下すると、接着強度が低下し、ガラス転移温度が高
くなると、オープンタイムが短くなるという二律背反す
る性質がある。従って、アクリル系エマルジョンにおい
ては、接着強度を高め、かつオープンタイムを長くする
ことが困難である。
従って、本発明の目的は、接着強度が大きく、しかも
オープンタイムの長い水性エマルジョンを提供すること
にある。
また、本発明の他の目的は、厚塗りでき、かつ凹凸状
の形状を保つことができると共に、オープンタイムが長
く、シーリング効果、接着強度が大きな接着剤組成物を
提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、床なりのない床用接着剤
組成物を提供することにある。
[発明の構成] 上記目的を達成するため、本発明は、アルキル基の炭
素数1以上のアクリレートおよびアルキル基の炭素数4
以上のメタクリレートから選ばれるソフト成分モノマー
100重量部に対して、スチレン系モノマー、メチルメタ
クリレートおよびアクリロニトリルから選ばれるハード
成分モノマー300〜500重量部を乳化重合して得られた重
量平均分子量が5×104〜20×104であり、トボルスキ
(Tobolsky)の計算式によるガラス転移温度が30〜60℃
であるポリマー粒子を含む水性エマルジョンを提供す
る。
また、本発明は、上記水性エマルジョンと、水溶性ポ
リマーと、可塑剤と、フィラーとを含み、固形分が65〜
80重量%である接着剤組成物を提供する。
さらに、本発明は、床基材面と床材とを接合する床用
接着剤組成物を提供する。
本発明の水性エマルジョンの特徴は、ポリマー粒子の
分子量が小さいことにある。分子量を小さくすることに
より、ポリマー粒子のガラス転移温度が高くても、オー
プンタイムを長くできる。
ポリマー粒子を形成するモノマーには、慣用のモノマ
ー、例えば、スチレン系モノマー;アクリレート、メタ
クリレート;酸性モノマー;ヒドロキシ基又はアルコキ
シ基を有するモノマー;アミド基を有するモノマー;ア
ミノ基を有するモノマー;グリシジル基を有するモノマ
ー;N−メチロール基又はN−アルコキシメチル基を有す
るモノマー;ビニル系モノマー;その他のモノマーが含
まれる。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルス
チレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p
−メトキシスチレンなどが挙げられる。好ましいスチレ
ン系モノマーはスチレンである。
アクリレートおよびメタクリレートとしては、例え
ば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルア
クリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアク
リレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレー
ト、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、
ステアリルアクリレート、α−クロロエチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレー
トなどのアクリレートおよびこれらに対応するメタクリ
レートが挙げられる。好ましいアクリレートおよびメタ
クリレートは、アルキル(メタ)アクリレートである。
酸性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸半エステ
ル、マレイン酸、マレイン酸半エステルなどのカルボキ
シ基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマー
などが挙げられる。好ましい酸性モノマーは、アクリル
酸、メタクリル酸である。
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ジオールのモノアクリル酸エステル、トリオールの
モノ又はジアクリル酸エステル、これらのアクリレート
に対応するメタクリレート、アリルアルコールなどが挙
げられる。好ましいヒドロキシ基を有するモノマーは、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、およびこれらに対応するメタクリ
レートである。アルコキシ基を有するモノマーとして
は、例えば、メトキシエチルアクリレート、エトキシエ
チルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エ
トキシプロピルアクリレート、およびこれらに対応する
メタクリレートなどが挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、マレインアミドなどが挙
げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、例えば、2−ア
ミノエチルアクリレート、3−アミノプロピルアクリレ
ート、ジメチルアミノエチルアクリレートや、これらに
対応するメタクリレート、ビニルピリジンなどが挙げら
れる。
グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ア
リルグリシジルエーテル、2以上のグリシジル基を有す
