JP2002265545A - グラフト共重合体およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物

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JP2002265545A
JP2002265545A JP2001074527A JP2001074527A JP2002265545A JP 2002265545 A JP2002265545 A JP 2002265545A JP 2001074527 A JP2001074527 A JP 2001074527A JP 2001074527 A JP2001074527 A JP 2001074527A JP 2002265545 A JP2002265545 A JP 2002265545A
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silicone
composite rubber
graft copolymer
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JP2001074527A
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English (en)
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Osamu Okunaka
理 奥中
Yasuhiko Nabeshima
泰彦 鍋島
Masaharu Fujimoto
雅治 藤本
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性および耐候性に優れ、熱可塑性樹脂
に配合した際に、透明性を維持したまま耐衝撃性を改良
するグラフト共重合体を提供する。 【解決手段】 グラフト共重合体が、シリコーン系複合
ゴム粒子(A)が肥大化された肥大化シリコーン系複合
ゴム粒子(B)10〜90質量部に対し、芳香族ビニル
化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸およ
び不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1
種のビニル重合性単量体(C)90〜10質量部がグラ
フト重合されてなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱安定性、耐候性
および熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良効果に優れたグラフ
ト共重合体と、これを含む熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂にゴム成分を含むグラフト
共重合体粒子を配合して耐衝撃性を向上させることは、
従来から広く行われている。グラフト共重合体粒子のゴ
ム成分には、できるだけガラス転移温度(Tg)の低い
ものを用いることが、熱可塑性樹脂の耐衝撃性を発現さ
せるのに有利であると言われている。例えば、現状にお
いては、ガラス転移温度(Tg)の低いポリブタジエン
系ゴムがゴム成分として広く使用されており、これに重
合性モノマーをグラフト重合させて熱可塑性樹脂と配合
している。しかしながら、このようなポリブタジエン系
グラフト共重合体粒子には、不飽和二重結合が残存して
いるために熱的に不安定であり、また、耐候性が不十分
である。そのため、不飽和二重結合を含まないアクリル
ゴムやシリコーンゴムをゴム成分に利用したグラフト共
重合体粒子が用いられることがある。しかしながら、ア
クリルゴムはTgがポリブタジエンゴムよりも高いた
め、これに重合性モノマーをグラフトしたグラフト重合
体は、耐衝撃性の改良効果が十分ではない。
【0003】一方、ポリオルガノシロキサン(以下、シ
リコーンともいう)ゴム、例えば、ポリジメチルシロキ
サンゴムのTgは、−120℃前後であり、Tgの低さ
という点で有効である。従って、シリコーンゴム成分を
含むシリコーン系複合ゴムのグラフト共重合体粒子を利
用することが出来れば、高い耐衝撃性を期待することが
できる。例えば特開平4−100812号公報にはシリ
コーン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有す
るシリコーン系複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重
合させたグラフト共重合体粒子を用いることが記載され
ている。特開平8−283359号公報には、特定の粒
子径を有するシリコーン系複合ゴムのグラフト共重合体
がアクリル樹脂の耐衝撃性を改良し、かつ高度な透明性
を達成する改質剤となることが記載されている。また、
耐衝撃性を効率よく発現させるためには比較的大きな粒
子径のゴム重合体を使用する必要がある。例えば、特開
平11−100481号公報には、シリコーンゴムを含
有するシリコーン系複合共肥大化ゴムが熱可塑性樹脂の
耐衝撃性を改良することが記されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
4−100812号公報のグラフト共重合体粒子におい
ては、シリコーン系複合ゴム中でシリコーン成分とポリ
アルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが相分離して
しまうために著しく透明性が損なわれる。また、特開平
8−283359号公報のグラフト共重合体では、高度
な透明性を維持するものの、粒子径を大きくできないた
めに改質剤添加量が少ない場合の耐衝撃性改良効果が低
く、未だ満足のいくものではない。また、特開平11−
100481号公報のグラフト共重合体では、粒子径が
大きなシリコーン系複合ゴムを用いるために耐衝撃性改
