以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1には、本実施形態の液滴吐出装置としてのインクジェット記録装置12が示されている。インクジェット記録装置12の筐体14内の下部には給紙トレイ16が備えられており、給紙トレイ16内に積層された用紙Pをピックアップロール18で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された用紙Pは、所定の搬送経路22を構成する複数の搬送ローラ対20で搬送される。
給紙トレイ16の上方には、回転体、搬送部材としての無端状の搬送ベルト28が、駆動ロール24及び従動ロール26、27、29に張架されている。駆動ロール24と従動ロール26とが、略水平に配設され、その下方で、従動ロール27、29が略水平に配設されている。
また、搬送ベルト28の上方には記録ヘッドアレイ30が配置されており、駆動ロール24と従動ロール26との間の搬送ベルト28の平坦部分28Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路22を搬送された用紙Pは、搬送ベルト28で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ30に対向した状態で、記録ヘッドアレイ30から画像情報に応じたインク滴が付着される。
記録ヘッドアレイ30は、本実施形態では、有効な記録領域が用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状とされ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、サイアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの液滴吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)32が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっている。
各記録ヘッド32は、ヘッド駆動回路(図示省略)によって駆動される。ヘッド駆動回路は、たとえば、画像情報に応じてインク滴の吐出タイミングや使用するインク吐出口(ノズル)を決め、駆動信号を記録ヘッド32に送る構成である。
また、記録ヘッドアレイ30は、搬送方向と直交する方向に不動とされていてもよいが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像記録で、より解像度の高い画像を記録したり、記録ヘッド32の不具合を記録結果に反映させないようにしたりできる。
記録ヘッドアレイ30の両側には、それぞれの記録ヘッド32に対応した4つのメンテナンスユニット34が配置されている。図2に示すように、記録ヘッド32に対してメンテナンスを行う場合には、記録ヘッドアレイ30が上方へ移動され、搬送ベルト28との間に構成された間隙にメンテナンスユニット34が移動して入り込む。そして、ノズル面に対向した状態で、所定のメンテナンス動作(吸引、ワイピング、キャッピング等)を行う。
また、記録ヘッドアレイ30の上方には、各色のインクを貯留するインクタンク35が配置されている。各インクタンク35には、各記録ヘッド32が接続されている。
図3に示すように、記録ヘッドアレイ30の上流側には、高圧電源38が接続された、帯電手段としての帯電ロール36が配置されている。帯電ロール36は、従動ロール26との間で搬送ベルト28及び用紙Pを挟みつつ従動し、用紙Pを搬送ベルト28に押圧する。この際、接地された従動ロール26との間に所定の電位差が生じるため、用紙Pに電荷を与えて用紙Pを搬送ベルト28に静電吸着させることができる。
記録ヘッドアレイ30の下流側には、剥離爪40が配置されており、用紙Pを搬送ベルト28から剥離させる。剥離された用紙Pは、剥離爪40の下流側で排出経路44を構成する複数の排出ローラ対42で搬送され、筐体14の上部に設けられた排紙トレイ46に排出される。
また、剥離爪40の下方には、ベルトクリーニングユニット48が配置されている。このベルトクリーニングユニット48は、搬送ベルト28の駆動ロール24に巻き掛けられた部分に当接し、搬送ベルト28に付着したインク等を掻き取る、清掃部材としてのクリーニングブレード49と、クリーニングブレード49によって搬送ベルト28から掻き取られたインク等を回収する回収ボックス51と、クリーニングブレード49を、位置調整可能に前記回収ボックス51に支持するブレード調整機構80と、備えている。なお、回収ボックス51の底部には、吸収体53が敷き詰められており、クリーニングブレード49から滴下する液体を吸収する。
また、オイル塗布ユニット64とバックアッププレート66とが、従動ロール26と従動ロール27との間で搬送ベルト28を間に置いて対向している。オイル塗布ユニット64は、搬送ベルト28の外周面に対向し、バックアッププレート66は、搬送ベルト28の内周面に当接している。
オイル塗布ユニット64は、ケース68と、ケース68に回転可能に支持された、塗布部材としてのオイル塗布ロール70と、オイル用塗布量調整ブレード72と、オイル用塗布量調整ブレード72を、位置調整可能にケース68に支持するブレード調整機構82と、を備えている。オイル塗布ロール70は、搬送ベルト28を間に置いて従動ロール27に圧接されており、搬送ベルト28に従動して回転する。また、オイル塗布ロール70は、ポリエチレンやウレタン等の多孔質体で形成され、シリコーンオイルを含浸しており、搬送ベルト28にシリコーンオイルを塗布する。これに対して、記録ヘッド32から吐出されるインクは、水性インクとなっている。このため、用紙ジャム時の不必要なインク吐出、又は搬送ベルト28上へ吐出されるダミージェット等によって搬送ベルト28にインクが付着した場合、搬送ベルト28上のシリコーンオイルの膜の撥水効果によりインクが凝集する。従って、インクが搬送ベルト28に付着する力の増加を抑制でき、クリーニングブレード49によって搬送ベルト28をクリーニングする際、インクが搬送ベルト28から容易に剥離される。
ここで、ダミージェットは、記録ヘッド32内のインクの増粘を防止するために、数十秒に1回等の短い周期で行われるので、本実施形態のように、常時、搬送ベルト28上にシリコーンオイルの膜を形成しておくことは効果的である。
なお、オイル塗布ロール70は、駆動ロールとしても良い。この場合、オイル塗布ロール70が搬送ベルト28に対して滑ることを防止できる。
また、オイル用塗布量調整ブレード72は、オイル塗布ロール70より搬送ベルト28の回転方向下流側で搬送ベルト28に当接しており、搬送ベルト28に塗布されたシリコーンオイルの余剰分を掻き落し、シリコーンオイルの膜厚を所定の厚みにする。なお、オイル用塗布量調整ブレード72は、フッ素ゴム、NBR等のゴム、SUS等の金属の薄板、ポリウレタン、PET等の樹脂フィルム等を用いる。
また、ケース68の底部には、スポンジ等の吸収部材74が敷き詰められており、この吸収部材74が、オイル用塗布量調整ブレード72によって搬送ベルト28から掻き取られたシリコーンオイルを吸収する。
また、搬送ベルト28は、PET、PI、PA、PC等の樹脂、又はCR、NBR、HNBR、ウレタンゴム等のゴム材料で形成し、表面にコーティングを施したもの等を使用する。また、クリーニングブレード49は、フッ素ゴム、NBR、HNBR等のゴム材料で形成したもの、SUS等の金属の薄板、ポリウレタン、PET等の樹脂で形成したフィルム等を使用する。
また、オイル塗布ロール70によって搬送ベルト28に塗布する液体(以下、塗布液という)としては、上述したようにシリコーンオイルを使用し、インクは水性インクを使用する。ここで、塗布液は、インクをはじく液体が適しており、水性インクに対しては、シリコーンオイルの他に、オレイン酸、リノール酸等の高級脂肪酸、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、マレイン酸ジブチル等の可塑剤、n−デカノール、ジメチルブタノール等の非水溶性のアルコール類、フッ素オイル、鉱物オイル、植物オイル等の撥水性を有する液体が使用可能である。また、油性インクに対しては、水等の撥油性が高い液体が使用可能である。
