JP4379927B2 - Soiウエーハの製造方法およびsoiウエーハ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はSOI(Silicon On Insulator)ウエーハのSOI層の膜厚均一性が保持され、SOI層表面の潜傷、ダメージ層、表面粗さを除去することができるSOIウエーハの製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SOI構造のウエーハの作製法としては、酸素イオンをシリコン単結晶に高濃度で打ち込んだ後に、高温で熱処理を行い酸化膜を形成するSIMOX(Separation By Implanted Oxygen)法によるものと、2枚の鏡面研磨したシリコンウエーハを接着剤を用いることなく結合し、片方のウエーハを薄膜化する結合法が注目されている技術である。
【0003】
SIMOX法は、デバイス活性領域となるSOI層の膜厚を、酸素イオン打ち込み時の加速電圧で決定、制御できるために、薄層でかつ膜厚均一性の高いSOI層を容易に得る事ができる利点があるが、埋め込み酸化膜の信頼性や、SOI層の結晶性、1300℃以上の温度での熱処理が必要である等問題が多い。
【0004】
一方、ウエーハ結合法は、単結晶のシリコン鏡面ウエーハ2枚のうち少なくとも一方に酸化膜を形成し、接着剤を用いずに貼り合わせ、次いで熱処理(通常は1000℃〜1200℃)を加えることで結合を強化し、その後片方のウエーハを研削や湿式エッチングにより薄膜化した後、薄膜の表面を鏡面研磨してSOI層を形成するものであるので、埋め込み酸化膜の信頼性が高くSOI層の結晶性も良好であるという利点があるが、機械的な加工により薄膜化しているために、得られるSOI層の膜厚およびその均一性に限界がある。
【0005】
しかしながら、半導体デバイスの高集積化、高速度化等により、SOI層の厚さはさらなる薄膜化が要求されており、1μm以下といった極薄のSOI層が要求されるようになってきている。従って、このような極薄のSOI層を結合ウエーハで作製し、今後のCMOS基板としてSIMOX法と同等またはそれ以上の薄膜化を達成するためには、最低でも0.1±0.01μmの膜厚と加工精度が必要とされている。
【0006】
この結合ウエーハで0.1±0.01μmの膜厚と加工精度を実現するための技術として、特開平5−160074号公報に開示されているいわゆるPACE(Plasma Assisted Chemical Etching)法と呼ばれる方法が開発された。このPACE法は気相エッチングによる薄膜の厚さを均一化する方法であり、予め均一化しようとするシリコン層の厚さの分布を測定して、厚さ分布のマップを作成し、そのマップにしたがって数値制御により厚い部分を局所的に気相エッチングにより除去することによって、極薄でかつ膜厚がきわめて均一な薄膜を作製することができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記PACE法では高周波プラズマを用いて薄膜の表面をエッチング除去するために、SOI層表面に極僅かではあるがダメージが入ってしまう。また、PACE法で処理したSOI層表面には、新たにヘイズと呼ばれる周期が0.01〜5μm程度の微小な面粗さが入ることがあり、このヘイズの改善のために、PACE法で処理後、タッチポリッシュと呼ばれる研磨代の極めて少ない鏡面研磨を行う等の処理が必要となる。
【0008】
ところが、このタッチポリッシュ後のSOI層をH.Gassel(J.Electrochem.Soc.,140,pp1713,1993) らにより開示された、四段セコエッチング法を応用して評価すると、SOI層表面には高密度の結晶欠陥が存在することがわかった。すなわち、タッチポリッシュではPACE法で入った潜傷やダメージ、結晶欠陥を完全には除去できないか、あるいはタッチポリッシュ自体で新たな潜傷やダメージ、結晶欠陥が導入されていることになる。これらの残留ダメージや結晶欠陥はデバイスの電気特性に悪影響を及ぼしてしまう。また、タッチポリッシュでは、ウエーハ面内の研磨代が不均一になり易く、PACE加工により得られた良好なSOI層膜厚の均一性が悪化するという欠点を避けることはできなかった。