良効果は期待できるが、高度な透明性を保つ具体的方法
は示されていない。すなわち、従来の前記シリコーン系
複合ゴムを含有するグラフト共重合体粒子では、いずれ
も高度な透明性を維持したまま、満足のいく耐衝撃性を
達成することはできなかった。本発明は、前記課題を解
決するために行われたものであり、熱安定性および耐候
性に優れ、熱可塑性樹脂に配合した際に、透明性を維持
したまま耐衝撃性を付与できるグラフト共重合体を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる現状に鑑み鋭意検
討した結果、本発明者らは、肥大化シリコーン系複合ゴ
ム粒子のグラフト共重合体が熱可塑性樹脂の耐衝撃性を
改良し、かつ高度な透明性を達成する改質剤となること
を見出し、さらには特定の組成および特定の粒子径を有
するシリコーン系複合ゴム粒子を凝集肥大化させること
により効果が増大することを見出し、本発明に到達し
た。
【0006】すなわち本発明は、シリコーン系複合ゴム
粒子(A)が肥大化された肥大化シリコーン系複合ゴム
粒子(B)10〜90質量部に対し、芳香族ビニル化合
物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸および不
飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の
ビニル重合性単量体(C)90〜10質量部がグラフト
重合されてなるものである。前記シリコーン系複合ゴム
粒子(A)は、ポリオルガノシロキサン粒子(a1)
0.05〜25質量部の存在下で、芳香族ビニル化合
物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよ
びブタジエンから選ばれた少なくとも1種のビニル重合
性単量体(a2)99.95〜75質量部が重合したも
のであることが好ましい。前記ポリオルガノシロキサン
粒子(a1)は、ビニル重合性官能基を、シロキサン単
位を基準として0.1モル%以上含有することが好まし
い。
【0007】また本発明は、グラフト共重合体の製造方
法が、シリコーン系複合ゴム粒子(A)を肥大化した肥
大化シリコーン系複合ゴム粒子(B)10〜90質量部
に対し、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、
不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルから
選ばれる少なくとも1種のビニル重合性単量体(C)9
0〜10質量部をグラフト重合する方法である。前記シ
リコーン系複合ゴム粒子(A)は、ポリオルガノシロキ
サン粒子(a1)0.05〜25質量部の存在下で、芳
香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン
酸エステルおよびブタジエンから選ばれた少なくとも1
種のビニル重合性単量体(a2)99.95〜75質量
部を重合したものであることが好ましい。前記ポリオル
ガノシロキサン粒子(a1)は、質量平均粒子径0.0
05〜0.1μmであることが好ましい。前記シリコー
ン系複合ゴム粒子(A)は、質量平均粒子径0.03〜
0.3μmであることが好ましい。
【0008】前記肥大化シリコーン系複合ゴム粒子
(B)は、シリコーン系複合ゴム粒子(A)を含むラテ
ックスにアルカリ性化合物を添加してpHを7以上に
し、次いで、このシリコーン系複合ゴム粒子(A)10
0質量部に対して、不飽和酸単量体3〜40質量%と不
飽和カルボン酸エステル単量体97〜35質量%とから
なる単量体混合物を乳化重合して調製した酸基含有共重
合体ラテックス0.1〜15質量部(固形分換算)を添
加して、シリコーン系複合ゴム粒子(A)を肥大化して
製造することが好ましい。また本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、上記のグラフト共重合体1〜80質量%と、
(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂9
9〜20質量%を含むものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のグラフト共重合体は、シリコーン系複合ゴム粒
子(A)が肥大化した肥大化シリコーン系複合ゴム粒子
(B)10〜90質量部に対し、芳香族ビニル化合物、
シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸および不飽和
カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のビニ
ル重合性単量体(C)90〜10質量部をグラフト重合
して得られるものである。
【0010】本発明におけるシリコーン系複合ゴム粒子
(A)は、ポリオルガノシロキサン粒子(a1)を構成
成分として含むものである。前記ポリオルガノシロキサ
ン粒子(a1)の形成は、例えば以下の方法により行う
ことができる。まず、オルガノシロキサンとビニル重合
性官能基含有シロキサンからなる混合物またはさらに必
要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と
水で乳化させ、ラテックスを得る。次いで、このラテッ
クスを高速回転によるせん断力で微粒子化するホモミキ
サーや高圧発生器による噴出力で微粒子化するホモジナ
イザーなどを使用して微粒子化する。その後、酸触媒を
用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により
酸を中和する。重合に用いる酸触媒の添加方法として
は、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合す
る方法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックス
