JP2008028415A - Soiウエーハの製造方法及びsoiウエーハ - Google Patents

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Abstract

【課題】 水素イオン剥離法により剥離されたSOI層表面の短周期から長周期に及ぶ表面粗さが改善されるとともに、SOI層中のCOPに起因するピットの発生が無いSOIウエーハを高いスループットが効率的に製造される。
【解決手段】 少なくとも、ベースウエーハとガスイオンの注入により形成された微小気泡層を有するボンドウエーハとを接合する工程と、前記微小気泡層を境界としてSOI層を有するウエーハを剥離する工程とを含む水素イオン剥離法によってSOIウエーハを製造する方法において、前記ボンドウエーハとして、FZウエーハまたはエピタキシャルウエーハ、あるいは少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハの何れかを使用し、前記剥離工程後、水素またはアルゴンを含む雰囲気下で、前記SOI層を有するウエーハにバッチ式炉で熱処理を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、SOI(Silicon On Insulator)ウエーハの製造方法に関し、具体的にはイオン注入したウエーハを、基板となる他のウエーハと接合した後に剥離してSOIウエーハを製造する、いわゆる水素イオン剥離法(スマートカット法(登録商標)とも呼ばれている)において、剥離後の熱処理によって表面粗さを改善させるSOIウエーハの製造方法、及びそれにより製造されるSOIウエーハに関する。また、剥離後に熱処理が行なわれるSOIウエーハを製造する際の接合不良を低減し、歩留り良くSOIウエーハを提供することができるSOIウエーハの製造方法に関する。
近年、SOIウエーハの製造方法として、水素イオン等を注入したウエーハを接合後に剥離してSOIウエーハを製造する方法(水素イオン剥離法:スマートカット法(登録商標)と呼ばれる技術)が新たに注目され始めている。この方法は、二枚のシリコンウエーハのうち、少なくとも一方に酸化膜を形成すると共に、一方のシリコンウエーハの上面から水素イオンまたは希ガスイオンのうち少なくとも一方を注入し、該ウエーハ内部に微小気泡層(封入層)を形成させた後、該イオンを注入した方の面を酸化膜を介して他方のシリコンウエーハと接合させ、その後熱処理(剥離熱処理)を加えることで微小気泡層を劈開面として一方のウエーハを薄膜状に剥離し、さらに熱処理(結合熱処理)を加えてシリコンウエーハ上にSOI層が強固に結合されたSOIウエーハとする技術である(特許文献1参照)。
水素イオン剥離法によりSOIウエーハを製造する場合、微小気泡層を劈開面として剥離したままの状態のSOI層表面は、通常のデバイス作製に用いられる鏡面研磨ウエーハに比べて表面粗さが粗いので、このままではデバイス作製に用いることはできない。そこで、上記表面粗さを改善するため、タッチポリッシュと呼ばれる研磨代の少ない研磨が通常行われる。
しかしながら、SOI層は非常に薄く、その表面を研磨すると、面内の研磨量の違いからSOI層の厚さのバラツキが大きくなる問題があった。
そこで、剥離直後のSOI層表面を、研磨せずに熱処理することでその表面粗さを改善することが提案されている。
特許文献2によれば、支持基板と単結晶シリコン薄膜の結合を強固にする第2次熱処理(結合熱処理)後、水素雰囲気中で1000〜1300℃の温度で10分〜5時間の第3次熱処理を行い、シリコン薄膜の平均表面粗さを改善する方法が開示されている。
また、特許文献3によれば、水素イオン剥離法により得られた、剥がされた表面を有するSOI構造のウエーハを、水素雰囲気中でアニール(水素アニール)し、前記剥がされた表面を平坦にするSOIウエーハの製造方法が開示されいる。
このように、これらの公報に記載されている技術は、いずれも水素雰囲気中で熱処理を行い、剥離されたウエーハの表面粗さを改善させるものである。
前記特許文献2では、平均表面粗さを改善する第3次熱処理(水素アニール)の温度と時間を規定しているが、例えばSOI層(単結晶シリコン薄膜)がチョクラルスキー法(CZ法)により製造されたウエーハから構成されたものであり、かつその厚さが0.5μm以下程度に薄い場合、水素アニールを行う際に、水素ガスがボイド状のGrown−in欠陥であるCOP(Crystal Originated Particle)を通して埋め込み酸化膜をエッチングしてしまうという問題が生ずる。また、アルゴン雰囲気で熱処理する場合も、水素と同様に表面粗さを改善することが知られているが、COPを通してエッチングするという問題点は回避できない。すなわち、CZウエーハには結晶成長時に導入されたCOPと称される結晶欠陥が存在することが判明しており、このようなCZウエーハをデバイス活性層となるボンドウエーハに用いると、SOI層にもCOPが存在し、近年要求される極薄のSOI層ではCOPがSOI層を貫通してピンホールを形成し、電気特性を著しく悪化させることがわかってきた。
一方、特許文献3は、熱処理(アニール)の具体的な方法として、水素雰囲気中で、バッチ式炉で数10秒から数10分の水素アニールを行う方法のほか、ウエーハを1枚毎に処理する枚葉式の短時間アニール(ラピッドサーマルアニール、RTA)、あるいはプラズマアニールのいずれかで行うことができることを開示している。
上記各熱処理(アニール)のうち、急速加熱・急速冷却装置を用いたラピッドサーマルアニール(RTA)は、きわめて短時間の熱処理で済むので、上記のような埋め込み酸化膜をエッチングしてしまうようなこともないし、さらにはSOI層中のCOPを合わせて除去することも可能であり、表面粗さを効率的に改善できると思われていた。
