JP2008031364A - ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤、その製造方法、ポリアセタール樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤、その製造方法、ポリアセタール樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアセタール樹脂本来の特性を損なうことなく、耐衝撃性等の機械物性を改良し、溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を低減できる、ポリアセタール樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ゴム質重合体にビニル単量体成分がグラフト重合されたグラフト共重合体であって、カルシウムを0.1〜0.5質量%含有することを特徴とするグラフト共重合体からなるポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤、その製造方法、ポリアセタール樹脂組成物およびその成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械物性、耐疲労性、摺動性、耐薬品性等に優れた成形品を得ることができるエンジニアリングプラスチックであり、樹脂製歯車、機構部品等の素材として広く利用されている。
樹脂製歯車、機構部品等には、高耐衝撃性、低騒音性、低磨耗性、高精度等の性能が要求され、耐衝撃性が特に要求される。
一方で、ポリアセタール樹脂の用途が多様化するに従い、揮発性有機化合物が少なく、成形加工時に発生するガス量の少ないポリアセタール樹脂が求められている。ポリアセタール樹脂は成形加工時に分解しやすく、分解するとホルムアルデヒドを発生するため、この分解の抑制が求められている。
ポリアセタール樹脂の耐衝撃性を改良する方法として、例えば、特定の乳化剤を用いたグラフト共重合体を配合したポリアセタール樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
しかし、該組成物では得られる成形品の耐衝撃性は改良されているが、成形加工時に発生するホルムアルデヒド量が増加するという課題を有している。
また、ポリアセタール樹脂の耐衝撃性を改良し、かつ、成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を抑制する方法として、特定の乳化剤を用い、カルシウム化合物を凝析剤として用いたグラフト共重合体を配合したポリアセタール樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。
しかし、該組成物では、成形加工時に発生するホルムアルデヒド量の低減効果が十分ではなく、さらなる、ホルムアルデヒド量の低減が望まれている。
特開2005−112949号公報 特開2005−248074号公報
本発明の目的は、ポリアセタール樹脂に配合することで、ポリアセタール樹脂本来の特性を損なうことなく耐衝撃性等の機械物性を改良し、ポリアセタール樹脂との溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を低減するためのポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤、その製造方法、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を配合したポリアセタール樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、カルシウムを0.1〜0.5質量%含有するグラフト共重合体をポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤として用いることで、ポリアセタール樹脂本来の特性を損なうことなく耐衝撃性等の機械物性を改良し、ポリアセタール樹脂との溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を低減可能であることを見出した。
即ち、本発明のポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤は、ゴム質重合体にビニル単量体成分がグラフト重合されたグラフト共重合体であって、カルシウムを0.1〜0.5質量%含有することを特徴とするグラフト共重合体からなる。
本発明のグラフト共重合体の製造方法は、ゴム質重合体の存在下にビニル単量体成分を重合してグラフト共重合体ラテックスを得て、該ラテックスを酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムによって凝析することを特徴とする。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、前記ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を1〜30質量%、ポリアセタール樹脂を70〜99質量%含むことを特徴とする。
本発明の成形品は、前記ポリアセタール樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明のポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤によれば、該ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を配合したポリアセタール樹脂組成物について、ポリアセタール樹脂本来の特性を損なうことなく耐衝撃性等の機械物性を改良し、溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を低減することができる。
本発明のグラフト共重合体の製造方法によれば、ポリアセタール樹脂本来の特性を損なうことなく耐衝撃性等の機械物性を改良し、溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を低減することができるポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤であるグラフト共重合体を製造できる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物によれば、ポリアセタール樹脂本来の特性を有し、耐衝撃性等の機械物性に優れる成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、ポリアセタール樹脂本来の特性を有し、耐衝撃性等の機械物性に優れる。
本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
(ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤)
本発明に用いるポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤は、ゴム質重合体にビニル単量体成分がグラフト重合されたグラフト共重合体であって、カルシウムを0.1〜0.5質量%含有することを特徴とするグラフト共重合体からなるものである。
(グラフト共重合体)
本発明に用いるグラフト共重合体は、ゴム質重合体にビニル単量体成分がグラフト重合されたグラフト共重合体であって、カルシウムを0.1〜0.5質量%含有することを特徴とするものである。該グラフト共重合体は、ゴム質重合体の存在下にビニル単量体成分を重合してグラフト共重合体ラテックスを得て、該ラテックスを酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムによって凝析することにより製造される。
グラフト共重合体の製造法は、乳化重合が好適である。乳化剤としては、スルホン酸塩および/または硫酸エステル塩を用いることが好ましい。これらの化合物は、グラフト共重合体に用いる単量体の合計量を100質量部としたときに、0.5〜10質量部を用いることが好ましい。
スルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。硫酸エステル塩の具体例としては、ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。これら乳化剤は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
乳化重合により得られたグラフト共重合体ラテックスは、凝析剤を用いて凝析させ、これを濾別、乾燥することによりグラフト共重合体の粉体として得られる。凝析剤としてはカルシウム塩を用いることが好ましく、凝析性を考慮すると酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムを用いることがより好ましい。
用いる凝析剤の量は、グラフト共重合体の固形分100質量部に対して、5〜10質量部が好ましい。5質量部未満の場合、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を配合したポリアセタール樹脂組成物の溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量が低減されないおそれがある。10質量部を超える場合、グラフト共重合体ラテックスを凝析する際に、凝析性が悪化するおそれがある。
グラフト共重合体が含有するカルシウムの量は、0.1〜0.5質量%が好ましい。カルシウムの量が0.1質量%未満の場合、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を配合したポリアセタール樹脂組成物の溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量が低減されないおそれがある。カルシウムの量が0.5質量%を超える場合、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を配合したポリアセタール樹脂組成物の耐衝撃性が向上しないおそれがある。
グラフト共重合体中のカルシウム量は、前述した凝析剤の量と、凝析後の洗浄の強弱(場合によっては洗浄をしない)によって制御する。
本発明に用いるグラフト共重合体としては、ゴム質重合体にビニル単量体成分がグラフト重合されたグラフト共重合体を用いることが好ましく、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)にビニル単量体成分がグラフト重合されたブタジエン系グラフト共重合体(AX)、アクリル系ゴム質重合体(GY)にビニル単量体成分がグラフト重合されたアクリル系グラフト共重合体(AY)、シリコーン系ゴム質重合体(GZ)にビニル単量体成分がグラフト重合されたシリコーン系グラフト共重合体(AZ)であることが、より好ましい。
(ブタジエン系ゴム質重合体(GX))
ブタジエン系ゴム質重合体(GX)としては、1,3−ブタジエンの単独重合体または共重合体が好ましい。該重合体は、1,3−ブタジエンと、必要に応じて架橋性単量体と、必要に応じて他のビニル単量体とを重合して得られる。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート等の多価アルコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;トリ(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリルエステル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジまたはトリアリル化合物等が挙げられる。架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他のビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体等が挙げられる。他のビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
各単量体の割合は、単量体の合計100質量%のうち、1,3−ブタジエンを65〜100質量%、架橋性単量体を0〜10質量%、他のビニル単量体を残部とすることが好ましい。1,3−ブタジエンを65質量%以上とすることにより、良好な耐衝撃性付与効果が得られる。架橋性単量体の量は、耐衝撃性付与効果の点から10質量%以下が好ましい。
ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造法としては、乳化重合法が好適である。乳化重合に際しては、乳化剤として、スルホン酸塩および/または硫酸エステル塩を用いることが好ましい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって異なるが、通常は40〜80℃である。
乳化重合に際しては、重合開始前に、例えばスチレン等を含むシードラテックスを、あらかじめ重合容器内に存在させておいてもよい。
乳化重合は、多段階で行なうことが好ましい。具体的には、単量体の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加、または連続添加する方式が特に好ましい。乳化重合を多段階で行なう際、初期に仕込む単量体の組成と、後から添加する単量体の組成とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。乳化重合を多段階で行なうことにより、良好な重合安定性が得られ、所望の粒子径および粒子径分布を有するブタジエン系ゴム質重合体(GX)のラテックスを安定して得ることができる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;前記過硫酸塩または有機過酸化物と、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ロンガリット、デキストローズ等とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。
ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の質量平均粒子径(dw)は、80〜300nmであり、かつ質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比で求められる粒子径分布(dw/dn)が2以下である。
質量平均粒子径が80〜300nmであれば、成形品に対する耐衝撃性付与効果が得られる。また、粒子径分布が2以下であれば、成形品に対する耐衝撃性付与効果が十分に得られる。
ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の質量平均粒子径(dw)および数平均粒子径(dn)は、公知の方法により測定できる。例えば、市販のキャピラリー式粒度分布計を用いて測定できる。
(ブタジエン系グラフト共重合体(AX))
ブタジエン系グラフト共重合体(AX)は、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の存在下にビニル単量体成分を重合して得られるグラフト共重合体である。
ビニル単量体成分としては、メタクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて芳香族ビニル化合物と、必要に応じて他のビニル単量体を用いることが好ましい。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。メタクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン置換スチレン、アルキル置換スチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他のビニル単量体としては、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド:グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体;ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造で用いた架橋性単量体等が挙げられる。他のビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
