JP4228419B2 - Soiウエーハの製造方法およびsoiウエーハ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製してSOIウエーハを製造する方法とこの方法により製造されたSOIウエーハに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶から得られたウエーハ(以下CZウエーハと呼ぶ)をSOI層を形成するボンドウエーハに用いて、SOI(Silicon On Insulater)ウエーハを製造する場合において、CZウエーハに存在するCOP(Crystal Originated Particle)が問題となっている。
【0003】
COPとは、結晶成長時に導入される結晶欠陥のひとつであり、正八面体構造の空洞型の欠陥であることがわかっている。このCOPは、鏡面研磨後のシリコンウエーハをアンモニアと過酸化水素の混合液で洗浄すると、ウエーハ表面にピットが形成され、このウエーハをパーティクルカウンターで測定すると、ピットも本来のパーティクルとともにパーティクルとして検出される。このようなピットを本来のパーティクルと区別するためにCOPと呼称されている。
【0004】
このCOPが存在するCZウエーハをボンドウエーハに用いてSOIウエーハを製造すると、例えば、デバイスの重要な電気的特性である酸化膜の経時絶縁破壊特性(Time Dependent Dielectric Breakdown:TDDB)や通常の酸化膜耐圧(Time Zero Dielectric Breakdown:TZDB)に悪影響を及ぼす。
【0005】
さらにCZウエーハ表面にあったCOPは薄いSOI層を貫通する穴となることがある。例えば、デバイス工程におけるエッチング工程や熱処理工程では、この穴から侵入したエッチャントや雰囲気ガスにより、埋め込み酸化膜がエッチングされたり、配線工程で段差が生じ、断線の原因となり、デバイス工程において歩留まりの低下を招き問題であった。
【0006】
このため、半導体基板の製造方法として、CZウエーハではなくFZウエーハをボンドウエーハに用いてSOIウエーハを製造する方法が考えられた。このFZウエーハにはCOPが無いという利点がある。しかし、現行では8インチ以上の大直径のウエーハを作製する技術が確立しておらず、近年の半導体基板の大直径化には対応できないという欠点がある。
【0007】
また、CZウエーハ上に単結晶薄膜層を成長させたエピタキシャルウエーハをSOIウエーハのボンドウエーハとして用いる方法がある。このエピタキシャルウエーハもエピタキシャル層にCOPが無いという利点を有する。しかし、現行ではエピタキシャルウエーハを製造するコストは、通常のボンドウエーハを製造するコストに比べて高価であるという欠点がある。
【0008】
そこで、CZウエーハを用いてSOIウエーハを製造する方法として、高温アニールを施してCOP密度を減少させたCZウエーハをボンドウエーハとして用いる方法が提案された(特開平10−84101号公報参照)。
しかし、その典型的な条件である1200℃で60分の水素アニールを行っても、ウエーハ表面のCOPは完全には消滅せず若干残留しており、さらに比較的表面近傍にもCOPが残存してしまう。
【0009】
さらに、水素アニールとは別のCOPを減少させる方法として考えられたのは、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を遅くして結晶欠陥を減少させる方法である。この方法によれば、COPの数を減少させることができ、さらに、この方法によって得られたシリコンウエーハに水素アニールを施せば、より効果的にSOIウエーハ製造に用いられるシリコンウエーハ中のCOPを削減できると考えられた。
しかし、この方法では、COPの数を減少させることはできるが、COPのサイズが大きくなってしまうため、このシリコン単結晶棒から得たウエーハを水素アニール処理しても、COPを完全に消滅させることはできなかった。
【0010】
このように、CZウエーハに水素アニールを行ってもCOPを十分に消滅させることが困難であり、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の引上げ速度を遅くしてもCOPのサイズが大きくなるため、水素アニールしても消滅しにくいという状況に陥っているのが現状である。そのため、このCZウエーハを用いたSOIウエーハのデバイス工程の歩留まりを向上させることは現行では困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、本発明の目的とする所は、COP等のウエーハ表面、表層部に存在する結晶欠陥を最小限に抑える手法により作製されたCZウエーハをボンドウエーハに用いることにより、デバイス工程の歩留まりを向上させ得るSOIウエーハの製造方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に記載した発明は、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行うSOIウエーハの製造方法において、
前記ボンドウエーハとして、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、該シリコンウエーハに還元性雰囲気中の熱処理を加えたものを用いることを特徴とするSOIウエーハの製造方法である。
【0013】