しかしながら、本発明者らが、上記RTAによるSOIウエーハの表面粗さの改善について詳細に検討したところ、表面粗さが通常のデバイス作製用の鏡面研磨ウエーハ並みに改善されるのは、表面粗さの短周期成分のみであり、長周期成分については依然として鏡面研磨ウエーハに比べて非常に劣るものであることが分かった。
さらに熱処理時間と表面粗さの関係について検討したところ、RTA装置で表面粗さの長周期成分を改善するには、高温長時間の熱処理(例えば1225℃で3時間以上)が必要であることが分かった。
しかしながら、RTA装置で行う熱処理は枚葉式であるため、長時間処理を行うとスループットが低く効率が悪い上、製造コストも上昇し、実用的でない。
一方、長時間の処理が可能なバッチ式炉では、一度に大量のウエーハを熱処理できるものの、昇温速度が遅いために前述のように水素アニール処理時にSOI層中のCOPを介して埋め込み酸化膜がエッチングされ、ピットが生じるという問題がある。
特開平5−211128号 特開平10−242154号公報 特開平10−275905号公報
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、水素イオン剥離法により剥離されたSOI層表面の短周期から長周期に及ぶ表面粗さを研磨することなく改善し、膜厚均一性を確保するとともに、SOI層中のCOPに起因するピットの発生が無いSOIウエーハを、高いスループットで効率的に製造することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも、ベースウエーハとガスイオンの注入により形成された微小気泡層を有するボンドウエーハとを接合する工程と、前記微小気泡層を境界としてSOI層を有するウエーハを剥離する工程とを含む水素イオン剥離法によってSOIウエーハを製造する方法において、前記剥離工程後、水素またはアルゴンを含む雰囲気下で、前記SOI層を有するウエーハに急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉による2段階の熱処理を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法が提供される。
このようにSOI層を有するウエーハを剥離した後、該ウエーハに急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉に分けて2段階の熱処理を施すと、急速加熱・急速冷却装置による熱処理では表面の結晶性が回復されると共に、短周期の表面粗さの改善が行われ、一方、バッチ式炉による熱処理で長周期の表面粗さを改善することができる。また、バッチ式炉では、複数枚のウエーハを一度に熱処理できるので、急速加熱・急速冷却装置で枚葉式に長時間熱処理するのに比べ、高いスループットで製造することができる。
さらに、この方法ではタッチポリッシュのような研磨は行わなくて済むため、SOI層の膜厚の均一性も保たれる。
また、この場合、前記2段階の熱処理を、急速加熱・急速冷却装置による熱処理の後に、バッチ式炉による熱処理を施して行うことが好ましい。
前記したように、本発明では急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉による2段階の熱処理を施すことで表面粗さの短周期成分と長周期成分が共に改善されるが、初段で急速加熱・急速冷却装置による短時間の熱処理を行うことにより、その表面の結晶性が回復され、SOI層中のCOPが大幅に削減される。従って、次段でバッチ式炉による熱処理を行うようにすれば、SOI層中のCOPがほとんど消滅しているため、比較的長時間の熱処理を行っても、貫通したCOPを介して起こる水素ガスまたはアルゴンガスによる埋め込み酸化膜のエッチングが抑制され、ピットが生じることも無い。
また、本発明によれば、少なくとも、ベースウエーハとガスイオンの注入により形成された微小気泡層を有するボンドウエーハとを接合する工程と、前記微小気泡層を境界としてSOI層を有するウエーハを剥離する工程とを含む水素イオン剥離法によってSOIウエーハを製造する方法において、前記ボンドウエーハとして、FZウエーハまたはエピタキシャルウエーハ、あるいは少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハの何れかを使用し、前記剥離工程後、水素またはアルゴンを含む雰囲気下で、前記SOI層を有するウエーハにバッチ式炉で熱処理を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法も提供される。
このように、FZウエーハまたはエピタキシャルウエーハ、あるいは少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハの何れかをボンドウエーハとして使用してSOIウエーハを作製すれば、そのSOI層中のCOPを低減、もしくは、ほぼ皆無とすることができるため、前述のCOPに起因した埋め込み酸化膜のエッチングの問題は発生せず、バッチ式炉での高温長時間の熱処理も可能となる。
また、本発明の他の目的は、前記SOI層中のCOPを低減したSOIウエーハを製造するに際して、接合面に発生するボイドやブリスター等の接合不良を低減して歩留まりよくSOIウエーハを提供することである。
そのため、本発明は、ボンドウエーハに用いるウエーハとして、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハを使用することを特徴とする。
