JP2008027645A - 膜・電極接合体の製造方法、炭化水素系高分子電解質膜及び膜・電極接合体 - Google Patents

膜・電極接合体の製造方法、炭化水素系高分子電解質膜及び膜・電極接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】非アルコール系有機溶媒を用いてキャスト法により製膜された炭化水素系高分子電解質膜を備える膜・電極接合体の製造方法であって、製膜時に使用する非アルコール系有機溶媒による触媒活性の低下を抑制した膜・電極接合体を提供する。また、膜内に残留する非アルコール系有機溶媒量が少ない炭化水素系高分子電解質膜及びこれを備える膜・電極接合体を提供する。
【解決手段】炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を流延することによって製膜した炭化水素系高分子電解質膜表面に、少なくとも触媒成分を含む電極を設ける膜・電極接合体の製造方法であって、前記炭化水素系高分子電解質膜の製膜工程後に、該炭化水素系高分子電解質膜又は該高分子電解質膜表面に前記電極を設けた膜・電極接合体を、純水で洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする、膜・電極接合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素系高分子電解質膜を備えた膜・電極接合体の製造方法、炭化水素系高分子電解質膜及び炭化水素系高分子電解質膜を備えた膜・電極接合体に関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料と酸化剤を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池において、アノード(燃料極)では(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に移動する。
一方、カソードでは(2)式の反応が進行する。
4H + O + 4e → 2HO ・・・(2)
固体高分子電解質膜としては、プロトン伝導性、耐酸化性、耐薬品性等の観点から、Nafion(商品名、デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜のようなフッ素系高分子電解質膜が賞用されてきた。しかしながら、フッ素系高分子電解質膜は非常に高価であり、燃料電池のコストアップの原因の一つとなっている。
そこで、最近では、安価な炭化水素系高分子、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアリールフェニレン等にプロトン伝導性基を導入し、プロトン伝導性を付与した炭化水素系高分子電解質の研究が盛んに行われている。
フッ素系高分子電解質膜の製膜方法としては、フッ素系高分子電解質を熱溶融させて成型する溶融法や、アルコール系溶媒にフッ素系高分子電解質を溶解し、流延して成型するキャスト法があるが、主に溶融法が採用されている。
一方、炭化水素系高分子電解質は、ガラス転移温度(Tg)が非常に高いため、十分に軟化する温度まで加熱すると、炭化水素系高分子電解質そのものに分解や劣化等が発生してしまう。そのため、炭化水素系高分子電解質膜の製膜方法としては、一般的に、溶融法ではなく、キャスト法が採用されている。また、キャスト法の場合、炭化水素系高分子電解質は、アルコール系有機溶媒や水には溶解又は分散しないため、キャスト溶媒として、主にジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)等の非アルコール系有機溶媒が用いられている。
特表2002−538240号公報 特開2003−317777号公報 特開2003−249244号公報
炭化水素系高分子電解質膜を非アルコール系有機溶媒を用いてキャスト法により製造した場合、炭化水素系高分子電解質膜内に非アルコール系有機溶媒が残留することが多い。本発明者らは、電解質膜内に残留した非アルコール系有機溶媒が、電解質膜表面に設けられる電極(触媒層)内の触媒成分を被毒し、触媒活性を低下させることに着目した。触媒成分の触媒活性低下は、燃料電池の発電性能を低下させる原因のひとつであり、解決すべき大きな課題である。
このような膜内に残留した溶媒による触媒活性低下は、キャスト溶媒としてアルコール系有機溶媒が用いられた場合には、非アルコール系有機溶媒が用いられた場合ほど大きな問題とはならない。すなわち、電解質膜内の残留溶媒による触媒活性の低下は、フッ素系高分子電解質膜と比較して、炭化水素系高分子電解質膜において解決すべき課題であるといえる。