このように、CZウエーハをボンドウエーハとして用いるSOIウエーハの製造方法において、ボンドウエーハとして、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、該シリコンウエーハに還元性雰囲気中の熱処理を加えたものを用いれば、SOIウエーハのSOI層はCOPが大幅に減少されたものとなり、SOIウエーハ製造工程やデバイス工程におけるエッチングや熱処理で、埋め込み酸化膜がエッチングされたり、配線工程で断線が起こることがなく、デバイス工程等の歩留まりを著しく向上させることができる。
【0014】
また、本発明に記載した発明は、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行うSOIウエーハの製造方法において、
前記ボンドウエーハとして、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、該シリコンウエーハに急速加熱・急速冷却装置を用いて、還元性雰囲気中において1200℃以上の温度で1秒間以上の熱処理を加えたものを用いることを特徴とするSOIウエーハの製造方法である。
【0015】
このように、CZウエーハをボンドウエーハとして用いるSOIウエーハの製造方法において、ボンドウエーハとして、前記に記載した発明と同様の品質のシリコン単結晶棒からスライスして得たシリコンウエーハに、急速加熱・急速冷却装置を用いて、還元性雰囲気中において1200℃以上の温度で1秒間以上の熱処理を加えたものを用いれば、SOIウエーハのSOI層はCOPが大幅に減少されたものとなり、SOIウエーハ製造工程やデバイス工程におけるエッチングや熱処理で、埋め込み酸化膜がエッチングされたり、配線工程で断線が起こることがなく、デバイス工程等の歩留まりを著しく向上させることができる。
【0016】
ここで、急速加熱・急速冷却とは、前記温度範囲に設定された熱処理炉中にウエーハを直ちに投入し、前記熱処理時間の経過後、直ちに取り出す方法や、ウエーハを熱処理炉内の設定位置に配置した後、ランプ加熱器等で直ちに加熱処理する方法である。この直ちに投入し、取り出すというのは、従来より行われている一定時間での昇温、降温操作や熱処理炉内にウエーハを、ゆっくり投入し、取り出すいわゆるローディング、アンローディング操作を行わないということである。ただし、炉内の所定位置まで運ぶには、ある程度の時間を有するのは当然であり、ウエーハを投入するための移動装置の能力に従い、数秒から数分間で行われる。このような機能をもった装置を急速加熱・急速冷却装置(Rapid Termal Annealer、以下、RTA装置と略称することがある)という。
【0017】
そして、本発明に記載した発明は、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行うSOIウエーハの製造方法において、
前記ボンドウエーハとして、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、該シリコンウエーハにバッチ式熱処理炉を用いて、還元性雰囲気中において1200℃以上の温度で30分以上の熱処理を加えたものを用いることを特徴とするSOIウエーハの製造方法である。
【0018】
このように、CZウエーハをボンドウエーハとして用いるSOIウエーハの製造方法において、ボンドウエーハとして、前記に記載した発明と同様の品質のシリコン単結晶棒からスライスして得たシリコンウエーハに、バッチ式熱処理炉を用いて、還元性雰囲気中において1200℃以上の温度で30分以上の熱処理を加えたものを用いれば、SOIウエーハのSOI層はCOPが大幅に減少されたものとなり、SOIウエーハ製造工程やデバイス工程におけるエッチングや熱処理で、埋め込み酸化膜がエッチングされたり、配線工程で断線が起こることがなく、デバイス工程等の歩留まりを著しく向上させることができる。
【0019】
ここで、バッチ式熱処理炉とは、通常、縦型熱処理炉に設けた複数の棚段に複数のウエーハを載置するものや、横型熱処理炉に設けたボートに複数のウエーハを仕込むものがあり、水素ガスを導入して比較的緩やかに昇温した後、所定温度で所定時間熱処理を施し、比較的ゆっくりと降温する、いわゆるバッチ式で熱処理する炉の事であり、一度に大量の熱処理が可能であり、温度の制御性に優れており、安定した操業が可能である。
【0020】
この場合、本発明に記載したように、還元性熱処理を加えたボンドウエーハを、ベースウエーハと結合する前に研磨することが好ましく、本発明に記載したように、この研磨は研磨代5〜15nmで研磨することが好ましい。
これは、還元性熱処理を加えたウエーハの表面には、ヘイズと呼ばれる面粗れが生じるので、その表面を5〜15nmほど研磨してから結合すると、熱処理により生じたヘイズを除去することができ、ボイド(未結合部)の発生率が低下するとともに結合強度を向上させることができるからである。
【0021】
この場合、本発明に記載したように、ボンドウエーハの薄膜化は、研削・研磨法と気相エッチング法により行うことができる。
ここで、研削・研磨法と気相エッチング法とは、ボンドウエーハとベースウエーハとを酸化膜を介して結合した後、ボンドウエーハを所望のSOI層膜厚となるまで研削し、そのSOI層表面に研磨する方法、もしくはさらに気相エッチングを行うことにより、SOI層表面の表面粗さを改善するとともに膜厚を均一化する方法であり、ボンドウエーハの薄膜化を簡単に行うことができる。
【0022】