を高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法などがあ
る。ポリオルガノシロキサンの粒子径の制御のしやすさ
を考慮すると、シロキサン混合物が微粒子化したラテッ
クスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好
ましい。
【0011】オルガノシロキサンには、3〜7員環を有
する環状オルガノシロキサンを用いるのが好ましい。具
体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタ
メチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペン
タシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、
トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラ
メチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタ
フェニルシクロテトラシロキサンなどが挙げられ、これ
らは単独または二種類以上混合して用いられる。また、
ポリオルガノシロキサン粒子(a1)は、ビニル重合性
官能基を有するものであることが好ましい。ビニル重合
性官能基としては、ビニル重合性単量体(C)と共重合
可能なものであれば特に制限はないが、メタクリロイル
基、ビニル基、ビニルフェニル基、メルカプト基などが
好ましい例として挙げられる。ポリオルガノシロキサン
粒子(a1)に含有されるビニル重合性官能基の量は、
シロキサン単位を基準として0.1モル%以上であるこ
とが好ましい。0.1モル%以上にすることにより、こ
れを含有するシリコーン系複合ゴム粒子(A)が熱可塑
性樹脂中に良好に分散し、得られる熱可塑性樹脂組成物
の透明性が良好になり、耐衝撃性も向上する。
【0012】ポリオルガノシロキサン粒子(a1)の質
量平均粒子径は0.005〜0.1μmの範囲であるこ
とが好ましい。より好ましくは0.01〜0.05μm
の範囲である。質量平均粒子径を0.1μm以下にする
ことにより透明性が良好となり、0.05μm以下では
さらに透明性が良好となる。また、質量平均粒子径が
0.005μm未満のポリオルガノシロキサン粒子
(a)を含むラテックスを調製するためには、より多く
の乳化剤が必要となり、工業的に困難となる場合があ
る。
【0013】シリコーン系複合ゴム粒子(A)中のポリ
オルガノシロキサン粒子(a1)の割合は、0.05〜
25質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、
0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.2〜2
質量%である。0.05質量%未満の場合、アクリル系
ゴムを単独で使用したグラフト共重合体に比べて有意な
耐衝撃性改良効果が得られない場合があり、25質量%
を超えるとグラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組
成物の透明性が損なわれる場合がある。従って、シリコ
ーン系複合ゴム粒子(A)中のポリオルガノシロキサン
粒子(a1)の割合を前記範囲とすることによって、耐
衝撃性改良効果に優れ、かつ透明性を有する熱可塑性樹
脂に配合しても、透明性が優れる。
【0014】本発明におけるシリコーン系複合ゴム粒子
(A)を構成するポリオルガノシロキサン粒子(a1)
以外の成分は、所望により任意の成分を選択できるが、
ビニル重合性単量体(a2)をラジカル重合することに
よって得られた重合体であることが好ましい。ビニル重
合性単量体(a2)は、芳香族ビニル化合物、不飽和カ
ルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよびブタジエン
から選ばれる少なくとも1種が用いられる。芳香族ビニ
ル化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン
などが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の例として
は、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。不飽
和カルボン酸エステルの例としては、炭素数1〜12の
アルキル基を有するアクリル酸エステルおよびメタクリ
ル酸エステルなどが挙げられる。さらに、これらのビニ
ル重合性単量体(a2)には、上記に例示した単量体に
対して0.1〜5質量%の炭素数2〜6のジオールのジ
(メタ)アクリレートや、アリルメタクリレートなどの
多官能性ビニル化合物が含まれてもよい。
【0015】ビニル重合性単量体(a2)のラジカル重
合は、ポリオルガノシロキサン粒子(a1)の存在下で
行われれば特に制限はなく、公知のラジカル重合法で行
うことができる。この重合の際には、ビニル重合性単量
体(a2)同士の反応だけでなく、ビニル重合性単量体
(a2)とポリオルガノシロキサン粒子(a1)のビニ
ル重合性官能基との反応も起こるため、複合ゴム粒子化
することができる。
【0016】このようにして得られたシリコーン系複合
ゴム粒子(A)の質量平均粒子径は、0.03〜0.3
μmであるのが好ましく、さらには0.05〜0.2μ
mであるのが好ましい。0.03〜0.3μmの範囲で
あることにより、後述する肥大化処理を容易に行うこと
ができる。
【0017】肥大化シリコーン系複合ゴム粒子(B)
は、シリコーン系複合ゴム粒子(A)を、酸基含有共重
合体ラテックス、酸あるいは塩などを添加して肥大化さ
せる方法などの公知の方法により得られる。中でも、酸
基含有共重合体ラテックスを用い、特定の条件下で、シ
リコーン系複合ゴム粒子(A)を凝集肥大化する方法が
好ましい。本発明における酸基含有共重合体ラテックス