特許文献1には、特定の繰り返し構造単位を含んでいるスルホン化芳香族重合体を含んでなる膜が記載されており、その製造方法として、製膜後に鉱酸による洗浄工程を設けた方法が開示されている。特許文献1において、この鉱酸による洗浄は、膜内に残っている溶媒又は塩(上記スルホン化芳香族重合体の塩形態をキャストする場合)を除去することを目的として行われている。しかしながら、膜内に残留する有機溶媒が酸によって分解され、この分解物によって触媒成分が被毒されるおそれがある。
また、特許文献2には、高分子電解質型燃料電池を組み立て直後、又は長時間未使用のまま放置した電池を再作動させる場合に高性能の電池出力を得ることを目的とした、高分子電解質型燃料電池の活性化方法が提案されており、単セルを組み込んだ燃料電池を煮沸、又は、ガス流路に脱イオン水や弱酸性水を流通させる方法が記載されている。このような燃料電池組み立て後における脱イオン水中での煮沸や脱イオン水の流通では、セル全体を均一に洗浄することが困難であり、電解質膜内の残留成分を充分に除去することはできない。
一方、特許文献3には、高いプロトン伝導性を示す高分子電解質膜の簡便な製造方法を提供することを目的として、高分子電解質を含む溶媒溶液を基材に流延塗布し、溶媒を除去することによる高分子電解質膜の製造方法において、溶媒として、アルコール及び水から選ばれる少なくとも1種からなる第一の溶媒と、第一の溶媒よりも沸点の低い非アルコール系有機溶媒からなる第二の溶媒とを含有する混合溶媒を用いる高分子電解質膜の製造方法が提案されている。特許文献3の実施例では、得られた高分子電解質膜を塩酸で二時間処理し、さらに3時間脱イオン水洗浄することが行われているが、この脱イオン水洗浄は、塩酸処理によるイオン交換後の塩化物イオンを除去するものである。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、非アルコール系有機溶媒を用いてキャスト法により製膜された炭化水素系高分子電解質膜を備える膜・電極接合体の製造方法であって、製膜時に使用する非アルコール系有機溶媒による触媒活性の低下を抑制した膜・電極接合体を提供することを目的とする。また、膜内に残留する非アルコール系有機溶媒量が少ない炭化水素系高分子電解質膜及びこれを備える膜・電極接合体を提供することを目的とする。
本発明の膜・電極接合体の製造方法は、炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を流延することによって製膜した炭化水素系高分子電解質膜表面に、少なくとも触媒成分を含む電極を設ける膜・電極接合体の製造方法であって、前記炭化水素系高分子電解質膜の製膜工程後に、該炭化水素系高分子電解質膜又は該高分子電解質膜表面に前記電極を設けた膜・電極接合体を、純水で洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、非アルコール性有機溶媒を用いて製膜された炭化水素系高分子電解質膜内に残留する非アルコール性有機溶媒を、当該炭化水素系高分子電解質膜表面に設けられる電極内の触媒成分の触媒活性を低下させない程度に除去することが可能である。従って、本発明により提供される膜・電極接合体は、触媒活性が高く、優れた発電性能を発現することができる。
本発明の膜・電極接合体の製造方法によれば、前記洗浄工程後において、前記炭化水素系高分子電解質膜内又は前記膜・電極接合体内に残留する前記非アルコール系有機溶媒を、該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下とすることができる。
また、前記電極が、少なくとも触媒成分と炭化水素系高分子電解質とを、非アルコール系有機溶媒に溶解及び/又は分散させた触媒インクを用いて形成される場合には、上記洗浄工程後において、前記炭化水素系高分子電解質膜内及び該炭化水素系高分子電解質膜表面に設けられた電極内に残留する前記非アルコール系有機溶媒を、該炭化水素系高分子電解質膜及び該電極に含有される炭化水素系高分子電解質の合計重量に対して、0.5wt%以下とすることができる。
本発明の炭化水素系高分子電解質膜は、炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を、流延することによって製膜された炭化水素系高分子電解質膜であって、前記炭化水素系高分子電解質膜内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下であることを特徴とする。このように残留非アルコール性有機溶媒量が少ない炭化水素系高分子電解質膜を用いることで、当該電解質膜表面に設けられる電極内の触媒成分の触媒活性の低下を抑制することが可能である。