また、塗布液の搬送ベルト28への塗布を安定させるためには、塗布液の動粘度を10〜104mm2/sの範囲にすることが望ましく、50〜102mm2/sの範囲にすることがより望ましい。
また、塗布液の塗布厚が厚すぎると、用紙Pにオイルが浸透して用紙Pがインクをはじく等、画質に悪影響を及ぼす可能性があり、逆に、塗布液の塗布厚が薄すぎると、クリーニングブレード49によるインクのクリーニングが良好に行われなくなるので、塗布液の塗布厚を適当な範囲に設定することが必要である。塗布液の塗布厚の適当な範囲は、1nm〜20μmである。
また、塗布液は常温にて不揮発性である必要がある。具体的には蒸気圧が25℃で13.33Pa以下である。また、塗布液は、インクと相溶しない性質である必要がある。具体的には、インクに対する溶解度が常温(25℃)で0.1wt%以下である。
また、塗布液は、搬送ベルト28上で濡れ広がる必要があるので、下記(A)式の関係が必要である。但し、図4に示すように、塗布液Tの表面張力をγ0、搬送ベルト28の臨界表面張力γbとする。なお、臨界表面張力とは、種々の液体の表面張力と固体表面の接触角θとの関係において、cosθを1に補正したとき(すなわち液体の固体表面に対する接触角が0°となったとき)の表面張力をいう。一般に固体表面は、その表面が有する臨界表面張力よりも小さい表面張力を持つ液体によく濡れる。
γ0<γb…(A)
また、塗布液Tに撥水性を持たせるためには、下記(B)式の関係が必要となる。但し、インクIの表面張力をγiとする。
γ0<γi…(B)
これによって、インクIは塗布液Tの膜上で濡れ広がることなく、凝集する。なお、搬送ベルト28を臨界表面張力γbが43[mN/m]程度のPETのベルト、塗布液を表面張力γ0が20[mN/m]程度のシリコーンオイル、インクを表面張力γiが30[mN/m]程度の水性インクとしてクリーニング性能を評価する実験を行った結果、搬送ベルト28上にインクの残渣は存在せず、クリーニング性は良好であった。
ここで、クリーニングブレード49の搬送ベルト28との接触状態、及びオイル塗布ユニット64による搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布状態の少なくとも一方を可変にする、清掃状態可変手段としての清掃状態可変部15(図3参照)について説明する。
図3に示すように、接触状態可変部15は、クリーニングブレード49の位置調整を行うブレード調整機構80と、塗布量調整ブレード72の位置調整を行うブレード調整機構82と、インクジェット記録装置12全体の制御を司る制御部11とを備えている。
図5(A)、(B)に示すように、ブレード調整機構80は、クリーニングブレード49の長手方向両端部に設けられており、移動体84と、支持部材86と、カム88、一対の引張コイルバネ90と、を備えている。
移動体84は、クリーニングブレード49の長手方向の断面が台形状の部材であり、互いに平行である面84A、84Bと、面84A、84Bと直交する面84Cと、面84Aと鋭角に交差し、面84Bと鈍角に交差する面84Dとを備えており、面84Aと面84Dとで鋭角角部84Eが形成されている。
また、支持部材86は、クリーニングブレード49の長手方向の断面がコ字状の部材であり、互いに平行である側壁86A、86Bと、側壁86A、86Bと直交する底壁86Cとを備えている。また、支持部材86は、搬送ベルト28側に開口し、側壁86Aが側壁86Bよりベルト回転方向下流側に位置するようにケース51に支持されている。
ここで、移動体84は、面84Aが側壁86Aに、面84Bが側壁86Bに当接し、面84Cが底壁86Cに対向するように側壁86Aと側壁86Bとの間に配設されており、搬送ベルト28側又は反搬送ベルト28側へ移動可能となっている。また、面84Dの鋭角角部84E側にはクリーニングブレード49の幅方向一端側が固定されており、クリーニングブレード49の幅方向他端側が鋭角角部84Eから搬送ベルト28側へ突出している。
また、カム88は、回転軸88Aが偏心した円板状の偏心カムである。カム88の回転軸88Aは、面84Cと底壁86Cとの間においてクリーニングブレード49の長手方向に沿って延在しており、カム88は、面84Cと底壁86Cとの間において回転可能となっている。また、一対の引張コイルバネ90は、カム88の両側において、一端部を面84Cに他端部を底壁86Cとに取付けられており、移動体84を底壁86C側へ付勢してカム88の円周面に圧接させている。
このため、カム88が回転すると、移動体84が、引張コイルバネ90の付勢力に抗して搬送ベルト28側へ移動し、また、引張コイルバネ90の付勢力を受けて反搬送ベルト28側へ移動する。
ここで、クリーニングブレード49の幅方向他端側が鋭角角部84Eから搬送ベルト28側へ突出しており、搬送ベルト28に接触可能となっている。このため、図5(A)に示すように、カム88の回転による移動体84の搬送ベルト28側への移動によって、クリーニングブレード49が搬送ベルト28側へ移動され、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量が増加され、また、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への接触圧が増加される。これによって、クリーニングブレード49のインクを掻き取る力量が増加する。また、図5(B)に示すように、カム88の回転による移動体84の反搬送ベルト28側への移動によって、クリーニングブレード49が反搬送ベルト28側へ移動され、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量が減少され、また、クリーニングブレード49の搬送ベルト28との接触圧が減少される。これによって、クリーニングブレード49と搬送ベルト28との摩擦力が減少し、クリーニングブレード49の磨耗が低減する。
また、カム88の回転軸88Aに図示しないギヤを介して回転力を付与するステッピングモータ89が設けられている。このステッピングモータ89は、インクジェット記録装置12全体の制御を司る制御部11(図3参照)によって制御されており、ステッピングモータ89の駆動量、駆動方向に応じてクリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量が増減される。
なお、クリーニングブレード49と搬送ベルト28との角度は50°〜70°に設定されている。
次に、塗布量調整ブレード72の位置調整を行うブレード調整機構82について説明する。
図6(A)、(B)に示すように、ブレード調整機構82は、移動体108と、支持部材86と、カム110と、一対の引張コイルバネ90と、を備えている。移動体108は、ブレード調整機構80が備える移動体84の面84Dの角度を変えた形状となっており、移動体84と同様に支持部材86に支持されている。また、カム110は、ブレード調整機構80が備えるカム88の直径、回転軸の位置を変えた円板状の偏心カムであり、カム88と同様に、一対の引張コイルバネ90の間に配設されており、このカム110の円周面には、移動体108が引張コイルバネ90の付勢力によって圧接されている。
このため、カム110が回転すると、移動体108が、引張コイルバネ90の付勢力に抗して搬送ベルト28側へ移動し、また、引張コイルバネ90の付勢力によって反搬送ベルト28側へ移動する。
図6(A)に示すように、カム110の回転による移動体108の搬送ベルト28側への移動によって、塗布量調整ブレード72が搬送ベルト28側へ移動され、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が増加される。また、図6(B)に示すように、カム110の回転による移動体108の反搬送ベルト28側への移動によって、塗布量調整ブレード72が反搬送ベルト28側へ移動され、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が減少される。