なお、この気相エッチングには、例えばPACE(Plasma Assisted Chemical Etching)法のような、予めエッチングしようとするシリコン層の厚さの分布を測定して、厚さ分布のマップを作成し、そのマップにしたがって数値制御により厚い部分を局部的に気相エッチングにより除去することにより、極薄でかつ膜厚がきわめて均一な薄膜を作製する方法を挙げる事ができる。
【0023】
この場合、本発明に記載したように、ボンドウエーハの薄膜化は、イオン注入分離法により行うことができる。
ここで、イオン注入分離法とは、ボンドウエーハとベースウエーハの2枚のウエーハのうち、少なくとも一方に酸化膜を形成すると共に、ボンドウエーハの上面から水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、該ウエーハの内部に微小気泡層(封入層)を形成させた後、該イオンを注入した方の面を酸化膜を介してベースウエーハと密着させ、その後熱処理を加えて微小気泡層を劈開面としてボンドウエーハを薄膜状に分離することにより、ボンドウエーハの薄膜化を行う方法である(特開平5−211128号公報参照)。このような方法であれば、該劈開面は良好な鏡面であり、SOI層の膜厚の均一性も高いSOIウエーハを比較的容易に得ることができる。
【0024】
そして、本発明に記載したように、前記還元性雰囲気を、100%水素雰囲気、あるいは水素とアルゴンの混合雰囲気とすれば、熱処理効果を十分に挙げ、COPを著しく減少させ、空洞をシリコンで埋めてほぼ無欠陥ウエーハとすることができる。
【0025】
さらに、本発明に記載した発明は、前記に記載した製造方法により製造されたSOIウエーハである。
このように、前記に記載した製造方法により製造されたSOIウエーハは、SOI層のCOPが極めて少なく、実際に無欠陥SOIウエーハとすることができる。そのため、デバイスの信頼性は著しく向上し、歩留まりも向上する極めて高品質なSOIウエーハとすることができる。
【0026】
以下、本発明につきさらに詳細に説明する。
本発明者は、SOIウエーハのSOI層を形成するボンドウエーハに用いられるCZウエーハについて、このウエーハの表面あるいは内部に存在するCOPを減少させることができる製造条件につき、種々実験、調査を重ねた結果、これには、高速で単結晶を引上げて、低酸素濃度で、微小サイズのCOPが高密度に存在する単結晶棒を作製し、これから得たウエーハに水素アニール等の熱処理をすれば、COP密度は著しく減少し、このシリコンウエーハから無欠陥SOIウエーハを得ることができることを知見し、諸条件を精査して本発明を完成させたものである。
【0027】
本発明の基本的な考え方は下記の知見に基づいている。本発明の発明者は先に、チョクラルスキー法の通常の条件で引上げたシリコン単結晶中のCOPには、厚さが2〜4nmの薄い酸化膜で囲まれた正八面体の空洞が2〜3個連結した構造で全体のサイズが100〜300nmのオーダーであるツイン〜トリプレット型のCOPの他に、1個の独立した正八面体の空洞で全体のサイズが60〜130nmのオーダーであり、酸化膜はツイン〜トリプレット型よりさらに薄いか存在しないシングル型のCOPが存在することを初めて発見した。
【0028】
このシングル型とツイン〜トリプレット型のCOPの生成条件の違いは、チョクラルスキー法により高速で引上げ急冷すると、シングル型でサイズが小さいCOPが多数発生し、さらに低酸素濃度では、COP内壁の酸化膜が極めて薄いか付いていないシングル型COPが生成される。
逆に低速で引上げ、ゆっくり冷却するとツイン〜トリプレット型のCOPに成長して数は減少するが、COP内壁の酸化膜は厚くなってくる傾向がある。
【0029】
そこで、上記現象をさらに詳細に解析した結果、従来はCOP等の欠陥を減らすために低速で単結晶成長を行い、残留している大きなツイン〜トリプレット型COPを、ウエーハになってから水素アニールによって消滅させようとしていたことが解った。これでは1個のCOPが大き過ぎる上に、その表面に厚い酸化膜があるので、水素アニールによって消滅させることが困難である。
これに対して、本発明では、逆に高速で、含有酸素濃度の低い単結晶を成長させ、微小で表面に酸化膜のないCOPか、あるいは酸化膜があっても薄いシングル型COPを多数発生させた単結晶棒を作り、その後ウエーハに水素アニール等による熱処理を施せば、COPは容易にかつ完全に消滅できると考えたものである。
【0030】
本発明では、シリコン単結晶成長条件の内、引上げ速度は、0.6mm/min以上、より好ましくは0.8mm/min以上の高速として、COPの個数は多いが、サイズが例えば60〜130nmと小さいシングル型のものが多いものとし、極力ツイン〜トリプレット型に成長しないようにした。従って、本発明ではより好ましくは、例えば1.0mm/min以上といった、引上げ結晶の直径に応じて可能な限り高速で結晶を成長させるのが望ましい。0.6mm/min未満では、緩速冷却となってツイン〜トリプレット型COPに成長し個数は減少するが、COP内壁の酸化膜も厚くなるので好ましくない。このシングル型COP1個のサイズは、60〜130nm程度で、内壁の酸化膜は低酸素濃度では成長していない場合が多い。
【0031】
シリコン単結晶棒の品質として、含有酸素濃度を16ppma(JEIDA)以下、好ましくは10ppma以下とする。16ppmaを超えると生成したCOP内壁の酸化膜が厚くなり、その後の熱処理でのCOPの消滅が不完全になったり、熱処理時間が長くなる等、SOIウエーハの品質や生産性に影響するようになる。
【0032】
シリコン単結晶棒の含有酸素濃度を制御するには、単結晶引上げ炉における、不活性ガス流量、ルツボの回転数、成長単結晶の回転速度、シリコン融液の温度等を適切に制御する等、従来公知の方法で簡単に達成することができる。