とは、不飽和酸単量体と不飽和カルボン酸エステル単量
体を含む単量体混合物を乳化重合することにより得られ
るものである。また、前記単量体混合物には、必要時応
じて不飽和酸単量体および不飽和カルボン酸エステル単
量体と共重合可能な少なくとも1種の他の単量体を含む
ことができる。前記不飽和酸単量体の例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸などが
挙げられる。また、前記不飽和カルボン酸エステル単量
体の例としては、炭素数1〜12のアルキルエステルを
有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げ
られる。
【0018】前記単量体混合物中の不飽和酸単量体の量
が3質量%未満の場合には、得られる酸基含有共重合体
ラテックス粒子の肥大化能力が低下する場合があり、4
0質量%を超える場合には、酸基含有共重合体ラテック
スの重合において、凝塊物の生成や重合中にラテックス
の増粘などが起こるため、工業的な生産に適さなくなる
場合がある。酸基含有共重合体ラテックスの調製は、乳
化重合により行われるが、その方法については特に制限
はなく、公知の乳化剤、開始剤を使用することができ
る。前記単量体混合物の供給は、一段階で行ってもよい
し、単量体混合物の組成が同一のものを多段階で行って
もよい。さらには、組成が異なる単量体混合物を他段階
で重合を行ってもよい。
【0019】この酸基含有共重合体ラテックスを用いて
シリコーン系複合ゴム粒子(A)を肥大化する場合に
は、まず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアル
カリ性化合物を添加してシリコーン系複合ゴム粒子
(A)を含むラテックスのpHを7以上にした後、上述
の組成の酸基含有共重合体ラテックスを添加して凝集肥
大化させることが好ましい。ここで、シリコーン系複合
ゴム粒子(A)を含むラテックスのpHを8以上にする
ことは、肥大化の速度が著しく向上し、生産性が優れる
ためさらに好ましい。一方、シリコーン系複合ゴム粒子
(A)を含むラテックスのpHが7未満では、粒子の肥
大化が起こらない場合がある。pHを7以上にする操作
は特に制限はなく、このシリコーン系複合ゴム粒子
(A)の重合中にpH調節しても良いし、また肥大化処
理の前に別途行っても良い。また、pHを調製するため
に使用するアルカリ性化合物についても特に制限はな
い。
【0020】シリコーン系複合ゴム粒子(A)の肥大化
を行う際の、酸基含有共重合体ラテックスの添加量はシ
リコーン系複合ゴム粒子(A)に対して、0.1〜15
質量部(固形分換算)が好ましい。添加量が0.1質量
部未満では、凝集肥大化が起こりにくい場合がある。酸
基含有共重合体ラテックスの添加量を多くするにしたが
い肥大化シリコーン系複合ゴム粒子(B)の平均粒子径
は次第に小さくなり、添加量が15質量部をこえると、
粒子径が小さすぎるために耐衝撃性が低下する場合があ
る。肥大化処理の際に硫酸ナトリウムなどの塩を加える
ことは、肥大化がより効率的に行われる点で好ましい。
用いられる塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、亜鉛、ニッケルおよびアルミニウムの中から選ばれ
た少なくとも一種の金属を含む塩が例示され、好ましく
は硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、
硫酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシ
ウムなどが挙げられる。
【0021】本発明におけるシリコーン系複合ゴム粒子
(A)の肥大化処理では、全ての粒子が凝集肥大すると
は限らない。そのため、肥大化シリコーン系複合ゴム粒
子(B)には、肥大化していない粒子も含まれている。
肥大化シリコーン系複合ゴム粒子(B)に含まれる0.
2μmを超える粒子径の肥大化粒子の割合は、3〜80
質量%であることが好ましい。3質量%未満の場合に
は、衝撃強度改良が不十分な場合があり、80質量%を
越える場合には、本発明のグラフト共重合体を熱可塑性
樹脂に配合した際に、ゴム粒子壁間距離が大きくなり、
高い衝撃強度が得られない場合がある。
【0022】本発明のグラフト共重合体は、肥大化シリ
コーン系複合ゴム粒子(B)10〜90質量部に対し
て、ビニル重合性単量体(C)90〜10質量部をグラ
フト重合して得られる。ビニル重合性単量体(C)が1
0質量部未満の場合、グラフト共重合体と熱可塑性樹脂
との相溶性が不足するため衝撃強度の改良効果が低下す
る傾向にある。一方、90質量部を超えると、グラフト
共重合体を熱可塑性樹脂へ添加した場合の衝撃強度改良
効果が低くなる場合がある。
【0023】本発明におけるビニル重合性単量体(C)
は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽
和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルから選ば
れた少なくとも1種の単量体化合物である。芳香族ビニ
ル化合物の中でも、スチレン、α−メチルスチレンなど
が好ましい例として挙げられる。また、シアン化ビニル
化合物の中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどが好ましい例として挙げられる。また、不飽和カ
ルボン酸、不飽和カルボン酸エステルの中でも、アクリ
ル酸、メタクリル酸、炭素数1〜12のアルキルエステ
ルを有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エス
テルなどが好ましい例として挙げられる。また、これら
上記の単量体化合物を、改質しようとする熱可塑性樹脂
との相溶性あるいは屈折率を鑑みて任意の混合比で2種
以上組み合わせて用いてもよい。例えば、アクリル樹脂