ここで、塗布量調整ブレード72の諸条件によるが、塗布量調整ブレード72と搬送ベルト28との角度を10°〜30°程度の浅い角度に設定した場合に、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量を変化させることによって、塗布量調整ブレード72が搬送ベルト28からシリコーンオイルを掻き取る量を管理できるようになることが、実験により確認されている。
塗布量調整ブレード72と搬送ベルト28との角度を30°よりも深い角度に設定した場合には、塗布量調整ブレード72によって搬送ベルト28から掻き取られるシリコーンオイルの量が過多になり、ブレードの搬送ベルト28への食い込み量を変化させても、塗布量調整ブレード72が搬送ベルト28から掻き取るシリコーンオイルの量に殆ど差が出なくなる。一方、塗布量調整ブレード72と搬送ベルト28との角度を10°よりも浅い角度に設定した場合には、塗布量調整ブレード72によってシリコーンオイルが搬送ベルト28から殆ど掻き取られなくなる。このため、本実施形態では、塗布量調整ブレード72と搬送ベルト28との角度を10°〜30°程度に設定している。
また、ここで、塗布量調整ブレード72と搬送ベルト28との角度を10°〜30°程度に設定した場合には、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が増加するにつれて、塗布量調整ブレード72による搬送ベルト28からのシリコーンオイルの掻き取り量が減少し、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が減少するにつれて、塗布量調整ブレード72による搬送ベルト28からのシリコーンオイルの掻き取り量が増加することが実験により確認されている。
これは、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が増加するにつれて、塗布量調整ブレード72の撓みが大きくなり、塗布量調整ブレード72のエッジと搬送ベルト28との角度が減少することによって、塗布量調整ブレード72が搬送ベルト28からシリコーンオイルを掻き取る力量が減少し、また、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が減少するにつれて、塗布量調整ブレード72の撓みが小さくなり、塗布量調整ブレード72のエッジと搬送ベルト28との角度が増加することによって、塗布量調整ブレード72が搬送ベルト28からシリコーンオイルを掻き取る力量が増加するためであると考えられる。
また、カム110の回転軸110Aに図示しないギヤを介して回転力を付与するステッピングモータ111が設けられている。このステッピングモータ111は、制御部11(図3参照)によって制御されており、ステッピングモータ111の駆動量、駆動方向に応じて塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が増減される。
ここで、図3に示すように、汚れレベル検出手段、表面電位検出手段としての表面電位センサ13が、記録ヘッド32のベルト回転方向上流側且つ帯電ロール36のベルト回転方向下流側において、搬送ベルト28の外周面に対向して配設されており、搬送ベルト28の外周面の表面電位が表面電位センサ13によって検出され、検出信号が制御部11へ送信される。制御部11は、搬送ベルト28の外周面の表面電位の閾値V0を記憶しており、印刷指令又はクリーニングモードの実行指令を外部機器等から受信すると、表面電位センサ13による検出値が閾値V0以上であるか否かを判定し、判定結果に応じてステッピングモータ89、111を制御する。これによって、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が調整される。
ここで、搬送ベルト28外周面にインクによる汚れが経時的に蓄積されていくと、搬送ベルト28の体積抵抗率が徐々に低下し、搬送ベルト28外周面の表面電位Vが初期状態の所定値Vlow(例えば、図7のグラフに示すように1000V)から徐々に上昇する。即ち、搬送ベルト28外周面の表面電位Vと、搬送ベルト28外周面のインクによる汚れのレベルとは相関関係を有する。そこで、本実施形態では、搬送ベルト28外周面の表面電位Vを検出することによって搬送ベルト28外周面のインクによる汚れのレベルを検出している。
なお、上記閾値V0は、初期状態における搬送ベルト28外周面の表面電位Vlowと、インクによる汚れのレベルが許容範囲外である異常状態における搬送ベルト28外周面の表面電位Vhighとの間(例えば、図3のグラフに示すように1300V)に設定されている。
以下、クリーニングブレード49、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量の調整方法を図8のフローチャートを参照して説明する。
初めに、制御部11が印刷指令を受信した時の調整方法について説明する。
まず、制御部11が印刷指令を受信すると処理ルーチンが開始されてステップ1へ移行する。ステップ1では、制御部11から駆動ロール24を駆動するモータ(図示省略)へ駆動信号が送信され、搬送ベルト28が駆動される。次に、ステップ2では、表面電位センサ13による搬送ベルト28外周面の表面電位のセンシングが開始され、ステップ3へ移行する。
ステップ3では、表面電位センサ13による搬送ベルト28外周面の表面電位のセンシングが開始されてから、搬送ベルト28が1周したか否か、即ち、搬送ベルト28の1周分の表面電位のデータが取得されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ4へ移行する。
ステップ4では、制御部11から駆動ロール24を駆動するモータへの駆動信号の送信が停止され、搬送ベルト28の駆動が停止される。次に、ステップ5では、表面電位センサ13によって検出された搬送ベルト28の1周分の表面電位の最大値Vmaxが閾値V0以上であるか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ6へ移行し、判定が否定されると7へ移行する。
ステップ6では、制御部11からステッピングモータ89、111の少なくとも一方へ駆動信号が送信され、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量の初期状態からの増加、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量の初期状態からの減少の少なくとも一方の動作が実行される。次に、ステップ7では、制御部11から各部へ駆動信号が送信されて印刷動作が開始され、処理ルーチンを終了する。
次に、制御部11がクリーニングモードの実行指令を受信した時の調整方法について図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部11がクリーニングモードの実行指令を受信すると処理ルーチンが開始されてステップ11へ移行する。ステップ11では、制御部11から駆動ロール24を駆動するモータ(図示省略)へ駆動信号が送信され、搬送ベルト28が駆動される。次に、ステップ12では、表面電位センサ13による搬送ベルト28外周面の表面電位のセンシングが開始され、ステップ3へ移行する。
ステップ13では、表面電位センサ13による搬送ベルト28外周面の表面電位のセンシングが開始されてから、搬送ベルト28が1周したか否か、即ち、搬送ベルト28の1周分の表面電位のデータが取得されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ14へ移行する。
ステップ14では、制御部11から駆動ロール24を駆動するモータへの駆動信号の送信が停止され、搬送ベルト28の駆動が停止される。次に、ステップ15では、表面電位センサ13によって検出された搬送ベルト28の1周分の表面電位の最大値Vmaxが閾値V0以上であるか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ16へ移行し、判定が否定されると19へ移行する。