【0033】
続いて、上記シリコン単結晶棒をスライスして得たシリコンウエーハを、還元性雰囲気中の熱処理を施すことでCOPを著しく減少させることができる。COP密度を実質的に零にすることも可能である。そして、この熱処理したウエーハを、SOI層を形成するボンドウエーハに用いることにより、実質的に無欠陥のSOI層を有するSOIウエーハを製造することができるのである。
【0034】
また、上記シリコン単結晶棒をスライスして得たシリコンウエーハを急速加熱・急速冷却装置(RTA装置)またはバッチ式熱処理炉を用いて、熱処理を水素濃度100%あるいは水素とアルゴンとの混合の還元性雰囲気下で、1200℃以上の温度で、RTA装置では1秒間以上、バッチ式熱処理炉では30分間以上、滞在させることでCOPを著しく減少させることができる。特に、この熱処理条件によればCOP密度を実質的に零にすることも可能である。そして、この熱処理したウエーハを、SOI層を形成するボンドウエーハに用いることにより、実質的に無欠陥のSOI層を有するSOIウエーハを製造することができる。
【0035】
また、発明者は上記のようにして得られた無欠陥CZシリコンウエーハをSOIウエーハのボンドウエーハとして適用した場合について調査を行ったところ、この熱処理を加えたボンドウエーハをベースウエーハと酸化膜を介して結合する前に、ボンドウエーハの表面を研磨代5〜15nm程度で研磨することが好適であることを見出した。
【0036】
水素アニール等の熱処理を施されたボンドウエーハの表面には、一般にヘイズと呼ばれる、高密度の極めて小さな底の浅いピット(窪み)により面粗れが生じる。このヘイズは、その後にベースウエーハと結合する際にボイドが発生する原因となる。このボイドにより、ボンドウエーハとベースウエーハとの結合が不良となることもある。そこで、熱処理を行った後に、ボンドウエーハの表面を5〜15nm程度の少ない研磨代で研磨しておけば、このヘイズは完全に除去することができ、結合強度を強化することもできる。
尚、熱処理によるCOPの低減効果は、ボンドウエーハの表面に近い程、顕著であるので、この研磨代はヘイズが除去できる範囲で少ない方がよい。
【0037】
そして、ボンドウエーハの薄膜化を行いSOI層を形成するが、このボンドウエーハの薄膜化は、通常の研磨・研削法と気相エッチング法により行うこともできるし、イオン注入分離法により行うこともできる。
【0038】
ここで、イオン注入分離法によりボンドウエーハの薄膜化を行う場合は、前述の熱処理により生じたヘイズを除去する研磨を行った後に、研磨された面にイオンを注入することが好ましい。これは、注入後に研磨すると研磨の取り代のバラツキが、注入深さの分布を悪化させ、結果的に、SOI層の膜厚均一性が悪化してしまうことがあるからである。このヘイズ除去のための研磨後にイオンを注入すれば、SOI層の膜厚均一性が悪化することを防止できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の熱処理工程で用いられる、シリコンウエーハを急速加熱・急速冷却できる装置の加熱方式しては、熱放射によるランプ加熱方式、レーザ光線によるレーザ加熱方式、X線によるX線加熱方式および抵抗加熱方式によるヒーターのような装置を挙げることができる。市販されているものとして、例えばAST社製、SHS−2800のような装置を挙げることができ、これらは特別複雑で高価なものではない。
【0040】
ここで、本発明で用いたシリコン単結晶ウエーハの急速加熱・急速冷却装置(RTA装置)の一例を示す。図3は、RTA装置の概略図である。
図3の熱処理装置20は、例えば炭化珪素あるいは石英からなるベルジャ11を有し、このベルジャ11内でウエーハを熱処理するようになっている。加熱は、ベルジャ11を囲繞するように配置される加熱ヒータ12,12’によって行う。この加熱ヒータは上下方向で分割されており、それぞれ独立に供給される電力を制御できるようになっている。もちろん加熱方式は、これに限定されるものではなく、いわゆる輻射加熱、高周波加熱方式等としてもよい。加熱ヒータ12,12’の外側には、熱を遮蔽するためのハウジング13が配置されている。
【0041】
炉の下方には、水冷チャンバ14とベースプレート15が配置され、ベルジャ11内と、外気とを封鎖している。そしてウエーハ18はステージ17上に保持されるようになっており、ステージ17はモータ19によって上下動自在な支持軸16の上端に取りつけられている。水冷チャンバ14には横方向からウエーハを炉内に出し入れできるように、ゲートバルブによって開閉可能に構成される不図示のウエーハ挿入口が設けられている。また、ベースプレート15には、ガス流入口と排気口が設けられており、炉内ガス雰囲気を調整できるようになっている。
【0042】
以上のような熱処理装置20によって、ウエーハの急速加熱・急速冷却する熱処理は次のように行われる。
まず、加熱ヒータ12,12’によってベルジャ11内を、例えば1200℃以上の所望温度に加熱し、その温度に保持する。分割された加熱ヒータそれぞれを独立して供給電力を制御すれば、ベルジャ11内を高さ方向に沿って温度分布をつけることができる。したがって、ウエーハの処理温度は、ステージ17の位置、すなわち支持軸16の炉内への挿入量によって決定することができる。
【0043】