るエポキシ化合物と、活性水素原子を有するモノマーと
の反応により得られるモノマーやオリゴマーなどが挙げ
られる。活性水素原子を有するモノマーとしては、例え
ば、前記酸性モノマー、ヒドロキシ基を有するモノマ
ー、アミノ基を有するモノマーなどが挙げられる。好ま
しいグリシジル基を有するモノマーは、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレートである。
N−メチロール基又はN−アルコキシメチル基を有す
るモノマーとしては、N−メチロールアクリルアミド、
N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチ
ルアクリルアミド、N−プロポキシメチルアクリルアミ
ド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブ
トキシメチルアクリルアミド、これらに対応するメタク
リルアミドなどが挙げられる。
ビニル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、塩
化ビニル、カプロン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バ
ーサチック酸ビニル等のVeoVaと総称されるビニルモノ
マー、メチルビニルケトンなどが挙げられる。
その他のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクロレイン、クロトンアル
デヒド、ジエチルマレート、ジプロピルマレート、ジブ
チルマレート、ジヘキシルマレート、ジ(2−エチルヘ
キシル)マレート、ジオクチルマレート、ジエチルフマ
レート、ジプロピルフマレート、ジブチルフマレート、
ジ(2−エチルヘキシル)フマレート、エチレン、プロ
ピレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
水性エマルジョン中のポリマー粒子の種類は、固形分
を高めることができ、かつ接着強度を損わない限り特に
制限されないが、アクリル系ポリマー又はスチレン−ア
クリル系ポリマーであるのが好ましい。なお、前記アク
リル系ポリマー、スチレン−アクリル系ポリマーは、接
着強度、高固形分化などを損わない範囲で、ビニル系モ
ノマー、官能基を有するモノマー、他のモノマーなどと
の共重合体であってもよい。
乳化重合により得られるポリマー粒子の均質度は、モ
ノマー組成によって変化する。また、モノマー組成が同
一であっても乳化重合方法などによって、ガラス転移温
度および最低成膜温度などが変化する。従って、モノマ
ー組成は、一概に決定できないが、トボルスキ(Tobols
ky)の下記計算式 1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+…+Wn/Tgn (式中、Wa、Wb、…Wnはそれぞれ共重合成分a、b、…
nの重量分率、Tga、Tgb、…Tgnは、各共重合成分a、
b、…nのホモポリマーのガラス転移温度(K)を示
す) によるポリマーのガラス転移温度Tgが20〜70℃、好まし
くは30〜60℃程度となる範囲で選択できる。前記モノマ
ーは、ポリマー粒子のガラス転移温度、最低成膜温度や
接着強度などを調整するため、通常、少なくとも、ハー
ド成分モノマーとソフト成分モノマーとを組合せて用い
られる。ハード成分モノマーとしては、例えば、スチレ
ン系モノマー、メチルメタクリレート及びアクリロニト
リルなどから選ばれ、ソフト成分モノマーとしては、例
えば、アルキル基の炭素数1以上のアクリレートおよび
アルキル基の炭素数4以上のメタクリレートなどから選
ばれる。ソフト成分モノマーとしては、アルキル基の炭
素数2以上のアクリレートが好ましい。好ましいモノマ
ー組成は、ソフト成分モノマー100重量部に対して、ハ
ード成分モノマー300〜500重量部からなり、かつ前記計
算式により算出したポリマーのガラス転移温度が前記範
囲となる割合である。
ポリマー粒子の分散安定性を高めるため、全モノマー
中に酸性モノマーを1〜10重量%、特に3〜8重量%程
度含むのが好ましい。
エマルジョンの最低成膜温度は、通常、20〜70℃、好
ましくは30〜60℃程度である。
本発明の水性エマルジョン中のポリマー粒子は、重量
平均分子量が5×104〜20×104、好ましくは7×104〜1
5×104程度である。重量平均分子量が上記範囲を外れる
場合には、ポリマー粒子のガラス転移温度を高め、かつ
オープンタイムを長くすることが困難である。
ポリマー粒子の粒径は、例えば、0.05〜2.5μm、好
ましくは0.1〜1μm程度である。また、エマルジョン
の固形分は特に制限されないが、通常、30〜70重量%、
好ましくは40〜60重量%程度である。
本発明の水性エマルジョンは、例えば、モノマーを一
括して反応系に仕込む一括仕込み法;組成が同じモノマ
ーを連続的に反応系にフィードして重合する連続供給
法;組成の異なるモノマーを複数回に分けてフィードし
て重合するマルチステージ重合法;モノマー組成を連続
的に変えてフィードし重合するパワーフィード重合法;
シード重合法などに従ってモノマーを乳化重合すること
により得られる。また、乳化重合方法においては、一部
のモノマーの重合を先行させ、残りのモノマーを水と乳
化剤の存在下で乳化させたエマルジョンとして添加して
もよく、全モノマーを、水と乳化剤の存在下で乳化させ