ステップ19では、制御部11から各部へ駆動信号が送信されてクリーニング動作(例えば、クリーニングブレード49、オイル塗布ロール70、塗布量調整ブレード72を搬送ベルト28に当接させた状態で、搬送ベルト28を1分間回転させる等)が実行される。
一方、ステップ16では、制御部11からステッピングモータ89、111の少なくとも一方へ駆動信号が送信され、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量の初期設定量からの増加、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量の初期設定量からの減少の少なくとも一方の動作が実行される。次に、ステップ17では、制御部11から各部へ駆動信号が送信されてクリーニング動作が開始され、ステップ18へ移行する。
ステップ18では、制御部11からステッピングモータ89、111の少なくとも一方へ駆動信号が送信され、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量の初期設定量への減少、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量の初期設定量への増加の少なくとも一方の動作が実行される。
そして、処理ルーチンが終了する。
即ち、本実施形態では、搬送ベルト28外周面のインクによる汚れのレベルが許容範囲を超えそうになる前に、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への接触圧を初期設定量から増加させたり、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量を初期設定量から増加させたりし、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への接触圧、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量のそれぞれの初期設定量は、低目に設定しておく。
これによって、クリーニングブレード49の磨耗を低減して耐久性を向上させ、シリコーンオイルの消費量を減少させると共に、搬送ベルト28の汚れの蓄積を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態では、表面電位センサ13によって搬送ベルト28外周面の表面電位を検出することによって、搬送ベルト28外周面の汚れのレベルを検出したが、図10に示すように、帯電ロール36へ電流を供給する回路37に電流計39を設け、帯電ロール36へ供給される電流を電流計39により検出することによって、搬送ベルト28外周面の汚れのレベルを検出しても良い。
これは、搬送ベルト28外周面の汚れが蓄積していくと、搬送ベルト28の体積抵抗率が徐々に低下し、帯電ロール36へ供給される電流値が徐々に上昇するように、帯電ロール36へ供給される電流値と搬送ベルト28外周面の汚れのレベルとが相対関係を有することによる。
次に、ブレード調整機構80の変形例であるブレード調整機構92について図11(A)、(B)を参照して説明する。なお、ブレード調整機構80と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図11(A)、(B)に示すように、ブレード調整機構92は、移動体84と、支持部材86と、カム88と、一対の引張コイルバネ90と、回転調整機構94と、を備えている。移動体84、支持部材86、カム88、一対の引張コイルバネ90とは、ブレード調整機構80と同様に組合されている。
回転調整機構94は、アーム部材96と、支持部材98と、カム102と、圧縮コイルバネ106と、を備えている。アーム部材96は、長手方向一端部が幅方向一側へ屈曲された板材であり、厚み方向がクリーニングブレード49の長手方向と平行になるように、支持部材86の底壁86C外部に長手方向一端部を取付けられている。また、アーム部材96の長手方向一端側には厚み方向に延在する回転軸96Aが設けられている。
また、支持部材98は、支持部材86の反搬送ベルト28側に配設されたフレームであり、クリーニングブレード49の長手方向と直交する支持壁98Aを備えている。この支持壁98Aには、回転軸96Aが直角且つ回転可能に取付けられており、アーム部材96が回転軸96A回りに回転可能となっている。また、支持部材98には、回転軸96Aのベルト回転方向上流側において支持壁98Aと直交する取付壁98Bが形成されている。
また、カム102は、カム88と同様、回転軸102Aが偏心した円板状の偏心カムである。カム102の回転軸102Aは、アーム部材96のベルト回転方向下流側においてクリーニングブレード49の長手方向へ延在し、支持壁98Aに回転可能に取付けられている。
また、圧縮コイルバネ106は、一端部を取付壁98Bに、他端部をアーム部材96の長手方向他端側とに取付けられており、アーム部材96の長手方向一端側を反取付壁98B側へ付勢してカム102の円周面に圧接させている。
このため、カム102が回転すると、アーム部材96が、圧縮コイルバネ106の付勢力に抗して図中反時計回り方向へ回転し、また、圧縮コイルバネ106の付勢力によって図中時計回り方向へ回転する。これによって、図11(A)に示すように、カム102の回転によるアーム部材96の図中反時計回り方向への回転によって、クリーニングブレード49がベルト回転方向下流側へ移動され、クリーニングブレード49と搬送べルト28との角度が減少される。これによって、クリーニングブレード49と搬送ベルト28との摩擦力が減少する。また、図11(B)に示すように、カム102の回転によるアーム部材96の図中時計回り方向への回転によって、クリーニングブレード49がベルト回転方向上流側へ移動され、クリーニングブレード49と搬送ベルト28との角度が増加される。これによって、クリーニングブレード49がインクを掻き取る力量が増加する。
また、カム102の回転軸102Aに図示しないギヤを介して回転力を付与するステッピングモータ103が設けられている。このステッピングモータ103は、上述の制御部11によって制御されており、ステッピングモータ103の駆動量、駆動方向に応じてクリーニングブレード49と搬送ベルト28との角度が増減される。これによって、クリーニングブレード49がインクを掻き取る力量が増減する。
なお、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量の調整を行った後、回転調整機構94によるクリーニングブレード49の角度調整を行った場合には、角度調整後、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量が変化してしまうので、クリーニングブレード49の角度調整を行った後、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量の調整を行うことが望ましい。
次に、オイル塗布ユニット64の第1の変形例のオイル塗布ユニット200について図12を参照して説明する。なお、オイル塗布ニット64と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図12に示すように、オイル塗布ユニット200は、オイル塗布ロール202と、オイル供給部204と、ロール調整機構206とを備えている。オイル塗布ロール202は、回転軸202Aの周面に多孔質体によってロール部202Bが形成された構成となっている。
また、オイル供給部204は、シリコーンオイルを収容するケース206と、ケース206内のシリコーンオイルに浸けられると共にオイル塗布ロール202に接触されたフェルト208とを備えており、ケース206内のシリコーンオイルがフェルト208を介してオイル塗布ロール202に常時補充される。