このように、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハであれば、通常の鏡面研磨加工された面を接合面として用いることができるので、エピタキシャルウエーハを用いる場合に比べて接合不良を低減することができる。また、CZウエーハであるため、FZウエーハでは作製が困難とされる、直径200mm、300mm、あるいはそれ以上の大直径ウエーハにも対応可能である。さらに、結晶全体(ウエーハ全体)においてCOPが低減されているため、剥離後のウエーハをボンドウエーハとして再利用する際に、剥離面の研磨代を制限する必要がない。
そして、このようにして製造されたSOI層中のCOPを低減したSOIウエーハに対して、水素またはアルゴンを含む雰囲気下でバッチ式炉で熱処理を施すことにより、埋め込み酸化膜のピットを生じさせることなく、SOI層の表面粗さを低減することができる。
さらに本発明によれば、前記方法により製造されたSOIウエーハが提供され、該ウエーハは、その表面粗さに関する1μm角及び10μm角のRMS(自乗平均平方根粗さ)値が共に0.5nm以下であることを特徴としている。
このように、本発明により製造されるSOIウエーハは、研磨をしていないにもかかわらず、SOI層の表面粗さの短周期成分(例えば1μm角程度)と長周期成分(例えば10μm角程度)が共に改善され、それらのRMS値が共に0.5nm以下と非常に小さく、鏡面研磨ウエーハと同程度の表面粗さとなっている。しかも、表面を研磨した場合のように膜厚が不均一となるようなものではない。したがって、このようなSOIウエーハは、近年の高集積化デバイス作製に好適に用いることができる。
以上説明したように、本発明に係るSOIウエーハの製造方法では、剥離工程後、水素またはアルゴンを含む雰囲気の下で、SOI層を有するウエーハに急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉による2段階の熱処理を施すことによって、ウエーハの剥離面の表面粗さの短周期成分と長周期成分を共に大きく改善することができる。また、結晶性も回復し、用いるボンドウエーハ中のCOPに起因するピットが生じることもない。
さらに、RTA装置による熱処理で非常に短い時間で表面粗さの短周期成分を改善し、一方、バッチ式炉により大量のウエーハを一度に処理してその長周期成分を改善しているため、全体として効率良く熱処理を行うことができ、優れた表面性状のSOIウエーハを低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、図1は本発明の水素イオン剥離法でSOIウエーハを製造する方法の製造工程の一例を示すフロー図である。
以下、本発明を2枚のシリコンウエーハを結合する場合を中心に説明する。
まず、図1の水素イオン剥離法において、工程(a)では、2枚のシリコン鏡面ウエーハを準備するものであり、デバイスの仕様に合った基台となるベースウエーハ1とSOI層となるボンドウエーハ2を準備する。
次に工程(b)では、そのうちの少なくとも一方のウエーハ、ここではボンドウエーハ2を熱酸化し、その表面に約0.1μm〜2.0μm厚の酸化膜3を形成する。
工程(c)では、表面に酸化膜を形成したボンドウエーハ2の片面に対して水素イオンまたは希ガスイオンのうち少なくとも一方、ここでは水素イオンを注入し、イオンの平均進入深さにおいて表面に平行な微小気泡層(封入層)4を形成させるもので、この注入温度は25〜450℃が好ましい。
工程(d)は、水素イオン注入したボンドウエーハ2の水素イオン注入面に、ベースウエーハ1を酸化膜を介して重ね合せて接合させる工程であり、常温の清浄な雰囲気下で2枚のウエーハの表面同士を接触させることにより、接着剤等を用いることなくウエーハ同士が接着する。
次に、工程(e)は、封入層4を境界として剥離することによって、剥離ウエーハ5とSOI層を有するウエーハ6(SOI層7+埋込み酸化膜3+ベースウエーハ1)に分離する剥離熱処理工程で、例えば不活性ガス雰囲気下約500℃以上の温度で熱処理を加えれば、結晶の再配列と気泡の凝集とによって剥離ウエーハ5とSOI層を有するウエーハ6(以下、これに熱処理を施した場合も含め、単にSOIウエーハという場合がある)に分離される。
ここまでの工程は、本発明の方法も、従来の水素イオン剥離法と同じである。そして、本発明では、この剥離熱処理工程(e)後、水素またはアルゴンを含む雰囲気の下で、SOI層7を有するウエーハ6に急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉による2段階の熱処理を施す(工程(g))ことを特徴としている。なおこの場合、水素またはアルゴンを含む雰囲気として、水素100%またはアルゴン100%、あるいは水素とアルゴンの混合ガスとすることもできる。
なお、剥離熱処理工程(e)の後、前記2段階の熱処理工程(g)を行う前に、従来通り工程(f)で、結合熱処理を行っても良い。この工程(f)は、前記工程(d)、(e)の接合工程および剥離熱処理工程で密着させたウエーハ同士の結合力では、そのままデバイス作製工程で使用するには弱いので、結合熱処理としてSOI層を有するウエーハ6に高温の熱処理を施して結合強度を十分なものとする。この熱処理は例えば不活性ガス雰囲気下、1050℃〜1200℃で30分から2時間の範囲で行うことが好ましい。
本発明では、剥離熱処理工程(e)の後、前記のように必要に応じて結合熱処理を行い、次に水素またはアルゴンを含む雰囲気の下で、SOI層を有するウエーハ6に急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉による2段階の熱処理を行うが、この場合、結合熱処理(工程(f))を別途行うのでは非効率的であるので、本発明の急速加熱・急速冷却装置とバッチ式炉による2段階の熱処理を、結合熱処理を兼ねるものとすることができる。