【0009】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、SOI層を気相エッチング後、タッチポリッシュ等の研磨に変わる新たな処理方法と処理条件を確立し、良好な膜厚均一性を保持しつつ、気相エッチングで入った潜傷や、ダメージ層、結晶欠陥、表面粗さを確実に除去するとともに、表面粗さの極めて小さい、結晶性に優れた薄膜SOI層を有するSOIウエーハを、比較的簡単にかつ比較的低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、SOI層を気相エッチングする工程を有するSOIウエーハの製造方法において、該気相エッチング後、SOI層の表面を研磨することなく、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を加えることを特徴とするSOIウエーハの製造方法である。
【0011】
このように、SOI層を気相エッチング後、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を加えることによって、気相エッチングで得られたSOI層の良好な膜厚均一性を保持したまま、SOI層表面に残留する潜傷やダメージ層、表面粗さを確実に除去することができる。従って、機械的な研磨をする必要がなくなり、膜厚均一性に優れた極めて高品質のSOIウエーハを製造することができる。
【0012】
この場合、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を、1000℃〜シリコンの融点以下の温度範囲で、6時間以下行なうようにした。
このような条件の高温長時間熱処理を加えれば、確実に気相エッチング後のSOI層の表面にある潜傷、ダメージ層および表面粗さを除去することができる。また、この水素を含む還元性雰囲気下の熱処理は通常の熱処理炉を用いて行うことができる。
【0013】
また、本発明では、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を、急速加熱・急速冷却装置を用いて、1000℃〜シリコンの融点以下の温度範囲で、1〜300秒間行うようにした。
このように、気相エッチング後のSOIウエーハに、急速加熱・急速冷却装置を用いて、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を施せば、極めて短時間で効率よくSOI層表面の潜傷、ダメージ層および表面粗さを改善することができる。
【0014】
そして、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を、100%水素雰囲気または水素とアルゴンの混合雰囲気で行うのが好ましい。
このような熱処理雰囲気とすれば、確実にSOI層表面の潜傷、ダメージ層および表面粗さを改善することができる。
【0015】
さらに、このような本発明の方法によれば、膜厚均一性の良好な、SOI層表面の潜傷、ダメージ層および表面粗さを除去した極めて高品質のSOIウエーハを得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、図1は本発明のウエーハ結合法でSOIウエーハを製造する方法の製造工程の一例を示すフロー図である。
【0017】
図1の工程では、気相エッチング工程と水素を含む還元性雰囲気下の熱処理工程を有するSOIウエーハの製造工程となっている。
先ず、工程1では、2枚のシリコン鏡面ウエーハを準備するものであり、デバイスの仕様に合ったウエーハを準備する。
工程2では、そのうちの少なくとも一方のウエーハを熱酸化し、その表面に約0.1μm〜2.0μm厚の酸化膜を形成する。
工程3では、2枚の鏡面ウエーハの鏡面同士を貼り合わせて接合する工程であり、常温の清浄な雰囲気下で2枚のウエーハの鏡面同士を接触させることにより、接着剤等を用いることなくウエーハ同士が接着する。
【0018】
工程4では、接合したウエーハ同士の結合力は、そのままデバイス工程で使用するには弱いので、酸化性雰囲気下、熱処理を行い結合強度を十分なものとする必要があるが、この熱処理はウエット酸素雰囲気下、1050℃〜1200℃で30分から2時間の範囲で行うことが好ましい。
次に、工程5では、結合ウエーハの一方の面を研削する工程であり、研削を行うのは工程2で酸化膜を形成した方のウエーハでも、酸化膜を形成しなかった方のウエーハのどちらでもよく、SOI層の厚さが10μm程度となるように一方のウエーハの裏面(結合ウエーハの表面)から研削除去する。
そして、工程6では、工程5で研削した研削面を鏡面研磨する工程であり、通常の鏡面研磨ウエーハ製造工程と同様の鏡面研磨を行い、SOI層の厚さを約2μm〜7μmとする。
ここまでの工程は、通常の結合法によるSOIウエーハの製造方法と変わりがない。