ベルジャ11内が所望温度で維持されたなら、熱処理装置20に隣接して配置される、不図示のウエーハハンドリング装置によってウエーハを水冷チャンバ14の挿入口から入れ、最下端位置で待機させたステージ17上に例えばSiCボートを介してウエーハを乗せる。この時、水冷チャンバ14およびベースプレート15は水冷されているので、ウエーハはこの位置では高温化しない。
【0044】
そして、ウエーハのステージ17上への載置が完了したなら、すぐにモータ19によって支持軸16を炉内に挿入することによって、ステージ17を1200℃以上の所望温度位置まで上昇させ、ステージ上のウエーハに高温熱処理を加える。この場合、水冷チャンバ14内のステージ下端位置から、所望温度位置までの移動には、例えば20秒程度しかかからないので、ウエーハは急速に加熱されることになる。
【0045】
そして、ステージ17を所望温度位置で、所定時間停止(1秒間以上)させることによって、ウエーハに停止時間分の高温熱処理を加えることができる。所定時間が経過し高温熱処理が終了したなら、すぐにモータ19によって支持軸16を炉内から引き抜くことによって、ステージ17を下降させ水冷チャンバ14内の下端位置とする。この下降動作も、例えば20秒程度で行うことができる。ステージ17上のウエーハは、水冷チャンバ14およびベースプレート15が水冷されているので、急速に冷却される。最後に、ウエーハハンドリング装置によって、ウエーハを取り出すことによって、熱処理を完了する。
さらに熱処理するウエーハがある場合には、熱処理装置20の温度を降温させてないので、次々にウエーハを投入し連続的に熱処理をすることができる。
【0046】
熱処理の還元性雰囲気は、水素ガス100%とすることができるが、水素の還元力を調整する、あるいはスリップ転位の発生を抑制する、その他安全上等の理由からアルゴンとの混合気としてもよい。
熱処理の温度条件は1200℃以上とし、処理時間は1秒間以上とした。1200℃未満ではCOPをほぼ完全に消滅させることが難しいし、1秒未満の短時間では熱処理効果が得られない。
【0047】
このように、本発明のサイズの小さいCOPを有するウエーハにRTA装置を用いて熱処理して得られたウエーハは、特に表面のCOPが殆ど消滅しており、無欠陥シリコンウエーハとすることができる。従って、この熱処理したウエーハをボンドウエーハとしてSOIウエーハを製造すれば、無欠陥SOI層を有するSOIウエーハを製造でき、デバイス作製の歩留まりを向上させることができる。
RTA装置の場合は、昇温レートが極めて速く、COPが消滅する温度になるのに要する時間が極めて短いため、多数のシングル型COPが存在しても容易に高温になり、COPが消滅するものと考えられる。
【0048】
別の熱処理装置としてバッチ式熱処理炉を使用することもできる。ここで、バッチ式熱処理炉とは、通常、縦型または横型の熱処理炉に複数のウエーハを載置し、水素ガスを導入して比較的緩やかに昇温した後、所定温度で所定時間熱処理を施し、比較的ゆっくりと降温する、いわゆるバッチ式の熱処理炉である。このバッチ式熱処理炉は、一度に大量の熱処理が可能であり、温度の制御性に優れており、安定した操業が可能である。
【0049】
バッチ式熱処理炉による水素アニール等の熱処理条件は、基本的には上記RTA装置の場合と変わらず、水素ガス100%雰囲気下、あるいはアルゴンとの混合雰囲気下1200℃以上で処理するが、熱処理時間は30分間以上が望ましい。30分未満では熱処理効果が十分挙がらず、COPはあまり消滅しない。
【0050】
このように、バッチ式熱処理炉によっても、本発明のサイズの小さいCOPを有するウエーハに熱処理して得られたウエーハのCOPは殆ど消滅しており、無欠陥シリコン単結晶ウエーハを製造することができる。従って、この熱処理したウエーハをボンドウエーハとしてSOIウエーハを製造すれば、無欠陥SOI層を有するSOIウエーハを製造でき、デバイス作製の歩留まりを向上させることができる。
【0051】
また、別の測定方法によると、ウエーハ表面から約0.5μm深さまでのウエーハ表層部のCOPの総数に関しては、バッチ式熱処理炉で処理した方がRTA装置で処理した場合の約半分と有利な結果が得られており、目的に応じて、RTA装置と使い分けることができる。
【0052】
このようにして得られたシリコンウエーハに、上記還元性の熱処理により生じたヘイズを除去する研磨を行い、SOIウエーハのSOI層を形成するボンドウエーハを得るのが望ましい。
以下に、このボンドウエーハとベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行い、SOIウエーハを製造する方法について、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
まず、ボンドウエーハの薄膜化を、研削・研磨法と気相エッチング法により行う場合について説明する。ここで、図1は、ボンドウエーハの薄膜化を、研削・研磨法と気相エッチング法により行う場合のSOIウエーハの製造工程の一例を示したものである。
【0054】
図1においてまず、貼り合せによりSOI基板を製造するための原料ウエーハであるボンドウエーハ2及びベースウエーハ3を用意する(図1(a))。
ここで、本発明では少なくともSOI層を形成するボンドウエーハ2は、前述のチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、この単結晶棒から得られたウエーハにRTA装置あるいはバッチ式熱処理炉により還元性熱処理を施す方法で作製された無欠陥シリコンウエーハとする。もちろん、二枚のウエーハをこの無欠陥シリコンウエーハとしても良い。
【0055】