また、本発明の膜・電極接合体は、炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を、流延することによって製膜した炭化水素系高分子電解質膜表面に、少なくとも触媒成分を含む電極を設けた膜・電極接合体であって、前記炭化水素系高分子電解質膜内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下であることを特徴とする。
本発明の膜・電極接合体において、前記電極が、少なくとも触媒成分と、炭化水素系高分子電解質とを、非アルコール系有機溶媒に溶解及び/又は分散させた触媒インクを用いて形成されている場合には、前記炭化水素系高分子電解質膜内及び該炭化水素系高分子電解質膜表面に設けられた電極内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜及び該電極に含有される炭化水素系高分子電解質の合計重量に対して、0.5wt%以下であることが好ましい。
本発明によれば、炭化水素系高分子電解質膜内に残留する非アルコール系有機溶媒による触媒成分の被毒を抑制することが可能であり、優れた発電性能を発現する膜・電極接合体を提供することが可能である。
本発明の膜・電極接合体の製造方法は、炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を流延することによって製膜した炭化水素系高分子電解質膜表面に、少なくとも触媒成分を含む電極を設ける膜・電極接合体の製造方法であって、前記炭化水素系高分子電解質膜の製膜工程後に、該炭化水素系高分子電解質膜又は該高分子電解質膜表面に前記電極を設けた膜・電極接合体を、純水で洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とするものである。
ここで、本発明において、炭化水素系高分子電解質とは、ナフィオン(商品名)等のパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーに代表される主鎖及び側鎖の水素が全てフッ素で置換されたいわゆるフッ素系高分子電解質とは異なって、典型的には、全くフッ素原子を含まない炭化水素系高分子電解質(異種原子を含んでいてもよい)である。但し、本発明による効果が得られることから、炭化水素系高分子電解質は、部分的にフッ素置換されていてもよい。
炭化水素系高分子電解質として、具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルホキシド等の炭化水素系高分子に、スルホン酸基、ヒドロキシ基、リン酸基、カルボキシル基等のプロトン伝導性基が導入されたものが挙げられる。中でも、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリパラフェニレン、ポリベンゾイミダゾール(PBI)等の炭化水素系高分子に、スルホン酸基、リン酸基が導入されたものが好ましい。
また、非アルコール系有機溶媒とは、アルコール性水酸基を有していない有機溶媒であって、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド(DMF)やこれらの混合物等を挙げることができる。中でも、DMSO、NMP、DMAC、DMF等の極性溶媒が好適に用いられる。
また、純水とは、抵抗率が1.0MΩ・cm以上のものであり、好ましくは抵抗率10MΩ・cm以上、特に好ましくは抵抗率18MΩ・cm以上である。
本発明の膜・電極接合体の製造方法は、非アルコール性有機溶媒に炭化水素系高分子電解質を溶解、分散させた炭化水素系高分子電解質溶液を流延し、非アルコール性有機溶媒を除去して製膜(キャスト法)された炭化水素系高分子電解質膜を用いるものである。
上記したように、非アルコール性有機溶媒を用いてキャスト法により作製された電解質膜は、除去しきれなかった非アルコール性有機溶媒が内部に残留しやすい。電解質膜内に非アルコール性有機溶媒が残留していると、非アルコール性有機溶媒が当該電解質膜表面に形成された電極内へと移動し、電極内の触媒成分によって分解され、当該分解物(例えば、一酸化炭素、SO、NO等)によって触媒成分が被毒されてしまう。すなわち、触媒成分の触媒活性が低下する。触媒成分を被毒している被毒成分(上記分解物)は、燃料電池の運転条件下における電極内環境(1.23〜0Vの電位範囲等)では触媒成分から脱離しないため、被毒成分を除去するための処理を施さない限り、一度被毒した触媒成分の触媒活性を復活させることはできない。