なお、急速加熱・急速冷却装置による熱処理とバッチ式炉による熱処理の施す順番は、特にボンドウエーハとしてCOPを多く有する通常のCZウエーハを使用する場合には、急速加熱・急速冷却装置による熱処理を先に行うことが好ましい。
これは、前述のようにCZウエーハ中には結晶製造時に導入されたCOPが存在する。したがって、近年要求されているようなSOI層が薄い場合には、このCOPがSOI層を貫通して存在し、ピンホールを形成する場合がある。このような場合、水素またはアルゴンを含む雰囲気下の熱処理をバッチ式炉内で長時間にわたって行うと、熱処理中にこのピンホールを通って、水素ガスまたはアルゴンガスが侵入し、埋め込み酸化膜3をエッチングし、ピットが生じてしまうおそれがあるからである。
したがって、ボンドウエーハとして通常のCZウエーハを使用する場合には、最初に急速加熱・急速冷却装置による熱処理を行って表面粗さの短周期成分を改善すると同時に表面の結晶性を回復し、SOI層中のCOPを大幅に低減し、次いでバッチ式炉による比較的長時間の熱処理を行ってその長周期成分を改善すれば、表面粗さの短周期成分と長周期成分が共に改善されると共に、ピットが生じるおそれも無くなる。
一方、用いるボンドウエーハを、エピタキシャルウエーハまたはFZウエーハ、あるいは少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハとした場合には、上記のような埋め込み酸化膜をエッチングしてしまうような問題は生じないので、原則としていずれの熱処理を先行させてもよいし、急速加熱・急速冷却装置による熱処理を省略してバッチ式炉のみで高温長時間の熱処理も可能となる。
すなわち、ボンドウエーハの材料を適切に選択すれば、1000〜1300℃程度の温度で10分〜5時間程度の熱処理をバッチ式炉で施すことにより、2段階の熱処理の場合と同様に、埋め込み酸化膜のエッチングの問題を回避しつつ、表面粗さの短周期成分と長周期成分とがともに優れたSOIウエーハを得ることができる。
ここで、少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハとは、通常のCZ単結晶の引上げ速度(約1mm/min)を例えば0.6mm/min以下で引上げることにより、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハや、引上げ時のV/G(V:引上げ速度、G:結晶固液界面軸方向温度勾配)を制御して結晶全体のCOP等のグローイン(Grown−in)欠陥を低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハ、あるいは通常の引上げ条件で作製されたCZウエーハに水素やアルゴン等の雰囲気下で熱処理を加え、ウエーハ表面の少なくともSOI層となる領域に含まれるCOPを低減したCZウエーハなどを挙げることができる。
以上の工程(a)〜(g)を経て、表面粗さの長周期成分及び短周期成分が共に改善されている上、結晶品質が高く、膜厚均一性の高いSOI層7を有し、かつピットの形成も無い高品質のSOIウエーハ6を製造することができる(工程(h))。
また、少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハとして、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハを選択することにより、次のような顕著な効果が得られる。
すなわち、通常の結晶引き上げ条件で作製したCZウエーハを用いて製造されたSOIウエーハに比べてSOI層中のCOPが低減されたSOIウエーハを製造するためのボンドウエーハとしては、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハを用いる以外に、エピタキシャルウエーハ、FZウエーハ、水素(アルゴン)アニールされたCZウエーハを用いることが考えられる。
しかし、エピタキシャルウエーハの場合、通常の鏡面研磨されたウエーハの表面上にエピタキシャル層が堆積されており、その表面粗さ(ヘイズレベル)は通常の鏡面研磨面に比べて劣化する。さらに、その表面にマウンドと呼ばれる突起物等が発生する場合もあるため、その面を接合すると、これらの影響によりボイドやブリスターと呼ばれる接合不良が発生しやすい。従って、エピタキシャル層をわずかに研磨してから接合に供するといった手段が取られることもある。
これに対して、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハの場合、単結晶インゴットから切り出され、鏡面ウエーハに加工された鏡面研磨面をそのまま使用できるのでエピタキシャルウエーハに比べて接合不良を低減することができる。
また、剥離後のボンドウエーハを再びボンドウエーハとして再利用する際には、剥離面を研磨してから使用する必要があるが、エピタキシャルウエーハの場合には研磨代を大きくするとエピタキシャル層が除去されてしまうという問題があるため、予めエピタキシャル層の厚さを十分に厚く堆積しておくか、研磨代を少なくするといった対策が必要となる。この問題は、水素(アルゴン)アニールされたCZウエーハの様に、ウエーハ表面近傍のみのCOPが低減されているウエーハでも同様のことが言える。
これに対して、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハの場合、ウエーハ全体のCOPが低減されているため、再利用する際の研磨代を制限する必要は全くなく、複数回の再利用が可能となる。