各単量体の割合は、単量体成分100質量%のうち、メタクリル酸エステルを10〜100質量%、芳香族ビニル化合物を0〜70質量%、他のビニル単量体を0〜20質量%とすることが好ましい。
ブタジエン系ゴム質重合体(GX)と、これにグラフト重合させるビニル単量体成分との割合は、ブタジエン系グラフト共重合体(AX)100質量%のうち、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)50〜85質量%、ビニル単量体成分15〜50質量%が好ましい。
ビニル単量体成分が15質量%以上であると、グラフト重合時に塊状物が発生し難くなる。また、ポリアセタール樹脂組成物の成形加工性が良好となり好ましい。ビニル単量体成分が50質量%以下であると、成形品に対する耐衝撃性付与効果が得られる。
ブタジエン系ゴム質重合体(GX)にグラフト重合させるビニル単量体成分の重合方法は、一段階で行なってもよく、多段階で行なってもよい。多段階で行なう場合、単量体成分の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体成分を一括添加、分割添加または連続添加する方式が好ましい。
ビニル単量体成分の重合を多段階で行なうことにより、良好な重合安定性が得られ、所望の粒子径分布を有するブタジエン系グラフト共重合体(AX)のラテックスを安定して得ることができる。
例えば、ビニル単量体成分の重合を3段階で行なう場合には、1段階目の重合を、メタクリル酸アルキルエステル単独、またはメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル単量体からなる単量体混合物を用いて行ない、2段階目の重合を、芳香族ビニル化合物単独、または芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル単量体からなる単量体混合物を用いて行ない、3段階目の重合を、メタクリル酸アルキルエステル単独、またはメタクリル酸アルキルエステルおよびこれと共重合可能な他の1種以上のビニル単量体からなる単量体混合物を用いて行なうことが好ましい。
1段階目の重合は、成形品に対する耐衝撃性付与効果を得ると共に、ポリアセタール樹脂との相溶性を向上させるために行なう。2段階目の重合は、ブタジエン系グラフト共重合体(AX)の流動性を向上させるために行なう。3段階目の重合は、成形品の表面の艶を向上させるために行なう。
ビニル単量体成分を100質量%とした場合、1段階目の重合に用いる単量体の量は15〜50質量%が好ましい。15質量%以上であると成形品に対する耐衝撃性付与効果が十分であり、50質量%以下であると成形品の外観が良好となり好ましい。
2段階目の重合に用いる単量体の量は40〜60質量%が好ましい。40質量%以上であるとブタジエン系グラフト共重合体(AX)の流動性が向上する点で好ましく、60質量%以下であると成形品に対する耐衝撃性付与効果が十分であり好ましい。
3段階目の重合に用いる単量体の量は5〜45質量%が好ましい。5質量%以上であると成形品の表面の艶が向上する点で好ましく、45質量%以下であるとブタジエン系グラフト共重合体(AX)の流動性が向上する点で好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造に用いた重合開始剤を用いることができる。
(アクリル系ゴム質重合体(GY))
アクリル系ゴム質重合体(GY)としては、2−エチルヘキシルアクリレートを含む単量体成分を重合したアクリルゴム(gy1)と、n−ブチルアクリレートを含む単量体成分を重合したアクリルゴム(gy2)とを含有するゴム混合物、または、アクリルゴム(gy2)の単独が好ましい。
アクリルゴム(gy1)は、2−エチルヘキシルアクリレートと、必要に応じて他のビニル単量体と、必要に応じて架橋性単量体とを重合して得られる。
他のビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体等が挙げられる。他のビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋性単量体としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造で用いた架橋性単量体を用いることができる。架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリルゴム(gy1)の原料単量体(100質量%)中の2−エチルヘキシルアクリレートの量は、得られる成形品の耐衝撃性が向上する点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。また、架橋性単量体の量は、20質量%以下が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造に用いた重合開始剤を用いることができる。
アクリルゴム(gy2)は、n−ブチルアクリレートと、必要に応じて他のビニル単量体と、必要に応じて架橋性単量体とを重合して得られる。
他のビニル単量体としては、例えば、アクリルゴム(gy1)の製造で用いた他のビニル単量体を用いることができる。他のビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋性単量体としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造で用いた架橋性単量体を用いることができる。架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリルゴム(gy2)の原料単量体(100質量%)中のn−ブチルアクリレートの量は、得られる成形品の耐衝撃性が向上する点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。また、架橋性単量体の量は、20質量%以下が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造に用いた重合開始剤を用いることができる。
アクリルゴム(gy1)のガラス転移温度は、10℃以下が好ましい。アクリルゴム(gy2)のガラス転移温度は、10℃以下が好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(GY)がゴム混合物である場合、アクリルゴム(gy1)のガラス転移温度は、アクリルゴム(gy2)のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。アクリルゴム(gy1)およびアクリルゴム(gy2)のガラス転移温度が該条件を満足する場合、得られる成形品の耐衝撃性が向上する。
アクリル系ゴム質重合体(GY)がゴム混合物である場合、アクリルゴム質重合体(GY)は、アクリルゴム(gy1)とアクリルゴム(gy2)との単なる混合物であってもよく、アクリルゴム(gy1)とアクリルゴム(gy2)とが複合化した複合ゴムであってもよい。
アクリル系ゴム質重合体(GY)がゴム混合物である場合、アクリルゴム質重合体(GY)中のアクリルゴム(gy1)の量は10〜90質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。アクリルゴム(gy2)の量は10〜90質量%が好ましく、50〜90質量%が好ましい。アクリルゴム(gy1)の量が10質量%以上であれば、充分な耐衝撃性を有する成形品が得られる。アクリルゴム(gy1)の量が90質量%以下であれば、充分な耐衝撃性および透明性を有する成形品が得られる。
アクリル系ゴム質重合体(GY)の製造法としては、乳化重合法が好適である。用いる乳化剤、重合温度は、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造条件と同様である。
アクリル系ゴム質重合体(GY)がゴム混合物である場合、アクリルゴム質重合体(GY)の製造方法としては、例えば、(i)〜(iii)の方法が挙げられ、(i)または(ii)の方法が好ましい。
(i)アクリルゴム(gy1)およびアクリルゴム(gy2)の原料単量体のうち、一方の原料単量体を重合して第1のアクリルゴムのラテックスを得る。該アクリルゴムのラテックスに、他方の原料単量体を加え、該原料単量体を第1のアクリルゴムに含浸させた後、重合する。