そして、用意されたシリコンウエーハの少なくとも一方に酸化熱処理を施し、ウエーハ表面に酸化膜4を形成する(図1(b))。この場合の酸化膜の形成は、必ずしも両方のウエーハに行わずともよく、ボンドウエーハ2のみに形成してもよく、ベースウエーハ3のみに形成しても良い。
【0056】
次に、この酸化膜を形成したボンドウエーハ2とベースウエーハ3を清浄な雰囲気下で密着させる(図1(c))。これに酸化性雰囲気下で熱処理を加えて、ボンドウエーハ2とベースウエーハ3を強固に結合させ、SOI基板1とする。この時、ボンドウエーハ2とベースウエーハ3が強固に結合される(図1(d))。この二枚のウエーハを強固に結合させるための熱処理の熱処理条件としては、例えば、酸素または水蒸気を含む雰囲気下、200℃〜1200℃の温度で行えばよい。
【0057】
次に、図1(e)に示すように、ボンドウエーハ2の表面を通常の方法に従い研削・研磨と気相エッチングにより、所望厚さまで薄膜化すれば、実質的に無欠陥のSOI層5を有するSOI基板1を製造することができる。この場合、前記したPACE法によりエッチングを行うとSOI層の平坦度は極めて良好なものとなる。
【0058】
一方、ボンドウエーハの薄膜化を、イオン注入分離法により行う場合について説明する。ここで、図2は、ボンドウエーハの薄膜化を、イオン注入分離法により行う場合のSOIウエーハの製造工程の一例を示したものである。
【0059】
図2においてまず、貼り合せによりSOI基板を製造するための原料ウエーハであるボンドウエーハ2及びベースウエーハ3を用意する(図2(a))。
ここで、本発明では少なくともSOI層を形成するボンドウエーハ2は、前述のチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、この単結晶棒から得られたウエーハにRTA装置あるいはバッチ式熱処理炉により還元性熱処理を施す方法で作製された無欠陥シリコンウエーハとする。もちろん、二枚のウエーハをこの無欠陥シリコンウエーハとしても良い。
【0060】
そして、用意されたシリコンウエーハに酸化熱処理を施し、ウエーハ表面に酸化膜4を形成する(図2(b))。この場合の酸化膜の形成は、必ずしも両方のウエーハに行わずともよく、ボンドウエーハ2のみに形成してもよく、ベースウエーハ3のみに形成しても良い。
【0061】
次に、ボンドウエーハ2のベースウエーハ3と結合する面に対して、水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、ボンドウエーハの表面に平行な微小気泡層(封入層)6を形成する(図2(c))。ここで、ボンドウエーハ2は、用意された段階で、無欠陥シリコンウエーハを得るための熱処理により生じたヘイズを研磨により除去されているので、イオン注入後に研磨する場合とは異なり、SOI層の膜厚均一性に悪影響がでることがない。
【0062】
そして、水素イオンまたは希ガスイオンを注入したボンドウエーハ2の注入面に、ベースウエーハ3を酸化膜を介して重ね合わせて密着させる(図2(d))。常温の清浄な雰囲気下で二枚のウエーハの表面同士を接触させることにより、接着剤等を用いることなくウエーハ同士が接着する。
【0063】
次に、封入層6を境界として剥離することにより、剥離ウエーハ7とSOIウエーハ1に分離する(図2(e))。これは、例えば不活性ガス雰囲気下約500℃以上の温度で熱処理を加えれば、結晶の再配列と気泡の凝集によって剥離ウエーハ7とSOIウエーハ1とに分離することができる。
【0064】
そして、密着させたウエーハ同士の結合力では、そのままデバイス工程で使用するには弱いので、結合熱処理としてSOIウエーハ1に高温の熱処理を施し結合強度を十分なものとする(図2(f))。この熱処理は例えば不活性ガス雰囲気下、1050℃〜1200℃で30分から2時間の熱処理を行えば良い。
こうして、実質的に無欠陥のSOI層を有するSOIウエーハを得ることができる(図2(g))。
【0065】
以上説明したように、いずれの方法であっても本発明のSOIウエーハの製造方法は、無欠陥のSOI層を有する高品質のSOIウエーハを製造することができる。そして、本発明は、特にSOI層を1μm以下まで薄膜化する場合に、COPがないためにSOI層に貫通孔が発生することがないので、本発明の方法を用いる価値が高い。
そして、この方法により製造されたSOIウエーハは、電気的信頼性の高いSOI層をもつ高品質のSOIウエーハであり、デバイス作製の歩留まりが高く、産業上の利用価値はすこぶる高い。
【0066】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行いSOIウエーハを製造した。
【0067】
本実施例では、まずチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の引き上げ速度(SE)を、1.4mm/minとし、含有酸素濃度(Oi)が12ppmaのシリコン単結晶棒を成長し、この単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、結晶軸方位が〈100〉で、導電型がp型であり、抵抗率が10Ω・cm、直径が200mmのシリコンウエーハを作製した。
【0068】
このシリコンウエーハに、RTA装置(AST社製SHS−2800)を用いて、100%水素の雰囲気下において、1200℃で10秒の熱処理を加えた。そして、このシリコンウエーハをSOI層を形成するボンドウエーハとし、このボンドウエーハのベースウエーハと結合する面に研磨代10nmの研磨を施し、ウエーハ表面に熱処理により生じたヘイズを除去した。
【0069】