また、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハは、大直径化が可能である点で有利である。FZウエーハを用いる場合には、現在、商用レベルで生産されている最大直径は150mmであり、200mm、300mmあるいはこれ以上の直径のウエーハを得ることは非常に困難であるのに対し、CZウエーハの場合は既に直径300mmのウエーハも量産されており、これ以上の大直径の研究も進んでいるため、大直径化への適用も十分に可能である。
以上のように、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハをボンドウエーハに用いて水素イオン剥離法によるSOIウエーハを製造することは、接合不良低減、ボンドウエーハへの再利用、大直径への適用という3つの効果を兼ね備えた唯一の方法であると言える。
本発明で行われる2段階の熱処理について、以下さらに詳しく説明する。
まず、水素またはアルゴンを含む雰囲気下で急速加熱・急速冷却装置を用いて行う熱処理は、1000℃〜シリコンの融点以下の温度範囲で、1〜300秒間行うようにすることができる。
このように、剥離後のSOI層を有するウエーハに急速加熱・急速冷却装置を用いて水素またはアルゴンを含む雰囲気下の熱処理を施せば、極めて短時間で効率よくSOI層表面の結晶性を回復し、表面粗さ、特にその短周期成分(約1μm角前後)を改善し、SOI層中のCOPも大幅に低減することができる。なお、熱処理温度としては、1200〜1350℃の温度範囲とするのがより効果的である。
このような、本発明で用いられる、SOIウエーハを水素またはアルゴンを含む雰囲気下で急速加熱・急速冷却できる装置としては、熱放射によるランプ加熱器のような装置を挙げることができる。また、市販されているものとして、例えばAST社製、SHS−2800のような装置を挙げることができ、これらは特別複雑で高価なものではない。
ここで、本発明で用いたSOI層を有するウエーハを水素またはアルゴンを含む雰囲気下で急速加熱・急速冷却できる装置の一例を示す。図6は、急速加熱・急速冷却できる装置の概略図である。
図6の熱処理装置20は、例えば炭化珪素あるいは石英からなるベルジャ21を有し、このベルジャ21内でウエーハを熱処理するようになっている。加熱は、ベルジャ21を囲繞するように配置される加熱ヒータ22,22’によって行う。この加熱ヒータは上下方向で分割されており、それぞれ独立に供給される電力を制御できるようになっている。もちろん加熱方式は、これに限定されるものではなく、いわゆる輻射加熱、高周波加熱方式としてもよい。加熱ヒータ22,22’の外側には、熱を遮蔽するためのハウジング23が配置されている。
炉の下方には、水冷チャンバ24とベースプレート25が配置され、ベルジャ21内と、大気とを封鎖している。そしてSOIウエーハ28はステージ27上に保持されるようになっており、ステージ27はモータ29によって上下動自在な支持軸26の上端に取りつけられている。水冷チャンバ24には横方向からウエーハを炉内に出し入れできるように、ゲートバルブによって開閉可能に構成される不図示のウエーハ挿入口が設けられている。また、ベースプレート25には、ガス流入口と排気口が設けられており、炉内ガス雰囲気を調整できるようになっている。
以上のような熱処理装置20によって、SOIウエーハを水素またはアルゴンを含む雰囲気下で急速加熱・急速冷却する熱処理は次のように行われる。
まず、加熱ヒータ22,22’によってベルジャ21内を、例えば1000℃〜シリコンの融点以下の所望温度に加熱し、その温度に保持する。分割された加熱ヒータそれぞれを独立して供給電力を制御すれば、ベルジャ21内を高さ方向に沿って温度分布をつけることができる。したがって、ウエーハの処理温度は、ステージ27の位置、すなわち支持軸26の炉内への挿入量によって決定することができる。熱処理雰囲気は、ベースプレート25のガス流入口より水素またはアルゴンを含む雰囲気ガスを導入することによって調整する。
ベルジャ21内が所望温度で維持されたなら、熱処理装置20に隣接して配置される、不図示のウエーハハンドリング装置によってSOIウエーハを水冷チャンバ24の挿入口から入れ、最下端位置で待機させたステージ27上に例えばSiCボート等を介してウエーハを乗せる。この時、水冷チャンバ24およびベースプレート25は水冷されているので、ウエーハはこの位置では高温化しない。
そして、SOIウエーハのステージ27上への載置が完了したなら、すぐにモータ29によって支持軸26を炉内に挿入することによって、ステージ27を1000℃〜シリコンの融点以下の所望温度位置まで上昇させ、ステージ上のSOIウエーハに高温熱処理を加える。この場合、水冷チャンバ24内のステージ下端位置から、所望温度位置までの移動には、例えば20秒程度しかかからないので、SOIウエーハは急速加熱されることになる。
そして、ステージ27を所望温度位置で、所定時間停止(例えば1〜300秒)させることによって、SOI層を有するウエーハに水素またはアルゴンを含む雰囲気下で、停止時間分の高温熱処理を加えることができる。所定時間が経過し高温熱処理が終了したなら、すぐにモータ29によって支持軸26を炉内から引き抜くことによって、ステージ27を下降させ水冷チャンバ24内の下端位置とする。この下降動作も、例えば20秒程度で行うことができる。ステージ27上のSOI層を有するウエーハは、水冷チャンバ24およびベースプレート25が水冷されているので、急速に冷却される。最後に、ウエーハハンドリング装置によって、SOIウエーハを取り出すことによって、熱処理を完了する。