(ii)アクリルゴム(gy1)およびアクリルゴム(gy2)の原料単量体のうち、一方の原料単量体を重合して第1のアクリルゴムのラテックスを得る。該アクリルゴムのラテックスに、他方の原料単量体を滴下し、重合する。
(iii)アクリルゴム(gy1)およびアクリルゴム(gy2)の原料単量体のうち、一方の原料単量体を重合して第1のアクリルゴムのラテックスを得る。同様に、他方の原料単量体を重合して第2のアクリルゴムのラテックスを得る。第1のアクリルゴムのラテックスと第2のアクリルゴムのラテックス混合物を、酸または塩で肥大化する。
アクリルゴム(gy1)またはアクリルゴム(gy2)のラテックスの製造方法としては、通常乳化重合法、強制乳化重合法等が挙げられ、強制乳化重合法が好ましい。通常乳化重合法の場合、2−エチルヘキシルアクリレートが水溶性に乏しいため、重合時に多量にカレットが発生するおそれがある。
アクリル系ゴム質重合体(GY)の質量平均粒子径(dw)は、100〜800nmの範囲にあることが好ましい。質量平均粒子径が100〜800nmであれば、成形品に対する耐衝撃性付与効果が得られる。
(アクリル系グラフト共重合体(AY))
アクリル系グラフト共重合体(AY)は、アクリル系ゴム質重合体(GY)の存在下にビニル単量体成分を重合して得られるグラフト共重合体である。
ビニル単量体としては、ブタジエン系グラフト共重合体(AX)の製造で用いたビニル単量体を用いることができる。
各単量体の割合は、単量体成分100質量%のうち、メタクリル酸エステルを10〜100質量%、芳香族ビニル化合物を0〜70質量%、他のビニル単量体を0〜20質量%とすることが好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(GY)と、これにグラフト重合させるビニル単量体成分との割合は、アクリル系グラフト共重合体(AY)100質量%のうち、アクリル系ゴム質重合体(GY)60〜99質量%、ビニル単量体成分40〜1質量%が好ましく、アクリル系ゴム質重合体(GY)85〜95質量%、ビニル単量体成分15〜5質量%が、より好ましい。
ビニル単量体成分が1質量%未満であると、ポリアセタール樹脂組成物の加工性が低下するおそれがある。ビニル単量体成分が40質量%を超えると、成形品に対する耐衝撃性付与効果が得られないおそれがある。
アクリル系ゴム質重合体(GY)にグラフト重合させるビニル単量体成分の重合方法は、ブタジエン系グラフト共重合体(AX)の製造方法と同様にして、行なうことができる。
(シリコーン系ゴム質重合体(GZ))
シリコーン系ゴム質重合体(GZ)としては、ポリオルガノシロキサン(gz1)と、アクリルゴム(gz2)とを含有するゴム混合物が好ましい。
ポリオルガノシロキサン(gz1)は、ジメチルシロキサンと、ビニル重合性官能基含有シロキサンと、必要に応じてシロキサン系架橋剤とを重合して得られる。
ジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。ジメチルシロキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。
ビニル重合性官能基含有シロキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン系架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。シロキサン系架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオルガノシロキサンの重合は、ジメチルシロキサンと、ビニル重合性官能基含有シロキサンと、必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を、乳化剤と水を加えて予備乳化し、この予備乳化物を、ホモミキサーやホモジナイザー等を用いて微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和することにより行なうことができる。
乳化剤としては、スルホン酸塩および/または硫酸エステル塩を用いることが好ましい。
重合に用いる酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化されたラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等がある。ポリオルガノシロキサン粒子径の制御のしやすさを考慮すると、シロキサン混合物が微粒子化されたラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
ポリオルガノシロキサンの重合に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうちでは、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用に優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸等の鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する成形品の外観不良を低減させることができる。
重合の停止は、反応液を冷却し、さらにラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質により中和することによって行なうことができる。
アクリルゴム(gz2)は、アルキル(メタ)アクリレートと、架橋性単量体とを重合して得られる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、得られる成形品の耐衝撃性および光沢を考慮すると、n−ブチルアクリレートの使用が好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造で用いた架橋性単量体を用いることができる。架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、例えば、ブタジエン系ゴム質重合体(GX)の製造に用いた重合開始剤を用いることができる。この中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせた系が好ましい。
シリコーン系ゴム質重合体(GZ)は、ポリオルガノシロキサン(gz1)とアクリルゴム(gz2)との単なる混合物であってもよく、ポリオルガノシロキサン(gz1)とアクリルゴム(gz2)とが複合化した複合ゴムであってもよい。
シリコーン系ゴム質重合体(GZ)中のポリオルガノシロキサン(gz1)の量は、1〜99質量%が好ましい。アクリルゴム(gz2)の量は、1〜99質量%が好ましい。
シリコーン系ゴム質重合体(GZ)は、例えば、以下の方法により製造できる。
ポリオルガノシロキサン(gz1)のラテックス中に、アルキル(メタ)アクリレート成分を添加し、重合開始剤を作用させて重合することによって調製する。アルキル(メタ)アクリレート成分を添加する方法としては、ポリオルガノシロキサン(gz1)のラテックス中に一括で混合する方法、ポリオルガノシロキサン(gz1)のラテックス中に一定速度で滴下する方法がある。成形品に対する耐衝撃性付与効果の点から、ポリオルガノシロキサン(gz1)のラテックス中にアルキル(メタ)アクリレート成分を一括で混合する方法が好ましい。
(シリコーン系グラフト共重合体(AZ))
シリコーン系グラフト共重合体(AZ)は、シリコーン系ゴム質重合体(GZ)の存在下にビニル単量体成分を重合して得られるグラフト共重合体である。
ビニル単量体としては、ブタジエン系グラフト共重合体(AX)の製造で用いたビニル単量体を用いることができる。
各単量体の割合は、単量体成分100質量%のうち、メタクリル酸エステルを10〜100質量%、芳香族ビニル化合物を0〜70質量%、他のビニル単量体を0〜20質量%とすることが好ましい。
シリコーン系ゴム質重合体(GZ)と、これにグラフト重合させるビニル単量体成分との割合は、シリコーン系グラフト共重合体(AZ)100質量%のうち、シリコーン系ゴム質重合体(GZ)65〜90質量%、ビニル単量体成分35〜10質量%が好ましい。
ビニル単量体成分が35質量%を超えると、成形品に対する耐衝撃性付与効果が得られないおそれがある。ビニル単量体成分が10質量%未満であると、ポリアセタール樹脂の他の優れた特性が失われる傾向にある。