そこで、本発明においては、非アルコール性有機溶媒を用いてキャスト法により製膜された炭化水素系高分子電解質膜を、純水で洗浄する工程を設けることによって、当該炭化水素系高分子電解質膜内に残留する非アルコール系有機溶媒を除去し、上記したような触媒成分の被毒を防止する。尚、炭化水素系高分子電解質膜を洗浄する工程は、製膜工程後であれば、電解質膜表面への電極形成の前であってもよいし、電極用高分子電解質として炭化水素系高分子電解質を用いるか否かにかかわらず、電解質膜の表面に電極を形成した後でもよい。
電解質膜の表面に設けられる電極(触媒層)には、通常、各電極における電極反応に対して触媒活性を有する触媒成分と共に、高分子電解質が含有される。電極に用いられる高分子電解質(以下、電極用高分子電解質ということがある)としては、高分子電解質膜に用いられている高分子電解質と同様のものを用いることができ、上記したような炭化水素系高分子電解質の他、ナフィオン(デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質を用いることができる。一般的に、電極(触媒層)は、触媒成分及び電極用高分子電解質を、電極用高分子電解質を溶解又は分散できる溶媒に溶解又は分散させた触媒インクを用いて形成される。
このとき、電極用高分子電解質として、フッ素系高分子電解質を用いる場合には、触媒インクの溶媒としてアルコール系有機溶媒や水、これらの混合物等が用いられ、炭化水素系高分子電解質を用いる場合には、非アルコール性有機溶媒が用いられることとなる。
すなわち、電極用高分子電解質として、炭化水素系高分子電解質を用いる場合には、触媒インクの非アルコール性有機溶媒による触媒成分の被毒を考慮しなければならない。
電解質膜の表面に、炭化水素系高分子電解質を含有する触媒インクを用いて電極を形成した後、乾燥工程とは別途、或いは、乾燥工程を兼ねて、酸素雰囲気下における加熱工程を設けることによって、触媒成分の表面から被毒物質を除去することが可能である。しかしながら、当該加熱工程によって、触媒成分を被毒している被毒成分を除去することができても、触媒層中の主に炭化水素系高分子電解質内部に残留する非アルコール性有機溶媒や、塗布した触媒インクから電解質膜内染み込んだ非アルコール性有機溶媒等を除去しきれない場合がある。その結果、上記電解質膜内に非アルコール性有機溶媒が残留した場合同様、触媒成分が被毒され、触媒活性が低下してしまう。
従って、電極用高分子電解質として、炭化水素系高分子電解質を用いる場合には、電解質膜上に電極を形成した膜・電極接合体を、純水で洗浄する洗浄工程を設けることによって、触媒インクの非アルコール性有機溶媒に起因する触媒活性の低下をも抑制することが可能である。ここで、膜・電極接合体における電極とは、触媒成分を含有する触媒層のみからなるものであってもよいし、電解質膜表面から順に触媒層とガス拡散層とが積層した多層構造を有するものであってもよいし、さらに触媒層及びガス拡散層以外の層を備えた多層構造を有するものであってもよい。
洗浄工程における電解質膜又は膜・電極接合体の具体的な洗浄方法は特に限定されない。例えば、純水中に電解質膜又は膜・電極接合体を含浸する他、純水の水蒸気を当てる方法、流水(純水)に電解質膜をさらす等が挙げられる。
洗浄時の純水の温度は特に限定されないが、洗浄効果が高く短時間で効率的に洗浄することが可能であることから、通常、50℃以上が好ましく、特に80℃以上が好ましく、さらに沸騰水が好ましい。ただし、純水の温度が低い(例えば、30℃以下)場合でも、純水を流通させることによって、比較的短時間で電解質膜や膜・電極接合体を洗浄することが可能である。
使用する純水の量は、充分な洗浄効果を得るため、洗浄する炭化水素系高分子電解質の重量に対して10倍以上であることが好ましく、特に100倍以上、さらに1000倍以上であることが好ましい。ここで、洗浄する炭化水素系高分子電解質の重量とは、電解質膜のみに炭化水素系高分子電解質が用いられている場合には、当該電解質膜の炭化水素系高分子電解質の重量であり、電解質膜と共に電極用高分子電解質としても炭化水素系高分子電解質が用いられている場合には、電解質膜の炭化水素系高分子電解質と電極用高分子電解質との合計重量である。