このボンドウエーハを用いて、図2(a)〜(g)に示す工程により、SOI層の厚さが約100nmのSOIウエーハを製造した。主な製造条件は以下の通りである。
【0070】
このようにして製造されたSOIウエーハのSOI層のCOPをHFディップ法により観察した。このHFディップ法では、まずSOIウエーハをHF50%水溶液に、十数分間浸すと、SOI層を貫通する欠陥があれば、これを通して埋め込み酸化膜にHFが到達して酸化膜がエッチングされ、エッチピットが形成される。そして酸化膜に形成されるこのエッチピットを、薄いSOI層を透して光学顕微鏡で観察することによりCOPを観察する。本実施例における顕微鏡観察は、ウエーハ表面の直径方向にスキャンして、合計20cm2 の領域のピット数を観察した。
【0071】
この測定の結果、観察されたピットの個数は、0個であり、COP密度に換算すると0個/cm2 であった。この測定結果より、本発明の製造方法によって実質的に無欠陥のSOI層を有するSOIウエーハを製造することができることが判る。
【0072】
一方、比較例1として、上記実施例1と同一の条件でシリコン単結晶を成長させ、シリコンウエーハを作製し、ウエーハにRTA装置による熱処理を行わないこと以外は同一の工程でSOIウエーハを製造した。
この比較例1のSOIウエーハに、実施例1と同じくHFディップ法によるCOPの観察を行った。この測定の結果、観察されたピットの個数は、57個であり、COP密度に換算すると2.9個/cm2 であった。この測定結果から、この比較例1のウエーハには、電気的信頼性の低下やデバイス作製歩留まりの低下が予想される。
【0073】
(実施例2、比較例2)
酸素濃度以外は、実施例1とほぼ同様に、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行いSOIウエーハを製造した。
【0074】
本実施例においては、まず含有酸素濃度(Oi)が16ppmaである以外は実施例1と同様のシリコン単結晶棒を成長し、この単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、結晶方位が〈100〉で、導電型がp型であり、抵抗率が10Ω・cm、直径が200mmのシリコンウエーハを作製した。
【0075】
このシリコンウエーハに、バッチ式熱処理炉を用いて、100%水素の雰囲気下において、1200℃で60分の熱処理を加えた。そして、このシリコンウエーハをSOI層を形成するボンドウエーハとし、ボンドウエーハのベースウエーハと結合する面に研磨代10nmの研磨を施し、ウエーハ表面の熱処理により生じたヘイズを除去した。
【0076】
このボンドウエーハを用いて、実施例1と同一の工程、製造条件により、SOIウエーハを製造した。そして、実施例1と同じくHFディップ法によるSOI層のCOPの観察を行った。
この測定の結果、観察されたピットの個数は、6個であり、COP密度に換算すると0.3個/cm2 であった。この測定結果より、本発明の製造方法によってきわめて欠陥の少ないSOI層を有するSOIウエーハを製造することができることが判る。
【0077】
一方、比較例2として、実施例2と同一の条件でシリコン単結晶を成長させ、シリコンウエーハを作製し、ウエーハにバッチ式熱処理炉による熱処理を行わないこと以外は同一の工程でSOIウエーハを製造した。
この比較例2のSOIウエーハに、実施例2と同じくHFディップ法によるCOPの観察を行った。この測定の結果、観察されたピットの個数は、62個であり、COP密度に換算すると3.1個/cm2 であった。この測定結果から、この比較例2のウエーハには、COPによる電気的信頼性の低下やデバイス作製歩留まりの低下が予想される。
【0078】
(実施例3、比較例3)
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行いSOIウエーハを製造した。
【0079】
本実施例においては、まずシリコンの引き上げ速度が0.95mm/minであり、含有酸素濃度(Oi)が16ppmaである以外は実施例1と同様のシリコン単結晶棒を成長し、この単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、結晶方位が〈100〉で、導電型がp型であり、抵抗率が10Ω・cm、直径が200mmのシリコンウエーハを作製した。
【0080】
このシリコンウエーハに、実施例1と同一の熱処理を加えた。そして、このシリコンウエーハをSOI層を形成するボンドウエーハとし、ボンドウエーハのベースウエーハと結合する面に研磨代10nmの研磨を行い、ウエーハ表面の熱処理により生じたヘイズを除去した。
【0081】
このボンドウエーハを用いて、図1(a)〜(e)に示す工程により、SOIウエーハを製造した。主な製造条件は以下の通りである。
【0082】
このようにして製造されたSOIウエーハに、実施例1と同じくHFディップ法によるSOI層のCOPの観察を行った。
この測定の結果、観察されたピットの個数は、1個であり、COP密度に換算すると0.1個/cm2 であった。この測定結果より、本発明の製造方法によって実質的に無欠陥のSOI層を有するSOIウエーハを製造することができることが判る。
【0083】
一方、比較例3として、実施例3と同一の条件でシリコン単結晶を成長させ、シリコンウエーハを作製し、ウエーハにRTA装置による熱処理を行わないこと以外は同一の工程でSOIウエーハを製造した。