シリコーン系グラフト共重合体(AZ)100質量%のうち、ポリオルガノシロキサンの含有量は8〜70質量%であることが好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有量が8質量%より少ない場合、成形品に対する耐衝撃性付与効果が得られないおそれがある。ポリオルガノシロキサンの含有量が70質量%を超える場合、ポリアセタール樹脂の他の優れた特性が失われる傾向にある。
シリコーン系ゴム質重合体(GZ)にグラフト重合させるビニル単量体成分の重合方法は、ブタジエン系グラフト共重合体(AX)の製造方法と同様にして、行なうことができる。
シリコーン系グラフト共重合体(AZ)の質量平均粒子径(dw)は、100〜800nmの範囲にあることが好ましい。質量平均粒子径が100〜800nmであれば、得られる成形品の耐衝撃性と表面外観を良好にすることができる。
(ポリアセタール樹脂)
ポリアセタール樹脂としては、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2以上のオキシアルキレン基を含むポリオキシメチレン共重合体を主成分とする樹脂が好ましい。
具体的には、ホルムアルデヒド、またはその環状オリゴマーであるトリオキサンを主モノマーとし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等の少なくとも1つの炭素間結合を有する環状エーテルおよび/または環状アセタールの中から選ばれた少なくとも1種をコモノマーとし、カチオン性触媒の存在下で共重合することで得られるものが好ましい。コモノマーとしては、コモノマー分散性が良好な点から、ポリマー中に連鎖移動を生じさせない1,3−ジオキソランおよび/または1,3,5−トリオキセパンが好ましい。
(ポリアセタール樹脂組成物)
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂に、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を配合したものである。
ポリアセタール樹脂とポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤との割合は、ポリアセタール樹脂とポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤との合計100質量%のうち、ポリアセタール樹脂70〜99質量%、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤1〜30質量%が好ましい。ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤が1質量%以上であれば、得られる成形品の耐衝撃性が良好となる。ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤が30質量%以下であれば、ポリアセタール樹脂本来の機械物性が損なわれることがない。
本発明のポリアセタール樹脂組成物の調製方法としては、通常の樹脂組成物の調製に用いられる公知の方法が挙げられる。例えば、ポリアセタール樹脂とポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤とを、直接1軸または2軸の押出機等により混練し、ついでペレット化する方法、またはポリアセタール樹脂とポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤とをあらかじめ混和した後、1軸または2軸の押出機等により混練し、ついでペレット化する方法が挙げられる。
(成形品)
本発明の成形品は、本発明のポリアセタール樹脂組成物を成形してなるものである。
成形法としては、射出成形法、溶融押出法等、公知の成形方法が挙げられる。
成形品としては、OA機器、情報機器、家電、自動車、衣類、文具、雑貨、建材等における、樹脂製歯車、機構部品等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
ラテックス中の重合体の質量平均粒子径および粒子径分布、ガラス転移温度、グラフト共重合体が含有するカルシウムの量は、以下のようにして求めた。
(質量平均粒子径および粒子径分布)
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて、質量平均粒子径および数平均粒子径を測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行なった。具体的には、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ、およびキャリア液を用い、液性は中性、流速を1.4mL/分、圧力を28MPa、温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを用いて測定した。なお、標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを、30nmから800nmの範囲内で合計12点用いた。測定された質量平均粒子径および数平均粒子径から粒子径分布を求めた。
(ガラス転移温度)
グラフト共重合体70部とポリメタクリル酸メチル30部を配合し、250℃の25φ単軸押し出し機でペレット化した。200℃設定のプレス機を用いて、このペレットから3mm厚みの板を作製し、幅10mm×長さ12mmに切り出した。動的粘弾性測定装置DMA983型(TA Instruments社製)により、昇温速度2℃/分の条件で測定し、得られたtanδ曲線のピークに対応した温度をガラス転移温度として求めた。
(カルシウム量の定量)
ICP発光分析装置を用いて、グラフト共重合体が含有するカルシウムの量を定量した。
グラフト共重合体2g程度を白金皿に秤取り、電熱ヒーターで炭化させる。その後、電気炉650℃、1時間で完全に灰化させる。
塩酸5ml+純水を加えてホットプレートで灰分を溶解させ、純水で50mlにメスアップし検液とする。
これをICP発光分析装置にて定量した。検量線の作成には、カルシウム濃度0〜10ppmの標準液を用いた。
(実施例1)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−1)
ブタジエン系ゴム質重合体(GX−1)ラテックスの製造:
攪拌機、単量体追加口、温度計を備えたオートクレーブに、下記の第1単量体混合物を入れて攪拌し、オートクレーブの内温を43℃に昇温した。次いで、下記の還元剤混合物をオートクレーブ内に添加して重合反応を開始し、その後オートクレーブの内温を65℃まで昇温した。
第1単量体混合物:
1,3−ブタジエン 23.6部
スチレン 1.25部
t−ドデシルメルカプタン 0.15部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.11部
脱イオン水 69.29部
還元剤混合物:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 4.697部
重合開始から3時間後に下記の開始剤をオートクレーブ内に添加し、その直後から下記の第2単量体混合物を8時間かけてオートクレーブ内に連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第2単量体混合物:
1,3−ブタジエン 70.8部
スチレン 3.75部
t−ドデシルメルカプタン 0.45部
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 1.2部
脱イオン水 73.6部
重合開始から21時間反応させて、ブタジエン系ゴム質重合体(GX−1)ラテックスを得た。ラテックス中のブタジエン系ゴム質重合体(GX−1)の質量平均粒子径(dw)は165nmであり、粒子径分布(dw/dn)は1.2であった。
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−1)の製造:
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、下記のラテックス混合物を入れ、フラスコ内を窒素置換しつつ、フラスコの内温を70℃に昇温した。
ラテックス混合物:
ブタジエン系ゴム質重合体(GX−1)ラテックス 187.5部