また、ロール調整機構206は、オイル塗布ロール202の軸方向両端部に設けられており、軸受210と、支持部材212と、カム214、圧縮コイルバネ216と、可動板218とを備えている。
軸受210は、オイル塗布ロール202の軸方向の断面が矩形状の部材であり、回転軸202Aの軸方向端部に回転自在に取り付けられている。また、支持部材212は、オイル塗布ロール202の軸方向の断面がコ字状の部材であり、互いに平行である側壁212A、212Bと、側壁212A、212Bと直交する底壁212Cとを備えている。また、支持部材212は、搬送ベルト28側に開口するように配設されており、軸受210を搬送ベルト28側又は反搬送ベルト28側へ移動可能に支持している。
また、カム214は、回転軸214Aが偏心した円板状の偏心カムである。カム214の回転軸214Aは、軸受210と底壁212Cとの間においてオイル塗布ロール202の長手方向に沿って延在しており、カム214は、軸受210と底壁212Cとの間において回転可能となっている。また、可動板218は、軸受210と底壁212Cとの間において搬送ベルト28側又は反搬送ベルト28側へ移動可能に、支持部材212に支持されている。
また、圧縮コイルバネ216は、一端部を軸受210に他端部を可動板218に取付けられており、軸受210を搬送ベルト28側へ付勢して搬送ベルト28外周面に圧接させ、可動板218をカム214側へ付勢して可動板218に圧接させている。
このため、カム214が回転すると、可動板218が圧縮コイルバネ216の付勢力に抗して搬送ベルト28側へ移動することで、軸受210が搬送ベルト28側へ移動し、また、可動板218が圧縮コイルバネ216の付勢力によって反搬送ベルト28側へ移動することで、軸受210が反搬送ベルト28側へ移動する。
このため、カム214の回転による軸受210の搬送ベルト28側への移動によって、オイル塗布ロール202が搬送ベルト28側へ移動され、ロール部202Bの搬送ベルト28への食い込み量が増加される。これによって、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が増加する。また、カム214の回転による軸受210の反搬送ベルト28側への移動によって、オイル塗布ロール202が反搬送ベルト28側へ移動され、ロール部202Bの搬送ベルト28への食い込み量が減少される。これによって、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が減少する。
また、オイル塗布ユニット200のカム214の回転軸214Aに図示しないギヤを介して回転力を付与するステッピングモータ228が設けられている。このステッピングモータ228は制御部111によって制御されており、ステッピングモータ228の駆動量、駆動方向に応じてオイル塗布ロール202の搬送ベルト28への食い込み量が増減される。
また、オイル塗布ロール202の軸方向に沿って延在し、オイル塗布ロール202の周面と対向するヒータ224と、搬送ベルト28の周囲(例えば、図示するようにオイル塗布ユニット200の近傍)の環境の温度及び湿度を検出する温湿度センサ226とが設けられており、温湿度センサ226から制御部111へ検出信号が送信される。
制御部111は、搬送ベルト28の周囲の環境の温度の閾値Tlow、Thigh(>Tlow)と、搬送ベルト28の周囲の環境の湿度の閾値Wlowを記憶しており、印刷指令を外部機器から受信すると、温湿度センサ226による温度の検出値Tが閾値Tlow未満であるか、閾値Tlow以上閾値Thigh未満であるか、閾値Thigh以上であるか否かを判定し、また、温湿度センサ226による湿度の検出値Wが閾値Wlow以上であるか否かを判定し、判定結果に応じてステッピングモータ89、228、ヒータ224を制御する。
次に、制御部111が印刷指令を受信した時のクリーニングブレード49、オイル塗布ロール202、ヒータ224の調整方法について図13のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部111が印刷指令を受信すると処理ルーチンが開始されてステップ101へ移行する。ステップ101では、温湿度センサ226による搬送ベルト28の周囲の温度T、湿度Wのセンシングが開始され、ステップ102へ移行する。
ステップ102では、温湿度センサ226によって検出された温度Tが閾値Tlow未満であるか、閾値Tlow以上閾値Thigh未満であるか、閾値Thigh以上であるか否かが判定され、閾値Tlow未満であればステップ104へ移行し、閾値Tlow以上閾値Thigh未満であればステップ103へ移行し、閾値Thigh以上であればステップ105へ移行する。
ステップ103では、温湿度センサ226によって検出された湿度Wが閾値Wlow以上であるか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ106へ移行し、判定が否定されるとステップ105へ移行する。
ステップ104では、制御部111からヒータ224へ駆動信号が送信されてヒータ224がオンになり、搬送ベルト28の周囲の環境の温度が上昇する。ここで、シリコーンオイルは、低温環境になると高粘度化し、搬送ベルト28に塗布され難くなる。しかし、本ステップにおいて、ヒータ224が搬送ベルト28の周囲の環境の温度を上昇させるので、シリコーンオイルの高粘度化が抑制され、シリコーンオイルの搬送ベルト28への塗布性の低下が抑制される。
ステップ105では、制御部111からステッピングモータ89及びステッピングモータ228の少なくとも一方へ駆動信号が送信され、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量の初期状態からの増加、及び、オイル塗布ロール202の搬送ベルト28への食い込み量の初期状態からの増加の少なくとも一方の動作が実行される。次に、ステップ106では、制御部111から各部へ駆動信号が送信されて印刷動作が開始され、処理ルーチンを終了する。
即ち、インクは、高温環境及び低湿環境になると乾燥し易くなり、搬送ベルト28への付着力を増加させるので、高温環境及び低湿環境になると、オイル塗布ロール202の搬送ベルト28への食い込み量を初期状態から増加させて搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量を増加させることによって、インクの搬送ベルト28への付着力の増加を抑制し、また、クリーニングブレード49の搬送ベルト28への食い込み量を初期状態から増加させてクリーニングブレード49が搬送ベルト28からインクを掻き取る力量を増加させる。
一方、インクは、低温、恒温環境及び恒湿、高湿環境になると乾燥し難くなり、搬送ベルト28への付着力を低下させるので、クリーニングブレード49が搬送ベルト28からインクを掻き取る力量、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量のそれぞれの初期設定量は、低目に設定しておく。
これによって、搬送ベルト28の汚れの蓄積を抑制すると共に、クリーニングブレード49の耐久性を低下し、シリコーンオイルの消費量を低減することによりメンテナンスコストを抑制することが可能となる。
次に、オイル塗布ユニット64の第2の変形例のオイル塗布ユニット240について図14を参照して説明する。
図14に示すように、オイル塗布ユニット240は、オイル塗布ロール242と、オイル供給ロール244と、塗布量調整ブレード246と、ブレード調整機構248と、ケース250とを備えている。
ケース250にはシリコーンオイルが収容されている。また、オイル供給ロール244は、多孔質体で形成されたロールで、ケース250内のシリコーンオイルに浸けられている。また、オイル塗布ロール240がオイル供給ロール244と搬送ベルト28とに当接しており、ケース250内のシリコーンオイルが、オイル供給ロール240を介してオイル塗布ロール242に常時供給される。
また、塗布量調整ブレード246は、ブレード調整機構248によって支持されてオイル塗布ロール242に当接しており、オイル塗布ロール242に付着したシリコーンオイルを掻き落してオイル塗布ロール242から搬送ベルト28へ塗布されるシリコーンオイルの量を調整する。