この比較例3のSOIウエーハに、実施例1と同じくHFディップ法によるCOPの観察を行った。この測定の結果、観察されたピットの個数は、43個であり、COP密度に換算すると2.2個/cm2 であった。この測定結果から、この比較例3のウエーハには、電気的信頼性の低下やデバイス作製歩留まりの低下が予想される。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0085】
例えば、上記実施形態では二枚のシリコンウエーハを貼り合わせて、SOI基板を製造する場合を中心に説明したが、本発明はチョクラルスキー法により作製されたシリコンウエーハと石英、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、サファイア、その他のセラミック材のような絶縁基板とを貼り合わせてSOI基板を作製する場合にも、SOI層の結晶欠陥を低減するのに有効であり、適用可能であることはいうまでもない。
【0086】
また、上記実施形態では、SOI層を形成するボンドウエーハが、直径200mmのCZウエーハである場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、200mm以上の大直径である場合や、150mm以下の小直径である場合にも、本発明は適用可能である。
【0087】
更に、上記実施形態ではボンドウエーハに熱処理を行ってからSOIウエーハを作製しているが、同じ仕様のボンドウエーハを用いてSOIウエーハを作製してから同様の熱処理を行っても、本発明と同様の効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のSOIウエーハの製造方法によりSOIウエーハを製造することによって、SOI層中のCOPがほとんど無いSOIウエーハを高生産性で得ることができる。そのため、SOIウエーハの電気的信頼性やデバイス作製の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、ボンドウエーハの薄膜化を、研削・研磨法と気相エッチングにより行う場合のSOIウエーハの製造工程の一例を示したものである。
【図2】(a)〜(g)は、ボンドウエーハの薄膜化を、イオン注入分離法により行う場合のSOIウエーハの製造工程の一例を示したものである。
【図3】ウエーハを急速加熱・急速冷却できる装置の一例を示した概略図である。
【符号の説明】
1…SOIウエーハ、 2…ボンドウエーハ、 3…ベースウエーハ、
4…酸化膜、 5…SOI層、 6…微小気泡層(封入層)、
7…剥離ウエーハ、
11…ベルジャ、 12,12’…加熱ヒータ、 13…ハウジング、
14…水冷チャンバ、 15…ベースプレート、 16…支持軸、
17…ステージ、 18…シリコンウエーハ、 19…モータ、
20…熱処理装置。
Claims (8)
- チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行うSOIウエーハの製造方法において、
前記ボンドウエーハとして、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、該シリコンウエーハに急速加熱・急速冷却装置を用いて、還元性雰囲気中において1200℃以上の温度で1秒間以上の熱処理を加えたものを用いることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。 - チョクラルスキー法によるシリコン単結晶からSOI層を形成するボンドウエーハを作製し、該ボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハとを酸化膜を介して結合して、その後ボンドウエーハの薄膜化を行うSOIウエーハの製造方法において、
前記ボンドウエーハとして、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長速度を0.6mm/min以上として引き上げ、含有酸素濃度が16ppma以下のCOPが高密度に存在するシリコン単結晶棒を成長し、該シリコン単結晶棒をスライスしてシリコンウエーハに加工し、該シリコンウエーハにバッチ式熱処理炉を用いて、還元性雰囲気中において1200℃以上の温度で30分以上の熱処理を加えたものを用いることを特徴とするSOIウエーハの製造方法。 - 前記熱処理を加えたボンドウエーハを、ベースウエーハと結合する前に研磨することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のSOIウエーハの製造方法。
- 前記研磨は、研磨代5〜15nmで研磨することを特徴とする請求項3に記載のSOIウエーハの製造方法。
- 前記ボンドウエーハの薄膜化は、研削・研磨法と気相エッチング法により行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のSOIウエーハの製造方法。
- 前記ボンドウエーハの薄膜化は、イオン注入分離法により行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のSOIウエーハの製造方法。
- 前記還元性雰囲気を、100%水素雰囲気、あるいは水素とアルゴンの混合雰囲気とすることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載したSOIウエーハの製造方法。
- 請求項1ないし請求項7に記載の製造方法により製造されたSOIウエーハ。
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