【0019】
次に、工程7は、気相エッチングによるSOI層のさらなる薄膜化と厚さを均一化する工程であり、例えば、PACE法により行えばよい。図2はPACE法による気相エッチングの概略を示す概念図で、(a)は斜視図、(b)断面図である。
【0020】
PACE法は、図2(a)(b)に示すように高周波プラズマ16を空洞12内に局在化させて、気相エッチングを行う方法で、膜厚の均一化に極めて有効な方法である。この方法は、いわゆるドライエッチ法の一つで、まず結合ウエーハ11上のSOI層の厚さ分布を測定した後、その分布に従って、結合ウエーハ11上を膜厚分布に応じて空洞12の走行速度を制御することにより、SOI層の表面がプラズマ16に暴露される時間が制御され、その結果表面のエッチング除去量が制御されることによって、結合ウエーハ11上のSOI層の厚さを均一化するものである。プラズマ16は、結合ウエーハ11を挟んで上下に配置された、電極13、14に高周波電源15から高周波を印加することによって、空洞12内に局在化して発生させる。そして、この空洞が結合ウエーハ11上を自在に走行できるようになっていてエッチングが行なわれる。
【0021】
そして、次に、従来法ではタッチポリッシュ等の鏡面研磨の工程を行い、上記工程7の気相エッチングで導入されたSOI層表面のヘイズ等の除去を行っていたが、このように気相エッチング後に研磨を行うと却ってSOI層の膜厚の均一性が悪化したり、潜傷やダメージ層が導入され、結晶性が劣化し易いという欠点がある。
【0022】
そこで本発明では工程8において、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を行ない、SOI層表面の潜傷、ダメージ層および表面粗さを確実に除去しようというものである。
このように、気相エッチング後、SOI層表面を研磨することなく、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を加えることによって、SOI層表面に残留する潜傷、ダメージ層と表面粗さを、膜厚均一性を劣化させることなく除去することができるようになった。
以上の工程を経て、結晶品質が高く、膜厚均一性に優れたSOI層を有する高品質のSOIウエーハを製造することができる。
【0023】
以下、本発明の気相エッチング後に行われる水素を含む還元性雰囲気下の熱処理(水素アニール法ということもある)を詳細に説明する。
上記工程8の水素を含む還元性雰囲気下の熱処理は、例えば1000℃〜シリコンの融点以下、より好ましくは1200℃〜1350℃の温度範囲で、6時間以下行なうのが好ましい。
【0024】
このような条件の高温長時間熱処理をすれば、どのような形式の熱処理炉を用いても確実に気相エッチング後のSOI層の表面にある潜傷、ダメージ層および表面粗さ等を除去することができる。1200℃以上のような高温であると、特に効率的に潜傷、ダメージ層および表面粗さ等を改善することができ、熱処理時間も短縮できるが、1350℃を越えて熱処理すると炉の耐久性や、ウエーハ汚染の問題が生じることがあるので、1200℃〜1350℃の範囲とするのが良い。
【0025】
また、上記のように通常の熱処理炉を用いたのでは時間がかかり過ぎるので、本発明では、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を、急速加熱・急速冷却装置(Rapid Thermal Annealer, RTA装置と略称することがある)を用いて、1000℃〜シリコンの融点以下の温度範囲で、1〜300秒間処理することができる。
このように、気相エッチング後のSOI層に、RTA装置を用いて、水素アニールを施せば、極めて短時間で効率よくSOI層表面の潜傷、ダメージ層および表面粗さ等を改善することができる。この場合も上記と同様に、1200〜1350℃の温度範囲とすればより効果的である。
【0026】
この場合、水素を含む熱処理の雰囲気としては、水素100%雰囲気あるいは、水素の還元力を調整したり安全上等の理由からアルゴンとの混合雰囲気で行うことができる。
このような熱処理雰囲気とすれば、前工程の気相エッチングで得られた膜厚均一性を保持したまま、確実にSOI層表面の潜傷、ダメージ層および表面粗さ等を改善することができる。
【0027】
尚、SOI層を形成するウエーハとしてチョクラルスキー法(CZ法)によって作製されたCZウエーハを用いた場合、CZウエーハ中には結晶製造時に導入されたCOP(Crystal Originated Particle )と呼ばれる欠陥が存在しているため、近年要求されているようにSOI層が薄い場合には、このCOPがSOI層を貫通して存在し、ピンホールを形成する場合がある。