さらに熱処理するSOIウエーハがある場合には、熱処理装置20の温度を降温させてないので、次々にウエーハを投入し連続的に熱処理をすることができる。
次いで、本発明で用いられるSOIウエーハの急速加熱・急速冷却装置(RTA装置)の他の一例を示す。
図7の熱処理装置30は、石英からなるチャンバー31を有し、このチャンバー31内でウエーハ38を熱処理するようになっている。加熱は、チャンバー31を上下左右から囲繞するように配置される加熱ランプ32によって行う。このランプ32はそれぞれ独立に供給される電力を制御できるようになっている。
ガスの排気側は、オートシャッター33が装備され、外気を封鎖している。オートシャッター33には、ゲートバルブによって開閉可能に構成される不図示のウエーハ挿入口が設けられている。また、オートシャッター33にはガス排気口が設けられており、炉内雰囲気を調整できるようになっている。
そして、ウエーハ38は石英トレイ34に形成された3点支持部35の上に配置される。トレイ34のガス導入口側には、石英製のバッファ36が設けられており、導入ガスがウエーハ38に直接当たるのを防ぐことができる。
また、チャンバー31には不図示の温度測定用特殊窓が設けられており、チャンバー31の外部に設置されたパイロメータ37により、その特殊窓を通してウエーハ38の温度を測定することができる。
以上のような熱処理装置30によって、ウエーハを急速加熱・急速冷却する処理は次のように行われる。
まず、熱処理装置30に隣接して配置される、不図示のウエーハハンドリング装置によってウエーハ38を挿入口からチャンバー31内に入れ、トレイ34上に配置した後、オートシャッター33を閉める。
そして、加熱ランプ32に電力を供給し、ウエーハ38を例えば1100〜1300℃の所定の温度に昇温する。この際、目的の温度になるまでに要する時間は例えば20秒程度である。次にその温度において所定時間保持することにより、ウエーハ38に高温熱処理を加えることができる。所定時間経過し高温熱処理が終了したなら、ランプの出力を下げウエーハの温度を下げる。この降温も例えば20秒程度で行うことができる。最後に、ウエーハハンドリング装置によってウエーハ38を取り出すことにより、熱処理を完了する。
以上のように、本発明でいう急速加熱・急速冷却装置(RTA装置)による熱処理とは、図6のような装置を用い、前記温度範囲に設定された熱処理炉中にウエーハを直ちに投入し、上記熱処理時間の経過後、直ちに取り出す方法や、図7のような装置を用い、ウエーハを熱処理炉内の設定位置に配置した後、ランプ加熱器等で直ちに加熱処理する方法などを挙げることができる。この直ちに投入し、取り出すというのは、従来行われている一定時間での昇温、降温操作や熱処理炉内にウエーハを、ゆっくり投入し、取り出すいわゆるローディング、アンローディング操作を行わないということである。ただし、炉内の所定位置まで運ぶには、ある程度の時間を有するのは当然であり、ウエーハを投入するための移動装置の能力に従い、数秒から数分間で行われるというものである。
このような図6又は図7に示す熱処理装置を用いて熱処理する場合、本発明の水素またはアルゴンを含む雰囲気下の熱処理の雰囲気としては、例えば水素100%雰囲気またはアルゴン100%雰囲気、あるいは水素とアルゴンとの混合雰囲気で行うことができる。
このような熱処理雰囲気とすれば、SOIウエーハ表面に害となるような被膜を形成することもなく、確実にSOIウエーハの表面のダメージ層の結晶性を回復し、表面粗さ、特にその短周期成分を改善するこができるからである。
次に、本発明で行われる2段階の熱処理のうち、水素またはアルゴンを含む雰囲気下でバッチ式炉による熱処理について説明する。
ここで、バッチ式炉とは、通常、縦型または横型の熱処理炉に複数のウエーハを載置し、水素ガスを導入して比較的緩やかに昇温した後、所定温度で所定時間熱処理を施し、比較的ゆっくりと降温する、いわゆるバッチ式の熱処理炉であり、一度に大量のウエーハの熱処理が可能である。また、温度の制御性に優れており、安定した操業が可能である。
バッチ式炉による熱処理条件は、熱処理時間が長くなること以外、基本的には上記RTA装置の場合と変わらず、水素100%雰囲気またはアルゴン100%雰囲気、あるいは水素とアルゴンとの混合雰囲気の下、1000℃〜シリコンの融点以下の温度、特に、1200〜1350℃の温度範囲とするのがより効果的である。
このように、バッチ式炉を用いて水素またはアルゴンを含む雰囲気下の熱処理を施せば、SOIウエーハの表面粗さの長周期成分(例えば約10μm角前後)を改善することができる。特に、前記急速加熱・急速冷却装置を用いた熱処理後に、上記のようなバッチ式炉を用いた熱処理を施すことにより、ボンドウエーハとしてCZウエーハを用いた場合でも、SOIウエーハの短周期から長周期に及ぶ表面粗さの改善を行うことができると共に、COP起因で生じるピットも無いSOIウエーハとすることができる。
また、急速加熱・急速冷却装置のみで長時間処理する方法に比べ、効率的に熱処理することができ、表面特性に優れたSOIウエーハを高いスループットで、かつ低コストで製造することができる。
以上のように本発明により製造されたSOIウエーハは、その表面粗さに関する1μm角及び10μm角のRMS値が共に0.5nm以下のSOIウエーハとすることができる。
このように表面粗さに関する1μm角及び10μm角のRMS値が共に0.5nm以下である本発明に係るSOIウエーハは、短周期から長周期に及ぶその表面粗さが、鏡面研磨ウエーハと略同等であり、しかも膜厚均一性にも優れるため、近年の高集積デバイスの作製に好適に使用することができる。
以下、本発明に係る熱処理試験、並びに実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<RTA装置による熱処理試験>