に添加する場合には、ビニル重合性単量体(C)として
は、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのア
クリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレートなどのメタクリル酸エステルなどを用いるの
が好ましい。
【0024】ビニル重合性単量体(C)の種類および組
成は、グラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物
の透明性を維持するために、グラフト共重合体の屈折率
と熱可塑性樹脂の屈折率とが一致するように決定する。
組成の調節は公知の方法によって行うことができる。例
えば、アクリル樹脂に添加する場合は、ブチルアクリレ
ートとスチレンとをビニル重合性単量体(C)として使
用することが、グラフト共重合体を熱可塑性樹脂の屈折
率に合わせられ、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物
の透明性を維持できるので好ましい。
【0025】グラフト共重合体を製造する方法は、塊状
重合、溶液重合、懸濁重合あるいは乳化重合のいずれの
方法でも重合可能であるが、乳化重合で行うのが好まし
い。乳化グラフト重合は、攪拌機を具備した反応容器
に、肥大化シリコーン複合ゴム粒子(B)、ビニル重合
性単量体(C)、重合開始剤、水と、必要に応じて連鎖
移動剤、乳化剤あるいは酸化還元剤を仕込み、加熱攪拌
を行うものである。前記重合開始剤、連鎖移動剤、乳化
剤および酸化還元剤の種類については特に制限がなく、
公知のものが利用できる。また、前記原料の反応容器へ
の添加方法についても特に制限がなく、重合開始前に一
括添加、分割添加などが可能である。ラテックスからの
グラフト共重合体の分離、回収の方法は、特に制限はな
い。例えば、ラテックスに酢酸カルシウムまたは硫酸ア
ルミニウムなどの金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩
析、凝固することにより行える。回収したグラフト共重
合体は、公知の方法により乾燥することができ、乾燥後
は粉末状のグラフト共重合体を得ることができる。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、このよう
にして製造したグラフト共重合体1〜80質量%と、
(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂9
9〜20質量%を含む。グラフト共重合体の割合は、好
ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは15
〜60質量%である。1質量%未満では、熱可塑性樹脂
の改質効果は得られない場合があるので好ましくない。
一方、80質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の弾
性率および流動性が低下する場合があるので好ましくな
い。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填剤、難燃剤、
発泡剤、滑剤、可塑剤などを配合することができる。ま
た、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法には特に制
限がなく、原料の混合はヘンシェルミキサーやタンブラ
ーミキサーなどが利用でき、溶融混練は、単軸または二
軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ミキシ
ングロールなどの混練機を利用することができる。この
ようにして製造された熱可塑性樹脂組成物は、例えば、
照明、看板、窓材、光学レンズ、車輌部品、ディスプレ
イなどに利用することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。参考例におけるラテックス中の粒子の質量平均粒子
径は、CHDF2000型粒度分布測定装置(Mate
c Applied sciences社製)を用い
て、質量基準粒子径分布を測定し、得られた質量基準粒
子径分布より、質量平均粒子径(μm)を算出した。
【0029】(参考例1) <酸基含有共重合体ラテックス(K−1)の合成>下記
成分を攪拌機および還流冷却管を備えた反応容器に仕込
み、70℃で1.5時間加熱攪拌を続けて重合させた。 ブチルアクリレート 25質量部 オレイン酸カリウム 2質量部 ジオクチルスルホコハク酸ソーダ 1質量部 クメンヒドロパーオキサイド 0.1質量部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホオキシレート 0.3質量部 脱イオン水 200質量部 引き続き、 ブチルアクリレート 60質量部 メタクリル酸 15質量部 クメンヒドロパーオキサイド 0.3質量部 からなる混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間加
熱攪拌を続けて酸基含有共重合体ラテックス(K−1)
を得た。
【0030】(実施例1) <ポリオルガノシロキサン粒子(a−1)の製造>下記
成分をホモジナイザーにより乳化し、プレエマルジョン
を得た。 環状ジメチルシロキサンオリゴマー 95質量部 メタクリロキシプロピルジメトキシシラン 5質量部(1.5モル %) ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.7質量部 脱イオン水 310質量部 次いで、下記成分を攪拌機および還流冷却管を備えた反
応容器に仕込み、90℃に加熱した。さらに、3時間か
けて、この反応容器に前記プレエマルジョンを滴下し
た。 ドデシルベンゼンスルホン酸 30質量部 脱イオン水 90質量部 滴下終了後さらに1時間加熱攪拌を続け、その後反応液