洗浄時間は、洗浄方法や、純水の温度、使用する純水量等によって異なってくるが、上記した条件下における洗浄であれば、通常、1〜2時間以上とすることが好ましく、6時間以上とすることが特に好ましい。
洗浄工程の条件設定の目安として、炭化水素系高分子電解質を電解質膜にのみ用いている場合には、洗浄工程後の炭化水素系高分子電解質膜0.25gを、80℃の純水30mg中に6時間、含浸させ、この炭化水素系高分子電解質膜を含浸した純水中の非アルコール性有機溶媒濃度が0.01wt%以下、特に0.005wt%以下、さらには0.001wt%以下となるように、洗浄工程の各条件を設定することが好ましい。或いは、電解質膜と共に電極用高分子電解質として、炭化水素系高分子電解質を用いている場合には、洗浄工程後の膜・電極接合体0.25gを、80℃の純水30mg中に6時間、含浸させ、この膜・電極接合体を含浸した純水中の非アルコール性有機溶媒濃度が0.01wt%以下、特に0.005wt%以下、さらには0.001wt%以下となるように、洗浄工程の各条件を設定することが好ましい。
本発明の膜・電極接合体の製造方法によれば、炭化水素系高分子電解質が電解質膜にのみ用いられている場合には、洗浄した電解質膜又は膜・電極接合体内に残留する非アルコール性有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜の炭化水素系高分子電解質の重量に対して0.5wt%以下である膜・電極接合体或いは炭化水素系高分子電解質膜を得ることが可能である。洗浄工程後において、炭化水素系高分子電解質膜内に残留する非アルコール性有機溶媒量は、膜内の炭化水素系高分子電解質の重量に対して0.01wt%以下が特に好ましく、0.001wt%以下がさらに好ましい。
一方、炭化水素系高分子電解質を電解質膜と共に電極用高分子電解質として用い、膜・電極接合体を洗浄した場合には、洗浄した膜・電極接合体内に残留する非アルコール性有機溶媒が、炭化水素系高分子電解質膜と電極に含有される炭化水素系高分子電解質(電極用高分子電解質)の合計重量に対して、0.5wt%以下である膜・電極接合体を得ることが可能である。洗浄工程後において、膜・電極接合体内に残留する非アルコール性有機溶媒量は、炭化水素系高分子電解質膜と電極に含有される炭化水素系高分子電解質の合計重量に対して0.01wt%以下が特に好ましく、さらに0.001wt%以下が好ましい。
炭化水素系高分子電解質膜内に残留している非アルコール性有機溶媒量の測定方法は特に限定されないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)や、抽出法、ガスクロマトグラフィー、GC−MS、マススペクトル等を用いることができる。また、膜・電極接合体内に残留している非アルコール性有機溶媒量の測定方法としては、例えば、抽出法、ガスクロマトグラフィー、GC−MS等を用いることができる。
炭化水素系高分子電解質膜内に残留する非アルコール系有機溶媒を、当該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下とすることによって、非アルコール性有機溶媒による触媒成分の被毒を防止することが可能である。
以下、本発明の膜・電極接合体の製造方法における洗浄工程以外の工程について説明する。
炭化水素系高分子電解質膜のキャスト法による製膜方法は、非アルコール性有機溶媒を用いる以外、特に限定されず、塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥(真空乾燥を含む)、加熱乾燥、減圧加熱乾燥等が挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
炭化水素系高分子電解質膜表面に電極を形成する方法も特に限定されない。
上述したように、触媒層には、通常、触媒成分と共に、高分子電解質、さらには、導電性材料が含有される。
触媒成分としては、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、イリジウム、ロジウム、金等の金属と白金との合金等を用いることができる。
導電性材料としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料の他、金属粒子や金属繊維等も用いることができる。通常、触媒成分は、導電性材料に担持させた状態で用いられる。
触媒インクは、触媒成分、導電性材料、高分子電解質樹脂を、攪拌器、ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル等を用いて、混合することにより得られる。触媒インクには、さらに必要に応じてその他の成分を混合・分散させてもよい。