このような場合、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を長時間にわたり行うと、還元性ガスがこのピンホールを通って侵入し、埋め込み酸化膜を還元してしまうと言う問題が生じるが、急速加熱・急速冷却装置を用いて熱処理を行えば、極めて短時間の熱処理で済むので、上記埋め込み酸化膜を還元してしまうこともないのに加えて、SOI層中のCOPを低減あるいは消滅させることが可能である。
【0028】
一方、SOI層を形成するウエーハとして、エピタキシャルウエーハあるいはフローティングゾーン法(FZ法)によって作製されたFZウエーハを用いた場合には、上記COPの問題は生じないので、通常の炉を用いて熱処理を行っても良いが、長時間の熱処理が必要になることには変わりがないので、急速加熱・急速冷却装置を用いた方が効率的である。
【0029】
本発明で用いられる、SOIウエーハを、水素を含む還元性雰囲気下で急速加熱・急速冷却できる装置としては、熱放射によるランプ加熱器のような装置を挙げることができる。また、その他市販されているものとして、例えばAST社製、SHS−2800のような装置を挙げることができ、これらは特別複雑で高価なものではない。
【0030】
ここで、本発明で用いたSOIウエーハを水素を含む還元性雰囲気下で急速加熱・急速冷却できる装置の一例を示す。図3は、このような急速加熱・急速冷却できる装置の概略断面図である。
図3の熱処理装置20は、例えば炭化珪素あるいは石英からなるベルジャ21を有し、このベルジャ21内でウエーハを熱処理するようになっている。加熱は、ベルジャ21を囲繞するように配置される加熱ヒータ22,22’によって行う。この加熱ヒータは上下方向で分割されており、それぞれ独立に供給される電力を制御できるようになっている。もちろん加熱方式は、これに限定されるものではなく、いわゆる輻射加熱、高周波加熱方式としてもよい。加熱ヒータ22,22’の外側には、熱を遮蔽するためのハウジング23が配置されている。
【0031】
炉の下方には、水冷チャンバ24とベースプレート25が配置され、ベルジャ21内と、外気とを封鎖している。そしてSOIウエーハ28はステージ27上に保持されるようになっており、ステージ27はモータ29によって上下動自在な支持軸26の上端に取りつけられている。水冷チャンバ24には横方向からウエーハを炉内に出し入れできるように、ゲートバルブによって開閉可能に構成される不図示のウエーハ挿入口が設けられている。また、ベースプレート25には、ガス流入口と排気口が設けられており、炉内ガス雰囲気を調整できるようになっている。
【0032】
以上のような熱処理装置20によって、SOIウエーハの還元性雰囲気下急速加熱・急速冷却する熱処理は次のように行われる。
まず、加熱ヒータ22,22’によってベルジャ21内を、例えば1000℃〜シリコンの融点以下の所望温度に加熱し、その温度に保持する。分割された加熱ヒータそれぞれを独立して供給電力を制御すれば、ベルジャ21内を高さ方向に沿って温度分布をつけることができる。したがって、ウエーハの処理温度は、ステージ27の位置、すなわち支持軸26の炉内への挿入量によって決定することができる。
【0033】
ベルジャ21内が所望温度で維持されたなら、熱処理装置20に隣接して配置される、不図示のウエーハハンドリング装置によってSOIウエーハを水冷チャンバ24の挿入口から入れ、最下端位置で待機させたステージ27上に例えばSiCボートを介してウエーハを乗せる。この時、水冷チャンバ24およびベースプレート25は水冷されているので、ウエーハはこの位置では高温化しない。
【0034】
そして、SOIウエーハのステージ27上への載置が完了したなら、すぐにモータ29によって支持軸26を炉内に挿入することによって、ステージ27を1000℃〜シリコンの融点以下の所望温度位置まで上昇させ、ステージ上のSOIウエーハに高温熱処理を加える。この場合、水冷チャンバ24内のステージ下端位置から、所望温度位置までの移動には、例えば20秒程度しかかからないので、SOIウエーハは急速に加熱されることになる。
【0035】