たエマルジョンとして添加してもよい。
低分子量のポリマー粒子を含む本発明の水性エマルジ
ョンは、例えば、連鎖移動剤の存在下で乳化重合するこ
とにより得られる。より具体的には、低分子量のポリマ
ー粒子を含む水性エマルジョンは、例えば、反応槽に、
水および乳化剤を入れ、モノマーおよび連鎖移動剤の混
合液を添加して重合する方法;水、一部の乳化剤、モノ
マーおよび連鎖移動剤を撹拌してモノマーの乳化液を調
製すると共に、反応槽に、水および残りの乳化剤を入
れ、前記モノマーの乳化液と、重合開始剤とをそれぞれ
添加し重合する方法などにより製造できる。
連鎖移動剤としては、慣用の化合物、例えば、エチル
メルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメ
ルカプタン、ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプ
タン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、
t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;チオ
グリコール酸エチルエステル、チオグリコール酸ブチル
エステル、チオグリコール酸ヘキシルエステル、チオグ
リコール酸オクチルエステル、チオグリコール酸2−エ
チルヘキシルエステルなどのメルカプタンカルボン酸な
どのエステル類などが挙げられる。これらの連鎖移動剤
は一種又は二種以上混合して使用できる。連鎖移動剤の
使用量は、所望する前記ポリマーの分子量に応じて選択
できるが、通常、全モノマーに対して0.1〜5重量%、
好ましくは0.1〜2重量%程度である。
乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノ
ニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面
活性剤などの界面活性剤、水溶性ポリマー、水溶性オリ
ゴマー等の保護コロイドから選択された少なくとも一種
の成分が使用できる。また、重合開始剤としては、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素
−Fe〔III〕系などのレドックス系重合開始剤などが例
示できる。乳化重合は、緩衝剤の存在下で行なってもよ
い。
分子量の低いポリマー粒子を含む水性エマルジョン
は、ポリマー粒子のガラス転移温度が高くても、オープ
ンタイムが長く、接着強度が大きい。従って、水性エマ
ルジョンは、塗料用、紙塗工用などの広い用途に使用で
きるが、接着剤用エマルジョンとして好適である。
本発明の接着剤組成物は、前記水性エマルジョンと、
水溶性ポリマーと、可塑剤と、フィラーとを含んでい
る。
前記水溶性ポリマーは、前記水性エマルジョンの安定
性を損なうことなく混和できるポリマーであればよい。
このような水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニ
ルアルコール;水溶性アクリル系樹脂;カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセ
ルロースなどのセルロースエーテル;ポリエチレングリ
コール;ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド;
カゼイン;アラビアゴム;トラガントゴム;アルギン酸
ナトリウム;ローカストビーンゴム;澱粉などが例示さ
れる。水溶性ポリマーは、少なくとも一種使用される。
水溶性ポリマーの量は、通常、接着剤組成物中、固形分
として0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%程度で
ある。水溶性ポリマーを添加することにより、低温環境
下での接着剤組成物のオープンタイムを長くできる。
可塑剤としては、慣用の化合物、例えば、フタル酸ジ
メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル
酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジオクチル、フ
タル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブ
チルベンジルなどのフタル酸誘導体;アジピン酸ジ(2
−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシルなどのア
ジピン酸誘導体;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−
(2−エチルヘキシル)などのセバシン酸誘導体;トリ
フェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ト
リ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのリン酸誘
導体;エポキシ化大豆油などのエポキシ誘導体;ポリエ
ステルなどが例示できる。これらの可塑剤は、少なくと
も一種使用される。可塑剤の量は、ポリマー粒子のガラ
ス転移温度などに応じて選択できるが、通常、接着剤組
成物中、3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%程度で