を冷却、中和してポリオルガノシロキサン粒子ラテック
ス(a−1)を得た。
【0031】<シリコーン−アクリル複合ゴム(A−
1)の製造>下記成分を窒素ガス導入管、攪拌機および
還流冷却管を備えた反応容器に仕込んだ。 ポリオルガノシロキサン粒子ラテックス(a−1) 1質量部 (うちポリオルガノシロキサン成分1質量部) 脱イオン水 300質量部 次いで、下記成分を添加し、窒素パージした後に80℃
に加熱した。 硫酸第一鉄 0.0004質量部 エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩 0.0012質量部 ロンガリット 0.48質量部 これに、 ブチルアクリレート 80質量部 スチレン 18.1質量部 アリルメタクリレート 0.9質量部 ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム (東邦化学製LO−529) 1.1質量部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.3質量部 の混合物を3時間かけて滴下し、さらに2時間加熱攪拌
を続けて、シリコーン−アクリル複合ゴムラテックス
(A−1)を得た。得られたラテックスの質量平均粒子
径は0.1μmであった。
【0032】<シリコーン−アクリル複合ゴム粒子の肥
大化>下記成分を攪拌機および還流冷却管を備えた反応
容器に仕込み、40℃に加熱した。 シリコーン−アクリル複合ゴムラテックス粒子(A−1) 100質量部(固形分換算) 水酸化ナトリウム 0.17質量部 硫酸ナトリウム 0.33質量部 これに、酸基含有共重合体ラテックス(K−1)0.3
質量部(固形分換算)を加え、30分間加熱攪拌を続け
て肥大化シリコーン−アクリル複合ゴムラテックス(B
−1)を得た。得られた肥大化シリコーン−アクリル複
合ゴムラテックス(B−1)中の肥大化粒子の割合は全
ゴム粒子中の20質量%であり、肥大粒子の質量平均粒
子径は0.6μmであった。また肥大化シリコーン−ア
クリル複合ゴムラテックス(B−1)中の全粒子の質量
平均粒子径は0.28μmであった。
【0033】<肥大化シリコーンアクリル複合ゴムへの
グラフト重合>前記肥大化シリコーンアクリル複合ゴム
ラテックス(B−1)100質量部(固形分換算)を上
記の反応容器に入れたまま、引き続き、下記成分を添加
し、窒素パージした後に80℃に加熱した。 硫酸第一鉄 0.0004質量部 エチレンジアミン4酢酸・二ナトリウム塩 0.0012質量部 ロンガリット 0.14質量部 これに、下記の混合物を1時間かけて滴下し、さらに
1.5時間加熱攪拌を続けた後、得られたグラフト重合
体(G−1)を凝固回収、乾燥した。 メチルメタクリレート 57質量部 メチルアクリレート 3質量部 n−オクチルメルカプタン 0.06質量部 LO−529 0.67質量部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2質量部
【0034】<アクリル樹脂とのブレンド>下記成分を
押出し機により溶融混練して、実施例1の熱可塑性樹脂
組成物を得た。 グラフト重合体(G−1)粉末 24質量% メタクリル樹脂(アクリペットVH) 76質量%
【0035】(実施例2)グラフト重合体(G−1)粉
末を32質量%、メタクリル樹脂を68質量%とした以
外は、実施例1と同様に行って、実施例2の熱可塑性樹
脂組成物を得た。
【0036】(実施例3)グラフト重合体(G−1)粉
末を40質量%、メタクリル樹脂を60質量%とした以
外は、実施例1と同様に行って、実施例3の熱可塑性樹
脂組成物を得た。
【0037】(実施例4)肥大化処理の際に添加する水
酸化ナトリウムの量を1.1質量部に増加して肥大化シ
リコーン−アクリル複合ゴムラテックス(B−2)を得
た。このゴム成分を用いてグラフト重合を行い、グラフ
ト共重合体(G−2)を得た以外は、実施例1と同様に
行って、実施例4の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られ
た肥大化シリコーン−アクリル複合ゴムラテックス(B
−2)中の肥大粒子の質量平均粒子径は0.6μm、肥
大粒子の割合は全ゴム粒子中の30質量%であった。ラ
テックス中の全粒子の質量平均粒子径は0.34μmで
あった。
【0038】(比較例1)ゴムの製造において、シリコ
ーン−アクリル複合ゴム粒子(A−1)の肥大化処理を
行わずに、グラフト重合を行って、グラフト共重合体
(G−3)を得た以外は、実施例1と同様に行って、比
較例1の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0039】(比較例2)ゴムの製造において、ポリオ
ルガノシロキサンを用いずに、ブチルアクリレート8
0.8質量部、スチレン18.3質量部、アリルメタク
リレート0.9質量部の組成で重合を行った。このゴム
成分を用いてグラフト重合を行い、グラフト共重合体
(G−4)を得た以外は、実施例1と同様に行って、比
較例2の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0040】(比較例3)ゴムの製造において、ポリオ
ルガノシロキサンを用いずに、ブチルアクリレート8
0.8質量部、スチレン18.3質量部、アリルメタク
リレート0.9質量部の組成で重合を行い、さらに得ら
れたアクリル系ゴムの肥大化処理を行わず、ゴム成分を
得た。これを用いてグラフト重合を行って、グラフト共
重合体(G−5)を得た以外は、実施例1と同様に行っ
て、比較例3の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0041】(比較例4) <ジエン系グラフト共重合体(G−6)の合成>ジエン
系グラフト共重合体(G−6)に用いるジエン系共重合