また、ブレード調整機構248は、上述のブレード調整機構80と同様の構成をしており、塗布量調整ブレード246をオイル塗布ロール242側へ移動させて塗布量調整ブレード246のオイル塗布ロール242への食い込み量を増加させる。これによって、塗布量調整ブレード246がオイル塗布ロール242からシリコーンオイルを掻き落す量が減少し、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が増加する。
また、ブレード調整機構246は、塗布量調整ブレード246を反オイル塗布ロール242側へ移動させて塗布量調整ブレード246のオイル塗布ロール242への食い込み量を減少させる。これによって、塗布量調整ブレード246がオイル塗布ロール242からシリコーンオイルを掻き落す量が増加し、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が減少する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置300では、記録ヘッド32のベルト回転方向上流側且つ帯電ロール36のベルト回転方向下流側には、処理液吐出ヘッド230が搬送ベルト28外周面に対向して配設されている。処理液吐出ヘッド230は、凝集剤等の処理液を搬送ベルト28側へ吐出する。
記録ヘッド32、処理液吐出ヘッド230は、インクジェット記録装置300全体の制御を司る制御部302によって制御されており、制御部302が印刷指令を受信すると駆動される。
以下、制御部302が印刷指令を受信した時の搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量の調整方法について図16のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部302が印刷指令を受信すると処理ルーチンが開始されてステップ201へ移行する。ステップ201では、用紙Pの幅D(図17(A)、(B)参照)が処理液吐出ヘッド230の最大印字幅以上であるか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ203へ移行し、判定が否定されるとステップ202へ移行する。
ステップ202では、制御部302からステッピングモータ111へ駆動信号が送信され、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が増加される。これによって、塗布量調整ブレード72によるシリコーンオイルの掻き取り量が減少し、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が増加する。そして、ステップ203へ移行する。
ステップ203では、制御部302から各部へ駆動信号が送信されて印刷動作が開始され、処理ルーチンが終了する。
ところで、記録ヘッド32、処理液吐出ヘッド230は、未使用ノズルの目詰まりを防止するために、数秒から数十秒おきに画像形成とは無関係でインク、処理液を吐出する(所謂、ダミージェットを行う)が、この際、インクは搬送ベルト28上の用紙Pと用紙Pとの間へ吐出され、処理液は用紙P上へ吐出される。これはインクが有色であり、用紙P上へ吐出されると視認されてしまうのに対して、処理液が無色透明であり、用紙P上へ吐出されても視認されないからである。
ここで、図17(A)に示すように、用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向長さ)が処理液吐出ヘッド230の最大印字幅より広い場合には、処理液吐出ヘッド230から吐出された処理液Sが全て用紙P上に付着するが、図17(B)に示すように、用紙Pの幅が処理液吐出ヘッド230の最大印字幅より狭い場合には、搬送ベルト28上の用紙Pの幅方向外側にも処理液Sが付着する。このため、搬送ベルト28上の用紙Pの幅方向外側では、インクと処理液Sとが混ざり合い、インクが凝集して搬送ベルト28から掻き取られ難くなる。
そこで、本実施形態では、用紙Pの幅が処理液吐出ヘッド230の最大印字幅より狭い場合に、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量を初期設定量から増加させ、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量の初期設定量は、低目に設定しておく。
これによって、用紙Pの幅に関わらず、搬送ベルト28の汚れの蓄積を抑制すると共に、シリコーンオイルの消費量の減少によりメンテナンスコストを抑制することが可能となる。
なお、本実施形態では、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量のみを変化させたが、クリーニングブレード49の搬送ベルト28との接触状態も合わせて変化させても良い。
次に、制御部302が印刷指令を受信した時の搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量の調整方法の変形例について図18のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部302が印刷指令を受信すると処理ルーチンが開始されてステップ301へ移行する。ステップ301では、処理液を使用する高画質モードであるか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ302へ移行し、判定が肯定されるとステップ303へ移行する。
ステップ302では、制御部302からステッピングモータ111へ駆動信号が送信され、塗布量調整ブレード72の搬送ベルト28への食い込み量が増加される。これによって、塗布量調整ブレード72によるシリコーンオイルの掻き取り量が減少し、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が増加する。そして、ステップ303へ移行する。
ステップ303では、制御部302から各部へ駆動信号が送信されて印刷動作が開始され、処理ルーチンが終了する。
即ち、処理液吐出ヘッド230から処理液が吐出され、搬送ベルト28上でインクと処理液との混合が起こる場合には、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量を初期設定量から増加させ、搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量の初期設定量は、低目に設定しておく。
これによって、搬送ベルト28の汚れの蓄積を抑制すると共に、シリコーンオイルの消費量の低減によりメンテナンスコストを抑制することが可能となる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1、第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図19、図20に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置400では、従動ロール27のベルト回転方向下流側且つ従動ロール29のベルト回転方向上流側に、第1塗布ユニット252、第2塗布ユニット254、第3塗布ユニット256が搬送ベルト28外周面に対向して配設されている。第1塗布ユニット252は、搬送ベルト28の幅方向中央部に配設され、第2塗布ユニット254、第3塗布ユニット256は、それぞれ搬送ベルト28の幅方向一端部、他端部に配設されている。また、第1塗布ユニット252、第2塗布ユニット254、第3塗布ユニット256は、搬送ベルト28の幅の約1/3の長さ、且つ、最小幅の用紙Pと同じ長さのオイル塗布ロール258を備えている。
ここで、第1塗布ユニット252、第2塗布ユニット254、第3塗布ユニット254による搬送ベルト28へのシリコーンオイルの塗布量が調整可能となっており、搬送ベルト28の幅方向中央部のシリコーンオイルの塗布量を少なくし、搬送ベルト28の幅方向両端部のシリコーンオイルの塗布量を多くするなど、搬送ベルト28の幅方向の部分毎にシリコーンオイルの塗布量を変化させることが可能である。