ある。可塑剤を添加することにより、高温環境下での接
着剤組成物のオープンタイムを長くできると共に、外部
可塑化によりポリマー粒子の最低成膜温度および接着強
度を調整できる。
フィラーとしては、例えば、アルミナ、タルク、カオ
リン、クレー、マイカ、ケイソウ土、ガラス、シリカ、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、カーボンブラ
ック、合成繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊
維、ホイスカーなどが挙げられる。これらのフィラー
は、少なくとも一種使用される。フィラーの含有量は、
通常、接着剤組成物中、30〜60重量%、好ましくは40〜
55重量%程度である。フィラーを添加することにより、
固形分を容易に増大でき、シーリング効果を高めること
ができると共に、床なりを著しく抑制できる。
接着剤組成物には、慣用の添加剤、例えば、成膜助
剤、酸化防止剤、粘着付与剤、着色剤、消泡剤、防腐
剤、防カビ剤、凍結防止剤、防さび剤、粘度調整剤など
を添加してもよい。また、水性エマルジョンのポリマー
粒子が架橋性官能基を有する場合には、架橋剤を添加し
てもよい。さらには、水溶性有機溶媒、例えば、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどを添加しても
よい。
接着剤組成物の固形分は、65〜80重量%、好ましくは
70〜78重量%程度である。固形分が65重量%未満では、
厚塗りが困難となり、シーリング効果が低下し易く、80
重量%を越えると接着剤組成物の安定性が低下し易い。
本発明の接着剤組成物は、固形分が高く、一般に高い
粘度を示す。接着剤組成物の粘度は、厚塗り可能な粘度
であればよいが、通常、3×104〜6×104センチポイズ
程度である。なお、粘度は、BH型回転粘度計、ロータN
o.6を用いて温度30℃、回転速度10rpmの条件で測定した
ときの値である。
このような組成の接着剤は、接着強度に優れているた
め、木工用接着剤などとしても使用できるが、床用接着
剤として好適である。
前記接着剤組成物を、コンクリートモルタル、木材な
どの床基材面に塗布し、床材を圧着することにより、前
記接着剤組成物の接着剤層を介して、床基材面と床材と
が接合した床構造を形成できる。このような床構造は、
接着強度が大きく、歩行などによる荷重が作用しても、
床なりがない。
接着剤組成物を床材用として使用する場合、接着剤組
成物は、通常、櫛目こて、へらなどを用いて全面に塗布
したり、点状に塗布する場合が多い。
床材としては、特に制限されず、例えば、木レンガ、
巾木、合板などの木材、パーチクルボードなどのボード
類、木質フローリング、タイルなどが使用できる。
本明細書は、床基材面に、前記接着剤組成物を塗布
し、床材を接合する施工方法、および前記接着剤組成物
で形成した接着剤層を介して、床基材面と床材とが接合
した床構造も開示する。
前記のような接着剤組成物を用いて施工する場合に
は、塗布時の流動性がよく厚塗りできると共に、櫛目こ
てなどで塗布すると、塗布後は凹凸形状を保つことがで
きる。しかも、低温環境下及び高温環境下のいずれもお
いてもオープンタイムが長いだけでなく、シーリング効
果が大きい。従って、接着剤組成物の塗布作業性および
床材の施工性に優れている。また、本発明の接着剤組成
物を用いて床材を施工する場合には、従来の溶剤型接着
剤を用いる場合と同じく、短時間内に強い接着強度が発
現し、床なりが生じない。
[発明の効果] 本発明の水性エマルジョンは、接着強度が大きく、し
かも低温環境下及び高温環境下でのオープンタイムが長
い。
また、本発明の接着剤組成物は、厚塗りでき、かつ凹
凸状の形状を保つことができると共に、オープンタイム
が長く、シーリング効果、接着強度が大きい。また、床
用接着剤として使用した場合、歩行などによる荷重が作
用しても、床なりがない。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
実施例1 イオン交換水225重量部に、アニオン系界面活性剤
(日本油脂(株)製、商品名トラックスN−85)37.5重
量部、下記組成のモノマー720重量部、連鎖移動剤とし
てのチオグリコール酸2−エチルヘキシル5.3重量部を
添加撹拌し混合液を調整した。なお、モノマー組成は、
スチレン68.2重量%、2−エチルヘキシルアクリレート
18.2重量%、アクリロニトリル9.1重量%、アクリル酸
4.5重量%である。
フラスコ内に、イオン交換水270重量部およびアニオ
ン系界面活性剤(日本油脂(株)製、商品名トラックス
N−85)7.5重量部を入れ、フラスコ内を窒素ガス置換
し、65〜70℃に加熱して、前記混合液と、過硫酸アンモ
ニウム5.1重量部および還元剤としての重亜硫酸ナトリ
ウム5.む水溶液68重量部とを、撹拌下で、4時間に亘り
滴下した後、前記温度で1.5時間撹拌することにより、
水性エマルジョンを調製した。得られた水性エマルジョ
ンの固形分は53重量%である。
得られた水性エマルジョン535重量部に、撹拌下で、
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、商品名PVA−2
17、ケン化度88%、重合度1700)を固形分で10重量部、
フタル酸ジブチル100重量部、炭酸カルシウム(日東粉
化工業(株)製、商品名SS#30)500重量部、分散剤と