(固形分:75部)
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 1.5部
ロンガリット 0.6部
脱イオン水 35.325部
次いで、下記の第3単量体混合物をフラスコ内に1時間かけて滴下し、その後1時間保持した。
第3単量体混合物:
メチルメタクリレート 20部
スチレン 5部
クメンハイドロパーオキサイド 0.075部
以上の重合の完了により、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−1)ラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対して、5部の酢酸カルシウムを用いて凝析し、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−1)を得た。
グラフト共重合体(AX−1)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例2)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−2)
ブタジエン系ゴム質重合体(GX−2)ラテックスの製造:
攪拌機、単量体追加口、温度計を備えたオートクレーブに、下記の第1単量体混合物を入れて攪拌し、オートクレーブの内温を43℃に昇温した。次いで、下記の還元剤混合物をオートクレーブ内に添加して重合反応を開始し、その後オートクレーブの内温を65℃まで昇温した。
第1単量体混合物:
1,3−ブタジエン 29.5部
スチレン 6.0部
ジビニルベンゼン 1.5部
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.1部
ピロリン酸ナトリウム 0.5部
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.8部
脱イオン水 71.6部
還元剤混合物:
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 4.697部
重合開始から2時間後に下記の開始剤をオートクレーブ内に添加し、その直後から下記の第2単量体混合物を3時間かけてオートクレーブ内に連続滴下した。
開始剤:
p−メンタンハイドロパーオキサイド 0.2部
第2単量体混合物:
1,3−ブタジエン 48.1部
スチレン 12.1部
ジビニルベンゼン 2.8部
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 1.2部
脱イオン水 70.6部
重合開始から7時間反応させて、ブタジエン系ゴム質重合体(GX−2)ラテックスを得た。ラテックス中のブタジエン系ゴム質重合体(GX−2)の質量平均粒子径(dw)は90nmであり、粒子径分布(dw/dn)は1.2であった。
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−2)の製造:
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、下記のラテックス混合物を入れ、フラスコ内を窒素置換しつつ、フラスコの内温を70℃に昇温した。
ラテックス混合物:
ブタジエン系ゴム質重合体(GX−2)ラテックス 187.5部
(固形分:75部)
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 1.5部
ロンガリット 0.6部
脱イオン水 35.324部
次いで、下記の第3単量体混合物をフラスコ内に1時間かけて滴下し、その後1時間保持した(1段階目のグラフト重合)。
第3単量体混合物:
メチルメタクリレート 6.25部
エチルアクリレート 1.25部
クメンハイドロキシパーオキサイド 0.023部
次いで、下記の第4単量体混合物をフラスコ内に1時間かけて滴下し、その後3時間保持した(2段階目のグラフト重合)。
第4単量体混合物:
スチレン 12.5部
クメンハイドロキシパーオキサイド 0.038部
さらに、下記の第5単量体混合物をフラスコ内に0.5時間かけて滴下し、その後1時間保持した(3段階目のグラフト重合)。
第5単量体混合物:
メチルメタクリレート 5部
クメンハイドロキシパーオキサイド 0.015部
以上の重合の完了により、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−2)ラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対して、5部の酢酸カルシウムを用いて凝析し、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−2)を得た。
グラフト共重合体(AX−2)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例3)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−3)
酢酸カルシウムの使用量を10部に変更した以外は実施例1と同様にして、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−3)を得た。
グラフト共重合体(AX−3)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例4)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−4)
凝析剤の種類を酢酸カルシウムから塩化カルシウムに変更した以外は実施例1と同様にして、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−4)を得た。
グラフト共重合体(AX−4)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例5)
アクリル系グラフト共重合体(AY−1)
アクリル系ゴム質重合体(GY−1)ラテックスの製造:
下記の第1単量体混合物をホモミキサーで10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより20MPaの圧力で乳化し、第1単量体混合物の乳化物を得た。
第1単量体混合物:
2−エチルヘキシルアクリレート 99.5部
アリルメタクリレート 0.5部
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 1部
脱イオン水 193.5部
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた第1の5口フラスコに、第1単量体混合物の乳化物を入れ、フラスコ内を窒素置換しつつ、フラスコの内温を50℃に昇温した。次いで、下記の開始剤をフラスコ内に添加し、さらに、下記の第1還元剤混合物をフラスコ内に添加した。
開始剤:
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.5部
第1還元剤混合物:
硫酸第1鉄 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0006部
ロンガリット 0.26部
脱イオン水 4.7392部
重合開始から5時間反応させて、アクリル系ゴム質重合体(gy1−1)ラテックスを得た。
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた第2の5口フラスコに、下記のラテックス混合物を入れた。
ラテックス混合物:
アクリル系ゴム質重合体(gy1−1)ラテックス 30部
(固形分:10部)
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.7部
脱イオン水 173.92部
次いで、下記の第2単量体混合物を第2のフラスコに入れて10分間攪拌し、第2単量体混合物をアクリルゴム質重合体(gy1−1)に含浸させた。
第2単量体混合物:
n−ブチルアクリレート 76.44部
アリルメタクリレート 1.56部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.32部