以上のような触媒インクを、電解質膜表面に直接塗布、或いは、ガス拡散層となるガス拡散層シートに直接塗布、或いは、転写基材に塗布した後、電解質膜又はガス拡散層シートに転写する等して、触媒層が形成される。触媒インクの塗布方法は特に限定されず、例えば、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
触媒インクの直接塗布又は転写により電解質膜の表面に触媒層を設けた電解質膜−触媒層接合体は、通常、導電性多孔質体からなるガス拡散層シートで挟み込んだ状態で熱圧着等され、該ガス拡散層シートと接合される。導電性多孔質体としては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等が挙げられる。
ガス拡散層は、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けたものを用いてもよい。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層を導電性多孔質体上に形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層ペーストを、導電性多孔質体の少なくとも触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。
このとき撥水層ペーストは、導電性多孔質体の内部に含浸してもよい。また、撥水層の形状は特に限定されず、例えば、導電性多孔質層の触媒層側の面全体を覆うような形状でもよいし、格子状等の所定パターンを有する形状でもよい。撥水層ペーストを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
また、導電性多孔質体は、触媒層と面する側に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂をバーコーター等によって含浸塗布することによって、触媒層内の水分がガス拡散層の外へ効率良く排出されるように加工してもよい。
触媒インクの直接塗布又は転写によりガス拡散層シートの表面に触媒層を設けたガス拡散層−触媒層接合体は、電解質膜を挟み込んだ状態で熱圧着等され、当該電解質膜と接合される。
触媒層に含有される高分子電解質(電極用高分子電解質)として、炭化水素系高分子電解質を用い、非アルコール性有機溶媒を用いて触媒インクを調製する場合には、上述したように、洗浄工程の前に、酸素雰囲気(99.99%酸素ガス100mL/min流通)下、50℃〜150℃に加熱し、触媒インク調製工程から触媒層形成工程において既に触媒成分を被毒している被毒成分を除去することが好ましい。尚、酸素雰囲気下における加熱工程は、触媒インクの乾燥工程を兼ねる工程としてもよい。
(実施例1及び比較例1)
炭化水素系高分子電解質(スルホン化ポリエーテルエーテルケトン:S−PEEK)を、非アルコール性有機溶媒(DMSO)に溶解した溶液を、流延、乾燥(150℃、60分)し、キャスト法により炭化水素系高分子電解質膜Aを製膜した。
得られた電解質膜Aを、炭化水素系高分子電解質との重量比が1000の純水(抵抗率18Ω・cm以上)に、80℃の条件下、6時間浸漬し、電解質膜Bとした。
熱分解ガスクロマトグラフィー(GC−MS)により測定された電解質膜A内のDMSO及びS−PEEKの面積比より、これらの重量比を算出したところ、電解質膜AのS−PEEKの重量に対して、2.1wt%のDMSOが残留していた。
同様にして、電解質膜Aを洗浄した状態の電解質膜B内のDMSOの量を測定したところ、電解質膜BのS−PEEKの重量に対して、100ppm以下だった。
電解質膜A(比較例1の電解質膜)と電解質膜B(実施例1の電解質膜)を、それぞれ、0.25gずつ切り出して80℃の純水30ml中に6時間浸漬し、電解質膜A、Bを取り出し、抽出液A、Bを得た。
抽出液A、Bを5mlずつ採取し、それぞれ250mlの0.1M硫酸に添加し、当該硫酸溶液中における白金電極のサイクリックボルタンメトリーを電気化学測定装置(北斗電工社製)により測定し、白金の酸化電流値から白金電極の有効Pt表面積を求めた(サイクリックボルタンモノグラムより、白金から水素が脱離する際の0.05〜0.4Vの酸化電流の電気量を求め、その電気量を210μCで割った値)。結果を表1に示す。ここで、有効Pt表面積は、0.1M硫酸中の白金電極の有効Pt表面積を100%としている。