これによって、搬送ベルト28の幅方向の汚れの酷い範囲では、シリコーンオイルの塗布量を増加して、クリーニング性能を上昇させ、一方、搬送ベルト28の幅方向の汚れの少ない範囲では、シリコーンオイルの塗布量を減少してシリコーンオイルの消費量を低減することなどが可能となる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1乃至第3実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図21に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置500では、オイル吐出ヘッド222が備えられている。オイル吐出ヘッド222は、記録ヘッド32のベルト回転方向上流側且つ表面電位センサ13のベルト回転方向下流側に、搬送ベルト28の外周面に面して配設されている。
また、オイル塗布ユニット220は、インクジェット記録装置500全体の制御を司る制御部502によって制御されており、制御部502が印刷指令を受信すると駆動されて搬送ベルト28の外周面に向けてシリコーンオイルを吐出する。これによって、搬送ベルト28外周面上にシリコーンオイルの膜が形成される。
ここで、記録ヘッド32の画像形成時にインクを吐出するノズルと吐出しないノズルとでダミージェット時の吐出量に差を付け、また、記録ヘッド32の画像形成時にインクを大量に吐出するノズルと少量しか吐出しないノズルとでダミージェット時の吐出量に差を付ける制御を行う場合がある。この場合、オイル吐出ヘッド222においても、ダミージェット時のオイル吐出量がノズル毎に差が付くようになっている。
即ち、記録ヘッド32のダミージェット時の吐出量が多いノズルとベルト回転方向に並んだオイル吐出ヘッド222のノズルについては、ダミージェット時のシリコーンオイルの吐出量を増加させ、記録ヘッド32のダミージェット量が少ない、もしくはゼロのノズルとベルト回転方向に並んだオイル吐出ヘッド222のノズルについては、シリコーンオイル吐出量を減少させ、もしくは、シリコーンオイル吐出を行わない。これによって、オイル吐出ヘッド222からのシリコーンオイルの無駄な吐出を抑制できる。
また、オイル吐出ヘッド220のダミージェット時のシリコーンオイルの吐出量は、4段階で調整可能となっており、YMCKの4色の記録ヘッド32のうち、使用される記録ヘッド32の数に応じて、オイル吐出ユニット222のシリコーンオイルの吐出量が増減される。
即ち、未使用の記録ヘッド32はダミージェットを行ず、未使用の記録ヘッド32が多いほど、搬送ベルト28上へ吐出されるインクの量が少なくなるので、そのような場合には、オイル吐出ヘッド222のダミージェット時のシリコーンオイルの吐出量を減少させ、一方で、未使用の記録ヘッド32が少ないほど、搬送ベルト28上へ吐出されるインクの量が多くなるので、そのような場合には、オイル吐出ヘッド222のダミージェット時のシリコーンオイルの吐出量を増加させる。
さらに、オイル吐出ヘッド222の画像形成時のシリコーンオイルの吐出量は、モノクロ印刷が行われるかフルカラー印刷が行われるかで調整可能となっており、オイル吐出ヘッド220のシリコーンオイルの吐出量は、モノクロ印刷時には減少され、フルカラー印刷時には増加される。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、第1乃至第4実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図22に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置600では、オイル塗布ユニット64を、搬送ベルト28外周面に対して接離させる接離機構602が設けられている。この接離機構602は、インクジェット記録装置600全体の制御を司る制御部604によって制御されている。
制御部604は、記録ヘッド32に搬送ベルト28の用紙Pと用紙Pとの間の所定範囲へダミージェットを行わせるが、それ以前に、ダミージェットが行われる所定範囲がオイル塗布ロール70と搬送ベルト28との間を通過する直前に、接離機構602を駆動してオイル塗布ユニット64を搬送ベルト28側へ移動させ、オイル塗布ロール70及び塗布量調整ブレード72を搬送ベルト28へ当接させる。そして、制御部604は、ダミージェットが行われる所定範囲が塗布量調整ブレード72を通過すると、接離機構602を駆動してオイル塗布ユニット64を反搬送ベルト28側へ移動させ、オイル塗布ロール70及び塗布量調整ブレード72を搬送ベルト28から離間させる。
即ち、搬送ベルト28の用紙Pと用紙Pとの間のダミージェットが行われる所定範囲にのみシリコーンオイルを塗布し、それ以外の範囲にはシリコーンオイルを塗布しない。これによって、シリコーンオイルの無駄な消費を抑制できる。また、用紙Pによって搬送ベルト28上のシリコーンオイルが吸収されることがないので、その分だけシリコーンオイルを節約できる。
なお、上述のオイル吐出ヘッド220を用いた場合には、吐出の有無だけで搬送ベルト28上の所定範囲にのみシリコーンオイルを塗布するという本実施形態と同様のことを行うことが可能である。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図23、図24に示すように、本実施形態の液滴吐出装置としてのインクジェット記録装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、黒(K)、シアン(C)の4色のインクで用紙Pにフルカラー画像を形成するフルカラープリンタである。また、インクジェット記録装置100は、所謂オフセット印刷方式を用いたプリンタであり、記録ヘッドアレイ30が、担持体としての中間転写ドラム14に向けてインクを吐出して一旦中間転写ドラム104上にインク像を形成し、中間転写ドラム104から用紙Pにインク像を転写する。
インクジェット記録装置100の最下部には、給紙トレイ16が挿抜可能に設けられている。この給紙トレイ16には、用紙Pが積載されており、最上位の用紙Pにはピックアップロール18が当接している。用紙Pは、ピックアップロール18によって1枚ずつ給紙トレイ16から搬送方向下流側へ給紙され、搬送経路に沿って順に配設された搬送ロール109、120、121、123、125によって画像形成部122へ給紙される。なお、搬送ロール123、125は、用紙Pのインク像を転写される面に当接するロールがスターホイールとなっている。
画像形成部122では、中間転写ドラム104が搬送経路に面して配設され、記録ヘッドアレイ30が中間転写ドラム104の上方に配設され、また、メンテナンスユニット34が記録ヘッドアレイ30に近接されている。
図23に示すように、記録ヘッドアレイ30は、インク滴吐出時に、中間転写ドラム14に接近する。また、図24に示すように、記録ヘッドアレイ30は、メンテナンス時に、中間転写ドラム14から遠ざかって中間転写ドラム14との間にメンテナンスユニット34が入り込むスペースを確保する。
また、図23に示すように、メンテナンスユニット34は、画像形成時に、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出される吐出領域SEの外側に退避する。また、図25に示すように、メンテナンスユニット34は、非画像形成時に、吐出領域SEに侵入する。
また、図23、図24に示すように、中間転写ドラム104の搬送経路側には、搬送方向上流側から順に転写手段としての帯電ロール128、転写手段としての除電ロール130、及び剥離爪132が当接している。帯電ロール128は、用紙Pを中間転写ドラム104に押圧しながら搬送すると共に用紙Pに電荷を与えることで、用紙Pを中間転写ドラム104に静電吸着させ、インク像を用紙Pに転写させる。また、除電ロール130は、用紙Pを搬送しながら用紙Pの電荷を除去することで、用紙Pと中間転写ドラム104との静電吸着を解除する。そして、剥離爪132は、用紙Pを中間転写ドラム104から剥離する。