してのトリポリリン酸ソーダ(三井東圧化学(株)製)
0.4重量部、デモールN(花王(株)製商品名)0.5重量
部、防腐剤(武田薬品工業(株)製、商品名スラオフA
B)0.5重量部、及び消泡剤(サンノプコ(株)製、商品
名ノプコ8034)0.3重量部を添加し、接着剤組成物を調
製した。
実施例2 モノマー組成をスチレン61.5重量%、2−エチルヘキ
シルアクリレート24.9重量%、アクリロニトリル9.1重
量%、アクリル酸4.5重量%とし、実施例1の連鎖移動
剤の使用量を0.28重量部とする以外、実施例1と同様に
して水性エマルジョンを調製した。また、フタル酸ジブ
チルの添加量を90重量部とする以外、実施例1と同様に
して、接着剤組成物を調製した。
実施例3 モノマー組成をスチレン71.5重量%、2−エチルヘキ
シルアクリレート14.9重量%、アクリロニトリル9.1重
量%、アクリル酸4.5重量%とし、実施例1の連鎖移動
剤の使用量を0.42重量部とする以外、実施例1と同様に
して水性エマルジョンを調製した。また、ポリビニルア
ルコールの添加量を固形分で12重量部、フタル酸ジブチ
ルの添加量を120重量部とする以外、実施例1と同様に
して、接着剤組成物を調製した。
比較例1 連鎖移動剤を用いることなく、実施例1と同様にして
水性エマルジョンを調製すると共に、接着剤組成物を調
製した。
比較例2 モノマー組成を、スチレン50重量%、2−エチルヘキ
シルアクリレート36.4重量%、アクリロニトリル9.1重
量%、アクリル酸4.5重量%とし、連鎖移動剤を用いる
ことなく、実施例1と同様にして水性エマルジョンを調
製すると共に、接着剤組成物を調製した。
比較例3 モノマー組成を、スチレン73重量%、2−エチルヘキ
シルアクリレート9.1重量%、アクリロニトリル13.6重
量%、アクリル酸4.5重量%とし、連鎖移動剤を用いる
ことなく、実施例1と同様にして水性エマルジョンを調
製すると共に、接着剤組成物を調製した。
比較例4 市販のポリ酢酸ビニル系の溶剤型床用接着剤を用い
た。この接着剤の組成は、分析の結果、ポリ酢酸ビニル
を30重量%、メタノールを主成分とする有機溶剤30重量
%、フィラー36重量%、その他の成分4重量%程度であ
る。
比較例5 市販のポリ酢酸ビニル系の水性エマルジョン型の一般
木工用接着剤を用いた。この接着剤の組成は、分析の結
果、ポリ酢酸ビニルを40〜45重量%、水50重量%、その
他の成分5〜10重量%程度である。
比較例6 市販のポリエチレン−酢酸ビニル系の水性エマルジョ
ン型の一般木工用接着剤を用いた。この接着剤の組成
は、分析の結果、ポリエチレン−酢酸ビニルを35〜40重
量%、フィラー20〜25重量%、水35〜40重量%、その他
の成分5〜10重量%程度である。
そして、前記各実施例および比較例の接着剤を厚み12
mmの合板に、塗布量300g/m2の条件で塗布し、パーチク
ルボードを圧着し、5℃および30℃でのオープンタイム
を測定した。また、オープンタイム0分および30分にお
いて、上記と同様にして、厚み12mmの合板とパーチクル
ボードとを圧着し、1日経過後の接着強度をJISK 6804
に準じて測定した。
さらに、前記各実施例および比較例の接着剤を床基材
面(1m×2mの合板)に、櫛目こてを用いて、塗布量400g
/m2の条件で塗布し、床材(1m×2mのパーチクルボー
ド)を圧着し、20日経過後、床上を歩行して床なりが生
じるか否かを評価した。
水性エマルジョン中のポリマー粒子の重量平均分子
量、数平均分子量、前記計算式によるガラス転移温度、
接着剤の固形分、粘度(BH型回転粘度計、ロータNo.6、
温度30℃、回転速度10rpm)と共に、結果を表に示す。
表より明らかなように、実施例で得られたエマルジョ
ンを用いた接着剤組成物は、低温及び高温環境下のいず
れにおいてもオープンタイムが長く、接着強度が大きい
と共に、床なりが生じない。
なお、実施例1〜3の接着強度測定においては、いず
れも材料が破壊した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09J 133/20 C09J 133/20 201/00 201/00 // C08F 212/08 C08F 212/08 220/14 220/14 220/44 220/44

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキル基の炭素数1以上のアクリレート
    およびアルキル基の炭素数4以上のメタクリレートから
    選ばれるソフト成分モノマー100重量部に対して、スチ
    レン系モノマー、メチルメタクリレートおよびアクリロ
    ニトリルから選ばれるハード成分モノマー300〜500重量
    部を乳化重合して得られた重量平均分子量が5×104〜2
    0×104であり、トボルスキ(Tobolsky)の計算式による
    ガラス転移温度が30〜60℃であるポリマー粒子を含む水
    性エマルジョン。
  2. 【請求項2】請求項1記載の水性エマルジョンと、水溶
    性ポリマーと、可塑剤と、フィラーとを含み、固形分が
    65〜80重量%である接着剤組成物。
  3. 【請求項3】床基材面と床材とを接合する請求項2記載
    の床用接着剤組成物。
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