Figure 2008027645
表1に示すように、洗浄工程を設けていない比較例1の電解質膜Aから得られた抽出液Aでは、大幅な有効Pt表面積の減少が見られたが、洗浄工程を設けた実施例1の電解質膜Bから得られた抽出液Bでは有効Pt表面積の減少はほとんど見られなかった。この結果から、比較例の電解質膜Aを浸漬していた抽出液Aと比較して、実施例の電解質膜Bを浸漬していた抽出液Bは、非アルコール性有機溶媒の濃度が低いことがわかる。すなわち、比較例の電解質膜Aと比較して、洗浄工程が行われた実施例の電解質膜Bは、膜内に残留する非アルコール性有機溶媒が少なく、電極に含まれるPt等の触媒成分の触媒活性低下を抑制することが可能であることが示された。
(実施例2)
実施例1と同様にして、炭化水素系高分子電解質膜Aを製膜し、炭化水素系高分子電解質Aとの重量比が1000の純水(抵抗率18Ω・cm以上)に、80℃の条件下、6時間浸漬し、電解質膜Bとした。
得られた電解質膜Bを、0.25g切り出して80℃の純水30ml中に6時間浸漬し、電解質膜Bを取り出し、抽出液Bを得た。
一方、DMSO濃度が0.1wt%、0.01wt%、0.001wt%、0.0001wt%である溶液を純水を用いて調製し、80℃で6時間加熱処理し、それぞれ、比較液C、D、E、Fとした。
抽出液B及び比較液C〜Fを5mlずつ採取し、それぞれ酸素飽和にした250mlの0.1M硫酸に添加し、当該硫酸溶液中における白金電極の0.8V(vs.RHE)における酸素還元率を測定した。結果を表2に示す。ここで、酸素還元率は、酸素飽和した0.1M硫酸中の白金電極の0.8V(vs.RHE)における酸素還元率を100%としている。
Figure 2008027645
表2に示すように、非アルコール性有機溶媒であるDMSO濃度が0.1wt%である比較液Cでは、大幅な酸素還元率の低下が見られたが、DMSO濃度が0.01wt%以下である比較液D、E、Fでは、酸素還元率の低下がほとんど見られなかった。
また、製膜後に洗浄を行った電解質膜Bから得られた抽出液Bの酸素還元率の値から、抽出液BのDMSO濃度は0.01wt%以下であることがわかる。抽出液Bの酸素還元率が99.85%と高く、白金の触媒活性低下が生じていなかったことと共に、実施例1における抽出液Bの有効Pt表面積維持率が高かったことから、電解質膜0.25gを80℃の純水30mlに6時間浸漬して得られる抽出液中の非アルコール性有機溶媒の濃度が0.01wt%以下であれば、該電解質膜中の残留非アルコール性有機溶媒による触媒成分の触媒活性低下を充分に防止することが可能であることが示めされた。
(実施例3及び比較例2)
炭化水素系高分子電解質(S−PEEK)を、非アルコール性有機溶媒(DMSO)に溶解した溶液を、流延、乾燥(150℃、60分)し、キャスト法により炭化水素系高分子電解質膜を製膜した。
Pt/C触媒(Pt担持率:50wt%)1gと、炭化水素系高分子電解質(物質名:S−PEEK)0.1875gと、溶媒(NMP)10gとを攪拌混合し、触媒インクを調製した。
上記にて作製した炭化水素系高分子電解質膜の両面に上記触媒インクをスプレー塗布した。このとき、触媒層の単位面積当たりのPt量が0.4mg/cmとなるように触媒インクを塗布した。触媒インクを乾燥させ、電解質膜の両面に触媒層を形成した。
得られた触媒層付き電解質膜を、ガス拡散層用カーボンクロスで挟持し、熱圧着(プレス圧:3MPa、プレス温度:140℃)して、膜・電極接合体1(以下、MEA1とする)を得た。
得られたMEA1を、MEA1との重量比が1000の純水(抵抗率18Ω・cm以上)に、80℃の条件下、6時間浸漬し、MEA2とした。
熱分解ガスクロマトグラフィー(GC−MS)により測定した面積比から、MEA1内のDMSO及びNMPの重量比を算出したところ、MEA1内の全S−PEEK(電解質膜及び触媒層内の合計量)の重量に対して、0.72wt%のDMSO及びNMPが残留していた。
同様にして、MEA1を洗浄した状態のMEA2内のDMSO及びNMPの量を測定したところ、MEA2内の全S−PEEKの重量に対して、100ppm以下だった。
MEA1(比較例2のMEA)とMEA2(実施例3のMEA)を、それぞれ、0.25gずつ切り出して80℃の純水30ml中に6時間浸漬し、MEA1、MEA2を取り出し、抽出液1及び抽出液2を得た。
抽出液1、抽出液2を5mlずつ採取し、それぞれ250mlの0.1M硫酸に添加し、実施例1と同様にして、白金電極の有効Pt表面積を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2008027645