そして、剥離爪132の搬送方向下流側には、搬送方向上流側から順に搬送ロール127、129、131、133、135、137、139が配置されている。搬送ロール127、133、135、137、139は、用紙Pのインク像が転写された面に当接するロールがスターホイールとなっており、用紙Pのインク像が転写された面とロールとの接触が少なくなっている。
また、インクタンク35の上方には排紙トレイ46が配置され、この排紙トレイ46の側方には搬送ロール139が配置されている。即ち、搬送ロール139によって用紙Pが排紙トレイ46上に排出される。
図25に示すように、剥離爪132より中間転写ドラム14の回転方向下流側且つ記録へッドアレイ30より中間転写ドラム14の回転方向上流側には、ドラムクリーニングユニット148が配置されている。このドラムクリーニングユニット148は、中間転写ドラム104の周面に当接し、用紙Pに転写されずに中間転写ドラム104に残留したインク等を掻き取る、清掃部材としてのクリーニングブレード49と、クリーニングブレード49によって中間転写ドラム104から掻き取られたインク等を回収する回収ボックス51と、ブレード調整機構80とを備えている。なお、回収ボックス51の底部には、吸収体53が敷き詰められており、クリーニングブレード49から滴下する液体を吸収する。
また、クリーニングブレード49より中間転写ドラム14の回転方向下流側且つ記録ヘッドアレイ30より中間転写ドラム14の回転方向上流側には、オイル塗布ユニット164が配置されている。このオイル塗布ユニット164は、ケース68と、ケース68に回転可能に支持された、塗布部材としてのオイル塗布ロール70と、塗布量調整ブレード72と、ブレード調整機構82と、を備えている。オイル塗布ロール70は、中間転写ドラム104に圧接されており、中間転写ドラム104に従動して回転する。また、オイル塗布ロール70は、ポリエチレンやウレタン等の多孔質体で形成され、シリコーンオイルを含浸しており、中間転写ドラム104にシリコーンオイルを塗布する。
これに対して、記録ヘッド32から吐出されるインクは、水性インクとなっている。このため、中間転写ドラム104上のシリコーンオイルの膜の撥水効果によりインクが凝集する。従って、インクが中間転写ドラム104に付着する力の増加を抑制でき、クリーニングブレード49によって中間転写ドラム104をクリーニングする際、インクが中間転写ドラム104から容易に剥離される。
なお、オイル塗布ロール70は、駆動ロールとしても良い。この場合、オイル塗布ロール70が中間転写ドラム104に対して滑ることを防止できる。
ここで、塗布液は、中間転写ドラム104上で濡れ広がる必要があるので、下記(A)式の関係が必要である。但し、図26に示すように、塗布液Tの表面張力をγ0、中間転写ドラム104の臨界表面張力γbとする。
γ0<γb…(A)
また、塗布液に撥水性を持たせるためには、下記(B)式の関係が必要となる。但し、インクIの表面張力をγiとする。
γ0<γi…(B)
これによって、第1実施形態と同様、インクIは塗布液Tの膜上で濡れ広がることなく、凝集するので、クリーニングブレード49によって中間転写ドラム104上のインクが掻き取られ易くなる。
また、図25に示すように、塗布量調整ブレード72は、オイル塗布ロール70よりドラム回転方向下流側で中間転写ドラム104に当接しており、中間転写ドラム104に塗布されたシリコーンオイルの余剰分を掻き落し、シリコーンオイルの膜厚を所定の厚みにする。
また、清掃状態可変手段、接触状態可変手段としての清掃状態可変部15は、ブレード調整機構80、82を備えている。ブレード調整機構80は、クリーニングブレード49を中間転写ドラム104側及び反中間転写ドラム104側へ移動可能に支持しており、中間転写ドラム104側へ移動させて中間転写ドラム104への食い込み量を増加させる。これによって、クリーニングブレード49が中間転写ドラム104からインクを掻き取る力量が増加する。また、ブレード調整機構80は、クリーニングブレード49を反中間転写ドラム104側へ移動させて中間転写ドラム104への食い込み量を減少させる、これによって、クリーニングブレード49の中間転写ドラム104との摩擦力が減少し、クリーニングブレード49の磨耗が減少する。
また、ブレード調整機構82は、塗布量調整ブレード72を中間転写ドラム104側及び反中間転写ドラム104側へ移動可能に支持しており、中間転写ドラム104側へ移動させて中間転写ドラム104への食い込み量を増加させる。これによって、塗布量調整ブレード72が中間転写ドラム104からインクを掻き取る量が減少し、中間転写ドラム103へのシリコーンオイルの塗布量が増加する。また、ブレード調整機構82は、塗布量調整ブレード72を反中間転写ドラム104側へ移動させて中間転写ドラム104への食い込み量を減少させる。これによって、塗布量調整ブレード72が中間転写ドラム104からインクを掻き取る量が増加し、中間転写ドラム104へのシリコーンオイルの塗布量が減少する。
なお、第1乃至第6実施形態では、インクジェット記録装置を例に取って本発明を説明したが、本発明は、インクジェット記録装置に限らず、高分子フィルム上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴吐出装置一般に対して、適用可能である。
また、本発明の液滴吐出装置において画像記録の対象となる「記録媒体」には、液滴吐出ヘッドが液滴を吐出する対象物であれば広く含まれる。したがって、記録媒体には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば、高分子フィルムなどが含まれる。
また、本発明の液滴吐出装置における「液滴吐出ヘッド」には、記録媒体や担持体等に向けて液滴を吐出する手段であれば広く含まれる。例えば、用紙Pの幅よりも短尺で用紙Pの幅方向に移動しながらインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドなどが含まれる。
また、本発明の液滴吐出装置における「回転体」には、液滴吐出ヘッドから吐出された液体が付着する部材であれば広く含まれる。例えば、記録媒体を保持して回転するドラムや、中間転写ベルトなどが含まれる。
また、本発明の液滴吐出装置における「清掃部材」には、搬送部材に付着した液滴を清掃する部材であれば広く含まれる。例えば、搬送部材に接触して回転し、液滴を吸収するクリーニングロールや、搬送部材に接触して、搬送方向と交差する方向へ移動する移動式のブレードなどが含まれる。
また、本発明の液滴吐出装置における「塗布部材」には、液滴吐出ヘッドから吐出された液滴をはじく性質の塗布液を、回転体に塗布する部材であれば広く含まれる。該塗布液を含浸し、搬送部材に接触するウェブや、該塗布液を含浸又は表面に保持し、回転体に接触して搬送方向と交差する方向へ移動するロールなどが含まれる。
また、本発明の液滴吐出装置における「帯電手段」には、搬送部材を帯電する手段であれば広く含まれる。例えば、搬送部材を非接触帯電するコロトロンなどが含まれる。
さらに、第1乃至第6実施形態では、クリーニングブレード49や塗布量調整ブレード72のベルト回転方向又はドラム回転方向下流端部を搬送ベルト28又は中間転写ドラム104に当接させたが、クリーニングブレード49や塗布量調整ブレード72のベルト回転方向又はドラム回転方向上流端部を搬送ベルト28又は中間転写ドラム104に当接させても良い。
ここで、クリーニングブレード49や塗布量調整ブレード72のベルト回転方向又はドラム回転方向下流端部を搬送ベルト28又は中間転写ドラム104に当接させることによって、クリーニングブレード49や塗布量調整ブレード72の磨耗を抑制でき、一方、クリーニングブレード49や塗布量調整ブレード72のベルト回転方向又はドラム回転方向上流端部を搬送ベルト28又は中間転写ドラム104に当接させることによって、ブレードの清掃能力を向上できる。