SOIウエーハの製造:
まず、CZ法により製造した直径が150mmのシリコン鏡面ウエーハのうち、一方をベースウエーハ1、他方をボンドウエーハ2として用い、図1の(a)〜(e)に従って、ボンドウエーハ2を剥離して、SOI層を有するウエーハ6を得た。この時、SOI層7の厚さは0.4ミクロンとし、その他イオン注入等の主な条件は次の通りとした。
1)埋込み酸化膜厚:400nm(0.4ミクロン)、
2)水素注入条件:H+ イオン、注入エネルギ 100keV
注入線量 8×1016/cm2
3)剥離熱処理条件:N2 ガス雰囲気下、500℃、30分
こうして厚さ約0.4ミクロンのSOI層7を有するウエーハ6を得た。
表面粗さの測定:
まず、図1(e)の剥離したまま、すなわち本発明に係る2段階熱処理を全く施していないSOI層を有するウエーハの表面(剥離面)の表面粗さについて、原子間力顕微鏡法により1ミクロン角及び10ミクロン角でP−V(Peak to Valley)値及びRMS値での表面粗さの測定を行った。P−V値で、1ミクロン角の場合は平均56.53nm、10ミクロン角の場合は平均56.63nmだった。また、RMS(自乗平均平方根粗さ)値では、1ミクロン角の場合は平均7.21nm、10ミクロン角の場合は平均5.50nmであった。
次に、前記図1の(a)〜(e)の工程により得られたSOI層を有するウエーハに、水素を含む雰囲気の下、1000℃〜1225℃の温度範囲でRTA処理を施した後、原子間力顕微鏡法により1ミクロン角及び10ミクロン角でP−V値及びRMS値での表面粗さを測定した。
以上の測定結果を図2から図5のグラフに示した。
図2は、RTA処理温度及び処理時間と、1ミクロン角でのP−V値の関係を示したグラフである。このグラフから、1000℃〜1225℃の温度範囲で数秒ないし数十秒のRTA処理を施すことにより、未処理のものに比べ表面粗さの短周期成分(1μm)が大きく改善され、鏡面研磨ウエーハ(PW)に近いP−V値が得られることが分かる。尚、図2において、1000、1100、1200、1225℃の各温度に対応するプロットの形状は、それぞれ四角、三角、ひし形、丸で表してある。
一方、図3は、RTA処理温度及び処理時間と、10ミクロン角でのP−V値の関係を示したグラフである。表面粗さの長周期成分(10μm)に関しては、上記短周期成分の場合とは異なり、処理時間が長くなるほど徐々に改善され、鏡面研磨ウエーハ(PW)と同等のP−V値を得るには、処理温度により差があるが、例えば1225℃で処理した場合でも数千秒程度の時間を要することが分かる。
また、図4及び図5は、それぞれ表面粗さの短周期成分(1μm)と長周期成分(10μm)についてRMS値での測定結果を示したものであり、RTA処理温度及び処理時間と、RMS値の関係を示したグラフである。
図4のグラフから、1200℃のRTA処理では処理時間が長いほどRMS値が減少し、表面粗さが経時的に改善する傾向を示しているものの、いずれの温度でも数秒ないし数十秒のRTA処理を施すことにより鏡面研磨ウエーハ(PW)と同程度までRMS値が大きく改善されていることが分かる。尚、図4のプロット形状と熱処理温度との関係は図2と同様である。
一方、表面粗さの長周期成分に関しては、図5のグラフから明らかなように、上記短周期成分の場合とは異なり、処理時間が長くなるほど徐々に改善され、鏡面研磨ウエーハ(PW)と同程度のRMS値を得るには、処理温度により差があるが、例えば1225℃で処理した場合でも数千秒程度の時間を要することが分かる。
以上の結果から、RTA処理を施すことにより、表面粗さの短周期成分(約1μm)については非常に短い時間(数秒ないし数十秒)で大きく改善されて鏡面研磨ウエーハと同程度となるが、長周期成分(約10μm)については、処理温度にもよるが、長時間(数千秒以上)に及んで熱処理しなければ鏡面研磨ウエーハと同程度とはならないことが分かる。
<実施例1、2及び比較例1>
SOIウエーハの熱処理:
図1の(a)〜(e)工程に従って前記RTA装置による熱処理試験で使用したSOIウエーハと同条件で製造されたSOIウエーハに、表1に示す熱処理条件の下でRTA装置による熱処理(水素100%雰囲気)を施した後、バッチ式炉による熱処理(アルゴン100%雰囲気)を施し、本発明に係る2段階の熱処理を施したSOIウエーハを得た(実施例1、2)。一方、RTA装置による熱処理後、バッチ式炉による熱処理を施さないものも用意した(比較例1)。
Figure 2008028415
表面粗さ測定:
前記実施例1、2及び比較例1で得たSOIウエーハの熱処理前及び熱処理後の表面粗さ(RMS値)を原子間力顕微鏡法により1ミクロン角及び10ミクロン角で測定し、その結果を表2に示した。
Figure 2008028415
表2の結果から明らかなように、熱処理前のRMS値は、1μm角、10μm角ともウエーハ間での差はほとんど見られない。
一方、熱処理後では、1μm角ではウエーハ間での差はほとんど無いものの、10μm角では実施例1、2のウエーハは大きく改善されて、それらの1μm角のRMS値に近い値を示しているのに対し、バッチ式炉による熱処理を施していない比較例1のウエーハは、1μm角では大きく改善されているが、10μm角では実施例1、2のRMS値よりかなり大きく、表面粗さの長周期成分が十分改善されていないことが分かる。
<実施例3、4>
ボンドウエーハの作製:
磁場を印可して引き上げるCZ法を用い、引き上げ条件(V/G)を制御してグローイン欠陥を低減したシリコン単結晶を引き上げ、このインゴットを通常の方法により加工し、結晶全体のCOPを低減したCZ鏡面ウエーハ(直径200mm、結晶方位<100>)を作製した(実施例3)。このウエーハ表面のCOPおよびヘイズレベルを表面検査装置(KLAテンコール社製、SP−1)により測定したところ、直径0.12μm以上のCOPは全く存在せず、その鏡面のヘイズレベルは平均約0.03ppmであった。