そして、ステージ27を所望温度位置で、所定時間停止(1〜300秒)させることによって、SOIウエーハに還元性雰囲気下で停止時間分の高温熱処理を加えることができる。所定時間が経過し高温熱処理が終了したなら、すぐにモータ29によって支持軸26を炉内から引き抜くことによって、ステージ27を下降させ水冷チャンバ24内の下端位置とする。この下降動作も、例えば20秒程度で行うことができる。ステージ27上のSOIウエーハは、水冷チャンバ24およびベースプレート25が水冷されているので、急速に冷却される。最後に、ウエーハハンドリング装置によって、SOIウエーハを取り出すことによって、熱処理を完了する。
さらに熱処理するSOIウエーハがある場合には、熱処理装置20の温度を降温させていないので、次々にSOIウエーハを投入し連続的に熱処理をすることができる。
【0036】
以上、詳述したように、本発明の方法によって膜厚均一性の良好な、極めて結晶性に優れた高品質のSOIウエーハを得ることができる。
特に、本発明では、SOI層の膜厚均一性が±8nm以下であり、SOI層の表面粗さがRMS値で0.3nm以下で、SOI層の表面欠陥密度が103 個/cm2 以下であるという、各品質項目ともに高品質のSOIウエーハを得ることができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
(1)SOIウエーハの作製
SOIウエーハを作製するための2枚のウエーハは、CZ法で引き上げられた方位〈100〉、直径8インチの鏡面研磨したシリコンウェーハを用いた。SOI層となるウエーハ(ボンドウエーハ)に酸化膜を0.2μm形成した後、支持基板となるもう一方のウエーハ(ベースウエーハ)と密着させ、これに1100℃で2時間の結合熱処理を加えた後、ボンドウエーハを研削・研磨し、さらにPACE法気相エッチングを行い、約0.1μmのSOI層を持つSOIウエーハを6枚作製し、4枚を実施例に、2枚を比較例に使用した。
【0038】
(2)還元性雰囲気下における熱処理とその結果
熱処理用RTA装置にはAST社製SHS−2800を用い、上記気相エッチング処理したSOIウエーハを水素ガス100%の雰囲気で、1200℃で10秒の急速加熱・急速冷却熱処理を行った。
【0039】
表1に原料となる鏡面研磨ウエーハ(ボンドウエーハとベースウエーハ)と、SOI層表面をPACE法気相エッチング処理したSOIウエーハとさらに水素アニールを施したSOIウエーハの三段階のウエーハの表面粗さを、原子間力顕微鏡法により、0.2μm角、1μm角の2水準で測定した値を、RMS値(二乗平均平方根値)とP−V値(ピークと底の差の最大値)で示した。
【0040】
その結果、気相エッチングによってSOI層の表面粗さは数倍面粗れしたものとなるが、急速加熱・急速冷却装置による水素アニールにより元の鏡面研磨ウエーハの表面粗さとほぼ同じ値まで改善されることがわかる。
【0041】
【表1】
【0042】
また、SOIウエーハのSOI層の膜厚を、気相エッチング後と水素アニール後のものについて測定し、膜厚の均一性を求めた。膜厚測定は反射分光法で行ない、SOIウエーハの面内を外周から10mmを除いて、1mmピッチで数千点測定した。
【0043】
その結果、気相エッチング後のSOI層の表面粗さのシグマ(標準偏差)は、2.4nmであり、従って、膜厚均一性(3シグマ)は±7.2nmで、悪くとも±8nm以内であった。
一方、水素アニール後のSOI層膜厚のシグマ(標準偏差)は、2.3nmであり、従って、膜厚均一性(3シグマ)は±6.9nmで、水素アニールにより膜厚の均一性は全く影響を受けておらず、悪くとも±8nm以下で極めて良好であることがわかった。
【0044】
さらに、SOIウエーハのSOI層の潜傷、ダメージ層の深さを、気相エッチング後と水素アニール後のものについて測定し、水素熱処理の効果を確認した。KOH水溶液によるエッチングを行ない、表面からのエッチング除去量を変えた試料を準備し、H.Gassel等により開示された四段セコエッチング法を行なった後、顕微鏡観察して、その表面に存在するピット密度をカウントすることによって測定した。
その結果、水素アニール後のSOI層表面には潜傷、ダメージ層が消滅していた。すなわち、SOI層の表面欠陥密度は約250個/cm2 であり、深さ方向にはこの値は殆ど変化せず、確実に103 個/cm2 以下とすることができることがわかった。従って、気相エッチングによるSOI層の膜厚の均一性を悪化させることなく、表面のダメージ層等を除去することができた。
【0045】
(比較例)
従来法に従って、PACE法気相エッチング後、研磨代を10nmとしてタッチポリッシュを施した。その結果の表面粗さを表1に併記した。タッチポリッシュによって表面粗さは、測定面積が微小局部的な場合は改善されているが、広くなると本発明の方法より数倍の面粗れになっていることがわかる。