さらに10分間攪拌した後、第2のフラスコ内を窒素置換しつつ、内温を50℃に昇温した。下記の第2還元剤混合物を第2のフラスコ内に添加して重合を開始し、その後フラスコの内温を70℃で2時間保持した。
第2還元剤混合物:
硫酸第1鉄 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0006部
ロンガリット 0.26部
脱イオン水 4.7392部
重合を完了して、アクリル系ゴム質重合体(GY−1)ラテックスを得た。
ラテックス中のアクリル系ゴム質重合体(GY−1)の質量平均粒子径(dw)は200nmであった。
アクリル系グラフト共重合体(AY−1)の製造:
前記のアクリル系ゴム質重合体(GY−1)ラテックスを70℃に保持し、下記の第3単量体混合物を15分間かけて滴下し、その後4時間保持した。
第3単量体混合物:
メチルメタクリレート 12部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.06部
以上の重合の完了により、アクリル系グラフト共重合体(AY−1)ラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対して、5部の酢酸カルシウムを用いて凝析し、アクリル系グラフト共重合体(AY−1)を得た。
アクリル系ゴム質重合体に由来するガラス転移温度は−58℃、および−29℃に観測された。
グラフト共重合体(AY−1)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例6)
アクリル系グラフト共重合体(AY−2)
アクリル系ゴム質重合体(GY−2)ラテックスの製造:
下記の第1単量体混合物をホモミキサーで12,000rpmで予備攪拌した後、ホモジナイザーにより20MPaの圧力で乳化し、第1単量体混合物の乳化物を得た。
第1単量体混合物:
2−エチルヘキシルアクリレート 38.4部
アリルメタクリレート 0.1部
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.3部
脱イオン水 61.2部
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、第1単量体混合物の乳化物の1/2量を入れ、下記の水および開始剤をフラスコ内に添加した。
水:
脱イオン水 89.65部
開始剤:
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.125部
フラスコ内を窒素置換しつつ、フラスコの内温を50℃に昇温した。次いで、下記の第1還元剤混合物をフラスコ内に添加し、重合開始から100分間保持した。
第1還元剤混合物:
硫酸第一鉄 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0006部
ロンガリット 0.02部
脱イオン水 4.9792部
次いで、フラスコの内温を60℃にし、第1単量体混合物の乳化物の残り1/2量をフラスコ内に添加した。さらに、下記の乳化剤および開始剤を添加した。
乳化剤:
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム 0.1部
開始剤:
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.125部
次いで、下記の還元剤混合物をフラスコ内に添加した。
第2還元剤混合物:
ロンガリット 0.02部
脱イオン水 4.98部
重合開始から100分間保持して、アクリルゴム質重合体(gy1−2)ラテックスを得た。
フラスコの内温を55℃にし、下記の第2単量体混合物をフラスコ内に添加し、5分間保持した。次いで、第3還元剤混合物をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
第2単量体混合物:
n−ブチルアクリレート 49.75部
アリルメタクリレート 0.25部
イソプロピルベンゼンパーオキサイド 0.25部
第3還元剤混合物:
ロンガリット 0.1部
脱イオン水 8.075部
フラスコの内温を65℃にし、100分間保持して重合を完了し、アクリル系ゴム質重合体(GY−2)ラテックスを得た。
アクリル系グラフト共重合体(AY−2)の製造:
前記のアクリル系ゴム質重合体(GY−2)ラテックスを65℃に保持し、下記の第3単量体混合物を25分間かけて滴下し、その後150分間保持した。
第3単量体混合物:
メチルメタクリレート 11.2部
n−ブチルアクリレート 0.3部
イソプロピルベンゼンパーオキサイド 0.075部
以上の重合の完了により、アクリル系グラフト共重合体(AY−2)ラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対して、5部の酢酸カルシウムを用いてラテックスを凝析し、アクリル系グラフト共重合体(AY−2)を得た。
アクリル系ゴム質重合体に由来するガラス転移温度は−58℃、および−30℃に観測された。
グラフト共重合体(AY−2)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例7)
シリコーン系グラフト共重合体(AZ−1)
シリコーン系ゴム質重合体(GZ−1)ラテックスの製造:
下記の第1単量体混合物を、下記の水溶液に加え、ホモミキサーで10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより20MPaの圧力で乳化し、第1単量体混合物の乳化物を得た。
第1単量体混合物:
オクタメチルシクロテトラシロキサン 97.5部
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 0.5部
テトラエトキシシラン 2部
水溶液:
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.67部
脱イオン水 198.66部
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた第1の5口フラスコに、第1単量体混合物の乳化物を入れ、フラスコ内の温度を80℃に昇温し、5時間保持した。その後、20℃まで冷却し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液を用いてラテックスのpHを7.4に中和して重合を完了させ、シリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)ラテックスを得た。
ラテックス中のシリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)の質量平均粒子径は170nmであった。
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた第2の5口フラスコに、下記のラテックス混合物を入れた。
ラテックス混合物:
シリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)ラテックス 60部
(固形分:20部)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2部
脱イオン水 124.57部
第2のフラスコ内を窒素で置換しつつ、50℃に昇温して、下記の第2単量体混合物を添加した。30分間攪拌して、第2単量体混合物をシリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)に含浸させた。
第2単量体混合物:
n−ブチルアクリレート 64.5部
アリルメタクリレート 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.15部
次いで、下記の還元剤混合物を第2のフラスコ内に添加し、重合を開始した。
還元剤混合物:
硫酸第1鉄 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0006部
ロンガリット 0.18部
脱イオン水 4.8192部
フラスコの内温を70℃とし、90分間保持して重合を完了させて、シリコーン系ゴム質重合体(GZ−1)ラテックスを得た。
ラテックス中のシリコーン系ゴム質重合体(GZ−1)の質量平均粒子径(dw)は200nmであった。
シリコーン系グラフト共重合体(AZ−1)の製造:
前記のシリコーン系ゴム質重合体(GZ−1)ラテックスを65℃に保持し、下記の第3単量体混合物を第2のフラスコ内に30分間かけて滴下し、その後2時間保持した。
第3単量体混合物:
メチルメタクリレート 13部
エチルアクリレート 2部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.08部
以上の重合の完了により、シリコーン系グラフト共重合体(AZ−1)ラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対して、5部の酢酸カルシウムを用いてラテックスを凝析し、シリコーン系グラフト共重合体(AZ−1)を得た。
グラフト共重合体(AZ−1)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(実施例8)
シリコーン系グラフト共重合体(AZ−2)
シリコーン系ゴム質重合体(GZ−2)ラテックスの製造:
実施例7と同様にして、シリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)ラテックスを得た。
攪拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、下記のラテックス混合物を入れた。
ラテックス混合物:
シリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)ラテックス 90部
(固形分:30部)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2部
脱イオン水 104.57部
フラスコ内を窒素で置換しつつ、50℃に昇温して、下記の第1単量体混合物を添加した。30分間攪拌して、第1単量体混合物をシリコーン系ゴム質重合体(gz1−1)に含浸させた。
第1単量体混合物:
n−ブチルアクリレート 39.5部
アリルメタクリレート 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.15部
次いで、下記の還元剤混合物をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
還元剤混合物:
硫酸第1鉄 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0006部
ロンガリット 0.18部
脱イオン水 4.8192部
フラスコの内温を70℃とし、90分間保持して重合を完了させて、シリコーン系ゴム質重合体(GZ−2)ラテックスを得た。
ラテックス中のシリコーン系ゴム質重合体(GZ−2)の質量平均粒子径(dw)は200nmであった。
シリコーン系グラフト共重合体(AZ−2)の製造:
前記のシリコーン系ゴム質重合体(GZ−2)ラテックスを65℃に保持し、下記の第2単量体混合物をフラスコ内に200分間かけて滴下し、その後2時間保持した。
第2単量体混合物:
スチレン 20.5部
アクリロニトリル 5.5部
エチルアクリレート 4部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.08部
以上の重合の完了により、シリコーン系グラフト共重合体(AZ−2)ラテックスを得た。このラテックスの固形分100部に対して、5部の酢酸カルシウムを用いてラテックスを凝析し、シリコーン系グラフト共重合体(AZ−2)を得た。
グラフト共重合体(AZ−2)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(比較例1)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−5)の製造:
酢酸カルシウムの使用量を1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてブタジエン系グラフト共重合体(AX−5)を得た。
グラフト共重合体(AX−5)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(比較例2)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−6)の製造:
酢酸カルシウムの使用量を15部に変更した以外は、実施例1と同様にしてブタジエン系グラフト共重合体(AX−6)を得た。
グラフト共重合体(AX−6)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(比較例3)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−7)の製造:
酢酸カルシウムの添加量を2.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてブタジエン系グラフト共重合体(AX―7)を得た。
グラフト共重合体(AX−7)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
(比較例4)
ブタジエン系グラフト共重合体(AX−8)の製造:
ラテックスを凝析、分離した後、固形分に対して10倍量の脱イオン水を用いて、グラフト共重合体を洗浄した以外は、実施例3と同様にして、ブタジエン系グラフト共重合体(AX−8)を得た。
グラフト共重合体(AX−8)が含有するカルシウムの量は表1に示す。
Figure 2008031364
実施例1〜8、比較例1〜4で製造したグラフト共重合体をポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤として用い、表2に示す割合でポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤、ポリアセタール樹脂(ジュラコンM90−44、ポリプラスチック(株)製)を配合し、2軸押出機(TEM35B型、東芝機械社製)を用いてペレット化し、ポリアセタール樹脂組成物を得た。
次いで、ポリアセタール樹脂組成物を射出成形機(SAV60、三条機械社製)を用いて射出成形し、試験片を作製した。
ペレットおよび試験片について以下の評価を行なった。結果を表2に示す。
1)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に従って23℃で測定した。サンプル厚みは1/8インチ、ノッチ付き試験片を用いた。
2)曲げ弾性率
ASTM D790に従って23℃で測定した。サンプル厚みは1/4インチとした。
3)ホルムアルデヒド発生量
ペレット化したポリアセタール樹脂組成物0.1gを秤量し、210℃で5分間加熱した際に発生したガスを捕集カートリッジにトラップ、その後アセトニトリルでメスアップし、これをDNPH−HPLC法(JIS K−0303)により、ホルムアルデヒド量を測定した。
Figure 2008031364
本発明のポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤、ポリアセタール樹脂組成物および成形品は、ポリアセタール樹脂本来の特性を損なうことなく、耐衝撃性等の機械物性を改良し、溶融混練時および成形加工時に発生するホルムアルデヒド量を低減することができる。

Claims (4)

  1. ゴム質重合体にビニル単量体成分がグラフト重合されたグラフト共重合体であって、カルシウムを0.1〜0.5質量%含有することを特徴とするグラフト共重合体からなる、ポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤。
  2. ゴム質重合体の存在下にビニル単量体成分を重合してグラフト共重合体ラテックスを得て、該ラテックスを酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムによって凝析することを特徴とする、請求項1記載のグラフト共重合体の製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリアセタール樹脂用耐衝撃性改質剤を1〜30質量%、ポリアセタール樹脂を70〜99質量%含む、ポリアセタール樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品。
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