表3に示すように、洗浄工程を設けていない比較例2のMEA1から得られた抽出液1では、大幅な有効Pt表面積の減少が見られたが、洗浄工程を設けた実施例3のMEA2から得られた抽出液2では有効Pt表面積の減少はほとんど見られなかった。
この結果から、比較例2のMEA1を浸漬していた抽出液1と比較して、実施例3のMEA2を浸漬していた抽出液2は、非アルコール性有機溶媒の濃度が低いことがわかる。すなわち、比較例2のMEA1と比較して、洗浄工程が行われた実施例3のMEA2は、MEA内に残留する非アルコール性有機溶媒が少なく、Pt等の触媒成分の触媒活性低下が抑制可能であることが示された。
また、比較例2のMEA1及び実施例3のMEA2について、発電性能評価試験を行い、電流密度0.5A/cm時のセル電圧を測定した。発電性能評価試験の条件は以下の通りである。結果を表4に示す。
<試験条件>
セル温度:80℃
湿度:100RH%(燃料、酸化剤共に)
燃料(水素ガス):500mL/min
酸化剤(空気):1000mL/min
Figure 2008027645
洗浄工程を行わなかった比較例2のMEA1と比較して、洗浄工程を行った実施例3のMEA2は、セル電圧が2倍以上の高い値を示した。すなわち、洗浄工程において、MEA中の残留非アルコール性有機溶媒が除去されることによって、電極中の触媒成分(白金)の被毒が抑制され、発電性能が向上した。

Claims (6)

  1. 炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を流延することによって製膜した炭化水素系高分子電解質膜表面に、少なくとも触媒成分を含む電極を設ける膜・電極接合体の製造方法であって、
    前記炭化水素系高分子電解質膜の製膜工程後に、該炭化水素系高分子電解質膜又は該高分子電解質膜表面に前記電極を設けた膜・電極接合体を、純水で洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする、膜・電極接合体の製造方法。
  2. 前記洗浄工程後において、前記炭化水素系高分子電解質膜内又は前記膜・電極接合体内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下である、請求項1に記載の膜・電極接合体の製造方法。
  3. 前記電極が、少なくとも触媒成分と炭化水素系高分子電解質とを、非アルコール系有機溶媒に溶解及び/又は分散させた触媒インクを用いて形成されており、
    前記洗浄工程後において、前記炭化水素系高分子電解質膜内及び該炭化水素系高分子電解質膜表面に設けられた電極内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜及び該電極に含有される炭化水素系高分子電解質の合計重量に対して、0.5wt%以下である、請求項1又は2に記載の膜・電極接合体の製造方法。
  4. 炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を、流延することによって製膜された炭化水素系高分子電解質膜であって、
    前記炭化水素系高分子電解質膜内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下であることを特徴とする、炭化水素系高分子電解質膜。
  5. 炭化水素系高分子電解質を非アルコール系有機溶媒に溶解又は分散させた溶液を、流延することによって製膜した炭化水素系高分子電解質膜表面に、少なくとも触媒成分を含む電極を設けた膜・電極接合体であって、
    前記炭化水素系高分子電解質膜内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜に対して0.5wt%以下であることを特徴とする、膜・電極接合体。
  6. 前記電極が、少なくとも触媒成分と炭化水素系高分子電解質とを、非アルコール系有機溶媒に溶解及び/又は分散させた触媒インクを用いて形成されており、
    前記炭化水素系高分子電解質膜内及び該炭化水素系高分子電解質膜表面に設けられた電極内に残留する前記非アルコール系有機溶媒が、該炭化水素系高分子電解質膜及び該電極に含有される炭化水素系高分子電解質の合計重量に対して、0.5wt%以下である、請求項5に記載の膜・電極接合体。
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