また、膜厚均一性は、気相エッチング後の膜厚のシグマ(標準偏差)は2.4nmであり、従って、膜厚均一性(3シグマ)は±7.2nmであったのに対し、タッチポリッシュ後の膜厚のシグマは2.8nmであり、従って、膜厚均一性(3シグマ)は±8.4nm程度と若干悪くなる傾向が見られた。
さらに、タッチポリッシュによって潜傷、ダメージ層が導入されていることがわかった。すなわち上記実施例の場合と同様に、四段セコエッチング法処理後ピット密度を計測した所、気相エッチング後は約103 個/cm2 であったものがタッチポリッシュ後は約105 個/cm2 まで増加していた。
【0046】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0047】
例えば、上記実施形態で使用したSOIウエーハは、2枚のシリコン単結晶ウエーハをシリコン酸化膜を介して貼り合わせた、いわゆる貼り合わせSOIウエーハ(結合ウエーハ)を気相エッチング処理および還元性熱処理する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、シリコンウエーハと絶縁性ウエーハを結合してSOIウエーハとする場合、あるいは、シリコンウエーハをイオン注入したウエーハに結合し、その後注入部で分離してSOIウエーハを製造する方法(水素イオン剥離法またはスマートカット法と呼ばれる技術)で得たSOIウエーハにも適用することが可能である。
【0048】
また、上記実施形態では図3に示したような熱処理装置を用いたが、本発明はこのような装置により行わなければならないものではなく、SOIウエーハを水素を含む還元性雰囲気下の熱処理をすることができる熱処理装置で、1000℃以上に加熱することができるものであれば、原則としてどのような装置であっても用いることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、SOI層を気相エッチングした後、SOI層の表面を研磨することなく、水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を施すことによって、SOI層の膜厚均一性が極めて良好なSOIウエーハを製造することができると共にSOI層に残留する潜傷、ダメージ層および表面粗さが除去されるので、極めて高品質のSOIウエーハを低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSOIウエーハの製造工程の一例を示すフロー図である。
【図2】PACE法による気相エッチングの概略を示す概念図である。
(a)斜視図、(b)断面図。
【図3】SOIウエーハを急速加熱・急速冷却できる装置の一例を示した概略断面図である。
【符号の説明】
1…2枚の鏡面研磨ウエーハを準備する工程、
2…一方のウエーハを酸化する工程、
3…2枚のウエーハの鏡面同士を貼り合わせる工程、
4…酸化性雰囲気で結合熱処理する工程、
5…一方のウエーハの裏面から研削する工程、
6…研削面を鏡面研磨する工程、
7…PACE法気相エッチング工程、
8…水素を含む還元性雰囲気下熱処理、
11…結合ウエーハ、12…空洞、13、14…電極、15…高周波電源、
16…プラズマ、20…熱処理装置、21…ベルジャ、
22,22’…加熱ヒータ、23…ハウジング、24…水冷チャンバ、
25…ベースプレート、26 …支持軸、27…ステージ、
28…SOIウエーハ、29…モータ。
Claims (3)
- SOI層を気相エッチングする工程を有するSOIウエーハの製造方法において、該気相エッチング後、SOI層の表面を研磨することなく、急速加熱・急速冷却装置を用いて、水素を含む還元性雰囲気下、1000℃〜シリコンの融点以下の温度範囲で、1〜300秒間熱処理を加えることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
- 前記水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を、100%水素雰囲気または水素とアルゴンの混合雰囲気で行うことを特徴とする請求項1に記載したSOIウエーハの製造方法。
- 前記水素を含む還元性雰囲気下の熱処理を、1200℃〜1350℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載したSOIウエーハの製造方法。
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