一方、通常の引き上げ条件(引き上げ速度1.2mm/min)で引き上げたシリコン単結晶インゴットから作製されたCZ鏡面ウエーハ(直径200mm、結晶方位<100>)を、エピタキシャル成長装置に投入し、1125℃で10μm厚のエピタキシャル層を有するエピタキシャルウエーハを作製した(実施例4)。
エピタキシャル層堆積前のCZウエーハ表面に存在する直径0.12μm以上のCOPは平均約1000個/ウエーハであった。また、エピタキシャル層表面のヘイズレベルは、平均約0.2ppmであった。また、マウンドと呼ばれる突起物が見られるウエーハも存在していた。
SOIウエーハの製造:
前記実施例3、実施例4の方法によりボンドウエーハとして作製されたウエーハをそれぞれ10枚ずつ用意し、図1の(a)〜(e)工程に従い、前記RTA装置による熱処理試験と同一条件でSOIウエーハを製造し、剥離後のSOI表面や接合界面を観察することにより、ボイドやブリスターの有無を調査するとともに、その発生原因を評価した。その結果、実施例3のウエーハを用いて製造したSOIウエーハの場合は、ボンドウエーハの表面(接合面)のヘイズや突起物に起因すると考えられるボイドは全く観察されなかったのに対し、実施例4のウエーハを用いて製造したSOIウエーハの場合、エピタキシャル層表面のヘイズまたはマウンドに起因すると考えられるボイドやブリスターが存在するウエーハが10枚中3枚あることが確認された。
SOIウエーハの熱処理:
前記実施例3、実施例4の剥離後のSOIウエーハに対し、SOI層表面を研磨することなく、バッチ式炉を用いてアルゴン97%/水素3%雰囲気下、1225℃、3時間の熱処理を行なった。
表面粗さ測定:
前記実施例3、4で得たSOIウエーハの熱処理前後の表面粗さを1ミクロン角及び10ミクロン角で測定し表3に示した。
Figure 2008028415
以上、実施例を示して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記実施例ではCZウエーハが用いられているが、本発明で使用できるウエーハはこれに限定されず、エピタキシャルウエーハあるいはFZウエーハを用いることもできる。
また、上記では2枚の半導体ウエーハ(シリコンウエーハ)を結合する場合を中心に説明したが、本発明はこれには限定されず、半導体ウエーハと絶縁基板(例えば、石英、サファイア、アルミナ基板等)とを直接結合してSOIウエーハを作製する場合にも同様に適用することができる。
(a)〜(h)は、本発明の水素イオン剥離法によるSOIウエーハの製造工程の一例を示すフロー図である。 RTA処理温度及び処理時間と、1ミクロン角でのP−V値の関係を示したグラフである。 RTA処理温度及び処理時間と、10ミクロン角でのP−V値の関係を示したグラフである。 RTA処理温度及び処理時間と、1ミクロン角でのRMS値の関係を示したグラフである。 RTA処理温度及び処理時間と、10ミクロン角でのRMS値の関係を示したグラフである。 急速加熱・急速冷却装置の一例を示した、概略図である。 急速加熱・急速冷却装置の他の一例を示した、概略図である。
符号の説明
1…ベースウエーハ、 2…ボンドウエーハ、 3…酸化膜、
4…水素イオン注入微小気泡層(封入層)、 5…剥離ウエーハ、
6…SOI層を有するウエーハ、 7…SOI層、
20…熱処理装置、 21…ベルジャ、 22,22’…加熱ヒータ、
23…ハウジング、 24…水冷チャンバ、 25…ベースプレート、
26…支持軸、 27…ステージ、 28…SOIウエーハ、
29…モータ、
30…熱処理装置、 31…チャンバー、 32…加熱ランプ、
33…オートシャッター、 34…石英トレイ、 35…3点支持部、
36…バッファ、 37…パイロメータ、 38…ウエーハ。

Claims (3)

  1. 少なくとも、ベースウエーハとガスイオンの注入により形成された微小気泡層を有するボンドウエーハとを接合する工程と、前記微小気泡層を境界としてSOI層を有するウエーハを剥離する工程とを含む水素イオン剥離法によってSOIウエーハを製造する方法において、前記ボンドウエーハとして、FZウエーハまたはエピタキシャルウエーハ、あるいは少なくとも表面のCOPを低減したCZウエーハの何れかを使用し、前記剥離工程後、水素またはアルゴンを含む雰囲気下で、前記SOI層を有するウエーハにバッチ式炉で熱処理を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  2. 少なくとも、ベースウエーハとガスイオンの注入により形成された微小気泡層を有するボンドウエーハとを接合する工程と、前記微小気泡層を境界としてSOI層を有するウエーハを剥離する工程とを含む水素イオン剥離法によってSOIウエーハを製造する方法において、前記ボンドウエーハとして、結晶全体のCOPを低減した単結晶インゴットから作製されたCZウエーハを使用し、前記剥離工程後、水素またはアルゴンを含む雰囲気下で、前記SOI層を有するウエーハにバッチ式炉で熱処理を施すことを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  3. 前記バッチ式炉による熱処理条件は1200〜1350℃の温度範囲とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のSOIウエーハの製造方法。
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