体の重合の処方は下記の通りである。 ブタジエン 45質量部 アクリル酸ブチル 55質量部 オレイン酸カリウム 1.2質量部 M−ラウロイルザルコシネート 0.5質量部 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 0.2質量部 脱イオン水 150質量部 攪拌機を備えたオートクレーブに、乳化剤であるオレイ
ン酸カリウム水溶液、開始剤であるジイソプロピルベン
ゼンハイドロパーオキサイドを溶解したアクリル酸ブチ
ル溶液を加え、オートクレーブ内質量部を窒素置換し
た。次いで液化ブタジエンを加えて密封し、45℃に昇
温した。硫酸第一鉄0.003質量部、ピロリン酸ナト
リウム0.18質量部、エチレンジアミン四酢酸・二ナ
トリウム塩0.0003質量部、ロンガリット0.05
質量部、デキストロース0.2質量部含む酸化還元触媒
水溶液を加えた後、55℃で8時間させることによりジ
エン系重合体ラテックスを得た。得られたラテックスの
質量平均粒子径は0.07μm、固形分は36.5%で
あった。
【0042】前記ジエン系重合体ラテックスを100質
量部(固形分換算)と脱イオン水225質量部を、攪拌
機および還流冷却管を備えた反応容器に仕込み、40℃
に昇温した。次いで、酸基含有共重合体ラテックス(K
−1)1質量部(固形分換算)を加え、30分攪拌し
た。次いで、無水チオ硫酸ナトリウム0.34質量部を
加え15分攪拌し、さらにM−ラウロイルザルコシネー
ト0.5質量部を添加することにより肥大化処理を行っ
た。得られたラテックスの質量平均粒子径は0.32μ
mであった。次いで、反応容器を80℃に昇温し、硫酸
第一鉄0.0004質量部、エチレンジアミン四酢酸・
二ナトリウム塩0.0012質量部、ロンガリット0.
15質量部を含む酸化還元触媒水溶液を加え、引き続き メタクリル酸メチル 38.4質量部 アクリル酸メチル 1.6質量部 n−オクチルメルカプタン 0.06質量部 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2質量部 の混合物を1時間かけて滴下し、さらに90分加熱攪拌
を続け、グラフト重合を行った。得られたグラフト共重
合体を凝固回収、乾燥することによりジエン系グラフト
共重合体(G−6)を得た。このジエン系グラフト重合
体(G−6)を21質量%、メタクリル樹脂を79質量
%を配合して押出し、比較例4の熱可塑性樹脂組成物を
得た。
【0043】各実施例および比較例に使用したグラフト
共重合体の、ゴム成分組成、ゴム成分の肥大前後の質量
平均粒子径、全ゴム成分中の肥大化粒子の割合、グラフ
ト成分割合について表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例および比較例の熱可塑性樹脂は、ペ
レタイズした後に射出成形して、曲げ試験、耐衝撃性試
験、および全光線透過率測定用の試験片を得た。物性評
価については下記の規格に準じて行った。機械的物性お
よび光学物性の評価結果を表2に、耐候性評価結果を表
3に示す。 <機械的物性> アイゾット(Izod)衝撃強度:ASTM D−25
6 曲げ弾性率:ASTM D−790 <光学物性> 全光線透過率、曇価:ASTM D1003 <耐候性試験>サンシャインウエザーメーターにて60
℃、雨ありの条件で2000時間暴露試験を行った後、
Izod衝撃強度、全光線透過率、曇価、黄色度の測定
を実施し、耐候性試験前の値と比較した。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】表2において、実施例1〜4はアイゾット
衝撃強度が高く、耐衝撃性に優れていた。また、全光線
透過率が高く、曇価は低かった。すなわち、高い透明性
を維持していた。一方、比較例1〜4は透明性は良好で
あるものの、アイゾット衝撃強度が低く、耐衝撃性に劣
っていた。表3において、実施例1は比較例4に比べ
て、耐候試験2000時間後のアイゾット衝撃強度、全
光線透過率、曇価、黄色度の全ての評価において良好な
結果を示した。
【0049】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体は、シリコー
ン系複合ゴム粒子(A)が肥大化された肥大化シリコー
ン系複合ゴム粒子(B)10〜90質量部に対し、芳香
族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボ
ン酸および不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少な
くとも1種のビニル重合性単量体(C)90〜10質量
部がグラフト重合されてなるものであるため、熱安定性
や耐熱性に優れ、さらに透明性を有する熱可塑性樹脂に
配合した際にも、透明性を低下させずに耐衝撃性を改良
できる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記グ
ラフト共重合体1〜80質量%と、(メタ)アクリル樹
脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共
重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれ
る少なくとも1種の熱可塑性樹脂組成物99〜20質量
%とを含むので、熱安定性、耐候性、透明性および耐衝
撃性が優れている。
フロントページの続き (72)発明者 藤本 雅治 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 AA01X BB00X BC02X BC06X BD03X BG00X BG10X BN21W CF00X CG00X GL00 GN00 GP00 4J026 AB44 AC15 AC32 BA05 BA25 BA27 BA31 BB03 CA08 CA10 DA04 DB04 DB16 DB26 FA03 GA01 GA06 GA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコーン系複合ゴム粒子(A)が肥大
    化された肥大化シリコーン系複合ゴム粒子(B)10〜
    90質量部に対し、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニ
    ル化合物、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エ
    ステルから選ばれる少なくとも1種のビニル重合性単量
    体(C)90〜10質量部がグラフト重合されてなるグ
    ラフト共重合体。
  2. 【請求項2】 前記シリコーン系複合ゴム粒子(A)
    は、ポリオルガノシロキサン粒子(a1)0.05〜2
    5質量部の存在下で、芳香族ビニル化合物、不飽和カル
    ボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよびブタジエンか
    ら選ばれた少なくとも1種のビニル重合性単量体(a
    2)99.95〜75質量部が重合したものであること
    を特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体。
  3. 【請求項3】 前記ポリオルガノシロキサン粒子(a
    1)は、ビニル重合性官能基を、シロキサン単位を基準
    として0.1モル%以上含有することを特徴とする請求
    項2に記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】 シリコーン系複合ゴム粒子(A)を肥大
    化した肥大化シリコーン系複合ゴム粒子(B)10〜9
    0質量部に対し、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル
    化合物、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エス
    テルから選ばれる少なくとも1種のビニル重合性単量体
    (C)90〜10質量部をグラフト重合するグラフト共
    重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記シリコーン系複合ゴム粒子(A)
    は、ポリオルガノシロキサン粒子(a1)0.05〜2
    5質量部の存在下で、芳香族ビニル化合物、不飽和カル
    ボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよびブタジエンか
    ら選ばれた少なくとも1種のビニル重合性単量体(a
    2)99.95〜75質量部を重合したものであること
    を特徴とする請求項4に記載のグラフト共重合体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記ポリオルガノシロキサン粒子(a
    1)は、質量平均粒子径0.005〜0.1μmである
    ことを特徴とする請求項5に記載のグラフト共重合体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記シリコーン系複合ゴム粒子(A)
    は、質量平均粒子径0.03〜0.3μmであることを
    特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のグラフト共
    重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 シリコーン系複合ゴム粒子(A)を含む
    ラテックスにアルカリ性化合物を添加してpHを7以上
    にし、 次いで、このシリコーン系複合ゴム粒子(A)100質
    量部に対して、不飽和酸単量体3〜40質量%と不飽和
    カルボン酸エステル単量体97〜35質量%とからなる
    単量体混合物を乳化重合して調製した酸基含有共重合体
    ラテックス0.1〜15質量部(固形分換算)を添加し
    て、シリコーン系複合ゴム粒子(A)を肥大化し、肥大
    化シリコーン系複合ゴム粒子(B)を製造することを特
    徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のグラフト共重
    合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜3のいずれかに記載のグラフ
    ト共重合体1〜80質量%と、(メタ)アクリル樹脂、
    ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合
    体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
    ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれる少
    なくとも1種の熱可塑性樹脂99〜20質量%を含むこ
    とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247996A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Techno Polymer Co Ltd 複合ゴム粒子、共重合樹脂及び熱可塑性樹脂組成物
JP2007162016A (ja) * 2005-11-21 2007-06-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd 共重合体の製造方法、熱可塑性樹脂組成物及び成形体
JP2015227399A (ja) * 2014-05-30 2015-12-17 ユーエムジー・エービーエス株式会社 グラフト共重合体、および熱可塑性樹脂組成物

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